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特開2024-35059深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035059
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/24 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G01N33/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023082651
(22)【出願日】2023-05-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】202211061298.8
(32)【優先日】2022-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523186597
【氏名又は名称】中国有色金属工業昆明勘察設計研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲スイ▼ 素剛
(72)【発明者】
【氏名】劉 文連
(72)【発明者】
【氏名】李 鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 幇団
(72)【発明者】
【氏名】許 漢華
(72)【発明者】
【氏名】徐 鵬飛
(72)【発明者】
【氏名】韓 鵬偉
(72)【発明者】
【氏名】樊 亞紅
(57)【要約】      (修正有)
【課題】深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム及び方法を提供する。
【解決手段】冷凍ボックス、サンプラー、負荷システム及び観測システムを備える。冷凍ボックスは、ボックス本体、冷却アセンブリ及び温度監視アセンブリを備え、冷却アセンブリは、ボックス本体を冷却し、温度監視アセンブリは、ボックス本体の中の温度変化を監視する。負荷システムは、恒圧アセンブリ、加圧シリンダー及び加圧材を備え、2つの加圧シリンダーは、それぞれサンプラーの両端に対称的に固定して取り付けられている。加圧材及び加圧シリンダーは、摺動して協働する。加圧材及び加圧シリンダーは、密閉空間を形成する。恒圧アセンブリは、前記密閉空間の中の気体を恒定の圧力に維持するように制御するために用いられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍ボックス、サンプラー、負荷システム及び観測システムを備え、
前記冷凍ボックスは、ボックス本体、冷却アセンブリ及び温度監視アセンブリを備え、前記冷却アセンブリは、前記ボックス本体の内部を冷却し、前記温度監視アセンブリは、前記ボックス本体の中の温度変化を監視し、
前記サンプラーは、尾鉱試料が充填され、前記ボックス本体の内部に設置され、
前記負荷システムは、恒圧アセンブリ、加圧シリンダー及び加圧材を備え、2つの前記加圧シリンダーは、それぞれ前記サンプラーの両端に対称的に固定して取り付けられ、前記加圧材は、前記加圧シリンダーの内部に設置され、前記加圧材と前記加圧シリンダーは、摺動可能に協働し、前記加圧材と前記加圧シリンダーは、密閉空間を形成し、前記恒圧アセンブリは、前記密閉空間の中の気体を恒定の圧力に維持するように制御し、
前記観測システムは、カメラ及び光源を備え、前記加圧シリンダーは、透明な構造であり、前記加圧シリンダーは、前記カメラの撮影範囲内にあり、前記光源は、前記ボックス本体の内部に設置され、前記カメラによる撮影に照明を提供することを特徴とする深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項2】
前記冷却アセンブリは、冷却パイプライン及び冷却機を備え、前記冷却パイプラインは、前記ボックス本体の内部に設置され、前記冷却機によって生成された負温度の循環液は、前記冷却パイプラインにおいて循環して輸送されることを特徴とする請求項1に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項3】
前記温度監視アセンブリは、若干の温度センサーを備え、前記ボックス本体の内部及び前記尾鉱試料内には、何れも前記温度センサーが設置されていることを特徴とする請求項2に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項4】
前記恒圧アセンブリは、恒圧シリンダー、ピストン及び負荷プレートを備え、前記ピストンは、前記恒圧シリンダー内に設置され、前記ピストン及び前記恒圧シリンダーは、摺動可能に協働し、前記恒圧シリンダー及び前記加圧シリンダーの中の前記密閉空間は、互いに連通しており、前記ピストン及び前記負荷プレートは、ピストンロッドにより固定接続されていることを特徴とする請求項1に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項5】
前記恒圧アセンブリは、案内ロッドを更に備え、前記案内ロッドの案内方向は、前記ピストンの摺動方向に平行し、前記負荷プレートは、前記案内ロッドに摺動可能に協働し、前記案内ロッドは、前記恒圧シリンダーに固定接続されていることを特徴とする請求項4に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項6】
各組の前記恒圧アセンブリは、同時に若干の組の前記尾鉱試料の両端にある前記加圧シリンダー内の前記密閉空間に連通することを特徴とする請求項4に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項7】
前記加圧材及び前記尾鉱試料の間には、弾性密封フィルムが設置され、前記弾性密封フィルムは、前記加圧シリンダーに固定接続し、前記加圧材は、若干の環状スリップリングにより接合することからなり、隣接する前記環状スリップリングは、摺動可能に協働し、最外周の前記環状スリップリングと前記加圧シリンダーは、摺動可能に協働することを特徴とする請求項1に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項8】
前記負荷システムは、空気充填装置を更に備え、前記空気充填装置は、空気ポンプ及びバルブを備え、前記空気ポンプは、前記恒圧シリンダーに連通しており、前記空気ポンプと前記恒圧シリンダーの間には、前記バルブが設置されていることを特徴とする請求項4に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項9】
前記恒圧シリンダーには、気圧計が設置され、前記気圧計は、前記恒圧シリンダーの中の気体の圧力の大きさを測定するために用いられることを特徴とする請求項8に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム。
【請求項10】
請求項9に記載の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システムに適用し、
前記加圧シリンダーが前記サンプラーの両端を被せ、若干の前記冷凍ボックスを設置し、それぞれの前記冷凍ボックスの中には、同じ数の尾鉱試料を入れ、前記尾鉱試料に対して1から番号を付け、それぞれの前記冷凍ボックスにおける同じ番号の前記尾鉱試料の両端の前記加圧シリンダーは、同じ組の前記恒圧アセンブリの上の前記加圧シリンダーに連通し、空気充填装置で連通後の閉合システムに気体を供給することにより、前記加圧材を前記尾鉱試料に密接させ、バルブを閉じ、前記閉合システムの中の気体が漏れることを防止し、各組の前記恒圧アセンブリの前記負荷プレートの上には、異なる質量の重りを置き、前記ボックス本体の蓋を閉じ、冷却アセンブリを起動して前記ボックス本体の中の尾鉱試料を冷凍し、それぞれの前記冷凍ボックスにおいて設定されている冷凍温度が何れも異なる加圧冷凍ステップと、
撮影時間を予め設定し、予め設定された時間に達すると、前記光源が自動的に点灯し、前記カメラが前記加圧シリンダーを撮影し、前記カメラが写真を撮影することにより、前記尾鉱試料の凍結膨張程度を観測する観測ステップとを備えることを特徴とする深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尾鉱砂土試験技術分野に属し、特に、深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尾鉱のサンプリングが完了した後、尾鉱試料に対して複数のパラメータの測定及び分析をする必要があるが、現場の条件に限りがあるため、動的3軸、高圧静的3軸及び共振柱等の試験装置を尾鉱ダムの現場に運送することができず、何千もの尾鉱原状土を試験のために屋内の実験室に運送する必要があり、尾鉱の粒界構造の強度が比較的低いため、長距離輸送中の試料の原状性を維持することは、一つの解決すべき課題である。試料の原状性を維持するために、通常、元の試料を冷凍し、冷凍状態で輸送し、実験地点に到着した後に解凍することにより、輸送過程における試料の損傷を防ぎ、試料の原状性を最大限で維持することができる。しかしながら、異なる冷凍条件は、尾鉱砂土の原状性に与える影響が異なり、例えば、冷凍温度、試料荷重の圧力及び冷凍の時間は、尾鉱砂土の原状性の維持に対して重要な影響を与える。また、尾鉱砂土の組成及び含水量によって、必要とする冷凍時間及び温度も異なり、冷凍過程は、尾鉱砂土の構造に影響を与えるか?尾鉱土は、撹乱されるか?どんな条件では、冷凍法で尾鉱の原状性を維持することができるか?これらの問題について実験研究を行うことは、非常に重要な意義を有する。
【0003】
しかしながら、従来技術では、採集したばかりの尾鉱試料を直接冷蔵庫に入れて冷凍させ、定期的に冷蔵庫を開けて冷凍状態を観察・記録していたが、工程が煩雑であり、試料の状態をリアルタイムで把握することができなかった。また、尾鉱試料に対して加圧が行われていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術の欠点に鑑み、本発明の目的は、深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム及び方法を提供することである。本発明は、従来技術において、尾鉱冷凍装置の操作ステップが煩雑であり、尾鉱試料の状況をリアルタイムで把握することができず、冷凍中に尾鉱試料に対して加圧が行われていなかったという問題を解決するために用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的及びその他の関連目的を実現するために、本発明は、冷凍ボックス、サンプラー、負荷システム及び観測システムを備える深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システムを提供する。前記冷凍ボックスは、ボックス本体、冷却アセンブリ及び温度監視アセンブリを備え、前記冷却アセンブリは、前記ボックス本体の内部を冷却し、前記温度監視アセンブリは、前記ボックス本体の中の温度変化を監視し、前記サンプラーは、尾鉱試料が充填され、前記ボックス本体の内部に設置されている。
【0006】
前記負荷システムは、恒圧アセンブリ、加圧シリンダー及び加圧材を備え、2つの前記加圧シリンダーは、それぞれ前記サンプラーの両端に対称的に固定して取り付けられ、前記加圧材は、前記加圧シリンダーの内部に設置され、前記加圧材と前記加圧シリンダーは、摺動可能に協働し、前記加圧材は、前記サンプラーの中の尾鉱試料に接触し、前記加圧材と前記加圧シリンダーは、密閉空間を形成し、前記恒圧アセンブリは、前記加圧シリンダーの中の前記密閉空間の気体を恒定の圧力に維持するように制御するために用いられる。
【0007】
前記観測システムは、カメラ及び光源を備え、前記加圧シリンダーは、透明な構造であり、前記加圧シリンダーは、前記カメラの撮影範囲内にあり、前記光源は、前記ボックス本体の内部に設置され、前記カメラに照明を提供する。
【0008】
好ましくは、前記冷却アセンブリは、冷却パイプライン及び冷却機を備え、前記冷却パイプラインは、前記ボックス本体の内部に設置され、前記冷却機によって生成された負温度の循環液は、前記冷却パイプラインにおいて循環して輸送される。
【0009】
好ましくは、前記温度監視アセンブリは、若干の温度センサーを備え、前記ボックス本体の内部及び前記尾鉱試料内には、何れも前記温度センサーが設置されている。
【0010】
好ましくは、前記恒圧アセンブリは、恒圧シリンダー、ピストン及び負荷プレートを備え、前記ピストンは、前記恒圧シリンダー内に設置され、前記ピストン及び前記恒圧シリンダーは、摺動可能に協働し、前記恒圧シリンダー及び前記密閉空間は、互いに連通しており、前記ピストン及び前記負荷プレートは、ピストンロッドにより固定接続されている。
【0011】
好ましくは、前記恒圧アセンブリは、案内ロッドを更に備え、前記案内ロッドの案内方向は、前記ピストンの摺動方向に平行し、前記負荷プレートは、前記案内ロッドに摺動可能に協働し、前記案内ロッドは、前記恒圧シリンダーに固定接続されている。
【0012】
好ましくは、前記加圧シリンダーは、長さの目盛りが設置されている。
【0013】
好ましくは、一組の前記恒圧アセンブリは、同時に若干の組の前記尾鉱試料の両端にある前記加圧シリンダー内の前記密閉空間に連通する。
【0014】
好ましくは、前記加圧材及び前記尾鉱試料の間には、弾性密封フィルムが設置され、前記弾性密封フィルムは、前記加圧シリンダーに固定接続し、前記加圧材は、若干の環状スリップリングにより接合することからなり、隣接する前記環状スリップリングは、摺動可能に協働し、最外周の前記環状スリップリングと前記加圧シリンダーは、摺動可能に協働する。
【0015】
好ましくは、空気充填装置を更に備え、前記空気充填装置は、空気ポンプ及びバルブを備え、前記空気ポンプは、前記恒圧シリンダーに連通しており、前記空気ポンプと前記恒圧シリンダーの間には、前記バルブが設置されている。
【0016】
好ましくは、前記恒圧シリンダーには、気圧計が設置され、前記気圧計は、前記恒圧シリンダーの中の気体の圧力の大きさを測定するために用いられる。
【0017】
本発明は、加圧冷凍ステップと観測ステップとを備える深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張方法を提供する。前記加圧冷凍ステップにおいては、前記加圧シリンダーが前記サンプラーの両端を被せ、若干の前記冷凍ボックスを設置し、それぞれの前記冷凍ボックスの中には、同じ数の尾鉱試料を入れ、前記尾鉱試料に対して1 から番号を付け、それぞれの前記冷凍ボックスにおける同じ番号の前記尾鉱試料の両端の前記加圧シリンダーは、同じ組の前記恒圧アセンブリの上の前記加圧シリンダーに連通し、空気充填装置で連通後の閉合システムに気体を供給することにより、前記加圧材を前記尾鉱試料に密接させ、バルブを閉じ、前記閉合システムの中の気体が漏れることを防止し、各組の前記恒圧アセンブリの前記負荷プレートの上には、異なる質量の重りを置き、前記ボックス本体の蓋を閉じ、冷却アセンブリを起動して前記ボックス本体の中の尾鉱試料を冷凍し、それぞれの前記冷凍ボックスにおいて設定されている冷凍温度が何れも異なる。前記観測ステップにおいては、撮影時間を予め設定し、予め設定された時間に達すると、前記光源が自動的に点灯し、前記カメラが前記加圧シリンダーを撮影し、前記カメラが写真を撮影することにより、前記尾鉱試料の凍結膨張程度を観測する。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明の深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システム及び方法は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0019】
(1)尾鉱試料を前記サンプラーと共に前記冷凍ボックスに入れて冷凍させると、尾鉱試料への攪乱が減少し、前記恒圧アセンブリが前記加圧シリンダーの中の気体を恒定の圧力に維持するように制御することにより、前記加圧材は、移動中に常に恒定の気体圧を受けるので、前記加圧材は、前記尾鉱試料に対して恒定の圧力を提供することができる。
【0020】
(2)前記尾鉱試料が冷凍を受けて凍結膨張すると、前記尾鉱試料の膨張により、前記加圧材を前記加圧シリンダーにおいて移動するように押し、前記加圧シリンダーが透明な構造であるため、前記カメラは、前記加圧シリンダーの中の前記尾鉱試料の膨張の状況を撮影することができる。
【0021】
(3)前記加圧材の上に重りを加えることにより、前記加圧材は、前記ピストンで前記恒圧シリンダーの中の気体に一定の圧力を提供し、前記加圧材の上の重りの質量が変化しない場合、前記加圧シリンダーの中の気体の圧力が恒定に保たれる。
【0022】
(4)前記サンプラーの両端には、ともに加圧シリンダーが設置され、2つの前記加圧シリンダーは、何れも同じ前記恒圧シリンダーに連通しているので、前記サンプラーの両端の尾鉱試料は、同じ大きさの圧力を受けることが保証される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明における深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システムの斜視構造模式図である。
図2】本発明における深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システムの平面図である。
図3】本発明における土取り器、加圧シリンダー及び加圧材の接続関係の構造の断面図を示している。
図4】本発明における恒圧アセンブリの斜視構造模式図である。
図5】本発明における深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システムにおいてボックス蓋を閉めた状態の模式図である。
図6】本発明における土取り器、加圧シリンダー、弾性密封フィルム及び環状スリップリングの接続関係の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、特定の具体的な実施例を用いて本発明の実施形態を説明し、この技術に精通する人は、本明細書に開示される内容から本発明の他のメリット及び効果を容易に理解することができる。
【0025】
図1図6を参考して説明する。なお、本明細書の図面に示されている構造、比率、大きさ等は、当該技術に精通した人が理解して読むために、何れも明細書に開示される内容を説明するものに過ぎず、本発明の実施条件を制限するためのものではなく、技術的な実質的な意味がなく、如何なる構造の修飾、比例関係の変更又は大きさの調整は、本発明により生じた効果及び実現可能な目的に影響を与えない限り、何れも本発明に開示される技術内容が含む範囲に属すべきである。また、明細書において引用する「上」、「下」、「左」、「右」、「真ん中」及び「一」等のような用語は、明確に説明するためのものであり、本発明の実施可能な範囲、その相対関係の変更及び調整を制限するものではなく、技術内容の実質的な変更がない限り、本発明の実施可能な範囲と見なされる。
【0026】
それぞれの実施例は、例示して説明するものに過ぎない。それぞれの実施例は、お互いに組み合わせすることができ、以下の単一の実施例に開示される内容と限らない。
【0027】
図1図6に示すように、本発明は、深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システムを提供する。前記深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張試験システムは、冷凍ボックス1、サンプラー2、負荷システム及び観測システム5を備える。前記冷凍ボックス1は、ボックス本体101、ボックス蓋102、冷却アセンブリ及び温度監視アセンブリを備える。前記冷却アセンブリは、前記ボックス本体101の内部を冷却するために用いられる。前記温度監視アセンブリは、前記ボックス本体101の中の温度変化を監視するために用いられる。前記サンプラー2は、尾鉱試料3が充填されている。前記サンプラー2は、前記ボックス本体101の内部に設置されている。前記サンプラー2は、前記尾鉱ダムから尾鉱砂土試料を取り出し、サンプラー2の両端の砂土を平坦にするように整理する。また、サンプラー2は、取り扱いプロセスの振動により尾鉱砂土のその内部構造に損傷を与えることを防止するために、取り扱いプロセスにおいて優しく取り扱う。
【0028】
前記負荷システムは、恒圧アセンブリ401、加圧シリンダー402及び加圧材403を備える。2つの前記加圧シリンダー402は、それぞれ前記サンプラー2の両端に対称的に固定して取り付けられている。前記加圧材403は、前記加圧シリンダー402の内部に設置されている。前記加圧材403は、前記加圧シリンダー402と摺動可能に協働する。前記加圧材403は、前記サンプラー2の中の尾鉱試料3に接触する。前記加圧材403は、前記加圧シリンダー402と密閉空間を形成する。前記恒圧アセンブリ401は、前記加圧シリンダー402の中の前記密閉空間の気体を恒定の圧力に維持するように制御するために用いられる。
【0029】
前記観測システム5は、カメラ501及び光源502を備える。前記加圧シリンダー402は、透明な構造である。前記加圧シリンダー402は、前記カメラ501の撮影範囲にある。前記光源502は、前記ボックス本体101の内部に設置されている。前記光源502は、前記カメラ501に照明を提供する。前記光源502は、平行光源502であって良い。前記光源502は、前記ボックス本体101の内部全体を照明することができる。
【0030】
前記尾鉱試料3を前記サンプラー2と共に前記冷凍ボックス1に入れて冷凍させると、前記尾鉱試料3への撹乱が減少し、前記恒圧アセンブリ401が前記加圧シリンダー402の中の気体を恒定の圧力に維持するように制御することにより、前記加圧材403は、移動中に常に恒定の気体圧を受けるので、前記加圧材403は、前記尾鉱試料3に対して恒定の圧力を提供することができる。前記尾鉱試料3が冷凍されて凍結膨張すると、前記尾鉱試料3の膨張により、前記加圧材403を前記加圧シリンダー402において移動するように押し、前記加圧シリンダー402が透明な構造であるため、前記カメラ501は、前記加圧シリンダー402の中の前記尾鉱試料3の膨張の状況を撮影することができる。
【0031】
本実施例においては、図1及び図2に示すように、前記冷却アセンブリは、冷却パイプライン及び冷却機を備える。前記冷却パイプラインは、前記ボックス本体101の内部に設置されている。前記冷却機により生成された負温度循環液が前記冷却パイプラインにおいて循環して運送され、前記負温度循環液により前記ボックス本体101内の熱が奪われることにより、前記ボックス本体101の温度を低下させる。前記冷却機で運送される前記負温度循環液の温度を制御することにより、前記ボックス本体101内の温度を制御する。
【0032】
本実施例においては、図1図5に示すように、前記温度監視アセンブリは、若干の温度センサーを備える。前記ボックス本体101の内部、前記尾鉱試料3の中は、何れも前記温度センサーが設置されている。前記尾鉱試料3の中心及び縁には、何れも前記温度センサーが設置され、前記温度センサーから出された情報により前記ボックス本体101の中の温度の変化状況をリアルタイムで把握する。
【0033】
本実施例においては、図1図5に示すように、前記恒圧アセンブリ401は、恒圧シリンダー4012、ピストン4013及び負荷プレート4014を備える。前記ピストン4013は、前記恒圧シリンダー4012内に設置されている。前記ピストン4013及び前記恒圧シリンダー4012は、摺動可能に協働する。前記恒圧シリンダー4012と前記密閉空間は、接続パイプ6により連通する。前記ピストン4013と前記負荷プレート4014は、ピストンロッド4016により固定接続されている。前記加圧材403に重りを加えることにより、前記加圧材403は、前記ピストン4013により前記恒圧シリンダー4012の中の気体に一定の圧力を提供する。前記加圧材403の上の重りの質量が変化しない場合、前記加圧シリンダー402の中の気体の圧力が恒定に保たれることにより、前記尾鉱試料3に恒定の圧力を提供する。
【0034】
当該実施例においては、図1及び図2に示すように、前記恒圧アセンブリ401は、案内ロッド4015を更に備える。前記案内ロッド4015の案内方向は、前記ピストン4013の摺動方向に平行する。前記負荷プレート4014と前記案内ロッド4015は、摺動可能に協働する。前記案内ロッド4015は、前記恒圧シリンダー4012に固定接続されている。前記負荷プレート4014の安定性を高めることができる。
【0035】
当該実施例においては、図1図3に示すように、前記加圧シリンダー402には、長さの目盛りが設置されている。前記長さの目盛りにより前記尾鉱試料3の凍結膨張程度を直観的に観察することができる。
【0036】
当該実施例においては、図1図3に示すように、1組の前記恒圧アセンブリ401は、若干の組の前記尾鉱試料3の両端の前記加圧シリンダー402内の前記密閉空間に連通している。複数の組の前記尾鉱試料3を同時に加圧することが実現される。
【0037】
当該実施例においては、図1図5に示すように、若干の組の前記冷凍ボックス1が同時に設置され、各組の冷凍ボックスの中の温度が何れも異なり、各冷凍ボックス1には、同じ数の尾鉱試料3が置かれ、バッチ実験が同時に行われる。
【0038】
当該実施例においては、図1図6に示すように、前記加圧材403と前記尾鉱試料3の間には、弾性密封フィルム404が設置されている。前記弾性密封フィルム404は、前記加圧シリンダー402に固定接続されている。前記弾性密封フィルムは、前記加圧シリンダーの中の気体が前記尾鉱試料3に入ることを防止することができ、前記尾鉱試料3の膨張に影響を与えない。前記加圧材403は、若干の環状スリップリング4031を接合することからなり、隣接する前記環状スリップリング4031は、摺動可能に協働する。最外周の前記環状スリップリング4031と前記加圧シリンダー402は、摺動可能に協働する。中心の前記環状スリップリング4031は、円柱体であり、残りの前記環状スリップリング4031は、環状である。前記尾鉱試料3は、円柱体であり、前記尾鉱試料3は、冷凍過程において外側から内側に向かって冷凍し、前記尾鉱試料の変形も異なるので、前記尾鉱試料3は、凍結膨張変形が生じた際に、前記環状スリップリング4031が移動するように押し、前記環状スリップリング4031の移動の状況により、軸線から離れた異なる位置にある前記尾鉱試料3の変形状況及び変形順序を知ることができる。
【0039】
当該実施例においては、図1及び図2に示すように、空気充填装置を更に備える。前記空気充填装置は、空気ポンプ及びバルブを備える。前記空気ポンプは、前記恒圧シリンダー4012に連通している。前記空気ポンプと前記恒圧シリンダー4012の間には、前記バルブが設置されている。前記恒圧シリンダー4012と前記加圧シリンダー402の間に形成された閉合システムに気体を補給する。
【0040】
当該実施例においては、図1及び図2に示すように、前記恒圧シリンダー4012には、気圧計が設置されている。前記気圧計は、前記恒圧シリンダー4012内の圧力の大きさを測定するために用いられる。前記気圧計が表示する圧力の大きさから、前記尾鉱試料3が受けている圧力を算出することができる。
【0041】
深部飽和柔らかな尾鉱原状試料凍結膨張方法は、加圧冷凍ステップ及び観測ステップを備える。
【0042】
当該加圧冷凍ステップにおいては、前記加圧シリンダー402が前記サンプラー2の両端を被せ、若干の前記冷凍ボックス1を設置し、それぞれの前記冷凍ボックス1の中には、同じ数の尾鉱試料3を入れ、前記尾鉱試料に対して1から番号を付け、それぞれの前記冷凍ボックス1における同じ番号の尾鉱試料3の両端の前記加圧シリンダー402は、同じ組の前記恒圧アセンブリ401の上の前記加圧シリンダー402に連通し、空気充填装置で連通後の閉合システムに気体を供給することにより、前記加圧材403を前記尾鉱試料3に密接させ、バルブを閉じ、前記閉合システムの中の気体が漏れることを防止し、各組の前記恒圧アセンブリ401の前記負荷プレート4014の上には、異なる質量の重りを置き、前記ボックス本体101の蓋を閉じ、冷却アセンブリを起動して前記ボックス本体101の中の尾鉱試料3を冷凍し、それぞれの前記冷凍ボックス1の中の温度が何れも異なる。
【0043】
異なる温度の前記冷凍ボックス1において番号が同じである前記尾鉱試料3が受ける圧力が同じであることを保証することができる。また、同一の冷凍ボックス1においては、異なる圧力の尾鉱試料3が同じ温度での冷凍を受ける。
【0044】
前記観測ステップにおいては、撮影時間を予め設定し、予め設定された時間に達すると、前記光源502が自動的に点灯し、前記カメラ501が前記加圧シリンダー402を撮影し、前記カメラ501が写真を撮影することにより、前記尾鉱試料3の凍結膨張程度を観測する。
【0045】
以上のことから、尾鉱試料3を前記サンプラー2と共に前記冷凍ボックス1に入れて冷凍させると、前記尾鉱試料3への撹乱が減少し、前記恒圧アセンブリ401が前記加圧シリンダー402の中の気体を恒定の圧力に維持するように制御することにより、前記加圧材403は、移動中に常に恒定の気体圧を受けるので、前記加圧材403は、前記尾鉱試料3に対して恒定の圧力を提供することができる。従って、本発明は、従来技術の様々な欠点を効果的に克服し、産業上の利用価値が高い。
【0046】
上述した実施例は、本発明の原理及びその効果を例示的に説明するものに過ぎず、本発明を制限するものではない。当該技術に精通している人々は、本発明の精神及び範囲を逸脱しなければ、上述した実施例を修飾又は変更することができる。よって、当業者は、本発明に開示される精神及び技術構想に基づいて完成された一切の等価の修飾又は変更が何れも本発明の特許請求の範囲にカバーされるべきである。
【0047】
(符号の説明)
1 冷凍ボックス
101 ボックス本体
102 ボックス蓋
2 サンプラー
3 尾鉱試料
401 恒圧アセンブリ
4011 重り
4012 恒圧シリンダー
4013 ピストン
4014 負荷プレート
4015 案内ロッド
4016 ピストンロッド
402 加圧シリンダー
403 加圧材
4031 環状スリップリング
404 弾性密封フィルム
5 観測システム
501 カメラ
502 光源
6 接続パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】