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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034994
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】嚥下鍛錬装置および嚥下鍛錬システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022148591
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】504230246
【氏名又は名称】鈴木 計芳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 計芳
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB06
4C053BB36
4C053JJ01
4C053JJ24
4C053JJ40
(57)【要約】
【課題】 嚥下障害に関して、咀嚼物を飲み込む動作に関与する各種筋肉の機能を回復させることが出来るようにする。
【解決手段】 人体の喉部に触れるベルト1の内側に、導子である帯状の電極2,2をベルト1の長手方向に向けて設け、このベルト1の両端に面ファスナーのオス10と面ファスナーのメス11とを設けて、喉に巻き付けられるようにした。また電極21となる舌圧子12で舌を押え付けられるようにした。そして、低周波パルス発振器の出力部31の一方の出力端を電極2,2に、また他方の出力端を舌圧子12の電極21に電気的に接続した。これにより、舌と喉との両方に電極を接触させて、舌から喉までの間に低周波パルス電流を印加することが出来るようになった。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低周波パルス電流の発生部と、このパルス電流を人体の舌部に印加するための舌用導子と、およびこのパルス電流を人体の喉部に印加するための喉用導子とを備えて、前記舌用導子および喉用導子は各々人体への接触手段を有している、嚥下鍛錬装置。
【請求項2】
周波数の異なる2つのパルス電流の発生部と、各々のパルス電流を人体の舌部に印加するための舌用導子と、および各々のパルス電流を人体の喉部に印加するための喉用導子とを備えて、前記舌用導子および喉用導子は各々人体への接触手段を有している、嚥下鍛錬装置。
【請求項3】
前記喉用導子の人体への接触手段が首の回りを巻くためのベルトである、請求項1または請求項2に記載の嚥下鍛錬装置。
【請求項4】
前記喉用導子の人体への接触手段が首の後ろ側から喉側に前に回すクリップである、請求項1または請求項2に記載の嚥下鍛錬装置。
【請求項5】
前記喉用導子の人体への接触手段が喉の部位に着脱自在となる粘着パッドである、請求項1または請求項2に記載の嚥下鍛錬装置。
【請求項6】
前記喉用導子の人体への接触手段が喉の部位に着脱自在となる吸盤である、請求項1または請求項2に記載の嚥下鍛錬装置。
【請求項7】
前記喉用導子の人体への接触手段が、二股状の持ち手の先に前記喉用導子が設られたものである、請求項1または請求項2に記載の嚥下鍛錬装置。
【請求項8】
前記舌用導子の人体への接触手段が舌圧子である、請求項1または請求項2に記載の嚥下鍛錬装置。
【請求項9】
前記舌用導子の人体への接触手段が舌に触れるための指サックである、請求項1または請求項2に記載の嚥下鍛錬装置。
【請求項10】
前記舌用導子の人体への接触手段が舌に着脱自在となる吸盤である、請求項1または請求項2に記載の嚥下鍛錬装置。
【請求項11】
人体の喉部への接触手段にて喉部に接触させる喉用導子と、舌部への接触手段にて舌部に接触させる舌用導子と、低周波パルス電流の発生部とを備え、この発生部から発生したパルス電流を前記喉用導子と舌用導子とに印加する、嚥下鍛錬システム。
【請求項12】
人体の喉部への接触手段にて喉部に接触させる喉用導子と、舌部への接触手段にて舌部に接触させる舌用導子と、低周波パルス電流の発生部とを、周波数の異なる2つのパルス電流に対応するように備え、この発生部から発生した2つのパルス電流を各々の前記喉用導子と舌用導子とに印加する、嚥下鍛錬システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、口から咽頭に至る部位の筋肉を鍛錬するための、殊に嚥下障害を鍛錬によって克服するための嚥下鍛錬装置、嚥下鍛錬システムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞などの疾病や老化によって嚥下障害などの問題が引き起こされることが知られている。嚥下障害があると唾液や食物や胃液などが気管に入ってしまうことが起こる。就寝中に唾液が知らず知らずに気管に入ることも起こる。これによって誤嚥性肺炎を発病することもあるが、これは高齢者にとっては死に至る可能性が高い恐ろしい病気である。
【0003】
舌の筋肉に付いては舌出しなどの運動によって機能を回復させることが出来るが、咀嚼物を飲み込む動作に関与する各種筋肉に付いては、実際に食事を摂らないことには、物を飲み込む筋力を付けることは出来ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
とは言うものの、嚥下には口腔や咽頭や食道にある多数の神経や筋が連携して働くために、食事が摂れないのに食事を摂らせることはかなり難しいのが現状である。嚥下運動は3期に分けられるが、特に第2期では舌筋や中咽頭筋や下咽頭筋が連携して働いており、これ等の筋肉を実際に動かすことで機能を回復させるしか手がない。この他にも顎二腹筋後腹、顎二腹筋前腹、肩甲舌骨筋、胸鎖乳突筋、鎖骨頭、咬筋、肩甲挙筋、甲状舌骨筋、胸骨甲状筋、斜角筋などの各種筋肉が働いている。
【0005】
従ってこのような問題を解決して、何とか咀嚼物を飲み込む動作に関与する各種筋肉の機能を回復させることは出来ないだろうか、と言うのがこの発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決の先立ち当発明者は、食事をしていない時間であっても、喉部に外部から低周波電流を当てることで、喉の筋肉を収縮させて筋力回復や増強を行うことが出来る技術があったことを想起した。しかしながら低周波電流を喉部の外部から当てるのでは、その周辺にしか低周波電流の作用が及んでいないのではないかと考えた。そしてついに、舌筋から喉の筋肉に掛けて、口の内部の舌を通じて低周波電流を当てることで、これ等の筋肉を収縮させて筋力回復や増強を行うことが出来るのではないか、と言うことに想到したのである。
【0007】
すなわち上記の課題は、低周波パルス電流の発生部と、このパルス電流を人体の舌部に印加するための舌用導子およびこのパルス電流を人体の喉部に印加するための喉用導子を備え、前記喉用導子および舌用導子は各々人体への接触手段を有しているものとすることによって達成される。低周波パルス電流の発生部には一般的なものを使用して良いため、この発明の要部は低周波パルス電流を、舌筋を通じて、喉部に印加するための導子周りの構成にあると言って良い。
【0008】
発生部から発振される低周波パルス電流を導子を介して人体の舌部と喉部との間に印加すると、この低周波パルス電流が、咀嚼物を飲み込む動作に関与する舌部と喉部との間の各種筋肉を収縮させるので、筋肉が鍛錬されてその筋力が増強する。従って実際に食事を摂った時と同じように物を飲み込む筋力を付けることが出来る。ここで特に重要な点は、低周波パルス電流を口内の舌部に印加している点である。この低周波パルス電流の舌部および喉部への印加は、テレビを見たり読書をしたりしている間にも行うことが可能であるし、また家庭のみならず出先での筋肉鍛錬を可能にしている。これは正しくトレーニングであると言うことが出来る。
【0009】
この発明の導子はパルス電流を、舌の筋肉に流すべく舌に接触させるための手段と喉の筋肉に流すべく喉に接触させるための手段とを有していることが特徴である。導子は電極であって、肌にピリピリとした刺激を与えることが少ない、好ましくは導電ポリエステル製のものを使用する。この発明のように、嚥下障害を克服すべく舌の筋肉と喉の筋肉とを鍛錬するための低周波パルスによる鍛錬装置と言うものはこれまでになく、また舌と喉との両方に電極を接触させる機能を有するものもこれまでになかった。嚥下に係る舌および喉の筋肉をトレーニングさせようとするものはこの発明が最初のものである。
【0010】
また上記の課題は、周波数の異なる2つのパルス電流の発生部と、各々のパルス電流を人体の舌部に印加するための舌用導子と、および各々のパルス電流を人体の喉部に印加するための喉用導子とを備え、前記舌用導子および喉用導子は各々人体への接触手段を有していることを特徴とする、嚥下鍛錬装置とすることにより達成される。干渉波を利用する低周波パルス電流の発生部には一般的なものを使用して良いため、この発明の要部は低周波パルス電流を舌部および喉部に印加するための導子周りの構成にあると言うことが出来る。
【0011】
発生部から発振される低周波パルス電流を導子を介して人体の舌部と喉部との間に印加すると、咀嚼物を飲み込む動作に関与する舌部と喉部との間の各種筋肉を収縮させ、筋肉を鍛錬して筋力を増強させようと言う点については、上述した請求項1の発明と同じであるが、さらに喉部の深度の大きな筋肉の部位にパルス電流を印加しようと言うのが、この請求項2の発明である。すなわち周波数の異なる2つの低周波パルス発振器(発生部)を用意して、ターゲットとなる喉の筋肉中に二対の導子から2つの低周波パルス電流を交差させて加えて相互干渉を起こさせることにより、喉の筋肉中に干渉波の低周波刺激を与えるようにするのである。舌部に付いても基本的には同様であるが、舌部のサイズからして二対の導子の距離は近くなる。
【0012】
これ等二対の導子は、上述したように身体に接触させるための手段を有していることが特徴である。導子は電極であって、肌にピリピリとした刺激を与えることの少ないものを用いるようにする。好適な例として導電ポリエステル製のものを上げる。この発明のように嚥下障害を克服すべく舌から喉の筋肉を鍛錬するための干渉波の低周波刺激による鍛錬装置と言うものはこれまでになく、また舌や喉に二対の電極を接触させる機能を有するものもこれまでになかった。嚥下に係る舌や喉の筋肉のトレーニングが出来るのはこの発明ならではである。
【0013】
さてこの発明では、前記喉に接触させるための手段が、前記導子を喉の筋肉の部位に位置させて首の回りを巻くためのベルトであるものとすることが出来る。導子が喉の部位に当たるようにしてベルトを首の回りに巻くようにするのである。これにより導子を容易にかつ確実に喉の部位に接触させ得る。なお、導子をベルトに対して首周りの方向に移動させることを調節可能に設けるようにすると、大人から子供まで、首の筋肉の位置に応じて導子の位置を微調節させることが出来るようになる。ベルトにはバックルや面ファスナーなどの止め具を取り付けておく。
【0014】
またこの発明では、前記喉に接触させるための手段が、前記導子を喉の筋肉の部位に位置させて首の後ろ側から喉側に前に回すクリップであるものとし得る。クリップ(ネックバンド)を首の後ろ側から前側に向けて掛けるようにすると、クリップに設けた導子が喉の筋肉がある喉の部位の皮膚に接触して固定される。クリップによれば喉への着脱が容易であると言う利点がある。
【0015】
またこの発明では、前記喉に接触させるための手段が、前記導子を喉の部位に位置させて喉の部位に着脱自在となる粘着パッドであるものとすることが出来る。前記導子が粘着パッドと言う顎に触れる面の特殊な構造によって、喉の筋肉がある喉の部位の皮膚に吸着することが出来るようになったのである。粘着パッドは皮膚に対して着脱自在である。
【0016】
またこの発明では、前記喉に接触させるための手段が、前記導子を喉の部位に位置させて喉の部位に着脱自在となる吸盤であるものとすることが出来る。吸盤と言う喉に触れる面の特殊な構造により、前記導子が喉の皮膚に吸着することが出来る。吸盤は皮膚に対して着脱が自在なものである。
【0017】
またこの発明では、前記喉に接触させるための手段が、前記導子を喉の部位に位置させる二股状の持ち手であってその先に前記導子が設られた、前記導子が喉の部位に着離自在であるものとすることが出来る。二股状の持ち手を手に持って、二股状の左右の先に設けられた左右の導子を喉の筋肉がある喉の部位の皮膚に押し当てるようにして用いる。その力加減や左右の導子を押し当てる位置は、これを持つ手で自在に調節することが可能である。なお前記導子をコロとして構成すれば、喉の筋肉に沿って導子を転がし接触させることが出来、よりトレーニングらしく感じられるものとなる。
【0018】
次にこの発明では、前記舌用導子の人体への接触手段が舌圧子であるものとすることが出来る。舌圧子は圧舌子とも呼称され、口や喉を検査するに際して舌を押さえておくために使用される道具である。一般的には殺菌消毒を管理しつつ使用するステンレス製になるものが使用されているため、この発明でもこれまたはこれに類するものを使用して良い。或いは使い捨ての木製のものに導子を設けたものとしても良い。舌を押さえる道具である点で、舌圧子は上記接触手段として好適である。
【0019】
またこの発明では、前記舌用導子の人体への接触手段が舌に触れるための指サックであるものとすることが出来る。指サックに上記導子を設けておき、指先に装着して、導子が舌先に接触するようにして用いるのである。
【0020】
またこの発明では、前記舌用導子の人体への接触手段が舌に着脱自在となる吸盤であるものとすることが出来る。舌は唾液で濡れているために吸盤が吸着しやすく、また吸盤を外す際には特段の困難はない。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば発生部で発生させた低周波パルス電流を、舌に接触させるための手段を有する導子から舌の筋肉に、また喉に接触させるための手段を有する導子から喉の筋肉に流すようにしたので、咀嚼物を飲み込む動作に関与する各種筋肉の機能をトレーニングとして簡単に回復させることが出来るようになった。舌と喉との両方に電極を接触させて舌と喉との間に低周波パルス電流を印加すると言う、正にこれまでにはない機能の賜物である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1のベルト1を展開した説明図である。
図2】実施例1の舌圧子12の説明図である。
図3】この回路部分の説明図である。
図4】実施例2のクリップ4の説明図である。
図5】実施例2の指サック42の説明図である。
図6】実施例3の粘着パッド5~52の説明図である。
図7】実施例3の舌圧子53の説明図である。
図8】この回路部分の説明図である。
図9】実施例4の吸盤70,71の説明図である。
図10】実施例4の吸盤72の説明図である。
図11】実施例5の説明図である。
図12】実施例6の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0023】
図1乃至図3によりこの実施例を説明する。このものは人体の喉部に触れるベルト1の内側に、導子である2条の帯状の電極2を上下に離してベルト1の長手方向に向けて設けると共に、このベルト1の両端に面ファスナーのオス10とメス11とを設けたものである。ベルト1は皮革製であり、電極2,2は導電ポリエステル製のものとした。なお電極2,2には、図3のブロック図で表す低周波パルス発振器の出力部31の一方の出力端と電気的に接続するための電線20が接続されている。
【0024】
図2は舌圧子12であるが、このものはステンレス製に成り、すなわち舌圧子12自体が電極21であって、低周波パルス発振器の出力部31の他方の出力端と電気的に接続するための電線22が接続されている。
【0025】
その低周波パルス発振器であるが、これを構成する各種電子部品の動作を制御する制御部3と、低周波パルスを発振してその波形を成形する所の発振部波形成形部30と、これを外部の導子(電極2,21)に出力するための出力部31と、制御部3等に電力を供給するための電源部30とから構成されている。従って、出力部31から出力された低周波パルスは電極20および電極22を介して、舌の筋肉と喉の筋肉の間に流される。
【0026】
このため、一方の導子である電極2,2の側が喉部に触れるようにして、ベルト1で首の回りを巻き、面ファスナーのオス10とメス11とで止め合わせるようにすると共に、他方の導子である電極21が舌部に触れるように、舌圧子12で舌部を押え付けるようにして使用するのである。こうして電極2と電極21との間に低周波パルスが発生して舌の筋肉と喉の筋肉の間に直列的に加えられるので、嚥下に係る喉の筋肉がトレーニングされることになる。
【実施例0027】
図4および図5によりこの実施例を説明する。図4は喉に接触させるための手段を人体の喉部に触れる電極23,23を両端に有して、首の後側から前側の喉へと掛けるようにするクリップ4である。このクリップ4はバネで出来ており、両端に喉当て40,41を備えて、喉当て40の内側の電極23と喉当て41の内側の電極23との各々が喉に密着し得るように構成されている。また喉当て40,41は、矢線で表すように、クリップ4上を移動可能に設けられており、喉側に加える低周波パルスの位置の調整が可能であるように構成されている。なお喉当て41側の電極23には電線24が接続されているが、この電線24の一部はクリップ4の内部を通って、喉当て40側の電極23に配線されている。この電線24は図示しない低周波パルス発振器の出力部の一端側の出力端と電気的に接続接続されている。
【0028】
図5はゴム製の指サック42であり、舌部の側に接触させるためのステンレス製の電極25が設けられており、これに図示しない低周波パルス発振器の出力部の他端側の出力端と電気的に接続するための電線26が接続されている。
【0029】
このクリップ4を首の後ろ側から前側に向けて掛けるようにすると、クリップ4の両端部に設けた電極23,23が喉の筋肉がある喉の部位の皮膚に接触して固定される。バネ性を有するクリップ4(ネックバンド)によれば、電極23,23の喉への着脱が容易であると言う利点がある。また指サック42を人差し指などの指にはめて、電極25を舌部に接触させる。こうして低周波パルス発振器をON状態にして、低周波パルス電流が舌の筋肉と喉の筋肉の間に直列的に加えられるように使用する。
【実施例0030】
図6乃至図8によりこの実施例を説明する。このものは人体の喉部に接着する2枚2組計4枚のポリウレタンゲル製の粘着パッド5,50および粘着パッド51,52である。この内の粘着パッド5,50には導電ポリエステル製の電極27,27が取り付けられている。また粘着パッド51,52には導電ポリエステル製の電極28,28が取り付けられている。電極27,27には図8のブロック図で表す低周波パルス発振器の第1出力部61の一端側の出力端と電気的に接続するための電線29,29が、また第2出力部63の一端側の出力端と電気的に接続するための電線200,200が接続されている。
【0031】
図7は舌圧子53であるが、このものは絶縁性のプラスチック製に成り、低周波パルス発振器の第1出力部61の他端側の出力端と電線203を介して電気的に接続された電極201と、低周波パルス発振器の第2出力部63の他端側の出力端と電線204を介して電気的に接続された電極202とを有している。電極201と電極202とは離して設けられている。
【0032】
その低周波パルス発振器はこれを構成する各種電子部品の動作を制御する制御部6と、低周波パルスを発振してその波形を成形する発振部波形成形部60と、これを外部の導子(電極27,201)に出力するための第1出力部61と、発振部波形成形部60の出力を変調する変調部62と、これを外部の導子(電極28,202)に出力するための第2出力部63と、制御部6等々に電力を供給するための電源部64とから構成されている。従って第1出力部61から出力された低周波パルスは電極27を介して喉の筋肉に、また電極201を介して舌部の筋肉に流され、第2出力部63から出力された低周波パルスは電極28を介して喉の筋肉に、また電極206を介して舌部の筋肉に流されて、これ等の筋肉内部で2種の低周波パルスが干渉して新たな干渉波が生成されることになる。
【0033】
喉部側の各々の粘着パッドはポリウレタンゲルであるから、喉に着離自在である。また他方の導子となる電極201,202は、舌圧子53を手に持って舌部押え付けるようにして使用される。而して電極27と電極201との間に第1の低周波パルスが流れ、また電極28と電極202との間に第2の低周波パルスが流れ、2種の周波数の低周波パルスは舌部や喉部の筋肉内部で干渉して新たな干渉波となって、嚥下に係る舌部や喉部の筋肉がトレーニングされるのである。このように2種の周波数の低周波パルス電流を、舌部と喉部との間に流す、と言うものはこれまでにはなかった。
【実施例0034】
図9および図10によりこの実施例を説明する。このものは喉に接触させるための手段として、摘み7で連結した2個の吸盤70,71を用いており、吸盤70の中心には電極205が、また吸盤71の中心に電極206が取り付けられている。電極205,206には、図示しない低周波パルス発振器の出力部の一端側の出力端と電気的に接続するための電線が接続されている。
【0035】
また舌部に接触させるための手段として、吸盤72の中心の電極207に、図示しない低周波パルス発振器の出力部の他端側の出力端と電気的に接続するための電線が接続されたものを用いている。
【0036】
図9の奥方向にU字形状を呈する摘み7を指で摘まんで、吸盤70,71を喉の筋肉がある喉の部位の皮膚に押し当てるようにすることにより、吸盤70,71の吸着力が皮膚に作用して電極205,206が喉の部位の皮膚に接触して固定される。吸盤70,71は強く吸着する割には皮膚から剥すことが容易なものである。また吸盤72を電極207の側を舌の表面に向けるようにして、舌部に押し当てることにより吸着させて固定する。
【0037】
こうして図示しない低周波パルス発信器をONにすると、電極205,206の対と、電極207との間に低周波パルスが発生して、低周波パルスが舌の筋肉と喉の筋肉の間に直列的に加えられるので、嚥下に係る喉の筋肉がトレーニングされることになる。
【実施例0038】
図11によってこの実施例を説明する。これは持ち手81の先方が二股状の枝部82,83であり、その各々の先端部に喉当て84,85が内側に向けて取り付けられており、喉当て84には電極208が、喉当て85には電極209が取り付けられている。これ等喉当ての内側の電極208,209の各々が喉に密着し得るように構成されている。
【0039】
また図示しない舌部に接触させるための手段には、上述した実施例4の吸盤72の中心の電極207を有するものが用いられる。
【0040】
上記持ち手81は低周波パルス発振器8を備えており、この出力の一端側が枝部82,83内の図示しない電線によって電極208,209に加えられる。また出力の他端側は吸盤72の中心の電極207に加えられる。図示しない吸盤72を電極207の側を舌の表面に向けるようにして、舌部に押し当てて吸着固定させておいて、持ち手81の低周波パルス発振器8を握り、二股状の枝部82,83の先のクッション性の喉当て84,85にある電極208,209を喉の筋肉がある喉の部位の皮膚に押し当てるようにして用いる。低周波パルス発振器8のスイッチ80をONにすると、電極208,209の対と、電極207との間に低周波パルスが発生して、低周波パルスが舌の筋肉と喉の筋肉の間に直列的に加えられる。
【実施例0041】
図12によりこの実施例を説明する。このものはプラスチック製の弾力性を有する二股状の左右の枝部9,90の先に喉に向かうように設けた回動軸91,92に、コロ93,94が回動自在に取り付けられており、このコロ93の外周部に電極210を、またコロ94の外周部に電極211を有している。電極210,211の対は何れも、図示しない低周波パルス発振器の出力部の一端側の出力端と電気的に接続されている。
【0042】
また図示をしないが、舌部に接触させるための手段には、上述した実施例4の吸盤72の中心の電極207を有するものが用いられる。この電極207は低周波パルス発振器の出力部の他端側の出力端と電気的に接続されている。なお電極210,211,207は導電ポリエステル製のものである。
【0043】
図示しない吸盤72を電極207の側を舌の表面に向けるようにして、舌部に押し当てて吸着固定させておき、二股状の左右の枝部9,90を軽く握り、左右のコロ93,94を喉の筋肉がある喉の部位の皮膚に押し当てつつ転がすようにして、低周波パルスを舌の筋肉と喉の筋肉の間に直列的に加えるようにして使用する。
【0044】
なお左右のコロ93,94を喉に押し当てる力を加減することで、左右の枝部9,90が幾分開いたり閉じたりするので、喉に対して加わる負担は少ない。また喉の筋肉に沿って電極210,211を転がして接触させることが出来るので、よりトレーニングらしく感じられるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は低周波パルス電流を、舌に接触させるための手段を有する導子から舌の筋肉に、また喉に接触させるための手段を有する導子から喉の筋肉に流すようにして、舌と喉との間の咀嚼物を飲み込む動作に関与する各種筋肉の機能を、トレーニングとして簡単に回復させることが出来るようにした点で、産業に貢献している。なおこの発明はペット用として構成することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 ベルト 10 面ファスナーのオス 11 面ファスナーのメス
12 舌圧子
2 電極 20 電線 21 電極 22 電線
23 電極 24 電線 25 電極 26 電線
27 電極 28 電極 29 電線 200電線
201電極 202電極 203電線 204電線
205電極 206電極 207電極 208電極
209電極 210電極 211電極
3 制御部 30 発振部波形成形部 31 出力部 32 電源部
4 クリップ 40 喉当て 41 喉当て 42 指サック
5 粘着パッド 50 粘着パッド 51 粘着パッド 52 粘着パッド
53 舌圧子
6 制御部 60 発振部波形成形部 61 第1出力部
62 変調部 63 第2出力部 64 電源部
7 摘み 70 吸盤 71 吸盤 72 吸盤
8 低周波パルス発振器 80 スイッチ 81 持ち手
82 枝部 83 枝部 84 喉当て 85 喉当て
9 枝部 90 枝部 91 回動軸 92 回動軸
93 コロ 94 コロ
N 首 T 舌
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12