(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034980
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】メタルバイブレーション
(51)【国際特許分類】
A01K 85/14 20060101AFI20240306BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A01K85/14
A01K85/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139596
(22)【出願日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】517058727
【氏名又は名称】Bottomup株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133547
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 基文
(72)【発明者】
【氏名】若松 知幸
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307AA01
2B307BA42
2B307BA44
2B307BA45
2B307BA70
2B307BB03
(57)【要約】
【課題】シミーフォールして、活性が低い、やる気のないブラックバスを衝動食いへとかき立てられるメタルバイブレーションを提供する。
【解決手段】ルアー本体2の腹部に配した錘3に、錘3と一体になって背側に向かってくぼみを形づくる抵抗受け止め部材4を取り付けて、抵抗受け止め部材4が水面側に向かう水の抵抗を受け止めることで、水中を沈んでいくときにもルアーが左右に揺れるようにして、メタルバイブレーション1をシミーフォールさせる。抵抗受け止め部材4を錘3よりも軽い素材にして、錘3に抵抗受け止め部材4を取り付けても、ルアー本体2が左右に倒れやすいように設計されている、ルアーの重心が下がり過ぎないようにする。また、抵抗受け止め部材4を透明にして、抵抗受け止め部材4を目立たなくして、見た目では従来のメタルバイブレーションと変わらない印象にする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のルアー本体と、ルアー本体が水中を沈んでいくときに水底側となるルアー本体の腹部に錘(おもり)を配してなるメタルバイブレーションにおいて、
前記錘と一体になって、腹部の側(がわ)とは反対の背側に向かってくぼみを形づくる抵抗受け止め部材を備えることを特徴とするメタルバイブレーション。
【請求項2】
前記抵抗受け止め部材が、錘よりも軽い素材からなることを特徴とする請求項1に記載のメタルバイブレーション。
【請求項3】
前記抵抗受け止め部材が、樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載のメタルバイブレーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バス釣りに使う擬餌鉤(ぎじばり)(以下、ルアーという。)の一つの種類であるメタルバイブレーション(メタルバイブともいう。)に関し、特に水中を沈んでいくときにもルアーが左右に揺れて、業界用語ではシミーフォールして、ブラックバスを衝動食いへとかき立てられるメタルバイブレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
メタルバイブレーションとしては、ルアー本体のステンレスの板に、2か所以上の孔(あな)を開けて、振動時に水を押さない面を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このメタルバイブレーションでは、水を押す面と押さない面を設けることで、振動によって発生する波動を複雑にして、従来のメタルバイブレーションよりも複雑な波動を発生させられるようになっている。
【0003】
メタルバイブレーションではないものの、背部とは反対側へ凸となるようした腹部に、水平方向へ広がる羽根部を備えて、安定してゆっくりと意図する場所に向かって沈ませられるスプーン型ルアーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このスプーン型ルアーでは、ルアーが水中を沈んでいくときに、羽根部が水面側へ向かう水流を受けて、左右に揺れながら安定して真下に沈んでいくようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3193079号公報(段落0007、
図1)
【特許文献2】実用新案登録第3191129号公報(段落0009,0024、
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に係るメタルバイブレーションでは、ルアー本体に2か所以上の孔が開けられているために、水流を逃がし過ぎて水の抵抗が小さくなって、ルアーが振動しにくくなってしまう。
【0006】
特に、ルアーが水中を沈んでいくときには、前記特許文献1に係るメタルバイブレーションでは、ルアー本体に2か所以上の孔が開けられていて水の抵抗が小さい上に、ルアー本体の進む向きから見て前の部分、魚で例えると頭の部分に、大きな錘(おもり)が取り付けられていることもあって、頭を下にして振動することなく沈んでしまう。
【0007】
そこで、前記特許文献1に係るメタルバイブレーションは、既存のメタルバイブレーションと同じように、ルアーを引き上げるときにしか振動しないものである。
【0008】
前記特許文献2に係るスプーン型ルアーでは、腹部に水平方向へ広がる羽根部を備えているために、ルアーの形が魚の形とは大きく異なってしまう。また、前記特許文献2に係るスプーン型ルアーでは、羽根部が水流を受けて左右に揺れながら沈んでいくようになっているところ、この動きも魚の動きとは大きく異なってしまう。このように、前記特許文献2に係るスプーン型ルアーでは、ルアーの形が魚の形とは大きく異なり、ルアーの動きも魚の動きとは大きく異なるために、目新しい形や動きのルアーに抵抗がある釣り人には受け入れられにくい。
【0009】
そこで、この発明では、前記した課題を解決し、水中を沈んでいくときにもルアーが左右に揺れて、業界用語ではシミーフォールして、ブラックバスを衝動食いへとかき立てられるメタルバイブレーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、板状のルアー本体と、そのルアー本体が水中を沈んでいくときに水底側となるルアー本体の腹部に錘を配してなるメタルバイブレーションについて、ルアー本体の腹部に配した錘に、錘と一体になって、腹部の側(がわ)とは反対の背側に向かってくぼみを形づくる抵抗受け止め部材を取り付けた。
【0011】
請求項2に係る発明では、抵抗受け止め部材を錘よりも軽い素材にした。
【0012】
請求項3に係る発明では、抵抗受け止め部材を樹脂製にした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、ルアー本体の腹部に配した錘に、ルアー本体の腹部に配した錘と一体になって、腹部の側とは反対の背側に向かってくぼみを形づくる抵抗受け止め部材を取り付けたので、この抵抗受け止め部材によって、ルアーが水中を沈んでいくときの水面側に向かう水の抵抗を受け止めることができる。そして、請求項1に係る発明によれば、抵抗受け止め部材が水の抵抗を受け止めきれなくなるとルアー本体を倒す力が生じるために、このルアー本体を倒す力とルアー本体を起こす力が押し合って、ルアー本体が繰り返し左右に倒れてルアーを左右に揺らすことができる。そこで、請求項1に係る発明によれば、水中を沈んでいくときにもルアーが左右に揺れて、業界用語ではシミーフォールして、ブラックバスを衝動食いへとかき立てることができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、抵抗受け止め部材を錘よりも軽い素材にしたので、錘に抵抗受け止め部材を取り付けても、ルアー本体が左右に倒れやすいように設計されている、ルアーの重心が下がり過ぎないようにできる。そこで、請求項2に係る発明によれば、錘に抵抗受け止め部材を取り付けても、はっきりとシミーフォールさせることができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材を樹脂製にしたので、抵抗受け止め部材を鉛やタングステンなどの錘よりも極端に軽くできる。そのため、請求項3に係る発明によれば、錘に抵抗受け止め部材を取り付けても、ルアー本体が左右に倒れやすいように設計されている、ルアーの重心が下がりにくくい。そこで、請求項3に係る発明によれば、錘に抵抗受け止め部材を取り付けても、よりはっきりとシミーフォールさせることができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材を望みの形状に成型しやすい樹脂製にしたので、アルミニウムなどの金属製に比べて、抵抗受け止め部材を望みの形状に成型しやすい。そのため、請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材を左右均等な形にできるために、抵抗受け止め部材が受け止める水の抵抗を、左右で差がないようできる。そこで、請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材の精度を高めて、よりはっきりとシミーフォールさせることもできる。
【0017】
さらに、請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材を樹脂製にしたので、アルミニウムなどの金属製に比べて、抵抗受け止め部材を硬くできる。そのため、請求項3に係る発明によれば、ルアーを繰り返し使っても、抵抗受け止め部材が変形しにくい。そこで、請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材の耐久性を高めて、何度でもシミーフォールさせることもできる。
【0018】
加えて、請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材を樹脂製にしたので、抵抗受け止め部材を透明にしたり、着色したりすることができる。そこで、請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材を透明にすれば、抵抗受け止め部材を目立たなくでき、見た目では従来のメタルバイブレーションと変わらない印象にできる。また、請求項3に係る発明によれば、抵抗受け止め部材に着色すれば、錘との一体感を持たせて、錘に抵抗受け止め部材を取り付けたことへの違和感を与えにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るメタルバイブレーションの分解斜視図である。
【
図2】(a)は、実施形態に係るメタルバイブレーションのセッティングした状態の側面図であり、(b)は、実施形態に係るメタルバイブレーションの腹部の側から見た図である。
【
図3】実施形態に係るメタルバイブレーションがシミーフォールする仕組みを示す説明図である。(a)は、入水(にゅうすい)直後の姿勢の説明図であり、(b)は、メタルバイブレーションが倒れる仕組みの説明図である。(c)は、メタルバイブレーションが倒れても起き上がる仕組みの説明図であり、(d)は、メタルバイブレーションが倒れていた側と反対側に倒れる仕組みの説明図である。(e)は、メタルバイブレーションが反対側に倒れても起き上がる仕組みの説明図であり、(f)は、メタルバイブレーションが繰り返し左右に倒れる仕組みの説明図である。
【
図4】実施形態に係るメタルバイブレーションが水中を沈んでいくときの挙動を示す説明図である。(a)は、入水直後の動きの説明図であり、(b)は、腹を見せて倒れる動きの説明図である。(c)は、背を見せて倒れる動きの説明図であり、(d)は、繰り返し腹を見せて倒れる動きの説明図である。
【
図5】(a)は、他の実施形態に係るメタルバイブレーションの側面図であり、(b)は、他の実施形態に係るメタルバイブレーションの腹部の側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、この発明の創作の基礎となる事項について簡単に説明する。出願人は、バス釣りの業界でプロの釣り師(プロアングラーともいう。)として活躍している川村光大郎が、本当に使いたいルアーを作るために独立し、2016年(平成28年)12月に創業した釣り具メーカーである。そして、出願人は、ブラックバスを対象にしたルアーや、バス釣り専用バッグなどのバス釣り関連製品の開発を行っている。
【0021】
出願人は、「BOTTOMUP(登録商標第5935655号)の製品を通して、ブラックバスがもっと釣れるようになること。そして、一人でも多くの人にバス釣りの魅力を知っていただけたら」との思いから、とにかくよく釣れるルアーを生み出すことで、“釣れる楽しさ”を提供したいと考えている。
【0022】
出願人は、先の発明(特許第7082779号)では、魚体を左右に振る魚の動きを再現し、魚体を左右に振る動きに合わせてスカートが揺らめくスピナーベイト(製品名「Beeble(ビーブル)」を開発した。このスピナーベイトは、雑誌「ルアーマガジン」(内外出版社)の読者投票企画「タックル・オブ・ザ・イヤー」で、2019年に一番人気だったバス釣りの新作ルアーに選ばれるなど、多くの釣り人(アングラーともいう。)に支持されている。そして、今回の発明も、水中での動きのテストを重ね、「作るならこれまでにないもの。バスがちゃんと釣れるもの」という、出願人の強いこだわりと信念から創作されたものである。
【0023】
発明者は、川村光大郎を支える技術スタッフであり、プロアングラー川村光大郎が求める最高のルアーを作り出すことを目標にしている。発明者は、意図するルアーの動きを再現することを得意にしていて、ブラックバスの活性が低いときでも、“釣れる楽しさ”を提供したいというプロアングラー川村光大郎の思いを実現するために、衝動食い(反射食いや、リアクションバイトともいう。)させられるメタルバイブレーションの開発に取り組んできた。
【0024】
ここでバス釣りの近況を説明すると、近年のアウトドアブームに加え、コロナ禍で密を避けられるレジャーとしても、バス釣りブームが再来している。そこで、プロアングラー川村光大郎は、バス釣りブームを一過性のものとしないためにも、ブラックバスの活性が高くてよく釣れるときだけでなく、例えば、冬場の低水温の時期や、放射冷却で水温が急激に下がった日や大雨で濁りのある日など、食い気がなく、エサを追わないようなブラックバスの活性が低いときにでも、“釣れる楽しさ”を提供しなくてはならないと考えたのである。
【0025】
発明者は、日頃から活性が低い、やる気のないブラックバスが衝動食いする要素について考えていたところ、川村光大郎の「上から落ちてくるものに反射的に食い付く」との話を聞いて心にとめた。
【0026】
また、発明者は、メタルバイブレーションは釣りざおを縦方向にしゃくり上げてルアーを跳ね上げさせたとき(リフトともいう。)に小刻みに振動して魚を誘うものと考えられているところ、バイトチャンス(バイトとは、アタリのことで、魚が餌やルアーなどに食い付いたときにうきや釣り糸などが動くなどの、手に伝わってくる感触のこと。)を多く演出するには、ルアーが水中を沈んでいくときにも、ルアーを動かしたいと考えた。
【0027】
こうして、発明者は、プロアングラー川村光大郎が求める最高のルアーとして、リフトでは従来のメタルバイブレーションと変わらない初動の機敏さを有しつつ、ルアーが水中を沈んでいくときにも動いて魚を誘えるメタルバイブレーションを作り出すことになった。
【0028】
そして、発明者は、ルアーが水中を沈んでいくときに、起き上がり小法師(おきあがりこぼし)のように倒れても起き上がって元の姿勢に戻るようにできれば、シミーフォールさせられることを見いだし、この発明を創作するに至ったものである。
【0029】
次に、この発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るメタルバイブレーション1の分解斜視図である。
図1に示すように、メタルバイブレーション1は、一般に、板状のルアー本体2と、ルアー本体2と一体になるように取り付けられた錘3を有して構成されている。そして、実施形態に係るメタルバイブレーション1は、錘3に抵抗受け止め部材4を備えるように構成されていて、ここでは枠状の抵抗受け止め部材4を、ルアーが水中を沈んでいくときに水底側になる方向から錘3にかぶせて、抵抗受け止め部材4が錘3と一体になるように構成されている。
【0030】
ルアー本体2は、薄い板であり、ここでは金属製で魚のような形をしていて、ぴかぴか、てかてかしたホログラムが施されている。魚のような形をしたルアー本体2は、背の部分に釣り糸を結ぶための孔(ラインアイ21という。)が設けられていて、腹の部分と尾の部分に釣り針を取り付けるための孔(フックアイ22,22という。)が設けられている。
【0031】
錘3は、ルアーを沈めるために付ける重しで、ここでは鉛のかたまりである。錘3は、魚のような形をしたルアー本体2の腹部に、ここではルアー本体2の頭部から腹部にかけて、腹部を厚くしてルアー本体2と一体になるように取り付けられていて、水中を沈んでいくときにもルアーが左右に揺れやすいように、重心がルアー本体2のエラの位置(頭部と胴体のつなぎ目の位置で、
図1において縦線が混みあっている部分)になるように設計されている。
【0032】
抵抗受け止め部材4は、錘3と一体になることで、ルアーが水中を沈んでいくときに水面側に向かう水の抵抗を受け止める部材であり、水の抵抗を受け止めやすいように、錘3と一体になって、ルアー本体2の背側に向かってくぼみを形づくるようになっている。また、抵抗受け止め部材4は、錘3よりも軽い素材でできていて、ここでは樹脂製、より具体的には透明なアクリロニトリルとブタジエンとスチレンを共重合させた熱可塑性樹脂(ABS樹脂ともいう。)でできいていて、出願人によってABSレシーバーと名前が付けられている。
【0033】
図2の(a)は、実施形態に係るメタルバイブレーションのセッティングした状態の側面図である。
図2に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1は、ルアー本体2と、錘3と、抵抗受け止め部材4を有して構成されている。そして、実施形態に係るメタルバイブレーション1は、ラインアイ21にスナップSを介して釣り糸を結び付けて、フックアイ22,22に釣り針H,Hを取り付けて使用されるものである。
【0034】
図2の(b)は、実施形態に係るメタルバイブレーションの腹部の側から見た図である。
図2の(b)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1は、抵抗受け止め部材4が錘3と一体になって、ルアー本体2の背側に向かってくぼみを形づくっている。
【0035】
このように構成されるメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4が錘3と一体になって、ルアー本体2の背側に向かってくぼみを形づくっているために、このくぼみによって、ルアーが水中を沈んでいくときに受ける水面側に向かう水の抵抗を受け止められる。
【0036】
また、このように構成されるメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4が錘3よりも軽い樹脂製であるために、錘3に抵抗受け止め部材4を取り付けても、ルアー本体2が左右に倒れやすいように設計されている、ルアーの重心があまり下がらない。
【0037】
さらに、このように構成されるメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4が望みの形状に成型しやすく、硬い樹脂製であるために、抵抗受け止め部材4を左右均等な形にでき、変形もしにくい。
【0038】
加えて、このように構成されるメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4が透明であるために、抵抗受け止め部材4が目立たなくなって、見た目では従来のメタルバイブレーションと変わらない印象になる。
【0039】
図3は、実施形態に係るメタルバイブレーション1がシミーフォールする仕組みを示す説明図であり、
図3の(a)は、入水直後の姿勢の説明図である。
図3の(a)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、錘3が魚のような形をしたルアー本体2の頭部から腹部にかけて、腹部を厚くして取り付けられているために、頭を下げて尾を上げた前傾姿勢で、腹部を水底側にして沈み始める。
【0040】
図3の(b)は、メタルバイブレーション1が倒れる仕組みの説明図である。
図3の(b)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4が錘3と一体になって、ルアー本体2の背側に向かってくぼみを形づくっているために、抵抗受け止め部材4によって、破線の矢印で示すルアーが水中を沈んでいくときの水面側に向かう水の抵抗を受け止められる。そして、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4が水の抵抗を受け止めきれなくなると、左右のバランスが崩れてルアー本体2を左右のどちらかに倒す力が生じ、ここでは矢印で示すようにルアー本体2が左に倒れ始める。
【0041】
図3の(c)は、メタルバイブレーション1が倒れても起き上がる仕組みの説明図である。
図3の(c)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアー本体2が左に倒れ始めると、破線の矢印で示すルアー本体2の左面が受ける水面側に向かう水の抵抗(起こす力ともいう。)が大きくなる。そして、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアー本体2がある程度まで倒れると、起こす力が倒す力を上回って、矢印で示すようにルアー本体2が起き上がり始める。
【0042】
図3の(d)は、メタルバイブレーション1が倒れていた側と反対側に倒れる仕組みの説明図である。
図3(d)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアー本体2が起き上がった勢いで倒れていた側と反対側に、ここでは右に倒れ始める。ここで、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4が錘3と一体になって、ルアー本体2の背側に向かってくぼみを形づくっているために、ルアー本体2が右に倒れ始めると、抵抗受け止め部材4の左側に水面側に向かう水の抵抗が集中する。そのため、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアー本体2が右に倒れ始めると、抵抗受け止め部材4の左側に水面側に向かう水の抵抗が集中して、矢印で示すようにルアー本体2がさらに右に倒れる。
【0043】
図3の(e)は、メタルバイブレーション1が反対側に倒れても起き上がる仕組みの説明図である。
図3の(e)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアー本体2は起き上がった勢いを超えて右に倒れ始めるところ、ルアー本体2がある程度まで倒れると、破線の矢印で示すルアー本体2の右面が受ける水面側に向かう水の抵抗(起こす力ともいう。)が倒す力を上回って、矢印で示すようにルアー本体2が起き上がり始める。
【0044】
図3の(f)は、メタルバイブレーション1が繰り返し左右に倒れる仕組みの説明図である。実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアー本体2を倒す力と起こす力が押し合って、ルアー本体2がひとたび倒れると、起き上がって元の姿勢に戻るだけでなく、倒れていた側の反対側に、起き上がった勢いを超えて倒れるために、繰り返し左右に倒れる。
【0045】
このように、実施形態に係るメタルバイブレーション1は、水中を沈んでいくときにもルアー本体2が繰り返し左右に倒れるために、ルアーが左右に揺れてシミーフォールする。そこで、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、リフトするときだけでなく、ルアーが水中を沈んでいくときにも動いて魚を誘えるために、バイトチャンスを多く演出できる。また、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアーが水中を沈んでいくとき(フォールともいう。)にも動いて魚を誘えるために、ファーストフォールで食い付くこともあり得る。
【0046】
図4は、実施形態に係るメタルバイブレーション1が水中を沈んでいくときの挙動を示す説明図であり、
図4の(a)は、入水直後の動きの説明である。
図4の(a)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、錘3が魚のような形をしたルアー本体2の頭部から腹部にかけて、腹部を厚くして取り付けられているために、頭を下げて尾を上げた前傾姿勢で、腹部を水底側にして沈み始める。
【0047】
図4の(b)は、腹を見せて倒れる動きの説明図である。
図4の(b)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4が水の抵抗を受け止めきれなくなると、左右のバランスが崩れてルアー本体2を倒す力が生じ、腹を見せて倒れる。
【0048】
図4の(c)は、背を見せて倒れる動きの説明図である。
図4の(c)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、腹を見せるまで倒れると、ルアー本体2を起こす力が倒す力を上回って、起き上がってから倒れていた側の反対側に背を見せて倒れる。
【0049】
図4の(d)は、繰り返し腹を見せて倒れる動きの説明図である。
図4の(d)に示すように、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアー本体2を倒す力と起こす力が押し合って、ルアー本体2がひとたび倒れると、起き上がって元の姿勢に戻るだけでなく、倒れていた側の反対側に、起き上がった勢いを超えて倒れるために、繰り返し腹を見せて倒れる。
【0050】
このように、実施形態に係るメタルバイブレーション1は、ルアーが水中を沈んでいくときにも、腹を見せて倒れたり、背を見せて倒れたりを繰り返すために、ルアーが左右に揺れてシミーフォールする。そのため、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアーが水中を沈んでいくときにも、ルアーが左右に揺れて水を押せる。ここで、魚は側線で水中の水圧や水流などの変化を感じ取っているところ、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアーが水中を沈んでいくときにも水を押して魚にアピールできるために、「上から落ちてくるものに反射的に食い付く」という川村光大郎のブラックバス攻略法を実践でき、活性が低い、やる気のないブラックバスに衝動食いをさせられる。
【0051】
実施形態に係るメタルバイブレーション1では、頭を下げて尾を上げた前傾姿勢で、左右に揺れながら水中を沈んでいく挙動になるところ、まるで小魚が川底や湖底(ボトムともいう。)に逃げ込むようで、金属製の薄い板に生命感が吹き込まれて、ブラックバスをさらなる衝動食いへとかき立てられる。
【0052】
また、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、水中を沈んでいくときにもルアーが左右に揺れて、ルアー本体2が太陽光などを反射して光を明滅(フラッシングという。)する。そのため、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアーが水中を沈んでいくときにもフラッシングして、金属製の薄い板に生命感が吹き込まれて集魚できる。
【0053】
さらに、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、左右に揺れながら水中を沈んでいくために、横向きでグライダーのように滑りながら沈むスライドフォールとは異なり、着水地点から大きくずれて沈んでいかない。そのため、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、着水地点の周りに沈んでいき、ルアーを狙った所に沈ませられる。
【0054】
加えて、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアーが頭を下げて尾を上げた前傾姿勢で沈んでいくために、頭を進行方向に対して前にした姿勢が安定する。そのため、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、前後が回転しながら沈んでいくことがない。
【0055】
図5の(a)は、他の実施形態に係るメタルバイブレーションの側面図であり、
図5の(b)は、他の実施形態に係るメタルバイブレーションの腹部の側から見た図である。
図5に示すように、他の実施形態に係るメタルバイブレーション1′は、枠状の抵抗受け止め部材4(
図1参照)に代えて、羽根状の抵抗受け止め部材4′がハの字に取り付けられていて、羽根状の抵抗受け止め部材4′が錘3と一体になって、ルアー本体2の背側に向かってくぼみを形づくっている。そして、他の実施形態に係るメタルバイブレーション1′では、このくぼみによって、ルアーが水中を沈んでいくときに受ける水面側に向かう水の抵抗を受け止められる。
【0056】
このように構成される他の実施形態に係るメタルバイブレーション1′では、枠状の抵抗受け止め部材4(
図1参照)に代えて、羽根状の抵抗受け止め部材4′を取り付けているために、抵抗受け止め部材4′の体積が枠状の抵抗受け止め部材4よりも小さくなる。そのため、他の実施形態に係るメタルバイブレーション1′では、抵抗受け止め部材4′を取り付けた影響をより少なくでき、リフトでは従来のメタルバイブレーションと変わらない初動の機敏さをたもてる。
【0057】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は前記実施形態には限定されない。例えば、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、ルアー本体2を金属製と説明したところ、繊維強化プラスチック(FRPともいう。)でも構わない。
【0058】
また、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、錘3を鉛と説明したところ、粉末状のタングステンをナイロンで成型した樹脂タングステンでも構わない。
【0059】
さらに、実施形態に係るメタルバイブレーション1では、抵抗受け止め部材4を樹脂製と説明したところ、硬質シリコンや硬質ゴムでも構わない。ここで、抵抗受け止め部材4をABS樹脂製から硬質シリコンや硬質ゴムに代えると、ルアーが水底に当たったり、針がルアーに当たったりしても、音をさせなくできる。
【符号の説明】
【0060】
1 メタルバイブレーション
2 ルアー本体
3 錘
4 抵抗受け止め部材