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特開2024-35137ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部
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  • 特開-ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部 図1
  • 特開-ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部 図2
  • 特開-ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部 図3
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  • 特開-ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部 図5
  • 特開-ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部 図6
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  • 特開-ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部 図9
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  • 特開-ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部 図11
  • 特開-ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035137
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部
(51)【国際特許分類】
   B24C 11/00 20060101AFI20240306BHJP
   B24C 7/00 20060101ALI20240306BHJP
   B24C 9/00 20060101ALI20240306BHJP
   B24C 5/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B24C11/00 F
B24C7/00 Z
B24C11/00 C
B24C11/00 G
B24C9/00 E
B24C9/00 F
B24C11/00 Z
B24C5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136496
(22)【出願日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2022138862
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522347896
【氏名又は名称】オプティマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】奥原 謙次
(72)【発明者】
【氏名】飯田 泰久
(72)【発明者】
【氏名】中田 裕也
(57)【要約】
【課題】従来よりもブラスト処理における水の使用量を削減し、被処理物表面における錆の発生を抑制可能なブラスト装置、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、ブラスト方法、および、ブラスト装置用の混合部を提供する。
【解決手段】ブラスト装置は、ブラスト材を被処理物へ噴射する噴射器と、研削材を貯留する貯留タンクと、貯留タンクから研削材を圧縮空気により噴射器へ送り出す空気供給手段と、純水を電気分解して得られるアルカリイオン電解水を収容する容器と、容器からアルカリイオン電解水を圧縮空気により加圧して噴射器へ送水する送水手段と、を備え、送水手段は、アルカリイオン電解水の送水量を調整可能なものであり、噴射器は、空気供給手段により送り出された研削材と、送水手段により送水されたアルカリイオン電解水と、を混合してブラスト材を形成する混合部を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラスト材を被処理物へ噴射するノズルを有する噴射器と、
研削材を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクから前記研削材を圧縮空気により前記噴射器へ第1ホースを介して送り出す空気供給手段と、
純水を電気分解して得られるアルカリイオン電解水を収容する容器と、
前記容器から前記アルカリイオン電解水を圧縮空気により加圧して前記噴射器へ第2ホースを介して送水する送水手段と、
を備え、
前記送水手段は、前記アルカリイオン電解水の送水量を調整可能なものであり、
前記噴射器は、前記空気供給手段により送り出された前記研削材と、前記送水手段により送水された前記アルカリイオン電解水と、を混合して前記ブラスト材を形成する混合部を有することを特徴とするブラスト装置。
【請求項2】
前記混合部は、
略円筒状に形成され、一端部が前記ノズルに接続され、他端部が前記第1ホースに接続されている本体と、
一端部が前記本体の側面に接続され、他端部が前記第2ホースに接続されている管状のパイプ部材と、
を備えており、
前記パイプ部材の前記一端部の内部には、噴出孔を有するチップノズルが設けられており、
前記アルカリイオン電解水は、前記チップノズルによって霧化され、前記混合部の内部における前記研削材と合流するように、前記混合部の内部に前記噴出孔から噴出されることを特徴とする請求項1に記載のブラスト装置。
【請求項3】
前記混合部は、
略円筒状に形成され、一端部が前記ノズルに接続され、他端部が前記第1ホースに接続されている本体と、
前記本体の外周側に設けられ、内部に環状送水路を有する環状の第1パイプ部材と、
複数の前記第2パイプ部材と、
を有し、
前記第1パイプ部材は、前記第2ホースと接続される供給孔を有し、
複数の前記第2パイプ部材それぞれの一端部は、前記混合部の側面から前記第2パイプ部材それぞれの内部が前記混合部の本体内部と連通するように、前記混合部の本体に接続されており、
複数の前記第2パイプ部材それぞれの他端部は、前記第2パイプ部材それぞれの内部が前記第1パイプ部材の内部と連通するように前記第1パイプ部材に接続されており、
前記送水手段により前記第2ホースを介して前記第1パイプ部材に送水された前記アルカリイオン電解水は、前記第1パイプ部材の前記環状送水路を通過しながら、複数の前記第2パイプ部材それぞれの前記送水路を通り前記チップノズルの前記噴出孔から霧化されて前記混合部の内部に噴出されることを特徴とする請求項1に記載のブラスト装置。
【請求項4】
前記研削材は、スチールグリットであり、
前記スチールグリットを前記アルカリイオン電解水により被膜された状態で、前記噴射器により噴射させ前記被処理物に衝突させることを特徴とする請求項1に記載のブラスト装置。
【請求項5】
前記送水手段は、前記空気供給手段による前記噴射器への平均粒子径が0.5mm~1.0mmの前記スチールグリットの供給量5kg/min~15kg/minに対して、前記アルカリイオン電解水の送水量を20cc/min~200cc/minに調整することを特徴とする請求項4に記載のブラスト装置。
【請求項6】
略円筒状の内筒と、
前記内筒の外周部に設けられた外筒と、
前記内筒の内部において前記内筒の垂直方向中心軸から径方向外側に偏った位置において、前記内筒の接線方向に水分を含んだ状態の研削材を供給するように、前記内筒の接線方向に沿って前記内筒の上部側面に一端部が接続されている導入管と、
前記内筒の側面に設けられた複数のスリット状の孔部と、
前記内筒の下端部に接続され、脱水された前記研削材を貯留する回収室と、
を備え、
前記研削材を前記内筒の内面に沿って螺旋状に下降させながら脱水させ、前記研削材から分離された前記水分が前記孔部を通過して前記外筒の下端部から排出されることを特徴とする研削材用乾燥機。
【請求項7】
前記導入管は、前記研削材とともに空気を前記内筒の内部に供給することを特徴とする請求項6に記載の研削材用乾燥機。
【請求項8】
前記内筒の上部に接続され、前記内筒の内部上方から空気を供給する供給管をさらに備えていることを特徴とする請求項6に記載の研削材用乾燥機。
【請求項9】
前記内筒は、下方にいくに従って径が徐々に小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の研削材用乾燥機。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載のブラスト装置と、
前記ブラスト装置の前記噴射器によって前記被処理物に対して噴射して使用された研削材を回収する吸引手段と、
前記吸引手段によって回収した前記研削材を、前記アルカリイオン電解水を用いて洗浄する洗浄機と、
前記洗浄機によって洗浄した前記研削材を乾燥させる請求項6~9のいずれか1項に記載の研削材用乾燥機と、
を備え、
前記研削材用乾燥機によって乾燥した前記研削材を前記ブラスト装置の前記貯留タンクに投入して再度噴射するブラスト処理を行うことを特徴とする循環式のブラストシステム。
【請求項11】
研削材と、純水を電気分解して得られるアルカリイオン電解水と、を混合する混合部を有する噴射器を用いてブラスト処理を行うブラスト方法であって、
前記混合部の内部において前記研削材の表面を前記アルカリイオン電解水により被膜してブラスト材を形成し、前記ブラスト材を圧縮空気により被処理物へ噴射することを特徴とするブラスト方法。
【請求項12】
液体と研削材とを少なくとも混合してなるブラスト材を被処理物へ噴射するノズルに一端部を接続可能なブラスト装置用の混合部であって、
一端部が前記ノズルに接続され、他端部が前記研削材を供給可能な第1ホースに接続されている略円筒状の本体と、
一端部が前記本体の内部と連通するように接続され、前記液体を供給する第2ホースが他端部に接続可能な管状のパイプ部材と、
を備え、
前記パイプ部材の前記一端部の内部には、前記混合部内に前記液体を噴出する噴出孔を有したチップノズルが設けられていることを特徴とするブラスト装置用の混合部。
【請求項13】
液体と研削材とを少なくとも混合してなるブラスト材を被処理物へ噴射するノズルに一端部を接続可能なブラスト装置用の混合部であって、
一端部が前記ノズルに接続され、他端部が前記研削材を供給可能な第1ホースに接続されている略円筒状の本体と、
前記本体の外周部に設けられ、前記液体を内部に供給する第2ホースが接続可能な開口部を有した第1パイプ部材と、
各一端部が前記混合部の側面に接続され、各他端部が前記第1パイプ部材に接続されている複数の第2パイプ部材と、
を備えており、
各前記第2パイプ部材の前記一端部の内部には、前記混合部内に前記液体を噴出する噴出孔を有したチップノズルが設けられていることを特徴とするブラスト装置用の混合部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラスト装置、ブラスト方法、研削材用乾燥機、循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁などの鋼構造物は、経年劣化によって錆、塗膜の劣化などが生じる。そのため、定期的に、古い塗装を除去して新しい塗装を施す保全作業が行われている。この保全作業において、古い塗膜、錆などを除去するために、ブラスト処理が行われている。
【0003】
このようなブラスト処理に用いられるブラスト装置として、例えば、特許文献1には、噴射ノズルとして湿式用ノズルと乾式用ノズルとを備えた、乾式研掃と湿式研掃との切換が可能な装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-291171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のブラスト装置において湿式エアーブラスト処理を行った場合、使用する水によっては、構造物表面に再塗装までの間に錆が発生し易いという問題があった。また、湿式エアーブラスト処理中に発生する粉塵を低減させるには、水の噴射量を多くすることが必要であるため、大量の廃水が発生し、処理後の水処理方法にも問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来よりもブラスト処理における水の使用量を削減し、被処理物表面における錆の発生を抑制可能なブラスト装置、ブラスト方法、本ブラスト装置において使用する研削材を乾燥可能な研削材用乾燥機、これらのブラスト装置および研削材用乾燥機を含む循環式のブラストシステム、および、ブラスト装置用の混合部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明のブラスト装置は、ブラスト材を被処理物へ噴射するノズルを有する噴射器と、研削材を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクから前記研削材を圧縮空気により前記噴射器へ第1ホースを介して送り出す空気供給手段と、純水を電気分解して得られるアルカリイオン電解水を収容する容器と、前記容器から前記アルカリイオン電解水を圧縮空気により加圧して前記噴射器へ第2ホースを介して送水する送水手段と、を備え、前記送水手段は、前記アルカリイオン電解水の送水量を調整可能なものであり、前記噴射器は、前記空気供給手段により送り出された前記研削材と、前記送水手段により送水された前記アルカリイオン電解水と、を混合して前記ブラスト材を形成する混合部を有することを特徴とするものである。
【0008】
(2) 上記(1)のブラスト装置においては、前記混合部は、略円筒状に形成され、一端部が前記ノズルに接続され、他端部が前記第1ホースに接続されている本体と、一端部が前記本体の側面に接続され、他端部が前記第2ホースに接続されている管状のパイプ部材と、を備えており、前記パイプ部材の前記一端部の内部には、噴出孔を有するチップノズルが設けられており、前記アルカリイオン電解水は、前記チップノズルによって霧化され、前記混合部の内部における前記研削材と合流するように、前記混合部の内部に前記噴出孔から噴出されることが好ましい。
【0009】
(3) 上記(2)のブラスト装置においては、前記混合部は、略円筒状に形成され、一端部が前記ノズルに接続され、他端部が前記第1ホースに接続されている本体と、前記本体の外周側に設けられ、内部に環状送水路を有する環状の第1パイプ部材と、複数の前記第2パイプ部材と、を有し、前記第1パイプ部材は、前記第2ホースと接続される供給孔を有し、複数の前記第2パイプ部材それぞれの一端部は、前記混合部の側面から前記第2パイプ部材それぞれの内部が前記混合部の本体内部と連通するように、前記混合部の本体に接続されており、複数の前記第2パイプ部材それぞれの他端部は、前記第2パイプ部材それぞれの内部が前記第1パイプ部材の内部と連通するように前記第1パイプ部材に接続されており、前記送水手段により前記第2ホースを介して前記第1パイプ部材に送水された前記アルカリイオン電解水は、前記第1パイプ部材の前記環状送水路を通過しながら、複数の前記第2パイプ部材それぞれの前記送水路を通り前記チップノズルの前記噴出孔から霧化されて前記混合部の内部に噴出されることが好ましい。
【0010】
(4) 上記(1)のブラスト装置においては、前記研削材は、スチールグリットであり、前記スチールグリットを前記アルカリイオン電解水により被膜された状態で、前記噴射器により噴射させ前記被処理物に衝突させることが好ましい。
【0011】
(5) 上記(4)のブラスト装置においては、前記送水手段は、前記空気供給手段による前記噴射器への平均粒子径が0.5mm~1.0mmの前記スチールグリットの供給量5kg/min~15kg/min(好ましくは、10kg/min~15kg/min)に対して、前記アルカリイオン電解水の送水量を20cc/min~200cc/min(好ましくは、100cc/min~200cc/min)に調整することが好ましい。
【0012】
(6) 本発明の研削材用乾燥機は、略円筒状の内筒と、前記内筒の外周部に設けられた外筒と、前記内筒の内部において前記内筒の垂直方向中心軸から径方向外側に偏った位置において、前記内筒の接線方向に水分を含んだ状態の研削材を供給するように、前記内筒の接線方向に沿って前記内筒の上部側面に一端部が接続されている導入管と、前記内筒の側面に設けられた複数のスリット状の孔部と、前記内筒の下端部に接続され、脱水された前記研削材を貯留する回収室と、を備え、前記研削材を前記内筒の内面に沿って螺旋状に下降させながら脱水させ、前記研削材から分離された前記水分が前記孔部を通過して前記外筒の下端部から排出されることを特徴とするものである。
【0013】
(7) 上記(6)の研削材用乾燥機においては、前記導入管は、前記研削材とともに空気を前記内筒の内部に供給することが好ましい。
【0014】
(8) 別の観点として、上記(6)の研削材用乾燥機においては、前記内筒の上部に接続され、前記内筒の内部上方から空気を供給する供給管をさらに備えているものであってもよい。
【0015】
(9) 他の観点として、上記(6)の研削材用乾燥機においては、前記内筒は、下方にいくに従って径が徐々に小さくなるように形成されているものであってもよい。
【0016】
(10) 本発明の循環式のブラストシステムは、上記(1)~(5)のいずれかのブラスト装置と、前記ブラスト装置の前記噴射器によって前記被処理物に対して噴射して使用された研削材を回収する吸引手段と、前記吸引手段によって回収した前記研削材を前記アルカリイオン電解水を用いて洗浄する洗浄機と、前記洗浄機によって洗浄した前記研削材を乾燥させる上記(6)~(9)のいずれかの研削材用乾燥機と、を備え、前記研削材用乾燥機によって乾燥した前記研削材を前記ブラスト装置の前記貯留タンクに投入して再度噴射するブラスト処理を行うことを特徴とするものである。
【0017】
(11) 本発明のブラスト方法は、研削材と、純水を電気分解して得られるアルカリイオン電解水と、を混合する混合部を有する噴射器を用いてブラスト処理を行うブラスト方法であって、前記混合部の内部において前記研削材の表面を前記アルカリイオン電解水により被膜してブラスト材を形成し、前記ブラスト材を圧縮空気により被処理物へ噴射することを特徴とするものである。
【0018】
(12) 本発明のブラスト装置用の混合部は、液体と研削材とを少なくとも混合してなるブラスト材を被処理物へ噴射するノズルに一端部を接続可能なものであって、一端部が前記ノズルに接続され、他端部が前記研削材を供給可能な第1ホースに接続されている略円筒状の本体と、一端部が前記本体の内部と連通するように接続され、前記液体を供給する第2ホースが他端部に接続可能な管状のパイプ部材と、を備え、前記パイプ部材の前記一端部の内部には、前記混合部内に前記液体を噴出する噴出孔を有したチップノズルが設けられていることを特徴とする。
【0019】
(13)別の観点として、本発明のブラスト装置用の混合部は、液体と研削材とを少なくとも混合してなるブラスト材を被処理物へ噴射するノズルに一端部を接続可能なブラスト装置用の混合部であって、一端部が前記ノズルに接続され、他端部が前記研削材を供給可能な第1ホースに接続されている略円筒状の本体と、前記本体の外周部に設けられ、前記液体を内部に供給する第2ホースが接続可能な開口部を有した第1パイプ部材と、各一端部が前記混合部の側面に接続され、各他端部が前記第1パイプ部材に接続されている複数の第2パイプ部材と、を備えており、各前記第2パイプ部材の前記一端部の内部に、前記混合部内に前記液体を噴出する噴出孔を有したチップノズルが設けられているものであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来よりもブラスト処理における水の使用量を削減し、被処理物表面における錆の発生を抑制可能なブラスト装置およびブラスト方法を提供できる。また、本ブラスト装置において使用する研削材を乾燥可能な研削材用乾燥機、および、本ブラスト装置用の混合部を提供できる。また、本ブラスト装置および本研削材用乾燥機を含む循環式のブラストシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係るブラスト装置の概略構成図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る循環式のブラストシステムを適用したブラスト装置の概略構成図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る乾燥機の概略縦断正面図である。
図4図3に示したA-A線の矢視断面図である。
図5】本発明におけるブラスト装置の噴射器の変形例を示す図である。
図6図5の噴射器の混合部を示す図である。
図7図6に示したB-B線の矢視図である。
図8図6に示した領域IIの拡大断面図である。
図9】本発明におけるブラスト装置の噴射器の他の変形例を示す図である。
図10図9の噴射器の混合部を示す図である。
図11図10に示したC-C線の矢視図である。
図12図10に示した領域IIIにおける第2パイプ部材の内部構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るブラスト装置について図1を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すように、第1実施形態に係るブラスト装置100は、研削材1を貯留する貯留タンク2と、アルカリイオン電解水供給部10と、エアコンプレッサ3と、ブラスト材4を被処理物5へ噴射するノズル6を有する噴射器7と、を備えている。なお、噴射器7と貯留タンク2とは、ブラストホース8を介して接続されている。また、噴射器7とアルカリイオン電解水供給部10とは、送水ホース9を介して接続されている。
【0024】
貯留タンク2の上部には、研削材1を投入するための開口部20と、開口部20を覆う蓋21とが設けられている。また、貯留タンク2の下部には、研削材1と圧縮空気とを混合して噴射器7へ供給する供給部22と、研削材1を供給部22へ送り出す量を調整するバルブ23とが設けられている。また、供給部22および貯留タンク2の上部とエアコンプレッサ3とは、管路30を介して接続されている。ここで、本実施形態に係るブラスト装置100は、貯留タンク2内の研削材1が、エアコンプレッサ3から供給された圧縮空気により加圧され、管路30を介して噴射器7へ搬送される直圧式のものである。
【0025】
なお、本実施形態において、研削材1は、特に限定されるものではなく、金属系研削材、非金属系研削材などの全ての種類を用いることができる。例えば、研削材1として、スチールグリット、アルミナ、ガーネット、珪砂、フェロニッケルスラグ等を使用可能である。また、研削材1の再利用の観点から、フェロニッケルスラグなどの非金属系研削材よりも、被処理物5に衝突したときに破砕しにくい比較的高硬度のスチールグリットなどの金属系研削材を用いることが好ましい。さらに、コストの観点から、金属系研削材の中でも、比較的安価なスチールグリットを用いることがより好ましい。
【0026】
アルカリイオン電解水供給部10は、アルカリイオン電解水生成装置11と、アルカリイオン電解水を収容する容器12と、混合部40へのアルカリイオン電解水の送水量を調整可能な空気圧駆動式の送水ポンプ13と、を備えている。また、アルカリイオン電解水生成装置11と容器12とは、管路31を介して接続されている。また、容器12と送水ポンプ13とは、管路32を介して接続されている。また、送水ポンプ13とエアコンプレッサ3とは、管路33を介して接続されており、容器12内のアルカリイオン電解水は、エアコンプレッサ3から供給された圧縮空気により送水ポンプ13が作動することで、送水ホース9を介して噴射器7へ送水される。なお、送水ポンプ13は、電動式のものであってもよい。
【0027】
アルカリイオン電解水生成装置11は、通常の水道水を純水にして、電気分解によってアルカリイオン電解水を生成する装置である。また、本実施形態において、研削材1および被処理物5表面における錆の発生を抑制する観点から、アルカリイオン電解水は、pHが9~14であることが好ましい。さらに、pHが12.5~14の強アルカリイオン電解水であることがより好ましい。また、本実施形態におけるアルカリイオン電解水は、腐食の原因となる塩化ナトリウムを含まないものであることが好ましい。このようなアルカリイオン電解水と研削材1とを混合したブラスト材4を用いてブラスト処理を行うことで、研削材1および被処理物5表面における錆の原因となる酸化を防ぐことが可能である。なお、アルカリイオン電解水生成装置11としては、例えば、蔵王産業株式会社製の強アルカリイオン電解水生成機「ZKシリーズ」を用いることができる。また、原料水としての水道水は、図示しない管路を経由してアルカリイオン電解水生成装置11に供給されている。
【0028】
また、アルカリイオン電解水生成装置11は、生成したアルカリイオン電解水を管路31を通じて容器12へと供給して、容器12内のアルカリイオン電解水の量を自動制御可能なものである。例えば、容器12には、図示しないレベル計が取り付けられており、容器12内の水位が一定以上になると、その信号がアルカリイオン電解水生成装置11へと送られ、アルカリイオン電解水の生成が一時停止されることになる。また、逆に、容器12内の水位が一定以下になると、その信号がアルカリイオン電解水生成装置11へと送られ、アルカリイオン電解水の生成が開始されることになる。
【0029】
エアコンプレッサ3は、貯留タンク2および送水ポンプ13に圧縮空気を供給するものであり、例えば、電動式、エンジン式等を用いることができる。また、図示を省略するが、ブラスト装置100の起動、停止を行うための操作スイッチ等を備えている。
【0030】
噴射器7は、エアコンプレッサ3の圧縮空気により、貯留タンク2からブラストホース8を介して搬送された研削材1と、容器12から送水ホース9を介して送水されたアルカリイオン電解水と、を混合してブラスト材4を形成する混合部40と、ブラスト材4を噴射するノズル6と、を備えている。ここで、本実施形態に係るブラスト材4は、混合部40において、研削材1の表面全体にアルカリイオン電解水の膜が形成されたものである。すなわち、ブラスト材4は、研削材1がアルカリイオン電解水の膜で被膜された状態になっており、この被膜された状態でノズル6から噴射されるものである。
【0031】
次に、本実施形態に係るブラスト装置100を用いて、ブラスト処理を行う場合について説明する。なお、本実施形態において、ブラスト処理とは、ノズル6から噴射されたときからアルカリイオン電解水がまとわりついた(表面を覆った)状態になった研削材1、すなわち、アルカリイオン電解水を含んでいる状態のブラスト材4を、被処理物5の表面に衝突させて旧塗膜等を除去する処理のことである。
【0032】
まず、エアコンプレッサ3を作動させ、圧縮空気を貯留タンク2、供給部22、および送水ポンプ13に供給する。そして、貯留タンク2内の研削材1は、バルブ23により定量的に供給部22へ送り出され、供給部22で圧縮空気と混合された研削材1は、ブラストホース8を介して噴射器7の混合部40へと搬送される。また、容器12内のアルカリイオン電解水は、送水ポンプ13により加圧されて送水ホース9を介して噴射器7の混合部40へと送水される。そして、噴射器7の混合部40において、研削材1とアルカリイオン電解水とが混ざり合うことで、ブラスト材4が形成され、このブラスト材4は、圧縮空気によりノズル6から被処理物5に向けて噴射される。このとき、ブラスト材4が被処理物5の表面に衝突した後、当該衝突によって発生した熱によって地表に落下するまでにアルカリイオン電解水が蒸発し、研削材1が乾燥した状態になる。このとき、アルカリイオン電解水に覆われた研削材1が被処理物5と激しく衝突するので、被処理物5の表面の旧塗膜等が剥離、除去されることになる。
【0033】
なお、本実施形態におけるブラスト処理の圧力は、0.49MPa~1.5MPaであることが好ましく、さらに、1.0MPa~1.5MPaであることがより好ましい。また、本実施形態において、研削材1としてスチールグリットを用いる場合、例えば、湿度80%以下の施工環境下において、平均粒子径が0.5mm~1mmのスチールグリットの混合部40への供給量5kg/min~15kg/min(好ましくは、10kg/min~15kg/min)に対して、アルカリイオン電解水の混合部40への送水量は、50cc/min~200cc/min(好ましくは、100cc/min~200cc/min)であることが好ましい。
【0034】
このように本実施形態に係るブラスト装置100によれば、アルカリイオン電解水を用いることで、従来よりもブラスト処理によって露出した被処理物5表面における錆の発生を抑制することができる。また、ブラスト処理の終了後に、被処理物5の表面に汚れ等の付着物が残る場合または残留塩分がある場合は、アルカリイオン電解水のみを噴射器7から噴射して付着物の洗浄、除去または残留塩分の除去を行うことができる。
【0035】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る循環式のブラストシステムを適用したブラスト装置について図2を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上述の第1実施形態と下2桁が同じ符号の部位は、特に説明する場合を除き、第1実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。また、特に説明していない部位は、第1実施形態と同様であるので、説明および図示を省略することがある。また、第2実施形態においては、原則として、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0036】
図2に示すように、第2実施形態に係るブラスト装置200は、研削材201を貯留する貯留タンク202と、アルカリイオン電解水供給部210と、エアコンプレッサ203と、ブラスト材204を被処理物205へ噴射するノズル206を有する噴射器207と、使用済み研削材201及び剥離物や錆等を含む粉塵を回収するバキューム装置250と、バキューム装置250によって回収した研削材201をアルカリイオン電解水を用いて洗浄する洗浄機260と、洗浄機260によって洗浄した研削材201を乾燥させる乾燥機270と、を備えている。
【0037】
バキューム装置250は、吸引ホース251と、使用済み研削材201と粉塵とを分別する分別室252を有する回収タンク253と、粉塵を収容する集塵容器254と、バキュームポンプ255と、を備えている。また、分別室252と集塵容器254とは、管路234を介して接続されている。また、集塵容器254とバキュームポンプ255とは、管路235を介して接続されている。
【0038】
上記構成を有するバキューム装置250においては、バキュームポンプ255の空気吸引力によって、吸引ホース251の先端開口から使用済み研削材201および粉塵がまとめて吸引される。次に、吸引ホース251によって吸引された使用済み研削材201および粉塵は、回収タンク253の分別室252内に到達する。
【0039】
そして、比較的軽い粉塵は、分別室252内の空気流動に沿って、管路234を介して集塵容器254へ搬送される。また、比較的重い使用済み研削材201は、分別室252内の空気流動に沿うことなく、回収タンク253に貯留される。また、回収タンク253の下部には、取出口256が設けられており、使用済み研削材201を取り出し可能となっている。
【0040】
洗浄機260は、バキューム装置250の回収タンク253の取出口256から取り出された使用済み研削材201を、アルカリイオン電解水を用いて洗浄することで、使用済み研削材201に付着した汚れ、有害物質などを除去するものである。なお、洗浄機260の洗浄方式は、特に限定されるものではなく、例えば、使用済み研削材201をタンク内に所定量貯留して、アルカリイオン電解水を噴射させて洗浄する方式でもよいし、アルカリイオン電解水を溜めたタンク内に使用済み研削材201を所定量投入し撹拌することにより洗浄する方式であってもよい。また、洗浄機260に用いるアルカリイオン電解水は、上記第1実施形態と同様のアルカリイオン電解水生成装置(図示略)により供給されるものである。
【0041】
乾燥機270は、洗浄機260によって洗浄されてアルカリイオン電解水を含んだ状態の研削材201を、サイクロンの原理を利用して乾燥させるものである。図3に示すように、乾燥機270は、下方にいくに従って径が徐々に小さくなっている円筒状の外筒271と、外筒271の内部に設けられ、下方にいくに従って径が徐々に小さくなっている円筒状の内筒272と、内筒272の上部側面に接続された導入管273と、内筒272の下端部に排出口274を介して接続された回収室275と、を備えている。また、図4に示すように、導入管273は、内筒272の垂直方向中心軸から径方向外側に偏った位置に研削材201を供給するように接続されている。また、内筒272の側面には、スリット状の孔部276が多数設けられており、内筒272はこの孔部276を介して外筒271と連通している。なお、孔部276の大きさは、研削材201の大きさよりも小さくなっており、研削材201が孔部276を通過不可能となっている。また、外筒271の下端部には、排水口277が設けられている。また、内筒272の上部には、図示しない温風発生手段により発生させた
空気(好ましくは、除湿器(図示せず)によって生成された乾燥空気、温風発生手段(図示せず)によって生成された温風、または、温風発生手段(図示せず)によって生成された乾燥した温風)を供給する供給管278が設けられている。なお、一変形例として、内筒272は、ヒーターなどの熱発生手段(図示しない)などで温められているものであってもよい。
【0042】
上記構成を有する乾燥機270において、図示しないポンプによって導入管273を経由して洗浄後の研削材201が空気とともに導入された場合、導入管273が内筒272の垂直方向中心軸から径方向外側に偏った位置で接続されているため、比較的重い研削材201は、遠心力を受けて内筒272の内面に沿って螺旋状に下降するようになる。この下降途中において、研削材201から水分が分離し、分離した水分のみが孔部276を通過して、内筒272との外筒271との空間内を下降するようになる。そして、研削材201は、このように脱水しながら、内筒272の内面に沿って螺旋状に下降し、排出口274を介して回収室275に貯留される。また、回収室275には、図示しない取出口が設けられており、脱水した研削材201を取り出し可能となっている。また、研削材201から分離した水分は、内筒272との外筒271との空間内を下降して、排水口277を介して外部へ排水される。なお、導入管273によって、乾燥が十分な空気が供給されている場合は、内筒272からの空気の供給はなくてもよい。
【0043】
以上より、第2実施形態に係るブラスト装置200において、上記第1実施形態と同様のブラスト処理を行った場合、使用済み研削材201をバキューム装置250によって容易に回収タンク253に回収することができる。そして、回収タンク253の取出口256から取り出された使用済み研削材201を、洗浄機260でアルカリイオン電解水を用いて洗浄し、乾燥機270で乾燥させて、貯留タンク202に投入することで、再噴射可能な状態にすることができる。したがって、ブラスト装置200によれば、アルカリイオン電解水を用いることで、従来よりも被処理物205表面における錆の発生を抑制することができる。また、使用済み研削材201を、洗浄機260でアルカリイオン電解水を用いて洗浄し、乾燥機270で乾燥させることで、研削材201に付着した汚れ、有害物質などを除去することができ、被処理物205表面への汚れ、有害物質などの付着をほぼ無くすことができる。また、ブラスト装置200によれば、従来よりも研削材201の再利用回数を向上させることができ、産業廃棄物量の削減も可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。例えば、本発明のブラスト装置は、以下のような湿式ブラスト処理を行うことも可能である。
【0045】
(第1変形例)
本発明の第1変形例に係るブラスト装置を用いた湿式のブラスト処理は、従来のモイスチュアブラスト処理に比べて使用水量を削減した、水霧状態でブラスト処理を行うように構成したものであってもよい。以下、具体的に説明する。なお、第1変形例においては、原則として、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
第1変形例に係るブラスト装置においては、噴射器によりブラスト材を被処理物へ噴射する際、送水ポンプによって混合部へのアルカリイオン電解水の送水量を調整することで、研削材がアルカリイオン電解水により被膜された状態でノズルから噴射されるとともに霧状のアルカリイオン電解水がノズルから噴射され、アルカリイオン電解水により被膜された研削材および霧状のアルカリイオン電解水が被処理物の表面に衝突する点で、上記第1実施形態のブラスト装置100と異なっている。
【0047】
第1変形例に係るブラスト装置を用いた水霧状態のブラスト処理において、ブラスト材が被処理物の表面に衝突する際、霧状のアルカリイオン電解水が被処理物の表面に吹き付けられるとともに研削材の表面全体を覆っているアルカリイオン電解水が被処理物の表面に吹き付けられる。その後、研削材が被処理物の表面に衝突することで、旧塗膜等が剥離、除去されることになる。また、剥離した旧塗膜等は、霧状のアルカリイオン電解水により包まれて被処理物の足場に落下するので、粉塵の発生を抑制することができる。
【0048】
また、被処理物の表面においては、アルカリイオン電解水が吹き付けられることで、酸化を防ぎ錆の発生を抑制することができる。また、ノズルから噴射される霧状のアルカリイオン電解水は、従来のモイスチュアブラスト処理に比べて少量のため、被処理物の表面から足場に落下する量を抑えることができ、排水処理を容易に行うことができる。したがって、容易に研削材および旧塗膜等の除去対象物を回収可能となる。
【0049】
なお、第1変形例において、研削材および被処理物表面における錆の発生を抑制する観点から、アルカリイオン電解水は、塩化ナトリウムが含まれない、pHが12.5~14の強アルカリイオン電解水であることが好ましい。また、第1変形例において、研削材は、特に限定されるものではなく、金属系研削材、非金属系研削材などの全ての種類を用いることができる。例えば、研削材として、スチールグリット、アルミナ、ガーネット、珪砂、フェロニッケルスラグ等を使用可能である。また、研削材の再利用の観点から、フェロニッケルスラグなどの非金属系研削材よりも、被処理物に衝突したときに破砕しにくい比較的高硬度のスチールグリットなどの金属系研削材を用いることが好ましい。さらに、コストの観点から、金属系研削材の中でも、比較的安価なスチールグリットを用いることがより好ましい。なお、第1変形例において、研削材としてスチールグリットのような鉄系研削材を用いた場合、鉄系研削材自体における錆の発生を抑制することができる。
【0050】
また、第1変形例において、アルカリイオン電解水は、噴射器の混合部の内部へ研削材が供給される圧力よりも、高い圧力で送水ポンプにより加圧されて混合部の内部へと供給されることが好ましい。また、第1変形例において、研削材としてスチールグリットを用いる場合、例えば、湿度80%以下の施工環境下において、平均粒子径が0.5mm~1mmのスチールグリットの混合部への供給量5kg/min~15kg/min(好ましくは、10kg/min~15kg/min)に対して、アルカリイオン電解水の混合部への送水量は、20cc/min~200cc/min(好ましくは、100cc/min~200cc/min)であることが好ましい。また、第1変形例における湿式のブラスト処理の圧力は、0.49MPa~1.5MPaであることが好ましく、さらに、1.0MPa~1.5MPaであることがより好ましい。
【0051】
第1変形例に係るブラスト装置を用いた水霧状態のブラスト処理によれば、アルカリイオン電解水を用いることで、従来よりもブラスト処理中に発生する粉塵を低減させ、被処理物表面における錆の発生を抑制することができる。また、排水処理を容易に行うことができ、1回の施工で塗装工程に移行することができる。なお、第1変形例に係る水霧状態のブラスト処理を行う場合においても、上記第2実施形態の循環式のブラストシステムを適用可能である。
【0052】
(第2変形例)
また、湿式ブラスト処理の一例として、第2変形例に係るブラスト装置は、送水ポンプによるアルカリイオン電解水の送水量を上記第1変形例よりも増加させることで、アルカリイオン電解水により被膜された研削材とともに多量のアルカリイオン電解水を被処理物の表面に吹き付ける湿式エアーブラスト処理を行うように構成したものであってもよい。
【0053】
第2変形例に係るブラスト装置を用いた湿式エアーブラスト処理においては、上記第1変形例と同様に、アルカリイオン電解水により被膜された研削材が被処理物の表面に衝突することで、旧塗膜等が剥離、除去されることになる。また、剥離した旧塗膜等は、多量のアルカリイオン電解水により包まれて被処理物の足場に落下するので、粉塵の発生を抑制することができる。
【0054】
なお、第2変形例において、研削材および被処理物表面における錆の発生を抑制する観点から、アルカリイオン電解水は、塩化ナトリウムが含まれない、pHが12.5~14の強アルカリイオン電解水であることが好ましい。また、第2変形例において、研削材は、特に限定されるものではなく、金属系研削材、非金属系研削材などの全ての種類を用いることができる。例えば、研削材として、スチールグリット、アルミナ、ガーネット、珪砂、フェロニッケルスラグ等を使用可能である。また、研削材の再利用の観点から、フェロニッケルスラグなどの非金属系研削材よりも、被処理物に衝突したときに破砕しにくい比較的高硬度のスチールグリットなどの金属系研削材を用いることが好ましい。さらに、コストの観点から、金属系研削材の中でも、比較的安価なスチールグリットを用いることがより好ましい。
【0055】
また、第2変形例において、研削材としてスチールグリットを用いる場合、例えば、湿度80%以下の施工環境下において、平均粒子径が0.5mm~1mmのスチールグリットの混合部への供給量5kg/min~15kg/min(好ましくは、10kg/min~15kg/min)に対して、アルカリイオン電解水の混合部への送水量は、450cc/min以上であることが好ましい。また、第2変形例における湿式エアーブラスト処理の圧力は、0.49MPa~1.5MPaであることが好ましく、さらに、1.0MPa~1.5MPaであることがより好ましい。
【0056】
第2変形例に係るブラスト装置を用いた湿式エアーブラスト処理によれば、多量のアルカリイオン電解水が被処理物の表面から足場に垂れ落ちるため、排水処理を行う必要があるものの、湿式エアーブラスト処理中に発生する粉塵を低減させ、被処理物表面における錆の発生を抑制することができる。なお、第2変形例に係る湿式エアーブラスト処理を行う場合においても、上記第2実施形態の循環式のブラストシステムを適用可能である。
【0057】
以上のように、本発明によれば、作業者は、例えば、研削材の種類、研削材の粒径、施工現場環境、所望する効果などに応じて、アルカリイオン電解水の送水量を適宜調整することで、上記第1実施形態のブラスト処理、上記第1変形例の水霧状態のブラスト処理、または上記第2変形例の湿式エアーブラスト処理のいずれかのブラスト処理を選択して行うことができる。また、本発明のブラスト装置を用いて湿式エアーブラスト処理を行った後、所定期間経過して被処理物の表面に戻り錆などが発生し、乾式エアーブラスト処理が必要になった場合においては、本発明のブラスト装置におけるアルカリイオン電解水の送水を停止することで、容易に乾式エアーブラスト処理を行って戻り錆などを除去することができる。
【0058】
また、上記各実施形態および各変形例において、ブラスト装置は、図5に示した噴射器を備えていてもよい。以下、具体的に説明する。なお、以下の噴射器の変形例において、上述の第1実施形態と下2桁が同じ符号の部位は、特に説明する場合を除き、第1実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。また、特に説明していない部位は、第1実施形態と同様であるので、説明および図示を省略することがある。
【0059】
図5に示すように、噴射器307は、研削材(図示略)とアルカリイオン電解水とを混合する略円筒状の混合部340と、混合部340の一端側に接続された略円筒状のノズル306と、混合部340の他端側に接続された略円筒状のノズルホルダー341と、を備えている。なお、ノズルホルダー341は、ブラストホース308を介して研削材を貯留する貯留タンク(図示略)と接続されており、エアコンプレッサ(図示略)の作動により、研削材が圧縮空気とともに混合部340の内部へ供給されるようになっている。
【0060】
図5および図6に示すように、混合部340の一端側の内周面には、雌ねじ部342が形成されており、この雌ねじ部342にノズル306の外周面に形成された雄ねじ部(図示略)がねじ込まれることで、ノズル306は混合部340に取り付けられている。また、混合部340の他端側の外周面には、雄ねじ部343が形成されており、この雄ねじ部343がノズルホルダー341の内周面に形成された雌ねじ部(図示略)にねじ込まれることで、混合部340はノズルホルダー341に取り付けられている。
【0061】
また、図6に示すように、混合部340内面の耐摩耗性を向上させるために、略円筒状のウレタン部材344が混合部340の内部に挿入されている。なお、ウレタン部材344は、混合部340内面を覆う筒状部345と、筒状部345の一端側の開口縁部に設けられたフランジ部346と、を有している。また、ウレタン部材344のフランジ部346は、混合部340の他端側の開口縁部に当接するようになっている。また、ウレタン部材344の側面(筒状部345)において、後述する管状の第2パイプ部材381の内部のチップノズル390に対向する位置に、アルカリイオン電解水が通過可能な貫通孔347(図8参照)が設けられている。なお、ウレタン部材344は、混合部340から取り外して交換可能なものである。
【0062】
また、混合部340は、ノズルホルダー341側の外周部に設けられた環状の第1パイプ部材380と、一端部が混合部340の側面に接続され、他端部が第1パイプ部材380の一端面に接続された複数(本変形例では3本)の第2パイプ部材381と、を備えている。また、第1パイプ部材380の他端面に設けられた第2供給孔387(図7参照)には、図5に示すように、連結管382を介して送水ホース309が接続されており、送水ポンプ(図示略)の作動により、アルカリイオン電解水が第1パイプ部材380、第2パイプ部材381を順に経由して混合部340の内部へ供給されるようになっている。なお、混合部340、第1パイプ部材380、第2パイプ部材381、および連結管382は、ステンレス製のものである。また、連結管382には、開閉弁383および流量調整弁384が設けられており、アルカリイオン電解水の供給ないし停止およびその供給量を微調整することが可能となっている。
【0063】
次に、第1パイプ部材380および第2パイプ部材381について、図7および図8を参照して詳細に説明する。なお、図7は、図6の矢印B方向から混合部340を見た場合の図であって、簡便のため、ウレタン部材344の図示を省略している。また、図8は、図6に示した領域IIに対応した混合部340および第2パイプ部材381の拡大断面図である。
【0064】
第1パイプ部材380は、図7に示すように、内部に環状送水路である第1送水路385を有している。また、第1パイプ部材380の一端面には、第1パイプ部材380の周方向に第1供給孔386が3つ設けられており、この第1供給孔386に3本の第2パイプ部材381それぞれの他端部が接続されている。なお、第1供給孔386を介して第1送水路385と後述する第2パイプ部材381内の第2送水路388とが連通されている。また、第1パイプ部材380の他端面には、第2供給孔387が設けられており、この第2供給孔387に連結管382が接続されている。なお、この第2供給孔387を介して第1送水路385と連結管382の内部とが連通されている。ここで、第1供給孔386は、等間隔をおいて第1パイプ部材380の周方向に設けられていることが好ましい。
【0065】
図7および図8に示すように、3本の第2パイプ部材381それぞれの一端部は、混合部340の本体340Aの側面に、混合部340の本体340Aの周方向に並ぶように、接続されている。また、3本の第2パイプ部材381それぞれの他端部は、第1パイプ部材380の3つの第1供給孔386に接続されている。また、3本の第2パイプ部材381それぞれは、内部に混合部340の長手軸方向に沿って延びる第2送水路388を有し、この第2送水路388は、混合部340の本体340A内部の空間と連通している。
【0066】
また、3本の第2パイプ部材381それぞれの一端部の内部には、噴出孔391を有するチップノズル390が、混合部340の本体340Aの長手軸方向に対し傾斜させて設けられている。また、チップノズル390からのアルカリイオン電解水の噴出速度(特に研削材の流れ方向に沿った成分の速度)を研削材と同様の速度にすることにより、研削材の流れを阻害しないようにする(抵抗を少なくする)ことができるとともに、表面張力によってアルカリイオン電解水を研削材にまとわりつきやすくすることができる。なお、チップノズル390は、アルカリイオン電解水と反応しない材質のものであればどのような材料からなるものでもよく、たとえば、ステンレス製の他、アルカリイオン電解水と反応しない金属または合金からなるもの、もしくは、アルカリイオン電解水と反応しない樹脂からなるものなどであり、図8に示すように、チップノズル390の外周面には、雄ねじ部393が形成されている。この雄ねじ部393が、第2パイプ部材381の一端部の内周面に形成された雌ねじ部392にねじ込まれることで、チップノズル390は第2パイプ部材381に対して固定されている。また、チップノズル390は、噴出孔391が混合部340の本体340A内部に突出しないように、第2パイプ部材381の一端部の内部に設けられている。すなわち、チップノズル390は、混合部340の本体340A内部における研削材の流れの影響を受けないようになっている。
【0067】
また、図8に示すように、チップノズル390は、内部に噴出通路394が形成されており、この噴出通路394を介して第2送水路388と噴出孔391とが連通されている。また、チップノズル390の噴出通路394は、第2送水路388側から噴出孔391側にかけて、径が徐々に小さくなっている。すなわち、チップノズル390は、第1送水路385、第2送水路388を順に経由して噴出通路394に供給されたアルカリイオン電解水を、霧化して混合部340の本体340A内部に噴出孔391から噴出可能なものである。また、噴出孔391から噴出された霧状のアルカリイオン電解水は、混合部340の本体340A内部における研削材の流れに沿って合流するようになる。
【0068】
次に、上記構成を有する噴射器307において、混合部340の本体340A内部へ研削材およびアルカリイオン電解水が供給される場合について説明する。まず、送水ポンプの作動により、送水ホース309および連結管382を介して第1パイプ部材380に供給されたアルカリイオン電解水は、第1パイプ部材380の内部の環状の第1送水路385を旋回しながら、3本の第2パイプ部材381それぞれの内部の第2送水路388を通りチップノズル390の噴出通路394に供給される。そして、アルカリイオン電解水は、3本の第2パイプ部材381それぞれのチップノズル390の噴出孔391から、霧化されて混合部340の本体340A内部に均等に噴出される。
【0069】
そして、噴出孔391から噴出された霧状のアルカリイオン電解水と、エアコンプレッサの作動により圧縮空気とともに混合部340の本体340A内部へ供給された研削材とが、混合部340の本体340A内部において混合され、研削材の表面全体にアルカリイオン電解水の膜が形成されることになる。そして、アルカリイオン電解水により被膜された研削材は、霧状のアルカリイオン電解水とともに、ノズル306の先端開口から被処理物に向けて噴射される。
【0070】
したがって、噴射器307を用いたブラスト処理によれば、上記第1変形例と同様に、ブラスト処理中に発生する粉塵を低減させ、被処理物表面における錆の発生を抑制することができる。また、噴射器307の混合部340の本体340A内部において、3本の第2パイプ部材381それぞれのチップノズル390の噴出孔391から、霧状のアルカリイオン電解水が均等に噴出されることで、効率的に研削材をアルカリイオン電解水の膜で被膜させることができ、従来よりもアルカリイオン電解水の使用量を削減することができる。また、連結管382の開閉弁383を閉じて、混合部340へのアルカリイオン電解水の供給を停止することで、容易に乾式エアーブラスト処理を行うことができる。
【0071】
なお、本変形例の噴射器307において、混合部340は、3本の第2パイプ部材381を備えている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2パイプ部材381の本数は、2本であってもよいし、4本以上であってもよい。また、本変形例の噴射器307の混合部340において、3本の第2パイプ部材381それぞれの一端部の内部に、チップノズル390が、混合部340の長手軸方向(研削材の流れ方向)に対し傾斜させて設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、チップノズル390が、3本の第2パイプ部材381それぞれの一端部の内部に、混合部340の長手軸方向(研削材の流れ方向)に対し垂直に設けられていてもよい。また、本変形例の噴射器307において、混合部340は、環状の第1パイプ部材380を用いずに、内部にアルカリイオン電解水を霧化するためのチップノズル390を有する少なくとも1本の第2パイプ部材381、を備えるものであってもよい。このとき、直接、第2パイプ部材381に連結管382を介して送水ホース309を接続してもよい。
【0072】
また、上記各実施形態および各変形例において、ブラスト装置は、図9に示した噴射器を備えていてもよい。以下、具体的に説明する。なお、以下の噴射器の変形例において、上述の第1実施形態と下2桁が同じ符号の部位は、特に説明する場合を除き、第1実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。また、特に説明していない部位は、第1実施形態と同様であるので、説明および図示を省略することがある。
【0073】
図9に示すように、噴射器407は、研削材(図示略)とアルカリイオン電解水とを混合する大径筒部440Aおよび小径筒部440Bを有する混合部440と、大径筒部440Aの一端部側に接続された略円筒状のノズル406と、小径筒部440Bの他端部側に接続された略円筒状のノズルホルダー441と、を備えている。なお、混合部440は、大径筒部440Aの他端部が、小径筒部440Bの一端部に接続されるように形成されている。また、ノズルホルダー441は、ブラストホース408を介して研削材を貯留する貯留タンク(図示略)と接続されており、エアコンプレッサ(図示略)の作動により、研削材が圧縮空気とともに混合部440の大径筒部440Aおよび小径筒部440Bの内部へ供給されるようになっている。
【0074】
図9および図10に示すように、混合部440の大径筒部440Aの一端部側の内周面には、雌ねじ部442が形成されており、この雌ねじ部442にノズル406の外周面に形成された雄ねじ部(図示略)がねじ込まれることで、ノズル406は大径筒部440Aに取り付けられている。また、混合部440の小径筒部440Bの他端部側の外周面には、雄ねじ部443が形成されており、この雄ねじ部443がノズルホルダー441の内周面に形成された雌ねじ部(図示略)にねじ込まれることで、小径筒部440Bはノズルホルダー441に取り付けられている。
【0075】
また、図10に示すように、小径筒部440B内面の耐摩耗性を向上させるために、略円筒状のウレタン部材444が小径筒部440Bの内部に挿入されている。また、ウレタン部材444の側面において、後述する第2パイプ部材481a、481bの内部の第1チップノズル471に対向する位置に、アルカリイオン電解水が通過可能な貫通孔447(図12参照)が設けられている。なお、ウレタン部材444は、小径筒部440Bから取り外して交換可能なものである。
【0076】
また、図10および図11に示すように、混合部440は、小径筒部440Bの外周部に設けられた第1パイプ部材480と、一端部が小径筒部440Bの側面に接続され、上面が第1パイプ部材480の下端部480a、480bに接続された第2パイプ部材481a、481bと、を備えている。なお、第2パイプ部材481a、481bの他端部は、後述するキャップ464および押えボルト465によって閉塞されている。
【0077】
また、第1パイプ部材480の一端面に設けられた第2供給孔487(図11参照)には、図9に示すように、第1連結管461および第2連結管462を介して送水ホース409が接続されており、送水ポンプ(図示略)の作動により、アルカリイオン電解水が第1パイプ部材480、第2パイプ部材481a、481bを順に経由して小径筒部440Bおよび大径筒部440Aの内部へ供給されるようになっている。また、第1連結管461の内部には、アルカリイオン電解水中の微小な異物を除去するためのメッシュ状のフィルター463が設けられている。また、第2連結管462には、小径筒部440Bおよび大径筒部440Aの内部へのアルカリイオン電解水の供給または停止を行うための開閉弁483が設けられている。
【0078】
図11に示すように、第1パイプ部材480は、略逆U字状に形成され、内部に第1送水路485を有している。また、第1パイプ部材480の下端部480a、480bは、後述する第2パイプ部材481a、481bの第1供給孔486a、486bに接続されている。なお、この第1供給孔486a、486bを介して第1送水路485と後述する第2パイプ部材481a、481bの第2送水路488a、488bとが連通されている。また、第1パイプ部材480の一端面には、第2供給孔487が設けられており、この第2供給孔487に第1連結管461が接続されている。なお、この第2供給孔487を介して第1送水路485と第1連結管461の内部とが連通されている。
【0079】
第2パイプ部材481a、481bのそれぞれは、図9および図10に示すように、混合部440の長手軸方向(研削材の流れ方向)に対して、ノズルホルダー441が接続する小径筒部440Bの他端部側に傾斜するように、小径筒部440Bの側面に設けられている。また、図11に示すように、第2パイプ部材481a、481bそれぞれの一端部は、小径筒部440Bの周方向に所定間隔をおいて、小径筒部440Bの側面に接続されている。すなわち、本変形例では、第2パイプ部材481aの一端部は、第2パイプ部材481bの一端部に対向するように小径筒部440Bの側面に設けられている。
【0080】
また、図11に示すように、第2パイプ部材481aの上面には、第1供給孔486aが設けられており、この第1供給孔486aに第1パイプ部材480の下端部480aが接続されている。また、第2パイプ部材481bの上面には、第1供給孔486bが設けられており、この第1供給孔486bに第1パイプ部材480の下端部480bが接続されている。また、第2パイプ部材481aは、内部に第2送水路488aを有している。また、第2パイプ部材481bは、内部に第2送水路488bを有している。なお、第2送水路488a、488bそれぞれは、小径筒部440B内部の空間と連通している。
【0081】
次に、第2パイプ部材481aの内部構造について、図12を参照して詳細に説明する。図12は、図10に示した領域IIIにおける第2パイプ部材481aの内部構造を示す断面図である。なお、第2パイプ部材481bの内部構造については、第2パイプ部材481aと同様であるため、その説明を省略する。
【0082】
図12に示すように、第2パイプ部材481aの内部には、小径筒部440Bの側面に接続する一端部側から順に環状パッキン466、第1チップノズル471、第2チップノズル472、コイルスプリング467、シャフト468が設けられている。また、小径筒部440Bの他端部には、キャップ464が螺着されている。なお、キャップ464の中央には、雌ねじ部が形成された軸穴464aが設けられており、この軸穴464aに、外周面に雄ねじ部が形成された押えボルト465がねじ込まれることで、シャフト468およびコイルスプリング467を介して第1チップノズル471および第2チップノズル472が、第2パイプ部材481aの一端部側に押え付けられて固定されている。また、環状パッキン466が、第2パイプ部材481aの一端部の内部に設けられている係止部469に当接することで、第1チップノズル471および第2チップノズル472が小径筒部440Bの内部に突出しないようになっている。すなわち、第2パイプ部材481aの一端部側の内部に、第1チップノズル471および第2チップノズル472が、混合部440の長手軸方向(研削材の流れ方向)に対し傾斜させて設けられていることにより、後述する第1チップノズル471の第1噴出孔474から噴出された霧状のアルカリイオン電解水は、小径筒部440Bの内部における研削材の流れに沿って合流し易くなっている。また、第1チップノズル471および第2チップノズル472は、小径筒部440Bの内部における研削材の流れの影響を受けないようになっている。
【0083】
また、図12に示すように、第1チップノズル471は、円盤形状に形成され、第1流入孔473と第1噴出孔474とを有している。また、第1チップノズル471は、内部に第1噴出通路475が形成されている。また、第2チップノズル472は、2段の円盤形状に形成され、第2流入孔476と第2噴出孔477とを有している。また、第2チップノズル472は、内部に第2噴出通路478が形成されている。なお、第1チップノズル471の第1流入孔473および第1噴出孔474の各中心軸と、第2チップノズル472の第2流入孔476および第2噴出孔477の各中心軸とが一致するように、第1チップノズル471および第2チップノズル472は、第2パイプ部材481aの内部に配置されている。
【0084】
また、第1チップノズル471および第2チップノズル472は、第2送水路488aに供給されたアルカリイオン電解水を、霧化して小径筒部440Bの内部に噴出可能なものである。また、第1チップノズル471の第1噴出孔474から噴出されるアルカリイオン電解水の噴出速度(特に研削材の流れ方向に沿った成分の速度)を研削材と同様の速度にすることにより、研削材の流れを阻害しないようにする(抵抗を少なくする)ことができるとともに、表面張力によってアルカリイオン電解水を研削材にまとわりつきやすくすることができる。なお、第1チップノズル471および第2チップノズル472は、アルカリイオン電解水と反応しない材質のものであればどのような材料からなるものでもよく、たとえば、ステンレス製の他、アルカリイオン電解水と反応しない金属または合金からなるもの、もしくは、アルカリイオン電解水と反応しない樹脂からなるものなどである。
【0085】
次に、上記構成を有する噴射器407において、混合部440の大径筒部440Aおよび小径筒部440Bの内部へ研削材およびアルカリイオン電解水が供給される場合について説明する。まず、送水ポンプの作動により、送水ホース409、第2連結管462および第1連結管461を介して第1パイプ部材480に供給されたアルカリイオン電解水は、第1パイプ部材480の内部の第1送水路485を通り、第1供給孔486a、486bを介して第2パイプ部材481a、481bそれぞれの内部の第2送水路488a、488bに供給される。次に、アルカリイオン電解水は、第2パイプ部材481a、481bそれぞれの第2チップノズル472の第2流入孔476から第2噴出通路478に流入し、第2チップノズル472の第2噴出孔477および第1チップノズル471の第1流入孔473を介して、第1噴出通路475に供給される。そして、アルカリイオン電解水は、第2パイプ部材481a、481bそれぞれの第1チップノズル471の第1噴出孔474から、霧化されて小径筒部440Bの内部に噴出される。
【0086】
そして、第2パイプ部材481a、481bそれぞれの第1チップノズル471の第1噴出孔474から噴出された霧状のアルカリイオン電解水と、エアコンプレッサの作動により圧縮空気とともに小径筒部440Bおよび大径筒部440Aの内部へ供給された研削材とが、小径筒部440Bおよび大径筒部440Aの内部において混合され、研削材の表面全体にアルカリイオン電解水の膜が形成されることになる。そして、アルカリイオン電解水により被膜された研削材は、霧状のアルカリイオン電解水とともに、ノズル406の先端開口から被処理物に向けて噴射される。
【0087】
したがって、噴射器407を用いたブラスト処理によれば、上記第1変形例と同様に、ブラスト処理中に発生する粉塵を低減させ、被処理物表面における錆の発生を抑制することができる。また、噴射器407の混合部440の小径筒部440Bの内部において、互いに対向する第2パイプ部材481a、481bの第1チップノズル471の第1噴出孔474から、霧状のアルカリイオン電解水が噴出されることで、効率的に研削材をアルカリイオン電解水の膜で被膜させることができ、従来よりもアルカリイオン電解水の使用量を削減することができる。また、第2連結管462の開閉弁483を閉じて、混合部440へのアルカリイオン電解水の供給を停止することで、容易に乾式エアーブラスト処理を行うことができる。
【0088】
なお、本変形例の噴射器407において、混合部440は、2本の第2パイプ部材481a、481bを備えている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第2パイプ部材の本数は、3本であってもよいし、4本以上であってもよい。また、本変形例の噴射器407の混合部440において、第2パイプ部材481a、481bそれぞれの一端部側の内部に、第1チップノズル471および第2チップノズル472が、混合部440の長手軸方向(研削材の流れ方向)に対し傾斜させて設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1チップノズルおよび第2チップノズルが、第2パイプ部材の一端部側の内部に、混合部の長手軸方向(研削材の流れ方向)に対し垂直に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1、201 研削材
2、202 貯留タンク
3、203 エアコンプレッサ
4、204 ブラスト材
5、205 被処理物
6、206、306、406 ノズル
7、207、307、407 噴射器
8、208、308、408 ブラストホース
9、209、309、409 送水ホース
10、210 アルカリイオン電解水供給部
11 アルカリイオン電解水生成装置
12 容器
13 送水ポンプ
20、220 開口部
21、221 蓋
22、222 供給部
23、223 バルブ
30、31、32、33、230、233、234、235 管路
40、240、340、440 混合部
100、200 ブラスト装置
250 バキューム装置
251 吸引ホース
252 分別室
253 回収タンク
254 集塵容器
255 バキュームポンプ
256 取出口
260 洗浄機
270 乾燥機
271 外筒
272 内筒
273 導入管
274 排出口
275 回収室
276 孔部
277 排水口
278 供給管
340A 本体
341、441 ノズルホルダー
342、392、442 雌ねじ部
343、393、443 雄ねじ部
344、444 ウレタン部材
345 筒状部
346 フランジ部
347 貫通孔
380、480 第1パイプ部材
381、481a、481b 第2パイプ部材
382 連結管
383、483 開閉弁
384 流量調整弁
385、485 第1送水路
386、486a、486b 第1供給孔
387、487 第2供給孔
388、488a、488b 第2送水路
390 チップノズル
391 噴出孔
394 噴出通路
440A 大径筒部
440B 小径筒部
461 第1連結管
462 第2連結管
463 フィルター
464 キャップ
464a 軸穴
465 押えボルト
466 環状パッキン
467 コイルスプリング
468 シャフト
469 係止部
471 第1チップノズル
472 第2チップノズル
473 第1流入孔
474 第1噴出孔
475 第1噴出通路
476 第2流入孔
477 第2噴出孔
478 第2噴出通路
480a、480b 下端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12