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特開2024-35113重み付けを調整可能にしたゴルフクラブヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035113
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】重み付けを調整可能にしたゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/06 20150101AFI20240306BHJP
   A63B 60/04 20150101ALI20240306BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240306BHJP
【FI】
A63B53/06 C
A63B60/04
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132206
(22)【出願日】2023-08-15
(31)【優先権主張番号】17/898,896
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023593
【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ケイ. ヘッチンガー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン タシストロ
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA03
2C002CH03
2C002LL01
2C002LL04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ゴルファーが期待するゴルフクラブヘッドの美しさを維持する、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの従来の形状にシームレスに適合する改良されたウェイトシステムを実現する。
【解決手段】本体部分と、ウェイトアセンブリとを有し、本体部分は、さらに、打撃フェース平面を形成し、下側エッジを具備する打撃フェースと、下側エッジから後方に延びるソールと、打撃フェースの後方に位置付けられソールの後方部分と結合する後方部分と、本体部分のソールの近傍に形成される後方キャビティとを有し、ウェイトアセンブリは、さらに、後方キャビティを完全に被覆するように適合化されたカバーであって、カバーは、ウェイトが内部ヒールレセプタクルまたは内部トウレセプタクルの少なくとも一方に取り付け、カバーがファスナを用いて後方キャビティに完全に取り付けらせたときに、ウェイトを完全に見えないように隠すことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部分と、
ウェイトアセンブリとを有し、
上記本体部分は、さらに、
打撃フェース平面を形成し、下側エッジを具備する打撃フェースと、
上記下側エッジから後方に延びるソールと、
上記打撃フェースの後方に位置付けられ上記ソールの後方部分と結合する後方部分と、
上記本体部分の上記ソールの近傍に形成される後方キャビティとを有し、
上記ウェイトアセンブリは、さらに、
上記後方キャビティを完全に被覆するように適合化されたカバーであって、さらに、
内部ヒールレセプタクルと、
内部トウレセプタクルと、
上記内部ヒールレセプタクルおよび上記内部トウレセプタクルを分離する貫通孔とを有する上記カバーと、
上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとの一方の少なくも一部と係合するように適合化されたウェイトと、
上記貫通孔と係合して上記カバーを上記本体部分に取り付けるように適合化されたファスナとを有し、
上記カバーは、上記ウェイトが上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとも一方に取り付け、上記カバーが上記ファスナを用いて上記後方キャビティに完全に取り付けらせたときに、上記ウェイトを完全に見えないように隠すことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
上記ゴルフクラブヘッドの重心とフェース中心との間の距離d1が約2mm~約8mmである請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
上記距離d1が約3mm~約7mmである請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
上記距離d1が約3mm~約6mmである請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
上記ウェイトアセンブリは、約0mmから約2.5mmの間のx軸に沿ったデルタ変化(Δx)が可能である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
上記ウェイトアセンブリは、約0mmから約2.0mmの間の上記x軸に沿った上記デルタ変化(Δx)を達成することができる請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
上記ウェイトアセンブリは、約0mmから約1.8mmの間の上記x軸に沿った上記デルタ変化(Δx)を達成することができる請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
上記ファスナがウェイト軸に沿って移動し、
上記ウェイト軸は、上記打撃フェース平面と、約-10度から約+10度の間の角度αを形成する請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
上記角度αが約-5度~約+10度である請求項8に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
上記角度αが約0度から約+10度の間である請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
上記ウェイトは、上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとも1つを部分的にのみ充填する請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
上記ウェイトが、上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルのうちの少なくとも1つの終端側を占める請求項11に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
上記ウェイトの配置により、上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルのうちの少なくとも1つの近位側に間隙が残る請求項12に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
本体部分と、
ウェイトアセンブリとを有し、
上記本体部分は、さらに、
打撃フェース平面を形成し、下側エッジを具備する打撃フェースと、
上記下側エッジから後方に延びるソールと、
上記打撃フェースの後方に位置付けられ上記ソールの後方部分と結合する後方部分と、
上記本体部分の上記ソールの近傍に形成される後方キャビティとを有し、
上記ウェイトアセンブリは、さらに、
上記後方キャビティを完全に被覆するように適合化されたカバーであって、さらに、
内部ヒールレセプタクルと、
内部トウレセプタクルと、
上記内部ヒールレセプタクルおよび上記内部トウレセプタクルを分離する貫通孔とを有する上記カバーと、
上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとの一方の少なくも一部と係合するように適合化されたウェイトと、
上記貫通孔と係合して上記カバーを上記本体部分に取り付けるように適合化されたファスナとを有し、
上記ファスナがウェイト軸に沿って移動し、
上記ウェイト軸は、上記打撃フェース平面と、約-10度から約+10度の間の角度αを形成することを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
上記角度αが約-5度~約+10度である、請求項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
上記角度αが約0度から約+10度の間である、請求項15に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
上記ウェイトアセンブリは、約0mmから約2.5mmの間のx軸に沿ったデルタ変化(Δx)が可能である、請求項16に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
上記ウェイトアセンブリは、約0mmから約2.0mmの間の上記x軸に沿った上記デルタ変化(Δx)を達成することができる、請求項17に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
上記ウェイトアセンブリは、約0mmから約1.8mmの間の上記x軸に沿った上記デルタ変化(Δx)を達成することができる、請求項18に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
本体部分と、
ウェイトアセンブリとを有し、
上記本体部分は、さらに、
打撃フェース平面を形成し、下側エッジを具備する打撃フェースと、
上記下側エッジから後方に延びるソールと、
上記打撃フェースの後方に位置付けられ上記ソールの後方部分と結合する後方部分と、
上記本体部分の上記ソールの近傍に形成される後方キャビティとを有し、
上記ウェイトアセンブリは、さらに、
上記後方キャビティを完全に被覆するように適合化されたカバーであって、さらに、
内部ヒールレセプタクルと、
内部トウレセプタクルと、
上記内部ヒールレセプタクルおよび上記内部トウレセプタクルを分離する貫通孔とを有する上記カバーと、
上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとの一方の少なくも一部と係合するように適合化されたウェイトと、
上記貫通孔と係合して上記カバーを上記本体部分に取り付けるように適合化されたファスナとを有し、
上記ウェイトアセンブリは、約0mmから約2.5mmの間のx軸に沿ったデルタ変化(Δx)が可能であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には、アイアンおよび/またはウェッジタイプのゴルフクラブヘッド用の改良された調整可能な重み付けシステムに関する。より具体的には、この発明によるゴルフクラブヘッドは、ゴルファーが期待するゴルフクラブヘッドの美しさを維持しながら、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドの伝統的な形状にシームレスに適合しつつ信頼性を付与する改良された重み付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフゲームでは、各ゴルファーのスイングは次のスイングとは少しずつ異なる。したがって、あるゴルファーにとって最適なものが、別のゴルファーにとって必ずしも最適であるとは限らない。一例では、あるゴルファーは多くの寛容性を提供するゴルフクラブを必要とするかもしれないけれども、別のゴルファーはより高い精度を提供するゴルフクラブを必要とするかもしれない。ゴルフ用品業界では、伝統的に、さまざまなゴルファーの種々のニーズを満たすために、種々のタイプおよびモデルのゴルフクラブが提供されてきた。
【0003】
ゴルフクラブ技術の革新の継続的な発展により、ゴルフクラブ設計者は、ゴルファーの種々のニーズに応えようとするために、ゴルフクラブヘッドに調整機能を組み込むことができるようになった。米国特許第8,088,019号(Long等)は、ゴルファーのニーズに合わせてゴルフクラブヘッドのロフト、ライ、およびフェースアングルを調整できるように、ゴルフクラブヘッドに調整可能なホーゼル機構を追加する例を示している。
【0004】
調整可能なホーゼル技術に加えて、米国特許第7,410,425号(Willett等)は、ゴルフクラブヘッドの重み付けが、密度が異なる1つまたは複数の重み付けネジを介して調整することもでき、ゴルフクラブヘッドの重心を変更し、ゴルファーのニーズに応じて異なるボール飛行特性をゴルファーに提供できることを示している。
【0005】
米国特許第8,696,491号(Myers)は、複数の個別のウェイトの代わりにトラック重み付けシステムを介してメタルウッドのゴルフクラブヘッドに調整機能を提供する他の方法を提供し、単一のウェイトをゴルフクラブヘッドのトラックに沿って移動できるようにするとともに、重心とゴルフクラブヘッドのパフォーマンスも操作する。
【0006】
調整可能な重み付けの利用は、上に示したようなメタルウッドタイプのゴルフクラブヘッドに適用できるだけでなく、同様の目的を達成するためにアイアンタイプの状況でも使用することができる。米国特許第6,015,354号(Ahn等)は、非常に視覚的な種々のタイプの調整を使用して、アイアンタイプのゴルフクラブヘッドの重量を調整する初期の取り組みの1つを示している。見た目の美しさを維持することは、ゴルファーの自信につながることが多いため、ゴルフクラブ設計において非常に重要な特徴である。
【0007】
米国特許第8,777,774号(Kim等)は、ゴルフクラブヘッドの重量を調整するためのより現代的な試みを提供するけれども、今回はゴルフクラブヘッドの全体的な外観を維持する。
【0008】
ゴルフクラブヘッドの性能における上述の例示的な進歩はすべて、ゴルフクラブヘッドの重量および重心を調整するのに非常に効果的である。しかしながら、上述のすべての進歩にもかかわらず、従来のゴルフクラブヘッドの形状と外観を維持しながら、重量調整、ひいてはゴルフクラブヘッドの重心の調整を提供する本当に美しい方法を実現する参考文献はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第8,088,019号明細書
【特許文献2】米国特許第7,410,425号明細書
【特許文献3】米国特許第8,696,491号明細書
【特許文献4】米国特許第6,015,354号明細書
【特許文献5】米国特許第8,777,774号明細書
【発明の概要】
【0010】
一側面において、ここの記載される技術は、ゴルフクラブヘッドに関し、このゴルフクラブヘッドは、本体部分と、ウェイトアセンブリとを含み、上記本体部分は、さらに、打撃フェース平面を形成し、下側エッジを具備する打撃フェースと、上記下側エッジから後方に延びるソールと、上記打撃フェースの後方に位置付けられ上記ソールの後方部分と結合する後方部分と、上記本体部分の上記ソールの近傍に形成される後方キャビティとを含み、上記ウェイトアセンブリは、さらに、上記後方キャビティを完全に被覆するように適合化されたカバーであって、さらに、内部ヒールレセプタクルと、内部トウレセプタクルと、上記内部ヒールレセプタクルおよび上記内部トウレセプタクルを分離する貫通孔とを有する上記カバーと、上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとの一方の少なくも一部と係合するように適合化されたウェイトと、上記貫通孔と係合して上記カバーを上記本体部分に取り付けるように適合化されたファスナとを含み、上記カバーは、上記ウェイトが上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとも一方に取り付け、上記カバーが上記ファスナを用いて上記後方キャビティに完全に取り付けらせたときに、上記ウェイトを完全に見えないように隠す。
【0011】
他の側面において、ここの記載される技術は、ゴルフクラブヘッドに関し、このゴルフクラブヘッドは、本体部分と、ウェイトアセンブリとを含み、上記本体部分は、さらに、打撃フェース平面を形成し、下側エッジを具備する打撃フェースと、上記下側エッジから後方に延びるソールと、上記打撃フェースの後方に位置付けられ上記ソールの後方部分と結合する後方部分と、上記本体部分の上記ソールの近傍に形成される後方キャビティとを含み、上記ウェイトアセンブリは、さらに、上記後方キャビティを完全に被覆するように適合化されたカバーであって、さらに、内部ヒールレセプタクルと、内部トウレセプタクルと、上記内部ヒールレセプタクルおよび上記内部トウレセプタクルを分離する貫通孔とを有する上記カバーと、上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとの一方の少なくも一部と係合するように適合化されたウェイトと、上記貫通孔と係合して上記カバーを上記本体部分に取り付けるように適合化されたファスナとを含み、上記ファスナがウェイト軸に沿って移動し、上記ウェイト軸は、上記打撃フェース平面と、約-10度から約+10度の間の角度αを形成する。
【0012】
他の側面において、ここの記載される技術は、ゴルフクラブヘッドに関し、このゴルフクラブヘッドは、本体部分と、ウェイトアセンブリとを含み、上記本体部分は、さらに、打撃フェース平面を形成し、下側エッジを具備する打撃フェースと、上記下側エッジから後方に延びるソールと、上記打撃フェースの後方に位置付けられ上記ソールの後方部分と結合する後方部分と、上記本体部分の上記ソールの近傍に形成される後方キャビティとを含み、上記ウェイトアセンブリは、さらに、上記後方キャビティを完全に被覆するように適合化されたカバーであって、さらに、内部ヒールレセプタクルと、内部トウレセプタクルと、上記内部ヒールレセプタクルおよび上記内部トウレセプタクルを分離する貫通孔とを有する上記カバーと、上記内部ヒールレセプタクルまたは上記内部トウレセプタクルの少なくとの一方の少なくも一部と係合するように適合化されたウェイトと、上記貫通孔と係合して上記カバーを上記本体部分に取り付けるように適合化されたファスナとを含み、上記ウェイトアセンブリは、約0mmから約2.5mmの間のx軸に沿ったデルタ変化(Δx)が可能であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【0013】
この発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
この発明の先の、または他の特徴および利点は添付図面において説明されるように以下のこの発明の説明から明らかであろう。添付図面は、ここに組み込まれ、明細書の一部を形成し、さらにこの発明の原理を記述し、当業者がこの発明を実施し、または利用できるようになす。
【0015】
図1】添付図面の図1は、この発明の実施例に従うゴルフクラブヘッドの斜視図を示す。
図2】添付図面の図2は、この発明の実施例に従うゴルフクラブヘッドの分解斜視図を示す。
図3】添付図面の図3は、この発明の実施例に従うウェイト組立体の内部斜視図を示す。
図4】添付図面の図4は、この発明の他の代替的な実施例に従うウェイト組立体の他の内部斜視図を示す。
図5】添付図面の図5は、この発明の実施例に従うゴルフクラブヘッドの正面図を示す。
図6】添付図面の図6は、この発明の実施例に従うゴルフクラブヘッドの分解ヒール側面図を示す。
図7】添付図面の図7は、この発明の実施例に従うゴルフクラブヘッドの背面図を示す。
図8】添付図面の図8は、この発明の実施例に従うゴルフクラブヘッドの、図5に示すA-A’断面線に沿う断面図を示す。
図9】添付図面の図9は、この発明の実施例に従うゴルフクラブヘッドの、図5に示すB-B’断面線に沿う断面図を示す。
図10】添付図面の図10は、この発明の実施例に従うゴルフクラブヘッドの、図5に示すC-C’断面線に沿う断面図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0016】
以下の詳細な説明は、この発明を実施するための現在考えられている最良のモードを説明する。この説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、この発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって最もよく定義されるので、単にこの発明の一般原理を説明する目的でなされている。
【0017】
様々なこの発明の特徴が以下に記載されており、それぞれは、互いに独立して、または他の特徴と組み合わせて使用することができる。ただし、単一の発明の特徴は、上述の問題の一部またはすべてに対処しない場合もあれば、上述の問題の1つにのみ対処する場合もある。さらに、先に説明した1つ以上の問題は、以下で説明する機能のいずれによっても完全に対処できない場合がある。
【0018】
この発明のゴルフクラブヘッドおよびその性能基準についての議論を始める前に、以下の議論が、座標系301(図3に示す)および測定軸に基づいており、これがパフォーマンス数値を適切に評価するために重要であることを、ここで留意することは有益である。したがって、以下の測定値に対して与えられる特定の名前はこの発明を理解するために重要であるけれども、命名法を単独で解釈すべきではないことをここで認識することが重要である。むしろ重要なのは、以下に示す数値を、座標系がゴルフクラブヘッド自体にどのように関係するかという文脈で捉える必要があるということである。曖昧さを避けるために十分な情報を提供するために、ゴルフクラブヘッドを参照する以下に提供される各図には、すべて相互に一貫した座標系が付けられている。
【0019】
上述に従い、以降の議論のために基準座標系を確立するために、添付図面の図5は、この発明のさまざまな測定値および性能数値を定義するために使用される座標系501を示す。今の議論で使用されるx軸は、ヒールからトウ方向への打撃フェースに対して水平な軸を指す。この議論で使用されるy軸は、クラブを通るクラウンからソール方向の垂直軸を指す。この議論で使用されるz軸は、前後方向の前後に水平な水平軸を指す。別の言い方をすれば、x軸はゴルフクラブヘッドのヒールに向かう正の方向で打撃フェースの幾何学的中心に接する水平軸として定義され、y軸は、x軸に直交し、ゴルフクラブヘッドの頂部に向かう正の方向を有する垂直軸とするものであり、z軸は、ゴルフクラブヘッドの前部に向かう正の方向を有するx軸およびy軸の両方に直交する。上で説明したx-y-z座標系は、以降のすべての説明で同じであるものとする。
【0020】
添付図面の図1は、この発明の一実施例に従うゴルフクラブヘッド100の斜視図を示す。ここで図1に示すゴルフクラブヘッド100は、打撃フェース502(図5に示される)を具備する本体と、打撃フェース502の下方前縁から後方に延びるソール104(図5に示される)と、打撃フェース502の後方に位置付けられ、ソール104の後部に結合されるバック部分106とを具備して良い。この発明のこの実施例に従うゴルフクラブヘッド100は、ウェイトアセンブリ110を収容するように適合された後部キャビティ208(図2に示される)を有して良い。後部キャビティ208(図2に示される)は、一般に、ゴルフクラブヘッド100のマッスル部分内に位置付けられ、この発明の主な目的の1つに従って、シームレスで審美的に心地よい視覚を作り出す。
【0021】
添付図面の図2は、この発明の一実施例に従うゴルフクラブヘッド200の分解図を示す。図2に示されるゴルフクラブヘッド200の分解図において、後部キャビティ208からウェイトアセンブリ210が取り外されており、ウェイトアセンブリ210の様々な構成要素がどのように後部キャビティ208と連結しているかがわかる。ここに示されているウェイトアセンブリ210は、さらに、所定の形状および大きさを具備して後部キャビティ208によって形成された空隙を完全に覆うカバー212から構成されている。カバーは、貫通孔214によって分離された、内部ヒールレセプタクル322(図3に示す)および内部トウレセプタクル324(図3に示す)を具備し、その両方がウェイト216を収容するように適合されている。図2に示すファスナ218が後部キャビティ208内のねじ付きレセプタクル220と係合したとき、カバー212の内部に取り付けられたウェイト216を含むウェイトアセンブリ210の全体が後部キャビティ208に固定されることが可能になる。
【0022】
ここで、ウェイト216が、内部ヒールレセプタクル322(図3に示される)または内部トウレセプタクル324(図3に示される)に取り付けられて、ゴルフクラブヘッド200の重心の調整を支援し、これが、どちらのレセプタクルにウェイト216を取り付けるかに依存することに注目することは重要である。実際、この発明は、ウェイト216が内部ヒールレセプタクル322(図3に示される)または内部トウレセプタクル324(図3に示される)の全体を満たすようなサイズにされない可能性があることを想定しており、さらに、それが各レセプタクル内のどこに取り付けられるかに応じて、ゴルフクラブヘッド200の重心をさらに調整することができることも想定している。
【0023】
この発明のこの実施例に示されるウェイト216は、一般に、約12g/ccを超える密度、より好ましくは約14g/ccを超える密度、最も好ましくは約17g/ccを超える密度を具備する高密度材料から製造されて良い。1実施例において、ウェイトり216の好ましい材料はタングステンタイプの材料であて良いけれども、代替的な実施例において、スチールより大きな密度を具備すれば、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、他の種々のタイプの材料も使用されて良い。
【0024】
図1に示される完全に組み立てられたゴルフクラブヘッド100および図2に示されるゴルフクラブヘッド200の分解図の詳細な比較は、この発明の重要かつ重要な特徴の1つを示しており、すなわち、カバー212がゴルフクラブヘッド200の後部キャビティ208に完全に固定されているときに、カバー212がウェイト216を視界から完全に隠す。この機能は、位置を特定するためにインジケーターが必要な他のタイプの追跡加重システムとは異なり、これは、地面からの激しい衝撃を受けない他のタイプのゴルフクラブとは異なり、ウェッジタイプのゴルフクラブヘッドはバンカーを含む種々の芝の状態での衝撃に対して耐久性がある必要があり、そのため、現在のウェッジタイプのデザインにとって重要である。したがって、この特徴はこの発明にとって重要である。
【0025】
添付図面の図3は、この発明の一実施例に従うウェイトアセンブリ310の内部斜視図を示す。ウェイトアセンブリ310の内部斜視図により、内部ヒールレセプタクル322および内部トウレセプタクル324をより明確に示すことができる。図3に示されるこの発明のこの実施例において、図3に示されるように、ウェイト316は内部ヒールレセプタクル322に取り付けられるが、内部トウレセプタクル324は空のままである。高密度ウェイト316を内部ヒールレセプタクル322に取り付けることにより、ゴルフクラブヘッドの重心をゴルフクラブヘッドのヒール側に向かって移動させることができるけれども、ウェイト316が内部トウレセプタクル324に取り付けられる場合にはその逆が当てはまる。最後に、添付図面の図3は、また、内部ヒールレセプタクル322を内部トウレセプタクル324から分離するファスナ318を示しており、このファスナ318は、ねじ付きレセプタクル220(図2に示す)と係合してウェイトアセンブリ310をゴルフクラブヘッドに固定するように適合されている。
【0026】
ここで、図3に示すウェイト316は、内部ヒールレセプタクル322を完全に充填しなくて良いことに留意されたい。すなわち、図示の実施例において、こらは、内部ヒールレセプタクル322の全体を完全に満たすことはできず、内部ヒールレセプタクル322の終端側のみを満たし、内部ヒールレセプタクル322の近位側に隙間を残す。この発明の代替的な実施例において、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、ウェイト316が、内部ヒールレセプタクル322または内部トウレセプタクル324に関連して多くの他の位置を占めて良いことに留意されたい。
【0027】
添付の図面の図4は、内部ヒールレセプタクル422の代わりに、内部トウレセプタクル424内のウェイト416の代替位置の1つを示している。ウェイトを内部トウレセプタクル424内の別の位置にどのように配置することができるかに関する実施例を示すことに加えて、添付図面の図4は、また、内部トウレセプタクル424内のウェイトの配置も異なって良いことを示している。図4に示されるウェイトアセンブリ410では、ウェイト416は、内部トウレセプタクル424の近位端でファスナ418の近くに配置され、内部トウレセプタクル424の遠位端に隙間を残すことができる。言うまでもなく、この発明のさらに他の実施例において、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、ウェイト416を内部ヒールレセプタクル422の近位端に配置することもできる。
【0028】
添付図面の図5は、ゴルフクラブヘッド500の正面図を示しており、打撃フェース502が示されている。図5に示されるゴルフクラブヘッド500の正面図において、断面線A-A’、B-B’、C-C’が確認でき、これらの詳細は後述する。断面線A-A’はファスナ218(図2に示す)の中心を通過し、断面線B-B’は断面線A-A’のトウ側の平面を通過し、これによれば、内部トウレセプタクルの空の側を示すことができ、この実施例において、空のキャビティとして示されている。
【0029】
このx-y平面に沿った複数の断面線を示すことに加えて、添付図面の図5は、また、ゴルフクラブヘッド500のフェース中心532および重心534の位置を示す。ゴルフクラブヘッド500のフェース中心532は、x軸に沿う全長スコアライン(部分的なスコアラインは無視する)間の中間点であって、下から数えて5番目のスコアライン上の打撃フェース502の正面打撃表面に位置するものとして定義される。この発明において重心の位置を強調することは、調整可能なウェイトアセンブリ210(図2に示す)が、x軸に沿ったウェイトの位置を調整し、したがって、結果として生じるx軸に沿う重心の位置が、ウェイトアセンブリ210(図2に示す)内のウェイト216(図2に示す)の位置に応じて変化するため重要である。
【0030】
この発明の当該実施例において、フェース中心532から離れるx軸に沿った重心534の距離d1は、一般的に、約2mmから約8mmの間、より好ましくは約3mmから約7mmの間、最も好ましくは約3mmから約6mmの間であって良い。上述の重心位置の範囲は、異なるロフトを有する異なるウェッジシャーシに関連するため、先に明示された重心距離範囲全体は、一般に調整可能範囲内にない。実際には、ウェイトアセンブリ310(図3に示す)の内部ヒールレセプタクル322(図3に示す)および内部トウレセプタクル324(図3に示す)の内部のウェイト配置の端部の間のウェッジの重心位置の変化は、約0mmから約2.5mmの間、より好ましくは約0mmから約2.0mmの間、最も好ましくは0mmから約1.8mmの間のΔxとして定量化されるデルタ変化をもたらして良く、これは、いずれもこの発明の範囲および内容から逸脱するものではない。言い換えれば、ウェイトアセンブリ310は、約0mmから約2.5mmの間、より好ましくは約0mmから約2.0mmの間、最も好ましく0mmから約1.8mmの間のx軸に沿ったデルタ変化(Δx)を達成することができる。
【0031】
添付図面の図6は、この発明の一実施例に従うゴルフクラブヘッド600の分解ヒール側面図を示す。ゴルフクラブヘッド600のこの分解図において、ウェイトアセンブリ610全体がウェイト軸636に沿って移動し、ゴルフクラブヘッド600のロフト平面638とウェイトアセンブリ角度αを形成することが分かる。ここで図6に示されるロフト平面638は、座標系601に示されるx-z平面に沿って形成される平面であり、ゴルフクラブヘッド600のロフトを捉えることを目的としている。ロフト平面638は、グラウンド平面640とロフト角θを形成し、これは、40度、より好ましくは約43度より大きく、最も好ましくは約45度より大きい。
【0032】
ウェイトアセンブリ角度αは、ウェイトアセンブリ610がゴルフクラブヘッド600のマッスル部分内に戦略的に配置されることを保証するため、この発明にとって重要である。この発明の現在の例示的な実施例において、ウェイトアセンブリ角度αは、一般的に、ロフト平面638の-10度~+10度の間、より好ましくはロフト平面638の-5度~+10度の間、最も好ましくはロフト平面638の約0度~+10度の間であってよい。図6に示される実施例において、ウェイトアセンブリ角度αは正の数として示されているけれども、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、上述したようにαは負の数であって良い。
【0033】
上述の2つの角度を示すことに加えて、ゴルフクラブヘッド600の分解ヒール側面図により、ウェイトアセンブリ610のカバー612、ウェイト616、およびファスナ618をより詳細に示すことができる。この発明のこの特定の実施形例において、ファスナ318は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、ウェイトアセンブリ610のカバー612の裏返しを容易にするために部分的な取り外しを容易にする二条ネジであっても良い。この発明のこの実施例において、二条ファスナ618の並目ねじ部分がねじ山の最初の4mm部分を形成し、解放プロセスの最初の4mmが迅速に行われる一方、ねじ山の残りの部分はこの発明の範囲および内容から逸脱することなく、カバー612全体が誤って除去されることを防止するための、より微細な組成を具備して良い。
【0034】
添付図面の図7は、この発明の一実施例に従うゴルフクラブヘッド700の背面図を示す。図7に示されるこの発明のこの観点では、完全に取り付けられたとき、ウェイトアセンブリ710のカバー712は、後部キャビティ208(図2に示す)と同じサイズおよび寸法を有するようにサイズおよび形状が決められており、後部キャビティ208(図2に示す)は完全に隠蔽されることが再び分かる。さらに、上述したように、図7に示されるこの発明の重要な側面は、内部ヒールレセプタクルまたは内部トウレセプタクルのいずれかに挿入されるウェイトが完全に隠蔽され、この図からは見えないことである。これは、上述したように、この発明の重要な側面である。
【0035】
この発明のこの重要な特徴を強化することに加えて、ウェイトアセンブリ710のヒール側点からウェイトアセンブリ710のトウ側点まで測定されたウェイトアセンブリ710の幅d2を示す。この発明のこの実施例に示されるように、幅d2は、一般に、約45mmより大きく、より好ましくは約50mmより大きく、最も好ましくは約55mmより大きく、これは、すべてこの発明の範囲および内容から逸脱するものではない。
【0036】
添付図面の図8は、図5に示される断面線A-A’に沿ったゴルフクラブヘッド800の断面図を示し、ここでは、ゴルフクラブヘッドの中央より下方でファスナ816が位置付けられる。断面線A-A’に沿ったゴルフクラブヘッド800のこの断面図は、ファスナ812の内部構成要素を使用してカバー810を後部キャビティのねじ付きレセプタクル820にウェイト軸836に沿って固定する方法を示している。
【0037】
添付図面の図9は、図5に示される断面線B-B’に沿ったゴルフクラブヘッド900の断面図を示し、これは、内部トウレセプタクル924を分割する位置である。断面線B-B’に沿ったゴルフクラブヘッド900のこの断面図は、後部キャビティを隠すカバー912の内部構成要素を示しており、内部トウレセプタクル924にはウェイトは含まれていない。
【0038】
添付図面の図10は、図5に示される断面線C-C’に沿ったゴルフクラブヘッド1000の断面図を示し、これはヒールレセプタクル1022を分割する位置である。断面線C-C’に沿ったゴルフクラブヘッド1000のこの断面図は、後部キャビティを隠すカバー1012の内部構成要素を示している。内部ヒールレセプタクル1022はウェイト1016を含む。
【0039】
実施例の外に、または、とくにことわらない限りは、すべての数の範囲、量、値およびパーセント例えば明細書中の材料の量、慣性モーメント、重心位置、ロフト、ドラフト角度、種々の性能比、その他に関するそのようなものは、値、量、または範囲とともに明瞭に「約」の用語が表示されていなくてもそのような用語「約」があるものとして認識することができる。したがって、そうでないと示されない限り、明細書および特許請求の範囲の数字のパラメータは近似であり、これはこの発明により実現されることがのぞまれる所望の特性に応じて変化する。特許請求の範囲の均等理論の適応を排除する意図はないが、少なくとも、各数量のパラメータは報告された実行桁数の下で理解され、通常の丸め手法により把握すべきである。
【0040】
この発明の広い範囲を示す数量の範囲およびパラメータは近似であるけれども、明細書の例に示された数量の値はできる限り正確に報告されている。ただし、いずれの数量の値も、各実験の測定に見いだされる標準偏差に起因する必然的な誤差を内在する。さらに、種々のことがらについて数量の範囲が示される場合には、指摘した値の範囲で、それらを組み合わせたものが利用できることを理解されたい。
【0041】
以上は、この発明の例示の実施例に関するものであり、以下の特許請求の範囲で示される発明の範囲および程度を逸脱することなく修正を行えることはもちろんであることに留意されたい。
図1
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図5
図6
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図8
図9
図10
【外国語明細書】