(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035018
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】害獣捕獲具
(51)【国際特許分類】
A01M 23/34 20060101AFI20240306BHJP
A01M 23/24 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A01M23/34
A01M23/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211700
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2022138595
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515027439
【氏名又は名称】工藤 まほ
(71)【出願人】
【識別番号】515027048
【氏名又は名称】河野 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】三重野 丈一
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA25
2B121BA32
2B121EA21
2B121FA20
(57)【要約】
【課題】簡易な構造にもかかわらず最短距離と最短時間で、捕獲ワイヤの縮径作動が行えるように構成した害獣捕獲具を提供する。
【解決手段】周縁に側壁を立ち上げた基盤と、基盤の空間内に収納した踏板と、踏板の左右中央部に基端部分を枢支し踏板をトリガーとして起立付勢される左右側の半円弧状ワイヤ保持体と、半円弧状の左右ワイヤ保持体の倒伏状態において半円弧外周面を囲繞する捕獲ワイヤと、左右ワイヤ保持体を囲繞するワイヤのループ部の自由端部を外方に引っ張り付勢してループ部を縮径するワイヤ縮径付勢機構とより構成し、しかも、ワイヤ縮径付勢機構を構成するコイルバネは筒状のワイヤ挿通パイプ内から一部を露出状態として、踏板に連動して作動するワイヤ縮径時にコイルバネが伸張作動してワイヤ縮径位置がばね伸張作動時のばね応力の反動により高位置に飛躍してワイヤのループ部が害獣脚体の可及的上部位置を捕縛するように構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁に側壁を立ち上げた基盤と、
前記基盤の側壁に囲まれた空間内に収納した踏板と、
踏板の左右中央部に基端部分を枢支し踏板をトリガーとして起立付勢される左右側半円弧状のワイヤ保持体と、
半円弧状の左右ワイヤ保持体の倒伏状態において半円弧外周面を囲繞する捕獲ワイヤと、
左右ワイヤ保持体を囲繞するワイヤのループ部の自由端部を外方に引っ張り付勢すると共に、ループ部の縮径付勢も行うワイヤ縮径付勢機構とより構成し、
しかも、ワイヤ縮径付勢機構を構成するコイルバネは筒状のバネケース内に圧縮収納することなく大気露出状態として、踏板に連動して作動するワイヤ縮径時にコイルバネが圧縮から伸張作動する時にワイヤ縮径位置がばね伸張作動時のばね応力の反動により高位置に飛躍してワイヤのループ部が害獣脚体の可及的上部位置を捕縛するように構成した害獣捕獲具。
【請求項2】
左右のワイヤ保持体にコイルバネを架設したことを特徴とする請求項1に記載の害獣捕獲具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、害獣捕獲具に関する。
【0002】
従来、害獣捕獲具は、踏板を害獣が踏むと踏板に係合したループ状の捕獲ワイヤが踏板から離脱後に縮径して害獣の脚部を緊締し、害獣を捕獲するように構成されている。すなわち、害獣捕獲具の基本構成は、踏板とループ状の捕獲ワイヤを踏板作動により緊縮する機構とからなり、詳細は踏板に載った害獣の脚体重量により踏板が地上設置の基盤内に沈降し、この沈降作動に伴って、捕獲ワイヤのループ部が上昇して緊縮捕縛するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、害獣脚体が踏板に載った際に捕獲ワイヤの跳ね上がり動作がループ部の縮径作動にともない害獣脚体の蹄部分に接触することが多く、害獣はその瞬間に異変を感知して瞬時に脚体を引っ込めてしまう。そうするとループ部が脚体の足首部分しか捕縛することができず、或いは脚体の捕縛にまで至らない、いわゆる空振り現象が生じる。
その原因は、踏板の位置が高く、害獣脚体が踏板を踏んだ瞬間に高位置の踏板がワイヤ縮径の連動を開始し、ワイヤのループ部が上方まで跳ね上がる前に縮径してしまい害獣脚体の可及的下方位置しか捕縛できない。かかる状態においては、害獣はループ部の捕縛作動が完了する前に脚体を引っ込めてしまい確実に捕縛することができない虞があった。
【0005】
この発明では、踏板の動作にともないワイヤのループ部分が縮径付勢バネのばね力によって、単に縮径付勢のみならずループ部の上方跳ね上げ付勢も加わり可及的に害獣脚体の上部で縮径捕縛を行い、害獣が異変を察知して瞬時に脚体を引き上げる空振り動作を防止して捕縛効率を向上することができる害獣捕獲具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、周縁に側壁を立ち上げた基盤と、前記基盤の側壁に囲まれた空間内に収納した踏板と、踏板の左右中央部に基端部分を枢支し踏板をトリガーとして起立付勢される左右側の半円弧状ワイヤ保持体と、半円弧状の左右ワイヤ保持体の倒伏状態において半円弧外周面を囲繞する捕獲ワイヤと、左右ワイヤ保持体を囲繞するワイヤのループ部の自由端部を外方に引っ張り付勢すると共に、ループの縮径付勢も行うワイヤ縮径付勢機構とより構成し、しかも、ワイヤ縮径付勢機構を構成するコイルバネは筒状のワイヤ挿通パイプ内に圧縮収納することなく大気露出状態として、踏板に連動して作動するワイヤ縮径時にコイルバネが圧縮から伸張作動する時にワイヤ縮径位置がばね伸張作動時のばね応力の反動により高位置に飛躍してワイヤのループ部が害獣脚体の可及的上部位置を捕縛するように構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様は、左右側の円弧状ワイヤ保持体にコイルバネを架設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、周縁に側壁を立ち上げた基盤と、前記基盤の側壁に囲まれた空間内に収納した踏板と、踏板の左右中央部に基端を枢支連結し起立付勢した左右の半円弧状のワイヤ保持体と、半円弧状の左右ワイヤ保持体の倒伏状態において左右ワイヤ保持体の半円弧外周面をそれぞれ囲繞した捕獲ワイヤのループ部と、左右ワイヤ保持体を囲繞したワイヤのループ部基部を基盤外方に引っ張ってループを縮径付勢するワイヤ縮径付勢機構とにより構成しており、従って、踏板の作動をトリガーとしてワイヤのループ部はワイヤ縮径付勢機構により引っ張られて踏板を踏んだ害獣の脚体を捕縛することができる。
特に本発明では、ワイヤ縮径付勢機構を構成するコイルバネを筒状のワイヤ挿通パイプ内に圧縮収納することなく大気露出状態としており、そのために踏板に連動して作動するワイヤは縮径変動する。この時にコイルバネは当然に圧縮から伸張作動する。そうするとワイヤ縮径位置がばね伸張作動時のばね応力の反動によりワイヤ挿通パイプ外で自在に高位置に飛躍してワイヤのループ部が害獣脚体の可及的上部位置を捕縛することができる。このように、ワイヤ縮径付勢機構を構成するコイルバネを筒状のワイヤ挿通パイプ内に圧縮収納することなく大気露出状態としているために確実に害獣脚体の可及的上部位置を捕縛することができ害獣の捕縛効率を向上する効果がある。
【0009】
仮に従来の様にワイヤ縮径付勢機構を構成するコイルバネを筒状のワイヤ挿通パイプ内に圧縮収納すると、当然に踏板に連動して作動するワイヤが縮径変動する時にコイルバネは圧縮から伸張作動するがばね伸張作動時のばね応力の反動はワイヤ挿通パイプで規制されてばねの反動をワイヤ挿通パイプ外で自在に発現することができず、結果的にワイヤ縮径位置がばね伸張作動時のばね応力の反動を受けてワイヤ挿通パイプ外で自在に高位置に飛躍するという予想外の現象を期待することができない。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、左右側のワイヤ保持体にコイルバネを架設したため、害獣脚体が踏板を上面から踏み害獣捕獲具の捕獲動作の開始時において、左右のワイヤ保持体がコイルバネの圧縮応力により接近するように作動し、ワイヤのループ部を跳ね上げて害獣脚体の可及的上部を捕縛することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態における害獣捕獲具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態における基盤を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるワイヤ保持体を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態における害獣捕獲部の作動前の状態を示す正面図である。
【
図5】本発明の実施形態における害獣捕獲部の作動開始時の状態を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態におけるワイヤガイド部材を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態におけるワイヤ縮径付勢機構の作動前の内部構造を示す平面図である。
【
図8】本発明の実施形態におけるワイヤ縮径付勢機構の作動後の内部構造を示す平面図である。
【
図9】本発明の実施形態におけるストッパー機能部材の作動前の内部構造を示す模式断面図である。
【
図10】本発明の実施形態におけるストッパー機能部材の作動後の内部構造を示す模式断面図である。
【
図11】本発明の実施形態における左右のワイヤ保持体のコイルバネをワイヤ保持体の外周面に設けた構成を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
【
図12】本発明の実施形態における左右のワイヤ保持体のコイルバネをワイヤ保持体の上部に設けた構成を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
【
図13】本発明の実施形態における害獣捕獲具の作動前後の形態を示す模式的な側面図であり、(a)は害獣捕獲具の作動前の状態を示す図であり、(b)は害獣捕獲具の作動が開始した状態を示す図であり、(c)は害獣脚体を捕縛した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の要旨は、周縁に側壁を立ち上げた基盤と、前記基盤の側壁に囲まれた空間内に収納した踏板と、踏板の左右中央部に基端部分を枢支し踏板をトリガーとして起立付勢される左右側の半円弧状ワイヤ保持体と、半円弧状の左右ワイヤ保持体の倒伏状態において半円弧外周面を囲繞する捕獲ワイヤと、左右ワイヤ保持体を囲繞するワイヤのループ部の自由端部を外方に引っ張り付勢すると共に、ループ部の縮径付勢も行うワイヤ縮径付勢機構とより構成し、しかも、ワイヤ縮径付勢機構を構成するコイルバネは筒状のバネケース内に圧縮収納することなく大気露出状態として、踏板に連動して作動するワイヤ縮径時にコイルバネが圧縮から伸張作動する時にワイヤ縮径位置がばね伸張作動時のばね応力の反動により高位置に飛躍してワイヤのループ部が害獣脚体の可及的上部位置を捕縛するように構成したことに特徴を有する。
また、左右のワイヤ保持体にコイルバネを架設したことにも特徴を有する。
【0013】
この発明の実施例を図面に基づき詳説する。なお、
図1から
図12は、本発明の害獣捕獲具Aの構成要素を説明する図である。
図13は、本発明の害獣捕獲具Aの作動状態を示す図である。
【0014】
害獣捕獲具Aは、
図1に示すように、害獣脚体Vを緊縮するための捕獲ワイヤ1と、害獣脚体Vを捕縛するために捕獲ワイヤ1を跳ね上げる害獣捕獲部2と、害獣捕獲部2の捕獲ワイヤ1を縮径するための縮径作動部3とで構成している。
【0015】
捕獲ワイヤ1は、複数の金属線を撚り合わせて1本のワイヤ形態としており、害獣捕獲部2に設けた輪状のループ部1aと、縮径作動部3に設けたワイヤ自由端部1bとを有する。捕獲ワイヤ1は、ワイヤ自由端部1bを害獣捕獲部2から離反する方向に引張ることで害獣捕獲部2に設けた輪状のループ部1aを縮径して害獣脚体Vを捕縛できる。
【0016】
害獣捕獲部2は、基盤20と、基盤20に載置したワイヤ保持体21とを有する。
【0017】
基盤20は、
図2に示すように、平面視略円形状で上下を開口した内部中空状の円筒体であり、側壁200を有する。側壁200は、少なくとも害獣脚体Vの蹄先端(蹄尖部)から蹄基端(蹄冠部)までの長さ以上又は脚体底面からくるぶし部までの長さ以上の高さに構成されている。例えば、イノシシのような偶蹄目を捕獲対象とした場合、害獣脚体Vの蹄先端(蹄尖部)から蹄基端(蹄冠部)までの長さ以上に側壁200の高さを構成し、アライグマのような蹄のない動物を捕獲対象とする場合、害獣の足底面からくるぶし部までの高さ以上に側壁200の高さを構成する。このように構成した側壁200の上部には、ワイヤ保持体21を載置している。
【0018】
ワイヤ保持体21は、
図3に示すように、側壁200内側の中空部に収納した踏板210と、踏板210の上面周縁部であって前後に対向立設したブラケット211,211と、前後のブラケット211,211に基端部を枢支した半円弧状ワイヤ保持体である左右のワイヤガイド212,212と、左右のワイヤガイド212,212に架設したコイルバネ213,213とを有する。
【0019】
踏板210は、平面視において、略円形状で側壁200の内径よりも小径とし、側壁200の高さの略1/15の厚みとしている。これにより、踏板210は、側壁200の内周面201に沿って降下できる。
【0020】
ブラケット211は、踏板210に載置固定された水平面部211aと、水平面部211aの前後いずれかの端部であって踏板210の中央部から最も離隔した側の端部から上方に屈曲伸延した鉛直面部211bとを有する。水平面部211aおよび鉛直面部211bは、いずれも矩形板状に形成されている。ブラケット211は、水平面部211aと鉛直面部211bとにより側面視略L字状に形成されている。
【0021】
水平面部211aは、踏板210の中央部寄りの隅部近傍に固定用孔部211c,211cを有する。水平面部211aは、ビスやボルト等の固定手段を固定用孔部211cに挿通し、先端部を踏板210に螺合することで固定されている。
【0022】
鉛直面部211bは、略中央部近傍に設けた枢支部211d,211dと、左右上端部近傍に設けた跳ね上がり防止用孔部211e,211eとを有する。枢支部211dおよび跳ね上がり防止用孔部211eは、いずれも鉛直面部211bを前後に貫通した円形の小孔である。
【0023】
枢支部211dには、ボルトとナットからなる回動軸体211fを挿通している。枢支部211dは、回動軸体211fを介して略U字状に形成されたワイヤガイド212の前後基端部を回動自在に支持している。
跳ね上がり防止用孔部211eは、罠設置時において、跳ね上がり防止用孔部211eと略同径であって円柱状に形成した跳ね上がり防止ピンを挿通している。これによりワイヤガイド212は、罠設置時において、跳ね上がり防止ピンと係合して不用意な跳ね上げ動作が規制される。なお、罠設置後には、跳ね上がり防止用孔部211eから跳ね上がり防止ピンを引き抜きワイヤガイド212の回動規制を解除している。
【0024】
ワイヤガイド212は、枢支部211dに回動自在に連結した前後の基端枢支部212a,212aと、基端枢支部212aの他端部に連結した半円弧状のワイヤ保持部212bとを有する。ワイヤガイド212は、基端枢支部212aとワイヤ保持部212bとで略U字状に形成されている。左右のワイヤガイド212は、U字状の開口部を対向して左右に倒伏状態で設けられている。ワイヤガイド212は、ワイヤ保持部212bの外周面の略中央部に円弧形態に沿って穿設したワイヤガイド溝212b1を有する。ワイヤガイド溝212b1には、捕獲ワイヤ1を遊嵌している。このように倒伏状態の左右のワイヤガイド212のワイヤガイド溝212b1に捕獲ワイヤ1を遊嵌することで捕獲ワイヤ1は、罠設置状態において、害獣捕獲部2に害獣脚体Vを捕縛するためのループ部1aを形成している。
【0025】
また、ワイヤガイド212は、対向配置した左右のワイヤガイド212,212間にコイルバネ213を介設している。コイルバネ213は、基端枢支部212aとワイヤ保持部212bの連結部近傍であってワイヤガイド212の内周面にボルト等の固定手段により伸張状態で固定されている。これにより、左右のワイヤガイド212,212は、害獣捕獲具Aが作動するとコイルバネ213が収縮するための弾性力により枢支部211dを中心として上方に回動できる。すなわち、害獣捕獲具Aは、左右のワイヤガイド212,212をコイルバネ213の弾性力で上方に回動させることにより、捕獲ワイヤ1のループ部1aを害獣脚体Vの上部近傍まで迅速に跳ね上げることができる。
【0026】
また、捕獲ワイヤ1において、ループ部1aを縮径するための引張り応力は、後述の縮径作動部3に設けたコイルバネ313の弾性作用により生起される。捕獲ワイヤ1は、罠設置時において、害獣捕獲部2から離反する方向にコイルバネ313で常時付勢されている。したがって、ループ部1aは、コイルバネ313の作用により常時縮径しようと緊張状態にある。
【0027】
ワイヤ保持体21は、上述のように、左右のワイヤガイド212,212間に介設したコイルバネ213が収縮しようとする弾性力、および後述する縮径作動部3のコイルバネ313が伸張しようとする弾性力によって、ワイヤガイド212の起立作動、あるいは倒伏作動を行う。かかる左右のワイヤガイド212,212を捕獲ワイヤ1の付勢に抗して倒伏した略水平状態とすることにより害獣捕獲具Aのトラップ機能の準備が完了する。
【0028】
ワイヤガイド212は、ワイヤ保持部212bが回動軸体211fの水平位置に対して上側、下側のいずれに位置するかによって回動方向が規定される。すなわち、ワイヤ保持部212bが回動軸体211fの水平位置に対して下側に位置する場合、ループ部1aの縮径応力およびコイルバネ213が収縮しようとする弾性力は、ワイヤガイド212を下方に回動させるように作用する。また、ワイヤ保持部212bが回動軸体211fの水平位置に対して上側に位置する場合、ループ部1aの縮径応力およびコイルバネ213が収縮しようとする弾性力は、ワイヤガイド212を上方に回動させるように作用する。
【0029】
このワイヤ保持部212bの上下変位は、踏板210の上下変位に連動して変化する。この回動軸体211fに対するワイヤ保持部212bの上下変位について、
図4および
図5を参照して説明する。
【0030】
踏板210とワイヤガイド212は、ブラケット211を介して連結されており、踏板210が沈降すると、ブラケット211を介してワイヤガイド212の基端枢支部212aの基端部が沈降する。この際、ワイヤ保持部212bは、下面が側壁200上面と接触しているため、上下位置が変動しない。これにより、ワイヤ保持部212bは、回動軸体211fの水平位置に対して相対的に上下変位できる。
【0031】
以上のように、左右のワイヤガイド212,212は害獣脚体Vによる踏板210の沈降動作を契機として左右のワイヤガイド212,212の形態を、基端枢支部212aからワイヤ保持部212bにかけて下方傾斜状態とした正面視略“ヘ”字状態から、基端枢支部212aからワイヤ保持部212bにかけて上方傾斜状態とした正面視略逆“へ”字状態に変態し、ワイヤ保持部212bをコイルバネ213が縮もうとする弾性力で近接させることにより、捕獲ワイヤ1のループ部1aを害獣脚体Vの上部位置まで跳ね上げることができる。この際、捕獲ワイヤ1のループ部1aは、縮径作動部3により縮径作動しながら上方に変位している。
なお、害獣捕獲具Aの作動前においては、ワイヤガイド212の上方への回動は、跳ね上がり防止用孔部211eに挿通した跳ね上がり防止ピンにより規制されている。また、ワイヤガイド212の下方への回動は、鉛直面部211bに設けた下方回動規制ピン211gで規制されている。これにより、左右のワイヤガイド212は、罠設置状態において、略水平状態に維持されて不用意に害獣捕獲具Aが作動することを規制している。
【0032】
また、上述したように、本実施形態において、コイルバネ213が左右のワイヤガイド212,212の内周面に介設された構成を例示したが、コイルバネ213の固定箇所はこれに限定されることはない。例えば、
図11や
図12に示すように、左右のワイヤガイド212,212の外周面、または、上部に架設されていてもよい。
【0033】
コイルバネ213を左右のワイヤガイド212,212の外周面に架設する場合、
図11(a),(b)に示すように、ワイヤガイド212は、基端枢支部212aとワイヤ保持部212bの連結部の近傍からワイヤガイド212の外方に突出した係合ピン214を有する。左右のワイヤガイド212,212は、係合ピン214,214間にコイルバネ213を架設している。コイルバネ213は、害獣捕獲具Aの設置状態において、後述する縮径作動部3の前キャップ体310の下方に設けられている。このようにワイヤ保持体21を構成したことで害獣脚体Vが踏板210を下方に変位するように押圧すると、踏板210の沈降に伴い左右のワイヤガイド212,212の係合ピン214,214に架設したコイルバネ213がワイヤガイド212の回動軸体211fに対して相対的に上昇する。その結果、コイルバネ213が前キャップ体310の下面を上側に向けて押圧する。
したがって、左右のワイヤガイド212,212の外周面にコイルバネ213を架設すると、害獣捕獲具Aの作動時において、ループ部1aを上昇させる方向に前キャップ体310をコイルバネ213で押圧でき、ワイヤガイド212の上昇作動を補助してワイヤ保持部212bの回動速度を上昇させることができる。
【0034】
また、コイルバネ213を左右のワイヤガイド212,212の上部に架設する場合、
図12(a),(b)に示すように、ワイヤガイド212は、基端枢支部212aとワイヤ保持部212bの連結部近傍に上方に向けて突設した係合ピン215を有する。コイルバネ213は、左右のワイヤガイド212に突設した係合ピン215に左右端部をそれぞれ係止している。
【0035】
このため、コイルバネ213の左右端部を左右のワイヤガイド212,212に設けた係合ピン215にそれぞれ係止して左右のワイヤガイド212,212を“へ”字状となるように変態することで、左右のワイヤガイド212には、ワイヤガイド212のワイヤ保持部212bを回動軸体211fを中心として上方に回動しようとする付勢力がコイルバネ213により生起されている。
【0036】
このように左右のワイヤガイド212,212の上部にコイルバネ213を架設する場合、害獣捕獲具Aの罠設置状態において、ワイヤガイド212には、コイルバネ213によるワイヤ保持部212bを上方に回動しようとする付勢力と、後述する縮径作動部3のコイルバネ313によるループ部1aの縮径作用により、ワイヤ保持部212bを下方に回動しようとする付勢力が生起されている。
【0037】
この際、ワイヤガイド212は、コイルバネ213によるワイヤ保持部212bを上方に回動しようとする付勢力よりもコイルバネ313によるワイヤ保持部212bを下方に回動しようとする付勢力が勝っていることで略水平状態に固定されている。
このように、コイルバネ213をワイヤガイド212の上部に取り付けることで、ワイヤガイド212を常時上方に回動しようとする付勢力が生起されて、害獣捕獲具Aの罠作動時において、罠作動後のワイヤガイド212の回動をしやすくできる。
【0038】
このようにコイルバネ213は、左右のワイヤガイド212,212間に架設されたコイルバネ213の収縮作用により、左右のワイヤガイド212,212のワイヤ保持部212bの上方への回動を助ける構造であればどのように構成されていてもよい。
【0039】
縮径作動部3は、ループ部1aが縮径する際の捕獲ワイヤ1の引張り方向を規定するワイヤガイド部材30と、ワイヤガイド部材30の後部に設けたワイヤ縮径付勢機構31と、ワイヤ縮径付勢機構31の後端部に連設したストッパー機能部材32と、を有する。
【0040】
ワイヤガイド部材30は、
図6に示すように、捕獲ワイヤ1の先端部を固定するワイヤ固定部300と、捕獲ワイヤ1の引張り方向を規定するワイヤ挿通部301と、を有する。ワイヤ固定部300およびワイヤ挿通部301は、略矩形板状に形成されている。ワイヤガイド部材30は、ワイヤ固定部300とワイヤ挿通部301とで平面視略“へ”字状に形成している。
ワイヤ固定部300は、略中央部に捕獲ワイヤ1と略同径の固定孔部を穿設している。捕獲ワイヤ1は、ワイヤ固定部300の固定孔部に先端部を挿通し、挿通後の先端部に固定孔部に設けた孔径よりも大径の固定部材をカシメることでワイヤ固定部300に固定している。
ワイヤ挿通部301は、略中央部に前後に貫通したガイド孔部302を有する。捕獲ワイヤ1の他端部は、ガイド孔部302を通じてワイヤ縮径付勢機構31に挿通している。
【0041】
ワイヤ縮径付勢機構31は、
図6~
図8に示すように、ワイヤガイド部材30の後面に連設した前キャップ体310と、前キャップ体310の後方に前キャップ体310から一定距離離間して設けたワイヤ挿通パイプ311と、ワイヤ挿通パイプ311の後端部に設けた後キャップ体312と、ワイヤ挿通パイプ311に一部を収納し、前後のキャップ体310,312で圧縮状態に挟持されたコイルバネ313と、後キャップ体312の後面に連設したストッパー機能部材32と、を有する。
【0042】
前キャップ体310は、前面部310aと、前面部310aの周縁部から後方に屈曲伸延した側壁面部310bとを有する。前キャップ体310は、前面部310aと側壁面部310bとで略キャップ状に形成されている。前面部310aは、中央部に捕獲ワイヤ1を挿通するための挿通孔部310cを有する。前キャップ体310は、後述するコイルバネ313の前部を収納しており、コイルバネ313の前端部が前面部310aの裏面に当接している。
【0043】
ワイヤ挿通パイプ311は、前後を開口した内部中空状の円筒体である。ワイヤ挿通パイプ311は、後端部を後キャップ体312で囲繞されており、後開口部311aを後キャップ体312で閉塞している。
【0044】
後キャップ体312は、後面部312aと、後面部312aの周縁部から前方に屈曲伸延した側壁面部312bとを有する。後キャップ体312は、後面部312aと側壁面部312bとで略キャップ状に形成されている。
後面部312aは、中央部に捕獲ワイヤ1が挿通するためのワイヤ挿通孔部312cを有する。側壁面部312bは、内径をワイヤ挿通パイプ311の外径よりも大径としている。これにより、ワイヤ挿通パイプ311は、後端部が後キャップ体312に囲繞され、後開口部311aが後キャップ体312の後面部312aで閉塞される。このように構成したワイヤ挿通パイプ311には、コイルバネ313の後部が収納されている。
【0045】
コイルバネ313は、
図7に示すように、害獣捕獲具Aの作動前状態において、前キャップ体310の前面部310aと後キャップ体312の後面部312aとで押圧され、圧縮状態で設置されている。コイルバネ313は、前キャップ体310に収納された前収納部313aと、ワイヤ挿通パイプ311および後キャップ体312に収納された後収納部313cと、大気に露出状態の露出部313bとを有する。
【0046】
コイルバネ313は、前収納部313a、後収納部313c、及び露出部313bを有し、これらは全て同一外径に構成している。コイルバネ313の外径は、前キャップ体310の内径、ワイヤ挿通パイプ311の内径、および後キャップ体312よりも小径としている。これにより、コイルバネ313は、害獣捕獲具Aが作動した際、ワイヤ挿通パイプ311の内側壁面に干渉することなく伸張できる。すなわち、ワイヤ挿通パイプ311の内側壁面によってコイルバネ313の伸張弾性力が阻害される虞がなく伸張でき、捕獲ワイヤ1のループ部1aを可及的速やかに縮径できる。
【0047】
また、コイルバネ313は、害獣捕獲具Aの罠設置状態において、前キャップ体310とワイヤ挿通パイプ311の間に露出部313bを有する。これにより、コイルバネ313は、害獣脚体Vで踏板210が上方から下方に向けて押圧されて側壁200内を沈降し、ワイヤガイド212が跳ね上げ動作を開始すると、捕獲ワイヤ1のループ部1aの上昇動作に追従してワイヤ挿通パイプ311の前端部から露出した露出部313bが上昇動作を開始する。
このように、ワイヤ挿通パイプ311の前端部を前キャップ体310の後端部から離間してコイルバネ313に露出部313bを形成することで、コイルバネ313の前部がワイヤガイド212の跳ね上げ動作と連動して上方に移動でき、捕獲ワイヤ1のループ部1aを害獣脚体Vの上部位置まで容易に跳ね上げることができる。
【0048】
ストッパー機能部材32は、
図9および
図10に示すように、後キャップ体312の後面に連設したテーパー状の内周壁面320aを有する外筒320と、外筒320に収納した内筒321と、外筒320に収納され前方に内筒321を付勢するスプリング322と、で構成している。
【0049】
外筒320は、前後端部を閉塞した中空状の円筒体である。外筒320の前後面には、捕獲ワイヤ1と略同径の挿通孔部320b,320cを穿設している。また、外筒320は、内周壁面320aの前側に前端部にかけて漸次径が狭くなるテーパー部320dを有する。テーパー部320dの近傍には、内筒321を設けている。
【0050】
内筒321は、前後端部を開口した中空の円筒体であり、周面にボール挿通孔321aを有する。ボール挿通孔321aには、ボール321bを遊嵌している。内筒321の後部には、スプリング322を配設している。内筒321は、外筒320内部において、スプリング322により前側に付勢されている。すなわち、内筒321は、スプリング322により外筒320のテーパー部320d側に常時付勢されている。
【0051】
このように構成したストッパー機能部材32によるワンウェイ流通規制の作動について説明する。ストッパー機能部材32は、捕獲ワイヤ1がテーパー縮径側(
図9の上側)に引っ張られると、ボール挿通孔321aに遊嵌したボール321bが外筒320のテーパー部320dに当接して内筒321の中心方向に変位することになり、ワイヤ自由端部1bを押圧固定してワイヤ自由端部1bとストッパー機能部材32とが一体不動の状況を形成する。
【0052】
このように、害獣捕獲具Aにおいて、ストッパー機能部材32を備えることでワイヤ縮径付勢機構31は、ループ部1aを縮径させるとともに縮径したループ部1aが緩むことを防止でき、確実な害獣脚体Vの捕縛を可能とする。
【0053】
捕獲ワイヤ1のループ部1aがワイヤガイド溝212b1に囲繞され、捕獲準備が完了した時点において、コイルバネ313は、
図7に示すように、極限まで圧縮されて伸張付勢力を貯め込んだ状態でワイヤ縮径付勢機構31のワイヤ挿通パイプ311にその一部(後収納部313c)が収納されている。かかる圧縮状態のコイルバネ313は、捕獲ワイヤ1のループ部1aをともなった固定形態のもとに圧縮状態が維持されている。すなわち、捕獲ワイヤ1はストッパー機能部材32にてワイヤ自由端部1bの一部を固定され、他端のループ部1aをワイヤガイド溝212b1に係合することで不動状態に固定されている。従って、圧縮されたコイルバネ313は、伸張付勢を解除することができず圧縮状態のままで収納されている。
【0054】
かかる状態で踏板210が踏まれて側壁200内を沈降し、ワイヤガイド212が起立すると捕獲ワイヤ1のループ部1aがワイヤガイド212から離脱してループ状態の維持規制がなくなりワイヤ挿通パイプ311内に圧縮収納されていたコイルバネ313は圧縮解除されて弾性方向に伸張する。この際に、コイルバネ313は、前キャップ体310および後キャップ体312を押圧し、これらを前後方向にそれぞれ変位させることでループ部1aが縮径する。このように、コイルバネ313の伸張付勢作動が捕獲ワイヤ1のループ部1aの縮径作動を生起し、害獣脚体Vの緊縛機能を果たすことになる。
【0055】
ワイヤ縮径付勢機構31を構成するコイルバネ313は、筒状のワイヤ挿通パイプ311内から一部を露出しており、圧縮状態の規制が解除されるとコイルバネ313は当然に圧縮から伸張作動する。そうするとワイヤ縮径位置がばね伸張作動時のばね応力の反動により大気圏内で自在に高位置に飛躍して捕獲ワイヤ1のループ部1aが害獣脚体Vの可及的上部位置を捕縛することができる。このように、ワイヤ縮径付勢機構31を構成するコイルバネ313を筒状のワイヤ挿通パイプ311からその一部を収納することなく大気露出状態としているために確実に害獣脚体Vの可及的上部位置を捕縛することができ害獣脚体Vの捕縛効率を向上する効果がある。
【0056】
仮に従来の様にワイヤ縮径付勢機構31を構成するコイルバネ313を筒状のワイヤ挿通パイプ311内に圧縮収納すると、当然に踏板210に連動して作動する捕獲ワイヤ1が縮径変動する時にコイルバネ313は圧縮から伸張作動するがばね伸張作動時のばね応力の反動はワイヤ挿通パイプ311で規制されてコイルバネ313の反動を大気圏内で自在に発現することができず、結果的にワイヤ縮径位置がばね伸張作動時のばね応力の反動を受けて大気圏内で自在に高位置に飛躍するという予想外の現象を期待することができない。
【0057】
また、基盤20の側壁200の高さは、少なくとも害獣脚体Vの蹄先端(蹄尖部)から蹄基端(蹄冠部)までの長さ以上又は害獣の足底面から害獣の脚体のくるぶし部までの高さ以上としている。かかる基盤20の側壁200の高さが一定の規定高さとすることにより、害獣脚体Vを確実に捕縛することができる。すなわち、害獣脚体Vが踏板210を踏んだ際に、踏板210が基盤20内へと沈降する沈降代(側壁200の高さ)を大とすることにより、捕獲ワイヤ1のループ部1aが害獣脚体Vの可及的上方で縮径するように構成されている。
【0058】
[害獣捕獲具Aの作用]
このように構成した害獣捕獲具Aは、次のように機能する。すなわち、害獣脚体Vが害獣捕獲部2の踏板210を踏んだ際に捕獲ワイヤ1のループ部1aのループ規制が解除されてワイヤ縮径付勢機構31により捕獲ワイヤ1が引張られループ部1aが縮径して害獣脚体Vを捕縛する。以下、
図13を参照して時系列にその作用と機能を説明する。時系列は(i)から(vi)の6段階から構成されており、これらを経時的に説明していく。なお、
図13(a)は害獣捕獲具A作動前の状態を示し、
図13(b)は害獣捕獲具Aが作動した直後の作動状態を示し、
図13(c)は害獣捕獲具Aにより害獣脚体Vを捕縛した状態を示す図である。
【0059】
(i)
基盤20の側壁200と係合する踏板210は、害獣脚体Vが踏板210を上方から踏むことによって、側壁200の内周面201に沿って基盤20の下方へと変位する。
【0060】
(ii)
ワイヤガイド212の半円弧状のワイヤ保持部212bは、踏板210の下方変位に伴い枢支部211dの水平位置よりも上方に変位する。
【0061】
(iii)
ワイヤガイド212は、捕獲ワイヤ1のループ部1aの縮径応力およびワイヤガイド212に架設したコイルバネ213の収縮しようとする弾性力により起立姿勢に変位する。
【0062】
(iv)
捕獲ワイヤ1のループ部1aは、ワイヤガイド212の起立姿勢への変位に追従して害獣脚体Vの上部位置に誘導され、ワイヤガイド溝212b1から離脱することによって縮径規制が解除される。この際、コイルバネ313は、ワイヤ挿通パイプ311の前端部近傍の露出部313bから上方に変位することで露出部313bおよび前収納部313aの伸張弾性力が斜め前上方側に作用する。これにより、前キャップ体310は、斜め前上方に移動してループ部1aを縮径する。
【0063】
(v)
ワイヤ縮径付勢機構31においては、ワイヤ挿通パイプ311に収納した圧縮状態のコイルバネ313が伸張してワイヤガイド部材30および前キャップ体310をループ部1a側に移動させると共に、ストッパー機能部材32を介して捕獲ワイヤ1のワイヤ自由端部1bをループ部1aから離反する方向に移動させることでループ部1aを縮径する。
【0064】
(vi)
縮径規制が解除されたループ部1aは、ワイヤ縮径付勢機構31によって縮径作動する。つまり、ループ部1aは、ワイヤガイド212の跳ね上がり動作によって害獣脚体Vの上部位置に向けて移動しながら縮径して害獣脚体Vを捕縛する。
【0065】
害獣捕獲具Aは、以上の構成とすることで、簡易的な構成であるにもかかわらず最短距離と最短時間で害獣脚体Vの上部位置まで捕獲ワイヤ1を跳ね上げ縮径作動を実施して確実に害獣を捕縛することができる。
【0066】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0067】
1 捕獲ワイヤ
1a ループ部
1b ワイヤ自由端部
2 害獣捕獲部
20 基板
200 側壁
201 内周面
21 ワイヤ保持体
210 踏板
211 ブラケット
211a 水平面部
211b 鉛直面部
211c 固定用孔部
211d 枢支部
211e 跳ね上がり防止用孔部
211f 回転軸体
212 ワイヤガイド
212a 基端枢支部
212b ワイヤ保持部
212b1ワイヤガイド溝
213 コイルバネ
214,215 係合ピン
3 縮径作動部
30 ワイヤガイド部材
300 ワイヤ固定部
301 ワイヤ挿通部
302 ガイド孔部
31 ワイヤ縮径付勢機構
310 前キャップ体
310a 前面部
310b 側壁面部
310c 挿通孔部
311 ワイヤ挿通パイプ
311a 後開口部
312 後キャップ体
312a 後面部
312b 側壁面部
312c ワイヤ挿通孔部
313 コイルバネ
313a 前収納部
313b 露出部
313c 後収納部
32 ストッパー機能部材
320 外筒
320a 内周壁面
320b 挿通孔部
320c 挿通孔部
320d テーパー部
321 内筒
321a ボール挿通孔
321b ボール
322 スプリング
A 害獣捕獲具
V 害獣脚体