(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034979
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ホイールナット保持具およびホイールナット保持具セット
(51)【国際特許分類】
B25H 3/06 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B25H3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139595
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】522349764
【氏名又は名称】中野 陽介
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 陽介
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両用ホイールの脱着時に使用しやすく、ハブボルトから抜き取ったホイールナットを紛失したり損傷させることなく保持することができるホイールナット保持具と、そのホイールナット保持具を2つ備えたホイールナット保持具セットを提供する。
【解決手段】基部11と、基部11から突出した複数の保持部12とを備え、保持部12は、車両用ホイールを車両側のハブボルトに固定するホイールナットHNが外嵌めされホイールナットHNを保持するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から突出した複数の保持部とを備え、
前記保持部は、車両用ホイールを車両側のハブボルトに固定するホイールナットが外嵌めされ該ホイールナットを保持するものであることを特徴するホイールナット保持具。
【請求項2】
前記基部は、磁石が設けられたものであることを特徴する請求項1記載のホイールナット保持具。
【請求項3】
前記基部を内部に載置可能なトレーを有するものであることを特徴とする請求項1記載のホイールナット保持具。
【請求項4】
請求項1記載のホイールナット保持具を2つ備え、
一方の前記ホイールナット保持具における前記基部は、他方の前記ホイールナット保持具における前記保持部の少なくとも突出方向先端部分を収容する収容部を有するものであることを特徴するホイールナット保持具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ホイールを車両側のハブボルトに固定するホイールナットを保持するホイールナット保持具と、該ホイールナット保持具を2つ備えたホイールナット保持具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ交換を行う際ばかりでなく、車両用ホイールのバランス調整を行う際にも、車両から車両用ホイールを取り外す必要がある。センターロック式の車両用ホイールを除き、一般的な車両用ホイールは、4本又は5本のホイールナットによって車両側のハブボルトに固定されている。車両から車両用ホイールを取り外す際には、これらのホイールナットを緩め、ハブボルトからホイールナットを抜き取る。抜き取ったホイールナットは、車両用ホイールを車両に取り付ける際に必要になり、紛失したり破損するわけにはいかない。また、ホイールナットは高価なものもあり、ホイールナットに傷が付くことを可能な限り避けたいといったニーズもある。
【0003】
従来では、ナットの取り外し時に工具からナットがこぼれてもナットを地面に落とさず受け止めることが可能なナット受け具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に提案されたナット受け具は、袋体の中でナットを保持するものであり、袋体の中でホイールナットどうしがぶつかってホイールナットに傷が付く恐れがある。また、特許文献1に提案されたナット受け具は、ホイールナット専用のものでないため、車両用ホイールの脱着時に使用しにくいことが想定される。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、車両用ホイールの脱着時に使用しやすく、ハブボルトから抜き取ったホイールナットを紛失したり損傷させることなく保持することができるホイールナット保持具と、そのホイールナット保持具を2つ備えたホイールナット保持具セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明のホイールナット保持具は、
基部と、
前記基部から突出した複数の保持部とを備え、
前記保持部は、車両用ホイールを車両側のハブボルトに固定するホイールナットが外嵌めされ該ホイールナットを保持するものであることを特徴する。
【0008】
本発明のホイールナット保持具によれば、ホイールナット一つずつ前記保持部に保持されるため、他のホイールナットと干渉する恐れがなく、ホイールナットが傷付きにくい。また、ハブボルトから抜き取ったホイールナットは、突出した保持部に外嵌めされているため、紛失する恐れも少なく、保持部からホイールナットを引き抜くだけで即座にホイールナットを手にすることができ、しかも、手にしたホイールナットを持ち替えることなくハブボルトにセットすることもでき、車両用ホイールの脱着時に使用しやすい。
【0009】
なお、前記保持部は、前記ホイールナットに通されるものであってもよく、該ホイールナットに挿入されるものであってもよい。
【0010】
前記保持部は、前記ホイールナットよりも短く、該ホイールナットの途中まで挿入されるものであってもよいし、該ホイールナットよりも長く、該ホイールナットを貫通したものであってもよい。
【0011】
前記保持部は、樹脂製のものであってもよい。また、前記保持部は、突出方向先端部分が曲面で構成されたものであってもよい。
【0012】
前記保持部が、磁性を有するものであってもよい。すなわち、前記保持部が磁石を有するもの(例えば、内蔵したもの)であってもよいし、前記保持部自体が磁石であってもよい。
【0013】
前記基部は、前記ホイールナット専用のホイールナットソケットを収納する収納部を有するものであってもよい。
【0014】
また、
前記基部は、磁石が設けられたものであることを特徴とする態様であってもよい。
【0015】
この態様によれば、前記基部を前記車両の車体(ボディ)に磁力によって固定することが可能になる。前記保持部が作業者側に突出した状態で前記基部をフェンダー部分に磁力によって固定しておけば、ホイールナットを、該保持部に外嵌めしたり該保持部から引き抜きやすくなる。あるいは、前記保持部が磁性体であり、前記磁石によって磁化されたものであれば、該保持部からホイールナットが抜け落ちてしまうことが低減される。
【0016】
また、
前記基部を内部に載置可能なトレーを有するものであることを特徴としてもよい。
【0017】
前記基部が前記トレーの内部に載置されることで該基部が安定する。また、前記保持部の一部又は全部が前記トレーの側壁で覆われることで、該保持部から前記ホイールナットが不用意に外れにくくなる。さらに、前記基部と前記トレーは分離可能である。このため、前記保持部に、前記ホイールナットを垂直に保持させたい場合には前記基部を前記トレーの内部に載置する一方、該ホイールナットを水平に保持させたい場合には、該基部を該トレーから分離させて該基部を立てかけて使用すればよい。
【0018】
なお、前記基部には磁石を設けず、前記トレーが磁石が設けられたものであってもよい。こうすることで、前記トレーを金属の上に置けば、該トレーを磁力によって固定することができるようになる。
【0019】
あるいは、
前記基部は、該基部を立てた状態に維持する脚部を有するものであってもよい。
【0020】
前記保持部が作業者側に突出した状態で前記脚部を地面に接地することで、ホイールナットを、該保持部に外嵌めしたり該保持部から引き抜きやすくなる。
【0021】
上記目的を解決する本発明のホイールナット保持セット具は、
本発明のホイールナット保持具を2つ備え、
一方の前記ホイールナット保持具における前記基部は、他方の前記ホイールナット保持具における前記保持部の少なくとも突出方向先端部分を収容する収容部を有するものであることを特徴する。
【0022】
他方の前記ホイールナット保持具における前記保持部の少なくとも突出方向先端部分を、一方の前記ホイールナット保持具における前記基部が有する収容部に収容させ、一方の前記ホイールナット保持具における前記保持部の少なくとも突出方向先端部分を、他方の前記ホイールナット保持具における前記基部が有する収容部に収容させることで2つの、前記ホイールナット保持具をコンパクトにまとめることができ、持ち運びに便利になる。
【0023】
なお、前記収容部は、溝や凹部であってもよいが、貫通孔であれば、該収容部にゴミ等が詰まることがなく好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、車両用ホイールの脱着時に使用しやすく、ハブボルトから抜き取ったホイールナットを紛失したり損傷させることなく保持することができるホイールナット保持具と、そのホイールナット保持具を2つ備えたホイールナット保持具セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に相当するホイールナット保持具を示す斜視図である。
【
図2】ホイールナットを外す作業を行っている様子を表した図である。
【
図3】
図1に示すホイールナット保持具を2つ備えたホイールナット保持具セットを示す図である。
【
図4】第2実施形態のホイールナット保持具を示す図である。
【
図5】第3実施形態のホイールナット保持具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に相当するホイールナット保持具を示す斜視図である。
【0028】
本実施形態のホイールナット保持具10は、基部11と、基部11の一方の面から突出した5本の保持部12を備えている。以下、この一方の面のことを前面111と称する。前面111は円形のものであるが、円形に限定されない。5本の保持部12は、正五角形の頂点それぞれに位置するように設けられている。
図1では、これら5本の保持部12のうち、1本の保持部12(最も高い位置の保持部12)のみ、ホイールナットHNが外嵌めされている。車両用ホイールは、5本のホイールナットそれぞれをハブボルトに締結することによって車両に装着されるものもあれば、4本のホイールナットそれぞれをハブボルトに締結することによって車両に装着されるものもある。5本の保持部12があれば、一つの車両用ホイール分のホイールナットに対応することができる。ただし、車両用ホイールは、6本のホイールナットによって車両に装着されるものもあり、この車両用ホイールに対応するには、6本の保持部が必要になる。保持部12は、円柱状のものであって先端部分121が突出方向に凸の曲面で形成されている。
図1には、ホイールナットHNも示されている。ホイールナットHNは、国産自動車メーカの一般的な普通車に適合するものであり、ネジサイズがM12でピッチが1.5mm又は1.25mmのものである。
図1に示すホイールナットHNは長さが40mmのものであるが、ホイールナットには50mmのものもある。また、ホイールナットの材質としては、アルミニウム合金や鉄等があげられる。
【0029】
図1に示す保持部12は樹脂製の柱状体であり、その直径は、ホイールナットHNの内径よりもわずかに小さい。より具体的には、保持部12の直径は、ホイールナットHNの内径よりも0.5mm以上1mm以下の程度小さい。また、保持部12の長さは、ホイールナットHNよりも短く、20mm程度である。
図1に示す左向きの矢印のように、ホイールナットHNを保持部12に被せる。上述した保持部12の直径とホイールナットHNの内径の寸法関係により、ホイールナットHNは保持部12に容易に被せることができる。また、保持部12の先端部分121が曲面で構成されているため、ホイールナットHNを保持部12に被せる際に、保持部12の先端部分121によってホイールナットHNが傷付くことが抑えられている。なお、保持部12の長さは、10mm以上であれなよく、ホイールナットHNよりも長くなる場合があってもよい。
【0030】
保持部12とホイールナットHNには径方向に遊びがあるが、ホイールナットHNが大きくガタつく程の遊びはなく、ホイールナットHNは、保持部12の突出方向と同じ方向に突出した姿勢で保持部12に保持される。このため、ホイールナットHNが紛失する恐れが少なくなる。また、隣合う保持部12と保持部12の間隔は、ホイールナットHNを保持したときにホイールナットHNどうしが干渉しないだけの距離が確保されており、ホイールナットHNどうしが干渉して傷付くことも抑えられる。
【0031】
また、保持部12に保持されたホイールナットHNは、
図1に示す右向きの矢印のように保持部12から容易に引き抜くことができる。また、保持部12からホイールナットHNを引き抜くだけで即座にホイールナットHNを手にすることができ、手にしたホイールナットHNを持ち替えることなくハブボルトにセットすることもできる。
【0032】
基部11には、周方向に隣合う保持部12と保持部12の間に、収容部13が設けられている。収容部13も正五角形の頂点それぞれに位置するように設けられている。収容部13についての説明は後述する。
【0033】
図2は、ホイールナットを外す作業を行っている様子を表した図である。この
図2には、右前タイヤの車両用ホイールWからホイールナットHNをソケットレンチSRを使って取り外す様子が示されている。
図2に示すホイールナットHNは、車両用ホイールWの盗難防止のため専用のソケットでないと嵌合しない構造になっており、作業者Hは、ソケットレンチSRに専用のソケットを付けてホイールナットHNを緩める方向に回す。
【0034】
基部11には、
図1では不図示の磁石14(
図3参照)が内蔵されており、基部11の前面111とは反対側の後面112をその磁石14の磁力によって車体(ボディ)CBに固定することができる。
図2では、
図1に示すホイールナット保持具10が、車体CBの右前フェンダーRFFの作業しやすい高さ位置に、磁力によって取り付けられている。なお、基部11は、車体CBに限らず、例えば、自動車を持ち上げるリフトの金属製部分にも固定することができる。
【0035】
図3は、
図1に示すホイールナット保持具を2つ備えたホイールナット保持具セットを示す図である。
【0036】
図3(a)には、前面111どうしを対向させた2つのホイールナット保持具10が示されている。この
図3(a)では、基部11の後面112の内側に配置された磁石14が点線で示されている。
図3(a)に点線で示す磁石14は、ホイールナット保持具10において車体側になる面(ここでは後面112)と平行になるように配置されている。
【0037】
また、
図3(a)では、基部11に設けられた収容部13も点線で表されている。収容部13は、前面111と後面112をつなぐ貫通孔である。
図3(a)に示すホイールナット保持具セット1では、保持部12が、対向するホイールナット保持具10の収容部13に位置するようにホイールナット保持具10を周方向にずらした状態にある。
【0038】
図3(b)は、同図(a)に示す状態のホイールナット保持具を互いに接近させ前面111どうしを接触させた状態を示す図である。
【0039】
収容部13は、他方のホイールナット保持具10の保持部12を収容するものである。
図3(b)では、保持部12全体が収容部13に完全に収容されている。この結果、
図3(b)に示すホイールナット保持具セット1は、厚みが抑えられて嵩張らず、持ち運びしやすい。
【0040】
なお、収容部13は、後面112まで貫通せずに有底の凹部であってもよいが、凹部であると、ゴミ等が溜まる恐れがあり、貫通孔の方がゴミ等が抜け出やすく好ましい。
【0041】
また、
図3(b)に示す状態では、いずれか一方の後面112を上記リフトの金属部分等に載置すると、ホイールナット保持具セット1はその一方の後面112側の磁石14の磁力によって固定される。また、他方の後面112の上に金属製の工具等を載せることができ、その他方の後面112側の磁石14の磁力によって金属製の工具は保持される。
【0042】
図4は、第2実施形態のホイールナット保持具を示す図である。以下の説明では、これまで説明した構成要素と同じ名称の構成要素には、これまで使用した符号と同じ符号を付して説明する。
【0043】
第2実施形態のホイールナット保持具10には、基部11の右端部分に、専用ソケットESを収納するソケット収納部15が設けられている。上述したように、ホイールナットの中には、車両用ホイールの盗難防止のため専用ソケットESでないと嵌合しない構造になっているものもあり、ソケットレンチに専用ソケットESを付けてホイールナットに嵌合させる。専用ソケットESを紛失してしまうと、車両用ホイールの脱着ができなくなってしまうが、ソケット収納部15があれば、専用ソケットESを紛失しにくくなり好ましい。
【0044】
また、
図1に示すホイールナット保持具は、車両用ホイール1個分のホイールナットを保持するものであったが、第2実施形態のホイールナット保持具10は、車一台分のホイールナットを保持するものである。すなわち、20本の保持部12が備えられている。縦一列ごとに車両用ホイール1個分のホイールナットを保持する。基部11の前面111には、左前用の車両用ホイールのホイールナットを保持する列であることを示す「左前」の表示が記されており、同様に「右前」、「左後」、「右後」の表示も記されている。これらの表示は、車両用ホイールごとに異なるホイールナット(例えば、色違いやサイズ違い等)を使用する場合等にホイールナットが混じらずに便利である。
【0045】
第2実施形態の保持部12の先端部分は、ホイールナットが傷付くことを抑えるために、縁部12eが面取りされている。
【0046】
さらに、基部11の前面111は、斜め上方を向くように傾斜している。
【0047】
図4(b)は、同図(a)に示す第2実施形態のホイールナット保持具の側面を示す図である。
【0048】
第2実施形態の保持部12は、斜め上方に突出したものであり、
図4では不図示のホイールナットを保持した状態では、ホイールナットが保持部12から滑り落ちてしまうことが防止されている。なお、
図1に示すホイールナット保持具10においても、保持部12を斜め上方に突出したものにしてもよい。
【0049】
基部11は、底面113が脚部になっており、底面113を下にして基部11を地面に載置すれば、ホイールナット保持具10が自立する。
【0050】
また、
図4(b)では、基部11の前面111の内側に配置された磁石14が点線で示されている。
図4(b)に点線で示す磁石14は、保持部12が設けられた面(ここでは前面111)と平行になるように配置されている。保持部12は、磁性体(例えば、鉄)で形成されたものであり、前面111の内側に配置された磁石14によって磁化されている。この結果、鉄製のホイールナットは、磁力によっても保持部12に保持される。
【0051】
なお、
図4(b)に示すように基部11の後面112は垂直面であり、その後面112に磁石14を配置し、後面112を車体CBや上記リフト等の金属面にその磁石14の磁力によって固定することができるようにしてもよい。
【0052】
図4(c)は、第2実施形態のホイールナット保持具の変形例を示す図である。
【0053】
この変形例では、基部11を立てた状態に維持する脚部114を有する。脚部114は、開閉自在なものであり、開いた状態では基部11の後面112を支持するものであり、閉じた状態ではその後面112に沿って収容され、持ち運びの際に邪魔にならない。なお、脚部114は後面112から取り外し可能なものであってもよい。
【0054】
図5は、第3実施形態のホイールナット保持具を示す図である。第3実施形態の説明でも、これまで説明した構成要素と同じ名称の構成要素には、これまで使用した符号と同じ符号を付して説明する。
【0055】
第3実施形態のホイールナット保持具10では、基部11が板状のものになり、その基部11を内部に載置するトレー16を有する。第3実施形態における基部11と保持部12を合わせたものを保持体100と称する。保持体100とトレー16は分離可能である。トレー16を外した保持体100のみでも本発明のホイールナット保持具の一実施形態に相当する。
【0056】
【0057】
図5(a)に示す保持体100は、樹脂の一体成形品である。すなわち、円盤状の基部11と、その基部11から突出した5本の保持部12が樹脂により一体に成形されたものである。保持体100は、樹脂の一体成形品に限らず、樹脂の複数ピース構造であってもよいし、金属と樹脂を組合せた構造のものであってもよい。例えば、樹脂製の基部11に樹脂製の保持部12を差し込んだ構造のものや、金属製の基部11に樹脂製の保持部12を取り付けた構造のものであってもよい。あるいは、保持体100は、全体が金属製のものであってもよい。
【0058】
図5(a)に示す保持部12も、円柱状のものであって先端部分121が突出方向に凸の曲面で形成されている。なお、
図5に示す基部11には、収容部13となる貫通孔は設けられていないが、設けてもよい。
【0059】
図5(b)は、第3実施形態のホイールナット保持具10の正面図である。
【0060】
図5(b)には、トレー16が示されている。このトレー16はマグネットトレーであり、ゴム製の底部161の中に磁石14が配置されている。このため、このトレー16を上記リフトの金属製の架台の上に置くことで、その架台にトレー16が磁力によって固定される。また、円形の下面162と、その下面162の縁から立ち上がり上方に向けて漸次拡がった側壁163とによって形成された収容空間S内に磁性体の物品を収容すれば、磁性体の物品は、その磁石14に引き寄せられ、収容空間S内に保持されやすくなる。
【0061】
円盤状の基部11は、円形の下面162よりも大きく、トレー16の収容空間Sに上方から保持体100を落とし込めば、基部11が側壁163の内周面で受け止められ、
図5(b)に示すようにトレー16の内部に基部11が載置される。なお、基部11よりも下面162の方が大きく、基部11がその下面162に載置されるようにしてもよい。
【0062】
保持部12の突出長(全長)は、側壁163の高さよりも高く、保持部12の先端部分121は、側壁163の上縁163aよりも上方に位置し、保持部12に保持されたホイールナットHN(
図1参照)の上端部も側壁163の上縁163aよりも上方に位置する。こうすることで、保持部12に保持させたホイールナットHNを取りやすくなる。しかも、ホイールナットHNの一部は側壁163で覆われているため、水平方向から足や手が誤って当たっても、側壁163がカバーしてくれるため、保持部12からホイールナットHNが不用意に外れにくくなる。一方、保持部12の先端部分121が、側壁163の上縁163aよりも下方に位置し、保持部12に保持されたホイールナットHNの上端も側壁163の上縁163aよりも下方に位置するようにすれば、手をトレー16の奥まで伸ばさなければホイールナットHNを取れなくなる反面、水平方向から足や手がホイールナットHNに直接当たりにくくなり、保持部12からホイールナットHNがより不用意に外れにくくなる。
【0063】
なお、樹脂の一体成形品である保持体100は、磁石14に引き寄せられることはないが、基部11の裏面に磁性体(例えば、鉄製のプレート等)を貼り付けておけば、保持体100が、収容空間S内で磁力によって保持されやすくなる。
【0064】
また、基部11の外周部に、指を掛けることができる指掛部を設け、側壁163の内周面で受け止められている基部11を持ち上げやすいようにしてもよい。指掛部としては切り欠きであってもよいし、突起であってもよい。
【0065】
本発明は上述の実施の形態や変形例に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、保持部12がホイールナットを保持した状態で前面111側を蓋体で覆うことができるように構成し、ホイールナット保持具10を、作業用の他、保管用としても利用できるようにしてもよい。また、磁石14が、作業場の砂鉄を拾ってしまう場合には、電磁石に代えて磁力のオン/オフを行えるようにしてもよい。
【0066】
なお、以上説明した実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 ホイールナット保持具セット
10 ホイールナット保持具
11 基部
111 前面
112 後面
113 底面
114 脚部
12 保持部
121 先端部分
13 収容部
14 磁石
15 ソケット収納部
16 トレー
121 先端部分
HN ホイールナット
ES 専用ソケット