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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035032
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】振動モータ
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026364
(22)【出願日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2022138597
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 法恭
(72)【発明者】
【氏名】井上 順
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA02
5D107AA13
5D107AA14
5D107CC09
5D107CC10
5D107FF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構成で振動子を安定的に振動させる振動モータを提供する。
【解決手段】振動モータ100は、固定子101と、第1方向に振動可能な振動子102と、を備える。固定子は、コイル3と、筐体と、を有する。コイルは、第1方向と垂直な第2方向において振動子と対向する。筐体は、コイル及び振動子を収容する。振動子は、質量体6と、磁石部材7と、滑り部材9と、を有する。質量体は、第1方向に延びる。磁石部材は、質量体に固定されて第2方向においてコイルと対向する。滑り部材は、質量体の第1方向と交差する方向における端面に配置され、振動子の振動時に筐体の内側面と接触する際に筐体の内側面上を滑る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、
第1方向に振動可能な振動子と、
を備え、
前記固定子は、
前記第1方向と垂直な第2方向において前記振動子と対向するコイルと、
前記コイル及び前記振動子を収容する筐体と、
を有し、
前記振動子は、
前記第1方向に延びる質量体と、
前記質量体に固定されて前記第2方向において前記コイルと対向する磁石部材と、
前記質量体の前記第1方向と交差する方向における端面に配置され、前記振動子の振動時に前記筐体の内側面と接触する際に前記筐体の内側面上を滑る滑り部材と、
を有する、振動モータ。
【請求項2】
前記滑り部材は
前記質量体の前記第2方向を向く端面と、
前記質量体の前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向を向く端面と、
に配置される、請求項1に記載の振動モータ。
【請求項3】
前記滑り部材は、前記質量体の前記第2方向における両端面と、前記質量体の前記第3方向における両端面と、に配置される、請求項2に記載の振動モータ。
【請求項4】
前記質量体の前記第1方向と交差する方向における端面において、
前記滑り部材は、少なくとも、前記第1方向の両端部に配置される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項5】
前記質量体の第2方向の幅は、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向の幅よりも狭く、
前記質量体の前記第2方向を向く端面において、前記滑り部材は、少なくとも、前記第3方向の両端部に配置される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項6】
前記滑り部材は、膜状体である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項7】
前記滑り部材の法線方向から見て、前記滑り部材の前記第1方向の端部は、角部が面取りされた面取り部を有する、請求項6に記載の振動モータ。
【請求項8】
前記滑り部材の材料は、フッ素樹脂である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項9】
前記固定子は、前記コイルの少なくとも前記第1方向における端部を覆う保護部材をさらに有し、
前記保護部材の前記第2方向における前記振動子側の端部は、前記コイルよりも前記第2方向における前記振動子側に配置される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項10】
前記コイルは、
前記磁石部材よりも前記第2方向一方に配置される第1コイルと、
前記磁石部材よりも前記第2方向他方に配置される第2コイルと、
を有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項11】
前記振動子と前記固定子とを接続する弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、
前記質量体の前記第1方向両端部と前記筐体の内面との間に配置され、
前記質量体の前記第1方向における各々の端部において、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向の両端部にそれぞれ配置される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項12】
前記振動子と前記固定子とを接続する弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、前記第1方向に伸縮可能なコイルばねである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項13】
前記コイルばねの材料は、ピアノ線である、請求項12に記載の振動モータ。
【請求項14】
前記質量体は、
前記第2方向から見て多角形状であって前記磁石部材を収容する貫通孔と、
前記貫通孔の各々の角から前記第2方向と垂直な方向に凹む複数の角凹部と、
を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項15】
前記質量体は、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向の少なくとも片側の端部の第1方向中央部において、前記第3方向に突出して前記筐体と前記第3方向に対向する突出部をさらに有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項16】
前記振動子は、前記質量体の前記第1方向両端部の少なくともどちらかに配置される緩衝部材をさらに有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の振動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方向に振動する振動モータが知られている。たとえば、振動モータは、筐体と、振動子と、ガイドシャフトと、を有する。振動子の両端には、ガイドシャフトが設けられる。振動子は、筐体内に形成される空間内に配置され、ガイドシャフトに沿って振動する(国際特許出願公開第2021/134173号明細書参照)。
【0003】
ガイドシャフトに沿って振動子を振動させることにより、振動子の姿勢制御ができる。たとえば、振動方向以外への振動子の移動を防止し、振動子と筐体との接触を防止する。また、振動方向と交差する方向と平行な軸回りにおける振動子の回転ブレを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開第2021/134173号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガイドシャフトにより振動子の振動の姿勢制御をする場合、振動子の体積を減らして、ガイドシャフトを配置するスペースを確保する必要が生じる。そのため、振動子の重量が顕著に減少する。振動子の重量は、振動モータの振動性能に大きく影響する。そのため、ガイドシャフトの配置を要することなく、簡易な構成で振動子の姿勢制御することが望まれる。
【0006】
また、振動モータには、振動子を往復駆動させるためのコイルが配置される。通常、コイルの製造時に所定軸回りに巻き回し始めた導体の端部(つまり引出線)は、コイルの巻線部分よりも軸方向外方側に配置される。そのため、該引出線を振動子とコイルの巻線部分との間に配置すると、両者間の間隔が広くなる。そのため、コイルの磁束により振動子に作用するローレンツ力が大きくなり難くなり、振動モータの出力を大きくできない虞がある。また、コイルと該コイルを固定する筐体との間に上述の引出線を配置すると、両者間に隙間ができ、これにより、振動モータのサイズの小型化が難しくなる虞がある。
【0007】
本発明は、簡易な構成で振動子を安定的に振動させる振動モータを提供することを第1の目的とする。また、振動モータを小型化しつつ、振動モータの出力をより大きくすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の目的を達成するため、本発明の例示的な振動モータは、固定子と、第1方向に振動可能な振動子と、を備える。前記固定子は、コイルと、筐体と、を有する。前記コイルは、前記第1方向と垂直な第2方向において前記振動子と対向する。前記筐体は、前記コイル及び前記振動子を収容する。前記振動子は、質量体と、磁石部材と、滑り部材と、を有する。前記質量体は、前記第1方向に延びる。前記磁石部材は、前記質量体に固定されて前記第2方向において前記コイルと対向する。前記滑り部材は、前記質量体の前記第1方向と交差する方向における端面に配置され、前記振動子の振動時に前記筐体の内側面と接触する際に前記筐体の内側面上を滑る。
【0009】
第2の目的を達成するため、本発明の例示的な振動モータは、固定子と、第1方向に振動可能な振動子と、を備える。前記固定子は、コイルと、筐体と、を有する。前記コイルは、前記第1方向と垂直な第2方向において前記振動子と対向する。前記筐体は、前記コイル及び前記振動子を収容する。前記振動子は、質量体と、磁石部材と、を有する。前記質量体は、前記第1方向に延びる。前記磁石部材は、前記質量体に固定されて前記第2方向において前記コイルと対向する。前記コイルは、コイル状の導線からなる巻線部から引き出されて前記巻線部よりも前記第2方向の前記筐体側に配置される引出線を有する。前記筐体は、前記引出線を収容する開口を有する。
【0010】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の例示的な振動モータによれば、簡易な構成で振動子を安定的に振動させる振動モータを提供することができる。また、振動モータを小型化しつつ、振動モータの出力をより大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態に係る振動モータの斜視図である。
図2図2は、図1の一点鎖線II-IIに沿う振動モータの断面図である。
図3図3は、図1の一点鎖線III-IIIに沿う振動モータの断面図である。
図4図4は、図1の振動モータの分解斜視図である。
図5図5は、実施形態の変形例に係る振動モータの斜視図である。
図6図6は、図5の一点鎖線VI-VIに沿う振動モータの断面図である。
図7図7は、図5の振動モータの分解斜視図である。
図8図8は、電子機器の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0014】
なお、本明細書では、図面において、振動モータ100の長手方向をX軸方向とする。X軸方向のうち、図面の左方をX1、右方をX2として示す。また、振動モータ100の短手方向をY軸方向とする。Y軸方向のうち、図面の前方をY1、後方をY2として示す。また、振動モータ100の厚さ方向をZ軸方向とする。Z軸方向のうち、図面の上方をZ1、下方をZ2として示す。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交する。
【0015】
なお、X軸方向は、本発明の「第1方向」の一例であり、本明細書では「左右方向」と呼ぶ。Y軸方向は、本発明の「第3方向」の一例であり、本明細書では「前後方向」と呼ぶ。Z軸方向は、本発明の「第2方向」の一例であり、本明細書では「上下方向」と呼ぶ。
【0016】
また、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態及び実質的に直交する状態を含む。つまり、「平行」、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0017】
なお、これらは、単に説明のために用いられ、実際の位置関係、方向、及び名称などを限定する意図はない。
【0018】
<1.実施形態>
<1-1.振動モータ100の全体構成>
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る振動モータ100の斜視図である。図2は、図1の一点鎖線II-IIに沿う振動モータ100の断面図である。図3は、図1の一点鎖線III-IIIに沿う振動モータ100の断面図である。図4は、図5の振動モータ100の分解斜視図である。なお、図1では、後述する蓋部11を透明で表示している。
【0019】
振動モータ100は、左右方向の振動を発生可能な、いわゆる横リニア振動モータである。振動モータ100は、固定子101と、振動子102と、弾性部材103と、を備える。
【0020】
<1-2.固定子101>
固定子101は、筐体1と、基板2と、コイル3と、保護部材4と、を有する。
【0021】
筐体1は、コイル3及び振動子102などを収容する。筐体1は、たとえばステンレス鋼などの金属材料により構成される。但し、この例示に限定されず、筐体1の材料は、樹脂であってもよい。
【0022】
筐体1は、蓋部11と、ベースプレート12と、を有する。ベースプレート12の上方から蓋部11が取り付けられて筐体1が構成される。蓋部11は、下方が開口した矩形体状である。蓋部11は、天面部111と、前側面部112と、後側面部113と、左側面部114と、右側面部115と、を有する。天面部111は、左右方向及び前後方向に広がる板状であり、上下方向において振動子102と間隔を有して対向する。前側面部112、後側面部113、左側面部114、及び右側面部115は、天面部111の縁部から下方へ延びる。前側面部112及び後側面部113は、左右方向に延びる板状であり、前後方向において振動子102と間隔を有して対向する。前側面部112は、後側面部113よりも前方に配置される。左側面部114及び右側面部115は、前後方向に延びる板状であり、左右方向において振動子102と間隔を有して対向する。左側面部114は、右側面部115よりも左方に配置される。ベースプレート12は、左右方向および前後方向に広がる板状部材であり、上下方向において振動子102と間隔を有して対向する。蓋部11とベースプレート12とで囲まれる空間内部に、振動子102と、コイル3と、保護部材4と、弾性部材103とが収容される。
【0023】
基板2は、たとえばFPC(フレキシブルプリント基板)である。但し、この例示は、基板2がFPCでない構成を排除しない。たとえば、基板2は、ガラスエポキシ基板などのリジッド(rigid)な基板であってもよい。
【0024】
基板2は、基部21と、基部21に対して折り曲げられた折り曲げ部22,23と、を有する。ベースプレート12は、前方の縁部から前方へ突出した突出片121を有する。基部21は、突出片121上に配置される。折り曲げ部22,23は、蓋部11の前側面部112に沿って配置される。基板2には、コイル3が電気的に接続される。詳細には、基板2は、コイル3と電気的に接続される配線(図示省略)を搭載する。振動モータ100は、基板2を備える。基板2は、コイル3に電流を供給するために設けられる。
【0025】
コイル3は、左右方向と垂直な上下方向において振動子102と対向する。コイル3は、第1コイル31と、第2コイル32と、を有する。第1コイル31は、第2コイル32よりも上方に配置される。第1コイル31及び第2コイル32は、上下方向に沿う軸周りに導線を巻き回されて構成される。第1コイル31及び第2コイル32に電流が供給されることで磁力線が発生する。
【0026】
好ましくは、コイル3(の巻線部分)の前後方向幅は、磁石部材7の前後方向幅よりも広い。たとえば、第1コイル31及び第2コイル32のうちの少なくともどちらか(の巻線部分)の前後方向幅は、磁石部材7の前後方向幅よりも広い。こうすれば、コイル3の巻線部分のうちの前後方向に延びる部分をより長くすることができる。従って、コイル3の通電時において磁石部材7に作用するローレンツ力をより大きくできるので、振動子102の移動速度及び振幅をより大きくすることができる。但し、この例示は、コイル3(の巻線部分)の前後方向幅が磁石部材7の前後方向幅以下である構成を排除しない。
【0027】
コイル3の引出線は、蓋部11の前側面部112に設けられる引き出し口(符号省略)を通って、巻線部301から筐体1の外部に引き出され、基板2の折り曲げ部22,23に設けられる電極部22A,23Aに接続される。電極部22Aは、基部21に設けられる電極部21Aと、基板2に設けられる図示しない配線によって接続される。電極部23Aは、基部21に設けられる電極部21Bと、基板2に設けられる図示しない配線によって接続される。コイル3に供給される電流は、電極部21A(もしくは21B)⇒電極部22A(もしくは23A)⇒コイル3⇒電極部23A(もしくは22A)⇒電極部21B(もしくは21A)の順に流れる。
【0028】
また、コイル3は、第1コイル31と、第2コイル32と、を有する。第1コイル31は、第2コイル32よりも上方に配置される。第1コイル31及び第2コイル32は、上下方向に沿う軸周りに導線を巻き回されて構成される。
【0029】
保護部材4は、コイル3の少なくとも左右方向における端部を覆う。前述の如く、固定子101は、保護部材4を有する。本実施形態では、保護部材4は、たとえば樹脂により構成され、コイル3を囲んで保護する。保護部材4は、第1保護部材41と、第2保護部材42と、を有する。第1保護部材41は、第1コイル31を囲む。第1コイル31および第1保護部材41は、蓋部11の天面部111の下面に配置され、上下方向において振動子102と間隔を有して対向する。また、第2保護部材42は、第2コイル32を囲む。第2コイル32および第2保護部材42は、ベースプレート12の上面に配置され、上下方向において振動子102と間隔を有して対向する。
【0030】
保護部材4の上下方向における振動子102側の端部は、コイル3よりも上下方向における振動子102側に配置される。たとえば、第1保護部材41の下端部は、第1コイル31の下端部よりも下方に配置される。第2保護部材42の上端部は、第2コイル32の上端部よりも上方に配置される。こうすれば、振動子102が上下方向にブレても、保護部材4が振動子102と接触することにより、コイル3との接触を防止できる。また、保護部材4が後述する第3滑り部材93U,93D上を滑ることで、振動子102を安定的に振動させることができる。
【0031】
<1-3.振動子102>
振動子102は、少なくとも左右方向に振動可能である。振動子102は、質量体6と、磁石部材7と、接続部材8と、滑り部材9と、を有する。なお、滑り部材9は、後に説明する。
【0032】
質量体6は、たとえばタングステンまたはその合金により構成され、振動子102の重量を増加させることで振動モータ100の振動出力を高める。質量体6は、左右方向に延びる。また、質量体6は、前後方向に広がるとともに上下方向に厚みを有する。たとえば、質量体6の上下方向の幅は、左右方向及び上下方向と垂直な前後方向の幅よりも狭い。これにより、振動モータ100を上下方向において薄型化することができる。
【0033】
質量体6は、中央部61と、2つの側体部621,622と、を有する。なお、以下では、側体部621,622を「側体部62」と総称することがある。中央部61及び側体部621,622は、上下方向から見てそれぞれ矩形体状である。ただし、この例示は、中央部61及び側体部621,622の少なくともいずれかが矩形体状でない構成を排除しない。中央部61及び側体部621,622は、本発明の主旨に矛盾しない形状であればよい。
【0034】
中央部61及び側体部621,622は、一体であって、単一の部材である。中央部61は、質量体6の左右方向における中央の部分である。左側の側体部621は、中央部61から左方に突出する。側体部621の左端部は、左右方向において左側面部114と十分な間隔を有して対向する。右側の側体部622は、中央部61から右方に突出する。側体部622の右端部は、左右方向において右側面部115と十分な間隔を有して対向する。側体部621,622の前端部はそれぞれ、中央部61の前端部よりも後方に配置される。側体部621,622の後端部はそれぞれ、中央部61の後端部よりも前方に配置される。
【0035】
また、質量体6は、溝64U,64Dを有する。溝64U,64Dは、質量体6の上下両面の左右方向中央部にそれぞれ配置され、前後方向に延びる。溝64Uは、中央部61の上面601に配置され、下方に凹む。溝64Dは、中央部61の下面602に配置され、上方に凹む。溝64U,64Dの前端部はそれぞれ、中央部61の前端部に達する。溝64U,64Dの後端部はそれぞれ、中央部61の後端部に達する。
【0036】
第1コイル31及び第1保護部材41は、溝64Uの内側に配置され、溝64Uの上方を向く底面641Uと上下方向において間隔を有して対向する。第2コイル32及び第2保護部材42は、溝64Dの内側に配置され、溝64Dの下方を向く底面641Dと上下方向において間隔を有して対向する。これにより、振動モータ100をさらに薄型化できる。また、上下のコイル3により電磁力を得ることができるため、振動出力が向上する。
【0037】
また、質量体6は、貫通孔65を有する。貫通孔65は、上下方向から見て多角形状であって、磁石部材7を収容する。たとえば、貫通孔65は、上下方向から見て矩形であり、上下方向に対向する溝64U,64Dの底面641U,641D間を上下方向に貫通する。なお、この例示は、貫通孔65の上下方向から見たが多角形状以外である構成を排除しない。たとえば、貫通孔65は、上下方向から見て円形であってもよい。貫通孔65の上端部は、溝64Uの上方を向く底面641Uに開口する。貫通孔65の下端部は、溝64Dの下方を向く底面641Dに開口する。
【0038】
磁石部材7は、質量体6に固定されて、上下方向においてコイル3と対向する。磁石部材7は、上下方向に視て溝64U,64Dの内側において質量体6に配置され、詳細には、接着剤などにより貫通孔65の内部に固定される。これにより、磁石部材7を溝64U,64Dの底面641U,641Dに設ける場合よりも、振動モータ100の薄型化が可能となる。
【0039】
磁石部材7は、左右方向に磁極を有する。すなわち、磁石部材7は、左方にN極、右方にS極を有するか、あるいは左方にS極、右方にN極を有する。
【0040】
磁石部材7は、コイル3と上下方向に対向する。たとえば、前述の如く、コイル3は、第1コイル31と、第2コイル32と、を有する。磁石部材7よりも上方には、第1コイル31及び第1保護部材41が配置される。磁石部材7よりも下方には、第2コイル32及び第2保護部材42が配置される。
【0041】
上下方向において磁石部材7の両側にコイル3を配置することにより、磁石部材7の両側で振動の駆動力が発生する。従って、コイル3を用いて磁石部材7の片側のみで駆動力を発生させる場合と比べて、振動子102がたとえば上下方向にブレ難いので、左右方向に振動子102を安定的に振動させることができる。
【0042】
また、磁石部材7の配置を簡易にできる。上下方向において磁石部材7の片側(片側のコイル3側)での磁場強度を最大化する必要がないので、たとえば、ハルバッハ配置された複数の磁石片で磁石部材7を構成する必要がない。
【0043】
接続部材8は、質量体6と弾性部材103とを接続する。接続部材8は、質量体6とは異なる材料(たとえばステンレス鋼)で構成され、たとえば接着剤、ろう付け、溶接、拡散接合などの手段を用いて質量体6に固定される。本実施形態では、接続部材8は、4つの接続部材81,82,83,84を含む。4つの接続部材81,82,83,84が、中央部61の左右方向両端部においてその前後方向両端部にそれぞれ配置される。
【0044】
<1-4.弾性部材103>
弾性部材103は、振動子102と固定子101とを接続する。前述の如く、振動モータ100は、弾性部材103を有する。弾性部材103は、左右方向に伸縮可能である。
【0045】
弾性部材103は、質量体6の左右方向の両端部と筐体1の内面との間に配置される。また、弾性部材103は、質量体6の左右方向における各々の端部において、前後方向の両端部にそれぞれ配置される。なお、前後方向は、左右方向及び上下方向と垂直な方向である。弾性部材103は、本実施形態では、4つの弾性部材1031,1032,1033,1034を含む。
【0046】
たとえば、本実施形態では、左側面部114と振動子102の左端部との間には、2つの弾性部材1031,1032が配置される。質量体6の左端部において、弾性部材1031の右端部は、接続部材81を介して、中央部61の前端部に固定される。弾性部材1032の右端部は、接続部材82を介して、中央部61の後端部に固定される。弾性部材1031,1032の左端部は、蓋部11の左側面部114の内面に固定される。
【0047】
また、右側面部115と振動子102の右端部との間には、2つの弾性部材1033,1034が配置される。質量体6の右端部において、弾性部材1033の左端部は、接続部材83を介して、中央部61の前端部に固定される。弾性部材1034の左端部は、接続部材84を介して、中央部61の後端部に固定される。弾性部材1033,1034の右端部は、蓋部11の右側面部115の内面に固定される。
【0048】
弾性部材103を上述のように配置することで、前後方向における振動子102のブレを低減できる。さらに振動子102が、振動中に、左右方向と平行な所定軸回りに回転し難くなる。従って、振動子102が安定的に振動できる。
【0049】
但し、弾性部材103の数は、上述の例示に限定されない。振動子102の左側及び右側に配置される弾性部材103の数はそれぞれ、単数であってもよいし、3以上の複数であってもよい。
【0050】
弾性部材103は、左右方向に伸縮可能なコイルばねである。上下方向に薄い振動モータ100では、コイルばねの採用が適している。たとえば、仮に上から見てV字形状の板バネを採用した場合、薄い振動モータ100では、板バネの上下方向幅を小さくする必要がある。ところが、こうすると、板ばねが繰り返し屈曲することで、疲労により板バネの機械的強度が低下する虞がある。一方、線材をコイル状に形成したコイルばねを採用した場合、上下方向に薄い振動モータ100であっても、コイルばねの外径を小さくするだけでよく、コイルばねを構成する線材の太さを細くしなくてもよい。従って、弾性部材103は、十分な強度を維持できる。
【0051】
好ましくは、コイルばねの材料は、ピアノ線である。すなわち、弾性部材103は、ピアノ線で構成される。ピアノ線は、硬鋼線、ステンレス線などと比べて、強度及び耐久性などの信頼性が高い。従って、ピアノ線の使用により、弾性部材103の寿命を向上できる。なお、上述の例示は、コイルばねの材料がピアノ線以外である構成を排除しない。たとえば、材料は、硬鋼線、ステンレス線などであってもよい。
【0052】
また、上述の例示は、弾性部材103の少なくともいずれかがコイルばね以外である構成を排除しない。たとえば、弾性部材103の少なくともいずれかは、板ばねであってもよい。
【0053】
上述のような構成の振動モータ100においては、基板2を介してコイル3に電流を供給することにより、コイル3に磁力線が発生し、磁石部材7により発生する磁力線との相互作用により振動子102を左右方向に駆動できる。コイル3への適切な電流供給の制御および弾性部材103の弾性力により、振動モータ100において左右方向の振動が発生する。
【0054】
<1-5.滑り部材9>
次に、図1から図4を参照して、滑り部材9を説明する。
【0055】
滑り部材9は、質量体6の左右方向と交差する方向における端面に配置される。滑り部材9は、振動子102の振動時に筐体1の内側面と接触する際に、筐体1の内側面上を滑る。こうすれば、左右方向に振動する振動子102がブレて筐体1の内面と接触しても、滑り部材9が内面上を滑らかに滑る。これにより、たとえば振動子102の振動をガイドするシャフトを配置しなくても、振動子102のブレの増大、及び、左右方向と垂直な方向回りの回転ブレを抑制又は防止できる。また、滑り部材9は、質量体6の左右方向と交差する方向における端面に配置される。従って、滑り部材9を配置するスペースの確保による振動子102を小型化、或いは、振動モータ100を大型化する必要がない。よって、簡易な構成で振動子102を安定的に振動させることができる。
【0056】
滑り部材9は、膜状体である。こうすれば、左右方向と交差する方向における質量体6のサイズの増大を抑制できる。従って、振動子102と筐体1の内面との接触を抑制でき、振動モータ100の大型化を抑制できる。
【0057】
本実施形態では、滑り部材9は、フィルム状であり、質量体6の表面に貼り付けられる。但し、この例示に限定されず、薄い帯状のテープ形状であってもよい。こうすれば、質量体6の表面に滑り部材9を容易に配置できる。
【0058】
本実施形態では、滑り部材9の材料は、フッ素樹脂である。こうすれば、滑り部材9の滑り特性を向上できる。なお、滑り部材9の材料は、この例示に限定されない。滑り部材9の材料には、摩擦係数が低く、摺動性に優れた材料であればよい。或いは、滑り部材9は、二硫化モリブデンなどの良好な潤滑性を有する材料を用いたコーティング層であってもよい。
【0059】
滑り部材9は、質量体6の上下方向を向く端面と、質量体6の左右方向及び上下方向と垂直な前後方向を向く端面と、に配置される。たとえば、滑り部材9は、質量体6の上面601及び下面602の少なくともどちらかと、前面603及び後面604の少なくともどちらかと、に配置される。こうすれば、滑り部材9が振動方向(つまり左右方向)に滑り易くなる。また、たとえば矩形体状の質量体6の振れ回りを効果的に防止できる。
【0060】
本実施形態では、滑り部材9は、質量体6の上下方向における両端面601,602と、質量体6の前後方向における両端面603,604と、に配置される。こうすれば、上下方向回りの回転ブレ及び前後方向回りの回転ブレをより確実に防止できる。また、筐体1の内面などに対する質量体6の直接的な摺動、及び、摺動時の騒音の発生などを防止できる。
【0061】
たとえば、滑り部材9は、第1滑り部材91U,91Dと、第2滑り部材92F,92Bと、を有する。
【0062】
第1滑り部材91Uは、質量体6の上面601に配置される。詳細には、第1滑り部材91Uは、2つであり、左右方向に並ぶ。左側の第1滑り部材91Uは、質量体6の上面601のうち、溝64Uよりも左側の領域601Lに配置される。左側の第1滑り部材91Uは、領域601Lの少なくとも一部を覆う。右側の第1滑り部材91Uは、質量体6の上面601のうち、溝64Uよりも右側の領域601Rに配置される。右側の第1滑り部材91Uは、領域601Rの少なくとも一部を覆う。第1滑り部材91Uの配置により、たとえば、振動子102は、振動時に天面部111の内側面と接触しても、天面部111の内側面上を円滑に滑ることができる。従って、振動子102が上方にブレても、振動子102の振動に対する影響を軽減できる。
【0063】
第1滑り部材91Dは、質量体6の下面602に配置される。詳細には、第1滑り部材91Dは、2つであり、左右方向に並ぶ。左側の第1滑り部材91Dは、質量体6の下面602のうち、溝64Dよりも左側の領域602Lに配置される。左側の第1滑り部材91Uは、領域601Lの少なくとも一部を覆う。右側の第1滑り部材91Dは、質量体6の下面602のうち、溝64Dよりも右側の領域602Rに配置される。右側の第1滑り部材91Uは、領域601Rの少なくとも一部を覆う。第1滑り部材91Dの配置により、たとえば、振動子102は、振動時にベースプレート12の内側面と接触しても、ベースプレート12の内側面上を円滑に滑ることができる。従って、振動子102が下方にブレても、振動子102の振動に対する影響を軽減できる。
【0064】
第2滑り部材92Fは、質量体6の前面603に配置され、前面603の少なくとも一部を覆う。第2滑り部材92Fの配置により、たとえば、振動子102は、振動時に前側面部112の内側面と接触しても、前側面部112の内側面上を円滑に滑ることができる。従って、振動子102が前方にブレても、振動子102の振動に対する影響を軽減できる。
【0065】
第2滑り部材92Bは、質量体6の後面604に配置され、後面604の少なくとも一部を覆う。第2滑り部材92Bの配置により、たとえば、振動子102は、振動時に後側面部113の内側面と接触しても、後側面部113の内側面上を円滑に滑ることができる。従って、振動子102が後方にブレても、振動子102の振動に対する影響を軽減できる。
【0066】
好ましくは、質量体6の左右方向と交差する方向における端面において、滑り部材9は、少なくとも、左右方向の両端部に配置される。振動方向における両端部に滑り部材9を配置することにより、より確実に振動子102の振れ回りを防止できる。
【0067】
たとえば、左側の第1滑り部材91Uは、質量体6の上面において領域601Lのうち、少なくとも左端部(たとえば図1の破線で囲まれた部分L1参照)に配置される。右側の第1滑り部材91Uは、質量体6の上面において領域601Rのうち、少なくとも右端部(たとえば図1の破線で囲まれた部分R1参照)に配置される。
【0068】
同様に、左側の第1滑り部材91Dは、質量体6の下面において領域602Lのうち、少なくとも左端部に配置される。右側の第1滑り部材91Dは、質量体6の下面において領域602Rのうち、少なくとも右端部に配置される。
【0069】
第2滑り部材92Fは、質量体6の前面603のうち、少なくとも左端部(たとえば図1の破線で囲まれた部分L2参照)と、右端部(たとえば図1の破線で囲まれた部分R2参照)と、に配置される。同様に、第2滑り部材92Bは、質量体6の後面604のうち、少なくとも左端部及び右端部に配置される。
【0070】
また、好ましくは、各々の滑り部材9の法線方向から見て、滑り部材9の左右方向の端部は、角部が面取りされた面取り部94を有する。言い換えると、滑り部材9の左右方向の端部は、法線方向から見た角部において、外側に突出する曲線形状の縁部を有する。振動方向における端部に配置された滑り部材9の角部をR面取りすることにより、滑り部材9が、筐体1の内面と摺動する際、質量体6から剥がれ難くなる。よって、質量体6の表面に配置される滑り部材9を高寿命化できる。
【0071】
たとえば、上下方向から見て、第1滑り部材91U,91Dの左右方向の端部における面取り部94では、角部がR面取りされる。この角部では、上下方向から見て、外側に突出する曲線形状の一方端は、左右方向に延びる縁部に接続される。他方端は、前後方向に延びる縁部に接続される。
【0072】
また、前後方向から見て、第2滑り部材92F,92Bの左右方向の端部における面取り部94では、角部がR面取りされる。この角部では、前後方向から見て、外側に突出する曲線形状の一方端は、左右方向に延びる縁部に接続される。他方端は、上下方向に延びる縁部に接続される。
【0073】
但し、上述の例示は、少なくとも1つの滑り部材9において、その法線方向から見て、滑り部材9の左右方向の端部の少なくとも1つの角部が面取りされない構成を排除しない。
【0074】
また、好ましくは、質量体6の上下方向を向く端面において、滑り部材9は、少なくとも、前後方向の両端部に配置される。こうすれば、振動方向と平行な所定軸回りにおける振動子102の回転ブレを防止できる。
【0075】
たとえば、左側の第1滑り部材91Uは、質量体6の上面601において領域601Lのうち、少なくとも、前端部(たとえば図1の破線で囲まれた部分L3参照)と、後端部(たとえば図1の破線で囲まれた部分L4参照)と、に配置される。右側の第1滑り部材91Uは、質量体6の上面において領域601Rのうち、少なくとも、前端部(たとえば図1の破線で囲まれた部分R3参照)と、後端部(たとえば図1の破線で囲まれた部分R4参照)と、に配置される。
【0076】
同様に、左側の第1滑り部材91Dは、質量体6の下面において領域602Lのうち、少なくとも前端部及び後端部に配置される。右側の第1滑り部材91Dは、質量体6の下面において領域602Rのうち、少なくとも前端部及び後端部に配置される。
【0077】
なお、この例示は、質量体6の上下方向を向く端面において、滑り部材9が前後方向の両端部に配置されない構成を排除しない。たとえば、第2滑り部材92F,92Bのうちの少なくともどちらかは省略されてもよい。
【0078】
次に、好ましくは、滑り部材9は、開口を有する第3滑り部材93U,93Dをさらに有する。
【0079】
第3滑り部材93Uは、溝64Uの上方を向く底面641Uに配置され、底面641Uを覆う。第3滑り部材93Uの配置により、たとえば、振動子102の振動時に第1保護部材41の下端部と振動子102と接触しても、第1保護部材41は、第3滑り部材93U上を円滑に滑ることができる。従って、振動子102の振動に対する影響を軽減できる。
【0080】
なお、第3滑り部材93Uにおいて、その開口の縁部は、上下方向から見て貫通孔63の上端部の縁部と重なる。或いは、その開口の縁部は、上下方向から見て貫通孔63の上端部の縁部よりも外側に配置される。これにより、貫通孔63内の磁石部材7の上面は、第3滑り部材93Uに覆われることなく、筐体1の内部に露出する。これにより、第3滑り部材93Uが第1コイル31及び磁石部材7間の磁気的な相互作用に影響することを防止できる。
【0081】
第3滑り部材93Dは、溝64Dの下方を向く底面641Dに配置され、底面641Dを覆う。第3滑り部材93Dの配置により、たとえば、振動子102の振動時に第2保護部材42の上端部が振動子102と接触しても、第2保護部材42は、第3滑り部材93D上を円滑に滑ることができる。従って、振動子102の振動に対する影響を軽減できる。
【0082】
なお、第3滑り部材93Dにおいて、その開口の縁部は、上下方向から見て貫通孔63の下端部の縁部と重なる。或いは、その開口の縁部は、上下方向から見て貫通孔63の下端部の縁部よりも外側に配置される。これにより、貫通孔63内の磁石部材7の下面は、第3滑り部材93Dに覆われることなく、筐体1の内部に露出する。これにより、第3滑り部材93Dが第2コイル32及び磁石部材7間の磁気的な相互作用に影響することを防止できる。
【0083】
但し、上述の例示は、滑り部材9が第3滑り部材93U,93Dの少なくともどちらかかを有さない構成を排除しない。すなわち、第3滑り部材93U,93Dの少なくともどちらかは省略されてもよい。
【0084】
<2.実施形態の変形例>
次に、図5から図7を参照して、実施形態の変形例を説明する。図5は、実施形態の変形例に係る振動モータ100の斜視図である。図6は、図5の一点鎖線VI-VIに沿う振動モータ100の断面図である。図7は、図5の振動モータ100の分解斜視図である。なお、図5では、後述する第1筐体13を透明で表示している。また、以下では、変形例のうちの上述の実施形態と異なる構成を説明する。また、上述の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0085】
<2-1.固定子101>
固定子101は、筐体1と、基板2と、コイル3と、を有する。つまり、変形例では、保護部材4は省略される。但し、以下の変形例は、固定子101が保護部材4を有する構成を排除しない。
【0086】
筐体1は、第1筐体13と、第2筐体14と、を有する。第2筐体14は、第1筐体13の下方に取り付けられる。つまり、第2筐体14の上方から第1筐体13が取り付けられて筐体1が構成される。第1筐体13と第2筐体14とで囲まれる空間内部に、コイル3と、振動子102と、弾性部材103と、が収容される。
【0087】
第1筐体13は、天面部131を有する。天面部131は、板状であり、上下方向と交差する方向に広がる。たとえば、天面部131は、左右方向及び前後方向に広がる板状であり、上下方向において振動子102と間隔を有して対向する。天面部131の下面には、第1コイル31が固定される。
【0088】
また、第1筐体13は、前側面部132と、後側面部133と、をさらに有する。前側面部132及び後側面部133は、天面部131の前後方向における縁部から下方へ延びる。前側面部132及び後側面部133は、左右方向に延びる板状であり、前後方向において振動子102と間隔を有して対向する。前側面部132は、後側面部133よりも前方に配置される。前側面部132には、基板2の折り曲げ部22,23が配置される。
【0089】
また、第1筐体13は、凹部1311を有する。凹部1311は、天面部131の左右方向両端部に配置され、左右方向(の内方)に向かって凹む。
【0090】
また、第1筐体13は、第1開口1312を有する。第1開口1312は、天面部131に配置される。第1開口1312は、天面部131を上下方向に貫通して前後方向に延び、天面部131の前端部に向かってさらに開口する。第1開口1312の前端部は、図1などに示すように、前側面部132の引き出し口に繋がる。
【0091】
第2筐体14は、底面部141を有する。底面部141は、板状であり、上下方向と交差する方向に広がる。たとえば、底面部141は、左右方向および前後方向に広がる板状部材であり、上下方向において振動子102と間隔を有して対向する。底面部141の上面には、第2コイル32が固定される。
【0092】
また、第2筐体14は、左側面部142と、右側面部143と、をさらに有する。なお、以下では、左側面部142及び右側面部143を「側面部142,143」と総称することがある。たとえば、側面部142,143は、底面部141の左右方向両縁部からそれぞれ上方に延びる。左側面部142及び右側面部143は、前後方向に延びる板状であり、左右方向において振動子102と間隔を有して対向する。左側面部142は、右側面部143よりも左方に配置される。
【0093】
また、第2筐体14は、第2開口1411を有する。第2開口1411は、底面部141に配置される。第2開口1411は、底面部141を上下方向に貫通して前後方向に延び、たとえば底面部141の前端部に向かって延びる。
【0094】
また、第2筐体14は、凹部1311に嵌る凸部144を有する。凸部144は、左側面部142の上端部と右側面部143の上端部とに配置され、上方に向かって突出する。
【0095】
なお、図5及び図7の筐体1では、凹部1311が天面部131に配置されるとともに、凸部144が側面部142,143に配置される。但し、この例示に限定されず、凹部1311が側面部142,143に配置されるとともに、凸部144が天面部131に配置されてもよい。つまり、天面部131の左右方向端部及び側面部142,143の上端部のうちの一方には、凹部1311が配置されてよい。また、天面部131の左右方向端部及び側面部142,143の上端部のうちの他方には、凹部1311に嵌る凸部144が配置されてよい。
【0096】
上述のような筐体1の構成によれば、筐体1を容易に形成できるので、製造コストを低減でき、筐体1の生産性を向上できる。たとえば、板材に第1開口1312と凹部1311及び凸部144のうちの一方とを形成(し、前後方向両端部を下方に折り曲げる)ことにより、第1筐体13を形成できる。また、第2開口1411と凹部1311及び凸部144のうちの他方とを形成した他の板材の左右方向両端部を上方に折り曲げることにより、第2筐体14を形成できる。そして、天面部131の左右方向両端部において凸部144を凹部1311に嵌めることにより、第1筐体13を第2筐体14に取り付けることができる。
【0097】
また、第2筐体14は、突出片145を有する。突出片145は、第2筐体14の上下方向と垂直な一方向の端部において筐体1の外部に向かって延びて、基板2を保持する。たとえば、突出片145は、底面部141の前方の縁部から前方へ突出し、左右方向に広がる。突出片145上には、基板2の基部21が配置される。
【0098】
次に、コイル3は、巻線部301と、引出線302と、を有する。巻線部301は、コイル状の導線からなる。引出線302は、巻線部301から引き出されて、巻線部301よりも上下方向の筐体1側に配置される。引出線302は、筐体1が有する開口1312,1411に収容される。なお、第1筐体13は、開口1312,1411は、第1開口1312及び第2開口1411の総称である。
【0099】
こうすれば、コイル3の引出線302が巻線部301よりも上下方向の筐体1側に配置されるので、磁石部材7とコイル3の巻線部301との間の間隔をより小さくできる。従って、コイル3の通電時において磁石部材7に作用するローレンツ力をより大きくできるので、振動子102の移動速度及び振幅をより大きくすることができる。なお、引出線302は筐体1に配置された開口1312,1411に収容されるので、筐体1及びコイル3間に隙間を空ける必要がない。そのため、振動モータ100の上下方向サイズをより小さくできる。よって、振動モータ100を小型化しつつ、振動モータ100の出力をより大きくできる。
【0100】
また、この際、引出線302を収容する開口1312,1411には、樹脂材料、接着剤などの絶縁性を有する部材が配置されてもよい。つまり、開口1312,1411内には、上述の絶縁性材料が充填されてもよい。こうすれば、開口1312,1411を介して、コイル3が筐体1の外部に露出することを防止できる。従って、振動モータ100の電気絶縁性を向上できる。さらに、開口1312,1411を介した筐体1の内部への塵埃などの侵入を防止できる。従って、固定子101及び振動子102間における塵埃などの介在により振動子102が移動不能となることを抑制又は防止できる。
【0101】
また、上下方向から見た開口1312,1411の形状は、図5から図7に限定されない。該形状は、前後方向に延びる楕円形であってもよいし、正円形状であってもよいし、前後方向に延びるn角形状(nは3以上の整数)であってもよい。
【0102】
たとえば、第1コイル31は、第1引出線302Uを有する。第1引出線302Uは、第1コイル31の巻線部301から引き出されて該巻線部301よりも上方に配置される。なお、第1コイル31の巻線部301は、本発明の「第1巻線部」の一例である。また、第1引出線302Uは、第1開口1312に収容される。前述の如く、第1筐体13は、第1開口1312を有する。
【0103】
第2コイル32は、第2引出線302Dを有する。第2引出線302Dは、第2コイル32の巻線部301から引き出されて該巻線部301よりも下方に配置される。なお、第2コイル32の巻線部301は、本発明の「第2巻線部」の一例である。また、第2引出線302Dは、第2開口1411に収容される。前述の如く、第2筐体14は、第2開口1411を有する。
【0104】
こうすれば、第1筐体13及び第1コイル31間に隙間を空ける必要がなく、磁石部材7と第1コイル31の巻線部301との間の間隔をより小さくできる。また、第2筐体14及び第2コイル32間に隙間を空ける必要がなく、磁石部材7と第2コイル32の巻線部301との間の間隔をより小さくできる。従って、上下方向における磁石部材7の両側にコイル3が配置される構成であっても、振動モータ100の上下方向サイズをより小さくしつつ、振動モータ100の出力をより大きくできる。
【0105】
ここで、第1開口1312はさらに、第1筐体13の上下方向と垂直な一方向の端部において該一方向を臨んで開口する。たとえば、第1開口1312はさらに、左右方向及び上下方向と垂直な前方側の端部において、前方を臨んで開口する。こうすれば、容易に第1引出線302Uを筐体1の外部に引き出すことができる。
【0106】
なお、第1開口1312の前端部の左右方向幅は、図5などに記載の如く、第1開口1312の後方側部分の左右方向幅よりも広くなっている。たとえば、第1開口1312の前端部における左端部は、第1開口1312の後方側部分の左端部よりも左方に配置される。言い換えると、第1筐体13は、第1開口1312の前端部から左方に凹む左凹部(符号省略)を有する。第1開口1312の前端部における右端部は、第1開口1312の後方側部分の右端部よりも右方に配置される。言い換えると、第1筐体13は、第1開口1312の前端部から右方に凹む右凹部(符号省略)を有する。こうすれば、第1引出線302Uの基板側が、第1筐体13の天面部131に当たり難くなる。従って、第1引出線302Uを断線し難くできる。
【0107】
また、第2開口1411の一部は、突出片145に配置され、突出片145の外縁部よりも内側に位置する。たとえば、第2開口1411の前端部は、突出片145に配置され、突出片145の外縁部(特に前端部)よりも内側に位置する。こうすれば、容易に第2引出線302Dを筐体1の外部に引き出すことができる。また、第2開口1411は突出片145の外縁部に達していないので、突出片145の強度の低下を抑制できる。
【0108】
また、好ましくは、振動モータ100の停止時において、開口1312,1411の左右方向における中央位置は、巻線部301の左右方向における中央位置から引出線302側にずれて配置される。たとえば図6に示すように、振動モータ100の停止時において、第1開口1312の左右方向における中央位置は、第1コイル31の巻線部301の左右方向における中央位置から第1引出線302U側にずれて配置される。第2開口1411の左右方向における中央位置は、第2コイル32の巻線部301の左右方向における中央位置から第2引出線302D側にずれて配置される。
【0109】
巻線部301よりも上下方向の筐体1側に配置される引出線302は、通常、巻線部301の製造時に巻き回し始めた導体の端部であり、巻線部301の中央位置からずれた箇所(たとえば、コイル状の巻線部301の中央に形成される空洞の外縁部)から筐体1の外部に引き出される。そのため、開口1312,1411の中央位置を上述の様にずらすことにより、振動モータ100の停止時において、前後方向に延びる引出線302を開口1312,1411の左右方向における中央位置に配置し易くなる。従って、振動モータ100の駆動時において、引出線302が筐体1(の開口1312,1411の外縁部に沿う部分)に当たることを抑制又は防止できる。
【0110】
但し、左右方向における開口1312,1411の配置位置は、上述の例示に限定されず、たとえばコイル3と上下方向に重なる位置に配置されていればよい。
【0111】
<2-3.振動子102>
変形例では、振動子102の質量体6の材料は、たとえばアルミニウム,鉄などの金属、またはその合金である。但し、この例示に限定されず、質量体6の材料は、タングステンなどの高密度の金属、又はその合金であってもよい。
【0112】
また、好ましくは、質量体6は、複数の角凹部66をさらに有する。各々の角凹部66は、貫通孔65の各々の角から上下方向と垂直な方向に凹む。たとえば、図5及び図7では、貫通孔65は、上下方向から見て矩形である。上下方向から見て、角凹部66は、矩形の貫通孔65の4個の角にそれぞれ配置され、貫通孔65よりも外側に向かって上下方向と垂直な方向(たとえば左右方向及び/又は前後方向)に凹む。こうすれば、上下方向から見て貫通孔65の各々の角をピン角(先が尖った形状の角)にしなくてもよい。従って、上下方向から見て磁石部材7が貫通孔65と同じ多角形状(たとえば矩形)であっても、該磁石部材7を収容する貫通孔65を容易に形成できる。なお、この例示は、上下方向から見て多角形状の貫通孔65の少なくともいずれかの角に角凹部66が配置されない構成を排除しない。
【0113】
また、好ましくは、質量体6は、突出部67をさらに有する。突出部67は、左右方向及び上下方向と垂直な前後方向の少なくとも片側の端部の左右方向中央部において、前後方向に突出して、筐体1と前後方向に対向する。たとえば、質量体6は、前方側の突出部67及び後方側の突出部67の少なくともどちらかを有する。前方側の突出部67は、質量体6の前端部の左右方向中央部において、前方に突出して、第1筐体13の前側面部132と前後方向に対向する。後方側の突出部67は、質量体6の後端部の左右方向中央部において、後方に突出して、第1筐体13の後側面部133と前後方向に対向する。
【0114】
こうすれば、左右方向に振動する振動子102が前後方向に動いても、突出部67が筐体1に当接することにより、質量体6の左右方向端部の角部(前後方向端)が筐体1に当たることを防止できる。従って、振動子102はスムーズに振動できる。また、質量体6の左右方向端部の角部付記に配置された部材(たとえば接続部材8、弾性部材103)に及ぶ影響を軽減又は防止できる。
【0115】
また、変形例では、質量体6の左右方向端部において、その前後方向端に段差が設けられる。該段差は、第1面と、第2面と、第3面と、で構成される。第1面は、質量体6の前後方向端に配置されて上下方向を向く。第2面は、質量体6の前後方向中央に配置されて上下方向を向く。第3面は、第1面の前後方向内方端と第2面の前後方向外方端とを接続する。
【0116】
接続部材8は、中央部61の左右方向両端部における前後方向両端において、上述の段差よりも前後方向外方側にそれぞれ配置される。つまり、接続部材8は、第1面に接して配置される。この際、接続部材8は、第3面から前後方向外方に離れて配置される。こうすれば、第1面及び第3面間にピン角が形成されていなくても、接続部材8は、第1面から浮くことなく、第1面と接触できる。従って、質量体6の中央部61に対する接続部材8の取り付け強度を向上できる。
【0117】
次に、変形例の振動子102は、緩衝部材Bをさらに有する。緩衝部材Bは、質量体6の左右方向両端部の少なくともどちらかに配置される。緩衝部材Bの材料には、熱可塑性ポリウレタンが用いられる。但し、この例示に限定されず、緩衝部材Bには、クッション性の高い材料を採用できる。たとえば、緩衝部材Bの材料は、樹脂発泡体のように変形可能な多孔質体であってもよいし、ゴムなどの弾性部材であってもよい。こうすれば、左右方向の少なくともどちらかにおいて質量体6が筐体1に当たることを防止できる。また、左右方向の少なくともどちらかにおいて振動子102が筐体1に当たっても、その際に衝撃音の発生を抑制又は防止できる。
【0118】
<3.電子機器200>
先述した第1及び第2実施形態に係る振動モータ100は、たとえば図8に概略的に示す電子機器200に搭載可能である。すなわち、電子機器200は、振動モータ100を備える。電子機器200は、振動モータ100の振動によって、電子機器200を操作する人に触覚的な刺激を与える機器である。図8に示す電子機器200は、一例としてスマートフォンとしているが、その他にもタブレット、ゲーム機器、および、ウェアラブル端末などを採用できる。
【0119】
図8に示すような電子機器200の場合は、振動モータ100が振動を出力することで、操作者へ着信などの各種の通知を行ったり、操作者へ触覚フィードバックを与えたりすることができる。触覚フィードバックとしては、たとえば、図8に示す凹部201を押すと振動モータ100が振動を出力することで、操作者はあたかもボタンを押している感覚を得ることができる。特に、先述したような実施形態の振動モータ100を用いることにより、コイル3を保護することができ、コイル3の不具合による電子機器200の振動の不具合を抑制できる。
【0120】
<4.その他>
以上、本発明の実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾が生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0121】
たとえば、実施形態の振動モータ100(たとえば図1参照)は、変形例の突出部67(たとえば図5参照)を有さないが、この例示に限定されず、突出部67を有してもよい。この際、好ましくは、突出部67の前後方向外側面に第2滑り部材92F,92Bが配置される。また、実施形態の振動モータ100(たとえば図1参照)は、変形例の緩衝部材B(たとえば図5参照)を有さないが、この例示に限定されず、緩衝部材Bを有してもよい。
【0122】
<5.総括>
以下では、これまでに説明した実施形態について総括的に述べる。
【0123】
たとえば、本明細書に開示されている振動モータは、
固定子と、
第1方向に振動可能な振動子と、
を備え、
前記固定子は、
前記第1方向と垂直な第2方向において前記振動子と対向するコイルと、
前記コイル及び前記振動子を収容する筐体と、
を有し、
前記振動子は、
前記第1方向に延びる質量体と、
前記質量体に固定されて前記第2方向において前記コイルと対向する磁石部材と、
前記質量体の前記第1方向と交差する方向における端面に配置され、前記振動子の振動時に前記筐体の内側面と接触する際に前記筐体の内側面上を滑る滑り部材と、
を有する構成(第1の構成)とされる。
【0124】
或いは、本明細書に開示されている振動モータは、
固定子と、
第1方向に振動可能な振動子と、
を備え、
前記固定子は、
前記第1方向と垂直な第2方向において前記振動子と対向するコイルと、
前記コイル及び前記振動子を収容する筐体と、
を有し、
前記振動子は、
前記第1方向に延びる質量体と、
前記質量体に固定されて前記第2方向において前記コイルと対向する磁石部材と、
を有し、
前記コイルは、コイル状の導線からなる巻線部から引き出されて前記巻線部よりも前記第2方向の前記筐体側に配置される引出線を有し、
前記筐体は、前記引出線を収容する開口を有する構成(第2の構成)とされる。
【0125】
なお、第2の構成の振動モータは、
前記振動子は、前記質量体の前記第1方向と交差する方向における端面に配置される滑り部材をさらに有し、
前記滑り部材は、前記振動子の振動時に前記筐体の内側面と接触する際に前記筐体の内側面上を滑る構成(第3の構成)にしてもよい。
【0126】
また、第1又は第3の構成の振動モータは、
前記滑り部材は
前記質量体の前記第2方向を向く端面と、
前記質量体の前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向を向く端面と、
に配置される構成(第4の構成)にしてもよい。
【0127】
また、第4の構成の振動モータは、前記滑り部材は、前記質量体の前記第2方向における両端面と、前記質量体の前記第3方向における両端面と、に配置される構成(第5の構成)にしてもよい。
【0128】
また、第1及び第3から第5のいずれかの構成の振動モータは、
前記質量体の前記第1方向と交差する方向における端面において、
前記滑り部材は、少なくとも、前記第1方向の両端部に配置される構成(第6の構成)にしてもよい。
【0129】
また、第1及び第3から第6のいずれかの構成の振動モータは、
前記質量体の第2方向の幅は、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向の幅よりも狭く、
前記質量体の前記第2方向を向く端面において、前記滑り部材は、少なくとも、前記第3方向の両端部に配置される構成(第7の構成)にしてもよい。
【0130】
また、第1及び第3から第7のいずれかの構成の振動モータは、前記滑り部材は、膜状体である構成(第8の構成)にしてもよい。
【0131】
また、第8の構成の振動モータは、前記滑り部材の法線方向から見て、前記滑り部材の前記第1方向の端部は、角部が面取りされた面取り部を有する構成(第9の構成)にしてもよい。
【0132】
また、第1及び第3から第9のいずれかの構成の振動モータは、前記滑り部材の材料は、フッ素樹脂である構成(第10の構成)にしてもよい。
【0133】
また、第1から第10のいずれかの構成の振動モータは、
前記固定子は、前記コイルの少なくとも前記第1方向における端部を覆う保護部材をさらに有し、
前記保護部材の前記第2方向における前記振動子側の端部は、前記コイルよりも前記第2方向における前記振動子側に配置される構成(第11の構成)にしてもよい。
【0134】
また、第1から第11のいずれかの構成の振動モータは、
前記コイルは、
前記磁石部材よりも前記第2方向一方に配置される第1コイルと、
前記磁石部材よりも前記第2方向他方に配置される第2コイルと、
を有する構成(第12の構成)にしてもよい。
【0135】
また、第2から第11のいずれかの構成の振動モータは、
前記コイルは、
前記磁石部材よりも前記第2方向一方に配置される第1コイルと、
前記磁石部材よりも前記第2方向他方に配置される第2コイルと、
を有し、
前記第1コイルは、第1巻線部から引き出されて前記第1巻線部よりも前記第2方向の一方に配置される第1引出線を有し、
前記第2コイルは、第2巻線部から引き出されて前記第2巻線部よりも前記第2方向の他方に配置される第2引出線を有し、
前記筐体は、
前記第1引出線を収容する第1開口を有する第1筐体と、
前記第2引出線を収容する第2開口を有し、前記第1筐体の第2方向他方に取り付けられる第2筐体と、
を有する構成(第13の構成)にしてもよい。
【0136】
また、第13の構成の振動モータは、
前記第1筐体は、前記第2方向と交差する方向に広がる板状の天面部を有し、
前記第2筐体は、
前記第2方向と交差する方向に広がる板状の底面部と、
前記底面部の前記第1方向両端部からそれぞれ前記第2方向一方に延びる側面部と、
を有し、
前記天面部の前記第1方向端部及び前記側面部の前記第2方向一方端部の内の一方には、凹部が配置され、
前記天面部の前記第1方向端部及び前記側面部の前記第2方向一方端部の内の他方には、前記凹部に嵌る凸部が配置される構成(第14の構成)にしてもよい。
【0137】
また、第13又は第14の構成の振動モータは、
前記第1開口はさらに、前記第1筐体の前記第2方向と垂直な一方向の端部において前記一方向を臨んで開口する構成(第15の構成)にしてもよい。
【0138】
また、第13から第15のいずれかの構成の振動モータは、
前記コイルと電気的に接続される配線を搭載する基板をさらに備え、
前記第2筐体は、前記第2筐体の前記第2方向と垂直な一方向の端部において前記筐体の外部に向かって延びて前記基板を保持する突出片を有し、
前記第2開口の一部は、前記突出片に配置され、前記突出片の外縁部よりも内側に位置する構成(第16の構成)にしてもよい。
【0139】
また、第13から第16のいずれかの構成の振動モータは、
前記振動モータの停止時において、前記開口の前記第1方向における中央位置は、前記巻線部の前記第1方向における中央位置から前記引出線側にずれて配置される構成(第17の構成)にしてもよい。
【0140】
また、第1から第17のいずれかの構成の振動モータは、
前記振動子と前記固定子とを接続する弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、
前記質量体の前記第1方向両端部と前記筐体の内面との間に配置され、
前記質量体の前記第1方向における各々の端部において、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向の両端部にそれぞれ配置される構成(第18の構成)にしてもよい。
【0141】
また、第1から第18のいずれかの構成の振動モータは、
前記振動子と前記固定子とを接続する弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、前記第1方向に伸縮可能なコイルばねである構成(第19の構成)にしてもよい。
【0142】
また、第19の構成の振動モータは、前記コイルばねの材料は、ピアノ線である構成(第20の構成)にしてもよい。
【0143】
また、第1から第20のいずれかの構成の振動モータは、
前記質量体は、
前記第2方向から見て多角形状であって前記磁石部材を収容する貫通孔と、
前記貫通孔の各々の角から前記第2方向と垂直な方向に凹む複数の角凹部と、
を有する構成(第21の構成)にしてもよい。
【0144】
また、第1から第21のいずれかの構成の振動モータは、
前記質量体は、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向の少なくとも片側の端部の第1方向中央部において、前記第3方向に突出して前記筐体と前記第3方向に対向する突出部をさらに有する構成(第22の構成)にしてもよい。
【0145】
また、第1から第22のいずれかの構成の振動モータは、
前記コイルの第3方向幅は、前記磁石部材の第3方向幅よりも広い構成(第23の構成)にしてもよい。
【0146】
また、第1から第23のいずれかの構成の振動モータは、
前記振動子は、前記質量体の前記第1方向両端部の少なくともどちらかに配置される緩衝部材をさらに有する構成(第24の構成)にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、例えば各種機器に搭載される振動モータに有用である。
【符号の説明】
【0148】
100・・・振動モータ、101・・・固定子、1・・・筐体、11・・・蓋部、111・・・天面部、112・・・前側面部、113・・・後側面部、114・・・左側面部、115・・・右側面部、12・・・ベースプレート、121・・・突出片、13・・・第1筐体、131・・・天面部、1311・・・凹部、1312・・・第1開口、132・・・前側面部、133・・・後側面部、14・・・第2筐体、141・・・底面部、1411・・・第2開口、142・・・左側面部、143・・・右側面部、144・・・凸部、145・・・突出片、2・・・基板、21・・・基部、21A,21B・・・電極部、22,23・・・折り曲げ部、22A,23A・・・電極部、3・・・コイル、301・・・巻線部、302・・・引出線、302U・・・第1引出線、302D・・・第2引出線、31・・・第1コイル、32・・・第2コイル、4・・・保護部材、41・・・第1保護部材、42・・・第2保護部材、102・・・振動子、6・・・質量体、601・・・上面、601L,601R・・・領域、602・・・下面、602L,602R・・・領域、603・・・前面、604・・・後面、61・・・中央部、62,621,622・・・側体部、64U,64D・・・溝、641U,641D・・・底面、65・・・貫通孔、66・・・角凹部、67・・・突出部、7・・・磁石部材、8,81,82,83,84・・・接続部材、9・・・滑り部材、91U,91D・・・第1滑り部材、92F,92B・・・第2滑り部材、93U,93D・・・第3滑り部材、94・・・面取り部、103,1031,1032,1033,1034・・・弾性部材、200・・・電子機器、201・・・凹部、B・・・緩衝部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8