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特開2024-35096心筋細胞外容積分画の決定方法、処理システム、医用撮像装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035096
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】心筋細胞外容積分画の決定方法、処理システム、医用撮像装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240306BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240306BHJP
   A61B 6/42 20240101ALN20240306BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
A61B6/50 500B
A61B6/50 511E
A61B6/03 573
A61B6/42 530Q
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120597
(22)【出願日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】22192839
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516308401
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴェルス
(72)【発明者】
【氏名】スハ アイマン
(72)【発明者】
【氏名】マックス シェービンガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アルメンディンガー
(72)【発明者】
【氏名】エルンスト クロッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト シュミット
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA24
4C093CA18
4C093DA02
4C093FD03
4C093FF16
4C093FF18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】心筋細胞外容積分画を決定する方法を提供する。
【解決手段】心筋細胞外容積分画1を決定する方法であって、CTスキャンに基づくエネルギ分解データを含む測定データセット3を受け取り;測定データセットによって記述される第1の光子-エネルギバンド9又は光子-エネルギバンドの第1の組合せに基づいて形態保存画像データセット8を再構成し;形態保存画像データセット中の心筋11内の血液プール10をセグメント化し;測定データセット内に記述される第2の光子-エネルギバンド又は光子-エネルギバンド14、15、16の第2の組合せ13に基づいて造影剤マップ12を再構成し;セグメント化された血液プール内の造影剤マップのピクセル又はボクセル19に基づいて基準値17を決定し;造影剤マップによって、セグメント化された血液プールの外側のピクセル又はボクセルに与えられた値と基準値とに基づいて、各心筋細胞外容積分画を決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(2)について、少なくとも1つの心筋細胞外容積分画(1)を決定するためのコンピュータ実施方法であって、
-患者(2)のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含む、測定データセット(3)を受け取ることと、
-前記測定データセット(3)によって記述される第1の光子-エネルギバンド(9)又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せに基づいて、形態保存画像データセット(8)を再構成することと、
-前記形態保存画像データセット(8)内の心筋(11)中の血液プール(10)をセグメント化することと、
-前記測定データセット(3)によって記述される第2の光子-エネルギバンド又は複数の光子-エネルギバンド(14、15、16)の第2の組合せ(13)に基づいて、造影剤マップ(12)を再構成することと、
-前記セグメント化された血液プール(10)内の前記造影剤マップ(12)の少なくとも1つのピクセル又はボクセル(19)に基づいて基準値(17)を決定することと、
-前記造影剤マップ(12)によってセグメント化された血液プール(10)の外側の少なくとも1つのピクセル又はボクセル(19)に対して与えられた値と、前記基準値(17)とに基づいて、それぞれの心筋細胞外容積分画(1)を決定することと、
の各ステップを含む方法。
【請求項2】
前記測定データセット(3)は、光子計数コンピュータ断層撮影スキャンに基づくことを特徴とする、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記心筋(11)は、前記形態保存画像データセット(8)中でセグメント化され、この際、
前記セグメント化された心筋(11)内のピクセル又はボクセル(19)に対してのみ、それぞれの心筋細胞外容積分画(1)が決定され、及び/又は、
前記セグメント化された心筋内の各ピクセル又はボクセル(19)についてそれぞれの心筋細胞外容積分画(1)と、前記セグメント化された心筋(11)の外側の各ピクセル又はボクセル(19)についての前記形態保存画像データセットに専ら基づく値又は固定値を含む、細胞外容積画像データセット(18)が生成される、
請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記基準値(17)は、複数のピクセル又はボクセル(19)の平均値又は中央値に基づいて決定され、好ましくは、前記基準値(17)は、前記セグメント化された血液プール(10)内の前記造影剤マップ(12)の全てのピクセル又はボクセル(19)の平均値又は中央値に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記測定データセット(3)は、造影剤の注入開始後、少なくとも2分又は少なくとも3分、及び/又は、最大で6分又は少なくとも5分後に実施された患者(2)のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記第1の光子-エネルギバンド(9)、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せ中の平均の光子エネルギ(7)は、70keV未満又は50keV未満であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
第2の光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンド(14、15、16)の第2の組合せ(13)は、前記第1の光子-エネルギバンド(9)、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せの中の最も高い光子エネルギ(7)よりも高い少なくとも1つの光子エネルギ(7)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記造影剤マップ(12)は、複数の光子-エネルギバンド(14、15、16)の第2の組合せ(13)に基づき、この際、前記複数の光子-エネルギバンド(14、15、16)の第2の組合せ(13)は少なくとも1つの光子-エネルギバンド(15、16)又は少なくとも2つの光子-エネルギバンド(15、16)を含み、これらは、前記第1の光子-エネルギバンド(9)又は前記複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せの任意の光子-エネルギバンドと重複しないことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの心筋細胞外容積分画(1)は、前記測定データセット(3)を形成するための患者(2)の一度だけのコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データと、提供されたヘマトクリット値(20)とから決定され、この際、前記測定データセット(3)と前記ヘマトクリット値(20)の他の入力データは用いられないことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記セグメント化された血液プール(10)の表示、特に、前記形態保存画像データセット(8)中の前記セグメント化された血液プール(10)の輪郭の表示、及び/又は、
前記セグメント化された心筋(11)の表示、特に、前記形態保存画像データセット(8)中の前記セグメント化された心筋(11)の輪郭の表現が、ユーザに対して表示され、
この際、ユーザは、前記血液プール(10)及び/又は前記心筋(11)のセグメント化を編集可能であり、この後、前記基準値(17)及び/又は前記少なくとも1つの心筋細胞外容積分画(1)を決定するために前記編集されたセグメント化のそれぞれが使用されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
処理システムであって、
-患者(2)のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含む測定データセット(3)を受け取るように構成された第1のインターフェース(24)と、
-患者(2)について、少なくとも一つの心筋細胞外容積分画(1)を提供するように構成された第2のインターフェース(25)と、
-請求項1から10のいずれか1項に記載の前記コンピュータ実施方法を実施するように構成された計算ユニット(26)と、
を含む、処理システム。
【請求項12】
医用撮像装置であって、
エネルギ分解コンピュータ断層撮影スキャナ(29)と、
請求項11に記載の処理システム(30)と、
を含む、医用撮像装置。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、
請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法を実施させるように、処理装置に働きかける命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、
請求項13に記載のコンピュータプログラム(12)を保存して備えるコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の少なくとも1つの心筋細胞外容積分画を決定するためのコンピュータ実施方法に関する。さらに、本発明は、処理システム、医用撮像装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読記憶媒体にも関する。
【背景技術】
【0002】
間質性心筋線維化(interstitial myocardial fibrosis)とは、心筋症の異なる種類と関連する重大な疾患過程である。心筋(myocardial)細胞外容積分画(ECV: extracellular volume fraction)は、び漫性心筋線維化又は浸潤の場合に増大するため、心筋症についての心筋病理学的所見の際立った特徴と考えられている。
【0003】
磁気共鳴撮像法では、心筋と血液の間でガドリニウム造影剤の平衡分布を決定することで、心筋細胞外容積分画を決定することができる。また、ヨードベースのコンピュータ断層撮影用の造影剤は、ガドリニウムの場合と同様の動態を示すため、コンピュータ断層撮影を用いて、心筋細胞外容積分画を決定することが可能である。
【0004】
原理的には、上記目的のため、通常の単一エネルギのコンピュータ断層撮影(CT:computed tomography)スキャンを用いることができる。しかしながら、この場合、造影剤(又はコントラストエージェント)を用いることなく、ベースラインの本来のスキャンを行い、造影剤を用いて、通常の冠動脈CTアンジオグラフィ(angiography) スキャンを行い、そして、所謂、後期造影スキャン(late enhancing scan)を行う必要があるが、これは、造影剤の注入から数分後に記録されて、心筋の細胞間容積内に既に入っている造影剤の平衡分布を描出する。3つの別々のスキャンを用いる場合、患者は、比較的に高いX線に露光され、かつ、異なる時間で取得された各スキャンのレジストレーション(登録)が必要となるが、この場合、アーチファクトが導かれ易くなり、従って正確な結果が得られにくくなっている。
【0005】
二重エネルギのコンピュータ断層撮影法を用いることで、顕著な改善を達成することが可能になる。二重エネルギの断層撮影法では、異なる光子-エネルギバンドについてX線吸収が決定される。このため、光子-エネルギに基づくX線吸収を解析することで、異なる材料を区別することが可能になる。このような二重エネルギの取得を用いる場合、例えば、ヨウ素ベースの造影剤を選択的に撮像することができ、このため、造影剤マップを提供することが可能になる。他方、同じ二重エネルギのスキャンから、水、つまり、主に組織をマップ化することも可能になる。
【0006】
心筋(例えば、左心室の心筋)と、血液プール(特に、心筋内の血液プール)のセグメント化(又は分割化)が解る場合、以下の数式を用いて、係る造影剤マップから、心筋細胞外容積分画を決定することが可能になる。
【0007】
【数1】
【0008】
上数では、「ΔHUt」は、ハウンスフィールド単位値で表現されるX線吸収の変化を示しているが、これは、造影剤マップから直接的に求めることができる心筋の組織中の造影剤の存在に基づく。そして、「ΔHUb」は、ハウンスフィールド単位で表現されるX線吸収の変化を示しているが、これは、同様に造影剤マップから求めることができる血液プール中の造影剤の存在に基づく。変数の「h」は、患者についてヘマトクリット値を示しているが、これは、例えば、患者データから知ることができ、血液検査により決定することができ、又は、コンピュータ断層撮影データから計算することができる。
【0009】
心筋細胞外容積分画を決定するために、二重エネルギのコンピュータ断層撮影法を用いる仕方は既知であり、例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3がある。
【0010】
コンピュータ断層撮影データから、直接的にヘマトクリット値を決定することを可能にする仕方については、非特許文献4がある。
【0011】
原則として、例えば、左心室内の血液プールと、左心室の心筋について、自動セグメント化を行うことが可能である。このような自動セグメント化の例示的な仕方については、非特許文献5がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Lee、H.-J.等著、「NICM(Nonischemic Cardiomyopathy)中の二重エネルギ平衡造影増強心臓CT(Dual-Energy Equilibrium Contrast-enhanced Cardiac CT)を用いた心筋細胞外容積分画:心臓MR画像化との予期可能な比較」、ラジオロジー(Radiology)280:1(2016年)第49頁‐第57頁
【非特許文献2】Abadia、A.F.等著、「二重ソースの二重エネルギCTを用いた心筋症の心筋から健康部位を区別するための心筋細胞外容積分画」、JCCT(J Cardiovasc Comput Tomogr)14(2)(2020年)第162頁‐第167頁
【非特許文献3】Oda、S.等著、「二層スペクトラル検出器の二重エネルギ心臓CTを用いた細胞外容積定量化と心筋遅延造影(Late Iodine Enhancement)」、ラジオロジー、心胸郭の撮像、2019年
【非特許文献4】Treibel、T.A.等著、「心臓コンピュータ断層撮影による心筋細胞外容積の自動定量化:CCTによる合成ECV」、JCCT、11(3)(2017年)第221頁‐第226頁
【非特許文献5】Zheng、Y.等著、「限界空間学習(marginal space learning)と操作可能特徴を用いた、三次元の心臓のコンピュータ断層撮影の容積用の4つの部屋の心臓のモデリング化と自動セグメント化」、IEEE Trans Med Imaging 27(11)(2008年)第1668頁‐第81頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、心筋と血液プールについての公知のセグメント化用アルゴリズムでは、造影剤マップに適用するときの性能が劣っていた。従って、二重エネルギのコンピュータ断層撮影に基づいて心筋細胞外容積分画を決定するための上述した仕方では、画像データの手動のセグメント化と、自動セグメント化に用いられるさらなるスキャンを取得することとのいずれかが必要とされているが、後者は、好適には、造影剤注入後の比較的短い時間で行われている。例えば、完全なコンピュータ断層撮影血管造影シーケンスを実施することができ、又は、少なくとも、追加のスキャンとして、基本的に血管内にのみ造影剤を含むスキャンを用いることができる。しかしながら、この場合、異なる時間に撮影された少なくとも2回のスキャンをレジスタ(又は登録)する必要がある。また、1回だけのスキャンの場合と比較して、患者は、よりX線に被曝されている。
【0014】
従って、本発明は、患者について、少なくとも1つの心筋細胞外容積分画を決定するための改善された仕方を提供し、この際、基本的に、1回だけのコンピュータ断層撮影スキャンを用いる場合でも、特に手動のセグメント化の必要性をなくすことを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、患者について、少なくとも1つの心筋細胞外容積分画を決定するためのコンピュータ実施方法(又は、コンピュータを用いて実施される方法)によって解決されるが、本方法は、以下の各ステップを含む。即ち、
-患者のコンピュータ断層撮影スキャン(又はCTスキャン)に基づくエネルギ分解データを含む測定データセットを受け取ること、
-上記測定データセットによって記述される第1の光子-エネルギバンド又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せに基づいて、形態保存画像データセットを再構成することと、
-上記形態保存画像データセット中の心筋内の血液プールをセグメント化することと、
-上記測定データセットによって記述される第2の光子-エネルギバンド又は複数の光子-エネルギバンドの第2の組合せに基づいて、造影剤マップを再構成することと、
-上記セグメント化された血液プール内の造影剤マップの少なくとも1つのピクセル又はボクセルに基づいて基準値を決定すること、
-上記造影剤マップによってセグメント化された血液プールの外側の少なくとも1つの各ピクセル又はボクセルに対して与えられた値と上記基準値とに基づいて、各心筋細胞外容積分画を決定することと、
を含む。
【0016】
複数の、好適には、少なくとも3つの光子-エネルギバンド(これは、エネルギ・ビン(energy bins)とも呼ばれる)を分解する際、異なるエネルギバンド及び/又はエネルギバンドの異なる組合せを再構成中に用いて、異なる画像インプレッションを生成することが可能である。エネルギバンドを結合するため、例えば、異なるエネルギバンドから再構成された画像を追加又は除外することが可能である。可能なインプレッションの2つは、上述の造影剤マップと、組織又は水のマップ化である。このような材料のコントラストは、ほとんどの造影剤(特に、ヨウ素)が、光子-エネルギに強く依存しているX線吸収を有するという事実に基づいている。従って、造影剤マップは、例えば、異なる光子-エネルギバンドにおける吸収の差から決定することができる。造影剤による吸収が解ると、残りの吸収は水と組織に起因し得る。
【0017】
2つより多い光子-エネルギバンドについてのX線吸収の間の差を考慮すると、明らかに、異なる材料の間での差をさらに改善することができる。
【0018】
正しい光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンドの正しい組合せを選択することで、形態保存画像データセットを生成することが可能になり、これにより、通常のセグメント化アルゴリズムを用いることが可能となる。このアルゴリズムは、典型的には、冠動脈CTアンジオグラフィによって取得された画像データセットをセグメント化するために用いられており、従って、造影剤の注入後の比較的短い待ち時間の後に記録された画像データセットをセグメント化するために用いられている。従って、基本的に、造影剤の全てが血液プール内に依然として含まれていて、基本的に、造影剤がその組織まで移動していない状態での画像データセットをセグメント化する。
【0019】
第1の光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せは、特に、血液プール及び/又は心筋について、セグメント化される形態学的特徴についてのコントラストとノイズの比が顕著に高いように選択され、例えば、造影剤マップ内のものよりも、少なくとも2倍又は3倍高いように選択される。以下で詳述するように、これは、利用可能なスペクトルの下端で光子-エネルギを有する光子のみによって、又はこれを主に含むものによって達成できることが解った。
考えられる心筋と血液プールは、特に、左心室の心筋とその中の血液プールでもよい。
【0020】
古典的な二重エネルギ又は多重エネルギのコンピュータ断層撮影の収集では、加速電圧を修正すること、又は複数のX線源を使用して、異なる光子エネルギの光子を発生することが可能である。これに替えて、又はこれに加えて、異なる感度のバンドを有するサンドイッチ式の複数の検出器を用いて、2つ以上の所与のエネルギバンド中のX線強度を直接的に測定することが可能である。いずれの場合でも、検出器によって、異なる光子-エネルギバンドについての強度が測定される。
【0021】
光子計数検出器では、それぞれの検出された光子の光子-エネルギを、少なくともおおよそ、決定することができる。その理由は、各光子の検出時に生じる電流スパイクの高さが、その光子の光子-エネルギに依存するからである。従って、例えば、検出器の各ピクセル内の個々の光子検出を、関連する光子エネルギとともにログ化することができ、その後、検出されたエネルギに基づく事象の本質的に任意のビンニングを行って、複数の光子-エネルギバンドを提供することができる。
【0022】
上述したように、局所的な吸収が光子-エネルギとともに強く変化する場合には、特に造影剤の存在を検出することができる。従って、測定データセット中に記述された少なくとも2つ、好適にはより多くの光子-エネルギバンドの組合せに基づいて、造影剤マップを再構成することが好ましい。
【0023】
形態保存画像データセットを再構成するためには、単一の光子-エネルギバンドを使用することが十分であり得る。しかしながら、形態保存画像データセットと造影剤マップの双方が、それぞれの単一の光子-エネルギバンドに基づくこと、又はそれら双方が、複数の光子-エネルギバンドの組合せに基づくことも可能である。基本的に、造影剤マップが単一の光子-エネルギバンドに基づいている間に、複数の光子-エネルギバンドの組合せに基づいて、形態保存画像データセットを決定することも可能である。異なる複数の光子-エネルギバンドは、重複していなくてもよく、又は複数の光子-エネルギバンドのうちの少なくとも1つの対が重複していてもよい。
【0024】
形態保存画像データセットと造影剤マップは、好適には、三次元の画像データセットであり、特に、複数のボクセルの三次元アレイ(配列)から形成される。又は、これらは、二次元の画像データセットであってもよく、例えば、複数のピクセルのアレイから形成される。測定データセットは、複数の投影画像(プロジェクション・イメージ)を含むことができる。例えば、これは、各光子-エネルギバンドと投影角度について単一の投影画像を含むことができ、又は、例えば、各検出器ピクセルと投影角度について、すべての個々の光子検出事象を含むそれぞれの事象のリストを含むことができる。
【0025】
画像の取得は、好適には、コンピュータ実施方法の一部としてではなく、本方法の開始前に完了される。又は、画像の取得は、追加のステップとして含めることができ、この取得された画像データは、例えば、コンピュータ断層撮影スキャナから直接的に受け取ることができる。
【0026】
好適には、コンピュータ実施方法の全ての上述したステップは、完全に自動化されて実施される。選択的に、ユーザが相互作用することを可能にしてもよいが、例えば、なんらかのステップの結果を修正することを可能にしてもよい。例えば、形態保存画像データセットを再構成するために用いられる1つのエネルギバンド又は複数のエネルギバンドの選択と、血液プールのセグメント化と、心筋のセグメント化とのうちのいずれか又は複数が、ユーザが修正できるようにしてもよい。
【0027】
しかし、好適には、血液プール及び/又は心筋のセグメント化、又はユーザによって修正可能な少なくとも最初のセグメント化は、ユーザの相互作用なしに自動的に行われる。本発明の開発中、主に、冒頭で引用したY.Zhengの論文中で論じられている、三次元の心臓のコンピュータ断層撮影の容積用の自動セグメント化の仕方が採用された。しかし、CTアンジオグラフィでは、造影増強画像(contrast-enhanced images)を自動でセグメント化するために、多数のさらなる仕方が存在し、それは、典型的には、さらなる修正を行うことなく、本発明の形態保存画像データセットをセグメント化するために直接的に用いることができる。
【0028】
好適には、測定データセットは、光子計数コンピュータ断層撮影スキャンに基づく。非光子計数の多重エネルギのコンピュータ断層撮影スキャンでは、用いられる測定原理に基づいて、所与のエネルギバンド内では、より低いエネルギ光子のウエイト(又は重み付け)が減少する。この効果は、光子計数コンピュータ断層撮影データセット中では回避することができる。その理由は、個々の光子が計数されて、光子エネルギが、検出の別のパラメータとして検出されるからである。より低いエネルギ光子は、特に、描出された心臓の形態を保存することに関するため、心筋と血液プールのロバストなセグメント化に関する。光子計数コンピュータ断層撮影スキャンを入力データセットの基礎として用いることで、よりロバストな形態保存が可能となり、特に、形態保存画像データセット中でのコントラスト対ノイズの比をより高めるため、より正確でかつよりロバストな自動セグメント化が可能になる。
【0029】
また、光子計数コンピュータ断層撮影法を採用することにより、本質的に自由で、かつ、必要に応じて、一方では、形態保存画像データセット、他方では、造影剤マップを再構築する際に用いられる光子-エネルギバンドの動的な選択が可能になる。用いられる光子-エネルギバンドの数についての唯一の制限は、各バンド内に十分な光子計数があることと、検出器の十分なエネルギ分解能があることである。古典的な多重エネルギのコンピュータ断層撮影では、2つ又はせいぜい3つ又は4つの光子-エネルギバンドに限定されているが、それらは、典型的には固定されており、光子計数コンピュータ断層撮影によって、より多いバンドの数、及び/又は、異なるエネルギバンドの位置及び幅についての動的な調節が可能にされていて、最適な結果を提供できるようにしている。このことは、形態保存画像データセット中のコントラスト対ノイズ比をさらに改善するため、及び/又は、造影剤マップについて材料選択性をさらに改善するために用いることができる。
【0030】
好適には、心筋が、形態保存画像データセット中でセグメント化され、この際、セグメント化された心筋内のピクセル又はボクセルについてのみ、それぞれの心筋細胞外容積分画が決定される。これに加えて、又は、これに替えて、セグメント化された心筋内の各ピクセル又はボクセルについてそれぞれの心筋細胞外容積分画と、セグメント化された心筋の外側の各ピクセル又はボクセルについての形態保存画像データセットに専ら基づく値又は固定値を含む、細胞外容積画像データセットを生成することができる。心筋の外側の細胞外容積分画を決定することは、典型的には、例えば、心筋線維化を検出しようと試みる場合には必要でなく、又は、有用ではない。同時に、心筋の外側の領域内でこのような値を生成して表示すると、利用可能なコントラストを顕著に低下させることがあるが、特に、細胞外容積分画を計算するための上述した数式では、血液プールの領域内と、従って、関連領域の外側で、最大値が導かれる傾向がある。
【0031】
セグメント化された心筋の外側のピクセル又はボクセルについて固定値を用いることは、例えば、それら領域内で完全な透明性を有する三次元データセットを生成するのに有用であり得る。このようなデータセットは、視認を容易にするのに有用であり得るため、例えば、二次元座標系(例えば、二次元ポーラーマップを用いる)について、ロバストなマッピングを可能にし、及び/又は、例えば、形態保存画像データセット上に重ね合わせることができるオーバレイを生成することを可能にする。このような重ね合わせは、形態学的特徴の認識可能性に基づいて、例えば、画像内で、医師又は検査者が容易に方向付けることを可能にする。このような重ね合わせでは、形態保存画像データセットから生成される投影と、細胞外容積画像データセットから生成される投影とに対して、異なるカラーパレット(color palletes)を用いることができる。例えば、細胞外容積画像データセットから所与のパレットを用いてカラー画像を生成して、この画像を、グレイスケールのパレットを用いて形態保存画像データセットから生成した画像と重ね合わせることが可能である。
【0032】
上述したように、替わりに、単一の二次元の画像データセット又は三次元の画像データセット内のこれら2つのデータソースの組合せを用いることができる。
【0033】
これに替えて、又はこれに加えて、セグメント化に従って心筋によって実際にカバーされる容積についての心筋細胞外容積分画の決定の制限、又はこれらの値のみを残すために生成された値のマスキングは、心筋細胞外容積分画の統計的分析に有利であり得る。何故なら、この分析が、その後、関連する容積に限定され得るからである。このような統計分析の単純な例として、心筋細胞外容積分画の平均値と中央値の一方又は双方の計算、及び/又は、分布(例えば、標準偏差等)を記述する測定値の決定が挙げられる。
【0034】
基準値は、複数のピクセル又はボクセルの平均値又は中央値に基づいて決定することができるが、好適には、セグメント化された血液プール内の造影剤マップの全てのピクセル又はボクセルの平均値又は中央値に基づいて決定される。セグメント化された血液プール内の全てのピクセル又はボクセルを用いる替わりに、複数のピクセル又はボクセルの外側の列の所与の数のピクセル又はボクセルを捨てることは可能であり、この場合、潜在的なセグメント化のエラーの影響を減らすことができる。平均値又は中央値の利用は有益であるが、その理由は、血液中の造影剤の分布は、所与の領域内では本質的に均一であると予想されるからであり、このため、エラーをさらに減らすために、平均値又は中央値の決定を用いることができる。
【0035】
測定データセットは、造影剤の注入開始後に、少なくとも2分、又は少なくとも3分、及び/又は、最大で6分又は少なくとも5分後に実施される患者のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含むことができる。造影剤注入から、その画像取得までの間の待ち時間が短すぎる場合には、その組織の細胞外容積中の造影剤の濃度とその血液の平衡にはまだ到達しない。その理由は、造影剤には、その血液からその組織まで拡散するための時間が足りないからである。他方、非常に長い待ち時間は、その平衡化を顕著に改善しないであろう。むしろ、典型的には、造影剤の全体的な濃度が低下するため、ノイズの増大が導かれ得る。
【0036】
第1の光子-エネルギバンド内、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せ内の平均の光子-エネルギは、70keV未満でもよく、又は50keV未満でもよい。上述したように、主に、比較的低い光子-エネルギを有する光子を用いる場合、形態保存画像データセット中のコントラスト対ノイズ比を大きくすることができる。例えば、40keVを中心とする単一の第1の光子-エネルギバンドを用いることが可能である。第1の光子-エネルギバンドの幅、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せによってカバーされるエネルギの広がりは、例えば、30keV未満でもよく、又は10keV未満でさえでもよい。
【0037】
上述したように、光子計数コンピュータ断層撮影を用いる場合、想定される光子-エネルギバンドの位置と幅は、基本的に、自由に選択することができる。必要に応じて、例えば、検出器の複数の隣接するピクセルからの光子検出をプールさせて、全体的な光子計数を増加させてもよく、従って、例えば、より幅の狭い光子-エネルギバンドを使用することを可能にしてもよい。個々の光子の光子-エネルギは、光子計数コンピュータ断層撮影中に検出することができるため、原理的には、想定される光子-エネルギバンド内で個々の光子の重み付け係数を連続的に変化させることも可能である。
【0038】
第2の光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンドの第2の組合せは、第1の光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せ中での最も高い光子-エネルギよりも高い、少なくとも1の光子-エネルギを含み得る。造影剤マップを決定するために、比較的に幅広の広がりの光子エネルギを使用することは有利である。何故なら、造影剤マップを生成するために用いられる材料のコントラストは、主に、異なる光子-エネルギでの造影剤の異なる吸収挙動の検出に依存するからである。従って、好適には可能な限り離間している複数の光子-エネルギバンドで吸収を用いることが有利である。
【0039】
造影剤マップは、複数の光子-エネルギバンドの第2の組み合わせに基づくことができ、この際、複数の光子-エネルギバンドの第2の組み合わせは、少なくとも1つの光子-エネルギバンド、又は少なくとも2つの光子-エネルギバンドを含むが、これらは、第1の光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せの任意の光子-エネルギバンドと重複しない。複数の光子-エネルギバンドの第2の組合せは、さらに、第1の光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せのうちの少なくとも1つの光子-エネルギバンドを含むことができる。上述したように、幅広いエネルギスペクトルにわたって広がる、少なくとも2つ、好適にはより多くの光子-エネルギバンドを考慮して、複数の光子エネルギでのX線吸収を決定して、従って、異なる材料、特に、造影剤と、水又は組織とを明確かつロバストに区別することが有利である。
【0040】
少なくとも1つの心筋細胞外容積分画は、測定データセットを形成するための患者の一度だけのコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データと、提供されたヘマトクリット値から決定することができる。この際、測定データセットとヘマトクリット値の他の入力データは用いられない。一度だけのコンピュータ断層撮影スキャンを用いることで、複数のスキャンを行うときのレジストレーションに起因する、潜在的なアーチファクトの発生を回避する。本発明に従うコンピュータ実施方法における、形態保存画像データセットと造影剤マップは、本来的に互いに対してレジストレーションされる。何故なら、これらは、基本的に、一度だけのコンピュータ断層撮影スキャンに該当する、同一の、受け取られた測定データセットに基づくからである。従って、この決定は、複数のコンピュータ断層撮影スキャンでのレジストレーションを必要とする上述した仕方と比較して、よりロバストで、かつより誤りを生じさせにくくしている。
【0041】
セグメント化された血液プールの表示、特に形態保存画像データセット中のセグメント化された血液プールの輪郭、及び/又は、セグメント化された心筋の表示、特に形態保存画像データセット中のセグメント化された心筋の輪郭は、ユーザに表示することができる。この際、ユーザは、血液プール及び/又は心筋のセグメント化を編集することができ、その後、その編集された各セグメント化を使用して、基準値及び/又は少なくとも1つの心筋細胞外容積分画を決定してもよい。血液プールと心筋の自動セグメント化は、上述した方法では非常にロバストであり、この方法の成果は、医師などが中間段階の結果をレビューしたり、必要に応じて、その結果を潜在的に修正することで改善され得る。
【0042】
この替わりに、又はこれに加えて、ユーザは、例えば、形態保存画像データセットを再構成するために使用される、第1の光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せを相互作用的に変更することができる。例えば、最初に生成した形態保存画像データセットのうちの少なくとも1つの投影画像を表示してもよく、例えば、最適なコントラストに到達するまで、用いられた第1の光子-エネルギバンドをわずかにシフトさせるように、その利用についてフェーダ又は他の制御を用いてもよい。又は、このような最適化は、自動的に行うことも可能である。
【0043】
上述したコンピュータ実施方法の他、本発明は、処理システムにも関する。本処理システムは、以下を含む。即ち、
-患者のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含む測定データセットを受け取るように構成された第1のインターフェースと、
-患者について、少なくとも一つの心筋細胞外容積分画を提供するように構成された第2のインターフェースと、
-上記コンピュータ実施方法のうちの任意のいずれかを実施するように構成された計算ユニットと、
を含む。
【0044】
上記処理システムは、例えば、コンピュータ断層撮影スキャナの一部又はこのスキャナを制御するために使用されるワークステーションの一部であってもよい。又は、上記処理システムは、上記スキャナの制御に使用されない別個のワークステーションであってもよく、又は、クラウド・ベース・ソリューションとして実装されてもよい。
【0045】
また、本発明は、エネルギ分解コンピュータ断層撮影スキャナと、本発明に従う処理システムとを含む医用撮像装置にも関する。上述したように、好適には、コンピュータ断層撮影スキャナは、光子計数コンピュータ断層撮影スキャナである。又は、非光子計数の多重エネルギのコンピュータ断層撮影スキャナを使用してもよい。
【0046】
さらに、本発明は、コンピュータプログラムに関することができ、これは、本発明に従うコンピュータ実施方法を実施させるように、処理装置(又は処理デバイス)に働きかける命令(又は指示)を含む。
【0047】
さらに、本発明は、コンピュータ可読記憶媒体に関することができ、これは、本発明に従うコンピュータプログラムをその中に保存して備える。
【0048】
特に、本発明に従うコンピュータ実施方法に関して説明した特徴と長所は、本発明に従うデバイス(又は装置)の対応するサブユニットとして、又は、本発明に従うコンピュータプログラムの対応するサブユニットとして構成することができる。逆に、本発明に従うデバイスに関して説明した特徴と長所、又は、本発明に従うコンピュータプログラムに関して説明した特徴と長所は、本発明に従う方法の対応する処理ステップとして構成することができる。
【0049】
本発明の他の目的と特徴は、添付した図を参照して後述される以下の説明から明らかになるであろう。しかしながら、これら図は、専ら、本発明を例示する目的のために構成された基本的なスケッチに過ぎず、本発明を限定する目的のために構成されたものではない。これら図には、以下が例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、本発明に従うコンピュータ実施方法の例示的な実施形態のフローチャートの図である。
図2図2は、本発明に従うコンピュータ実施方法の例示的な実施形態に用いられる関連するデータ構造の図である。
図3図3は、心臓内の心筋と血液プールのセグメント化を例示した図であり、図4とは異なる方向から示した図である。
図4図4は、心臓内の心筋と血液プールのセグメント化を例示した図であり、図3とは異なる方向から示した図である。
図5図5は、本発明に従う処理システムの例示的な実施形態を含む、本発明に従う医用撮像装置の例示的な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1には、患者について、少なくとも1つの心筋の細胞外容積分画(ECV)を決定するためのコンピュータを用いて実施される方法のフローチャートが例示されている。本方法は、さらに図2を参照して説明されるが、この図2には、決定過程中に用いられる関連するデータ構造が例示されている。
【0052】
以下に詳述する本方法の基本的な技術思想では、異なる光子-エネルギバンド(photon-energy band)9、14、15、16と、(複数の)光子-エネルギバンド14、15、16の組み合わせ13の双方又はいずれかを用いる。これにより、一方では、形態保存画像(morphology preserving image)データセット8を生成し、他方では、同じ測定データセット3から造影剤マップ(又はコントラストエージェント・マップ)12を生成するが、同じ測定データセット3は、患者のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含む。造影剤マップ12は、ピクセル(若しくは画素)又はボクセル(若しくは体積要素)19の夫々におけるX線吸収の変化を決定することを可能にし、特に、各ボクセル19により描出される患者の領域中の造影剤の存在により、ハウンスフィールド単位値(Hounsfield units)の変化として表される。形態保存画像データセット8をさらに使用することにより、患者の心筋、好適には、患者の心臓の左心室の心筋11と、その中の血液プール10との、ロバストな自動セグメント化(又は分割化)を可能にする。従って、血液プール10と、心筋11とにおけるX線吸収の変化を決定することが可能になり、そして、これらの値に基づいて、心筋の細胞外容積分画1を算出することが可能になる。
【0053】
心筋細胞外容積分画1を決定するために、まず、ステップS1にて、測定データセットが3受け取られる。この測定データセット3には、患者のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データが含まれている。例えば、この測定データセット3は、光子計数(又はフォトン・カウンティング)コンピュータ断層撮影スキャンを用いて取得される。この測定データセットは、エネルギ分解コンピュータ断層撮影スキャナによって直接的に提供されてもよいが、又は、後述する処理が後の時点で行われてもよく、その測定データセット3が、例えば、データベースから読み取られてもよい。
【0054】
データセットを取得するコンピュータ断層撮影スキャンは、好適には、血管内の造影剤と、組織の細胞外容積分画内の造影剤との間に、おおよその平衡が存在する時に実施される。このような平衡は、典型的には、造影剤の注入の開始後、おおよそ3分から5分後に到達する。このため、好適には、この時間の間隔の中でスキャンが実施される。
【0055】
光子計数検出器を用いることにより、検出器の各ピクセル5と取得される各投影(又はプロジェクション)4について、測定データセット3は、それぞれのピクセル5と投影4について、検出事象6のリストを含む。光子計数断層撮影スキャンでは、検出された光子のそれぞれについて、光子-エネルギの取得を可能にするため、各検出事象6は、検出された光子の光子-エネルギ7の測定についても記述している。
【0056】
あるいは、各光子-エネルギバンド内への光子-エネルギ7のビニング(binning)が既に行われている測定データセット3を提供することも可能である。このような測定データセット3は、例えば、各エネルギバンド、ピクセル5、及び投影4について、それぞれ光子計数を提供することができる。光子計数コンピュータ断層撮影スキャンの替わりに、所与の投影4、ピクセル5、及びエネルギバンドのそれぞれについてのみ検出強度を提供する、従来の(古典的な)多重エネルギ収集を用いることも可能である。
【0057】
ステップS2では、形態保存画像データセット8が再構成される。例えば、この再構成は、所与の光子-エネルギバンド9内で検出された光子のみに基づく。このことは、例えば、測定データセット3内のそれら検出事象6のみを考慮することで達成されてもよく、その場合、所与の光子-エネルギ7は、所与の光子-エネルギバンド9内に存在する。他の検出事象6は無視されるため、基本的に、これらは、形態保存画像データセットの再構築中に捨てられる。
【0058】
次に、所与のピクセル5と投影4についての残りの検出事象6のカウント(又は計数)は、所与の光子-エネルギバンド9中のX線強度を記述するために直接的に考慮されてもよく、又は、さらなる処理(例えば、エネルギ重み付け)が適用されてもよい。その結果、所与の光子-エネルギバンド9内の光子-エネルギ7のみを考した投影画像の数は、その後、周知の画像再構成技術(例えば、フィルタ補正逆投影法や、反復再構成アプローチ)を用いて、形態保存画像データセット8を再構成するために用いられてもよい。
【0059】
他の実施形態では、形態保存画像データセット8を再構成するときに、複数の光子-エネルギバンドを考慮することも可能である。このため、例えば、各ピクセル5、各投影4、及び各エネルギバンドについて、計数又は強度を計算し、次に、例えば、再構成中の計数又は強度の加重和(又は重み付けされた和)を計算してもよい。
【0060】
個々の検出事象6が利用可能でない場合(例えば、光子-エネルギ7に基づく事象の事前ビニングのため、又は、幾つかのエネルギバンド内の強度の直接的な検出のため)、形態保存画像データセット8を再構成するために、関連する光子-エネルギバンド9の用の測定データセット3内に提供された計数又は強度を直接的に用いてもよい。
【0061】
ステップS3では、複数の光子-エネルギバンド14、15、16の組み合わせ13に基づいて、造影剤マップ12が再構成される。光子-エネルギバンド9について上述したように、投影4、ピクセル5、及び、エネルギバンド14、15、16のそれぞれについての光子計数又は強度が、測定データセット3から決定され、又は与えられてもよい。造影剤(例えばヨウ素)の材料コントラストは、典型的には、造影剤が、光子-エネルギと共に強く変化するX線吸収を有することに基づき、様々な光子-エネルギバンド14、15、16中の計数及び/又は強度の組合せを、有利には、加重和よりも複雑にすることができ、例えば、異なる光子-エネルギバンド14、15、16についての強度又は計数の間の差の決定、及び/又は、異なる光子-エネルギバンド14、15、16について決定される相対的な強度又は計数の評価を含むことができる。複数の光子-エネルギバンドについての強度又は光子計数に基づいて、造影剤(特に、ヨウ素)の材料コントラストを決定することは、従来技術では公知であり、様々な製造業者から提供されている様々な既存の製品で用いられている、そのような材料コントラストを決定するために、多くの様々な仕方が存在する。従って、材料コントラストを記述する値の決定、特に、造影剤によるX線吸収に起因するハウンスフィールド単位値の変化について詳述しない。
【0062】
実施例で用いられる異なる光子-エネルギバンド9、14、15、16を考慮すると、光子-エネルギバンド9は、好適には、比較的低い光子-エネルギ7を有する光子のみを含む。光子-エネルギバンド9は、例えば、40keV又は50keVを中心としてもよく、そして、例えば、10keVから30keVまでの幅を有することができる。
【0063】
好適には、光子-エネルギバンド14、15、16は、利用可能なスペクトルにわたって広がっており、例えば40keVから120keVまで広がる。例えば、光子-エネルギバンド14は、光子-エネルギバンド9と同一であってもよく、又は、光子-エネルギバンド9と部分的に重複していてもよい。好適には、光子-エネルギバンド15、16は、光子-エネルギバンド9の上方に、光子-エネルギ7を有する検出された光子を含み、そして、好適には、これらは、スペクトルの異なる部位で造影剤の吸収を記述するために、互いに離間している。
【0064】
ステップS4及びS5では、形態保存画像データセット8に対して、自動セグメンテーション(又はセグメント化)が適用される。ステップS4では、血液プール10がセグメント化され、そして、ステップS5では、心筋11がセグメント化される。説明を容易にするために、これらのセグメント化は、別々のステップとして示されているが、有利には、共通のセグメント化用のアルゴリズムを用いて、これら双方のセグメント化を同時に実行してもよい。
【0065】
この例では、冒頭で引用した、Y.Zhengによる論文で示されたセグメント化用アルゴリズムが用いられている。基本的に、心臓のコンピュータ断層撮影の容積(又はボリューム)を分割するために、任意のセグメント化用アルゴリズムを用いることができる。図3及び図4には、係る分割の例が模式的に例示されている。図3では、心臓の短軸側の図が例示されており、図4では、心臓の長軸側の図が例示されている。用いられるセグメント化用アルゴリズムによって、形態保存画像データセット8内で描出された容積中の心臓の5つの領域を自動的にセグメント化することが可能になる。これら領域は、図3及び図4では、斜線がつけられている。これら領域は、左心室の心筋11、左心室の血液プール10、右心室21、及び左右心房22、23に相当する。図3及び図4には、他の例示的構造が示されているが、それらはセグメント化されていない。
【0066】
右心室21及び左右心房22、23のセグメント化は、本方法で説明される実施例では用いられない。これら領域をセグメント化することは、スキップされてもよく、又は、これら領域のセグメント化は捨てられてもよい。
【0067】
形態保存画像データセット8と造影剤マップ12は、同一の測定データセットから決定される。つまり、これらは、患者についての一度だけのコンピュータ断層撮影スキャンから決定されるため、造影剤マップ12は、本来的に、形態保存画像データセット8とレジストレーションされている。従って、造影剤マップ12の各ボクセル19は、同じ位置にある形態保存画像データセット8の各ボクセル19と対応しており、患者の心臓のうち同じ領域を記述している。従って、形態保存画像データセット8中の血液プール10と心筋11のセグメント化は、造影剤マップ12中の血液プール10と心筋11のセグメント化をも記述している。
【0068】
従って、血液プール10のセグメント化を用いることで、この血液プール10中にある造影剤マップ12のボクセル19を選択することが可能になる。各ボクセルの画像データ(又はイメージデータ)は、造影剤に起因するX線吸収の変化を示しており、特に、造影剤に起因するハウンスフィールド単位値の変化を示している。このため、これらボクセル19からの画像データを平均化することにより、基準値(又は参照値)17を決定することができるが、これは、ステップS6では、造影剤の存在に起因する血液プール中のX線吸収の変化を記述している。この基準値17がハウンスフィールド単位値の変化を記述する場合、ΔHUbとしてラベル付けしてもよい。
【0069】
ステップS7では、心筋11のセグメント化を用いて、左心室の心筋11を描出する造影剤マップ12中のボクセル19が選択される。これらボクセル19の画像データは、心筋11の組織中のそれぞれの位置でのX線吸収の変化を記述するため、ΔHUとしてラベル付けしてもよい。これらの変化がハウンスフィールド単位値で与えられる場合、上述した数式に従って、各ボクセル19内で描出された心筋組織の領域について、心筋細胞外容積分画(EVCCT)に比例することが予期される情報が既に記述されている。
【0070】
【数2】
【0071】
ステップS8では、与えられた数式中で、hとしてラベル付けされたヘマトクリット値20が提供されるが、例えば、患者データの記録から提供される。従って、与えられた数式中で、右側の全ての項が既知となるため、ステップS9では、セグメント化された心筋11内の所与のボクセル19について、心筋細胞外容積分画1を算出することが可能になる。
【0072】
決定され、局所的に分解された、心筋細胞外容積分画1をより容易に描出するため、細胞外容積画像データセット18を生成してもよいが、これは、セグメント化された心筋11内の各ボクセル19について、夫々、心筋細胞外容積分画1を含む。セグメント化された心筋11の外側のボクセルは、固定値に設定してもよく、例えば、完全な透明性を得られるようにしてもよい。細胞外容積画像データセット18は、例えば、形態保存画像データセット8の対応する投影に対して重ね合わせられた投影を生成するために用いられてもよく、特に、一般的な説明で上述したような異なるカラーパレット(color pallete)を用いてもよい。細胞外容積画像データセット18は、形態保存画像データセット8に対して自動的にレジストレーションされるため、追加のレジストレーションは必要とされない。
【0073】
加えて、又は、この替わりに、決定された心筋細胞外容積分画1の統計分析を行うことができる。このことは、例えば、これらの決定された分画(又はフラクション)から平均値を計算したり、中央値を選択したりすることや、分布のパラメータを決定することや、この分画の局所的な分散を分析することが可能である。
【0074】
上述した方法では、心筋細胞外容積分画1を決定するために、完全に自動化された仕方が採用されているが、場合によっては、ユーザ(又は管理者)がなんらかのステップの結果を修正することができることが有利な場合がある。例えば、血液プール10と心筋11のセグメント化がユーザに対して出力されて(例えば、図3及び4に例示した図を用いる)、これらセグメント化が、そのユーザによって修正できるようにしてもよい。次いで、その修正されたセグメント化が、さらなるステップで使用できるようにしてもよい。
【0075】
図5には、エネルギ分解コンピュータ断層撮影スキャナ29(好適には、光子計数コンピュータ断層撮影スキャナ)と、処理システム30とを含む医用撮像装置(又は画像化装置)28が例示されている。処理システム30は、測定データセット3を受け取るように構成された第1のインターフェース24と、心筋細胞外容積分画1(特に、細胞外容積画像データセット18の形)を提供するように構成された第2のインターフェース25とを備えている。
【0076】
この実施例では、測定データセット3は、患者2のスキャンの直後に、エネルギ分解コンピュータ断層撮影スキャナ29によって提供されている。他、スキャナ29自体に、又は、例えば、患者データベースに、測定データセット3を中間的に保存することも可能である。決定された心筋細胞外容積分画1は、特に、細胞外容積画像データセット18の形で、実施例の患者データベース27内に保存されている。これに替えて、又は、これに加えて、心筋細胞外容積分画1に関する情報がユーザに対して直接的に出力されてもよく、例えば、処理システム30を実装する処理装置26の画面を用いて出力されてもよい。
【0077】
以上、好適な実施例を参照して、本発明について詳述したが、本発明は、開示された実施例に限定されない。当業者は、開示された実施例から、本発明の範囲から逸脱することなく、他の変更例を導き出すことができるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者(2)について、少なくとも1つの心筋細胞外容積分画(1)を決定するためのコンピュータ実施方法であって、
-患者(2)のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含む、測定データセット(3)を受け取ることと、
-前記測定データセット(3)によって記述される第1の光子-エネルギバンド(9)又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せに基づいて、形態保存画像データセット(8)を再構成することと、
-前記形態保存画像データセット(8)内の心筋(11)中の血液プール(10)をセグメント化することと、
-前記測定データセット(3)によって記述される第2の光子-エネルギバンド又は複数の光子-エネルギバンド(14、15、16)の第2の組合せ(13)に基づいて、造影剤マップ(12)を再構成することと、
-前記セグメント化された血液プール(10)内の前記造影剤マップ(12)の少なくとも1つのピクセル又はボクセル(19)に基づいて基準値(17)を決定することと、
-前記造影剤マップ(12)によってセグメント化された血液プール(10)の外側の少なくとも1つのピクセル又はボクセル(19)に対して与えられた値と、前記基準値(17)とに基づいて、それぞれの心筋細胞外容積分画(1)を決定することと、
の各ステップを含む方法。
【請求項2】
前記測定データセット(3)は、光子計数コンピュータ断層撮影スキャンに基づくことを特徴とする、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記心筋(11)は、前記形態保存画像データセット(8)中でセグメント化され、この際、
前記セグメント化された心筋(11)内のピクセル又はボクセル(19)に対してのみ、それぞれの心筋細胞外容積分画(1)が決定され、及び/又は、
前記セグメント化された心筋内の各ピクセル又はボクセル(19)についてそれぞれの心筋細胞外容積分画(1)と、前記セグメント化された心筋(11)の外側の各ピクセル又はボクセル(19)についての前記形態保存画像データセットに専ら基づく値又は固定値を含む、細胞外容積画像データセット(18)が生成される、
請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記基準値(17)は、複数のピクセル又はボクセル(19)の平均値又は中央値に基づいて決定され、好ましくは、前記基準値(17)は、前記セグメント化された血液プール(10)内の前記造影剤マップ(12)の全てのピクセル又はボクセル(19)の平均値又は中央値に基づいて決定されることを特徴とする、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記測定データセット(3)は、造影剤の注入開始後、少なくとも2分又は少なくとも3分、及び/又は、最大で6分又は少なくとも5分後に実施された患者(2)のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含むことを特徴とする、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記第1の光子-エネルギバンド(9)、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せ中の平均の光子エネルギ(7)は、70keV未満又は50keV未満であることを特徴とする、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
第2の光子-エネルギバンド、又は複数の光子-エネルギバンド(14、15、16)の第2の組合せ(13)は、前記第1の光子-エネルギバンド(9)、又は複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せの中の最も高い光子エネルギ(7)よりも高い少なくとも1つの光子エネルギ(7)を含むことを特徴とする、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記造影剤マップ(12)は、複数の光子-エネルギバンド(14、15、16)の第2の組合せ(13)に基づき、この際、前記複数の光子-エネルギバンド(14、15、16)の第2の組合せ(13)は少なくとも1つの光子-エネルギバンド(15、16)又は少なくとも2つの光子-エネルギバンド(15、16)を含み、これらは、前記第1の光子-エネルギバンド(9)又は前記複数の光子-エネルギバンドの第1の組合せの任意の光子-エネルギバンドと重複しないことを特徴とする、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの心筋細胞外容積分画(1)は、前記測定データセット(3)を形成するための患者(2)の一度だけのコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データと、提供されたヘマトクリット値(20)とから決定され、この際、前記測定データセット(3)と前記ヘマトクリット値(20)の他の入力データは用いられないことを特徴とする、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記セグメント化された血液プール(10)の表示、特に、前記形態保存画像データセット(8)中の前記セグメント化された血液プール(10)の輪郭の表示、及び/又は、
前記セグメント化された心筋(11)の表示、特に、前記形態保存画像データセット(8)中の前記セグメント化された心筋(11)の輪郭の表現が、ユーザに対して表示され、
この際、ユーザは、前記血液プール(10)及び/又は前記心筋(11)のセグメント化を編集可能であり、この後、前記基準値(17)及び/又は前記少なくとも1つの心筋細胞外容積分画(1)を決定するために前記編集されたセグメント化のそれぞれが使用されることを特徴とする、請求項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
処理システムであって、
-患者(2)のコンピュータ断層撮影スキャンに基づくエネルギ分解データを含む測定データセット(3)を受け取るように構成された第1のインターフェース(24)と、
-患者(2)について、少なくとも一つの心筋細胞外容積分画(1)を提供するように構成された第2のインターフェース(25)と、
-請求項1から10のいずれか1項に記載の前記コンピュータ実施方法を実施するように構成された計算ユニット(26)と、
を含む、処理システム。
【請求項12】
医用撮像装置であって、
エネルギ分解コンピュータ断層撮影スキャナ(29)と、
請求項11に記載の処理システム(30)と、
を含む、医用撮像装置。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、
請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法を実施させるように、処理装置に働きかける命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、
請求項13に記載のコンピュータプログラム(12)を保存して備えるコンピュータ可読記憶媒体。
【外国語明細書】