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特開2024-35047VILシステムベースの自律走行機能の検証方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035047
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】VILシステムベースの自律走行機能の検証方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/04 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B60W50/04
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067390
(22)【出願日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】10-2022-0109732
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503257778
【氏名又は名称】コリア エレクトロニクス テクノロジ インスティチュート
【住所又は居所原語表記】25,Saenari-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do 13509 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】シム ヨンボ
(72)【発明者】
【氏名】ミン キョンウオン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヘンソン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソンヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク チャンゲ
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA15
3D241BA49
3D241BA50
3D241BA62
3D241BA63
3D241BC01
3D241BC02
3D241CE04
3D241DB01Z
3D241DB12Z
3D241DB14Z
3D241DB16Z
3D241DC41Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】VILシステムベースの自律走行機能の検証方法が提供される。
【解決手段】本発明の実施例に係るVILシステムは、自律走行車が仮想道路環境を模写した実際の試験道路に直接出向くことなく、別の場所で仮想道路環境に連動し、自律走行機能を検証することができるようになる。それにより、走行場所を変えなくても、様々な仮想道路環境に対し、VILシステムをベースに自律走行機能の素早い検証が可能になるため、自律走行の技術開発のスピードアップと利便性の向上を図ることができるようになる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路環境に関する情報が保存された道路環境DBと、
道路環境DBに保存された情報を用いて仮想道路環境を生成し、仮想自律走行車の位置と姿勢を特定し、仮想NPC(Non Player Character)客体を生成し、自律走行性能の検証のためのシミュレーションシナリオを生成するシミュレーションエンジンと、
シミュレーションエンジンによって生成されるシナリオに応じて、仮想道路環境をレンダリングするレンダリングモジュールと、
レンダリングモジュールによってレンダリングされた仮想道路環境において、仮想自律走行車に取り付けられたセンサをエミュレーションし、仮想センサデータを生成するエミュレーションモジュールと、
自律走行車の実際の位置と姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の位置と姿勢に変換し、シミュレーションエンジンに伝達する計算モジュールと、
エミュレーションモジュールによって生成される仮想センサデータを自律走行車に伝送し、自律走行車から自律走行車の実際の位置と姿勢を受信し、計算モジュールに伝達する連動モジュールと
を含むことを特徴とする自律走行のシミュレータ。
【請求項2】
自律走行車の実際の位置と姿勢は、
仮想自律走行車の仮想位置と姿勢と異なることを特徴とする請求項1に記載の自律走行のシミュレータ。
【請求項3】
自律走行車の走る道路は、
道路環境DBに情報が保存される道路と異なる道路であることを特徴とする請求項2に記載の自律走行のシミュレータ。
【請求項4】
自律走行車の走る道路が変更されていない状態で、道路環境DBに情報が保存される道路は変更されてよいことを特徴とする請求項3に記載の自律走行のシミュレータ。
【請求項5】
道路環境DBに情報が保存される道路は、
仮想道路と実在する道路とを含むことを特徴とする請求項1に記載の自律走行のシミュレータ。
【請求項6】
実在する道路は、
自律走行車が機能の検証を行うために、実際に走行可能な道路として、PG(Proving Ground)、一般道路及び高速道路を含むことを特徴とする請求項5に記載の自律走行のシミュレータ。
【請求項7】
計算モジュールは、
自律走行車の実際の位置と方向を仮想道路環境にある仮想自律走行車の仮想位置と方向に変換することを特徴とする請求項1に記載の自律走行のシミュレータ。
【請求項8】
計算モジュールは、
道路環境DBに保存された道路形状に関する情報を参照し、仮想位置と方向を基に、仮想自律走行車の仮想姿勢を計算することを特徴とする請求項7に記載の自律走行のシミュレータ。
【請求項9】
計算モジュールは、
初期化命令があれば、自律走行車の実際の位置と姿勢、及び仮想自律走行車の位置と姿勢を初期化し、変換を開始することを特徴とする請求項1に記載の自律走行のシミュレータ。
【請求項10】
自律走行のシミュレータが、仮想道路環境を生成し、仮想自律走行車の位置と姿勢を特定し、仮想NPC(Non Player Character)客体を生成して自律走行性能の検証のためのシミュレーションシナリオを生成するステップと、
自律走行のシミュレータが、生成されるシナリオに応じて、仮想道路環境をレンダリングするステップと、
自律走行のシミュレータが、レンダリングされた仮想道路環境において、仮想自律走行車に取り付けられたセンサをエミュレーションし、仮想センサデータを生成するステップと、
自律走行のシミュレータが、生成される仮想センサデータを自律走行車に伝送し、自律走行車から自律走行車の実際の位置と姿勢を受信するステップと、
自律走行のシミュレータが、受信される自律走行車の実際の位置と姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の位置と姿勢に変換するステップと
を含むことを特徴とする自律走行のシミュレーション方法。
【請求項11】
仮想道路環境を生成し、仮想自律走行車の位置と姿勢を特定し、自律走行性能の検証のためのシミュレーションシナリオを生成するシミュレーションエンジンと、
自律走行車の実際の位置と姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の位置と姿勢に変換し、シミュレーションエンジンに伝達する計算モジュールと、
自律走行車から自律走行車の実際の位置と姿勢を受信し、計算モジュールに伝達する連動モジュールと
を含むことを特徴とする自律走行のシミュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行車の機能の検証方法に関し、より詳細には、自律走行車とシミュレータとを連動するVIL(Vehicle-In-the-Loop)をベースとする自律走行機能の検証システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)又は自律走行機能を検証するために、実車ベースの検証が使用されているが、道路の全ての状況を検証するのに限界があるため、シミュレータベースの検証を並行している。
自律走行シミュレータは、仮想道路環境において、仮想自律走行車が走るシミュレーションを通じて、自律走行用の認知/判断/制御アルゴリズムの機能を検証する。しかし、実際に運行する自律走行車の性能や状態などを完璧に模写するのに限界があるため、シミュレータと実際に走る自律走行車とを連動して検証するVILシステムベースの自律走行機能の検証方法が使われる。
従来のVILシステムベースの自律走行機能の検証に活用される仮想道路環境は、自律走行車が実際に走行するPG(Proving Ground)のような試験道路環境をそのまま模写しておいたものである。よって、従来のVILシステムでは、自律走行車の実際の位置/姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の仮想位置/姿勢として使用する。
このような従来のVILシステムによる自律走行機能の検証は、仮想道路環境に対する制約が大きい。つまり、様々な仮想道路環境における検証には多大な手間がかかる。当該仮想道路を模写した実際の道路に出向き、自律走行車を走らせながら検証しなければならないためである。
【0003】
自律走行のレベルが高まるにつれ、複雑な道路環境における自律走行機能の検証への必要性も高くなる。そのために、従来のVILシステムでは、検証のための別の道路環境が求められる度に、試験道路を新たに構築するか変更する必要があるなど、時間的、経済的負担が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、仮想道路環境をPGのような実際の試験道路をそのまま模写せずに、ある対象地域を仮想環境として作り上げたとしても、自律走行車がVILシステムベースの自律走行性能を検証することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の一実施例に係る自律走行のシミュレータは、道路環境に関する情報が保存された道路環境DBと、道路環境DBに保存された情報を用いて仮想道路環境を生成し、仮想自律走行車の位置と姿勢を特定し、仮想NPC(Non Player Character)客体を生成し、自律走行性能の検証のためのシミュレーションシナリオを生成するシミュレーションエンジンと、シミュレーションエンジンによって生成されるシナリオに応じて、仮想道路環境をレンダリングするレンダリングモジュールと、レンダリングモジュールによってレンダリングされた仮想道路環境において、仮想自律走行車に取り付けられたセンサをエミュレーションし、仮想センサデータを生成するエミュレーションモジュールと、自律走行車の実際の位置と姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の位置と姿勢に変換し、シミュレーションエンジンに伝達する計算モジュールと、エミュレーションモジュールによって生成される仮想センサデータを自律走行車に伝送し、自律走行車から自律走行車の実際の位置と姿勢を受信し、計算モジュールに伝達する連動モジュールとを含む。
【0006】
自律走行車の実際の位置と姿勢は、仮想自律走行車の仮想位置と姿勢と異なってよい。
自律走行車の走る道路は、道路環境DBに情報が保存される道路と異なる道路であってよい。自律走行車の走る道路が変更されていない状態で、道路環境DBに情報が保存される道路は変更されてよい。
道路環境DBに情報が保存される道路は、仮想道路と実在する道路とを含んでよい。実在する道路は、自律走行車が機能の検証を行うために、実際に走行可能な道路として、PG、一般道路及び高速道路を含んでよい。
計算モジュールは、自律走行車の実際の位置と方向を仮想道路環境にある仮想自律走行車の仮想位置と方向に変換してよい。計算モジュールは、道路環境DBに保存された道路形状に関する情報を参照し、仮想位置と方向を基に、仮想自律走行車の仮想姿勢を計算してよい。
【0007】
計算モジュールは、初期化命令があれば、自律走行車の実際の位置と姿勢、及び仮想自律走行車の位置と姿勢を初期化し、変換を開始してよい。
本発明の別の実施例に係る自律走行のシミュレーション方法は、自律走行のシミュレータが、仮想道路環境を生成し、仮想自律走行車の位置と姿勢を特定し、仮想NPC客体を生成して自律走行性能の検証のためのシミュレーションシナリオを生成するステップと、自律走行のシミュレータが、生成されるシナリオに応じて、仮想道路環境をレンダリングするステップと、自律走行のシミュレータが、レンダリングされた仮想道路環境において、仮想自律走行車に取り付けられたセンサをエミュレーションし、仮想センサデータを生成するステップと、自律走行のシミュレータが、生成される仮想センサデータを自律走行車に伝送し、自律走行車から自律走行車の実際の位置と姿勢を受信するステップと、自律走行のシミュレータが、受信される自律走行車の実際の位置と姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の位置と姿勢に変換するステップとを含む。
【0008】
本発明の更に別の実施例に係る自律走行のシミュレータは、仮想道路環境を生成し、仮想自律走行車の位置と姿勢を特定し、自律走行性能の検証のためのシミュレーションシナリオを生成するシミュレーションエンジンと、自律走行車の実際の位置と姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の位置と姿勢に変換し、シミュレーションエンジンに伝達する計算モジュールと、自律走行車から自律走行車の実際の位置と姿勢を受信し、計算モジュールに伝達する連動モジュールとを含む。
本発明の更に別の実施例に係る自律走行のシミュレーション方法は、自律走行のシミュレータが、仮想センサデータを自律走行車に伝送し、自律走行車から自律走行車の実際の位置と姿勢を受信するステップと、自律走行のシミュレータが、自律走行車の実際の位置と姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の位置と姿勢に変換するステップと、自律走行のシミュレータが、変換された仮想自律走行車の位置と姿勢を基に、仮想道路環境で自律走行性能の検証のためのシミュレーションシナリオを生成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明の実施例によれば、自律走行車が仮想道路環境を模写した実際の試験道路に直接出向くことなく、別の場所で仮想道路環境に連動し、自律走行機能を検証することができるようになる。
なお、本発明の実施例によれば、走行場所を変えなくても、様々な仮想道路環境に対し、VILシステムをベースに自律走行機能の素早い検証が可能になるため、自律走行の技術開発のスピードアップと利便性の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係るVILシステムの構成を示す図である。
図2】実際の位置/方向を仮想位置/方向に変換する方法を説明するための図である。
図3】VILモードである場合、位置/姿勢情報の同期化方法を説明するための図である。
図4】VILモードでない場合、位置/姿勢情報の同期化方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
本発明の実施例では、VIL(Vehicle-In-the-Loop)システムベースの自律走行機能の検証方法を提示する。具体的に、自律走行車が仮想道路環境が模写した実際の道路ではない、別の道路や場所にある場合でも、VILシステムをベースに自律走行機能の検証ができるようにする方法である。
本発明の実施例によれば、自律走行車が走る実際の道路に対する制限がなく、すなわち、自律走行車がどこを走るかによらず、VILシステムベースの自律走行機能の検証ができるようになる。
そのために、本発明の実施例では、自律走行車が走行可能な道路を模写した仮想道路をデジタルツインで構築し、自律走行車の実際の位置/姿勢を仮想道路環境における仮想位置/姿勢に変換し、実際の道路にある自律走行車と仮想道路にある仮想自律走行車の位置/姿勢を同期化させる。
図1は、本発明の一実施例に係るVILシステムの構成を示す図である。本発明の実施例に係るVILシステムは、図示のように、自律走行シミュレータ100及び自律走行車200を含んで構成される。
【0012】
自律走行シミュレータ100は、自律走行車200の機能の検証のための仮想道路環境を提供するために、実在する道路環境を模写した仮想道路環境をデジタルツインで生成するコンピューティングシステムである。
自律走行車200は、自律走行シミュレータ100から生成された仮想道路環境に応じて車両制御を行いながら走行するが、自律走行車200が実際に走る場所は、仮想道路環境を模写した実在する道路ではない、別の道路や場所、例えば、車の通らない道路や広場であってよい。
それにより、自律走行車200の実際の位置/姿勢は、仮想道路環境で自律走行車200を模写した仮想自律走行車の仮想位置/姿勢と差が生じるため、自律走行シミュレータ100は、自律走行車200の実際の位置/姿勢を仮想自律走行車の仮想位置/姿勢に変換する。
【0013】
以下では、自律走行シミュレータ100の構成について詳しく説明する。自律走行シミュレータ100は、図1に示すように、道路環境DB110、シミュレーションエンジン120、コンテンツDB130、道路環境レンダリングモジュール140、センサエミュレーションモジュール150、位置/姿勢計算モジュール160及び連動モジュール170を含んで構成される。
道路環境DB110は、実在する道路の環境に関する情報として、道路(道路形状、道路幅、車線数)、信号、静的客体(街路樹、街路灯、建物など)に関する情報が保存されている。
道路環境DB110に情報が保存される道路は、自律走行車200が実際に走行しながら機能の検証を行うことができる道路として、PG(Proving Ground)であってよく、実際の道路であってよく、実際の道路の場合、一般道路は無論のこと、高速道路など、その種類は問わない。
ただ、道路環境DB110に情報が保存される道路は、自律走行車200が実際に走行が可能な道路であり、本発明の実施例において、自律走行車200は、その道路を走るのではなく、別の道路や場所を走るものであることに留意すべきである。
道路環境DB110に情報が保存される道路は、必要と目的に応じて決められ、変更や編集などの修正も可能である。
【0014】
シミュレーションエンジン120は、道路環境DB110を用いて、仮想道路環境を生成し、仮想自律走行車の位置/姿勢を特定し、仮想NPC(Non Player Character)客体を生成し、自律走行性能の検証のためのシミュレーションシナリオを生成する。
NPC客体とは、仮想道路環境において、仮想自律走行車以外の別の車、人、動物などの動的客体のことをいう。シミュレーションシナリオでNPC客体は移動するが、正常な移動は無論のこと、異常な移動によって事故を引き起こしかねない。
コンテンツDB130は、道路環境DB110に保存された道路環境を仮想環境、即ち、実際の道路のデジタルツインで構成し、仮想環境にNPCを追加するために必要なコンテンツが保存されている。
道路環境レンダリングモジュール140は、コンテンツDB130に保存されたコンテンツを用いて、シミュレーションエンジン120によって生成されるシナリオによって仮想道路環境をレンダリングする。
【0015】
センサエミュレーションモジュール150は、道路環境レンダリングモジュール140によってレンダリングされた仮想道路環境で仮想自律走行車に取り付けられたセンサであるカメラ、ライダー、レーダ、GNSS/INS、V2Xなどをエミュレーションし、仮想センサデータを生成する。
センサエミュレーションモジュール150によって仮想センサデータが生成される仮想自律走行車に取り付けられたセンサは、自律走行車200に実際に取り付けられたセンサと同様に実現する。
位置/姿勢計算モジュール160は、自律走行車200の実際の位置/姿勢を仮想道路環境における位置/姿勢に変換する。従来のVILシステムベースの検証の場合、自律走行車200の実際の位置/姿勢と、仮想道路環境にある仮想自律走行車の仮想位置/姿勢と一致しているが、本発明の実施例では、両者が一致しないため、位置/姿勢計算モジュール160による位置/姿勢の変換が必要である。
連動モジュール170は、センサエミュレーションモジュール150によって生成される仮想センサデータと、位置/姿勢計算モジュール160によって計算された仮想位置/姿勢情報を自律走行車200に伝送する。
以下において、自律走行車200の構成について詳しく説明する。自律走行車200は、図1に示すように、認知/判断/制御モジュール210、車両制御モジュール220、位置/姿勢生成モジュール230、位置監視モジュール240、位置/姿勢受信モジュール250を含んで構成される。
【0016】
位置/姿勢生成モジュール230は、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、INS(Inertial Navigation System)などのようなセンサを用いて、自律走行車200の実際の位置/姿勢を測定するか、認識アルゴリズムを通じて推定する。
位置/姿勢生成モジュール230は、測定/推定によって生成された実際の位置/姿勢情報は、自律走行シミュレータ100の連動モジュール170を介し、位置/姿勢計算モジュール160に伝達され、仮想道路環境にある仮想自律走行車の仮想位置/姿勢情報に変換される。
位置/姿勢受信モジュール250は、自律走行シミュレータ100の位置/姿勢計算モジュール160によって計算された仮想位置/姿勢情報を受信し、認知/判断/制御モジュール210に伝達する。
認知/判断/制御モジュール210は、連動モジュール170を介して受信される仮想センサデータと位置/姿勢受信モジュール250を介して伝達される仮想位置/姿勢情報を基に、自律走行アルゴリズムによって車両状態と道路状況を認知/判断し、自律走行車200に対する制御コマンドを生成する。
【0017】
車両制御モジュール220は、自律走行車200から生成した制御コマンドによって自律走行車200の実際の走行を制御する。
位置監視モジュール240は、位置/姿勢生成モジュール230によって測定/推定される自律走行車200の実際の位置が走行可能場所から離れるかを検知する。そのために、位置監視モジュール240は、電子マップを保有/活用する。
認知/判断/制御モジュール210による車両走行制御は、仮想道路環境における仮想位置を基準に行われる。よって、仮想道路環境では、仮想自律走行車が走れる位置であるが、それに対応する実際の走行場所における実際の位置は、走行が不可能な位置であってよい。位置監視モジュール240は、このような場合に、車両制御モジュール220を介して自律走行車200を停止させる。更に、この場合には、後述する位置の初期化が必要である。
以下では、位置/姿勢計算モジュール160によって自律走行車200の実際の位置/姿勢を仮想道路環境における仮想自律走行車の仮想位置/姿勢に変換する方法について詳しく説明する。
【0018】
まず、位置/姿勢計算モジュール160は、自律走行車200の位置と方向、及び仮想自律走行車の仮想位置と方向を初期化する。初期化ボタンなどにより、初期化命令がある場合、位置と姿勢を初期化して変換を開始するようになる。初期化は、初期化時点で自律走行車200の現在位置と方向を初期の実際の位置と方向に設定し、仮想自律走行車の現在の位置と方向を初期の仮想位置と方向に設定するのである。
位置監視モジュール240によって自律走行車200が走行可能場所から離れ、初期化が行われる場合は、自律走行車200が走行可能な位置に移動した後、初期化が行われる。この場合、自律走行車200の移動された位置と方向が初期の実際の位置と方向に設定され、仮想自律走行車の最後の位置と方向が初期の仮想位置と方向に設定される。仮想自律走行車は移動されないため、仮想自律走行車の最後の位置と方向が初期の仮想位置と方向になるのである。
一方、初期化対象になる方向は、車両の姿勢(roll、pitch、yaw)のうち、yawを意味する。道路平面上垂直したz軸を基準にする回転角である。
その後、位置/姿勢計算モジュール160は、道路環境DB110に保存された道路環境に関する情報のうち、道路形状に関する情報を参照し、仮想自律走行車の初期の仮想位置と方向を基に、初期の仮想姿勢を計算する。自律走行車200の走る実際の道路の形状と仮想自律走行車の走る仮想道路の形状とは関係がないため、道路環境DB110を参照せずに、実際の姿勢から仮想姿勢を直接変換/計算することは不可能である。
初期化の後、自律走行車200の走行が開始されると、位置/姿勢計算モジュール160は自律走行車200の実際の位置と方向の変化量を基に、仮想自律走行車の仮想位置と方向とを計算する。
【0019】
図2には、実際の道路環境の座標系{R}を基準とする初期実際の位置(
)と、自律走行車200の走行で移動された実際の位置(
)を示しており、仮想道路環境における座標系{V}を基準に、初期仮想位置(
)と自律走行車200の走行で移動された仮想位置(
)を示している。
座標系{R}で自律走行車200の位置変化(
)は、次の通りである。
一方、座標系{V}で、仮想自律走行車の位置変化(
)は、自律走行車200の位置変化(
)と同様である。
そして、自律走行車200の走行により移動された仮想位置(
)は、次のように計算してよい。
【0020】
更に、図2には、自律走行車200の方向変化量を基に仮想自律走行車の仮想方向を計算した結果を示している。仮想自律走行車の初期仮想方向に自律走行車200の実際の方向変化量を反映すると、仮想自律走行車の仮想方向が計算される。
次に、位置/姿勢計算モジュール160は、道路環境DB110に保存された道路環境に関する情報のうち、道路形状に関する情報を参照し、仮想自律走行車の仮想位置と方向とを基に仮想姿勢を計算する。
以下では、図1に示すVILシステムにおいて、自律走行シミュレータ100と自律走行車200との間の位置/姿勢情報の同期化方法について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。
図3は、VILモードである場合、位置/姿勢情報の同期化方法を説明するための図である。VILモードは、VILシステムベースの自律走行機能を検証するモードとして、上述の内容はVILモードを前提としたものである。
【0021】
図示のように、まず、自律走行車200の位置/姿勢生成モジュール230は、自律走行車200の実際の位置/姿勢を測定/推定し(S210)、測定/推定された実際の位置/姿勢を自律走行シミュレータ100の連動モジュール170を介して、位置/姿勢計算モジュール160に伝送する(S220)。
すると、位置/姿勢計算モジュール160は、ステップS220において受信した自律走行車200の実際の位置/姿勢を仮想道路環境にある仮想自律走行車の仮想位置/姿勢に変換する(S230)。VILモードでは、実際の位置/姿勢を仮想位置/姿勢に変換するため、自律走行車200の動力学的な特性は反映しない。
一方、位置/姿勢を初期化しなければならない場合(S240-Y)、位置/姿勢計算モジュール160は、ステップS220で受信した自律走行車200の実際の位置/姿勢を自律走行シミュレータ100の初期位置/姿勢に設定し、ステップS230で変換された仮想位置/姿勢を仮想自律走行車の初期位置/姿勢に設定する(S250)。
位置/姿勢を初期化しなければならない場合は、VILモードを開始した場合、又は走行可能場所から離れた場合などである。位置/姿勢の初期化が必要でない場合(S240-N)、ステップS250は実行されない。
【0022】
次に、位置/姿勢計算モジュール160は、ステップS230で変換された仮想位置/姿勢情報を連動モジュール170を介して、自律走行車200の位置/姿勢受信モジュール250に伝送する(S260)。
図4は、VILモードでない場合、位置/姿勢情報の同期化方法を説明するための図である。図示のように、自律走行車200の認知/判断/制御モジュール210は、自律走行シミュレータ100の連動モジュール170を介して、位置/姿勢計算モジュール160に車両制御コマンドを伝送する(S310)。
すると、自律走行シミュレータ100の位置/姿勢計算モジュール160は、ステップS310で受信した車両制御コマンドを基に自律走行車の動力学的な特性を分析し、車両の挙動を推定して位置/姿勢を計算する(S320)。
次に、位置/姿勢計算モジュール160は、ステップS320で計算した位置/姿勢情報を連動モジュール170を介して、自律走行車200の位置/姿勢受信モジュール250に伝送する(S330)。
【0023】
これまで、VILシステムベースの自律走行機能の検証方法について、好適な実施例を挙げて詳しく説明した。
本発明の実施例では、自律走行車が仮想道路環境を模写したPGのような実際の試験道路に直接出向くことなく、別の場所でVILシステムベースの自律走行性能を検証することができる方法を提示している。
それにより、走行場所を変えなくても、様々な仮想道路環境に対し、VILシステムをベースに自律走行機能の素早い検証が可能になるため、自律走行の技術開発のスピードアップと利便性の向上を図ることができるようになる。
特に、本発明の実施例によれば、自律走行車の走る道路が変わらない状態で、道路環境DB110に情報が保存される道路は変えることができるため、様々な仮想道路に対する自律走行性能の検証を手軽かつ素早く行うことができる。
なお、上記実施例において、道路環境DB110に保存される道路は、実在する道路を想定しているが、仮想道路に関する情報を道路環境DB110に保存し、自律走行性能を検証することも可能である。
【0024】
一方、本実施例に係る装置及び方法の機能を行わせるコンピュータプログラムを組み込んだコンピュータで読み取り可能な記録媒体にも、本発明の技術的思想が適用され得る。なお、本発明の多様な実施例に係る技術的思想は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータで読み取り可能なコード形式で実現されてよい。コンピュータで読み取り可能な記録媒体とは、コンピュータによって読み取ることができ、データを保存することができる如何なるデータ保存装置でも可能である。例えば、コンピュータで読み取り可能な記録媒体とは、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスクドライブなどであってよい。なお、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に保存されたコンピュータで読み取り可能なコード又はプログラムは、コンピュータ間で接続されたネットワークを介して伝送されてよい。
【0025】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
図1
図2
図3
図4