(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003508
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
D06F58/02 Z
D06F58/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102696
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】山本 正和
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正宏
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA24
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA50
3B166CA01
3B166CA04
3B166CA11
3B166CA24
3B166CB11
(57)【要約】
【課題】、使用者が衣類をドラム内に出し入れする際、衣類が衣類投入口の下縁部に擦れることにより、筐体形成する塗装鋼板に傷が付いたり、塗装が剥がれるのを防止する。
【解決手段】本発明に係る乾燥機は、塗料が塗装された塗装鋼板により形成され、衣類投入口を有する筐体を備え、衣類投入口の下縁部には、ステンレス製の保護部材が設けられる。衣類投入口は、円形であり、保護部材は、環状の部材であり、保護部材が、衣類投入口の縁部の全周に設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料が塗装された塗装鋼板により形成され、衣類投入口を有する筐体を備え、
前記衣類投入口の下縁部には、保護部材が設けられることを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記衣類投入口は、円形であり、
前記保護部材は、環状の部材であり、
前記保護部材が、前記衣類投入口の縁部の全周に設けられることを特徴とする請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記保護部材は、ステンレス製の部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記保護部材は、前記衣類投入口の周縁部の前方に配置される環状の板状部と、前記板状部の内周側に配置される湾曲部とを有し、
前記湾曲部の後端部は、前記衣類投入口の縁端部よりも後方に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記筐体の前記衣類投入口の周縁部には、取付穴が形成され、
前記保護部材の裏面には、前記取付穴に挿入される取付ボルトが設けられ、
前記保護部材は、前記取付ボルトが前記筐体の正面側から前記取付穴に挿入された状態で固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコインランドリ店舗に設置される乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乾燥機501としては、
図9に示すように、ドラム503を収容する筐体502を有し、筐体502に衣類投入口511が形成されるものがある。衣類投入口511は、開閉扉512により開閉可能に構成される。そのため、乾燥機501を使用する使用者は、開閉扉512を開けた後、衣類投入口511から衣類をドラム503内に出し入れする。従来の乾燥機501では、塗料が塗装された塗装鋼板により形成された筐体502が使用されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾燥機501の使用者が、
図10に示すように開閉扉512を開けて、衣類をドラム内に出し入れする際、衣類が衣類投入口511の下縁部に擦れることが多い。そのため、筐体502の衣類投入口511の下縁部において、筐体502を形成する塗装鋼板に傷が付いたり、塗装が剥がれる問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、使用者が衣類をドラム内に出し入れする際に、筐体を形成する塗装鋼板に傷が付いたり、塗装が剥がれるのを防止することができる乾燥機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乾燥機は、塗料が塗装された塗装鋼板により形成され、衣類投入口を有する筐体を備え、前記衣類投入口の下縁部には、保護部材が設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る乾燥機において、前記衣類投入口は、円形であり、前記保護部材は、環状の部材であり、前記保護部材が、前記衣類投入口の縁部の全周に設けられることが好適である。
【0008】
本発明に係る乾燥機において、前記保護部材は、ステンレス製の部材であることが好適である。
【0009】
本発明に係る乾燥機において、前記保護部材は、前記衣類投入口の周縁部の前方に配置される環状の板状部と、前記板状部の内周側に配置される湾曲部とを有し、前記保護部材が前記衣類投入口の周縁部に設けられた状態において、前記湾曲部の後端部は、前記衣類投入口の縁端部よりも後方に配置されることが好適である。
【0010】
本発明に係る乾燥機において、前記筐体の前記衣類投入口の周縁部には、取付穴が形成され、前記保護部材の裏面には、前記取付穴に挿入される取付ボルトが設けられ、前記保護部材は、前記取付ボルトが前記筐体の正面側から前記取付穴に挿入された状態で固定されることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る乾燥機では、衣類投入口の下縁部に保護部材が設けられるため、使用者が衣類をドラム内に出し入れする際に、衣類が衣類投入口の下縁部に擦れることにより、筐体を形成する塗装鋼板に傷が付いたり、塗装が剥がれるのを防止することができる。
【0012】
本発明に係る乾燥機では、保護部材が衣類投入口の縁部の全周に設けられるため、筐体の衣類投入口を正面側から見たときの意匠性が向上する。
【0013】
本発明に係る乾燥機では、保護部材がステンレス製であるため、使用者が衣類をドラム内に出し入れする際に、衣類が衣類投入口の下縁部に擦れることにより、保護部材に傷が付くのを防止することができる。
【0014】
本発明に係る乾燥機では、筐体に対して保護部材を取り付けるためのボルト部材が外観上見えないため、乾燥機の意匠性が向上する。
【0015】
本発明に係る乾燥機では、保護部材の湾曲部の後端部が衣類投入口の縁端部よりも後方に配置されるため、使用者が衣類をドラム内に出し入れする際に、衣類が衣類投入口の縁部に擦れるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の乾燥機1の斜視図である。
【
図3】
図1の乾燥機1においてドア12が開けられた状態の斜視図である。
【
図4】
図1の乾燥機1においてドア12が開けられた状態の正面図である。
【
図5】
図3の乾燥機1の衣類投入口11周辺の部分拡大図である。
【
図6】筐体2の前面10と保護部材30とを分解した分解斜視図である。
【
図7】保護部材30を筐体2に取り付ける方法を説明する斜視図である。
【
図8】保護部材30を筐体2に取り付けた状態を示す部分断面図である。
【
図10】
図9の乾燥機501の衣類投入口511周辺の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る乾燥機1について、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態の乾燥機1は、例えばコインランドリ店舗で使用されるものであり、衣類の乾燥運転が実施されるものである。乾燥機1は、
図1及び
図2に示すように、箱形状の筐体2を有し、筐体2の内部には、衣類を収容するための略円筒形状の内周面を有するドラム3が配置される。ドラム3の前端には、開口部(図示省略)が形成され、水平軸を回転軸として回転可能である。
【0019】
筐体2の前面10には、ドラム3の前端に形成された開口部と対向する円形の衣類投入口11が形成される。筐体2の前面10には、衣類投入口11を開閉するドア12が設けられる。乾燥機1では、ドア12が開放されることにより、ドラム3内に対して衣類(洗濯物)の出し入れが可能となっている。
【0020】
ドア12は、衣類投入口11よりも大きい円形の部材であり、衣類投入口11の全体を覆うことができる。ドア12は、その一部として、右側に配置される上下方向に延びる板状の支持板5を有している。支持板5の端部5aの上下両端部は、筐体2の前面に取り付けられた2つの取付部材16に回転軸Aの周りを回動可能に支持される。
【0021】
乾燥機1において、ドア12が開かれると、
図3及び
図4に示すように、筐体2の前面10に形成された衣類投入口11が開放された状態になる。筐体2の前面10は、塗料が塗装された塗装鋼板により形成される。筐体2の前面10に形成された衣類投入口11は、円形であり、衣類投入口11の周縁部11n(前面10を形成する塗装鋼板の衣類投入口11周辺の環状の領域;
図6及び
図7参照)には、その全周にわたって環状の保護部材30が設けられる。保護部材30は、例えばステンレス製の部材である。
【0022】
保護部材30は、
図5に示すように、衣類投入口11の周縁部11nの前方に配置される環状の板状部31と、板状部31の内周側に配置される湾曲部33とを有している。板状部31の内端部31a(
図6及び
図7参照)の直径は、衣類投入口11の周縁部11nの縁端部11a(
図6及び
図7参照)の直径と略同一である。湾曲部33aは、板状部31の内端部31aから後方に向かって突出するように延在する。
【0023】
そのため、乾燥機1の使用者がドア12を開けて、衣類をドラム3内に出し入れする際に、従来の乾燥機では、衣類が衣類投入口11の縁端部11aに擦れる場合があったが、本実施形態の乾燥機1では、
図5に示すように、衣類投入口11の縁端部11aが保護部材30により覆われているため、衣類は、衣類投入口11の下部に設けられる保護部材30と接触し、塗装鋼板で形成される筐体2の衣類投入口11の縁端部11aに接触することはない。
【0024】
保護部材30を筐体2の前面10に対して取り付ける方法について、
図6及び
図7に基づいて説明する。
【0025】
筐体2の衣類投入口11の周縁部11nには、
図6に示すように、12個の取付穴10aが形成される。12個の取付穴10aは、衣類投入口11の周縁部11nにおいて周方向に等間隔に配置される。保護部材30の板状部31の裏面には、12個の取付穴10aにそれぞれ挿入される12個のボルト部材35が設けられる。12個のボルト部材35は、環状の保護部材30において周方向に等間隔に配置される。そのため、12個の取付穴10aと12個のボルト部材35とは、同一の配置である。
【0026】
保護部材30は、
図7(a)に示すように、その裏面に形成された12個のボルト部材35が、筐体2の正面側から衣類投入口11の周縁部11nに形成された12個の取付穴10aにそれぞれ挿入されるように、筐体2に対して正面側から取り付けられる。その後、12個のボルト部材35が12個の取付穴10aに挿入された状態で、
図7(b)に示すように、筐体2の裏面側からナット36がボルト部材35にそれぞれ締め付けられることにより、保護部材30が筐体2の衣類投入口11の周縁部11nに固定される。
【0027】
なお、上述したように、保護部材30の内周側には、板状部31の内端部31aから後方に向かって延びる湾曲部33が設けられる。保護部材30が筐体2の衣類投入口11の周縁部に取り付けられた状態では、
図8に示すように、保護部材30の湾曲部33の後端部33aは、筐体2の前面10を形成する塗装鋼板における衣類投入口11の縁端部11aよりも後方に配置される。そのため、保護部材30の湾曲部33が、筐体2の前面10を形成する塗装鋼板における衣類投入口11の周縁部11nを全周にわたって内周側から覆う。
【0028】
以上説明したように本実施形態の乾燥機1は、塗料が塗装された塗装鋼板により形成され、衣類投入口11を有する筐体2を備え、衣類投入口11の下縁部には、保護部材30が設けられる。
【0029】
これにより、衣類投入口11の下縁部に保護部材30が設けられるため、使用者が衣類をドラム3内に出し入れする際に、衣類が衣類投入口11の下縁部に擦れることにより、筐体3を形成する塗装鋼板に傷が付いたり、塗装が剥がれるのを防止することができる。
【0030】
本実施形態の乾燥機1において、衣類投入口11は、円形であり、保護部材30は、環状の部材であり、保護部材30が、衣類投入口11の縁部の全周に設けられる。
【0031】
これにより、保護部材30が衣類投入口11の縁部の全周に設けられるため、ドア2が開かれた状態において、筐体2の衣類投入口11を正面側から見たときの意匠性が向上する。
【0032】
本実施形態の乾燥機1において、保護部材30は、ステンレス製の部材である。
【0033】
これにより、使用者が衣類をドラム3内に出し入れする際に、衣類が保護部材30に擦れることにより、保護部材30に傷が付くのを防止することができる。
【0034】
本実施形態の乾燥機1において、保護部材30は、衣類投入口11の周縁部11nの前方に配置される環状の板状部31と、板状部31の内周側に配置される湾曲部33とを有し、湾曲部33の後端部33aは、衣類投入口11の縁端部11aよりも後方に配置される。
【0035】
これにより、保護部材30の湾曲部33の後端部33aが衣類投入口11の縁端部11aよりも後方に配置されるため、使用者が衣類をドラム3内に出し入れする際に、衣類が衣類投入口11の縁端部11aに擦れるのを確実に防止することができる。
【0036】
本実施形態の乾燥機1において、筐体2の衣類投入口11の周縁部11nには、取付穴10aが形成され、保護部材30の裏面には、取付穴10aに挿入される取付ボルト35が設けられ、保護部材30は、取付ボルト35が筐体2の正面側から取付穴10aに挿入された状態で固定される。
【0037】
これにより、筐体2に対して保護部材30を取り付けるためのボルト部材31が外観上見えないため、乾燥機1の意匠性が向上する。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0039】
例えば上記実施形態では、保護部材30が環状の部材であり、保護部材30が衣類投入口11の周縁部11nの全周に設けられるが、それに限られない。保護部材30は、少なくとも衣類投入口11の下縁部に設けられればよい。その場合も同様に、使用者が衣類をドラム3内に出し入れする際に、衣類が衣類投入口11の下縁部に擦れることにより、筐体3を形成する塗装鋼板に傷が付いたり、塗装が剥がれるのを防止することができる。
【0040】
上記実施形態では、保護部材30がステンレス製の部材であるが、それに限られない。保護部材30の材質は、任意である。
【0041】
上記実施形態では、保護部材30が、衣類投入口11の周縁部11nの前方に配置される環状の板状部31と、板状部31の内周側に配置される湾曲部33とを有しているが、それに限られない。例えば、保護部材30が、衣類投入口11の周縁部11nの後方に配置される環状の板状部と、板状部の内周側に配置される湾曲部とを有していてもよい。保護部材30は、使用者が衣類をドラム3内に出し入れする際に、衣類が衣類投入口11の下縁部に擦れることを防止するものであれば、その形状、大きさ、数、配置は、任意である。
【0042】
上記実施形態では、保護部材30の裏面に形成される12個のボルト部材35が、筐体2の衣類投入口11の周縁部に形成される12個の取付穴10aに挿入された状態で、保護部材30が筐体2に取り付けられるが、保護部材30を筐体2に取り付ける方法は、それに限られない。保護部材30の裏面に形成されるボルト部材35の数および筐体2の衣類投入口11の周縁部に形成される取付穴10aの数は、任意である。
【符号の説明】
【0043】
1 乾燥機
2 筐体
3 ドラム
10a 取付穴
11 衣類投入口
11a 縁端部
11n 周縁部
30 保護部材
35 ボルト部材