(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035142
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置、キット、使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137376
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】202211061264.9
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202222342125.5
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519292811
【氏名又は名称】オーバスネイチ・メディカル(シェンゼン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ドン, ユエンリー
(72)【発明者】
【氏名】グオ, リシア
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ, ユンドゥ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD09
4C097DD10
4C097SB09
(57)【要約】
【課題】人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置、キット、使用方法を提供する。
【解決手段】人工心臓弁膜ステントをアンカーするために曲げて囲まれた後に閉ループを形成する記憶金属ワイヤを含み、閉ループは、径方向に拡張力を形成し周方向に拘束力を形成し心臓弁膜と隣接する血管壁との間にアンカー装置をアンカーさせるクランプ部と、クランプ部の数に対応しクランプ部と交互に設けられ隣接するクランプ部を遷移して接続する接続部とを含み、クランプ部の曲線は少なくとも1つのクランプ端を含み、取付け状態で、クランプ端は、径方向の拡張角を有する第1の拡張セグメントと、第1の拡張セグメントの両端から延びた第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとを含み、第1の支持セグメントと第2の支持セグメントの少なくとも一部は血管壁と弁膜壁に当接し、第1の拡張セグメントは血管壁と弁膜壁の接続部分に当接する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置であって、
人工心臓弁膜ステントをアンカーするために曲げて囲まれた後に閉ループを形成する記憶金属ワイヤを含み、前記閉ループは、
径方向に拡張力を形成し、周方向に拘束力を形成して、心臓弁膜と隣接する血管壁との間にアンカー装置をアンカーさせるための少なくとも2つのクランプ部と、
クランプ部の数に対応し、前記クランプ部と交互に設けられ、隣接するクランプ部を遷移して接続するための接続部とを含み、
前記クランプ部の曲線は、少なくとも1つのクランプ端を含み、取付け状態で、前記クランプ端は、
径方向の拡張角を有する第1の拡張セグメントと、
前記第1の拡張セグメントの両端から延びた第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとを含み、前記第1の支持セグメントと第2の支持セグメントの少なくとも一部は血管壁と弁膜壁に当接し、前記第1の拡張セグメントは血管壁と弁膜壁の接続部分に当接することを特徴とする人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項2】
前記接続部は、2つの隣接するクランプ部の間に介在する曲線セグメントであり、前記接続部の中部には、前記アンカー装置を操作する器械に結合され、解放されるための結合口が設置されることを特徴とする請求項1に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項3】
前記アンカー装置をアンカー位置に置くと、前記第2の支持セグメントは、少なくとも1つの血管壁に連続的に接触する部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項4】
前記アンカー装置をアンカー位置に置くと、前記第2の支持セグメントは、血管壁にマルチポイント接触を形成することを特徴とする請求項1に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項5】
前記アンカー装置をアンカー位置に置くと、前記第1の支持セグメントは、少なくとも1つの心臓弁膜に連続的に接触する部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項6】
前記アンカー装置をアンカー位置に置くと、前記第1の支持セグメントは心臓弁膜と接触してマルチポイント接触を形成することを特徴とする請求項1に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項7】
前記クランプ端は、第2の径方向の拡張角を有する第2の拡張セグメントをさらに含み、前記第2の拡張セグメントと前記第1の拡張セグメントとは第2の支持セグメントによって接続され、前記第2の拡張セグメントの他端は、第3の支持セグメントから延びることを特徴とする請求項1に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項8】
前記第2の拡張セグメントは第1の拡張セグメントと回転対称であることを特徴とする請求項7に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項9】
前記第1の拡張セグメント及び/又は第2の拡張セグメントは、略V字状又はU字状であることを特徴とする請求項8に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項10】
第1の拡張セグメントと第2の拡張セグメントを接続する第2の支持セグメントは、血管壁及び/又は心臓弁膜との接触を形成することを特徴とする請求項7に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項11】
前記アンカー装置をアンカー位置に置くと、前記第3の支持セグメントは、血管壁と連続部分の接触又はマルチポイント接触を形成することを特徴とする請求項7に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項12】
前記クランプ部は、2つの略対称なクランプ端を含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項13】
前記2つのクランプ端は、周方向に沿って設置される曲線セグメントである第4の支持セグメントによって接続されることを特徴とする請求項11に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項14】
前記アンカー装置には、第2の記憶金属ワイヤがさらに巻き付けられ、前記第2の記憶金属ワイヤは、少なくともクランプ部部分が巻き付けられることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項15】
前記結合口は、リング又は鉤形であることを特徴とする請求項2に記載の人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項16】
人工大動脈弁膜アンカーキットであって、
請求項1~15のいずれか一項に記載のアンカー装置と、
基部と基部に接続された少なくとも2つのラチェットを含む爪形金具とを含み、
前記アンカー装置の結合口が前記ラチェットに結合された場合、前記アンカー装置は解放待ち状態にあり、前記アンカー装置の結合口がラチェットとの結合から外れた場合、前記アンカー装置は目標弁膜位置に置かれ、かつ設定された状態まで自己膨張することを特徴とする人工大動脈弁膜アンカーキット。
【請求項17】
端部が前記爪形金具に接続されたマニピュレーターをさらに含み、前記マニピュレーターは、カテーテルを介して前記アンカー装置と爪形金具をカテーテルの遠端口から押し出すまでカテーテルの遠端口に向かって押し進めるために用いられることを特徴とする請求項16に記載の人工大動脈弁膜アンカーキット。
【請求項18】
人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置であって、
人工心臓弁膜ステントをアンカーするために曲げて囲まれた後に閉ループを形成する記憶金属ワイヤを含み、前記閉ループは、
径方向に拡張力を形成し、周方向に拘束力を形成して、血管壁と心臓弁膜との間にアンカー装置をアンカーさせるための少なくとも2つのクランプ部と、
クランプ部の数に対応し、前記クランプ部と交互に設けられ、隣接するクランプ部を遷移して接続するための接続部とを含み、
前記クランプ部の曲線は2つの隣接して接続されたクランプ端を含み、取付け状態で、前記各クランプ端は、
略V字状又はU字状である、径方向の拡張角を有する第1の拡張セグメントと、
前記第1の拡張セグメントの両端から延びた第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとを含み、
前記アンカー装置をアンカー位置に置くと、前記第1の拡張セグメント及び延びた第1の支持セグメントは、少なくとも1つの心臓弁膜に連続的に接触する部分又はマルチポイント接触を含み、前記第1の拡張セグメント及び延びた第2の支持セグメントは、少なくとも1つの血管壁に連続的に接触する部分又はマルチポイント接触を含むことを特徴とする人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項19】
前記クランプ端は、第2の径方向の拡張角を有する第2の拡張セグメントをさらに含み、前記第2の拡張セグメントと前記第1の拡張セグメントとは第2の支持セグメントによって接続され、前記第2の拡張セグメントの他端は、第3の支持セグメントから延びることを特徴とする請求項18に記載の人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項20】
前記アンカー装置には、第2の記憶金属ワイヤがさらに巻き付けられ、前記第2の記憶金属ワイヤは、少なくともクランプ部部分が巻き付けられることを特徴とする請求項18に記載の人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置。
【請求項21】
人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置の使用方法であって、
請求項1~15のいずれか一項に記載のアンカー装置をカテーテルを介してアンカー位置に置いた後、アンカー装置は自己膨張解放して人工大動脈弁ステントと血管壁方向への拡張力を形成し、アンカー装置は、人工大動脈弁ステントと血管壁方向からの逆方向作用力を同時に受け、それによって、人工大動脈弁ステントをアンカーするように力のバランスを形成することを含むことを特徴とする人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置の使用方法。
【請求項22】
前記アンカー装置は、介入カテーテルを介してマニピュレーター及び爪形金具ことによってアンカー位置に置かれることを特徴とする請求項21に記載の人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置の使用方法。
【請求項23】
前記アンカー位置は、大動脈洞であることを特徴とする請求項22に記載の人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置、キット、使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大動脈弁は、左心室と大動脈との接続箇所に位置しており、左心室が収縮すると大動脈弁は開放し、血液は大動脈弁を通じて大動脈に流入する。左心室が拡張すると大動脈弁が閉じ、この時の大動脈の圧力は左心室の圧力より高くなる。密閉された血管と血管の弾性によって拡張期血圧が生じ、大動脈弁が閉じた後、心室は拡張期に入り、この時、血液は冠状動脈を通じて心臓に灌流する。大動脈弁閉鎖不全時、左心室の収縮期においては大動脈に血液が排出され、拡張期には血液が左心室に逆流する。大動脈弁閉鎖不全の重症度によって、逆流する血液量は左心室から排出する血液量の10%~60%を占め、又はそれ以上である。大動脈閉鎖不全の罹患率は加齢とともに増加し、70歳以上の人群の間で発生率は2%に達した。大動脈閉鎖不全は慢性疾患であり、現在承認された薬物治療方法はない。
【0003】
正常な大動脈基部とは、一般的には、上行大動脈が心包腔内にある部分を指し、左心室流出路の延長部分である。大動脈基部の上部は大動脈管、下部は大動脈洞であり、両部分の境界は洞管交界部である。左、右冠状動脈は、大動脈弁上の重要な解剖学的構造であり、左、右冠状動脈は、それぞれ弁膜遊離縁の上で左、右冠脉洞内に開口している。弁輪からの冠状動脈開口の高さは経カテーテル的大動脈弁置換術にとって重要なデータであり、冠状動脈開口の高さの個体変異度は大きく、身長と相関がある。海外剖検によると、正常人の左冠状動脈開口の高さは、12.6 mm± 2.6 mmであり、右冠状動脈開口の高さは、13.2mm± 2.6 mmである。多列CTによる測定では、左冠状動脈開口の高さは、14.4 mm± 2.9 mmであり、右冠状動脈開口の高さは、17.2 mm± 3.3 mmである。弁膜ステントを設計する際には、冠状動脈開口の高さを考慮し、左、右冠状動脈開口をできるだけ避け、血行力学に影響を与えないようにする必要があることが多く、ステントをできるだけ短く設計する、又は冠状動脈開口の領域に網目を拡大する必要がある。これは、ステントの設計に制約をもたらした。
【0004】
大動脈弁膜置換術は自己大動脈弁に石灰化病変が存在することを要求し、これによって、留置された弁膜ステントに支持と固定の役割を果たすことができる。石灰化のない患者は当初、経カテーテル的大動脈弁置換術が行えないと考えられていた。しかし、大動脈弁逆流患者の解剖学的特徴から見ると、原生弁葉及び大動脈基部は必ずしも重度の石灰化を伴わず、ある程度の柔軟性を示すため、従来の経カテーテル的心臓弁膜置換は、径方向の支持力を増大させることによって固定を実現することができない。大動脈逆流を治療するために従来の径向力支持方式を用いた経カテーテル的心臓弁膜置換に基づく報道がいくつかあるが、全体的な効果は悪くなったり、弁膜が心室の第2の端部に向かって躍動する現象が起こりやすいため、大動脈弁逆流を治療するための経カテーテル植込み置換装置は、業界の難題となっている。
【0005】
近年、弁膜ステントの固定を助けることができる弁膜アンカー要素が出現し、これらの患者も経カテーテル的大動脈弁置換術を行うことができるようになった。現在市場で販売されているアンカー要素付きの弁膜は心尖からアプローチする必要があり、傷口が大きい。また、従来技術のアンカー要素はいずれも、1本の記憶金属材料が冠状動脈洞を貫通して形成された一枚のU字型の構造であり、それは、記憶金属の超弾性を利用してアンカー装置に血管中心側への径方向の圧力を発生させ、弁膜アセンブリが植え込まれた後に、弁膜を周方向にクランプし、アンカー効果を生み出す。従来技術CN101919752Bは、人工弁膜移植装置を開示し、
図1に示すように、このようなアンカー要素Dであり、このようなアンカー方式では周方向に押し付けられる径方向力(Fに示される方向)が一定であり、それとキットになっているある規格の弁膜プロテーゼのステントをアンカーするためにのみ使用できるため、医師が選択するように複数の規格のアンカー要素を配置する必要がある。また、このアンカー要素は、タイプ選択に対する要求が高く、医師がタイプ選択を適切にしないと、弁膜の滑りや完全に展開できないことが起こりやすい。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、従来技術における問題を解決するために、第1の態様において、人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置を提供し、人工心臓弁膜ステントをアンカーするために曲げて囲まれた後に閉ループを形成する記憶金属ワイヤを含み、閉ループは、径方向に拡張力を形成し、周方向に拘束力を形成して、心臓弁膜と隣接する血管壁との間にアンカー装置をアンカーさせるための少なくとも2つのクランプ部と、クランプ部の数に対応し、クランプ部と交互に設けられ、隣接するクランプ部を遷移して接続するための接続部とを含み、クランプ部の曲線は、少なくとも1つのクランプ端を含み、取付け状態で、クランプ端は、径方向の拡張角を有する第1の拡張セグメントと、第1の拡張セグメントの両端から延びた第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとを含み、第1の支持セグメントと第2の支持セグメントの少なくとも1部は血管壁と弁膜壁に当接し、第1の拡張セグメントは血管壁と弁膜壁の接続部分に当接する。
【0007】
本出願の第2の態様は、人工大動脈弁膜アンカーキットを提供し、
上記のアンカー装置と、基部と基部に接続された少なくとも2つのラチェットを含む爪形金具とを含み、アンカー装置の結合口がラチェットに結合された場合、アンカー装置は解放待ち状態にあり、アンカー装置の結合口がラチェットとの結合から外れた場合、アンカー装置は目標弁膜位置に置かれ、設定された状態まで自己膨張する。
【0008】
本出願の第3の態様は、人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置を提供し、人工心臓弁膜ステントをアンカーするために曲げて囲まれた後に閉ループを形成する記憶金属ワイヤを含み、閉ループは、径方向に拡張力を形成し、周方向に拘束力を形成して、血管壁と心臓弁膜との間にアンカー装置をアンカーさせるための少なくとも2つのクランプ部と、クランプ部の数に対応し、クランプ部と交互に設けられ、隣接するクランプ部を遷移して接続するための接続部とを含み、クランプ部の曲線は2つの隣接して接続されたクランプ端を含み、取付け状態で、各クランプ端は、略V字状又はU字状である、径方向の拡張角を有する第1の拡張セグメントと、第1の拡張セグメントの両端から延びた第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとを含み、アンカー装置をアンカー位置に置くと、第1の拡張セグメント及び延びた第1の支持セグメントは、少なくとも1つの心臓弁膜に連続的に接触する部分又はマルチポイント接触を含み、第1の拡張セグメント及び延びた第2の支持セグメントは、少なくとも1つの血管壁に連続的に接触する部分又はマルチポイント接触を含む。
【0009】
本出願の第4の態様は、人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置の使用方法を提供し、いずれか1つの実施例のアンカー装置をカテーテルを介してアンカー位置に置いた後、アンカー装置は、自己膨張解放して人工大動脈弁ステントと血管壁への方向の拡張力を形成し、アンカー装置は、人工大動脈弁ステントと血管壁方向からの逆方向作用力を同時に受け、それによって、人工大動脈弁ステントをアンカーするように力のバランスを形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書の残りの部分および図面を参照すると、本出願の性能や利点をさらに理解することができ、これらの図面では、同じアセンブリの番号が同じである。いくつかの場合に、似ているアセンブリの多くの1つを表すように、あるラベルとハイフンの後にサブタグが配置される。あるラベルに言及したが、特に既存のあるサブタグが明記していない場合、これらの類似したすべてのアセンブリを指す。
【
図1】従来技術におけるアンカー要素が取付け状態での付勢の概略図である。
【
図2】本出願の一実施例によるアンカー装置の取り付け状態の概略図である。
【
図3】本出願のアンカー装置が取付け状態での付勢の概略図である。
【
図4】本出願の1つの実施例のアンカー装置の構造概略図である。
【
図5】本出願の
図4に示す実施例のクランプ端の構造概略図である。
【
図6】本出願の別の実施例のクランプ端の構造概略図である。
【
図7】本出願のさらなる別の実施例のクランプ端の構造概略図である。
【
図8A】本出願の1つの実施例のアンカー装置を小さい心臓弁膜プロテーゼにアンカーした状態の概略図である。
【
図8B】本出願の1つの実施例のアンカー装置を大きい心臓弁膜プロテーゼにアンカーした状態の概略図である。
【
図9】本出願のまた別の実施例のアンカー装置の構造概略図である。
【
図10】
図9に示す実施例のクランプ端の構造概略図である。
【
図11】本出願のさらに別の実施例のアンカー装置の構造概略図である。
【
図12】本出願のアンカー装置キットの1つの概略図である。
【
図13】本出願の別のアンカー装置キットの概略図である。
【
図14】本出願の爪形金具はアンカー装置を結合するときの部分状態の概略図である。
【
図15】本出願のアンカー装置の1つの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、以下の例を参照しながら実施例をより詳細に説明するが、例はここでは説明の方法でのみ提供され、限定することを意図していない。
【0012】
本出願は、多くの当業者が予期できる変形を有し、本出願の応用効果を達成することができる。
【0013】
本出願において、用語「含む」は、以下要素を含むが、それらに限らない、すなわち、他の要素を排除するものではないことを意味する。
【0014】
本出願において、用語「約」と「大約」は、当業者が議論された特徴の技術的効果の精度区間を依然として確保するように理解することを意味する。この用語は通常、示された数値からの偏差が10%、好ましくは5%であることを示す。
【0015】
本出願において、人工心臓弁膜プロテーゼは、人体の心臓内の自然な心臓弁の機能を代替するために心臓に植え込まれる医療製品であり、一般的にはステントと人工弁膜を含み、ステントは円柱状であるが、弁膜(2枚または3枚)はステント内に設置されてバルブ状に形成される。
【0016】
本出願において、人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置は、自然な大動脈弁膜の機能を代替するために大動脈基部に植え込まれる医療製品であり、一般的にはステントと人工弁膜を含み、ステントは円柱状であるが、弁膜はステント内に設置されてバルブ状に形成される。
【0017】
本出願において、径方向とは、人体に植え込まれた人工心臓弁膜プロテーゼのステントを参考にして、その直径方向と一致する方向を径方向とし、円の中心に向かう方向と円の中心と反対の方向を含むことを指す。
【0018】
本出願において、周方向とは、人体に植え込まれた人工心臓弁膜プロテーゼのステントを参考にして、ステントの円柱体の円周面に沿った方向を周方向とすることを指す。
【0019】
本出願において、記憶金属は、ニッケルチタン、チタンニッケル銅、チタンニッケル鉄、チタンニッケルクロム、及び銅ニッケル系合金、銅アルミニウム系合金、銅亜鉛系合金、鉄系合金(Fe-Mn-Si、Fe-Pd)を含むが、それらに限らなく、その直径は0.1~3mmであってもよい。
【0020】
本出願において、アンカー装置が心臓弁膜プロテーゼにアンカーされる上位置を基準位置とし、心臓から遠い方の端を上端または高端とし、心臓に近い方の端を下端または底端とし、心臓弁膜に近い側を内側とし、血管壁に近い側を外側とする。
【0021】
本出願は、経カテーテル植込み心臓弁膜のアンカー装置を記述し、特に多種のスタイル、規格の経カテーテル的植込み心臓弁膜プロテーゼに適応できる自己適応機能を備えたアンカー装置。このアンカー装置は、単一の冠状動脈洞に、相互作用力を有する記憶金属構造の2層または多層が含まれ、力の相互補償を実現でき、弁膜に密着する側は血管中心への圧力を発生し、大動脈基部に密着する側は血管壁への圧力を発生することができ、人工弁膜が植え込まれた後、二種類の力を互いに押し付けてアンカー装置を変形させるとともに、血管壁への一部の径方向力を血管壁に伝達し、この場合、アンカー装置と弁膜ステントとの組立体を大動脈基部に変位しないように固定することもでき、アンカー装置に自己適応弁膜ステントの形状を生じさせて、多種の規格と外観の心臓弁膜プロテーゼに適応させることもできる。
【0022】
本出願は、第1の態様において、人工心臓弁膜プロテーゼのアンカー装置を提供し、人工心臓弁膜ステントをアンカーするために曲げて囲まれた後に閉ループを形成する記憶金属ワイヤを含み、閉ループは、径方向に拡張力を形成し、周方向に拘束力を形成して、心臓弁膜と隣接する血管壁との間にアンカー装置をアンカーさせるための少なくとも2つのクランプ部と、クランプ部の数に対応し、クランプ部と交互に設けられ、隣接するクランプ部を遷移して接続するための接続部とを含み、クランプ部の曲線は、少なくとも1つのクランプ端を含み、取付け状態で、クランプ端は、径方向の拡張角を有する第1の拡張セグメントと、第1の拡張セグメントの両端から延びた第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとを含み、第1の支持セグメントと第2の支持セグメントの少なくとも一部は血管壁と弁膜壁に当接し、第1の拡張セグメントは血管壁と弁膜壁の接続部分に当接する。径方向の拡張角を有する拡張セグメントはアンカー装置を双方向(血管壁側及び心臓弁膜側へ)の拡張力を形成させ、第1の支持セグメントと第2の支持セグメントはまた十分な縦支持を形成し、アンカリングをより安定させ、かつ大きさの異なる心臓弁膜プロテーゼに適応できる。
【0023】
少なくとも一実施例では、接続部は、2つの隣接するクランプ部との間に介在する曲線セグメントであり、接続部の中部には、アンカー装置を操作する器械に結合され、解放されるための結合口が設置される。少なくとも一実施例では、結合口は、リング又は鉤形である。
【0024】
少なくとも一実施例では、アンカー装置をアンカー位置に置くと、第2の支持セグメントは、少なくとも1つの血管壁に連続的に接触する部分を含む。少なくとも一実施例では、アンカー装置をアンカー位置に置くと、第2の支持セグメントは、血管壁にマルチポイント接触を形成する。少なくとも一実施例では、アンカー装置をアンカー位置に置くと、第1の支持セグメントは、少なくとも1つの心臓弁膜に連続的に接触する部分を含む。少なくとも一実施例では、アンカー装置をアンカー位置に置くと、第1の支持セグメントは心臓弁膜と接触してマルチポイント接触を形成する。
【0025】
少なくとも一実施例では、クランプ端は、第2の径方向の拡張角を有する第2の拡張セグメントをさらに含み、第2の拡張セグメントと第1の拡張セグメントとは第2の支持セグメントによって接続され、第2の拡張セグメントの他端は第3の支持セグメントから延びる。複数の径方向の拡張角の拡張セグメントは、アンカー装置により強い双方向(血管壁側及び心臓弁膜側へ)の拡張効果を実現させる。
【0026】
少なくとも一実施例では、第2の拡張セグメントは第1の拡張セグメントと回転対称である。少なくとも一実施例では、第1の拡張セグメント及び/又は第2の拡張セグメントは、略V字状又はU字状である。少なくとも一実施例では、第1の拡張セグメントと第2の拡張セグメントを接続する第2の支持セグメントは、血管壁及び/又は心臓弁膜との接触を形成する。少なくとも一実施例では、アンカー装置をアンカー位置に置くと、第3の支持セグメントは、血管壁と連続的な部分の接触又はマルチポイント接触を形成する。
【0027】
少なくとも一実施例では、アンカー装置のクランプ部は、2つの略対称なクランプ端を含む。少なくとも一実施例では、アンカー装置の2つのクランプ端は、周方向に沿って設置される曲線セグメントである第4の支持セグメントによって接続される。
【0028】
少なくとも一実施例では、アンカー装置には、第2の記憶金属ワイヤがさらに巻き付けられ、第2の記憶金属ワイヤは、少なくともクランプ部部分が巻き付けられる。
【0029】
本出願の第2の態様は、人工大動脈弁膜アンカーキットを提供し、
いずれか1つの実施例のアンカー装置と、基部と基部に接続された少なくとも2つのラチェットを含む爪形金具とを含み、アンカー装置の結合口がラチェットに結合された場合、アンカー装置は解放待ち状態にあり、アンカー装置の結合口がラチェットとの結合から外れた場合、アンカー装置は目標弁膜位置に置かれ、設定された状態まで自己膨張する。
【0030】
少なくとも一実施例では、キットは、端部が爪形金具に接続されたマニピュレーターをさらに含み、マニピュレーターは、カテーテルを介してアンカー装置と爪形金具をカテーテルの遠端口から押し出すまでカテーテルの遠端口に向かって押し進めるために用いられる。
【0031】
本出願の第3の態様は、人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置を提供し、人工心臓弁膜ステントをアンカーするために曲げて囲まれた後に閉ループを形成する記憶金属ワイヤを含み、閉ループは、径方向に拡張力を形成し、周方向に拘束力を形成して、血管壁と心臓弁膜との間にアンカー装置をアンカーさせるための少なくとも2つのクランプ部と、クランプ部の数に対応し、クランプ部と交互に設けられ、隣接するクランプ部を遷移して接続するための接続部とを含み、クランプ部の曲線は2つの隣接して接続されたクランプ端を含み、取付け状態で、各クランプ端は、略V字状又はU字状である、径方向の拡張角を有する第1の拡張セグメントと、第1の拡張セグメントの両端から延びた第1の支持セグメントと第2の支持セグメントとを含み、アンカー装置をアンカー位置に置くと、第1の拡張セグメント及び延びた第1の支持セグメントは、少なくとも1つの心臓弁膜に連続的に接触する部分又はマルチポイント接触を含み、第1の拡張セグメント及び延びた第2の支持セグメントは、少なくとも1つの血管壁に連続的に接触する部分又はマルチポイント接触を含む。
【0032】
少なくとも一実施例では、クランプ端は、第2の径方向の拡張角を有する第2の拡張セグメントをさらに含み、第2の拡張セグメントと第1の拡張セグメントとは第2の支持セグメントによって接続され、第2の拡張セグメントの他端は第3の支持セグメントから延びる。少なくとも一実施例では、アンカー装置には、第2の記憶金属ワイヤがさらに巻き付けられ、第2の記憶金属ワイヤは、少なくともクランプ部部分が巻き付けられる。
【0033】
本出願の第4の態様は、人工大動脈弁膜プロテーゼのアンカー装置の使用方法を提供し、いずれか1つの実施例のアンカー装置をカテーテルを介してアンカー位置に置いた後、アンカー装置は、自己膨張解放して人工大動脈弁ステントと血管壁への方向の拡張力を形成し、アンカー装置は、人工大動脈弁ステントと血管壁方向からの逆方向作用力を同時に受け、それによって、人工大動脈弁ステントをアンカーするように力のバランスを形成することを含む。
【0034】
少なくとも一実施例では、アンカー装置は、介入カテーテルを介してマニピュレーター及び爪形金具ことによってアンカー位置に置かれる。少なくとも一実施例では、アンカー位置は、大動脈洞である。
【0035】
以下では、図面を結び付けながら本出願の構造と実施形態をより詳細に説明する。
【0036】
図2と
図3に示すように、本出願のアンカー装置Gは大動脈洞Eに取り付けられた概略図であり、外側が大動脈血管壁C、内側が心臓弁膜B、心臓弁膜Bの内側に設置されるのは人工心臓弁膜プロテーゼAであり、アンカー装置Gは、同時に心臓弁膜B(つまり、弁膜プロテーゼAの方向)と血管壁C(つまり、大動脈血管壁)の方向(矢印Fで示される方向)に力を加えることで、それに対応して、反力の作用下で、アンカー装置Gを大動脈洞内で力のバランスに達し、それによって、人工心臓弁膜プロテーゼAをしっかりとアンカリングし、人工心臓弁膜プロテーゼAが体内で変位させにくく、また多種規則の人工心臓弁膜プロテーゼAのアンカーを両立させることができる。
【0037】
図4に示すように、本出願のアンカー装置の1つの構造概略図であり、ここで、アンカー装置1000全体が閉ループになっており、記憶金属ワイヤを曲げて巻くことによって形成され、好ましくはニッケルチタン合金であり、その直径は、0.2mm~2mmの範囲であり、接続部とクランプ部を含み、クランプ部は、人工心臓弁膜プロテーゼにクランプ力を与える主要部分であり、クランプ部の数は、心臓弁膜の数に対応し、接続部は、クランプ部を接続して閉ループを形成するために用いられ、この実施例において、クランプ部と接続部とが3つであり、クランプ部と接続部とが交互に設けられ、つまり、2つのクランプ部の間が1つの接続部で接続し、この実施例では、クランプ部は、2つの対称なクランプ端を含み、ここで、1つのクランプ端は、第1の支持セグメント10、第1の拡張セグメント30と第2の支持セグメント20を含み、ここで、第1の拡張セグメント30は、血管壁側と心臓弁膜側への圧力を形成するように径方向の拡張角を形成し、第1の支持セグメント10と第2の支持セグメント20は、第1の拡張セグメント30から垂直方向(心臓弁膜ステントの軸方向)に延びた曲線セグメントであり、血管壁又は心臓弁膜に垂直方向の支持を形成し、第1の拡張セグメントから解放された拡張力を血管壁と心臓弁膜(又は心臓弁膜プロテーゼ)に伝達するために用いられ、第1の支持セグメント10、第2の支持セグメント20、第1の拡張セグメント30は実際的に、連続的で一体の記憶金属曲線セグメントであり、第1のクランプ端の形状と対称な第2のクランプ端は、第6の支持セグメント21、第4の拡張セグメント31、第7の支持セグメント11を含み、第1のクランプ端と第2のクランプ端との間にも、連続的で一体的な記憶金属曲線セグメントであり、第2の支持セグメント20と第6の支持セグメント21との間の遷移接続セグメントは、U字状又はV字状曲線セグメントであり、接続部40は、周方向に沿って設置される曲線セグメントであり、その曲線の設置方式が、起伏した波形セグメントを含んでいてもよい。一実施例では、接続部40には、アンカー装置の配置設備に結合して接続するための結合口50も設置される。
【0038】
図5に示すように、
図4に示す実施例の部分構造の側面概略図であり、ここで、第1の支持セグメント10は、心臓弁膜Bの片側に位置し、第2の支持セグメント20は、血管壁Cの片側に位置し、第1の拡張セグメント30は、大動脈洞Eの底部に位置し、一実施例では、第1の支持セグメント10は心臓弁膜Bと連続的な接触セグメントを形成し、この接触セグメントは図に示す第1の接触セグメント101であり、一実施例では、第1の支持セグメント10は、さらに心臓弁膜Bとマルチポイント接触を形成することもでき、一実施例では、第2の支持セグメント20の上端201と下端は血管壁Cと接触し、上端201と下端との間に血管中心方向に向かって突出する曲線セグメントを形成し、これにより、上端201が血管壁Cに対してより強い支持力を形成する。
【0039】
図6に示すように、別の実施例におけるアンカー装置2000のクランプ端の構造概略図であり、ここで、第8の支持セグメント210は、心臓弁膜側に位置し、それは心臓弁膜と接続された接触セグメント、つまり、第2の接触セグメント2101を形成し、第9の支持セグメント220は、血管壁側に位置し、それは血管壁と接続された接触セグメント、つまり、図中の第3の接触セグメント2202も形成し、このクランプ端はわずかに収束した形状のU字状を径方向に全体的に形成する。
【0040】
図7に示すように、別の実施例におけるアンカー装置3000のクランプ端の構造概略図であり、ここで、第10の支持セグメント310は、心臓弁膜側に位置し、それは心臓弁膜と連続的な接触、つまり、第4の接触セグメント3101を形成し、第11の支持セグメント320は、血管壁側に位置し、それは血管壁とマルチポイント接触、つまり、図中の第2の接触点3201、第3の接触点3202、第4の接触点3203を形成し、第2の接触点3201、第3の接触点3202、第4の接触点3203の頂点が位置する高さは同じであっても異なっていてもよく、それらを接続する曲線は、血管壁とより強い支持力を形成し、アンカー位置から滑りにくい効果を形成するように、第2の接触点3201、第3の接触点3202、第4の接触点3203が位置する曲線を波形に形成する。
【0041】
図8A~8Bに示すように、本出願の1つの実施例のアンカー装置Gがそれぞれ2つの異なる規格の心臓弁膜プロテーゼとアンカーされた状態の概略図であり、
図8Aに示すのは小さい心臓弁膜プロテーゼA1であり、小さい心臓弁膜プロテーゼA1を適切にアンカーされるように、アンカー装置Gのクランプ端の径方向の変形効果がより良いことが見られ、一方、
図8Bに示すのは大きな心臓弁膜プロテーゼA2であり、アンカー装置Gのクランプ端の径方向に変形は小さいが、プロテーゼの周方向のサイズが大きいため、心臓弁膜プロテーゼA2も適切に固定され、したがって、本出願のアンカー装置Gは、異なる規格の大きさの心臓弁膜プロテーゼに自己適応することができるが、いずれも良好なアンカー効果を達成することができる。
【0042】
図9に示すように、本出願の別のアンカー装置4000の構造概略図であり、3つのクランプ部を含み、ここで、図中に示すクランプ部400は、2つの対称なクランプ端を含み、各クランプ端は、互いに連続的に遷移接続された3つの支持セグメントと2つの拡張セグメントと、つまり、図中に示す第3の支持セグメント45、第4の支持セグメント41、第5の支持セグメント43、第3の拡張セグメント42、第4の拡張セグメント44をさらに含み、ここで、第3の拡張セグメント42と第4の拡張セグメント44は、いずれも径方向の拡張角を含み、上下に対向して設置され、第5の支持セグメント43によって接続され、第4の支持セグメント41は第3の拡張セグメント42と接続部に接続され、第3の支持セグメント45は、第4の拡張セグメント44の他側に位置し、他方のクランプ端又は接続部を接続するために用いられ、一実施例では、第3の支持セグメント45は、セグメント46によって他のクランプ端に接続し、クランプ端内に2つの拡張セグメントを設置することにより、クランプ端に上下2つの径方向の拡張力を形成させ、それによって、
図4に示す実施例と比較して、アンカー装置はより大きな径方向力を生じ、一方、2つの拡張セグメントに接続された3つの支持セグメントは、当接された血管壁または心臓弁膜(又は心臓弁膜プロテーゼ)に径方向の拡張力を加え、縦方向の支持を形成する。アンカー装置が全体的なサイズを小さくする場合には、同じまたはより大きな径方向力を生じ、搬送装置のスペースを節約し、患者の傷口を小さくすることができ、全体のサイズが同じで、搬送装置のスペースが同じ場合、径方向力の範囲がより広くて、より大きな規格の人工心臓弁膜プロテーゼを収容することができる。
【0043】
図10は、
図9に示すアンカー装置のクランプ端の側面概略図であり、ここでは、第4の支持セグメント41は、心臓弁膜側に位置し、それは心臓弁膜と少なくとも1つのセグメントの連続的な接触を形成し、第5の支持セグメント43は、心臓弁膜と血管壁との間に位置し、その両端部がそれぞれ異なる方向に当接又は突出し、図中に示すように、先端部432は、心臓弁膜側に突出し、底端部431は、血管壁側に突出して血管壁に当接し、第4の拡張セグメント44は、第3の拡張セグメントと対向する上方に位置し、他側は、第3の支持セグメント45を延在し、第3の支持セグメント45は、血管壁側に位置し、例えば図中の第5接触点451、血管壁と少なくとも1つの点の当接を形成し、一実施例では、第3の支持セグメント45は血管壁と連続したセグメントの接触を形成してもよい。
【0044】
図11に示すように、別の実施例のアンカー装置であり、そのクランプ部の基本構造は
図4と
図5に示す構造と同じであるが、本実施例において、クランプ部に第2の記憶金属ワイヤ60がさらに巻き付けられており、第2の記憶金属ワイヤは、アンカー装置全体の金属ワイヤに巻き付けられていてもよく、クランプ部のみに巻き付けられていてもよく、又はクランプ部部分に巻き付けられていてもよく、図中では、第2の記憶金属ワイヤは、第1の支持セグメント10、第2の支持セグメント20、及び拡張セグメントに巻き付けられ、その目的は、アンカー装置の拡張又は支持強度を高め、血管壁と心臓弁膜壁との接触を補強する。
【0045】
図12と13に示すように、心臓弁膜と血管壁との間にアンカー装置を置くための補助ツールであり、基部と基部に接続されたラチェット501を含む爪形金具500を含み、ラチェットは、フィンガであり、端部にフックが設置され、一実施例では、ラチェットは3つ含まれ、一実施例では、ラチェットは2つ含まれ、補助作業は、マニピュレーター600をさらに含み、マニピュレーター600の端部は爪形金具の基部に接続され、そのうちの一実施例では、マニピュレーター600の端部は、爪形金具とはねじ山によって接続され、そのうちの一実施例では、マニピュレーター600の端部は、爪形金具とはスナップ嵌合によって接続され、マニピュレーター600は通常、細長い金属製のガイドワイヤを含み、マニピュレーター600は、シース管700を通って手術位置に入り、介入手術において、アンカー装置G、爪形金具500は、マニピュレーター600及びシース管700を介して手術位置に到達した後、爪形金具500は、アンカー装置Gを離脱させ、アンカー装置Gが自己膨張すると
図8A又は8Bの状態、又は
図2に示す位置状態を形成する。
【0046】
図14及び15に示すように、アンカー装置と爪形金具とを結合する2つの方式であり、ここで、
図14において、結合口50は、リングであり、接続部40の略中間位置に設置され、ラチェット501端部のフックがリングと結合するときは結合状態であり、
図15において、結合口は、フック状口70であり、ラチェット501端部のフックはフック状口70と結合するときは結合状態である。いくつかの実施例において、結合口は、菱形、楕円形などの他の形状であってもよい。
【0047】
一実施例では、出荷時にアンカー装置を爪形金具とマニピュレーターのパイプに予め取り付けられており、ここで、アンカー装置の結合口は、それぞれ爪形金具のラチェットに取り付けられ、その後、リリースボタンを押してマニピュレーターをロック位置まで押し込み、マニピュレーターとラチェットで結合口を挟む。手術時、まずシース管を所定の解放位置まで送られ、次に、マニピュレーターを介してアンカー装置と爪形金具の組立体をシース管に挿入し、マニピュレーターを解放所定位置まで押し込まれた後、マニピュレーターに一定の力を加えて動かないように保持した上でシース管を戻し、爪形金具を露出させ、再びノブを回してマニピュレーターを前方に押し込み、アンカー装置を所定位置まで押し込み、その後、リリースボタンを押すと、リリースボタンは、ラチェットを近心端に移動させ、さらにラチェットを結合口から脱落させ、アンカー装置の配置を完了する。
【0048】
本出願は、心臓弁逆流に適用できるように、経カテーテルで植え込まれた人工弁膜をクランプするために用いられる。使用時、本出願のアンカー装置をカテーテルを介して大動脈基部に先に入れ、装置を大動脈洞内に置き、装置の近心端を大動脈洞底に密着させる。その後、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI、Transcatheter Aortic Valve Implantation)により人工心臓弁膜プロテーゼが植え込まれ、人工心臓弁膜プロテーゼが膨張した後、人工心臓弁膜プロテーゼとアンカー装置の組立体を形成する。本出願のアンカー装置の弁より側は、血管中心方向に周方向力を加え、壁より側は大動脈基部側に血管壁側への周方向力を加え、組立体中部の人工心臓弁膜プロテーゼと血管壁には支持力があるため、アンカー装置の弁より側と壁より側との間は、人工心臓弁膜プロテーゼの異なる寸法や規格に基づいて力の補償を行うことができ、異なるサイズや規格の人工心臓弁膜プロテーゼに自己適応する効果を生成する。相互作用の力により、人工心臓弁膜プロテーゼは、大動脈弁位置に固定され、大動脈弁逆流と大動脈弁閉鎖不全患者に利益をもたらす。
【0049】
本明細書における例示的な実施例により提供される方法は一例としてのみであり、一方の方法の例は、他方の方法の例を限定するものではない。1つの図面において論じされた装置/方法は、他の図面における装置/方法に追加されてもよいし、交換されてもよい。さらに、具体的な数値データ値(例えば、具体的な数量、数量、カテゴリなど)や他の特定情報は、例示的な実施例を議論するためにのみ用いられ、このような具体的な情報を用いて例示的な実施例を限定するものではない。