(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035117
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】固形組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/167 20060101AFI20240306BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240306BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240306BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240306BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61K31/167
A61K9/20
A61K47/04
A61P29/00
A61K31/198
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132782
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2022137065
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野 哲央
(72)【発明者】
【氏名】小島 陽子
(72)【発明者】
【氏名】桑田 亜矢
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC05
4C076DD27
4C076DD28
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD43
4C076DD51
4C076DD61
4C076DD67
4C076EE16
4C076EE31
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4C076EE38
4C076EE45
4C076FF36
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA53
4C206GA02
4C206GA31
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA72
4C206NA20
4C206ZA07
4C206ZA08
4C206ZB11
(57)【要約】
【課題】
アセトアミノフェン及びグリシンの合計量が55%以上であり、固形製剤の割れ・欠けが改善し、また十分な硬度を有する固形製剤を提供することである。
【解決手段】
本発明は、(A)アセトアミノフェン、(B)グリシン、及び(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩を含み、前記(A)成分と前記(B)成分との合計の含有量が55質量%以上である固形製剤、である。(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩として好ましいのは、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、又は軽質無水ケイ酸である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アセトアミノフェン、(B)グリシン、(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩を含み、前記(A)成分と前記(B)成分との合計の含有量が55質量%以上である固形製剤。
【請求項2】
(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、及び軽質無水ケイ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の固形製剤。
【請求項3】
(B)グリシン1質量部に対し、(A)アセトアミノフェンが0.2~15質量部である請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項4】
固形製剤が錠剤である、請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項5】
錠剤の直径が11mm以下である請求項4に記載の固形製剤。
【請求項6】
(A)アセトアミノフェンと(B)グリシンの合計の含有量が55質量%以上である錠剤の割れ及び欠けを改善する方法であって、前記錠剤に(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩を含有させる、前記錠剤の割れ及び欠けの改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトアミノフェンとグリシンを含有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アセトアミノフェン(パラセタモール)は、パラアミノフェノール系の解熱鎮痛剤であり、頭痛、筋肉痛、月経痛、歯痛などの鎮痛や、急性上気道炎での解熱、鎮痛などに汎用されている(非特許文献1)。
グリシン(別名:アミノ酢酸)は、アミノ酸の一種で、カルボキシル基が結合した炭素(α-炭素)にアミノ基が直結しているα-アミノ酸の中では、唯一D-、L-の立体異性がなく、非極性側鎖アミノ酸に分類されるアミノ酸である。また、グリシンは人間の体内で作ることのできる非必須アミノ酸に分類され、様々な身体機能に関わり、特に血液中での酸素を運ぶ機能に関係するポルフィリンや筋肉運動に必要なクレアチン、抗酸化物質のグルタチオンや核酸のプリン体を構成する物質としても知られている。さらにグリシンは両性化合物であり,胃液に対し緩衝作用を有する(非特許文献2)。
【0003】
アセトアミノフェン及びグリシンを配合した製剤はいくつか知られている。例えば、特許文献1では水性組成物中のアセトアミノフェンの安定化剤としてグリシンを使用している。特許文献2ではアセトアミノフェンとグリシンを配合し、眼精疲労の予防効果に有効な錠剤が開示されている。また、特許文献3では、アセトアミノフェンとグリシンを配合した解熱効果が向上された医薬組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2012/077696
【特許文献2】特開2014-156458号公報
【特許文献3】特開2004-123712号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】第十八改正日本薬局方解説書C-146~C-150
【非特許文献2】第十八改正日本薬局方解説書C-1617~C-1620
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かぜ薬や解熱鎮痛薬の一般用医薬品製造販売承認基準において、アセトアミノフェン、グリシンともに1日最大分量が900mgと高用量の配合が可能である。よって、これらを高用量配合した錠剤を製造する場合、服用量の増大(錠剤サイズの増大、服用錠数の増加等)が懸念される。また散剤、顆粒剤の場合は一包質量が増大し、服用量の増大が懸念される。
本発明者らは、アセトアミノフェンとグリシンの合計量が製剤中55質量%以上となる固形製剤を製造したところ、製造された固形製剤は割れ又は欠けが生じることがわかった。固形製剤の割れ又は欠けは品質に影響するため、発生率は0%であることが望まれる。また、錠剤では十分な錠剤硬度が得られないこともわかった。散剤、顆粒剤の場合は、粒子の欠けによる微粉末の増加などにより、飲みにくい等の服用性に影響する恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、アセトアミノフェン及びグリシンの合計量が固形製剤中55質量%以上であり、割れ又は欠けが発生しない固形製剤を提供することである。また、アセトアミノフェン及びグリシンの合計量が固形製剤中55質量%以上であり、十分な硬度を有する固形製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の検討を行った結果、驚くべきことに、1次粒子径1μm以下のケイ酸塩を配合することで、固形製剤の割れ又は欠けが改善することを見出した。また、錠剤の硬度が改善することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)(A)アセトアミノフェン、(B)グリシン、(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩を含み、前記(A)成分と前記(B)成分との合計の含有量が55質量%以上である固形製剤、
(2)(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、及び軽質無水ケイ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の固形製剤、
(3)(B)グリシン1質量部に対し、(A)アセトアミノフェンが0.2~15質量部である(1)又は(2)に記載の固形製剤、
(4)固形製剤が錠剤である(1)~(3)のいずれかに記載の固形製剤、
(5)錠剤の直径が11mm以下である(1)~(4)のいずれかに記載の固形製剤、
(6)(A)アセトアミノフェンと(B)グリシンの合計の含有量が55質量%以上である錠剤の割れ及び欠けを改善する方法であって、前記錠剤に(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩を含有させる、前記錠剤の割れ及び欠けの改善方法、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、アセトアミノフェンとグリシンの合計量が固形製剤中55質量%以上であっても固形製剤の割れ又は欠けが改善した固形製剤の提供が可能となった。また十分な硬度を持つ錠剤の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いられる(A)アセトアミノフェンは、日本薬局方に準拠したアセトアミノフェンであり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0012】
本発明の固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤中に含まれるアセトアミノフェンの含量は、好ましくは10~90質量%、より好ましくは10~80質量%、特に好ましくは10~70質量%、最も好ましくは25~50質量%である。
【0013】
本発明におけるアセトアミノフェンの1日当たり分量は特に限定されないが、1日当たり150~1500mgが好ましく、150~1200mgがより好ましく、150~900mgがさらに好ましい。
【0014】
本発明に用いられる(B)グリシンは、日本薬局方に準拠したグリシンであり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0015】
本発明の固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤中に含まれるグリシンの含量は、好ましくは3~90質量%、より好ましくは3~80質量%、特に好ましくは3~60質量%、最も好ましくは25~50質量%である。
【0016】
本発明におけるグリシンの1日当たり分量は特に限定されないが、例えば、1日当たり60~900mgが好ましく、180~900mgがより好ましい。
【0017】
また、本発明の固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤中における(A)アセトアミノフェンの含有量は、55~90質量%が好ましく、65~90質量%がより好ましい。また、(B)グリシン1質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、0.2~15質量部がより好ましい。 本発明において、(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩を含まないと、アセトアミノフェン及びグリシンの合計含量が固形製剤全体の55質量%以上の場合に固形製剤の割れ・欠けが発生する。
【0018】
本発明における1次粒子径とは、粉体を構成する粒子であり、これ以上細かく分けることができない粒子の粒子径のことである。
【0019】
本発明において、1次粒子径1μm以下のケイ酸塩は医薬的に許容されるものであれば特に限定されないが、1次粒子径は好ましくは0.001μm~1μm、より好ましくは0.001μm~0.5μm、さらに好ましくは0.001μm~0.1μmである。なお1次粒子径は体積及び表面積から算出可能であり、レーザー回析法や動的光散乱法などの粒度分布測定装置のほか、電子顕微鏡等による形状観察からも測定可能である。また本発明によるケイ酸塩は無機酸、有機酸のいずれでもよく、これらは天然物由来でもよいし、合成品でもよい。またこれらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、本発明の効果から、1次粒子径が1μm以下のケイ酸塩としてメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素が好ましく、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸がより好ましく、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムがさらに好ましい。これら1次粒子径1μm以下のケイ酸塩は市販品を用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0020】
本発明の固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤中に含まれる(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩の含有量は、好ましくは0.1~45質量%であり、より好ましくは0.1~20質量%であり、さらに好ましくは0.1~5質量%である。
【0021】
(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いる場合、本発明における固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤中に含まれるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有は、好ましくは0.1~45質量%、より好ましくは0.1~20質量%、さらに好ましくは0.5~5質量%、特に好ましくは0.5~3質量%である。
【0022】
本発明における(C)メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと、(A)アセトアミノフェン及び(B)グリシンの合計量の配合比は、本発明の効果の点から、(A)アセトアミノフェン及び(B)グリシンの合計量1質量部に対し、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは0.001~1質量部が好ましく、0.01~1質量部がより好ましく、0.01~0.07質量部がさらに好ましく、0.01~0.05質量部が特に好ましい。
【0023】
(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩として、軽質無水ケイ酸を用いる場合、本発明における固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤中に含まれる軽質無水ケイ酸の含有量は、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.1~15質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%、特に好ましくは0.7~5質量%,最も好ましくは1~5質量%である。
【0024】
(C)1次粒子径1μm以下のケイ酸塩として、含水二酸化ケイ素を用いる場合、本発明における固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤中に含まれる含水二酸化ケイ素の含有量は、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.1~15質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%、特に好ましくは0.1~5質量%である。
【0025】
本発明における(C)軽質無水ケイ酸又は含水二酸化ケイ素と、(A)アセトアミノフェン及び(B)グリシンの合計量の配合比は、本発明の効果の点から(A)アセトアミノフェン及び(B)グリシンの合計量1質量部に対し、(C)軽質無水ケイ酸又は及び含水二酸化ケイ素は0.01~10質量部が好ましく、0.01~1質量部がより好ましく、0.01~0.05質量部がさらに好ましい。
【0026】
本発明の固形製剤は、通常、日本薬局方の製剤総則に規定されている剤形であれば特に限定されないが、好ましくは、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、特に好ましくは錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤であり、最も好ましくは錠剤である。
また、本発明の錠剤は、通常、日本薬局方の製剤通則に規定されている錠剤であれば特に限定されない。日本薬局方の製剤通則に規定されている錠剤には、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠及び溶解錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠、積層錠などが含まれる。また、錠剤に割線や識別性向上のためのマーク、刻印を設けることができる。さらに、本製剤の錠剤は、丸錠であってもよいし、異型錠であってもよく、ミニタブレットでもよい。
本発明の散剤、顆粒剤は、通常、日本薬局方の製剤通則に規定されているものであれば特に限定されない。日本薬局方の製剤通則に規定されているものには、散剤、顆粒剤、発泡顆粒剤などが含まれる。また打錠前顆粒、打錠前混合粉末、カプセル物の内容物も含まれる。
【0027】
本発明により、固形製剤中にアセトアミノフェンとグリシンの合計量が55質量%以上と高濃度配合することが可能となったため、錠剤については小型化が可能となった。また、1回の服用錠数を少なくすることも可能となった。本発明の錠剤の錠径は、1~11mmが好ましく、8mm~10mmがより好ましい。また、1回服用錠数は、1~3錠とすることができる。また、散剤、顆粒剤は、1回の服用量を少なくすることが可能となった。
【0028】
本発明の錠剤の硬度は、錠剤硬度計を用いて測定することができる。本発明の錠剤の硬度は、30~200Nが好ましく、30~180Nがより好ましく,30~150Nが特に好ましい。
本発明の固形製剤中には本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で、通常用いられる他の有効成分、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、酸味剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、着色剤、発泡剤、界面活性剤、可塑剤、香料、コーティング剤などを配合することができる。
【0029】
本発明の固形製剤に配合できる他の有効成分としては、例えば、解熱鎮痛成分、抗ヒスタミン成分、鎮咳成分、気管支拡張成分、去痰成分、催眠鎮静成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗炎症成分、胃粘膜保護成分、生薬類、漢方処方、カフェイン類、制酸剤等があげられ、これらからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有しても良い。
【0030】
本発明の固形製剤に配合できる賦形剤としては、例えば、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、ショ糖、糖アルコール、リン酸水素カルシウム類等が挙げられ、好ましくは結晶セルロースである。
本発明の固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤に用いられる結晶セルロースは日本薬局方又は食品添加物に準拠したものが好ましく、日本薬局方に準拠した結晶セルロースがより好ましい。結晶セルロースは、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明の固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤に用いられる結晶セルロースの粒子形態は、特に限定されるものではないが、微粉又は繊維状がより好ましく、繊維状がより好ましい。
【0031】
本発明の固形製剤は特に限定されないが、例えば錠剤中における結晶セルロースの含有量は、例えば錠剤全質量に対して1~70質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましく、7~45質量%がさらに好ましい。
【0032】
本発明の固形製剤に配合できる崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、アルファー化デンプン等が挙げられ、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、プルラン等が挙げられ、滑沢剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0033】
本発明の錠剤には、従来行われている錠剤の製造方法により、製造することができる。すなわち、本製剤は、医薬有効成分と上述のような添加剤を混合機などの適当な混合機で混合して錠剤用混合末を製造した後、当該混合末を直接圧縮打錠する方法、または、造粒工程を介して顆粒製造し、顆粒を圧縮打錠する方法等により製造することができる。顆粒の製造方法は、乾式造粒法(スラッグ法、ローラーコンパクター法)、湿式造粒法により製造することができ、好ましくは湿式造粒法である。造粒装置または造粒方法としては、ローラーコンパクター、撹拌造粒法、流動層造粒法、押し出し造粒法、転動造粒法、噴霧造粒等で製造すればよく、好ましくは撹拌造粒法、流動層造粒法である。錠剤用混合末または当該混合末の顆粒を圧縮打錠する機械としては、単発打錠機、ロータリー式打錠機等を用いることができる。
本発明の散剤、顆粒剤には、従来行われている散剤、顆粒剤の製造方法により、製造することができる。すなわち、本製剤は、医薬有効成分と上述のような添加剤を混合機などの適当な混合機で混合して混合末を調製する方法、または、造粒工程を介して顆粒製造することができる。顆粒の製造方法は、乾式造粒法(スラッグ法、ローラーコンパクター法)、湿式造粒法により製造することができ、好ましくは湿式造粒法である。造粒装置または造粒方法としては、ローラーコンパクター、撹拌造粒法、流動層造粒法、押し出し造粒法、転動造粒法、噴霧造粒等で製造すればよく、好ましくは撹拌造粒法、流動層造粒法である。
本発明の割れ欠けの評価方法は、特に限定されないが、錠剤の場合は摩損度試験法や目視検査が挙げられ、散剤、顆粒剤の場合は粒度分布測定による微粉末の増加割合の算出が挙げられる。
【実施例0034】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。
【0035】
(錠剤の調製)
(実施例1~8、比較例1~5)
表1に記載の配合組成で各原料成分を秤量した後、均一に混合した。1錠当たり質量約300mgで単発打錠機(HANDTAB)を用いて打錠圧約10kNで打錠して直径8.5mmの錠剤を得た。なお、グリシンは微粉砕品を使用した。また、今回使用したケイ酸塩の1次粒子径は、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.02~0.1μm、軽質無水ケイ酸0.007~0.04μm、ケイ酸カルシウム約30μm、タルク5~8μmである。
【0036】
(錠剤の割れ・欠けの評価)
得られた錠剤について、日本薬局方の錠剤の摩損度試験法を参考に試験を行い、試験後の錠剤を観察し、割れ・欠けを評価した。試験を行った全錠剤に対する割れ・欠けのある錠剤の割合を算出し、錠剤の割れ・欠け発生率を算出した。結果を表1に示す。
【0037】
【0038】
表1に示すように、アセトアミノフェンとグリシンの合計の含有量が50%である比較例1では、錠剤の割れ・欠けは認められなかった。アセトアミノフェンとグリシンの合計の含有量が55%以上である比較例2、3では、錠剤の割れ・欠けが発生した。アセトアミノフェン及びグリシンの含有量が55%以上である錠剤について、比較例4と比較例5のケイ酸塩を添加しても、錠剤の割れ・欠けの抑制はできず、高い割れ・欠け発生率を示した。一方、1次粒子径が1μm以下のケイ酸塩を配合した実施例1~8は錠剤の割れ・欠け発生率は0%であった。
【0039】
(錠剤硬度の測定)
比較例3~5、実施例1~8の錠剤について、錠剤硬度計(Pharmatron Dr.schleuniger 8M型)を用いて錠剤硬度を測定し、平均の硬度(N)を求めた。結果を表2に示す。
【0040】
【0041】
表2に示すように、比較例4や比較例5の錠剤と比較して、1次粒子径が1μm以下のケイ酸塩を配合した錠剤は硬度が高くなることが明らかとなった。
【0042】
(製剤例)
下記の表3に示す材料を用いて、本発明の製剤例1~7を調製する。製剤例1~5はチュアブル錠の形状、製剤例6は錠剤の形状、製剤例7は顆粒剤である。また、製剤例1~7は溶媒を用いて湿式造粒法により製造する。
【0043】
本発明によれば、アセトアミノフェンとグリシンとの合計の含有量が55質量%以上であっても、一般的な製造設備にて製造でき、さらに、輸送の際に割れや欠けが生じず、また高い硬度を有する優れた固形製剤を提供することができる。