IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大平電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電力変換装置 図1
  • 特開-電力変換装置 図2
  • 特開-電力変換装置 図3
  • 特開-電力変換装置 図4
  • 特開-電力変換装置 図5
  • 特開-電力変換装置 図6
  • 特開-電力変換装置 図7
  • 特開-電力変換装置 図8
  • 特開-電力変換装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034986
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240306BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M7/48 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022147432
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】592091057
【氏名又は名称】大平電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匡
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA11
5H770DA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770DA44
5H770EA01
5H770GA13
5H770JA03X
(57)【要約】
【課題】単相または3相交流インバータに中性線を作る。
【解決手段】第1と第2の直流電源からなる直列回路と、それに並列接続された第1と第2のスイッチ素子からなる直列回路と、第1と第2の直流電源の接続点と第1と第2のスイッチ素子の接続点の間に接続された第1の双方向スイッチ回路と、第1と第2の直流電源の接続点と第1と第2のスイッチ素子の接続点の間に接続された第1のコンデンサと、第1のコンデンサの第1と第2のスイッチ素子の接続点側の端子に直列に挿入された第1のリアクトルと、第1のコンデンサに並列に接続された第1の負荷と、第1と第2のスイッチ素子と第1の双方向スイッチ素子の各々の制御電極に所定の周期と位相とパルス幅を持った信号を印加する信号源からなり、第1と第2の直流電源の電力を交流電力に変換して第1の負荷に供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直流電源と第2の直流電源からなる直列回路と前記第1の直流電源と前記第2の直流電源からなる直列回路に並列に接続された第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子からなる直列回路と前記第1の直流電源と前記第2の直流電源の接続点と前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子の接続点の間に接続された第1の双方向スイッチ回路と前記第1の直流電源と前記第2の直流電源の接続点と前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子の接続点の間に接続された第1のコンデンサと前記第1のコンデンサの前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子の接続点側の端子に直列に挿入された第1のリアクトルと前記第1のコンデンサに並列に接続された第1の負荷と前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子と前記第1の双方向スイッチ回路の各々の制御電極に所定の周期と位相とパルス幅を持った駆動信号を印加する第1の信号源からなり、これによって前記第1の直流電源と前記第2の直流電源の電力を交流電力に変換して前記第1の負荷に供給することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記第1の信号源が第1の交流電圧と前記第1の交流電圧の正の半波に相当する期間だけパルスを出力する第1の信号と前記第1の交流電圧の負の半波に相当する期間だけパルスを出力する第2の信号と前記第1の交流電圧の振幅に比例するデューティ比のパルスを出力する第3の信号と前記第3の信号の相補信号を出力する第4の信号を備え、前記第1のスイッチ素子の制御電極に前記第1の信号と前記第3の信号のAND信号を印加し、前記第2のスイッチ素子の制御電極に前記第2の信号と前記第3の信号のAND信号を印加し、前記第1の双方向スイッチ回路の制御電極に前記第4の信号を印加した請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
請求項2記載の電力変換装置において、前記第1の直流電源と前記第2の直流電源からなる直列回路に並列に第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子からなる直列回路を接続し前記第1の直流電源と前記第2の直流電源の接続点と前記第3のスイッチ素子と前記第4のスイッチ素子の接続点の間に第2の双方向スイッチ回路を接続し前記第1の直流電源と前記第2の直流電源の接続点と前記第3のスイッチ素子と前記第4のスイッチ素子の接続点の間に第2のコンデンサを接続し前記第2のコンデンサの前記第3のスイッチ素子と前記第4のスイッチ素子の接続点側の端子に第2のリアクトルを直列に挿入し前記第2のコンデンサに並列に第2の負荷を接続し前記第1のコンデンサの前記第1のリアクトル側の端子と前記第2のコンデンサの前記第2のリアクトル側の端子の間に第3の負荷を接続し前記第3ないし第4のスイッチ素子と前記第2の双方向スイッチ回路の各々の制御電極に所定の周期と位相とパルス幅を持った駆動信号を印加する第2の信号源を加え、これによって前記第1の直流電源の電力と前記第2の直流電源の電力を交流電力に変換して前記第1ないし第3の負荷に供給することを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
前記第2の信号源が第2の交流電圧と前記第2の交流電圧の正の半波に相当する期間だけパルスを出力する第5の信号と前記第2の交流電圧の負の半波に相当する期間だけパルスを出力する第6の信号と前記第2の交流電圧の振幅に比例するデューティ比のパルスを出力する第7の信号と前記第7の信号の相補信号を出力する第8の信号を備え、前記第3のスイッチ素子の制御電極に前記第5の信号と前記第7の信号のAND信号を印加し、前記第4のスイッチ素子の制御電極に前記第6の信号と前記第7の信号のAND信号を印加し、前記第2の双方向スイッチ回路の制御電極に前記第8の信号を印加した請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1の交流電圧と前記第2の交流電圧の周期を等しくかつ互いに180°の位相差を保つように設定し、これにより前記第1ないし第3の負荷に単相3線式交流電圧を供給する請求項4記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1の交流電圧と前記第2の交流電圧の周期を等しくかつ互いに60°の位相差を保つように設定し、これにより前記第1ないし第3の負荷に3相交流電圧を供給する請求項4記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1の信号源または前記第2の信号源が前記第1の交流電圧と前記第2の交流電圧の周期を等しくかつ互いに0°から180°までの任意の位相差を保つように設定できる制御機能を備え、これによって前記第3の負荷に供給される交流電圧を0から前記第1の負荷または前記第2の負荷に供給される交流電圧の2倍の値まで変化させることができる請求項4記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源の電力を交流電力に変換できる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光や風力を利用して発電し、その電力を交流電力に変換して一般家庭または工場に安定して供給する交流インバータの需要が高まっている。
家庭の交流電力は単相3線式と呼ばれるL1とNとL2の3線によって供給され、配電盤を介して、L1とN間から100V、NとL2間から100V、L1とL2間から200Vを取り出すことができる。Nは中性線と呼ばれ接地されている。
家庭に供給されている交流電源と同等の交流電源を作るためには中性線と呼ばれるNを交流インバータに設ける必要がある。
【0003】
国内の工場で使用されているデルタ結線の3相交流電源は通称R、S、Tと呼ばれる3本の線で供給されている。通常はSが接地されている。工場に供給されている3相交流電源と同等の交流電源を作るためには接地できる中性線が必要である。
【0004】
特許文献1には中性線Nを備えた単相3線式に対応できる交流インバータの回路が開示されている。開示されている回路によれば直列に接続された2つのコンデンサとそれら2つのコンデンサの電圧のバランスを保つ回路とインバータ回路からなり、インバータの1つの出力端子と2つのコンデンサの中点の間に交流電圧を発生させ、インバータの別の出力端子と2つのコンデンサの中点の間に別の交流電圧を発生させ、2つのコンデンサの中点を中性線Nとして単相3線式の交流電源を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-58091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に実施形態の一例として示されている回路の中から上述の2つのコンデンサとインバータ回路の部分を抜き出して図9に示した。部品や回路ブロックの符号はそのまま用いている。
【0007】
図9において、C1とC2が上述の2つのコンデンサに相当し、26がインバータ回路に相当する。尚、特許文献1の段落[0024]には「インバータ回路26は、自立運転時(単相3線出力時)に直流電力をN相である中性線28、・・・」と記載されているので自立運転時にもL1-N間に100V、N-L2間に100V、L1-L2間に200Vの交流電圧を得ることを想定している。
【0008】
しかし、系統連系時はL1相とL2相にはほぼ同じ電流が流れ、リアクトルL3とL4の励磁エネルギの蓄積と放出は交流の半サイクル毎に完結するが、自立運転時はL1相とL2相の電流が同じとは限らないので、リアクトルL3とL4の励磁エネルギも互いに異なり、そのためにL1相L2相共に交流の正弦波の形状を保てなくなる。
【0009】
そこで本発明は、単相2線式交流インバータの一方の線を中性線として扱うことができる回路を提供することを目的としている。
【0010】
本発明は、中性線Nを備えた単相2線式交流インバータの回路を応用した単相3線式交流インバータの回路を提供することを目的としている。
【0011】
本発明は、中性線Nを備えた単相3線式交流インバータ回路を応用した3相交流インバータ回路を提供することを目的としている。
【0012】
本発明は任意の交流電圧を出力できる電圧可変交流インバータの回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために請求項1記載の発明は、第1の直流電源と第2の直流電源からなる直列回路と、それに並列に接続された第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子からなる直列回路と、第1の直流電源と第2の直流電源の接続点と第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子の接続点の間に接続された第1の双方向スイッチ回路と、第1の直流電源と第2の直流電源の接続点と第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子の接続点の間に接続された第1のコンデンサと、第1のコンデンサの第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子の接続点側の端子に直列に挿入された第1のリアクトルと、第1のコンデンサに並列に接続された第1の負荷と、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子と第1の双方向スイッチ回路の各々の制御電極に所定の周期と位相とパルス幅を持った駆動信号を印加する第1の信号源からなり、これによって第1の直流電源と第2の直流電源の電力を交流電力に変換して第1の負荷に供給することを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、第1の信号源が第1の交流電圧と、第1の交流電圧の正の半波に相当する期間だけパルスを出力する第1の信号と、第1の交流電圧の負の半波に相当する期間だけパルスを出力する第2の信号と、第1の交流電圧の振幅に比例するデューティ比のパルスを出力する第3の信号と、第3の信号の相補信号を出力する第4の信号を備え、第1のスイッチ素子の制御電極に第1の信号と第3の信号のAND信号を印加し、第2のスイッチ素子の制御電極に第2の信号と第3の信号のAND信号を印加し、第1の双方向スイッチ回路の制御電極に第4の信号を印加した請求項1記載の電力変換装置。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電力変換装置において、第1の直流電源と第2の直流電源からなる直列回路に第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子からなる直列回路を接続し、第1の直流電源と第2の直流電源の接続点と第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子の接続点の間に第2の双方向スイッチ回路を接続し、第1の直流電源と第2の直流電源の接続点と第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子の接続点の間に第2のコンデンサを接続し、第2のコンデンサの第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子の接続点側の端子に第2のリアクトルを直列に挿入し、第2のコンデンサに並列に第2の負荷を接続し、第1のコンデンサの第1のリアクトル側端子と第2のコンデンサの第2のリアクトル側端子の間に第3の負荷を接続し、第3ないし第4のスイッチ素子と第2の双方向スイッチ回路の各々の制御電極に所定の周期と位相とパルス幅を持った駆動信号を印加する第2の信号源を加え、これによって第1の直流電源と第2の直流電源の電力を交流電力に変換して第1ないし第3の負荷に供給することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、第2の信号源が第2の交流電圧と、第2の交流電圧の正の半波に相当する期間だけパルスを出力する第5の信号と、第2の交流電圧の負の半波に相当する期間だけパルスを出力する第6の信号と、第2の交流電圧の振幅に比例するデューティ比のパルスを出力する第7の信号と、第7の信号の相補信号を出力する第8の信号を備え、第3のスイッチ素子の制御電極に第5の信号と第7の信号のAND信号を印加し、第4のスイッチ素子の制御電極に第6の信号と第7の信号のAND信号を印加し、第2の双方向スイッチ回路の制御電極に第8の信号を印加した請求項3記載の電力変換装置。
【0017】
請求項5記載の発明は、第1の交流電圧と第2の交流電圧の周期を等しくかつ互いに180°の位相差を保つように設定し、これにより第1~第3の負荷に単相3線式交流電圧を供給する請求項4記載の電力変換装置。
【0018】
請求項6記載の発明は、第1の交流電圧と第2の交流電圧の周期を等しくかつ互いに60°の位相差を保つように設定し、これにより第1~第3の負荷に3相交流電圧を供給する請求項4記載の電力変換装置。
【0019】
請求項7記載の発明は、第1または第2の信号源が第1の交流電圧と第2の交流電圧の周期を等しくかつ互いに0°から180°までの任意の位相差を保つように設定できる制御機能を備え、これによって第3の負荷に供給される電圧を0から第1または第2の負荷に供給される交流電圧の2倍の値まで変化させることができる請求項4記載の電力変換装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、中性線を有する単相2線式交流を容易に作ることができる。
【0021】
本発明によれば、中性線を有する単相3線式交流を容易に作ることができる。
【0022】
本発明によれば、中性線を有するデルタ結線型3相交流を容易に作ることができる。
【0023】
本発明によれば、可変型交流電源を容易に作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例を示す回路図である。
図2】本発明の別の実施例を示す回路図である。
図3】本発明の別の実施例を示す回路図である。
図4】本発明の別の実施例を示す回路図である。
図5】本発明の回路の動作を説明するための波形図である。
図6】本発明の回路の動作を説明するための波形図である。
図7】本発明の回路の動作を説明するための波形図である。
図8】本発明の回路の動作を説明するための波形図である。
図9】従来の回路の1例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を実施するための最良の形態を図を参照して説明する。
【実施例1】
図1は本発明の実施例を示す電力変換装置の回路図である。符号の1と2は直流電源、3と4は各々MOSFETによるスイッチ素子、7と8は双方向スイッチ回路を構成するMOSFET、11はリアクトル、13はコンデンサ、15は負荷、18は信号源である。
【0026】
という信号が出力される。DT1は交流電圧1の振幅に比例したデューティ比のパルスを
波に相当する期間だけハイになるパルスを出力する信号であり、交流1負は負の半波に相当する期間だけハイになるパルスを出力する信号である。
【0027】
交流電圧1の波形と交流1正の波形と交流1負の波形の関係を示す例を図5に示した。
【0028】
【0029】
MOSFET3のゲートにはDT1と交流1正のAND信号が加わり、MOSFET4のゲートにはDT1と交流1負のAND信号が加わる。7と8が構成する双方向スイッチ
【0030】
交流1正の信号がハイのときは、MOSFET3と双方向スイッチ回路が交互にオンオフを繰返し、かつ、DT1が交流電圧1の振幅に比例したデューティ比を持つパルスであるので、出力電圧は交流電圧の正の波形になる。交流1負の信号がハイのときは、MOSFET4と双方向スイッチ回路が交互にオンオフを繰返し、出力電圧は交流電圧の負の波形になる。
【0031】
直流電源1と直流電源2の接続点は電位が安定しており、かつ、コンデンサ13の一方の端子とも共通であり、負荷の一方の端子とも共通である。従って、これを中性線として扱うことが出来、接地することもできる。
【0032】
図1の実施例は中性線を備えた単相2線式交流インバータであるということができる。
【実施例0033】
図2は本発明の別の実施例を示す電力変換装置の回路図である。図1と同じ構成の図3に示した回路を用意し、直流電源1と2と中性線を共有化して結び付け、2つの負荷15と16からなる直列回路両端に新たな負荷17を付けた構成になっている。
【0034】
図中の信号源19の信号の構成は、交流電圧2から作られる交流2正と交流2負とDT
【0035】
図2において、信号源19の交流電圧2が信号源18の交流電圧1に対して位相が180°ずれていれば、負荷16には負荷15と反転した交流電圧が出力され、負荷17の電圧は負荷15と負荷16の電圧の和になる。
【0036】
日本国内の家庭に供給される単相3線式交流電源は、中性線はNと呼ばれ他の2つの出力線はL1とL2と呼ばれているが、線間電圧の式は次のように表すことができる。L1のNに対する電圧は式1で表わすことができる。L2のNに対する電圧は式2で表わすことができる。従ってL1とL2間の電圧は式3で表わすことができる。すなわち、信号源19の交流電圧2の位相を180°ずらすことにより単相3線式交流を作ることができる。図7にL1-N間とL2-N間とL1-L2間の電圧波形を示した。
【式1】
【式2】
【式3】
【0037】
図2において、直流電源1と直流電源2の接続点は電位が安定しており、中性線として扱うことができ、接地することもできる。
【実施例0038】
日本国内の3相交流電源はデルタ結線方式が採用されており、出力を構成する3本の線は通称R、S、Tと呼ばれている。Sは通常接地されている。
【0039】
図2において、信号源19の交流電圧2の位相が60°ずれていれば、中性線をS、他の2つの出力線をRとTとし、RのSに対する電圧を式4で表わすと、TのSに対する電圧は式5で表わすことができ、その逆のSのTに対する電圧V(S-T)は式6で表わすことができる。TのRに対する電圧は式7で表わすことができる。
【式4】
【式5】
【式6】
【式7】
【0040】
すなわち、3つの電圧は実効値が等しく、位相が120°ずつずれている3相交流電圧であると言える。
【0041】
図8にR-S間とS-T間とT-R間の電圧波形を示した。
【実施例0042】
図4は本発明の別の実施例を示す電力変換装置の回路図である。
【0043】
図4において、20は信号源19の交流電圧の位相を制御する回路である。
【0044】
図のL1のNに対する電圧を既述の式1とし、NのL2対する電圧の位相をθとして式8で表わすと、L1-L2間の電圧は途中式を省略するが、式9で表すことができる。
【式8】
【式9】
【0045】
すなわち、L1-L2間の電圧の波高値Vmは式10で表わすことができるので、位相を制御することによって電圧を制御できる。
【式10】
【0046】
図1ないし4において、MOSFET3ないし6はIGBTに置き換えても良い。また、双方向スイッチ回路を構成するMOSFET7ないし10は逆並列ダイオード付きのIGBTに置き換えても良い。
【0047】
図1ないし図4において、双方向スイッチ回路は2つのN型MOSFETが互いのソースを共通にした直列回路を構成している。このような回路構成で2つのゲートに信号を加えると2つのMOSFETを同時にオンオフすることができる。すなわち、2つのゲートに1つの信号を加えることで2つのドレイン間の導通と非導通の制御ができる。
一方、互いのドレインを共通とした直列回路を構成する双方向スイッチ回路の場合は、ソースが直列回路の両端に位置するのでゲート駆動回路が複雑になる。しかし、ドレイン同士が共通になることから双方向スイッチの機能を持つ素子を作ることができるメリットもある。そのような双方向スイッチ素子を双方向スイッチ回路の代りに使うこともでき
る。
【0048】
直流電源1と2を、1つの直流電源とそれに直列接続された2つのコンデンサを並列接続して構成し、2つのコンデンサの接続点を中性線にして、2つのコンデンサの各々を直流電源1と2の代りとしても良い。
【符号の説明】
【0049】
1、2 直流電源
3~10 MOSFET
11、12 リアクトル
13、14 コンデンサ
15、16、17 負荷
18、19 信号源
20 位相制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9