(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035075
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】鼻腔拡張具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/08 20060101AFI20240306BHJP
A61F 5/56 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61F5/08
A61F5/56
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023098127
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】520493049
【氏名又は名称】坂口 照子
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】坂口 照子
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB15
4C098BC12
(57)【要約】
【課題】 細長の弾性板と、弾性板の一面の全体を覆う粘着層と、粘着層に密着した剥離カバーとを備え、剥離カバーは粘着層の長手方向一端部を覆い使用時に剥がされる第1部分と、粘着層の長手方向中央部を覆い使用時に剥がされない第2部分と、粘着層の長手方向他端部を覆い使用時に剥がされる第3部分とに三分割された鼻腔拡張具であって、使用時に弾性板の反発力によって弾性板の長手方向両端が鼻梁側部表面から剥がれる事態の発生が防止された鼻腔拡張具を提供する。
【解決手段】 細長の弾性板と、弾性板の一面全体を覆う粘着層と、粘着層に密着した剥離カバーとを備え、剥離カバーは粘着層の長手方向一端部を覆い使用時に剥がされる第1部分と、粘着層の長手方向中央部を覆い使用時に剥がされない第2部分と、粘着層の長手方向他端部を覆い使用時に剥がされる第3部分とに三分割されており、粘着層は弾性板の長手方向両端縁を越えて弾性板の長手方向外方へ延在する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長の弾性板と、弾性板の一面全体を覆う粘着層と、粘着層に密着した剥離カバーとを備え、剥離カバーは粘着層の長手方向一端部を覆い使用時に剥がされる第1部分と、粘着層の長手方向中央部を覆い使用時に剥がされない第2部分と、粘着層の長手方向他端部を覆い使用時に剥がされる第3部分とに三分割されており、粘着層は弾性板の長手方向両端縁を越えて弾性板の長手方向外方へ延在することを特徴とする鼻腔拡張具。
【請求項2】
粘着層の幅は長手方向全域に亙って同一であることを特徴とする請求項1に記載の鼻腔拡張具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔拡張具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細長の弾性板と、弾性板の一面全体を覆う粘着層と、粘着層に密着する剥離カバーとを備え、剥離カバーは長手方向中央部で二分割され、剥離カバーを剥がし弾性板を折り曲げ粘着層を鼻梁表面に密着させて使用する鼻腔拡張具が特許文献1の
図1、2に開示されている。
特許文献1の鼻腔拡張具においては、使用後に鼻腔拡張具を取り外す際に、粘着層が密着した鼻梁頂部の皮膚が剥がれて鼻梁頂部が損傷するのを防止するために、粘着層の長手方向中央部にパッドやネットを密着させて、鼻腔拡張具の使用時に粘着層が鼻梁頂部に密着するのを防止している。
使用済の鼻腔拡張具を取り外す際の態様として、弾性板の長手方向一端を指で摘んで鼻梁頂部へ向けて引っ張るのが一般的であり、鼻腔拡張具の使用者や当業者の常識である。特許文献1の
図1、2は弾性板の長手方向両端縁を越えて粘着層が長手方向外方へ延在することを示している。当該構成には使用時に弾性板の反発力によって弾性板の長手方向両端が鼻梁側部表面から剥がれるのを防止する効果がある。然しながら当該構成には、使用後の鼻腔拡張具の取り外し時に、弾性板の長手方向一端を直ちに指で摘むことができず、準備作業として、弾性板の長手方向一端縁を越えて長手方向外方へ延在し鼻梁側部に密着した粘着層を剥がす作業が必要になるので、鼻腔拡張具の取り外し態様に関する使用者や当業者の常識に適合しないという欠点がある。従って当業者は前記構成に実用価値を見出していないと考えられる。実際に従来の市販品では、前記常識に適合すべく、特許文献1の
図7から推察できるように、粘着層を弾性板の長手方向両端縁で終端させている。他方粘着層の弾性板側縁を越えて側方外方へ延在する部位の幅を弾性板の長手方向両端部近傍において他部よりも増加させ、ひいては粘着層を長手方向両端部で側方外方へ膨出させて、長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在する粘着層による支えが無い弾性板の長手方向両端が使用中に弾性板の反発力によって鼻梁側部表面から剥がれる事態の発生を防止している。
本出願人は、特許文献2において、剥離カバーを粘着層の長手方向一端部を覆い使用時に剥がされる第1部分と、粘着層の長手方向中央部を覆い使用時に剥がされない第2部分と、粘着層の長手方向他端部を覆い使用時に剥がされる第3部分とに三分割することにより、使用時の鼻梁頂部への粘着層の密着を防止し、且つ使用時の鼻梁頂部への粘着層の密着防止のための専用部材を必要としない鼻腔拡張具を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-087766号公報
【特許文献2】特許第6938750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の鼻腔拡張具においては、特許文献2の
図2から分かるように、従来の市販品と同様に、粘着層は弾性板の長手方向両端縁で終端している。然しながら、特許文献2の鼻腔拡張具は、使用後に、従来の常識的な取り外し態様とは異なる新規な態様で、具体的には剥離カバーの第2部分によって鼻腔頂部から隙間を隔てた弾性板の長手方向中央部側縁を指で摘み、面外方向へ引っ張って、鼻梁側部表面から剥がすことができるので、弾性板の長手方向一端を指で摘んで鼻梁頂部へ向けて引っ張る従来の常識的な取り外し態様に適合させるために、粘着層を弾性板の長手方向両端縁で終端させる必要は無い。一方、粘着層が弾性板の長手方向両端縁で終端していると、前述のように、長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在する粘着層による支えが無い弾性板の長手方向両端が、使用中に弾性板の反発力によって鼻梁側部表面から剥がれ、鼻腔拡張効果が低減する事態を招く恐れがある。
従って本発明は、細長の弾性板と、弾性板の一面の全体を覆う粘着層と、粘着層に密着した剥離カバーとを備え、剥離カバーは粘着層の長手方向一端部を覆い使用時に剥がされる第1部分と、粘着層の長手方向中央部を覆い使用時に剥がされない第2部分と、粘着層の長手方向他端部を覆い使用時に剥がされる第3部分とに三分割された鼻腔拡張具であって、使用時に弾性板の反発力によって弾性板の長手方向両端が鼻梁側部表面から剥がれる事態の発生が防止された鼻腔拡張具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、細長の弾性板と、弾性板の一面全体を覆う粘着層と、粘着層に密着した剥離カバーとを備え、剥離カバーは粘着層の長手方向一端部を覆い使用時に剥がされる第1部分と、粘着層の長手方向中央部を覆い使用時に剥がされない第2部分と、粘着層の長手方向他端部を覆い使用時に剥がされる第3部分とに三分割されており、粘着層は弾性板の長手方向両端縁を越えて弾性板の長手方向外方へ延在することを特徴とする鼻腔拡張具を提供する。
粘着層は弾性板の長手方向両端縁を越えて弾性板の長手方向外方へ延在し、当該延在部が弾性板の反発力に抵抗するので、使用時に弾性板の反発力によって弾性板の長手方向両端が鼻梁側部表面から剥がれる事態の発生が防止される。使用後の取り外し時には、剥離カバーの第2部分によって鼻腔頂部から隙間を隔てた弾性板の長手方向中央部の側縁を指で摘み、面外方向へ引っ張って、弾性板を鼻梁表面から引き剥がせば良いので、粘着層が弾性板の長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在しても、取り外し作業に不都合は生じない。
本発明の好ましい態様においては、粘着層の幅は長手方向全域に亙って同一である。
粘着層の弾性板の長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在する部位が弾性板の反発力に抵抗するので、前記反発力に抵抗するために特許文献1の
図7に示すように粘着層の長手方向両端部を側方外方へ膨出させる必要はない。粘着層の幅を長手方向全域に亙って同一にすることにより、鼻梁拡張具の幅が長手方向全域に亙って同一になり、鼻梁拡張具が単純な長方形になるので、長手方向両端部が側方外方へ膨出した従来の鼻梁拡張具に比べて製造時の製品歩留りが改善される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施例に係る鼻腔拡張具の分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る鼻腔拡張具の使用状態を示す図である。
【
図3】本発明の他の実施例に係る鼻腔拡張具の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示すように、本発明の実施例に係る鼻腔拡張具Aは、紙、布、プラスチックフィルム等で形成され長手方向両端部が面内で側方外方へ膨出した細長偏平の可撓性基材1と、紙、布、プラスチック等の単一部材又は複合部材で形成され可撓性基材1に貼着された細長長方形の弾性板2と、可撓性基材1と協働して弾性板2を挟持した可撓性基材1と同一平面形状の粘着層3と、粘着層3に密着した紙、プラスチック等で形成された粘着層3と同一平面形状の剥離カバー4とを備えている。
図1に一点鎖線で示す可撓性基材1と弾性板2の相対位置関係と弾性板2と粘着層3の相対位置関係とから分かるように、可撓性基材1と粘着層3は弾性板2の側縁と長手方向両端縁を越えて弾性板2の外方へ延在している。また可撓性基材1と粘着層3の弾性板2の両側縁を越えて側方外方へ延在する部位の幅が、長手方向両端部近傍において他部よりも増加しており、可撓性基材1と粘着層3は長手方向両端近傍で側方外方へ膨出している。
剥離カバー4は粘着層3の長手方向一端部を覆う第1部分4aと、粘着層3の長手方向中央部を覆う第2部分4bと、粘着層3の長手方向他端部を覆う第3部分4cとに三分割されている。
【0008】
鼻腔拡張具Aの使用時には、
図2(a)~(c)に示すように、剥離カバー4の長手方向両端部である第1部分4aと第3部分4cのみを粘着層3から剥がし、剥離カバー4の長手方向中央部である第2部分4bは粘着層3に密着させたままにしておき、
図2(d)~(e)に示すように、第2部分4bを鼻梁頂部100aに当接させ、可撓性基材1と弾性板2とを鼻梁表面に沿って折り曲げて、粘着層3を鼻梁両側部100b表面に密着させる。
鼻梁頂部100a表面には剥離カバー4の第2部分4bが当接し、粘着層3は密着しない。従って、鼻腔拡張具1の取り外し時に、粘着層3が鼻梁頂部100aの皮膚を剥がす事態は発生せず、鼻梁頂部は損傷しない
剥離カバー4を第1部分4a、第2部分4b、第3部分4cに三分割すれば良く、使用時の鼻梁頂部100aへの粘着層3の密着防止のための専用部材は不要である。
粘着層3の弾性板2の長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在する部位が弾性板2の反発力に抵抗するので、使用時に弾性板2の反発力によって弾性板2の長手方向両端が鼻梁側部100b表面から剥がれる事態の発生が防止される。また、粘着層3長手方向両端部の側方外方への膨出部が弾性板2の反発力に抵抗するので、使用時に弾性板2の反発力によって弾性板2の長手方向両端が鼻梁側部100b表面から剥がれる事態の発生が二重に防止される。
使用後の鼻腔拡張具の取り外し時には、剥離カバー4の第2部分4bによって鼻腔頂部100aから隙間を隔てた弾性板2の長手方向中央部側縁を指で摘んで弾性板2を鼻梁側部100b表面から引き剥がせば良いので、粘着層3が弾性板2の長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在し、更に粘着層3の長手方向両端部が側方外方へ膨出していても、取り外し作業時に不都合は生じない。
【0009】
上記実施例においては、粘着層3の長手方向両端部を側方外方へ膨出させているが、粘着層3が弾性板2の長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在することにより、使用時の弾性板両端部の剥離防止効果は十分に得られているので、粘着層3の長手方向両端部を側方外方へ膨出させることは必須ではない。従って
図3に示すように、可撓性基材1、粘着層3、剥離カバー4の長手方向両端部の側方への膨出部を無くして、可撓性基材1、粘着層3、剥離カバー4の幅を長手方向全域に亙って同一にしても良い。この結果、鼻梁拡張具Aの幅が長手方向全域に亙って同一になり、鼻梁拡張具Aが単純な長方形になるので、長手方向両端部が側方外方へ膨出した従来の鼻梁拡張具に比べて製造時の製品歩留りが改善される。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明に係る鼻腔拡張具に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0011】
A 鼻腔拡張具
1 可撓性基材
2 弾性板
3 粘着層
4 剥離カバー
4a 第1部分
4b 第2部分
4c 第3部分
100a 鼻梁頂部
100b 鼻梁側部
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長の弾性板と、弾性板の一面全体を覆う粘着層と、粘着層に密着した剥離カバーとを備え、剥離カバーは粘着層の長手方向一端部を覆い使用時に剥がされる第1部分と、粘着層の長手方向中央部を覆い使用時に剥がされない第2部分と、粘着層の長手方向他端部を覆い使用時に剥がされる第3部分とに三分割されており、粘着層の幅は長手方向全域に亙って同一であり、粘着層は弾性板の長手方向両端縁を越えて弾性板の長手方向外方へ延在し、粘着層の弾性板長手方向両端縁を越える幅は、粘着層の弾性板両側縁を越える幅よりも大であり且つ使用時に弾性板長手方向両端が使用者の鼻梁側部から剥がれるのを防止できる幅であることを特徴とする鼻腔拡張具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、細長の弾性板と、弾性板の一面全体を覆う粘着層と、粘着層に密着した剥離カバーとを備え、剥離カバーは粘着層の長手方向一端部を覆い使用時に剥がされる第1部分と、粘着層の長手方向中央部を覆い使用時に剥がされない第2部分と、粘着層の長手方向他端部を覆い使用時に剥がされる第3部分とに三分割されており、
粘着層の幅は長手方向全域に亙って同一であり、粘着層は弾性板の長手方向両端縁を越えて弾性板の長手方向外方へ延在し、粘着層の弾性板長手方向両端縁を越える幅は、粘着層の弾性板両側縁を越える幅よりも大であり且つ使用時に弾性板長手方向両端が使用者の鼻梁側部から剥がれるのを防止できる幅であることを特徴とする鼻腔拡張具を提供する。
粘着層は弾性板の長手方向両端縁を越えて弾性板の長手方向外方へ延在し、当該延在部が弾性板の反発力に抵抗するので、使用時に弾性板の反発力によって弾性板の長手方向両端が鼻梁側部表面から剥がれる事態の発生が防止される。使用後の取り外し時には、剥離カバーの第2部分によって鼻腔頂部から隙間を隔てた弾性板の長手方向中央部の側縁を指で摘み、面外方向へ引っ張って、弾性板を鼻梁表面から引き剥がせば良いので、粘着層が弾性板の長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在しても、取り外し作業に不都合は生じない。
本発明においては、粘着層の幅は長手方向全域に亙って同一である。
粘着層の弾性板の長手方向両端縁を越えて長手方向外方へ延在する部位が弾性板の反発力に抵抗するので、前記反発力に抵抗するために特許文献1の
図7に示すように粘着層の長手方向両端部を側方外方へ膨出させる必要はない。粘着層の幅を長手方向全域に亙って同一にすることにより、鼻梁拡張具の幅が長手方向全域に亙って同一になり、鼻梁拡張具が単純な長方形になるので、長手方向両端部が側方外方へ膨出した従来の鼻梁拡張具に比べて製造時の製品歩留りが改善される。