(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035003
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 41/60 20230101AFI20240306BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L27/11558
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159444
(22)【出願日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2022139403
(32)【優先日】2022-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濁池 康次
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP09
5F083ER09
5F083ER21
5F083PR12
5F101BA02
5F101BB06
5F101BB15
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性の高い不揮発性メモリを実現することである。
【解決手段】半導体装置1は、第1フローティングゲート(FG1)、第2フローティングゲート(FG2)および第3フローティングゲート(FG3)は、電気的に接続される。p型ウェル領域21(第1チャネル領域)と対向している第1フローティングゲートの部分の第1面積Apgと、n型ウェル領域41(第2チャネル領域)と対向している第2フローティングゲートの部分の第2面積Aegとの合計より、p型ウェル領域51(第3チャネル領域)と対向している第3フローティングゲートの部分の第3面積Acgの方が大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体層と、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型の第1ウェル領域と、
前記第1ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第1不純物領域と、
前記第1不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて前記第1ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第2不純物領域と、
前記第1不純物領域に対して前記第2不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第1チャネル領域に、当該領域に対向するように前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第1フローティングゲートと、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第2導電型の第2ウェル領域と、
前記第2ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第3不純物領域と、
前記第3不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて前記第2ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第4不純物領域と、
前記第3不純物領域に対して前記第4不純物領域を設けた側とは反対側の第2導電型の第2チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第2フローティングゲートと、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型の第3ウェル領域と、
前記第3ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第5不純物領域と、
前記第5不純物領域に隣接して前記第3ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第6不純物領域と、
前記第5不純物領域に対して前記第6不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第3チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第3フローティングゲートと、を備え、
前記第1フローティングゲート、前記第2フローティングゲートおよび前記第3フローティングゲートは、電気的に接続され、
前記第1チャネル領域と対向している前記第1フローティングゲートの部分の第1面積と、前記第2チャネル領域と対向している前記第2フローティングゲートの部分の第2面積との合計より、前記第3チャネル領域と対向している前記第3フローティングゲートの部分の第3面積の方が大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記第1面積、前記第2面積、および前記第3面積の合計面積に対する前記第3面積の割合が94%以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3フローティングゲートは、配線の長さ方向の寸法を延ばすことで前記合計面積に対する前記第3面積の割合を94%以上とする、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3チャネル領域に第2導電型の不純物を注入した層を有し、前記第3フローティングゲートを含むトランジスタをデプレッション型にしてある、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体装置は、不揮発メモリであり、
前記第1導電型がp型であり、前記第2導電型がn型である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
書き込み動作時に、前記第1チャネル領域から前記第1フローティングゲートにトンネル電子が流れ、消去動作時に、前記第2フローティングゲートから前記第2チャネル領域にトンネル電子が流れるように構成されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、読み出しトランジスタをさらに備え、
前記読み出しトランジスタのゲート電極は、前記第1フローティングゲート、前記第2フローティングゲートおよび前記第3フローティングゲートと電気的に接続されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
主面を有する半導体層と、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型の第1ウェル領域と、
前記第1ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第1不純物領域と、
前記第1不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて前記第1ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第2不純物領域と、
前記第1不純物領域に対して前記第2不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第1チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第1フローティングゲートと、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第2導電型の第2ウェル領域と、
前記第2ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第3不純物領域と、
前記第3不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて前記第2ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第4不純物領域と、
前記第3不純物領域に対して前記第4不純物領域を設けた側とは反対側の第2導電型の第2チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第2フローティングゲートと、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型の第3ウェル領域と、
前記第3ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第5不純物領域と、
前記第5不純物領域に隣接して前記第3ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第6不純物領域と、
前記第5不純物領域に対して前記第6不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第3チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第3フローティングゲートと、を備え、
前記第1フローティングゲート、前記第2フローティングゲートおよび前記第3フローティングゲートは、電気的に接続され、
前記第3チャネル領域に第2導電型の不純物を注入した層を有し、前記第3フローティングゲートを含むトランジスタをデプレッション型にしてある、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関し、より特定的には不揮発性メモリを備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、データを複数回の書き換えを可能とする不揮発性メモリとして、MTP(Multi Time Programmable ROM)がある。MTPの不揮発性メモリでは、電気的に絶縁されたフローティングゲート(FG)への電子の出し入れによりFGの電気的状態を変え、メモリとして動作させている。MTPの不揮発性メモリの具体的な構造については、たとえば、特開2014-183233号公報(特許文献1)に記載がある。MTPの不揮発性メモリは、データを複数回の書込み・消去が可能であるため、たとえば、チップの固体情報保持や、初期設定、特性の微調整などに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、MTPの不揮発性メモリでは、環境によりデータの書込み・消去の効率が悪化し、データの書込み・消去の動作に適切なマージンを確保することができない場合があった。また、従来、MTPの不揮発性メモリでは、閾値電圧のバラツキも大きく、不揮発性メモリとしての信頼性が低い場合があった。
【0005】
本開示の半導体装置の目的は、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性の高い不揮発性メモリを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、半導体装置に関する。半導体装置は、主面を有する半導体層と、半導体層の主面の表面部に形成された第1導電型の第1ウェル領域と、第1ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第1不純物領域と、第1不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて第1ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第2不純物領域と、第1不純物領域に対して第2不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第1チャネル領域に、当該領域に対向するよう半導体層の主面上に形成された導電体の第1フローティングゲートと、を備える。また、半導体装置は、半導体層の主面の表面部に形成された第2導電型の第2ウェル領域と、第2ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第3不純物領域と、第3不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて第2ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第4不純物領域と、第3不純物領域に対して第4不純物領域を設けた側とは反対側の第2導電型の第2チャネル領域に、当該領域に対向するよう半導体層の主面上に形成された導電体の第2フローティングゲートと、を備える。さらに、半導体装置は、半導体層の主面の表面部に形成された第1導電型の第3ウェル領域と、第3ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第5不純物領域と、第5不純物領域に隣接して第3ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第6不純物領域と、第5不純物領域に対して第6不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第3チャネル領域に、当該領域に対向するよう半導体層の主面上に形成された導電体の第3フローティングゲートと、を備える。第1フローティングゲート、第2フローティングゲートおよび第3フローティングゲートは、電気的に接続される。第1チャネル領域と対向している第1フローティングゲートの部分の第1面積と、第2チャネル領域と対向している第2フローティングゲートの部分の第2面積との合計より、第3チャネル領域と対向している第3フローティングゲートの部分の第3面積の方が大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る半導体装置によれば、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に従う半導体装置の模式断面図である。
【
図2】実施の形態1に従う半導体装置の平面図である。
【
図3】書き込み時の半導体装置の動作を説明するための図である。
【
図4】消去時の半導体装置の動作を説明するための図である。
【
図5】書き込み時および消去時に半導体装置に流れる電流と電圧との関係を説明するための図である。
【
図6】書き込み時および消去時における半導体装置の閾値電圧のバラツキを説明するための図である。
【
図7】実施の形態2に従う半導体装置の模式断面図である。
【
図8】実施の形態2に従う半導体装置の平面図である。
【
図9】実施の形態2に従う半導体装置の閾値電圧のバラツキを説明するための図である。
【
図10】比較対象の半導体装置の閾値電圧のバラツキを説明するための図である。
【
図12】変形例に従う半導体装置に流れる電流と電圧との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
[実施の形態1]
(半導体装置の構成)
図1は、実施の形態1に従う半導体装置1の模式断面図である。
図2は、実施の形態1に従う半導体装置1の平面図である。
図1には、
図2におけるプログラムトランジスタ101の断面、イレーストランジスタ102の断面、カップリングトランジスタ103の断面を模式的に並べて図示してある。
図2では、図面を理解容易とするため半導体層2の主面上に形成されるフローティングゲート32などを回路図として簡略化して図示してある。以下では、
図1および
図2を参照して、半導体装置1の構成について説明する。
【0011】
本実施形態に係る半導体装置1は、複数回のデータを書込み・消去が可能な不揮発性メモリ(MTP)であり、電気的に絶縁されたフローティングゲート32への電子の出し入れによりフローティングゲート32の電気的状態を変え、メモリとして動作させている。半導体装置1は、たとえば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を用い、Si単結晶である半導体層2に形成される。
【0012】
半導体装置1は、
図2に示すように、プログラムトランジスタ101と、イレーストランジスタ102と、カップリングトランジスタ103とを備え、プログラムトランジスタ101、イレーストランジスタ102、およびカップリングトランジスタ103で1つのフローティングゲート32を共有している。なお、半導体装置1は、図示していないが、リードトランジスタ、スイッチトランジスタなどを備えている場合もある。
【0013】
半導体層2は、この実施形態では、p型(第1導電型)である。半導体層2は、フローティングゲート32が形成されている一方側の第1主面と、当該第1主面の反対側にある他方側の第2主面とを有している。半導体装置1は、半導体層2に形成されたn型(第2導電型)のエピタキシャル層20を含んでいる。エピタキシャル層20は、半導体層2の全体に形成されている。
【0014】
エピタキシャル層20には、プログラムトランジスタ101が形成されるp型ウェル領域21(第1ウェル領域)と、イレーストランジスタ102が形成されるn型ウェル領域41(第2ウェル領域)と、カップリングトランジスタ103が形成されるp型ウェル領域51(第3ウェル領域)とが形成される。n型ウェル領域41のn型不純物濃度は、エピタキシャル層20のn型不純物濃度よりも高い。
【0015】
半導体装置1は、プログラムトランジスタ101、イレーストランジスタ102、およびカップリングトランジスタ103が形成された領域を区画するトレンチ絶縁体10を含む。各々の領域には、
図2に示すように、それぞれ端子となるコンタクト電極が形成されている。プログラムトランジスタ101に書込みビット端子PGとなるコンタクト電極が形成され、イレーストランジスタ102にイレースゲート端子EGとなるコンタクト電極が形成され、カップリングトランジスタ103にカップリングゲート端子CGとなるコンタクト電極が形成される。
【0016】
プログラムトランジスタ101は、
図1に示すようにp型ウェル領域21に形成されたN型MOSFETである。プログラムトランジスタ101には、ソースドレインである高濃度N型拡散層22(第1不純物領域)と高濃度P型拡散層23(第2不純物領域)とが形成される。高濃度N型拡散層22と高濃度P型拡散層23とは、トレンチ絶縁体10で隔てられている。一方の高濃度N型拡散層22にドレイン端子Dが接続され、他方の高濃度N型拡散層22と高濃度P型拡散層23とが書込みビット端子PGに接続される。また、プログラムトランジスタ101が形成されたp型ウェル領域21には、所定の電圧が印加される。フローティングゲート32(第1フローティングゲート)は、図示していないゲート絶縁膜を介してp型ウェル領域21に対向して形成される。フローティングゲート32と対向するp型ウェル領域21がp型のチャネル領域(第1チャネル領域)になる。つまり、フローティングゲート32(第1フローティングゲート)は、他方の高濃度N型拡散層22に対して高濃度P型拡散層23を設けた側とは反対側のチャネル領域に、当該領域に対向するよう半導体層2の第1主面上に形成される。高濃度N型拡散層22は、
図2に示すように、フローティングゲート32を跨いでp型ウェル領域21に形成されるので、p型のチャネル領域(アクティブエリア)の製造バラツキを低減することができる。
【0017】
イレーストランジスタ102は、n型ウェル領域41に形成される。n型ウェル領域41には、高濃度P型拡散層42(第3不純物領域)および高濃度N型拡散層43(第4不純物領域)を介してイレースゲート端子EGが接続される。イレースゲート端子EGの電位は、高濃度P型拡散層42および高濃度N型拡散層43を介してn型ウェル領域41に伝えられる。高濃度P型拡散層42と高濃度N型拡散層43とは、トレンチ絶縁体10で隔てられている。イレーストランジスタ102のフローティングゲート32(第2フローティングゲート)は、図示していないゲート絶縁膜を介してn型ウェル領域41に対向して形成される。フローティングゲート32と対向するn型ウェル領域41がn型のチャネル領域(第2チャネル領域)になる。つまり、フローティングゲート32(第2フローティングゲート)は、高濃度P型拡散層42に対して高濃度N型拡散層43を設けた側とは反対側のチャネル領域に、当該領域に対向するよう半導体層2の第1主面上に形成される。高濃度P型拡散層42は、
図2に示すように、フローティングゲート32を跨いでn型ウェル領域41に形成されるので、n型のチャネル領域(アクティブエリア)の製造バラツキを低減することができる。
【0018】
カップリングトランジスタ103は、p型ウェル領域51に形成される。p型ウェル領域51には、高濃度N型拡散層52(第5不純物領域)および高濃度P型拡散層53(第6不純物領域)を介してカップリングゲート端子CGが接続される。カップリングゲート端子CGの電位は、高濃度N型拡散層52および高濃度P型拡散層53を介してp型ウェル領域51に伝えられる。高濃度N型拡散層52と高濃度P型拡散層53とは、隣接している。カップリングトランジスタ103のフローティングゲート32(第3フローティングゲート)は、図示していないゲート絶縁膜を介してp型ウェル領域51に対向して形成される。フローティングゲート32と対向するp型ウェル領域51がp型のチャネル領域(第3チャネル領域)になる。つまり、フローティングゲート32(第3フローティングゲート)は、高濃度N型拡散層52に対して高濃度P型拡散層53を設けた側とは反対側のチャネル領域に、当該領域に対向するよう半導体層2の第1主面上に形成される。高濃度N型拡散層52は、
図2に示すように、フローティングゲート32を跨いでp型ウェル領域51に形成されるので、p型のチャネル領域(アクティブエリア)の製造バラツキを低減することができる。
【0019】
図2に示すように、p型ウェル領域21のチャネル領域(第1チャネル領域)と対向しているフローティングゲート32の部分FG1(第1フローティングゲート)の面積を第1面積Apgとする。n型ウェル領域41のチャネル領域(第2チャネル領域)と対向しているフローティングゲート32の部分FG2(第2フローティングゲート)の面積を第2面積Aegとする。p型ウェル領域51のチャネル領域(第3チャネル領域)と対向しているフローティングゲート32の部分FG3(第3フローティングゲート)の面積を第3面積Acgとする。半導体装置1では、第1面積Apg+第2面積Aeg<第3面積Acgの関係を有している。好ましくは、半導体装置1が、第1面積Apg、第2面積Aeg、および第3面積Acgの合計面積に対する第3面積Acgの割合が94%以上である。つまり、半導体装置1は、第3面積Acg/(第1面積Apg+第2面積Aeg+第3面積Acg)≧94%の関係を有している。
【0020】
これにより、後述するように、半導体装置1では、環境によりデータの書込み・消去の効率が悪化しても、データの書込み・消去の動作に適切なマージンを確保することができる。また、半導体装置1では、閾値電圧のバラツキも小さくでき、不揮発性メモリとしての信頼性が向上する。
【0021】
図1に戻って、トレンチ絶縁体10は、トレンチ11および絶縁埋設物12を含む。トレンチ11は、第1主面を第2主面に向けて掘り下げることにより形成されている。トレンチ11は、この実施形態では、底壁に向かって開口幅が狭まる先細り形状に形成されている。もちろん、トレンチ11は、第1主面に対して垂直に形成されていてもよい。絶縁埋設物12は、トレンチ11に埋設されている。当該絶縁埋設物12を構成する絶縁体は任意である。絶縁埋設物12は、酸化シリコン(SiO
2)および窒化シリコン(SiN)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。絶縁埋設物12は、この実施形態では、酸化シリコンで形成される。
【0022】
フローティングゲート32と半導体層2との間に形成されるゲート絶縁膜は、半導体層2の酸化物により形成される。ゲート絶縁膜は、具体的には、第1主面の表面部が酸化されることによって膜状に形成された酸化物である。つまり、ゲート絶縁膜は、第1主面に沿って形成されたシリコン酸化膜(SiO2膜)である。ゲート絶縁膜は、さらに具体的には、半導体層2の第1主面の表面部が熱酸化されることによって膜状に形成された半導体層2の熱酸化物である。
【0023】
このように、半導体装置1は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)プロセスで実現することが可能な構造であり、追加マスクなしでBCD(Bipolar CMOS Double-diffused MOS)プロセスにより製造されるデバイスへの混載が可能である。
【0024】
図1および
図2には、1ビット分の記憶回路が示される。このような記憶回路が必要数だけ半導体装置に配置される。配置は必ずしも限定されないが、マトリクス状に配置され、適宜書き込みおよび読み出し制御回路が接続される。また、半導体装置1では、プログラムトランジスタ101、イレーストランジスタ102、およびカップリングトランジスタ103のフローティングゲート32は電気的に接続される。図示していないが、フローティングゲート32は、絶縁物で周囲と絶縁されている。
【0025】
フローティングゲート32は、カップリングトランジスタ103によってカップリングゲート端子CGと容量結合しているので、カップリングゲート端子CGの電位、書込みビット端子PGの電位、およびイレースゲート端子EGの電位を制御することによってフローティングゲート32の電位を制御することができる。このため、カップリングゲート端子CG、書込みビット端子PG、およびイレースゲート端子EGの電位をそれぞれ制御することで、不揮発性メモリ(MTP)である半導体装置1にデータを書き込み、消去を行うことができる。
【0026】
(半導体装置の動作)
図3は、書き込み時の半導体装置1の動作を説明するための図である。半導体装置1は、書き込み時に、FN(Fowler-Nordheim)トンネル電流を使用してフローティングゲート32に電子を注入する。
【0027】
書き込み時、半導体装置1は、たとえば、カップリングゲート端子CGに印加する電圧Vcgを約+7Vに、書込みビット端子PGに印加する電圧Vpgを約-7Vに、イレースゲート端子EGに印加する電圧Vegを約+7Vに、それぞれ設定する。
【0028】
図3に示すように各端子の電圧を設定すると、面積の大きいカップリングトランジスタ103の影響を受けフローティングゲート32の電位が電圧Vcgの電位に追従して約+6V程度になる。一方、書込みビット端子PGに約-7Vの電圧Vpgを印加することで、フローティングゲート32とp型ウェル領域21との間に約13Vの電位差が生じる。この電位差によりフローティングゲート32からp型ウェル領域21にFNトンネル電流が流れるのを使用してフローティングゲートFGに電子を注入する。フローティングゲートFGに電子が注入されることで、データが半導体装置1に書き込まれた状態となる。
【0029】
次に、
図4は、消去時の半導体装置1の動作を説明するための図である。半導体装置1は、消去時に、FNトンネル電流を使用してフローティングゲートFGから電子を引き抜く。
【0030】
消去時、半導体装置1は、たとえば、カップリングゲート端子CGに印加する電圧Vcgを約-7Vに、書込みビット端子PGに印加する電圧Vpgを約0(ゼロ)Vに、イレースゲート端子EGに印加する電圧Vegを約+7Vに、それぞれ設定する。
【0031】
図4に示すように各端子の電圧を設定すると、面積の大きいカップリングトランジスタ103の影響を受けフローティングゲート32の電位が電圧Vcgの電位に追従して約-6V程度になる。一方、イレースゲート端子EGに約+7Vの電圧Vegを印加することで、フローティングゲート32とn型ウェル領域41との間に約13Vの電位差が生じる。この電位差によりn型ウェル領域41からフローティングゲート32にFNトンネル電流が流れるのを使用してフローティングゲートFGから電子を放出する。つまり、FNトンネル電流が流れるのを使用してフローティングゲートFGにホールを注入する。フローティングゲートFGにホールが注入されることで、半導体装置1からデータが消去された状態となる。
【0032】
次に、読み出し動作時の半導体装置1の動作を説明する。半導体装置1にデータが書き込まれていることを、半導体装置1は、ドレイン端子Dに流れる電流Idの有無によって判断することができる。
【0033】
図5は、書き込み時および消去時に半導体装置に流れる電流と電圧との関係を説明するための図である。
図5において、縦軸の電流Idは、ドレイン端子Dに流れる電流を示す。横軸の電圧Vcgは、カップリングゲート端子CGの電位を示す。
【0034】
図5では、書き込み済みの半導体装置1の電圧Vcgに対する電流Idの関係を示すグラフをグラフPgmで示している。一方、消去済みの半導体装置1の電圧Vcgに対する電流Idの関係を示すグラフをグラフErsで示している。たとえば、半導体装置1の電圧Vcgを約1Vとすると、書き込み済みの半導体装置1では、グラフPgmから分かるように電流Idが流れない。つまり、フローティングゲートFGに電子が貯まっているのでプログラムトランジスタ101のN型MOSFETがOFF状態となり電流Idが流れない。
【0035】
消去済みの半導体装置1では、グラフErsから分かるように電流Idが流れる。つまり、フローティングゲートFGにホールが貯まっているのでプログラムトランジスタ101のN型MOSFETがON状態となり電流Idが流れる。半導体装置1では、たとえば、電圧Vcgを約1Vとした場合に、電流Idが流れる、電流Idが流れないの違いを読み出すことで、メモリとして動作する。
【0036】
また、本開示では、電流Idが1μA流れるときの電圧Vcgを閾値電圧Vthと定義する。このように定義した場合、
図5に示すグラフPgmの閾値電圧Vth(書き込み時の閾値電圧Vth)は約3.3Vとなり、
図5に示すグラフErsの閾値電圧Vth(消去時の閾値電圧Vth)は約-1.4Vとなる。書き込み時の閾値電圧Vthと消去時の閾値電圧Vthとの差が大きいほど、データの書込み・消去の動作にマージンが確保できていることになり、不揮発性メモリとしての信頼性も高くなる。
図5に示す書き込み時の閾値電圧Vthと消去時の閾値電圧Vthとの差は、約4.7Vである。
【0037】
書き込み時および消去時の閾値電圧Vthは、電圧Vcg以外の電圧、温度、時間などの条件によって変動する。
図6は、書き込み時および消去時における半導体装置の閾値電圧のバラツキを説明するための図である。
図6では、測定数を増やし、横軸に閾値電圧Vth、縦軸に標準偏差σを取って書き込み時および消去時の閾値電圧Vthの測定値をプロットしている。
【0038】
書き込み時の閾値電圧Vthの測定値は、約3.3V~約3.6Vの範囲であったが、
図6のグラフPgmから6σの範囲を予測して約2.8V~約4.2Vの範囲で書き込み時の閾値電圧Vthがばらつくことが分かる。消去時の閾値電圧Vthの測定値は、約-1.1V~約-1.5Vの範囲であったが、
図6のグラフErsから6σの範囲を予測して約-2.2V~約-0.4Vの範囲で消去時の閾値電圧Vthがばらつくことが分かる。
【0039】
半導体装置1では、
図2に示すように第1面積Apg+第2面積Aeg<第3面積Acg、好ましくは、第3面積Acg/(第1面積Apg+第2面積Aeg+第3面積Acg)≧94%とすることで、フローティングゲート32の電位に与えるカップリングトランジスタ103の影響が大きくなり、
図6に示すようにグラフPgmとグラフErsとの距離を広げる(書き込み時の閾値電圧Vthと消去時の閾値電圧Vthとの差を大きくする)ことができる。また、半導体装置1では、
図6に示すようにグラフPgmおよびグラフErsの傾きを大きくする(書き込み時および消去時の閾値電圧Vthのバラツキを小さくする)ことができる。つまり、半導体装置1では、第3面積Acgの面積を大きくすることで、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性を向上させることができる。たとえば、半導体装置1では、標準の設計より第3面積Acgの面積を2割程度大きくすることで、データの書込み・消去の信頼性が向上する。なお、第3面積Acgの面積を大きくする場合、カップリングトランジスタ103のフローティングゲート32(第3フローティングゲート)の配線の長さ方向の寸法を延ばすことが好ましい。
図2に示すように、カップリングトランジスタ103のフローティングゲート32(第3フローティングゲート)の配線の長さ方向の寸法を延ばすことで、他の構成に対して設計変更を強いることがない。
【0040】
[実施の形態2]
(半導体装置の構成)
図7は、実施の形態2に従う半導体装置1Aの模式断面図である。
図8は、実施の形態2に従う半導体装置1Aの平面図である。
図7には、
図8におけるプログラムトランジスタ101の断面、イレーストランジスタ102の断面、カップリングトランジスタ103aの断面を模式的に並べて図示してある。
図8では、図面を理解容易とするため半導体層2の主面上に形成されるフローティングゲート32などを回路図として簡略化して図示してある。以下では、
図7および
図8を参照して、半導体装置1Aの構成について説明する。
図7および
図8に示す半導体装置1Aにおいて、
図1および
図2に示す半導体装置1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を繰り返さない。
【0041】
カップリングトランジスタ103aは、p型ウェル領域51に形成される。p型ウェル領域51には、高濃度N型拡散層52(第5不純物領域)および高濃度P型拡散層53(第6不純物領域)を介してカップリングゲート端子CGが接続される。カップリングゲート端子CGの電位は、高濃度N型拡散層52および高濃度P型拡散層53を介してp型ウェル領域51に伝えられる。高濃度N型拡散層52と高濃度P型拡散層53とは、隣接している。カップリングトランジスタ103aのフローティングゲート32(第3フローティングゲート)は、図示していないゲート絶縁膜を介してp型ウェル領域51に対向して形成される。カップリングトランジスタ103aは、フローティングゲート32と対向するp型ウェル領域51にn型不純物を注入したデプレッション層54を設け、デプレッション型のNチャネルMOSFETにしてある。
【0042】
半導体装置1Aでも、第1面積Apg+第2面積Aeg<第3面積Acgの関係を有している。好ましくは、半導体装置1Aは、第3面積Acg/(第1面積Apg+第2面積Aeg+第3面積Acg)≧94%の関係を有している。もちろん、半導体装置1Aは、第3面積Acg/(第1面積Apg+第2面積Aeg+第3面積Acg)≧94%の関係を満たしておらず、カップリングトランジスタ103aをデプレッション型のNチャネルMOSFETにしただけでもよい。
【0043】
電圧Vcg以外の電圧、温度、時間などの条件による、半導体装置1Aにおける書き込み時および消去時の閾値電圧Vthのバラツキについて説明する。
図9は、実施の形態2に従う半導体装置1Aの閾値電圧のバラツキを説明するための図である。
図10は、比較対象の半導体装置の閾値電圧のバラツキを説明するための図である。
図9および
図10では、横軸に閾値電圧Vth、縦軸に標準偏差σを取って書き込み時および消去時の閾値電圧Vthの測定値をプロットしている。
【0044】
比較対象の半導体装置は、カップリングトランジスタをデプレッション型のNチャネルMOSFETとしておらず、第3面積Acg/(第1面積Apg+第2面積Aeg+第3面積Acg)≧94%の関係を満たしていない。そのため、
図10に示すように、比較対象の半導体装置では、書き込み時の閾値電圧Vthが、約2.2V~約2.8Vの範囲でばらついていることが分かる。また、比較対象の半導体装置では、消去時の閾値電圧Vthが、約-1.5V~約1.6Vの範囲でばらついていることが分かる。さらに、比較対象の半導体装置では、書き込み時の閾値電圧Vthと消去時の閾値電圧Vthとの差が約0.8V(最小値)まで小さくなっており、十分なマージンを確保できずデータの書込み・消去の効率が悪化している。
【0045】
一方、半導体装置1Aは、カップリングトランジスタ103aをデプレッション型のNチャネルMOSFETとしており、第3面積Acg/(第1面積Apg+第2面積Aeg+第3面積Acg)≧94%の関係を満たしている。そのため、
図9に示すように、半導体装置1Aでは、書き込み時の閾値電圧Vthが、約2.3V~約2.7Vの範囲でのばらつきとなり、比較対象の半導体装置に比べばらつきが改善していることが分かる。また、半導体装置1Aでは、消去時の閾値電圧Vthが、約-1.1V~約0.9Vの範囲でのばらつきとなり、比較対象の半導体装置に比べばらつきが大幅に改善していることが分かる。さらに、半導体装置1Aでは、書き込み時の閾値電圧Vthと消去時の閾値電圧Vthとの差が約1.4V(最小値)まで大きくなっており、十分なマージンを確保できており、データの書込み・消去の効率も改善している。
【0046】
[変形例]
以下に、実施の形態に適用可能な変形例について説明する。半導体装置1Aでは、カップリングトランジスタ103aをデプレッション型のNチャネルMOSFETとすると説明したが、リードトランジスタをデプレッション型のNチャネルMOSFETとしてもよい。
図11は、変形例に従う半導体装置1Bの平面図である。
図11に示す半導体装置1Bにおいて、
図2に示す半導体装置1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を繰り返さない。
【0047】
リードトランジスタ104は、
図11に示すようにp型ウェル領域21に形成されたN型MOSFETである。リードトランジスタ104には、ソースドレインである高濃度N型拡散層24が形成される。一方の高濃度N型拡散層24にドレイン端子Dが接続され、他方の高濃度N型拡散層24にソース端子Sが接続される。リードトランジスタ104のゲート電極Gは、フローティングゲート32で形成され、当該フローティングゲート32と対向するp型ウェル領域21がp型のチャネル領域になる。リードトランジスタ104では、フローティングゲート32と対向するp型ウェル領域21にn型不純物を注入したデプレッション層25を設け、デプレッション型のNチャネルMOSFETにしてある。
【0048】
図12は、変形例に従う半導体装置1Bに流れる電流と電圧との関係を説明するための図である。
図12において、縦軸の電流Idは、ドレイン端子Dに流れる電流を示す。横軸の電圧Vcgは、カップリングゲート端子CGの電位を示す。
【0049】
図12では、書き込み済みの半導体装置1Bの電圧Vcgに対する電流Idの関係を示すグラフをグラフPgmで示している。リードトランジスタ104をデプレッション型のNチャネルMOSFETにしていない場合のグラフPgmを実線で示し、リードトランジスタ104をデプレッション型のNチャネルMOSFETにしてある場合のグラフPgmを破線で示している。電流Idが1μA流れるときの書き込み時の閾値電圧Vthは、約3.3Vから約2.5Vに低下している。
【0050】
また、
図12では、消去済みの半導体装置1Bの電圧Vcgに対する電流Idの関係を示すグラフをグラフErsで示している。リードトランジスタ104をデプレッション型のNチャネルMOSFETにしていない場合のグラフErsを実線で示し、リードトランジスタ104をデプレッション型のNチャネルMOSFETにしてある場合のグラフErsを破線で示している。電流Idが1μA流れるときの消去時の閾値電圧Vthは、約-1.4Vから約-2.2Vに低下している。
【0051】
半導体装置1Bでは、リードトランジスタ104をデプレッション型のNチャネルMOSFETにすることで、書き込み時および消去時の閾値電圧Vthを低電圧化することができる。なお、半導体装置1Bでは、リードトランジスタ104をデプレッション型のNチャネルMOSFETにすると説明したが、実施の形態2で説明した半導体装置1Aと組み合わせてカップリングトランジスタ103aをデプレッション型のNチャネルMOSFETとしてもよい。
【0052】
以上の実施の形態および変形例によれば、通常のCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)プロセス、あるいはBCDMOS(Bipolar CMOS Double-diffused MOS)プロセスに使用する工程条件、装置をそのまま使用することができる。
【0053】
以上の実施の形態および変形例に係る半導体装置1,1A,1Bは、電源、PMIC(Power management integrated circuit)、モータドライバ、GDIC(Gate Drive integrated circuit)、およびセンサICなどのデバイスに混載することができる。
【0054】
(付記)
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0055】
(1)主面を有する半導体層と、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型の第1ウェル領域と、
前記第1ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第1不純物領域と、
前記第1不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて前記第1ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第2不純物領域と、
前記第1不純物領域に対して前記第2不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第1チャネル領域に、当該領域に対向するように前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第1フローティングゲートと、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第2導電型の第2ウェル領域と、
前記第2ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第3不純物領域と、
前記第3不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて前記第2ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第4不純物領域と、
前記第3不純物領域に対して前記第4不純物領域を設けた側とは反対側の第2導電型の第2チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第2フローティングゲートと、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型の第3ウェル領域と、
前記第3ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第5不純物領域と、
前記第5不純物領域に隣接して前記第3ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第6不純物領域と、
前記第5不純物領域に対して前記第6不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第3チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第3フローティングゲートと、を備え、
前記第1フローティングゲート、前記第2フローティングゲートおよび前記第3フローティングゲートは、電気的に接続され、
前記第1チャネル領域と対向している前記第1フローティングゲートの部分の第1面積と、前記第2チャネル領域と対向している前記第2フローティングゲートの部分の第2面積との合計より、前記第3チャネル領域と対向している前記第3フローティングゲートの部分の第3面積の方が大きい、半導体装置。
【0056】
(1)に係る半導体装置によれば、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性を向上させることができる。
【0057】
(2)(1)に記載の半導体装置であって、
前記第1面積、前記第2面積、および前記第3面積の合計面積に対する前記第3面積の割合が94%以上である。
【0058】
(2)に係る半導体装置によれば、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性を向上させることができる。
【0059】
(3)(2)に記載の半導体装置であって、
前記第3フローティングゲートは、配線の長さ方向の寸法を延ばすことで前記合計面積に対する前記第3面積の割合を94%以上とする。
【0060】
(3)に係る半導体装置によれば、他の構成に対して設計変更を強いることなく、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性を向上させることができる。
【0061】
(4)(1)~(3)のいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記第3チャネル領域に第2導電型の不純物を注入した層を有し、前記第3フローティングゲートを含むトランジスタをデプレッション型にしてある。
【0062】
(4)に係る半導体装置によれば、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性を向上させることができる。
【0063】
(5)(1)~(4)のいずれか1項に記載の半導体装置であって、
前記半導体装置は、不揮発メモリであり、
前記第1導電型がp型であり、前記第2導電型がn型である。
【0064】
(5)に係る半導体装置によれば、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性を向上させることができる不揮発メモリを実現できる。
【0065】
(6)(5)に記載の半導体装置であって、
書き込み動作時に、前記第1チャネル領域から前記第1フローティングゲートにトンネル電子が流れ、消去動作時に、前記第2フローティングゲートから前記第2チャネル領域にトンネル電子が流れるように構成されている。
【0066】
(6)に係る半導体装置によれば、トンネル電子を使用した不揮発メモリを実現できる。
【0067】
(7)(5)または(6)に記載の半導体装置であって、
前記半導体装置は、読み出しトランジスタをさらに備え、
前記読み出しトランジスタのゲート電極は、前記第1フローティングゲート、前記第2フローティングゲートおよび前記第3フローティングゲートと電気的に接続されている。
【0068】
(7)に係る半導体装置によれば、書き込み時および消去時の閾値電圧を低電圧化することができる。
【0069】
(8)主面を有する半導体層と、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型の第1ウェル領域と、
前記第1ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第1不純物領域と、
前記第1不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて前記第1ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第2不純物領域と、
前記第1不純物領域に対して前記第2不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第1チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第1フローティングゲートと、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第2導電型の第2ウェル領域と、
前記第2ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第3不純物領域と、
前記第3不純物領域からトレンチ絶縁体を隔てて前記第2ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第4不純物領域と、
前記第3不純物領域に対して前記第4不純物領域を設けた側とは反対側の第2導電型の第2チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第2フローティングゲートと、
前記半導体層の前記主面の表面部に形成された第1導電型の第3ウェル領域と、
前記第3ウェル領域の表面部に形成された第2導電型の第5不純物領域と、
前記第5不純物領域に隣接して前記第3ウェル領域の表面部に形成された第1導電型の第6不純物領域と、
前記第5不純物領域に対して前記第6不純物領域を設けた側とは反対側の第1導電型の第3チャネル領域に、当該領域に対向するよう前記半導体層の前記主面上に形成された導電体の第3フローティングゲートと、を備え、
前記第1フローティングゲート、前記第2フローティングゲートおよび前記第3フローティングゲートは、電気的に接続され、
前記第3チャネル領域に第2導電型の不純物を注入した層を有し、前記第3フローティングゲートを含むトランジスタをデプレッション型にしてある、半導体装置。
【0070】
(8)に係る半導体装置によれば、効率よくデータの書込み・消去を行うことができ、信頼性を向上させることができる。
【0071】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B 半導体装置、2 半導体層、10 トレンチ絶縁体、11 トレンチ、12 絶縁埋設物、20 エピタキシャル層、21,51 p型ウェル領域、22,24,43,52 N型拡散層、23,42,53 P型拡散層、25,54 デプレッション層、32 フローティングゲート、41 n型ウェル領域、101 プログラムトランジスタ、102 イレーストランジスタ、103,103a カップリングトランジスタ、104 リードトランジスタ。