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特開2024-35022情報処理システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035022
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023008436
(22)【出願日】2023-01-24
(62)【分割の表示】P 2022136494の分割
【原出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】512313953
【氏名又は名称】株式会社ビズリーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】友部 博教
(72)【発明者】
【氏名】ウェン フック タット ダト
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人材の確保の確実性を向上させる情報処理システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】装置同士のデータのやり取りを仲介する通信回線と、サーバ装置と、人材管理処理に必要な情報をサーバ装置に入力するための複数の第1ユーザ端末と、人材管理処理により生成される情報を出力するための複数の第2ユーザ端末と、を備える人材管理システムであって、サーバ装置は、組織と人材との間に採用に関する関心が存在することを示す関心情報を取得する取得ステップと、取得した関心情報に基づいて、第1の組織と関心が競合する第2の組織を特定する特定ステップと、第2の組織に関する情報を採用競合情報として出力する出力ステップと、を含む人材管理処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
取得ステップでは、組織と人材との間に採用に関する関心が存在することを示す関心情報として、前記組織の名称が含まれている情報を取得し、
特定ステップでは、取得された前記関心情報に基づいて、第1の組織と前記関心が競合する第2の組織を特定し、
出力ステップでは、前記第2の組織に関する情報を採用競合情報として出力する、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記取得ステップでは、前記組織と人材との連絡に関する情報から、当該組織と人材とについての前記関心情報を取得する、もの。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記特定ステップでは、前記第1の組織を含む複数の組織に前記関心が存在する共通人材の数に基づき前記第2の組織を特定する、もの。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記特定ステップでは、前記共通人材を有する組織に前記関心が存在する人材の数と、当該共通人材の数との割合に基づき前記第2の組織を特定する、もの。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記特定ステップでは、組織が人材に関心を示す割合と、人材が組織に関心を示される割合とに基づいて前記第2の組織を特定する、もの。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記特定ステップでは、前記組織の業種ごと、前記採用の職種ごと又は前記人材の属性ごとに前記第2の組織を特定する、もの。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記採用競合情報は、前記関心が前記第1の組織と競合する度合いを示す情報である、もの。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記採用競合情報は、前記第2の組織の人材に対する待遇を示す情報である、もの。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理システムにおいて、
前記出力ステップでは、複数の組織が前記第2の組織として特定され、かつ、前記待遇が数値で表される場合、当該複数の組織の前記待遇の統計量を前記採用競合情報として出力する、もの。
【請求項10】
請求項8に記載の情報処理システムにおいて、
前記人材に対する待遇は、当該人材の年収である、もの。
【請求項11】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記採用競合情報は、前記関心が存在する人材が前記第2の組織に求める特性を示す情報である、もの。
【請求項12】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記採用競合情報は、前記第2の組織に関する複数項目の情報のうちのいずれかの項目の情報であり、
前記特定ステップでは、前記関心が前記第1の組織と競合する度合いを示す指標が閾値以上である組織を前記第2の組織として特定し、前記閾値は、出力される前記採用競合情報の項目に対応付けられた値である、もの。
【請求項13】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記出力ステップでは、特定された前記第2の組織の数に応じた態様で前記採用競合情報を出力する、もの。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理システムにおいて、
前記出力ステップでは、特定された前記第2の組織の数が少ないほど、前記第2の組織の特定が困難な態様で前記採用競合情報を出力する、もの。
【請求項15】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記関心情報は、人材に対して送信されてくる情報である、もの。
【請求項16】
方法であって、
コンピュータが、請求項1~請求項15のいずれか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行する、もの。
【請求項17】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1~請求項15のいずれか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させるための、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の職務指示内容を受取り、1つ以上のコンピュータシステムに複数の職務指示内容を送り、複数の職務指示内容に関連付けられる複数の志望者を受取り、複数の職務指示内容の少なくとも1つへの少なくとも一人の志望者の雇用を追跡し、少なくとも一人の志望者の就職斡旋に対する少なくとも1つの雇用側からの就職斡旋料の受領を処理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-224328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組織の運営のためにはその組織にとって有益な人材を確保することが重要であるが、そのような人材は、他の組織からも求められる場合がある。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、人材の確保の確実性を向上させることとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムにおける取得ステップでは、組織と人材との間に採用に関する関心が存在することを示す関心情報を取得する。特定ステップでは、取得された関心情報に基づいて、第1の組織と関心が競合する第2の組織を特定する。出力ステップでは、第2の組織に関する情報を採用競合情報として出力する。
【0007】
このような態様によれば、人材の確保の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】人材管理システム1の全体構成を示す図である。
図2】サーバ装置10のハードウェア構成を示す図である。
図3】第1ユーザ端末20のハードウェア構成を示す図である。
図4】各装置の制御部の機能構成を示す図である。
図5】情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
図6】第2の組織の候補の特定方法の一例を示す図である。
図7】採用競合度の例を示す図である。
図8】表示された採用競合情報の一例を示す図である。
図9】生成された採用競合情報の一例を示す図である。
図10】態様テーブルの一例を示す図である。
図11】態様テーブルの別の一例を示す図である。
図12】閾値テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集団体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態に係る人材管理システムのハードウェア構成について説明する。
【0014】
図1は、人材管理システム1の全体構成を示す図である。図1においては、人材管理システム1が備える各装置と、それらの装置を使用するユーザとの概要が示されている。各概要については、他の図も参照しながら随時説明する。
【0015】
人材管理システム1は、組織における人材の管理を支援するための人材管理処理を実行する情報処理システムである。ここで言う「組織」とは、人材を採用及び保有し、人材によって組織としての目的を遂行する集団のことである。組織には、例えば、企業等の民間組織と、官公庁及び地方公共団体等の公的組織とがどちらも含まれる。また、組織は、営利組織及び非営利組織のどちらであってもよいし、規模も問わない。
【0016】
上記組織が管理対象とする「人材」には、組織に既に所属している人材だけでなく、将来組織に所属する可能性がある人材、すなわち、組織が採用を検討し又は検討する可能性がある人材等が含まれる。それらの人材の管理は、組織にとって必要な人材を採用することと、組織にとって必要な人材の流出を防ぐこととを主な目的として行われる。
【0017】
人材管理システム1は、通信回線2と、サーバ装置10と、第1ユーザ端末20-1、20-2、20-3、・・・(以下それぞれを区別しない場合は「第1ユーザ端末20」と言う)と、第2ユーザ端末30-1、30-2、・・・(以下それぞれを区別しない場合は「第2ユーザ端末30」と言う)とを備える。
【0018】
通信回線2は、インターネット等を含み、自回線に接続する装置同士のデータのやり取りを仲介する。通信回線2には、サーバ装置10が有線で接続され、第1ユーザ端末20及び第2ユーザ端末30が無線で接続されている。なお、各装置の通信回線2との接続は有線でも無線でもよい。サーバ装置10は、第1ユーザ端末20及び第2ユーザ端末30とデータをやり取りしながら、人材管理処理を実行する情報処理装置である。
【0019】
第1ユーザ端末20は、主に、人材管理処理に必要な情報をサーバ装置10に入力するために用いられる端末である。第2ユーザ端末30は、主に、人材管理処理により生成される情報を出力するために用いられる端末である。
【0020】
第1ユーザ端末20は、例えば、図1に示す就職活動生及び転職検討者等の採用される側の者と、スカウト担当者等の採用する側の者との両方をユーザとする。一方、第2ユーザ端末30は、図1に示す人事担当者及び採用企画担当者等の採用する側の者をユーザとする。ここで言う採用する側の者は、いずれかの組織の人材に関する業務(人材採用又は人材管理等)に従事する者であり、組織に所属する者に限らず、組織から委託されてその業務に従事する者も含まれる。
【0021】
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、バス14とを備える。バス14は、サーバ装置10が備える各部を電気的に接続する。
【0022】
(制御部11)
制御部11は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、人材管理システム1に係る種々の機能を実現するコンピュータである。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0023】
(記憶部12)
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行される人材管理システム1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行される人材管理システム1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0024】
(通信部13)
通信部13は、サーバ装置10から種々の電気信号を外部の構成要素に送信可能に構成される。また、通信部13は、外部の構成要素からサーバ装置10への種々の電気信号を受信可能に構成される。さらに好ましくは、通信部13がネットワーク通信機能を有し、これにより通信回線2を介して、サーバ装置10と外部機器との間で種々の情報を通信可能に実施してもよい。
【0025】
図3は、第1ユーザ端末20のハードウェア構成を示す図である。第1ユーザ端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25と、バス26とを備える。バス26は、第1ユーザ端末20が備える各部を電気的に接続する。制御部21、記憶部22及び通信部23は、図2に示す制御部11、記憶部12及び通信部13と、スペック、モデル等は異なっていてもよいが、同様のハードウェアである。
【0026】
(入力部24)
入力部24は、キー、ボタン、タッチスクリーン及びマウス等を有し、ユーザによる入力を受け付ける。
【0027】
(出力部25)
出力部25は、ディスプレイ及びスピーカ等を有し、表示面に画面、画像、アイコン、テキスト等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された視覚情報を表示し、音声を含む音を出力する。
【0028】
第2ユーザ端末30は、第1ユーザ端末20と同様のハードウェア構成を備える。第2ユーザ端末30については、制御部31のみ、第1ユーザ端末20の制御部21と異なる符号を付して説明する。
【0029】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。前述の通り、各装置の記憶部に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部によって具体的に実現されることで、制御部に含まれる各機能部が実行されうる。
【0030】
図4は、各装置の制御部の機能構成を示す図である。サーバ装置10の制御部11は、サーバ表示部111と、ユーザ認証部112と、情報蓄積部113と、関心情報取得部114と、競合特定部115と、競合情報生成部116と、競合情報出力部117と、採用サービス部118とを備える。第1ユーザ端末20は、第1画面表示部211と、第1操作受付部212とを備える。第2ユーザ端末30は、第2画面表示部311と、第2操作受付部312とを備える。
【0031】
サーバ表示部111は、人材管理システム1に関するシステム画面を各端末に表示させるための処理を実行する。サーバ表示部111は、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)ファイルの生成及び送信等の処理を行い、システム画面を示すウェブページを第1ユーザ端末20及び第2ユーザ端末30に表示させる。なお、サーバ表示部111は、人材管理システム1を利用するためのアプリケーションの表示用データの生成及び送信等の処理を行ってもよい。
【0032】
ユーザ認証部112は、ユーザの認証に関する認証処理を実行する。サーバ装置10には、ユーザの認証情報(ユーザ識別情報及びパスワード等)が記憶されており、ユーザのうち、上述した採用する側の者については、採用元となる組織に対応付けられて認証情報が記憶されている。ユーザ認証部112は、例えば、図1に示す採用企画担当者がログインしてきた場合、その採用企画担当者が従事する組織のユーザとしての認証を行う。
【0033】
情報蓄積部113は、人材管理システム1によって管理される対象となる人材、すなわち、組織が採用を検討する人材及び組織が保有している人材等に関する情報を人材情報として蓄積する。関心情報取得部114は、組織と人材との間に採用に関する関心が存在することを示す関心情報を取得する取得部の一例である。ここでいう関心には、組織が人材に対して持つ関心と、人材が組織に対して持つ関心との両方が含まれる。このように、組織との間で採用に関する関心が存在する人材のことを以下では「採用関心者」と言う。人材情報及び関心情報の詳細は後述する。
【0034】
競合特定部115は、関心情報取得部114により取得された関心情報に基づいて、採用に関する関心が第1の組織と競合する第2の組織を特定する特定部の一例である。競合情報生成部116は、競合特定部115により特定された第2の組織に関する情報を採用競合情報として生成する。競合情報出力部117は、競合情報生成部116により生成された第2の組織に関する情報を採用競合情報として出力する出力部の一例である。第1の組織、第2の組織及び採用競合情報の詳細は後述する。
【0035】
採用サービス部118は、組織による人材の採用を支援するための処理を行う。例えば、サーバ装置10には、図1に示す就職活動生及び転職検討者等の就職を検討している多くの人材が登録されており、組織が採用したい人材の条件が入力されると、採用サービス部118は、その条件に合致する人材情報を出力する。また、採用サービス部118は、就職したい組織の条件が入力されると、その条件に合致する組織に関する情報を出力する。また、採用サービス部118は、組織及び人材の連絡(案内、問合せ、面接の日程調整等)を仲介する処理を行う。
【0036】
第1ユーザ端末20の第1画面表示部211は、サーバ装置10から送信されてきた画面データが示す人材管理システム1に関するシステム画面を表示する。第1操作受付部212は、第1ユーザ端末20を利用するユーザによる操作を受け付ける。第2ユーザ端末30の第2画面表示部311は、第1画面表示部211と同様に人材管理システム1に関するシステム画面を表示する。第2操作受付部312は、第2ユーザ端末30を利用するユーザによる操作を受け付ける。
【0037】
3.情報処理
本節では、本実施形態において、人材管理システム1を制御するコンピュータにプログラムが実行させる情報処理について説明する。
【0038】
図5は、情報処理の一例を示すアクティビティ図である。図5に示す情報処理は、大きく2つの処理に分けられる。1つ目は、上述した採用サービスを提供するための採用サービス処理であり、A11からA15までの処理で示されている。2つ目は、採用競合情報の提供サービスのための情報提供処理であり、A21以降の処理で示されている。
【0039】
まず、採用サービス処理について説明する。採用サービスを利用するユーザは、第1ユーザ端末20を利用するユーザ(本実施形態では図1に示す就職活動生、転職検討者及びスカウト担当者等)である。まず、第1ユーザ端末20は、A11において、第1画面表示部211により、採用サービスのログイン画面を表示し、第1操作受付部212により、採用サービスを利用しようとするユーザによるログインの操作(例えばユーザID及びパスワード等のログイン情報を入力する操作)を受け付ける。
【0040】
第1操作受付部212は、入力されたログイン情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、A12において、ユーザ認証部112により、送信されてきたログイン情報に基づいてユーザを認証する。第1ユーザ端末20は、A13において、第1画面表示部211により、採用サービスの利用画面を表示し、第1操作受付部212により、採用サービスの利用操作を受け付ける。サーバ装置10は、A14において、採用サービス部118により、ユーザが行った操作に応じた採用サービスに関する処理(採用サービス処理)を実行する。
【0041】
採用サービス部118は、例えば、ユーザが就職活動生及び転職検討者等の採用候補者の場合は、就職を希望する組織のマッチング処理、その結果の表示処理及びスカウト担当者との連絡の送受信処理等を行う。また、採用サービス部118は、ユーザがスカウト担当者の場合は、採用候補者への案内の送信処理、面接の通知処理、社内での面接結果の報告処理等を行う。
【0042】
サーバ装置10は、A15において、情報蓄積部113により、採用サービス処理により生成された人材情報(人材に関する情報)を蓄積する。情報蓄積部113は、例えば、ユーザが採用候補者の場合は、その採用候補者がマッチングのために入力した入力情報、マッチングの結果、就職先として検討した際の組織のホームページの閲覧履歴、採用のエントリーページへの入力情報及びスカウト担当者とやり取りした連絡事項等を人材情報として蓄積する。また、情報蓄積部113は、ユーザがスカウト担当者の場合は、そのスカウト担当者が採用候補者とやり取りした連絡事項及び社内で報告した採用候補者の評価情報等を人材情報として蓄積する。
【0043】
次に、情報提供処理について説明する。提供サービスを利用するユーザは、第2ユーザ端末30を利用するユーザ(本実施形態では図1に示す人事担当者及び採用企画担当者等)である。まず、第2ユーザ端末30は、A21において、第2画面表示部311により、提供サービスのログイン画面を表示し、第2操作受付部312により、提供サービスを利用しようとするユーザによるログインの操作を受け付ける。
【0044】
第2操作受付部312は、入力されたログイン情報をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、A22において、ユーザ認証部112により、送信されてきたログイン情報に基づいてユーザを認証する。ユーザ認証部112は、A22においては、ログインしてきたユーザが組織に対応付けられたユーザであるので、その組織のユーザとしての認証を行う。ユーザ認証部112は、認証した組織の識別情報を関心情報取得部114に供給する。
【0045】
次に、ログインしたユーザが、採用競合情報を要求する操作を行ったとする。第2ユーザ端末30は、A31において、第2操作受付部312により、その要求操作を受け付け、受け付けた操作内容を示す操作内容データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、操作内容データを受信すると、まず、A32において、関心情報取得部114により、上述した関心情報、すなわち、組織と人材との間に採用に関する関心が存在することを示す情報を取得する。
【0046】
関心情報取得部114は、本実施形態では、A15において情報蓄積部113に蓄積された人材情報から、組織の名称が含まれている情報を、その組織についての関心情報として取得する。例えば、企業E1という組織があった場合、企業E1の採用のために活動するスカウトと採用候補者とがやり取りした連絡事項及び採用候補者が企業E1を就職先として調べたときのホームページの閲覧履歴には、通常は企業E1の名称が含まれている。関心情報取得部114は、これらの情報を企業E1についての関心情報として取得する。
【0047】
サーバ装置10は、企業、官公庁及び地方公共団体等の名称を示す組織名称一覧を予め記憶しておく。関心情報取得部114は、この組織名称一覧を参照して、人材情報に名称が含まれている全ての組織について関心情報を取得する。次に、サーバ装置10は、A33において、競合特定部115により、第1の組織を決定する。競合特定部115は、図5の例では、採用競合情報の要求操作を行ったユーザに対応付けられた組織やユーザが所属する組織を第1の組織として決定する。
【0048】
続いて、サーバ装置10は、A34において、競合特定部115により、採用に関する関心が第1の組織と競合する第2の組織として特定する。ここでいう「競合」とは、2以上の組織が共通の人材を採用候補者として勧誘する関係(組織から人材への関心が競合)及び共通の人材が2以上の組織の採用募集にそれぞれ応募してくる関係(人材から組織への関心が競合)の他、同じ人物に一方が勧誘し他方は応募される関係(組織から人材への関心と人材から組織への関心とが競合)等も含まれる。いずれの場合も、採用活動において競合が生じたり、ヘッドハンティングとそれを防ぐ形での競合が生じたりする。なお、採用に関する関心が競合する第1の組織及び第2の組織との間では、そのような関心が存在する人材も競合することになる。
【0049】
競合特定部115は、本実施形態では、まず、A33において決定した第1の組織についての関心情報を参照し、それらの関心情報が示す人材を特定する。特定されたそれらの人材は、第1の組織との間に採用に関する関心が存在する人材、すなわち、第1の組織についての採用関心者である。採用関心者には、組織によって採用の候補者として関心を持たれている人材と、組織に対して就職したい組織の候補として関心を持っている人材との両方が含まれる。
【0050】
競合特定部115は、特定した第1の組織の採用関心者について取得された関心情報を参照し、それらの関心情報に名称が含まれる組織であり且つ第1の組織とは異なる組織を第2の組織の候補として特定する。この特定方法について、図6を参照して説明する。
【0051】
図6は、第2の組織の候補の特定方法の一例を示す図である。図6の例では、第1の組織の一例である企業E1の採用候補者の集団C1と、第2の組織の候補の一例である企業E2の採用候補者の集団C2とが示されている。集団C1及び集団C2が重なっている部分には、企業E1及び企業E2で共通する採用候補者の集団C3が示されている。集団C3に属する人材、すなわち、企業E1及び企業E2について共通して採用の関心が存在する人材を、以下では「共通人材」とも言う。
【0052】
共通人材には、例えば、第1の組織及び第2の組織の両方からスカウトされている人材、第1の組織及び第2の組織の両方の採用面接にエントリーしている人材、第1の組織からスカウトされ第2の組織の採用面接にエントリーしている人材又はその反対の人材等が含まれる。
【0053】
集団C1のうち企業E2との共通人材でない者の集団を集団C4とし、集団C2のうち企業E1との共通人材でない者の集団を集団C5とすると、集団C1=集団C3+集団C4、集団C2=集団C3+集団C5となる。競合特定部115は、図6の例の場合、まず、集団C1を企業E1の採用関心者として特定する。そして、競合特定部115は、集団C1について取得された関心情報を参照し、集団C1のうち集団C3には、企業E2の名称が含まれているので、企業E2との共通人材であるとみなして、企業E2を第2の組織の候補として特定する。
【0054】
競合特定部115は、特定した第2の組織の候補のうち、例えば、共通人材の数(集団C3に属する人材の数)が閾値以上である候補を、第2の組織として特定する。競合特定部115は、企業E2以外にも、共通人材が閾値以上存在する組織があれば、その組織を第2の組織として特定する。以上のとおり、競合特定部115は、第1の組織を含む複数の組織に採用の関心が存在する共通人材の数に基づき第2の組織を特定する。このような態様によれば、共通人材の数だけを計数すればよいので、複雑な演算を要する場合に比べて、第2の組織を容易に特定することができる。
【0055】
次に、サーバ装置10は、A35において、競合情報生成部116により、A34において特定された第2の組織に関する情報を採用競合情報として生成する。競合情報生成部116は、第2の組織について採用に関する関心が第1の組織と競合する度合い(以下「採用競合度」と言う)を示す情報を採用競合情報として生成する。競合情報生成部116は、例えば、図6の例であれば、集団C3÷(集団C3+集団C4+集団C5)=採用競合度D1と算出する。この場合、採用競合度D1は、Jaccard類似度を示す値となり、0より大きく1以下の値となる(第1の組織及び第2の組織で採用関心者が完全に重なっている場合に1になる)。
【0056】
図7は、採用競合度の例を示す図である。図7(a)では、企業E1と企業E2との採用競合度D11が示されている。図7(a)の例では、集団C3=20人、集団C4=40人、集団C5=40人であり、採用競合度D11=20÷(20+40+40)=0.2となっている。図7(b)では、企業E1と企業E3との採用競合度D12が示されている。図7(b)の例では、集団C3=20人、集団C4=40人、集団C5=15人であり、採用競合度D12=20÷(20+40+15)=0.27となっている。
【0057】
図7(c)では、企業E1と企業E4との採用競合度D13が示されている。図7(c)の例では、集団C3=20人、集団C4=40人、集団C5=80人であり、採用競合度D13=20÷(20+40+80)=0.14となっている。このように、採用競合度D1を用いた場合、共通人材の数が同じであっても、第2の組織が大きいほど採用競合度D1は小さくなり、第2の組織が小さいほど採用競合度D1は大きくなる。これは、第1の組織の場合でも同じ(共通人材の数が同じであっても、第1の組織が大きいほど採用競合度は小さくなり、第1の組織が小さいほど採用競合度は大きくなる)である。
【0058】
競合情報生成部116は、算出した採用競合度に基づいて、第1の組織及び第2の組織の採用競合度の大きさを視覚的に示す採用競合情報を生成する。サーバ装置10は、A36において、競合情報出力部117により、A35において生成された採用競合情報を第2ユーザ端末30に出力する。第2ユーザ端末30は、A37において、第2画面表示部311により、出力されてきた採用競合情報を表示する。
【0059】
図8は、表示された採用競合情報の一例を示す図である。図8では、第1の組織の一例である企業E1を中心としたエゴセントリックネットワークF1が示されている。ここで言うネットワークとは、所定の関係があるノード同士をエッジで接続してノード間の関係性を可視化した図である。エゴセントリックネットワークとは、特定のノードに着目してノード間の関係性を可視化した図である。エゴセントリックネットワークF1では、企業E1のノードN1が特定のノードとして着目されている。
【0060】
エゴセントリックネットワークF1では、ノードN1と、企業E1を第1の組織とした場合に第2の組織として特定される企業E2~企業E9を示すノードN2が、直接接続されて示されている。ノードN1とノードN2とを接続するエッジの長さは、採用競合度の大きさを示している。つまり、企業E1との採用競合度が大きい組織のノードN2ほど、ノードN1の近くに配置されている。なお、図8の例では、組織名の代わりに「企業E1」のような記号が示されているが、組織名が示されていてもよい。
【0061】
また、エゴセントリックネットワークF1においては、例えば、企業E1にとっての第2の組織である企業E2~企業E9を第1の組織とした場合に第2の組織として特定される組織である企業E10~企業E17を示すノードN3が点線で示されている。ノードN2とノードN3とを接続するエッジの長さも、採用競合度の大きさを示している。ノードN2及びノードN3は、それぞれ同一階層のノードを示している。ノードN1から見て、ノードN2は1階層目、ノードN3は2階層目となる。
【0062】
第2ユーザ端末30のユーザである企業E1の人事担当者及び採用企画担当者は、表示されたエゴセントリックネットワークF1を見ることで、企業E1の近くに配置されている組織ほど、また、企業E1からの階層が浅いほど、企業E1と採用関心者の採用に関する関心が競合する度合いが高くなることが分かる。このように、エゴセントリックネットワークF1が採用競合情報として出力されることで、第2の組織の影響を可視化することができる。
【0063】
本実施形態では、上記のとおり、第2の組織について採用に関する関心が第1の組織と競合する度合いを示す情報が採用競合情報として出力される。これにより、第1の組織は、どのような組織が人材の採用、ヘッドハンティング又はその防衛における競合となるのかが分かるので、採用に関する関心が競合する組織が分からない場合に比べて、対策を立てやすくなり人材の確保の確実性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、関心情報取得部114が、スカウトと採用候補者とがやり取りした連絡事項を関心情報として取得している。つまり、関心情報には、人材に対して送信されてくる情報が含まれている。この関心情報には、第1の組織から人材に対して送信されてくる情報だけでなく、採用が競合する第2の組織から人材に対して送信されてくる情報も含まれる。このような態様によれば、多くの組織から関心を持たれている人材の競合を特定することができる。
【0065】
<その他の実施形態>
【0066】
<採用競合度>
競合情報生成部116は、実施形態では、Jaccard類似度を示す値を採用競合度D1として算出したが、これに限らない。競合情報生成部116は、例えば、図6の例において、集団C3÷集団C1=採用競合度D2と算出してもよい。共通人材が同じ規模(図7の例では20人)であっても、採用競合度D1を用いた場合は上記のとおり第2の組織の採用関心者の規模の影響を受けたが、採用競合度D2を用いた場合は第2の組織の採用関心者の規模の影響を受けずに採用競合度を算出することができる。
【0067】
<採用競合情報>
採用競合情報は、実施形態で述べたものに限らない。採用競合情報は、実施形態では、エゴセントリックネットワークであったが、例えば、ソシオセントリックネットワーク(特定のノードに着目せずノード全体を示したネットワーク)であってもよい。これにより、採用市場全体における第1の組織の位置付けを把握することができる。また、採用競合情報は、各第2の組織の採用競合度を示す数値、記号、グラフ又は表等であってもよい。この場合でも、採用競合度が大きい組織が第1の組織にとって人材の採用における競合となることが分かる。
【0068】
また、採用競合情報は、第2の組織の人材に対する待遇を示す情報であってもよい。人材に対する待遇とは、例えば、年収(給与)、労働条件、評価制度、昇進制度及び福利厚生等である。競合情報出力部117は、複数の組織が第2の組織として特定され、かつ、年収のように待遇が数値で表される場合、それらの複数の組織の待遇の統計量を採用競合情報として出力してもよい。統計量とは、データから計算できる平均値等の値又はその計算方法を表す関数のことである。
【0069】
人材管理システム1においては、ユーザとして登録されている組織の従業員(人材)に対する待遇に関する情報(年収等)が記憶されているものとする。競合情報生成部116は、例えば、A34において特定された第2の組織における従業員の年齢及び年収の情報を読み出して、読み出した年収に基づいて年齢別の年収の目安を示すグラフを採用競合情報として生成する。以下では、人材に対する待遇が、その人材の年収である場合を例に挙げて説明する。
【0070】
図9は、生成された採用競合情報の一例を示す図である。図9では、縦軸が年収を示し、横軸が年齢を示すグラフF2が示されている。グラフF2には、第2の組織の従業員の年齢別の年収を示す点と、それらの点の回帰直線L1とが示されている。回帰直線L1は、複数の第2の組織の各年齢における年収という待遇の値を示す統計量である。競合情報生成部116は、例えば、読み出した年齢及び年収に基づいて最小二乗法を用いて回帰直線L1を算出し、図9に示すグラフF2を採用競合情報として生成する。
【0071】
競合情報出力部117は、生成された採用競合情報を出力する。グラフF2のような採用競合情報が出力されることで、第1の組織の人事担当者又は採用企画担当者は、第2の組織をベンチマークとすること(図9の例では第2の組織の年収をベンチマークとすること)ができる。具体的には、例えば、転職を防止したい人材又は採用したい人材がいた場合に、グラフF2を参考にしてその人材の年齢的に納得しやすい又は満足しやすい年収を設定することができる。
【0072】
なお、第2の組織の統計量は、回帰直線L1に限らず、例えば、平均値、中央値、中間値、最大値又は最小値等であってもよい。このように統計量で待遇を示すことで、例えば第2の組織の従業員が数人しかおらず採用競合情報から特定の個人の待遇が特定されるといったことを、防ぐことができる。なお、競合情報出力部117は、所定の状況である場合に待遇の統計量を採用競合情報として出力してもよい。
【0073】
所定の状況とは、例えば、特定された第2の組織の数が閾値未満又はその第2の組織の従業員の数が閾値未満等の状況である。これらは、待遇が採用競合情報として出力された場合に、特定の個人の待遇が特定されやすい状況である。このような状況では統計量を用いて個人の待遇が特定されないようにしつつ、その心配が少ない状況では統計量を用いないようにして、よりリアリティのある採用競合情報を出力することができる。
【0074】
また、採用競合情報は、採用の関心が存在する人材が第2の組織に求める特性を示す情報である。ここでいう特性とは、理念戦略、事業内容、仕事内容、組織文化及び制度待遇等である。これらの特性は、例えば、上述した採用サービスのマッチングを行うために入力され、サーバ装置10に記憶されるものとする。競合情報生成部116は、特定された第2の組織の採用関心者により入力された上記特性を読み出して採用競合情報を生成する。このような態様によれば、上記特性が採用競合情報として出力されない場合に比べて、人材がどのような特性を重視する傾向にあるか、すなわち、人材の志向性、を把握しやすくすることができる。
【0075】
競合情報出力部117は、ひとつの待遇情報だけでなく、例えば、年収、労働条件、評価制度、昇進制度及び福利厚生等のうちから2以上の待遇を示す情報を採用競合情報として出力してもよい。また、競合情報出力部117は、待遇情報に加え、前述した人材の志向性を示す情報を採用競合情報として出力してもよい。
【0076】
<採用競合情報の出力態様>
競合情報出力部117は、競合特定部115により特定された第2の組織の数に応じた態様で採用競合情報を出力してもよい。競合情報出力部117は、例えば、第2の組織の数と採用競合情報の出力態様とを対応付けた態様テーブルを用いて出力態様を決定する。
【0077】
図10は、態様テーブルの一例を示す図である。図10の例では、「Th1以上」、「Th1未満Th2以上」及び「Th2未満」という第2の組織の数に、「年収」、「年収・労働条件」及び「年収・労働条件・福利厚生」という採用競合情報の出力態様が対応付けられている。競合情報生成部116は、採用競合情報を生成する際に、特定された第2の組織の数に態様テーブルにおいて対応付けられている出力態様の採用競合情報を生成する。
【0078】
競合情報生成部116は、例えば、第2の組織の数がTh1未満Th2以上であれば、年収及び労働条件を採用競合情報として生成し、第2の組織の数がTh2未満であれば、年収、労働条件及び福利厚生を採用競合情報として生成する。これにより、競合情報出力部117は、第2の組織の数が少ないほど多くの項目の情報を採用競合情報として出力する。
【0079】
また、競合情報出力部117は、他にも、例えば、図8に示すエゴセントリックネットワークを採用競合情報として出力する場合に、第2の組織の数が多いほど階層の数を少なくする態様で採用競合情報を出力してもよい。これらの態様によれば、特定される第2の組織の数が増えても情報過多にならないようにして、採用競合情報の出力態様を一律にする場合に比べて、採用競合情報を読み取りやすくすることができる。
【0080】
また、競合情報出力部117は、競合特定部115により特定された第2の組織の数が少ないほど、第2の組織の特定が困難な態様で採用競合情報を出力してもよい。組織の特定が困難な態様とは、例えば、組織名を表示しない態様や年収等の数値で表される情報を統計量で示す態様などである。競合情報出力部117は、第2の組織の数と採用競合情報の出力態様とを対応付けた図10とは別の態様デーブルを用いて出力態様を決定する。
【0081】
図11は、態様テーブルの別の一例を示す図である。図11の例では、「Th3以上」、「Th3未満Th4以上」及び「Th4未満」という第2の組織の数に、「組織名あり、実際の数値」、「組織名あり、統計量」及び「組織名なし、統計量」という採用競合情報の出力態様が対応付けられている。競合情報生成部116は、採用競合情報を生成する際に、特定された第2の組織の数に態様テーブルにおいて対応付けられている出力態様の採用競合情報を生成する。
【0082】
第2の組織の数が少ないと、例えば特定の組織の平均年収が推測されやすくなる。また、組織名が明示されていると、平均年数が推測された組織がどこの組織なのか特定されやすくなる。そこで、図11に示すように第2の組織の数に応じて採用競合情報の出力態様を変化させ、抽象化することで、出力態様を一律にする場合に比べて、特定の組織と情報とを紐づけることが難しくなり、特定組織の情報を推測されにくくすることができる。
【0083】
<第2の組織の特定>
競合特定部115は、実施形態とは異なる方法で第2の組織を特定してもよい。競合特定部115は、例えば、共通人材を有する組織についての採用関心者(採用に関する関心が存在する人材)の数と、その共通人材の数との割合に基づき第2の組織を特定してもよい。例えば、図6の例において、企業E2が第2の組織としてまだ特定されていないものとする。その場合に、競合特定部115は、集団C3(共通人材の数)÷集団C2(企業E2についての採用関心者の数)が閾値以上である場合に、企業E2を第2の組織として特定する。
【0084】
共通人材の割合が大きい組織は、共通人材の重要性が高い組織であり、共通人材の採用に力を入れてくるため、第1の組織と採用が競合する度合いが大きくなりやすい。よって、上記のような態様によれば、共通人材の重要性が高い組織を第2の組織として特定することができる。
【0085】
また、競合特定部115は、組織が人材に関心を示す割合(以下「第1割合」と言う)と、人材が組織に関心を示される割合(以下「第2割合」と言う)とに基づいて第2の組織を特定してもよい。組織が人材に関心を示す割合とは、例えば、特定の組織がいずれかの人材に対してスカウトを行う割合である。例えば、その組織が100人の人材のうち10人をスカウトすれば、その組織の第1割合は1割となる。
【0086】
また、人材が組織に関心を示される割合とは、例えば、いずれかの組織から特定の人材がスカウトされる割合である。例えば、特定の人材が20社のうち4社からスカウトされれば、その人材の第2割合は2割となる。第1割合及び第2割合は、いずれも、値が大きいほど、採用の競合が生じやすい。競合特定部115は、第1割合及び第2割合のそのような性質を用いて、第1の組織にとって採用の競合が生じやすい組織を第2の組織として特定する。
【0087】
上記の例では、理論的には、現時点で第1の組織と共通人材が存在しない組織であっても第2の組織として特定されうるが、共通人材が存在する可能性が高い組織及び将来共通人材が存在することになる可能性が高い組織が第2の組織として特定されることになる。このような第2の組織は、採用に関する関心が第1の組織と競合する第2の組織と言える。つまり、第1の組織及び第2の組織で採用に関する関心が競合するとは、現時点で第1の組織及び第2の組織の両方との間に採用に関する関心が存在する人材がいる場合だけでなく、将来そのような関心が存在することになる可能性が高い人材がいる場合も含むものとする。このような態様によれば、関心を示す人材の数が多くても第2の組織を特定することができる。
【0088】
また、競合特定部115は、組織の業種ごと、採用の職種ごと又は人材の属性ごとに第2の組織を特定してもよい。組織の業種とは、例えば、製造業、金融業、サービス業、IT業、流通業及び小売業等のことである。このように業種ごとに第2の組織が特定されることで、その業種で働くことを望んでいる人材を確保しやすくすることができる。採用の職種とは、例えば、財務、総務、人事、営業、企画又は技術等のことである。このように職種ごとに第2の組織が特定されることで、その職種に適性を有する人材を確保しやすくすることができる。
【0089】
人材の属性とは、例えば、人材の年齢、居住地、職歴又は資格等のことである。このように人材の属性ごとに第2の組織が特定されることで、例えば、特定の年齢や特定の地域の住人、特定の資格を有する人材等の特定の属性を有する人材を確保しやすくすることができる。いずれの場合も、確保したい人材について競合する組織が分かるので、上記のように第2の組織を特定しない場合に比べて、人材確保のためのより的確な施策を実施することができる。
【0090】
また、採用競合情報が、第2の組織に関する複数項目の情報のうちのいずれかの項目の情報であったとする。ここでいう項目とは、例えば、年収、組織文化、人事制度及び福利厚生等である。この場合に、競合特定部115は、採用に関する関心が第1の組織と競合する度合いを示す指標が閾値以上である組織を第2の組織として特定してもよい。そして、その閾値は、出力される採用競合情報の項目に対応付けられた値であってもよい。
【0091】
競合特定部115は、採用競合情報の項目と閾値とを対応付けた閾値テーブルを用いる。
図12は、閾値テーブルの一例を示す図である。図12の例では、「年収」、「労働条件・福利厚生」及び「組織文化」という採用競合情報の項目に、「Th11」、「Th12」及び「Th13」という閾値(Th11<Th12<Th13)が対応付けられている。競合特定部115は、例えば、競合情報出力部117により「年収」が採用競合情報として出力される場合は、閾値テーブルにおいて「年収」に対応付けられている「Th11」を閾値として用いて第2の組織を特定する。
【0092】
また、競合特定部115は、競合情報出力部117により「組織文化」が採用競合情報として出力される場合は、閾値テーブルにおいて「組織文化」に対応付けられている「Th13」を閾値として用いて第2の組織を特定する。このような態様によれば、採用競合情報を出力させる第2の組織の範囲を変化させることができる。例えば、「年収」は客観性を確保するため第2の組織が広い範囲で特定されるように閾値を小さくする。一方、「組織文化」は範囲を広げると特色が見えなくなるので、第2の組織が狭い範囲で特定されるように閾値を大きくする。
【0093】
また、競合特定部115は、例えば、図8に示すようなエゴセントリックネットワークにおいて、第1の組織と直接的に採用が競合する1階層目の組織を第2の組織として特定したが、さらに、第1の組織と間接的に採用が競合する2階層目の組織を第3の組織として特定してもよい。また、競合特定部115は、2階層目に限らず、N階層目(Nは自然数)の組織までを第3の組織として特定してもよい。その場合、競合情報生成部116が、上述した第2の組織の採用競合情報に加え、競合特定部115により特定された第3の組織に関する情報を採用競合情報として生成し、競合情報出力部117が、生成された第2の組織の採用競合情報及び第3の組織の採用競合情報を出力する。
【0094】
例えば、2階層目の組織の採用関心者の中には、1階層目の組織の採用関心者が含まれている。そのような採用関心者は、1階層目の組織に興味を持つ又は1階層目の組織から興味を持たれる人材であるから、将来、第1の組織にも興味を持つ又は第1の組織から興味を持たれる人材となる可能性が、他の人材に比べて高いと言える。競合特定部115は、このように現時点では共通人材でないが、将来共通人材になる可能性が高い人材を採用関心者とする組織も、第1の組織と採用が競合する第3の組織として特定する。このような態様によれば、出力される採用競合情報を、より幅広い人材を確保するための計画策定や活動に役立てることができる。
【0095】
<構成のバリエーション>
図1に示す全体構成は一例であり、これに限られない。例えば、サーバ装置10は、2台以上の装置に分散されてもよいし、クラウドコンピューティングシステムに代替されてもよい。また、図4に示す機能構成も一例であり、これに限られない。例えば、サーバ装置10の機能が2台以上の装置に分散して実現されてもよい。また、1つの機能が行う動作を2以上の機能が分散して行ってもよいし、2以上の機能が1つの機能に統合されてもよい。要するに、人材管理システム1の全体で図4に示す各機能が実現されていれば、それらの機能を実現する装置はどのような構成であってもよい。
【0096】
上述した実施形態の態様は、サーバ装置10のような情報処理装置や、サーバ装置10を備える人材管理システム1のような情報処理システムであったが、情報処理方法であってもよい。その情報処理方法は、その情報処理システムが実行する各処理のステップを備える。また、上述した実施形態の態様は、プログラムであってもよい。そのプログラムは、コンピュータに、同様の情報処理システムが実行する各処理を実行させる。
【0097】
<付記>
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0098】
(1)情報処理システムであって、取得ステップでは、組織と人材との間に採用に関する関心が存在することを示す関心情報を取得し、特定ステップでは、取得された前記関心情報に基づいて、第1の組織と前記関心が競合する第2の組織を特定し、出力ステップでは、前記第2の組織に関する情報を採用競合情報として出力する、もの。
【0099】
このような態様によれば、人材の確保の確実性を向上させることができる。
【0100】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記特定ステップでは、前記第1の組織を含む複数の組織に前記関心が存在する共通人材の数に基づき前記第2の組織を特定する、もの。
【0101】
このような態様によれば、第2の組織を容易に特定することができる。
【0102】
(3)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記特定ステップでは、前記共通人材を有する組織に前記関心が存在する人材の数と、当該共通人材の数との割合に基づき前記第2の組織を特定する、もの。
【0103】
このような態様によれば、共通人材の重要性が高い組織を第2の組織として特定することができる。
【0104】
(4)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記特定ステップでは、組織が人材に関心を示す割合と、人材が組織に関心を示される割合とに基づいて前記第2の組織を特定する、もの。
【0105】
このような態様によれば、関心を示す人材の数が多くても第2の組織を特定することができる。
【0106】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記特定ステップでは、前記組織の業種ごと、前記採用の職種ごと又は前記人材の属性ごとに前記第2の組織を特定する、もの。
【0107】
このような態様によれば、人材確保のためのより的確な施策を実施することができる。
【0108】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記採用競合情報は、前記関心が前記第1の組織と競合する度合いを示す情報である、もの。
【0109】
このような態様によれば、第2の組織の影響を可視化することができる。
【0110】
(7)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記採用競合情報は、前記第2の組織の人材に対する待遇を示す情報である、もの。
【0111】
このような態様によれば、第2の組織をベンチマークとすることができる。
【0112】
(8)上記(7)に記載の情報処理システムにおいて、前記出力ステップでは、複数の組織が前記第2の組織として特定され、かつ、前記待遇が数値で表される場合、当該複数の組織の前記待遇の統計量を前記採用競合情報として出力する、もの。
【0113】
このような態様によれば、待遇が特定されることを防ぐことができる。
【0114】
(9)上記(7)又は(8)に記載の情報処理システムにおいて、前記人材に対する待遇は、当該人材の年収である、もの。
【0115】
このような態様によれば、第2の組織の年収をベンチマークとすることができる。
【0116】
(10)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記採用競合情報は、前記関心が存在する人材が前記第2の組織に求める特性を示す情報である、もの。
【0117】
このような態様によれば、人材の志向性を把握しやすくすることができる。
【0118】
(11)上記(1)~(10)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記採用競合情報は、前記第2の組織に関する複数項目の情報のうちのいずれかの項目の情報であり、前記特定ステップでは、前記関心が前記第1の組織と競合する度合いを示す指標が閾値以上である組織を前記第2の組織として特定し、前記閾値は、出力される前記採用競合情報の項目に対応付けられた値である、もの。
【0119】
このような態様によれば、採用競合情報を出力させる第2の組織の範囲を変化させることができる。
【0120】
(12)上記(1)~(11)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記出力ステップでは、特定された前記第2の組織の数に応じた態様で前記採用競合情報を出力する、もの。
【0121】
このような態様によれば、採用競合情報を読み取りやすくすることができる。
【0122】
(13)上記(12)に記載の情報処理システムにおいて、前記出力ステップでは、特定された前記第2の組織の数が少ないほど、前記第2の組織の特定が困難な態様で前記採用競合情報を出力する、もの。
【0123】
このような態様によれば、特定組織の情報が推測されにくいようにすることができる。
【0124】
(14)上記(1)~(13)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記関心情報は、人材に対して送信されてくる情報である、もの。
【0125】
このような態様によれば、多くの組織から関心を持たれている人材の競合を特定することができる。
【0126】
(15)方法であって、コンピュータが、上記(1)~(14)のいずれか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行する、もの。
【0127】
(16)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)~(14)のいずれか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させるための、もの。
もちろん、この限りではない。
また、上述した実施形態及び変形例を任意に組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0128】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0129】
1 :人材管理システム
10 :サーバ装置
11 :制御部
20 :第1ユーザ端末
21 :制御部
30 :第2ユーザ端末
31 :制御部
111 :サーバ表示部
112 :ユーザ認証部
113 :情報蓄積部
114 :関心情報取得部
115 :競合特定部
116 :競合情報生成部
117 :競合情報出力部
118 :採用サービス部
211 :第1画面表示部
212 :第1操作受付部
311 :第2画面表示部
312 :第2操作受付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12