(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035144
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】医療機器間の通信に基づく施術の実施
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20240306BHJP
A61H 31/00 20060101ALI20240306BHJP
A61N 1/365 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61N1/39
A61H31/00
A61N1/365
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137608
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】63/402,776
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ロバート グリーンワルド
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ダブリュー.アパーソン
(72)【発明者】
【氏名】フレッド ダブリュー.チャップマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナス ラガーストーム
(72)【発明者】
【氏名】サラ リンドロス
(72)【発明者】
【氏名】マーク ルッツァー
(72)【発明者】
【氏名】エリック サンドラップ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス スヴァーン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C074
【Fターム(参考)】
4C053JJ18
4C053JJ23
4C053JJ36
4C053KK02
4C053KK07
4C074BB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療の実施と患者のモニタリングを医療機器間の通信に基づいて行う技術を提供する。
【解決手段】一例としての方法は、体外式除細動器が、対象に対して胸部圧迫を実施している機械式胸部圧迫装置からデータを受信する工程と、前記体外式除細動器が前記データを分析して、該体外式除細動器による前記対象に対する治療の実施を制御するための制御パラメータを決定する工程と、前記体外式除細動器が、前記制御パラメータに基づいて前記対象に対して前記治療を実施する工程と、を含む。他の一例としての方法は、機械式胸部圧迫装置が、対象に対して治療を行っている体外式除細動器からデータを受信する工程と、前記機械式胸部圧迫装置が前記データを分析して、前記対象に対する胸部圧迫の実施を制御する制御パラメータを決定する工程と、機械式胸部圧迫装置が、前記制御パラメータに基づいて前記胸部圧迫を実施する工程と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に胸部圧迫を実施している機械式胸部圧迫装置から体外式除細動器がデータを受信する工程と、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記胸部圧迫と連携して前記対象に対して治療を実施するタイミングを決定する工程と、
前記体外式除細動器が前記タイミングに基づいて前記対象に対して前記治療を実施する工程と、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記治療は除細動を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記治療はペーシングを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記機械式胸部圧迫装置が前記対象に実施する胸部圧迫のうちの1回に続く近々の一時停止の時間を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記時間に前記対象の生理学的パラメータを検出する工程と、を更に含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記対象に投与する薬剤を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記薬剤についての通知を出力する工程と、を更に含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、胸部圧迫のテンポを判断する工程と、
前記体外式除細動器が、前記テンポを特性とするフィルタを特定する工程と、
前記対象の生理学的パラメータを示す生理学的データから胸部圧迫アーチファクトを、前記フィルタを該生理学的パラメータに適用することで、除去する工程と、を更に含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記体外式除細動器がデータを分析して、前記胸部圧迫が実施されている位置である、前記対象に対する位置を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記位置についての通知を出力する工程と、を更に含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記機械式胸部圧迫装置に関する警告状態を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記警告状態についての通知を出力する工程と、を更に含む方法。
【請求項9】
体外式除細動器であって、
送受信装置と、
対象に対して電気ショックを出力するように構成された放電回路と、
プロセッサであって、
前記送受信装置を介して機械式胸部圧迫装置からデータを受信し、
前記データを分析して、前記機械式胸部圧迫装置が前記対象に対して実施している胸部圧迫と連携して前記対象に電気ショックを出力するタイミングを決定し、
前記放電回路に前記タイミングに基づいて前記対象に対して電気ショックを出力させるように構成されたプロセッサと、を備える体外式除細動器。
【請求項10】
請求項9に記載の体外式除細動器であって、前記電気ショックは除細動ショックを含む、体外式除細動器。
【請求項11】
請求項9に記載の体外式除細動器であって、
情報を出力するように構成された出力装置を更に備え、
前記プロセッサは、更に、
前記機械式胸部圧迫装置が前記対象に実施する胸部圧迫に続く近々の一時停止の時間を、前記データを分析して判断し、
前記時間に前記対象の生理学的パラメータを検出し、
前記出力装置に前記生理学的パラメータを出力させるように構成されている、体外式除細動器。
【請求項12】
請求項9に記載の体外式除細動器であって、
情報を出力するように構成された出力装置を更に備え、
前記プロセッサは、更に、
前記データを分析して、前記対象に対する薬剤を判断し、
該出力装置に前記薬剤についての通知を出力させるように構成されている、体外式除細動器。
【請求項13】
請求項9に記載の体外式除細動器であって、
情報を出力するように構成された出力装置を更に備え、
前記プロセッサは、更に、
胸部圧迫が実施されている深度を、前記データを分析して判断し、
前記深度についての通知を前記出力装置に出力させるように構成されている、体外式除細動器。
【請求項14】
請求項9に記載の体外式除細動器であって、
情報を出力するように構成された出力装置を更に備え、
前記プロセッサは、更に、
実施されている胸部圧迫の力を、前記データを分析して判断し、
該出力装置に前記力に関する通知を出力させるように構成されている、体外式除細動器。
【請求項15】
対象に胸部圧迫を実施している機械式胸部圧迫装置から、体外式除細動器がデータを受信する工程と、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記体外式除細動器による前記対象に対する治療の実施を制御するための制御パラメータを決定する工程と、
前記体外式除細動器が前記制御パラメータに基づいて前記対象に対して前記治療を実施する工程と、を含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記治療は除細動を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記制御パラメータは、前記体外式除細動器が前記対象に対して供給する電気ショックのレベルを示すショックパラメータを含む、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記治療はペーシングを含む、方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、
前記制御パラメータは、前記胸部圧迫と連携して前記体外式除細動器が前記対象に対して実施する治療のタイミングを示す、方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記機械式胸部圧迫装置が前記対象に対して実施する胸部圧迫に続く近々の一時停止の時間を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記時間に前記対象の生理学的パラメータを検出する工程と、を更に含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療機器は、患者のモニタリングや患者への施術、又はその両方の実施を容易にするために使用することができる。いくつかの環境では、複数の医療機器はお互いから近位の場所に配置されている。複数の医療機器が同じ患者のモニタリング及び/又は施術を行っている場合もあれば、複数の医療機器が異なる患者のモニタリング及び/又は施術を行っている場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、医療機器間の通信に基づいて、救急現場において対象に対して治療を実施する環境の例を示す。
【0003】
【
図2】
図2は、モニタリング装置と施術装置が1以上の接続を介して通信するように構成されている環境の一例を示す。
【0004】
【
図3】
図3は、他方の医療機器との通信に基づいて一方の医療機器の出力装置を介して出力される情報の一例を示す。
【0005】
【
図4】
図4は、第2医療機器から受信したデータに基づいて第1医療機器が施術を実施するプロセスの一例を示す。
【0006】
【
図5】
図5は、第2医療機器が対象に対して実施している治療の一時停止の間に第1医療機器により対象の生理学的パラメータの検出を行うように調整するプロセスの一例示す。
【0007】
【
図6】
図6は、第2医療機器から受信したデータを分析して、第1医療機器の出力装置を介して情報を出力するプロセスを示す。
【0008】
【
図7】
図7は、対象に対して第1医療機器が実施している治療に関するパラメータを検出するために、第2医療機器がその対象に対して実施している治療を一時停止し、前記パラメータを分析して、第1及び第2医療機器により実施する施術をどのように調整するかを決定するプロセスの一例を示す。
【0009】
【
図8】
図8は、本明細書に記載の様々な機能を実行するように構成された体外式除細動器の一例を示す。
【0010】
【
図9】
図9は、本明細書に記載の様々な機能を実行するように構成された胸部圧迫装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載の様々な実施形態は、医療機器間の通信に基づいて対象(例えば、患者)に施術を実施する技術及び医療機器間の通信に基づいて対象(例えば、患者)をモニタリングする技術に関する。いくつかの実施例において、複数の医療機器が同じ患者のケアを管理している。例えば、モニタリング装置が患者の状態を検知し、施術装置がその患者に施術を実施する。いくつかの実施例において、前記モニタリング装置も患者に対して施術を実施するように構成されている。どちらかの装置又は両方の装置による施術は、装置がお互いに調整されていると強化される。具体例を挙げると、装置は、無線インタフェースを介してメッセージを送受信してお互いとの調整を行う。メッセージは、例えば、患者の状態に関する報告、患者に実施中の施術に関する報告、及び、アクション(例えば、追加の施術)の実行の命令などを含む。
【0012】
しかし、複数の医療機器が同じ患者に対応している場合、この複数の医療機器の間でコンフリクトが生じうる。例えば、モニタリング装置にとっては、施術装置が患者に対して施術を実施している間に患者の状態を適切にモニタリングするのは困難でありうる。その他の例として、複数の医療機器が同時に患者に対して施術を実施するのは、困難、実施不可能、及び/又は推奨できないものでありうる。緊張を強いられるカオス状態の環境において、一人のユーザが複数の医療機器を効果的且つ安全に操作するのは困難である。また、第2医療機器を操作するために(例えば、対象をモニタリング及び/又は施術するために)、ユーザが第1医療機器の操作を停止するような場合、第1医療機器に伴うダウンタイムにより非効率になりうる。これは、第1医療機器が対象のモニタリング及び/又は施術を実施していない間、対象は、もし複数の医療機器を同時にマニュアル操作することの困難性や安全性のリスクがないならば本来対象をモニタリング及び/又は施術をしているはずの第1医療機器による恩恵を受けられないということである。上記を鑑み、本明細書に記載の技術、装置、及びシステムは、同じ対象に対してモニタリング及び/又は施術を行っている複数の医療機器がお互いと調整して動作することを可能にして、医療機器間のコンフリクトを最小限に抑制し、任意の医療機器のダウンタイムを最小限に抑制し、及び/又は、複数の医療機器を用いた対象のモニタリング及び/若しくは対象への施術の実施の効率を向上するものである。
【0013】
本開示の様々な実施形態によれば、ペアリングされた医療機器間でデータを送信する構成であってもよい。このデータを(例えば、受信側医療機器により)分析して、複数の医療機器のうちの1つ又は複数の医療機器による施術の実施を制御するための1つ又は複数のパラメータを決定する構成であってもよい。このようにして、前記1つ又は複数のパラメータに基づいて1つ又は複数の施術を前記複数の医療機器うちの1つ又は複数の装置により実施することができる。例えば、モニタ搭載型除細動器が、対象に対して胸部圧迫を実施している機械式胸部圧迫装置からのデータを受信する構成であってもよい。該モニタ搭載型除細動器はこのデータを分析し、該モニタ搭載型除細動器による対象に対する施術(例えば、ペーシング、除細動など)の実施を制御するための1つ又は複数のパラメータを決定することができ、該モニタ搭載型除細動器は、この1つ又は複数の制御パラメータに基づいて対象に施術を実施することができる。例えば、該モニタ搭載型除細動器は、対象に対して実施されている胸部圧迫と連携して(例えば、連続して実施される胸部圧迫の近々の一時停止時やそのインターバル時に電気ショックを供給するなどして)対象に対して電気ショックを供給することができる。この実施例によれば、医療機器間の調整を介して胸部圧迫装置のダウンタイムを無くす、若しくは短縮することができる。対象に対するモニタリング及び/又は施術の実施を目的としてモニタ搭載型除細動器を使用するために機械式胸部圧迫装置の動作を中断する(例えば、胸部圧迫の実施を中止する)必要がないので、対象は、複数の医療機器を使用したケアを効率的に受けることができる。
【0014】
その他の実施例として、機械式胸部圧迫装置は、対象に対して施術を行っているモニタ搭載型除細動器からデータを受信する構成であってもよい。該胸部圧迫装置は、このデータを分析し、該胸部圧迫装置による対象に対する胸部圧迫の実施を制御するための1つ又は複数のパラメータを決定することができ、該胸部圧迫装置は、この1つ又は複数の制御パラメータに基づいて対象に胸部圧迫を実施することができる。この様な構成によれば、機械式胸部圧迫装置は、モニタ搭載型除細動器から受信したデータ(例えば、生理学的パラメータデータ)に基づいて、例えば、胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は対象に対する位置を制御することができる。このような構成によれば、機械式胸部圧迫装置は、オペレータ(例えば、救助者)が手動で調整をするのを待たずとも、すぐに胸部圧迫の制御を調整することができる。
【0015】
本明細書に記載する実施例のいくつかは、お互いと通信して対象(例えば、患者)に対して連携ケアを実施するモニタ搭載型除細動器(例えば、体外式除細動器)と機械式胸部圧迫装置とに関するものであるが、本明細書に記載する技術は、ペアリングされた他のタイプの医療機器に対しても実施することができることは理解できるであろう。また、医療機器間の通信に基づいて対象(例えば、患者)に対してモニタリング及び/又は施術の実施を行う他の技術も本開示の範囲内である。
【0016】
本開示の実施は、医療機器の技術分野における改善に関するものである。対象(例えば、患者)を施術するために複数の医療機器を手動で別々に操作することに比べ、本明細書に記載する実施は、ペアリングされた医療機器間の通信と連携を自動で行うことを可能として、医療機器間のコンフリクトを最小限に抑制し、医療機器のダウンタイムを最小限に抑制し、複数の医療機器により実施されるモニタリングと施術の効率を向上させる。
【0017】
下記に添付の図面を参照して、様々な実施例について説明する。
【0018】
図1A及び
図1Bは、医療機器間の通信に基づく、救助現場での対象に対する施術の実施についての環境の例を示している。救助現場は、いくつかの実施形態においては、病院やその他の管理されたケア施設などの医療環境である。いくつかの場合、救助現場は医療環境外である。
【0019】
図1Aは、救助現場100Aを示している。様々な実施形態においては、救助者102は、救助現場100Aにて患者104を施術している。例えば、救助者102は、専門の救急救命士であり、患者104の症状をモニタリング及び/又は施術を実施している。いくつかの場合では、患者104は、心臓発作、又は、その他の危険な症状を生じている。
【0020】
救助者102は、モニタリング装置106を使って患者104の状態をモニタリングしている。例えば、モニタリング装置106は、モニタ搭載型除細動器、医用画像装置、超音波モニタ、自立型心電図(ECG)モニタ、その他のタイプの患者モニタであってもよい。モニタリング装置106は、センサ108を備えている、及び/又はセンサ108と通信可能に接続されている。センサ108は、患者104の少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するように構成されている。生理学的パラメータの例としては、例えば、ECG、インピーダンス、患者に対して印加された力、血圧、気道パラメータ(二酸化炭素分圧、酸素分圧、カプノグラフ、終末呼気ガスパラメータ、流量、など)、血中酸素濃度(パルスオキメータ値、局所オキシメータ値、など)、脳電図(EEG)、体温、心音、血流量、生理学的形状(例えば、血管の形状、内耳の形状、など)、心拍数、脈拍数、などが挙げられる。例えば、センサ108は、電極、検出回路、除細動器パッド、力センサ、血圧計カフ、超音波式血圧センサ、侵襲性(例えば、動脈内)血圧センサ(例えば、患者104に挿入されたカニューレなどを備えたもの)、気体センサ(例えば、二酸化炭素及び/又は酸素センサ)、流量計、パルスオキメータセンサ、局所オキメータセンサー、体温計、マイクロフォン、超音波トランスデューサ、医用画像装置(例えば、超音波画像装置)、などのうち少なくともひとつを備えている。様々な場合において、モニタリング装置106は、救助者102に対して前記1つ又は複数の生理学的パラメータを出力する。例えば、モニタリング装置106は、前記1つ又は複数の生理学的パラメータを救助者102に伝える、ディスプレイ、スピーカ、又は、触覚フィードバック装置を備えている。
【0021】
施術装置110(又は、「治療装置」とも称す)は、患者104に施術(例えば、治療)を実施するものである。例えば、施術装置110は、モニタ搭載型除細動器、自動体外式除細動器(AED)、機械式胸部圧迫装置、スマートバッグバルブマスク、人工呼吸器、人工心肺装置、静脈内輸液(IV)ポンプ、その他の装置である。施術(治療)の例としては、除細動、ペーシング、カルディオバージョン、胸部圧迫の実施、患者104の気道への酸素の供給、患者の気道内の空気移動、患者104への輸液の供給、体外式膜型人工肺(ECMO)、患者104への薬剤の投与、などが挙げられる。いくつかの実施形態においては、モニタリング装置106も、患者104に対して施術を実施するように構成されている。更に、いくつかの場合において、施術装置110は、患者104の1つ又は複数の生理学的パラメータを検出するように構成されている。
【0022】
いくつかの場合、患者104のモニタリング及び/又は施術は、モニタリング装置106と施術装置110との間の通信により最適化される。具体例を挙げると、モニタリング装置106又は施術装置110は、検出された生理学的パラメータを他方の装置に報告する。例えば、施術装置110は、血圧センサを備えた構成であってもよく、患者104の血圧をモニタリング装置106に報告する構成であってもよい。いくつかの例では、モニタリング装置106又は施術装置110は、施術パラメータを他方の装置に報告する。例えば、施術装置110は、モニタリング装置106に、施術装置110が実施する胸部圧迫のテンポを報告する構成であってもよい。受信側の装置は、この生理学的パラメータ及び/又は施術パラメータに基づいて1つ又は複数のアクションを実施する構成であってもよい。モニタリング装置106又は施術装置110により実施されるアクションの例としては、特定の時間又は頻度での生理学的パラメータの測定開始、救助者102に対する信号出力、患者104に対する信号出力、特定の時間又はテンポでの施術の実行、実施中の施術についての施術パラメータの調整、又は、これらの任意の組み合わせなどが挙げられる。いくつかの実施形態によれば、モニタリング装置又は施術装置110は、他方の装置に対して、1つ又は複数のアクションを実施することを指示する。そして、受信側の装置は、そのモニタリング装置106又は施術装置110からの指示に基づいて1つ又は複数のアクションを実施する。例えば、モニタリング装置106は、施術装置110に所定の時間で患者104に対する胸部圧迫の実施を停止するように指示し、モニタリング装置106がその所定の時間で患者104に対して除細動ショックを実施する。報告や指示などのデータを送受信することで、モニタリング装置106と施術装置110は、患者104のモニタリングと施術とを連携させることができる。
【0023】
データの送受信をするために、モニタリング装置106及び/又は施術装置110は、通信チャンネル112の確立、及び/又は通信チャンネル112を介した通信を実施する構成であってもよい。本明細書において、用語「通信チャンネル」及びその均等物は、第1端末(例えば、送信側の装置)が1つ又は複数の第2端末(例えば、受信側の装置)に情報を送信する媒体を意味しうる。通信チャンネルの例としては、イーサネットや光ファイバー回線などの有線接続や、米国電気電子学会(IEEE)規格の接続(例えば、Wi-Fi、Bluetooth、など)又は第三世代パートナーシッププログラム(3GPP)規格の接続(例えば、ロング・ターム・エヴォリューション(LTE)、New Radio(NR)など)の無線接続が挙げられる。本明細書において、用語「端末」及びその均等物は、データの送信及び/又は受信を行うように構成されているエンティティを意味しうる。端末の例としては、ユーザ装置(UE)(例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、など)、コンピュータ、基地局、アクセスポイント(AP)、サーバ、コンピュータノード、医療機器、モノのインターネット(IoT)装置、などが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、モニタリング装置106と施術装置110との間の通信チャンネル112は、モニタリング装置106と施術装置110がペアリングされた時に確立される。具体的な場合を挙げれば、モニタリング装置106と施術装置110は、モニタリング装置106と施術装置110とがペアリングされるまで実質的なデータ(生理学的指標、患者104に関する報告、患者104の施術に関する指示、など)をシェアしない、という場合もある。本明細書において、用語「ペアリング」及びその均等物は、複数の装置間で任意の他方の装置から受信したデータを暗号化認証することを可能とする共有リンクキーを各装置が有する状態であることを意味しうる。
【0025】
モニタリング装置106と施術装置110とのペアリングは、様々な方式によって行うことができる。例えば、自動ペアリングは、装置106及び110間のデータ及び/又はペアリングリクエスト/ペアリング応答の送受信を含む構成であってもよい。その他の例として、モニタリング装置106は、モニタリング装置106とペアリングする装置として施術装置110を選択、又は、その逆の選択をしたオペレータ(例えば、救助者102)からの入力信号を受信する構成であってもよい。いくつかの場合では、モニタリング装置106は、ペアリングリクエストにおいて示された施術装置110からの点滅信号(例えば、点滅ライトパターン)を検知する。いくつかの場合では、モニタリング装置106と施術装置110とのペアリングは、中間装置(
図1A及び
図1Bでは図示せず)への信号、及び/又は中間装置からのシグナリングに、少なくとも部分的に基づいている。具体例を挙げると、2つ以上の装置をお互いに近接(例えば、接触)させて、モニタリング装置106と施術装置110とのペアリングを容易にする。例えば、「タップしてペアリング(tap-to-pair)」機能により、ユーザがモニタリング装置106(又はその部品)を施術装置110(又はその部品)に近接(例えば、接触)させると、又は、その逆にユーザが施術装置110(又はその部品)をモニタリング装置106(又はその部品)に近接(例えば、接触)させると、Bluetoothや近距離無線通信(NFC)などの短距離無線プロトコールにより装置106及び110がお互いと閾値距離内にあることが検知され、それに応じて装置106と110とがペアリングされる構成であってもよい。いくつかの場合では、電話などの中間装置をモニタリング装置106及び/又は施術装置110に近接(例えば、接触)させ(例えば、中間装置で装置106と110の両方を順番にタッチして)、短距離無線プロトコールにより、中間装置が関連するこれらの近接イベントを検知し、それに応じて装置106と110とがペアリングされる構成であってもよい。
【0026】
具体的な場合を挙げれば、第1のペアリングされた装置は、第2のペアリングされた装置にデータを送信する前にデータを暗号化し、第2のペアリングされた装置は、暗号化されたデータを復号して元のデータを復元する、という場合もある。本明細書において、用語「暗号化」及びその均等物は、データを、あるフォーマット(例えば、未暗号化フォーマット)から暗号化されたフォーマットに翻訳するプロセスを意味する。様々な場合では、暗号化されたフォーマットは、「暗号文」と称される。まだ暗号化されていない未暗号化データは、「平文」と称される場合がある。様々な実施例では、エンティティが少なくとも1つの暗号化キーを使ってデータを暗号化する。暗号化キーは、あるフォーマットから暗号化されたフォーマットへのデータの翻訳を定義するパラメータである。本明細書において、用語「復号化」及びその均等物は、データを、暗号化されたフォーマットから、平文フォーマットなどの他のフォーマット(例えば、未暗号化フォーマット)に翻訳するプロセスを意味する。様々な実施例では、エンティティは少なくとも1つの復号化キーを使ってデータを暗号化する。復号化キーは、暗号化されたフォーマットから他のフォーマットへのデータの翻訳を定義するパラメータである。例えば、リンクキーを、暗号化及び/又は復号化キーとする。
【0027】
様々な暗号化技術を本明細書に記載の構成により使用することができる。例えば、データの暗号化と復号化を、暗号化キーと復号化キーとが同様のものである対称キーにて行うことができる。いくつかの場合では、データの暗号化と復号化を、暗号化キーと復号化キーとが異なる非対称キーにて行うことができる。暗号学的ハッシュ関数(CHF)は、暗号化技術の例である。暗号化技術の例としては、データ暗号化標準(DES)、高度暗号化標準(AES)、楕円曲線暗号(ECC)、リベスト・シャミア・エーデルマン(RSA)、セキュアハッシュアルゴリズム(SHA)-1、SHA-2、SHA-3、BLAKE、BLAKE2、BLAKE3、WHIRLPOOL、MD2、MD4、MD5、MD6、Temporal Key Integrity Protocol(TKIP)、リベストサイファー4(RC4)、Variably Modified Permutation Composition(VMPC)、blowfish、Twofish、Threefish、小さな暗号化アルゴリズム(TEA)、拡張TEA(XTEA)、修正されたブロックTEA(XXTEA)、ディフィー・ヘルマン鍵交換(DHE)、楕円曲線DHE、超特異同種写像ディフィー・ヘルマン(SIDH)鍵交換、などが挙げられる。本開示の実施形態によれば、任意の好適な暗号化又は復号化技術を使用してもよい。
【0028】
図1A及び
図1Bでは、モニタリング装置106と施術装置110とはペアリングされているため、モニタリング装置106と施術装置110は、通信チャンネル112を確立し、通信チャンネル112を介して連携ケアデータ114を送受信する。連携ケアデータ114は、患者104のモニタリング及び/又は施術に関する実質的なデータを含む。いくつかの実施形態においては、連携ケアデータ114は、患者104の1つ又は複数の生理学的パラメータを含む。例えば、施術装置110は、患者104の生理学的パラメータを検出し、その生理学的パラメータをモニタリング装置106に報告する構成であってもよい。いくつかの実施形態においては、モニタリング装置106は、救助者102に対して、モニタリング装置106のディスプレイ上などに生理学的パラメータを出力する。いくつかの場合、モニタリング装置106は、施術装置110により検出された生理学的パラメータに基づいて患者104の状態を判断する。例えば、施術装置110は、患者104の血圧を検出し、検出した患者104の血圧を連携ケアデータ114に含めてモニタリング装置106に報告し、モニタリング装置106は、患者104の血圧とECGを分析して患者104が自己心拍再開(ROSC)したか否かを判断する構成であってもよい。
【0029】
様々な場合では、連携ケアデータ114は、モニタリング装置106及び/又は施術装置110が実施している施術(例えば、治療)に関する施術パラメータを含む。例えば、施術装置110は、本明細書に記載の他のパラメータのなかでも、患者104に対して実施されている胸部圧迫のテンポ、胸部圧迫が実施されている位置である患者104に対する位置、患者104に対して胸部圧迫が実施されている深度、及び/又は、患者104に対して胸部圧迫が実施されている力を、モニタリング装置106に対して報告する構成であってもよい。
【0030】
様々な場合では、連携ケアデータ114は1つ又は複数の指示を含んでいる。例えば、モニタリング装置106は、施術装置110に対して、患者104の生理学的パラメータの検出、患者104に対する施術の実施、患者104に対する施術の一時停止又は停止、患者104に対する施術の修正、又はこれらの任意の組み合わせを実行するように指示する。いくつかの場合では、施術装置110は、モニタリング装置106に対して、患者104の生理学的パラメータの検出、患者104に対する施術の実施、患者104に対する施術の一時停止又は停止、患者104に対する施術の修正、又はこれらの任意の組み合わせの指示を行う。
【0031】
いくつかの実施例では、連携ケアデータ114は、モニタリング装置106と施術装置110がクロックを同期できるようにする同期データを含んでいる。本明細書において、用語「クロック」及びその均等物は、時間をトラッキングする装置のハードウェア及び/又はソフトウェアを意味しうる。様々な実施例では、モニタリング装置106は第1クロックを備え、施術装置110は第2クロックを備えている。モニタリング装置106と施術装置110とがペアリングされるまでは、各装置のクロックは同期されておらず、各装置は実際には異なる時間を同一の時間として認識している可能性がある。いくつかの実施形態において、連携ケアデータ114は、モニタリング装置106と施術装置110とが実際に同じ時間を同一の時間であると認識できるようにするデータを含んでいる。例えば、モニタリング装置106が施術装置110に対して未来のある時間において胸部圧迫を実施するように指示すると、同期されたクロックにより施術装置110が胸部圧迫を実際にその時間において実施することができる。
【0032】
図1Aを参照して、モニタリング装置106がモニタ搭載型除細動器であり、施術装置110が機械式胸部圧迫装置である一具体例を以下に説明する。モニタリング装置106と施術装置110とは、確立された通信チャンネル112により示されるように、ペアリングされている。施術装置110は、患者104に対して胸部圧迫を実施している。胸部圧迫を実施しながら、施術装置110は、データ114Aをモニタリング装置に送信し、モニタリング装置106はデータ114Aを施術装置110から受信する。本開示における様々な実施例に記載されているように、モニタリング装置106は、このデータ114Aを分析して1つ又は複数のアクションを実施する。
図1Aの例では、モニタリング装置106は、データ114Aを分析することにより、1つ又は複数の制御パラメータを決定する。制御パラメータは、モニタリング装置106による患者104に対する治療の実施を制御するように決定されてもよい。よって、
図1Aは、モニタリング装置106が治療116を患者104に対して実施しているところを図示したものであり、この例では、治療116は、施術装置110から受信したデータ114Aを分析することにより決定された1つ又は複数の制御パラメータに基づいて実施されている。
【0033】
いくつかの実施例では、
図1Aのモニタリング装置106により決定される1つ又は複数の制御パラメータは、モニタリング装置106により患者104に対して治療116を実施するタイミングを示すものである。この構成によれば、治療116をそのタイミングでモニタリング装置106により実施し、施術装置110により実施されている胸部圧迫と治療116との実施を連携させることができる。例えば、モニタリング装置106は、データ114Aを分析して、連続する胸部圧迫の間の近々の一時停止又はインターバルにおいて行われる治療116を患者104に対して実施するタイミングを決定する構成であってもよい。この例では、モニタリング装置106が受信するデータ114Aは胸部圧迫のタイミング及び/又はテンポを示すものであってもよく、装置106及び110の各クロックが同期しているなら、本明細書において記載するように、治療116を、施術装置110が実施する連続する胸部圧迫の間の一時停止又はインターバルに対応する時間において実施することができる。いくつかの実施例では、
図1Aのモニタリング装置106により決定される1つ又は複数の制御パラメータは、モニタリング装置106により患者104に対して供給される電気ショックのレベルを示すショックパラメータである。
【0034】
モニタリング装置106により実施される治療116は、除細動、ペーシング、その他の好適なタイプの治療であってもよい。除細動の治療は、放電回路を介して患者104に電気ショックを出力することを含み、ここで、電気ショックは、致死的不整脈から患者104を回復させるのに役立つように設計されている。ペーシングの治療は、放電回路を介して患者104に電気ショック(又はペーシングパルス)を出力することを含み、ここで、電気ショックは心拍数を制御及び/又は修正するように設計されている。
【0035】
治療116が除細動である一実施例では、モニタリング装置106により実施される除細動ショックの出力を、連続する胸部圧迫の間の一時停止又はインターバルと連携することができる。この場合、胸部圧迫の一時停止若しくはインターバルの期間及び/又はタイミングは、電気ショックの供給に対して最適化されたものであってもよい。例えば、施術装置110は、モニタリング装置106が実施する患者104に対する除細動ショックの供給に合わせて胸部圧迫のタイミング及び/又はテンポを調整する構成であってもよい。いくつかの実施例では、例えば、施術装置110の胸部圧迫デューティサイクル、及び/又は、施術装置110のアップストロークデューティサイクル及び/若しくはダウンストロークデューティサイクルを鑑みて患者104に対する除細動ショックを供給することで、施術装置110が連続して胸部圧迫を実施している時にモニタリング装置106による1回又は複数回の除細動ショックの出力を行うことができる。
【0036】
治療116がペーシングである一実施例では、モニタリング装置106が出力するペーシングパルスのテンポを、施術装置110により実施される胸部圧迫と連携させることができる。この連携施術は、例えば、患者が無脈性電気活動(PEA)、徐脈(例えば、心調律が遅い、及び/又は収縮が弱い)、p波心静止、及び/又は、低血圧(例えば、閾値血圧を下回るもの)を示していることをセンサ108が検知する場合に有用である場合がある。
【0037】
図1Aに関連する前記の実施例では、施術装置110により実施されている施術(例えば、胸部圧迫)を停止又は中断せずに、治療116をモニタリング装置106により実施することができる。モニタリング装置106により患者104のモニタリング及び/又は治療を実施しながら施術装置110のダウンタイムを無くす、又は最小限に抑制することができるので、患者104にとって利益となり、患者104のアウトカムの改善となりうる。例えば、施術装置110は、モニタリング装置106によるモニタリング及び/又は治療116(例えば、除細動、ペーシングなど)に関わらず、中断することなくCPR治療の一環として胸部圧迫を継続することができるので、患者104が致死的不整脈(例えば、心室細動(VF))などの致死的な医療事象から回復するという結果になる場合もありうる。
【0038】
図1Bを参照して、モニタリング装置106がモニタ搭載型除細動器であり、施術装置110が機械式胸部圧迫装置である他の一実施例を下記に説明する。モニタリング装置106と施術装置110とは、確立された通信チャンネル112により示されるように、ペアリングされている。モニタリング装置106は、除細動、ペーシング、又はその他の好適な治療を患者104に対して実施している。治療を実施しながら、モニタリング装置106はデータ114Bを施術装置110に送信し、施術装置110はモニタリング装置106からデータ114Bを受信する。本開示における様々な実施例に記載されているように、施術装置110はこのデータ114Bを分析して1つ又は複数のアクションを実施する。
図1Bの例では、施術装置110は、データ114Bを分析して、1つ又は複数の制御パラメータを決定する。制御パラメータは施術装置110による患者104に対する治療118の実施を制御するように決定されてもよい。よって、
図1Bは、施術装置110が治療118を患者104に実施しているところを図示したものであり、この例では、治療118は、モニタリング装置106から受信したデータ114Bを分析することにより決定された1つ又は複数の制御パラメータに基づいて実施されている。
【0039】
いくつかの実施例では、モニタリング装置106から受信するデータ114Bは患者104に関する生理学的パラメータを示すものである。例えば、センサ108は、患者104に関する終末呼気ガスパラメータ(例えば、ETCO2)、患者104に関する血中酸素濃度、患者104に関する血圧、患者104のECG、及び/又は、患者の内因性心拍を測定するのに使用される構成であってもよく、データ114Bはそのような生理学的パラメータのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを示すものであってもよい。そのようなデータ114Bを分析して、施術装置110は、患者104に対して実施される治療118(例えば、胸部圧迫)に関する1つ又は複数の制御パラメータ(例えば、患者104に対して実施される胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は位置)を決定する構成であってもよい。このような構成によれば、例えば、患者104のアウトカムの向上を目的として、治療118を1つ又は複数の制御パラメータに基づいて施術装置110が実施することができる。
【0040】
例示的な一実施例では、施術装置110は、データ114Bを分析して、患者104に対して実施される胸部圧迫のテンポを決定し、胸部圧迫をそのテンポで施術装置110により実施することができる。
図1Bでは、これを治療118の実施として図示している。例えば、データ114Bが患者104の内因性心拍及び/又はECGを示すものの場合、施術装置110は、胸部圧迫のテンポを患者の内因性心拍に合うように調整する(例えば、胸部圧迫のテンポを内因性心拍のテンポに合うように調整するなどの)構成であってもよい。これは、例えば、患者が循環性ショックの場合などで、有用となりうる。
【0041】
他の実施例では、施術装置110は、データ114Bを分析して、胸部圧迫が実施される位置である患者104に対する位置を決定する構成であってもよく、胸部圧迫をその位置(例えば、患者104の胸部上の特定の位置)にある施術装置110により患者104に対して実施することができる。この例において、データ114Bが、患者104には、現在胸部圧迫が実施されている位置よりも胸部上の他の位置にて胸部圧迫を実施したほうがよいと示すことがある。よって、施術装置110は、治療118を実施するために患者104の胸部を圧迫及び/又は引き上げている施術装置110の部品(例えば、コンプレッサ)の位置を自動的に調整する機構(例えば、1つ又は複数のモータやギアアッセンブリ)を備えた構成であってもよい。
【0042】
その他の実施例では、施術装置110は、データ114Bを分析して、患者104に対して実施する胸部圧迫の深度を決定する構成であってもよく、胸部圧迫をこの決定された深度で施術装置110により患者104に対して実施することができる。施術装置110は、胸郭を拡張するように胸部を上方に(つまり外側に)引っ張るなど能動的に患者の胸部の減圧を行うように構成されていてもよいので、施術装置110は、例えば、データ114Bを分析して、患者104に対して実施されるそのような能動的減圧がその高さまで実施される高さを決定する構成であってもよく、患者104に対してそのような能動的減圧を実施することができる。本明細書において、用語「胸部圧迫」は、胸部圧迫装置が胸部を外側に引っ張る能動的減圧を包含することができることは理解されるであろう。
【0043】
いくつかの実施例では、
図1Bの例においてモニタリング装置106から受信するデータ114Bは、施術装置110が実施する治療118を制御する1つ又は複数の制御パラメータを示す。つまり、モニタリング装置106は、治療118をどのように施術装置110が実施するのかを決定する構成であってもよく、対応する制御データを施術装置110に送信する構成であってもよい。例えば、データ114Bは、
図1Bの治療118として施術装置110により実施される胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は位置を示すものであってもよい。モニタリング装置106は、データ114Bを介して送信される前記の1つ又は複数の制御パラメータの決定を好適な方法で行えばよく、例えば、モニタリング装置106が患者104に対して実施する治療に関するパラメータを分析するなどして行ってもよい。そのようなパラメータは、本明細書に記載のように、患者104の生理学的パラメータであってもよい。例えば、患者104の内因性心拍及び/又はECGを検出するのにモニタリング装置106がセンサ108を使用する場合、モニタリング装置106から施術装置110に送信されるデータ114Bは、胸部圧迫のテンポを示すものであってもよく、施術装置110は、データ114Bを分析して、胸部圧迫のテンポが患者104の内因性心拍に合うように連携して胸部圧迫をそのテンポで実施する構成であってもよい。
【0044】
よって、モニタリング装置106と施術装置110は、本明細書に記載の様々な例示的な態様により、これらが実施するモニタリング及び/又は施術を連携するように構成されて、装置106及び110間のコンフリクトを最小限に抑制し、装置106及び/若しくは装置110のダウンタイムを最小限に抑制し、装置106及び/若しくは装置110が実施するモニタリングや治療の効率を向上する。例えば、いくつかの場合では、もし施術装置110が胸部圧迫を実施している時にモニタリング装置106が電気ショックを実施すると、患者104に対して害を及ぼす場合がある。よって、もし、例えば、モニタリング装置106が患者104のECGを分析して患者104が心室細動を起こしていると判断した場合、患者104を負傷させる可能性を回避するために、モニタリング装置106は、除細動ショックの供給を、実行中の胸部圧迫と連携させることができ(例えば、除細動治療116を、連続する胸部圧迫の間の近々の一時停止又はインターバルにおいて実施するなど)、そのような一時停止/インターバルのタイミング及び/又は期間を、そのような除細動治療116の実施を鑑みて最適化することができる。その他の実施例では、モニタリング装置106は、施術装置110に指示を送信し、施術装置110に、モニタリング装置106が電気ショックを実施している間、胸部圧迫を一時停止又は停止するように指示する構成であってもよい。
【0045】
他の具体的な実施例では、モニタリング装置106は患者モニタであり、施術装置110はECMO、又は、患者104の血液から二酸化炭素を除去し、患者104の血中酸素濃度を向上させ、患者104の全身に血液をポンプするその他の体外生命維持(ECLS)装置である。いくつかの例では、モニタリング装置106は、患者の末梢酸素濃度が閾値を下回ったことを判断する。それに応じて、モニタリング装置106は、施術装置110の酸素投与量を上げる(又は装置のスイープを調整する)指示をデータ114Bに含めて送信し、施術装置110は、モニタリング装置106からの指示に従って治療118を実施する。
【0046】
その他の実施例では、モニタリング装置106は超音波モニタであり、施術装置110は患者の気道に任意の呼吸数で酸素を導入するように構成された人工呼吸器である。モニタリング装置106の超音波トランスデューサは、超音波を出射して患者104に(例えば、患者104の首に)当て、患者104から分散する超音波を検出するように構成されている。モニタリング装置106は、出射された超音波と検出された超音波とを分析して患者104の部位の画像を生成する。いくつかの場合では、モニタリング装置106は、患者104が胃送気を起こしていることを検知する。それに応じて、モニタリング装置106は、データ114Bに指示を含めて施術装置110に送信し、施術装置110はモニタリング装置106からの指示に従って患者へ投与する気体(酸素など)の流量を下げる。
【0047】
図1A及び
図1Bにおいては、モニタリング装置106及び施術装置110は、直接通信するものとして例示されているが、本開示の実施形態はそれに限定されるものではない。例えば、モニタリング装置106と施術装置110の間の通信として図示及び/又は記載されている通信は、いずれも少なくとも1つの中間装置により中継されてもよい。
【0048】
図2に、モニタリング装置202と施術装置204が1つ又は複数の接続を介して通信するように構成されている例示的な環境200を示す。いくつかの実施例では、モニタリング装置202は、
図1A及び
図1Bを参照して上記に説明したモニタリング装置106であり、施術装置204は、
図1A及び
図1Bを参照して上記に説明した施術装置110である。
【0049】
いくつかの実施形態においては、モニタリング装置202と施術装置204は、有線接続206を介してデータを送受信するように構成されている。いくつかの場合では、有線接続206はモニタリング装置202と施術装置204とに接続された物理的なケーブルである。有線接続206は、例えば、モニタリング装置202及び/又は施術装置204と着脱可能に接続されている。例えば、ユーザによりモニタリング装置202のソケット及び/又は施術装置204のソケットに有線接続206を物理的に接続する構成であってもよい。様々な場合では、データは、電気信号及び/又は光信号として有線接続206を介して送信される。ソケットの例としては、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)ソケット、マイクロUSBソケット、医療用コネクタ専用ソケットなどが挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、有線接続206によりモニタリング装置202と施術装置110との間の通信は高い信頼性と低いレイテンシを有するものとなるが、モニタリング装置202及び/又は施術装置204を操作する救助者の動作/移動や、モニタリング装置202及び/又は施術装置204によりモニタリング及び/又は施術されている患者の動き/移動、又は、モニタリング装置202及び/又は施術装置204自身の動作/移動に対する物理的な障害になる場合がある。いくつかの場合では、有線接続206は、救助現場における患者の救助の間一時的にモニタリング装置202と施術装置204とを接続する。例えば、モニタリング装置202と施術装置204は、モニタリング装置202と施術装置204とのペアリングを可能とするデータを送受信し、他の通信チャンネルを介して実質的なデータを送受信する構成であってもよい。
【0051】
いくつかの場合では、モニタリング装置202と施術装置204は、無線接続208を介してデータを送受信する構成であってもよい。無線接続208の例としては、超音波接続、Li-Fi接続、IEEE接続(例えば、Wi-Fi接続、Bluetooth、ZigBee、など)、3GPP接続(例えば、LTE、NR、など)、GSMA(Global System for Mobile Communications Association)接続、ETSI(欧州電気通信標準化機構)接続、などが挙げられる。様々な例では、データは電磁信号(例えば、RFシグナリング、可視光、など)及び/又は超音波信号として無線接続208を介して送信される。いくつかの実施例では、施術装置204との間の無線接続208のために、1つ以上の基地局及び/又は1つ以上のアクセスポイント(AP)を設けてモニタリング装置202が設けられている。
【0052】
様々な場合、無線接続208を介して送信されるデータは暗号化される。例えば、モニタリング装置202がデータを暗号化して、暗号化したデータを(例えば、無線信号として)無線接続208を介して送信し、施術装置204が暗号化されたデータを復号化してデータを復元する。同様に、いくつかの場合、施術装置204がデータを暗号化して、暗号化したデータを(例えば、無線信号として)無線接続208を介して送信し、モニタリング装置202が暗号化されたデータを復号化してデータを復元する。いくつかの場合、暗号化されたデータは、生理学的パラメータ、報告、指示などの実質的なデータを含む。いくつかの実施形態では、モニタリング装置202と施術装置204は、1つ又は複数のキーを用いて暗号化及び/又は復号化を行う。キーは、例えば、ペアリングの際に送受信される。
【0053】
様々な実施形態によれば、モニタリング装置202と施術装置204は、中間装置210を介してデータを送受信するように構成されている。中間装置210の例としては、パスキー、バッジ、カード、携帯装置、タブレットコンピュータ、IoT装置、コンピュータ装置、サーバ、ハブ装置、スマートコット装置、スマート救急カート、その他の医療機器、又は、これらの任意の組み合わせなどが挙げられる。本明細書において、用語「パスキー」及びその均等物は、別の能動装置により生成された電磁界により電力供給されるアンテナを備えた受動装置を意味する場合がある。つまり、パスキーとは、誘導結合により電力供給される構成であってもよい。いくつかの場合、電力供給を受けた場合、パスキーは、能動装置が検知可能な電磁信号を発して、トランスポンダとして機能する構成であってもよい。例えば、パスキーは受動NFCターゲット装置であってもよい。いくつかの実施形態においては、パスキーはモニタリング装置202及び/又は施術装置204を操作する救助者のIDバッジである。
【0054】
いくつかの実施例では、中間装置210は、コットを備える、又は、コットに組み込まれている。本明細書において、用語「コット」及びその均等物は、携帯型患者支持装置を意味する場合がある。例えば、コットは、1人又は複数人の救助者により患者をある場所から他の場所に移動させるのに利用されるものであってもよい。具体例を挙げると、コットは、仰臥位の患者を支持するクッション付きベッド表面を備える。コットは、更に、ベッドが配置される角度や高さを変更、及び/又はその角度や高さでベッドを支持するように構成された調整可能フレームを備えていてもよい。いくつかの場合では、コットは、更に、患者を拘束するように構成された拘束ストラップを備えている。いくつかの場合、前記フレームは、モニタリング装置202及び/又は施術装置204を保持するように構成された支持部に機械的に接続されている。また、コットは、本明細書に記載の様々な機能を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサ及び/又は送受信装置を備えた構成であってもよい。
【0055】
いくつかの場合、モニタリング装置210は、ハブ装置を備えている、又はハブ装置に組み込まれている。本明細書において、用語「ハブ」と「ハブ装置」、及びその均等物は、複数の外部装置に接続され、該複数の外部装置とデータを送受信するように構成された装置を意味する場合がある。例えば、ハブ装置は、複数の装置に接続されたアクセスポイント又は基地局として機能する構成であってもよい。例えば、ハブ装置は、携帯可能である。いくつかの場合、ハブ装置は、場所間を移動するように構成された、救急車などの輸送装置に組み込まれている。例えば、ハブ装置は、本明細書に記載の様々な機能を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサ及び/又は送受信装置を備えた構成であってもよい。
【0056】
中間装置210を第1の有線及び/又は無線接続によりモニタリング装置202に接続し、第2の有線及び/又は無線接続により施術装置204に接続する構成であってもよい。いくつかの実施形態においては、中間装置210をモニタリング装置202に接続する、又は中間装置210を施術装置204に接続する少なくとも1つの無線接続は、無線接続208とはプロトコールが異なるものである。例えば、中間装置210は、モニタリング装置202及び/又は施術装置204とのデータ送受信をNFCシグナリングで行い、無線接続208を介するデータ送信をRFシグナリング(例えば、Bluetoothシグナリング)で行う構成でもよい。
【0057】
様々な実施形態においては、中間装置210は、モニタリング装置202と施術装置204との間のペアリングを容易にする。例えば、ペアリングされると、モニタリング装置202と施術装置204は、無線接続208の確立、及び/又は、無線接続208を介したデータ送受信を行う。また、ペアリングされると、モニタリング装置又は施術装置204は、他方の装置により報告されたパラメータに依存する構成であってもよく、又は、他方の装置により指示されたアクションを実行する構成であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態においては、中間装置210は、モニタリング装置202及び/又は施術装置204にキーを送信する。モニタリング装置202及び/又は施術装置204は、無線接続208を介して送信されるデータを、このキーを使用して暗号化及び/又は復号化する。いくつかの場合、中間装置210は、モニタリング装置202及び/又は施術装置204からこのキーを受信する。いくつかの実施例によれば、中間装置210をこのキーを生成する。いくつかの実施例によれば、中間装置210は、モニタリング装置202と施術装置204との間で実行中の通信のために、モニタリング装置202及び/又は施術装置204に複数のキーを提供する。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、中間装置210は、モニタリング装置202及び/又は施術装置204とペアリングされる。例えば、中間装置210が、モニタリング装置202の識別(例えば、モニタリング装置202に関連付けされた数的識別子)を通知するモニタリング装置202からの信号を受信する構成であってもよい。ユーザが中間装置210(例えば、携帯電話)を操作して、モニタリング装置202を、中間装置210のタッチスクリーン上に出力されたドロップダウンメニューから選択する構成であってもよい。選択に応じて、モニタリング装置202と中間装置210とがペアリングされる。いくつかの場合では、中間装置210は更に施術装置204の識別を示す信号を受信する。例えば、ユーザが中間装置210を操作して施術装置204を選択する。様々な実施形態においては、中間装置210は、モニタリング装置202と施術装置204とをペアリングさせるデータをモニタリング装置202及び/又は施術装置204に送信する。
【0060】
いくつかの実施例では、中間装置210はスマート救急カートの形態であり、モニタリング装置202及び/又は施術装置204を支持及び/又は保持するためのフレームを備え、いくつかの場合、中間装置210は装置202及び204の各バッテリーを充電して、現場における装置202と204の使用可能期間を延長する構成であってもよい。いくつかの実施例では、データ114は、中間装置210を介して装置202及び204間で共有される。いくつかの実施例では、中間装置210は、オペレータが装置202及び204のうちの1つ又は両方を制御して、例えば患者へ治療を実施することを可能にする制御パネルを備えている。
【0061】
図3は、他方の医療機器との通信に基づいて一方の医療機器の出力装置を介して出力された情報の一例を示している。特に、
図3に図示する環境300は、第1医療機器302と、第2医療機器304と、中間装置306とを備えている。第1医療機器302と第2医療機器304は、それぞれ、個人のモニタリング及び/又は治療を行うように構成されている任意の医療機器であってもよい。例えば、第1医療機器302は、
図1A及び
図1Bにて図示されているモニタリング装置106と同じ又は同様の装置であってもよく、第2医療機器304は、1A及び
図1Bにて図示されている施術装置110と同じ又は同様の装置であってもよい。いくつかの場合、中間装置306は、第3医療機器(例えば、スマートコット、スマート救急カート、薬剤投与装置、など)、又は、汎用コンピュータ、携帯装置(例えば、携帯電話など)、タブレットコンピュータ、IoT装置、ハブ、基地局、アクセスポイント、などの非医療機器である。
【0062】
第1医療機器302は、情報を出力するように構成された1つ又は複数の出力装置を備えており、この情報は、
図1A及び
図1Bに示す救助者102などの、第1医療機器302の近くにいるユーザ、又は、第1医療機器302を操作しているユーザが利用可能なものであってよい。前記情報は、上記構成に加え、又は、上記構成の代わりに、第1医療機器302及び/又は第2医療機器304により実施されている施術を受けている患者104により利用可能なものであってよい。第1医療機器302の出力装置は、1つ又は複数のライト308、及び/又は1つ又は複数のディスプレイ310を備えた構成であってもよい。具体的には図示しないが、第1医療機器302の出力装置は、更に、1つ又は複数の送受信装置(例えば、1つ又は複数の送信機、1つ又は複数のスピーカ、1つ又は複数の触覚アクチュエータ、又は、任意の他の好適なタイプの1つ又は複数の出力装置)を備えた構成であってもよい。いくつかの実施例においては、第2医療機器304及び/又は中間装置306がそれぞれ備える出力装置は、全て、又は、その一部が同じタイプの出力装置である。例えば、
図3には、第2医療機器304は1つ又は複数のライト312と、1つ又は複数のディスプレイ312を備え、中間装置306は1つ又は複数のディスプレイ316を備えるものとして図示されている。装置302、304、及び306のそれぞれは、本明細書に記載の様々な技術を使用してそれぞれの出力装置を介して情報を出力するように構成されている。
【0063】
また、第1医療機器302及び第2医療機器304は、例えば、本明細書に記載の様に、連携ケアデータ114を送受信することで、お互いと通信する構成であってもよい。いくつかの実施例では、データ114の受信側の装置及び/又は中間装置306が、受信側の装置が受信したデータ114の分析に基づいて1つ又は複数のローカルな出力装置を介して情報を出力するように構成されている。
図3に、第1医療機器302がディスプレイ310上にて出力できる情報のタイプの様々な例を示す。
【0064】
いくつかの実施例では、第1医療機器302は、警告状態の(又は警告状態がないことの)通知318を出力する。例えば、第1医療機器302は、第2医療機器304からデータ114Aを受信し、データ114Aを分析して、第2医療機器304に関する警告状態を判断し、1つ又は複数の出力装置(例えば、ディスプレイ310)を介して、警告状態についての通知318を出力する。
図3の例では、警告状態についての通知318は、現時点では警告状態がないことを示している。警告状態がない場合、いくつかの実施例では、通知318を出力しなくてもよいことは理解されよう。いくつかの実施例では、第1医療機器302の警告と第2医療機器304の警告とは同期されており、医療機器302又は304のどちらか一方が医療機器302と304のいずれか又は両方に関する警告を出力するように構成されている。
図3の例では、第1医療機器302が、第1医療機器302又は第2医療機器304のいずれか又は両方の装置に関する警告を出力するように構成されていてもよい。通知318は、様々なタイプの警告状態を通知するように構成されていてもよい。例えば、第1医療機器302が第2医療機器304から受信するデータ114Aが第2医療機器304の動作に不具合があると通知するものの場合(例えば、第2医療機器304のコンプレッサが適切に作動していないこと、動作が妨害されていること、位置がずれていること、など)、警告状態についての通知318により、第2医療機器304に関するそのような不具合を通知する構成であってもよい。他の一実施例では、第1医療機器302が第2医療機器304から受信するデータ114Aが第2医療機器304のバッテリー残量が閾値を下回ったことを通知するものであり、データ114Aを分析して、第1医療機器302が、1つ又は複数の出力装置(例えば、ディスプレイ310)を介して、第2医療機器304のバッテリー残量が少ないことを示す通知318(例えば、低残量バッテリーアラーム)を出力する構成であってもよい。警告状態についての通知318の他の例としては、第1医療機器302と第2医療機器304の間の無線通信(例えば、通信チャンネル112)が切れたことの通知318、第1医療機器302と第2医療機器304の間の無線通信(例えば、通信チャンネル112)が回復したことの通知318、第1医療機器302が第2医療機器304から受信したデータが破損していることの通知318、第2医療機器304がモニタリングしている患者104の1つ又は複数の生理学的パラメータが測定範囲外(例えば、閾値を超えている、又は、下回っている)ことの通知318、第2医療機器304にインストールされているソフトウェアが未更新、及び/又は、ソフトウェアの更新が第2医療機器304に対して可能であることの通知318、患者104の動作を第2医療機器304が検知したことの通知318、(例えば、患者104に関するインピーダンスの変化を検知したことに基づいて)ある装置が患者104から外れたことの通知318、第2医療機器304が起動時のセルフテストにおいてエラーを示したことの通知318、第2医療機器304が起動時にセルフテストを行っていることの通知318、第2医療機器304が実施している胸部圧迫の圧迫パターンの深度が深すぎる(例えば、閾値深度を超過している)ことの通知318、第2医療機器304が実施している胸部圧迫の圧迫パターンの深度が浅すぎる(例えば、閾値深度を下回っている)ことの通知318、第2医療機器304が実施している胸部圧迫の圧迫パターンにタイミングの問題が生じていることの通知318、第2医療機器304の温度が高すぎる(例えば、閾値温度を超過している)ことの通知318、第2医療機器304の内蔵ハードウェアエラーについての通知318、第2医療機器304のバッテリー温度が高すぎる(例えば、閾値温度を超過している)ことの通知318、第2医療機器304のバッテリー電力が切れるまでの残り時間の通知318、第2医療機器304のコンプレッサが、第2医療機器304の電源がオフになっている間に、引き位置(例えば、上側位置)に移動することの通知318、第2医療機器304のコンプレッサが、下限開始位置より下にあること(つまり、第2医療機器304で施術するには患者104が小さすぎること)の通知318、第2医療機器304のコンプレッサの圧迫パッドと患者の胸部との間に隙間があることが検知されたことの通知318、第2医療機器304が「一時停止」モードにロックされている時に、第2医療機器304のコンプレッサが押し下げられたことの通知318、人工呼吸(例えば、近々の人工呼吸、人工呼吸の一時停止、など)に関する通知318、第2医療機器304の内部温度が上昇していることの通知318、及び/又は、CPRに関する又はオペレータにアクションを行うことを促す連続タイマーに関する通知318などが挙げられる。そのような警告状態についての通知318を第1医療機器302の1つ又は複数の出力装置を介して出力する構成は、例えば、第2医療機器304が出力装置を備えていない場合や、第2医療機器304が、第1医療機器302によって出力される警告状態についての通知318と同じ又は同様の通知318を出力することが可能ではあるが、オペレータ(例えば、救助者102)が第1医療機器302の出力装置を介して出力された情報を利用(例えば、視認)する方が便利な場所にいる場合などで、有用でありうる。
【0065】
いくつかの実施例では、第1医療機器302は、患者104に投与される薬剤についての通知320を出力するように構成されている。第2医療機器304が胸部圧迫(例えば、CPR治療)を患者104に実施する機械式胸部圧迫装置である一実施例の場合、通知320に関連付けされている薬剤は、エピネフリン、アミオダロンなどのCPR時に患者104に投与される薬剤であってもよい。いくつかの実施例では、第1医療機器302及び/又は第2医療機器304は、CPR中の患者104に対して、どのタイプの薬剤を投与するか、及び、いつ投与するかを、ガイドラインの参照、及び/又はアルゴリズムの使用により判断するように構成されている。例えば、ガイドライン及び/又はアルゴリズムにより、第1医療機器302に、患者104に対してある薬剤を、例えば、2分毎、4分毎、又は、6分毎などの時間間隔で投与するべきであるという通知320を出力させる構成であってもよい。
図3の例では、薬剤についての通知320は、エピネフリンを患者104に対して2分後に投与するように通知している。この通知320の一例における時間「2分」は、時間の経過につれて秒単位又は分単位などで減るカウントダウンタイマであってもよく、警告状態についての通知318が、カウントタイマがゼロになった時に、薬剤投与を行うようにオペレータ(例えば、救助者102)に注意喚起するという構成であってもよい。いくつかの実施例では、第1医療機器302が出力する薬剤についての通知320は、上記に記載のセンサ108を介してなどして第1医療機器302が取得したデータに基づいたものである。例えば、第1医療機器302は、血圧、血中酸素濃度、終末呼気ガスパラメータ(例えば、ETCO
2)、などの生理学的パラメータをモニタリングするように構成されたモニタ搭載型除細動器であってもよく、そのような生理学的パラメータデータを分析して、第1医療機器302は、患者104に投与する薬剤と、いくつかの場合では、その薬剤の投与時間とを判断するように構成されていてもよい。よって、通知320は、薬剤と、その薬剤の投与時間とを通知するものであってもよい。いくつかの実施例では、第1医療機器302は、第2医療機器304からデータ114Aを受信し、データ114Aを分析して、患者104に投与する薬剤を判断し、1つ又は複数の出力装置(例えば、ディスプレイ310)を介して、薬剤についての通知320を出力する構成であってもよい。例えば、第2医療機器304により患者104に対して実施される胸部圧迫の1つ又は複数のパラメータに基づいて、第1医療機器302は、患者104に対して投与する薬剤のタイプと、その薬剤の投与時間を判断する構成であってもよい。よって、通知320は、薬剤と、その薬剤の投与時間とを通知するものであってもよい。いくつかの実施例では、中間装置306は、例えば、薬剤を静脈に投与するための静脈注射を介して、ユーザの介入なしに自動的に薬剤を投与するように構成された装置である。この例では、薬剤とその薬剤の投与時間は、第1医療機器302により判断されており、中間装置306に通知されて、中間装置306が、適切な時間に自動的に対象104にその1つ又は複数の薬剤を投与する、及び/又は、中間装置306のディスプレイ316上に通知320を表示する。
【0066】
いくつかの実施例では、第1医療機器302は、第2医療機器304により患者104に対して実施されている治療(例えば、胸部圧迫)に関連する1つ又は複数の施術パラメータについての通知322を出力するように構成されている。例えば、第1医療機器302は、第2医療機器304からデータ114Aを受信し、データ114Aを分析して、患者104に対して実施されている胸部圧迫に関連する、例えば、胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は、位置などの1つ又は複数の施術パラメータを判断する。
図3の例では、特に値を記載せずに通知322により出力されたこれらの施術パラメータを示しており、第2医療機器304が患者104に対する治療(例えば、胸部圧迫)の実施を開始する前などでありうる。しかし、第2医療機器304が患者104に対する治療(例えば、胸部圧迫)の実施を開始すると、第2医療機器304は、これらの施術パラメータを示すデータ114Aを第1医療機器302に送信し、データ114Aを分析して、第1医療機器は、第2医療機器304に関連する1つ又は複数の施術パラメータを判断し、患者104に対して実施されている胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は、位置の通知322を、1つ又は複数の出力装置(例えば、ディスプレイ310)を介して出力する構成であってもよい。
【0067】
いくつかの実施例では、第1医療機器302のオペレータは、第1医療機器302を操作して、第2医療機器304が患者104に対して実施している治療(例えば、胸部圧迫)に関する施術パラメータの1つ又は複数を手動で調整することができる。例えば、オペレータは、ディスプレイ310にユーザ入力して第2医療機器304に関連する施術パラメータ(例えば、深度パラメータ)を選択し、施術パラメータの選択操作に応じて、1つ又は複数のインタラクティブ要素(例えば、上向き矢印及び下向き矢印、プラスアイコンとマイナスアイコン、など)がディスプレイ310上に表示される構成であってもよい。インタラクティブ要素は選択されると、その施術パラメータを新しい値に調整するものである。オペレータによる施術パラメータの調整に応じて、第1医療機器302は、施術パラメータ(例えば、深度パラメータ)を新しい値に調整するための、制御パラメータ及び/又は調整後の施術パラメータを含んでいるデータ114Bを第2医療機器304に送信することができる。第2医療機器304は、データ114Bを分析して施術パラメータの新しい値を判断し、施術パラメータを新しい値に調整する構成であってもよい。このようにして、オペレータ(例えば、救助者102)は、第2医療機器が実施している治療に関連する施術パラメータを、例えば、ユーザ入力を(例えば、タッチスクリーンディスプレイ310、ボタン、ノブ、音声コマンドなどを介して)第1医療機器302に行うことなどで、遠隔で調整することができる。第1医療機器302にユーザ入力をするオペレータが、第2医療機器304が実施している治療の一時停止や、第2医療機器304が実施している治療の再開など、他の制御操作も手動で行う構成でもよいことは、理解されるであろう。
【0068】
いくつかの実施例では、第1医療機器302は、患者104に関する、ECG(例えば、ECG波形)などの1つ又は複数の生理学的パラメータについての通知324を出力する構成である。第2医療機器304が治療(例えば、胸部圧迫)を実施しているので、第1医療機器302による生理学的モニタリングと分析(例えば、ECG分析)を、その治療における1回又は複数回の一時停止又はインターバル(例えば、連続する胸部圧迫の間の一時停止又はインターバル)と連携させて、結果としての信号の最適化、及び/又は、第2医療機器304により実施されている治療(例えば、胸部圧迫)の中断の最小限化を図る構成であってもよい。いくつかの実施例では、胸部圧迫により生じたアーチファクトを第1医療機器302が除去して、生理学的パラメータのモニタリングと分析(例えば、ECG分析)を最適化する構成であってもよい。例えば、第1医療機器302は、第2医療機器304が実施している胸部圧迫のタイミング及び/又はテンポの判断を様々な方法で行うように構成でき、例えば、センサ108を使用する、及び/又は、第2医療機器304からデータ114Aを受信するなどして行うように構成することができる。例示すると、センサ108(
図1A及び
図1Bに図示)は、患者104のECGを含む信号を検出するように構成されたECGセンサ(例えば、患者104の胸部上に配置された、又は、固定された複数のECG電極などの複数の電極)を備えた構成であってもよい。第1医療機器302は、経時的にECG電極間の電圧を検出するように構成された検出回路を備えている。経時的な電圧は、例えば、患者104のECGを含む。様々な実施形態において、センサ108が検出する信号も、第2医療機器304により患者104に対して実施される胸部圧迫によるアーチファクトを含む。第1医療機器302は、ECGセンサにより検出された信号を分析するように構成されている。様々な場合、第1医療機器302は、患者104に実施された胸部圧迫のタイミングを特定する(例えば、経時的電圧におけるアーチファクトを特定する)、及び/又は、テンポを特定する(アーチファクトが経時的電圧に現れるテンポを測定する)。他の実施例では、第1医療機器302は、データ114Aを第2医療機器304から受信し、データ114Aを分析して、患者104に対して実施されている胸部圧迫のタイミング及び/又はテンポを判断する。いずれの場合も、第1医療機器302は、第2医療機器304により実施されている胸部圧迫のタイミング及び/又はテンポを特性とするフィルタ(例えば、デジタルフィルタ)を特定、選択、又は生成するように構成されている。例えば、第1医療機器302は、胸部圧迫のテンポに対応する帯域と、胸部圧迫のテンポの1つ又は複数の高調波とを拒絶するコムフィルタを特定、選択、又は生成する。第1医療機器302は、患者104の生理学的パラメータを示す生理学的データ(例えば、ECG)から胸部圧迫アーチファクトを、フィルタ(例えば、デジタルフィルタ)を生理学的データに適用することで(例えば、センサ108が検出した経時的電圧にフィルタを適用することで)、除去する。これにより、患者104の1つ又は複数の生理学的パラメータ(例えば、ECG)は、胸部圧迫アーチファクトが存在している信号よりも、結果得られた信号においてより最適化(例えば、より明確化)される。
【0069】
図4、
図5、
図6、及び
図7に、本明細書に記載の1つ又は複数のシステム、装置、又は、エンティティにより実行されるプロセスを図示する。例えば、
図4、
図5、
図6、及び
図7に図示するプロセスは、モニタリング装置106、モニタリング装置202、第1医療機器302、施術装置110、施術装置204、第2医療機器304、本明細書に記載の任意のタイプの医療機器、又は、指示を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサの少なくとも1つを備えるエンティティにより実施される。
【0070】
図4に、第2医療装置から受信したデータに基づいて第1医療機器が治療を実施する一例であるプロセス400を図示する。ブロック402において、第1医療機器が、対象(例えば、患者104)に治療を実施している第2医療機器からデータを受信する。いくつかの実施形態では、ブロック402において受信するデータは、本明細書に記載の連携ケアデータ114である。この連携ケアデータ114は、対象のモニタリング及び/又は施術に関する実質的なデータを示すものである。いくつかの実施形態では、ブロック402において受信するデータ114は、対象のECG、対象の内因性心拍、又は、本明細書に記載の他の好適な生理学的パラメータのいずれかなどの、対象の1つ又は複数の生理学的パラメータを示すものである。いくつかの実施形態では、ブロック402において受信するデータは、第2医療機器によって実施されている施術(例えば、治療)に関連する施術パラメータを含む。いくつかの実施形態では、ブロック402において受信するデータは、1つ又は複数の指示を含むものであり、指示は、例えば、第1医療機器に、対象の生理学的パラメータの検知、対象への施術の実施、対象への施術の停止、対象への施術の修正、又は、これらの任意の組み合わせを実施するように指示する指示などである。いくつかの実施形態では、ブロック402で受信するデータ114は、第1医療機器と第2医療機器とがクロックを同期することを可能にする同期データを含む。
【0071】
ブロック404において、第1医療機器が、データ114を分析することにより、第1医療機器による対象に対する治療の実施を制御するための1つ又は複数の制御パラメータを決定する。いくつかの実施形態において、ブロック404にて決定される制御パラメータは、治療が実施されるタイミングを示すタイミングパラメータである。そのようなタイミングパラメータは、治療を実施するテンポ、治療を実施するデューティサイクル、などであってもよい。いくつかの実施形態において、ブロック404にて決定される制御パラメータは、治療が実施される強度や程度(例えば、深度、高さ、力、など)を示す強度パラメータである。いくつかの実施形態において、ブロック404により決定される制御パラメータは、治療が実施される位置である、対象に対する位置など(対象の胸部など、対象の身体上の位置)の位置パラメータである。
【0072】
ブロック406において、第1医療機器は、制御パラメータに基づいて対象に治療を実施する。例えば、ブロック406において、第1医療機器は、ブロック404で決定されたタイミング、強度、程度、及び/又は位置に基づいて治療を実施することができる。プロセス400をどのように実施しうるかについて例示するために、下記に使用の例を説明する。
【0073】
プロセス400の実施の一具体例では、第1医療機器がモニタ搭載型除細動器(例えば、体外式除細動器)であり、第2医療機器が機械式胸部圧迫装置である。本具体例では、ブロック402において、モニタ搭載型除細動器が、対象に対して胸部圧迫を実施している機械式胸部圧迫装置からデータ114Aを(例えば、送受信装置を介して)受信する。ブロック404において、モニタ搭載型除細動器は、データ114Aを分析して、モニタ搭載型除細動器による対象に対する治療116の実施を制御するための1つ又は複数の制御パラメータを決定する。ブロック406において、モニタ搭載型除細動器は、制御パラメータに基づいて対象に対する治療116を実施する。いくつかの実施形態において、モニタ搭載型除細動器の放電回路に電気ショックを対象に対して出力させることで、治療116をブロック406において実施する。いくつかの実施形態において、ブロック406において実施される治療116は、除細動である。いくつかの実施形態において、ブロック406において実施される治療116は、ペーシングである。いくつかの実施形態において、ブロック404において決定される制御パラメータは、機械式胸部圧迫装置によって対象に対して実施されている胸部圧迫と連携して治療116をモニタ搭載型除細動器により対象に対して実施するタイミングを示すものである。この例では、ブロック406において、このタイミングに基づいてモニタ搭載型除細動器が対象に対して治療116を実施する(例えば、電気ショックを供給する)。これにより、モニタ搭載型除細動器と機械式胸部圧迫装置とがそれぞれ対象に対して実施している各治療(例えば、電気ショックと胸部圧迫)とを連携させることができる。いくつかの実施形態において、ブロック404において決定される制御パラメータは、モニタ搭載型除細動器により対象に対して供給される電気ショックのレベルを示すショックパラメータである。この例では、ブロック406において、電気ショックは、モニタ搭載型除細動器により、このショックレベルで対象に対して供給される。
【0074】
プロセス400の実施の他の例では、第1医療機器が機械式胸部圧迫装置であり、第2医療機器がモニタ搭載型除細動器(例えば、体外式除細動器)である。この具体例では、ブロック402において、機械式胸部圧迫装置が、対象に対して治療(例えば、除細動、ペーシング、など)を実施しているモニタ搭載型除細動器からデータ114Bを(例えば、送受信装置を介して)受信する。ブロック404において、機械式胸部圧迫装置は、データ114Bを分析して、機械式胸部圧迫装置による対象に対する治療118(例えば、胸部圧迫)の実施を制御するための1つ又は複数の制御パラメータを決定する。ブロック406において、機械式胸部圧迫装置は、制御パラメータに基づいて対象に対する治療116を実施する。いくつかの実施形態において、ブロック404にて決定される制御パラメータは、対象に対して胸部圧迫を実施するテンポである。この例では、ブロック406において、胸部圧迫は、決定されたテンポで対象に対して実施される。いくつかの実施形態において、データ114Bは、対象の内因性心拍を示すものであり、ブロック406において実施される胸部圧迫のテンポが対象の内因性心拍と合うように連携する。いくつかの実施形態において、ブロック404にて決定される制御パラメータは、胸部圧迫が実施される位置である、対象に対する位置である。この例では、ブロック406において、胸部圧迫は、決定された位置にて対して実施される。いくつかの実施形態において、ブロック404において決定される制御パラメータは、対象に対して実施される胸部圧迫の深度である。この例では、ブロック406において、胸部圧迫は、決定された深度で対象に対して実施される。いくつかの実施形態において、ブロック404において決定される制御パラメータは、胸部圧迫が実施される力である。この例では、ブロック406において、胸部圧迫は、決定された力で対象に対して実施される。いくつかの実施形態において、これらの制御パラメータの例、及び/又は本明細書に記載の他の制御パラメータの例の任意の組み合わせを決定し、ブロック406にておいて胸部圧迫の実施を制御するのに使用してもよい。上記のように、1つ又は複数の制御パラメータを決定するために分析されるデータ114Bは、本明細書に記載のセンサ108を用いてなどしてモニタ搭載型除細動器により検知された生理学的パラメータデータであってもよい。そのような生理学的パラメータデータに含まれる生理学的パラメータの例としては、対象のETCO2(例えば、対象の気道において検知されたETCO2の減少は、肺血流量の低下を示すものである可能性があるが、末梢血管を収縮させ、肺を通る前方血流全体、つまり、二酸化炭素を減少させることがあるエピネフリンを対象に最近投与しているならば、それを考慮したものであってもよい)、フォトプレチィスモグラフィ信号(例えば、モニタ搭載型除細動器のパルスオキメータモジュールにより収集されたフォトプレチィスモグラフィ信号の振幅の低下を示している場合に、エピネフリンを対象に最近投与しているならば、それを考慮に入れたものであってもよい)、対象の血圧(例えば、動脈ライン及び/又は動脈内のセンサを用いてモニタ搭載型除細動器により検出された観血血圧であり、実行中のCPRによる収縮期血圧又は平均血圧の減少を示すものや、拡張期血圧の減少を示すものであってもよい)、対象の脳酸素飽和度(SrO2)、対象のECG、対象の超音波画像及び/又は超音波信号(例えば、ある血管の血流が閾値未満の値に低下したことを示すドップラー、機械式胸部圧迫装置が左心室の流出路を圧迫していることを示唆する画像、など)などが挙げられる。よって、実行中の胸部圧迫に対する対象の反応が良くないと生理学的パラメータデータが示す場合、対象のアウトカムを改善するように胸部圧迫の1つ又は複数の制御パラメータをすぐに調整することができる。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の制御パラメータは、対象に対して(例えば、対象の胸部上の他の位置に)移動するなどして、機械式胸部圧迫装置に自己調整させるようなものであってもよい。機械式胸部圧迫装置は、1つ又は複数のモータと、ギア機構とを備え、コンプレッサなどの特定の部材の位置を調整するように構成されていてもよい。特定の実施例において、モニタ搭載型除細動器によりモニタリングされている対象のECG(例えば、ECG波形)は、機械式胸部圧迫装置により対象に対して実施されている胸部圧迫の1つ又は複数の施術パラメータ(例えば、テンポ、力、深度、位置、など)を示すものであってもよく、もし、施術パラメータが、機械式胸部圧迫装置が対象に対して位置ずれしている、及び/又は機械式胸部圧迫装置が実施している胸部圧迫の深度が対象に対して適切ではない(例えば、浅すぎる、又は、深すぎる)と示している場合は、機械式胸部圧迫装置が対象に対して移動する(例えば、コンプレッサを移動させる)ことで自己調整し、コンプレッサと対象との並びを改善する、及び/又は、対象に対して実施している胸部圧迫の深度を調整する、などを行う構成であってもよい。
【0075】
図5に、第2医療機器が対象に対して実施している治療の一時停止の際に第1医療機器が対象の生理学的パラメータの検出を行うという連携を示す一例であるプロセス500を示す。ブロック502において、第1医療機器は、対象(例えば、患者104)に対して治療を実施している第2医療機器からデータを受信する。ブロック502にて受信するデータ(例えば、連携ケアデータ114)は、プロセス400のブロック402について上記にて説明したデータと同じ又は同様のものであってもよい。
【0076】
ブロック504において、第1医療機器は、データ114を分析して、第2医療機器が対象に対して実施している治療の近々の一時停止又はインターバルの時間を判断する。例えば、ブロック402にて受信したデータ114が、第2医療機器が実施している施術(例えば、治療)に関する施術パラメータを含んでいる場合、第1医療機器は、データを分析して、第2医療機器が実施している実行の治療のタイミング及び/又はテンポを判断して、治療の近々の一時停止又はインターバルの時間を判断(例えば、予測)する構成であってもよい。
【0077】
ブロック506において、第1医療機器は、ブロック504にて判断された一時停止又はインターバルの時間に、対象の生理学的パラメータを示すパラメータ信号を検出する。言い換えると、第1医療機器は、第2医療機器により実施されている治療の一時停止又はインターバルを待ってからパラメータ信号の検出を行う。
【0078】
ブロック508において、第1医療機器は、第1医療機器の1つ又は複数の出力装置(例えば、ディスプレイ)を介して生理学的パラメータ、及び/又はそれに関連する情報を出力する。プロセス500がどのように実施されうるかを例示するために、下記に使用の例を説明する。
【0079】
プロセス500の実施の一具体例では、第1医療機器がモニタ搭載型除細動器(例えば、体外式除細動器)であり、第2医療機器が機械式胸部圧迫装置である。本具体例では、ブロック502において、モニタ搭載型除細動器が、対象に対して胸部圧迫を実施している機械式胸部圧迫装置からデータ114Aを(例えば、送受信装置を介して)受信する。ブロック504において、モニタ搭載型除細動器は、データ114Aを分析して、機械式胸部圧迫装置が対象に対して実施している胸部圧迫のうちの1回に続く近々の停止期間の時間を判断する。ブロック506において、モニタ搭載型除細動器は、ブロック504において判断した一時停止の時間に対象の生理学的パラメータ(例えば、ECG)を検出する。ブロック508において、モニタ搭載型除細動器は、モニタ搭載型除細動器の1つ又は複数の出力装置(例えば、1つ又は複数のディスプレイ)を介して生理学的パラメータ(例えば、ECG波形などのECG)を出力する。これにより、機械式胸部圧迫装置の中断及び/又はそのダウンタイムを最小限に抑制しつつ、対象の生理学的状態のモニタリングを最適化することができるので、モニタ搭載型除細動器による対象の制御パラメータのモニタリングを実施している時に胸部圧迫を中断することなく継続することができる。
【0080】
プロセス500の実施の他の例では、第1医療機器が機械式胸部圧迫装置であり、第2医療機器がモニタ搭載型除細動器(例えば、体外式除細動器)である。この具体例では、ブロック502において、機械式胸部圧迫装置が、対象に対して治療(例えば、ペーシング治療など)を実施しているモニタ搭載型除細動器からデータ114Bを(例えば、送受信装置を介して)受信する。ブロック504において、機械式胸部圧迫装置は、データ114Bを分析して、モニタ搭載型除細動器が対象に対して供給している電気ショックのうちの1回に続く近々の一時停止の時間を判断する。ブロック506において、ブロック504で判断した一時停止の時間に対象の生理学的パラメータの検出を行う。ブロック508において、機械式胸部圧迫装置は、機械式胸部圧迫装置の1つ又は複数の出力装置(例えば、1つ又は複数のディスプレイ)を介して生理学的パラメータを出力する。これにより、モニタ搭載型除細動器の中断及び/又はそのダウンタイムを最小限に抑制しつつ、対象の生理学的状態のモニタリングを最適化することができるので、機械式胸部圧迫装置による対象の制御パラメータのモニタリングを実施している時に治療(例えば、ペーシング治療)を中断することなく継続することができる。
【0081】
図6に第2医療機器から受信したデータを分析することにより第1医療機器の出力装置を介して情報を出力するプロセス600の一例を示す。ブロック602において、第1医療機器は、対象(例えば、患者104)に治療を実施している第2医療機器からデータを受信する。ブロック602において受信するデータ(例えば、連携ケアデータ114)は、プロセス400のブロック402に関して上記にて説明したデータと同じ又は同様のものであってもよい。
【0082】
ブロック604において、第1医療機器は、データ114を分析して、患者に投与する薬剤を判断する。プロセス600の実施の一具体例では、第1医療機器がモニタ搭載型除細動器(例えば、体外式除細動器)であり、第2医療機器が、対象に対して胸部圧迫(例えば、CPR治療)を実施する機械式胸部圧迫装置である。本具体例では、ブロック604において分析されたデータ114は、機械式胸部圧迫装置により対象に対して実施されている胸部圧迫の1つ又は複数の施術パラメータ(例えば、対象に対して実施されている胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は位置など)を含むものであってもよい。よって、モニタ搭載型除細動器は、胸部圧迫の1つ又は複数の施術パラメータを分析して、患者に投与する薬剤のタイプと、その薬剤をいつ投与するかを判断する構成であってもよい。
【0083】
ブロック606において、第1医療機器は、第1医療機器の出力装置を介して薬剤についての通知320を出力する。いくつかの実施例では、通知320は、薬剤を投与する時間を示す。上記の
図3では、この通知の一例を示している。いくつかの実施例では、対象に対して静脈に薬剤を投与するように使用されるIVを介するなどしてユーザの干渉なく自動的に薬剤を投与するように構成されている中間装置306により受信されるように送受信装置を介して通知320を出力するように構成されていてもよい。いくつかの実施例では、ブロック608において出力される通知320に関連付けされた薬剤は、エピネフリン、アミオダロンなどのCPR時に患者104に投与される薬剤であってもよい。また、薬剤についての判断は、ブロック602にてデータ114を受信せずに行われてもよく、ブロック604にてデータ114を分析せずに行われてもよいことは、理解されよう。例えば、上記にて
図3を参照して説明したように、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)により治療(例えば、実行中のCPR)を受けている対象に対して、どのタイプの薬剤を投与するか、及び、いつ投与するかを、ガイドラインの参照、及び/又はアルゴリズムの使用により判断するように構成されていてもよい。
【0084】
ブロック610において、第1医療機器は、データ114を分析し、第2医療機器が対象に対して実施している胸部圧迫のテンポを判断する。例えば、第1医療機器がモニタ搭載型除細動器であり、第2医療機器が機械式胸部圧迫装置である場合、ブロック602にて機械式胸部圧迫装置から受信するデータ114は、胸部圧迫のタイミング及び/又はテンポなど、実施されている胸部圧迫の1つ又は複数の施術パラメータを示すものであってもよい。
【0085】
ブロック612において、第1医療機器は、胸部圧迫のテンポを特性とするフィルタ(例えば、デジタルフィルタ)を特定、選択、又は、生成する。例えば、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、胸部圧迫のテンポに対応する帯域と、胸部圧迫のテンポの1つ又は複数の高調波とを拒絶するコムフィルタを特定、選択、又は生成する。
【0086】
ブロック614において、第1医療機器は、フィルタを生理学的パラメータに適用して、対象の生理学的パラメータを示す生理学的データから胸部圧迫アーチファクトを除去する。例えば、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、センサ108を介するなどして第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)により取得されたECGデータにフィルタ(例えば、デジタルフィルタ)を適用して、対象のECGから胸部圧迫アーチファクトを除去する構成であってもよい。いくつかの実施例では、ブロック614における胸部圧迫アーチファクトの除去は、フィルタを用いて除去された胸部圧迫アーチファクトと共に生理学的パラメータについての通知324を出力することを含む。この例を
図3に示す。
【0087】
ブロック616において、第1医療機器は、データ114を分析し、第2医療機器により対象に対して実施されている胸部圧迫に関するパラメータを判断する。例えば、第1医療機器がモニタ搭載型除細動器であり、第2医療機器が機械式胸部圧迫装置の場合、ブロック602にて機械式胸部圧迫装置から受信するデータ114は、胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は位置などの、実施中の胸部圧迫の1つ又は複数の施術パラメータを示すものであってもよい。例えば、データ114を分析して、ブロック616にて、胸部圧迫のテンポを第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)が判断する構成であってもよい。他の例では、データ114を分析して、ブロック616にて、胸部圧迫の深度を第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)が判断する構成であってもよい。他の例では、データ114を分析して、ブロック616にて、胸部圧迫が実施される力を第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)が判断する構成であってもよい。他の例では、データ114を分析して、ブロック616にて、胸部圧迫がその位置で実施されている、対象に対する位置を第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)が判断する構成であってもよい。これらは、ブロック616にて判断することができる施術パラメータの例にすぎない。
【0088】
ブロック618において、第1医療機器は、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)の出力装置を介して胸部圧迫のパラメータについての通知322を出力する。第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)が胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は位置を示す通知を出力するこの実施例を
図3に示している。この構成は、例えば、オペレータ(例えば、救助者102)が第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)に近いが第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)からは遠い位置にいる場合などで、第2医療機器が実施している治療にアクセスする上でオペレータの助けとなりうる。
【0089】
ブロック620において、第1医療機器は、データ114を分析して、第2医療機器に関する警告状態を判断する。上記に例示したように、警告状態は、第2医療機器の動作不良、第2医療機器のバッテリー残量が少ないこと、その他、対象の近くにいるオペレータ(例えば、救助者102)へ警告を発する原因となりうる第2医療機器のその他の適切なイベント及び/又は状態を示すものであってもよい。
【0090】
ブロック622において、第1医療機器は、第1医療機器の出力装置を介して警告状態についての通知318を出力する。
図3の例では、警告状態についての通知318はディスプレイを介して出力されているが、ブロック622において出力される警告状態についての通知318は、ライト308(例えば、赤などの特定の色、点滅、ストロボなどの出力)及び/又はスピーカ(ビープ音、サイレン、などの警告音の出力)などの追加の出力装置や他のタイプの出力装置を介して出力されてもよいことは、理解されるであろう。よって、プロセス600は、複数の医療機器が関わる連携ケアシナリオにおいて様々なタイプの情報を出力することができ、対象に対してより良い施術を提供する上でオペレータ(例えば、救助者102)の助けとなりうる。
【0091】
図7に、第1医療機器が対象に対して実施している治療に関するパラメータを検出するために、第2医療機器が対象に対して実施している治療を一時停止し、パラメータを分析して、各医療機器が実施している治療をどのように連携させるかを判断する一例のプロセス700を示す。ブロック702において、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、(例えば、送受信装置を介して)第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)に、胸部圧迫をある期間の間一時停止(又は胸部圧迫の施術の中止)する指示を送信する。ブロック704において、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)は、(例えば、送受信装置を介して)、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)から受信する。指示は、一時停止の開始時間と一時停止期間を示すものであってもよい。第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)が実施している実行中の治療を中断するのは理想的ではないかもしれないが、患者のパラメータの検出は、胸部圧迫を一時停止しないと実施が不可能であったり、検出がより困難であったりするため、一時停止の開始時間と一時停止期間とを、患者のパラメータの検出を最適化するために選択する構成であってもよい。
【0092】
ブロック706において、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)は、所定の期間(例えば、一時停止期間)、胸部圧迫を一時停止する。いくつかの実施例では、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)は、一時停止の開始時間を待ち、一時停止期間の長さの胸部圧迫の一時停止を開始時間に開始する。
【0093】
ブロック708において、第1医療機器は、第1医療機器が対象に対して実施している治療に関するパラメータの検出を胸部圧迫が一時停止されている期間に行う。いくつかの実施形態では、ブロック708において検出されるパラメータは、本明細書に記載の生理学的パラメータのうちのいずれかなどの、対象の生理学的パラメータである。そのような生理学的パラメータは、本明細書に記載のセンサ108を用いて検出してもよい。検出された生理学的パラメータの値は、例えば、対象の健康状態及び/又は回復状態を示すものである場合もあるが、場合により、そのような生理学的パラメータの測定値は、胸部圧迫が実施中に(例えば、機械式胸部圧迫装置のコンプレッサのダウンストローク時に)検出されたために、精確ではない可能性がある。いくつかの実施形態では、ブロック708において検出されるパラメータは、対象に対して供給されているペーシングパルスのタイミングなど、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)が対象に対して実施している治療のタイミングを示すタイミングパラメータである。
【0094】
ブロック710において、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、パラメータを分析して、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)による対象に対する治療の実施を制御する制御パラメータを決定する。いくつかの実施形態では、ブロック710において決定される制御パラメータは、対象に対して実施される胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は位置である。例えば、パラメータを分析して、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、ブロック710において、対象に胸部圧迫を実施するテンポ、及び/又は、胸部圧迫を実施する位置である、対象に対する位置、及び/又は、胸部圧迫を対象に対して実施する深度、及び/又は、胸部圧迫を対象に対して実施する力、などを決定する構成であってもよい。
【0095】
ブロック712において、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)に、ブロック710において決定された制御パラメータを示すデータ114Bを送信する。例えば、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)に送信されるデータは、対象に対して実施される胸部圧迫のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、速度、加速度、高さ、及び/又は位置を示すものであってもよい。
【0096】
ブロック714において、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、制御パラメータに基づいて第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)により実施される治療(例えば、胸部圧迫)と連携して治療(例えば、除細動、ペーシング、など)を実施する。例えば、ブロック712において、データ114Bに含めて送信された制御パラメータは、連続する胸部圧迫のインターバルの間に第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)により対象に対して供給される電気ショックを考慮して胸部圧迫のテンポを最適化する構成であってもよい。いくつかの実施形態では、ブロック714において第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)により実施される治療は、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)が制御パラメータに基づいて実施する胸部圧迫と連携して(例えば、胸部圧迫のテンポと連携して)第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)の放電回路に電気ショックを対象に対して出力させることで行われる。
【0097】
いくつかの実施例では、プロセス700は、ブロック702から706まで省略したものであってもよいことは理解されよう。言い換えると、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、ブロック708におけるパラメータの検出の前に胸部圧迫を一時停止するように第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)に能動的に指示しなくてもよい。その代わりに、第1医療機器(例えば、モニタ搭載型除細動器)は、本明細書に記載のように、連続する胸部圧迫のインターバルの間の期間にパラメータの検出のタイミングを合わせる、及び/又は、デジタルフィルタ用いて胸部圧迫アーチファクトを除去するなどして、第2医療機器(例えば、機械式胸部圧迫装置)により実施されている治療を中断させずにブロック708においてパラメータの検出を行う構成であってもよい。また、第1医療機器が対象のモニタリングを行うが治療の実施は行わない場合、ブロック714もプロセス700から省略してよい。この場合、第1医療機器は、ブロック708から712までの実行において、第1医療機器が検出したパラメータに基づいて第2医療機器の動作を能動的に制御する構成であってもよい。
【0098】
図8に、本明細書に記載の様々な機能を実行するように構成された体外式除細動器800の一例を示す。例えば、体外式除細動器800は、
図1A~3を参照して上記に説明されたモニタリング装置106、施術装置110、モニタリング装置202、施術装置204、第1医療機器302、第2医療機器304、中間装置210、又は、中間装置306である。
【0099】
体外式除細動器800は、複数のECGリードワイヤ804に接続された心電図(ECG)ポート802を備えている。いくつかの場合、ECGリードワイヤ804は、ECGポート802から着脱可能である。例えば、ECGリードワイヤ804は、ECGポート802に差し込まれる。ECGリードワイヤ804は、それぞれECG電極806に接続されている。様々な実施形態では、ECG電極806は、個人808上の様々な位置に配置される。検出回路810は、ECG電極806間の相対電圧を検出するように構成されている。これらの電圧は、個人808の心臓の電気的活動を示している。
【0100】
様々な実施形態では、ECG電極806は個人808の皮膚上の様々な位置と接触して配置される。いくつかの実施例では、第1のECG電極806が個人808の心臓と右腕の間の皮膚上に配置され、第2のECG電極806が個人808の心臓と左腕の間の皮膚上に配置され、第3のECG電極806が個人808の心臓と足(左足又は右足のどちらか)の間の皮膚上に配置される。これらの実施例では、検出回路は第1、第2、第3のECG電極806の間の相対電圧を測定するように構成されている。ECG電極806の各ペアは、「誘導」と称され、ECG電極806のペア間の電圧は「誘導電圧」と称される。いくつかの実施例では、ECG電極806の数は、3個より多く、5誘導や12誘導などのECG信号が検出回路810により検出される。
【0101】
検出回路810は、少なくとも1つのアナログ回路、少なくとも1つのデジタル回路、又は、その組み合わせを備えている。検出回路810は、ECGポート802とECGリードワイヤ804を介して、ECG電極806からのアナログ電気信号を受信する。いくつかの場合、検出回路810は、ノイズ及び/又は、アーチファクトを電気信号から除去する1つ又は複数のアナログフィルタを備えている。様々な実施例では、検出回路810は、アナログ-デジタル変換部(ADC)を備えている。検出回路810は、ECG電極806からのアナログ電気信号を示すデジタル信号を生成する。このデジタル信号を「ECG信号」又は「ECG」と称す場合がある。
【0102】
いくつかの場合、検出回路810は、ECG電極806の少なくとも1対の間の電気インピーダンスを更に検出する。例えば、検出回路810は、ECG電極806の1対の間に既知の電圧(又は電流)を印加する電源を備える、若しくは、制御するように構成され、そのECG電極の1対の間に生ずる電流(又は電圧)を検出する。インピーダンスは、印加信号(電圧又は電流)と結果生じた信号(電流又は電圧)に基づいて生成される。様々な場合、インピーダンスは、個人808の呼吸や、個人808に対して実施されている胸部圧迫、その他の個人808の生理学的状態を反映している。様々な実施例では、検出回路810は、この結果生じた信号からノイズ及び/又はアーチファクトを除去するように構成された1つ又は複数のアナログフィルタを備えている。検出回路810は、アナログ-デジタル変換部を用いてインピーダンスを示すデジタル信号を生成する。このデジタル信号を「インピーダンス信号」又は「インピーダンス」と称す場合がある。
【0103】
検出回路810は、体外式除細動器800の1つ又は複数のプロセッサ812にECG信号及び/又はインピーダンス信号を提供する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ812は、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、CPU及びGPUの両方、又は、本技術分野にて知られている他の処理装置や処理部を備えている。
【0104】
プロセッサ812は、メモリ814に動作可能に接続されている。様々な実施形態では、メモリ812は、揮発性(ランダムアクセスメモリ(RAM)など)、非揮発性(リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、など)、又は、この2種類の組み合わせである。メモリ814は、1つ又は複数のプロセッサ812により実行されると、プロセッサ812に様々な動作を実行させる命令を保存している。様々な実施例では、メモリ814は、方法、スレッド、プロセス、アプリケーション、オブジェクト、モジュール、その他の処理可能な命令、又はそれらの組み合わせを保存している。いくつかの場合、メモリ814は、ファイル、データベース、又はそれらの組み合わせを保存している。いくつかの場合、メモリ814は、RAM、ROM、EEPROM(消却可能型ROM)、フラッシュメモリ、又はその他のメモリ技術によるものを備えているが、これらに限定されない。いくつかの場合、メモリ814は、CD-ROM、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、連想メモリ(CAM)、又は、その他の光学ストレージ、磁気カセットテープ、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、その他の磁気記録装置、又は、所望の情報を保存し、プロセッサ812及び/又は体外式除細動器800がアクセス可能なその他の媒体の1つ又は複数を備えている。いくつかの場合、メモリ814は、少なくとも一時的にECG信号及び/又はインピーダンス信号を保存する。
【0105】
様々な実施例では、メモリ814は、個人808が所定の心律動を示しているかどうかをECG信号及び/又はインピーダンス信号に基づいて判断するディテクタ816を保存している。例えば、1つ又は複数のプロセッサ812は、除細動により処置できるショック適応律動を示しているかどうかを判断する。ショック適応律動の例としては、心室細動(VF)及び心室頻拍(V-Tach)などが挙げられる。いくつかの実施例では、1つ又は複数のプロセッサ812は、ECG信号に様々な律動(例えば、心静止、サイナス(洞調律)、心房細動(AF)など)のいずれかの有無を判断する。
【0106】
プロセッサ812は、1つ又は複数の入力装置818と1つ又は複数の出力装置820に作動可能に接続されている。入力装置818と出力装置820は、共に、ユーザと除細動器800との間のインタフェースとして機能する。入力装置818はユーザからの入力を受け取るように構成されており、キーパッド、カーソルコントロール、タッチ感応型ディスプレイ、音声入力装置(例えば、マイクロフォン)、触覚フィードバック装置(例えば、ジャイロスコープ)、又は、これらの組み合わせのいずれかうちの少なくとも1つを備えている。出力装置820は、ディスプレイ、スピーカ、触覚出力装置、プリンタ、これらの組み合わせのいずれかを備えている。様々な実施例では、1つ又は複数のプロセッサ812は、入力装置818のうちのディスプレイに、ECG信号及び/又はインピーダンス信号の波形を視覚的に出力させる。いくつかの実施形態では、入力装置818は、1つ又は複数のタッチセンサを備えており、出力装置820は表示画面を備え、該タッチセンサが該表示画面に組み込まれている。よって、いくつかの場合、体外式除細動器800は、ユーザ入力信号を受け取り、ECG信号及び/又はインピーダンス信号などの生理学的パラメータを視覚的に出力するタッチスクリーンを備えている。
【0107】
いくつかの実施例では、メモリ814は、1つ又は複数のプロセッサ812により実行されると、プロセッサ812にアドバイスを生成させる、及び/又は、1つ又は複数の出力装置820を制御してユーザ(例えば、救助者)へアドバイスを出力させるアドバイザ822を保存している。いくつかの実施例では、1つ又は複数のプロセッサ812は、個人808へのCPRを実施することを命ずる指示を提供する、若しくは、出力装置820にそのような指示を提供させる。いくつかの場合、1つ又は複数のプロセッサ812は、個人808に実施されているCPRを、ECG信号、インピーダンス信号、又はその他の生理学的パラメータに基づいて評価し、指示したCPRについてのフィードバックを1つ又は複数の出力装置820に提供させる。いくつかの実施例によれば、1つ又は複数のプロセッサ812は、ECG信号にショック適応律動があると特定すると、1つ又は複数の出力装置820に、個人808への除細動ショックを与える指示及び/又は推奨を出力させる。
【0108】
また、メモリ814は、1つ又は複数のプロセッサ812により実行されると、プロセッサ812に体外式除細動器800のその他の素子を制御させ、個人80へ除細動ショックを実施させるイニシエータ824を保存している。いくつかの実施例では、イニシエータ824を実行している1つ又は複数のプロセッサ812は、個人808がショック適応律動を示しているという判断に基づいて、及び/又は、ユーザからの入力(例えば、1つ又は複数の入力装置818が受け取った入力)に基づいて、選択的に除細動ショックの実施を行う。いくつかの場合、1つ又は複数のプロセッサ812は、ECG信号及び/又はインピーダンス信号に基づいて1つ又は複数のプロセッサ812により判断された所定の時間に、除細動ショックを出力させる。
【0109】
1つ又は複数のプロセッサ812は、充電回路822と放電回路824に作動可能に接続されている。様々な実施形態では、充電回路822は、電源826と、1つ又は複数の充電スイッチ828と、1つ又は複数のキャパシタ830とを備えている。電源826は、例えば、バッテリーを含む。1つ又は複数のプロセッサ812は、電源826に、キャパシタ830のうちの少なくとも1つのキャパシタを充電させて、除細動ショックを開始する。例えば、1つ又は複数のプロセッサ812は、充電回路822の1つ又は複数の充電スイッチ828のうちの少なくとも1つを起動し、電源826と、充電対象のキャパシタとを接続する第1回路を形成する。その後、1つ又は複数のプロセッサ812は、放電回路824に充電されたキャパシタに蓄えられたエネルギーを、個人808に接触して配置されている除細動電極830の1対の間に放電させる。例えば、1つ又は複数のプロセッサ812は、例えば、プロセッサ812は、1つ又は複数のキャパシタ830と電源826との間の第1回路を形成している充電スイッチを切り、又は複数の放電スイッチ832を起動して、充電されたキャパシタ830と、除細動電極834の間に位置する個人808の少なくとも一部とを接続する第2回路を形成する。
【0110】
前記エネルギーは、除細動ショックとして除細動電極834から放電される。例えば、除細動電極834は、除細動ショックが個人808の心臓に印加されるように、個人808の皮膚に接続され、個人808の心臓の両側の位置にそれぞれ配置される。除細動ショックは、様々な実施例では、短時間に多数の心臓細胞を脱分極する。除細動ショックは、例えば、ショック適応律動(例えば、VF又はV-Tach)が心臓中に拡散するのを止める。いくつかの実施例では、除細動ショックは、200J以上で、約0.015秒の期間で実施される。いくつかの場合、除細動ショックは、多相(例えば、二相)波形を有する。例えば、1つ又は複数の放電スイッチ832は、1つ又は複数のプロセッサ812により制御される。様々な実施形態では、除細動電極834は、除細動リードワイヤ836に接続されている。いくつかの実施形態では、除細動リードワイヤ836は、除細動ポート838に接続されている。様々な実施例によれば、除細動リードワイヤ836は、除細動ポート838に着脱可能である。例えば、除細動リードワイヤ836は、除細動ポート838に差し込まれる。
【0111】
様々な実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ812は、1つ又は複数の通信ネットワーク842を介してデータを送信及び/又は受信する1つ又は複数の送受信装置840に作動可能に接続されている。例えば、1つ又は複数の送受信装置840は、様々な外部の装置及び/又はシステムに接続するための、ネットワークインタフェースカード(NIC)、ネットワークアダプタ、ローカルエリアネットワーク(LAN)アダプタ、又は、物理的、仮想的、若しくは、論理的アドレスを備えている。様々な実施例では、1つ又は複数の送受信装置840は、無線通信(例えば、無線(RF)通信)を行うことが可能な任意の種類の無線送受信装置を備えている。例えば、1つ又は複数の通信ネットワーク842は、Long Term Evolution(LTE)無線アクセスネットワーク(RAN)(例えば、1つ又は複数のLTEバンドを介したもの)、New Radio(NR)RAN(例えば、1つ又は複数のNRバンドを介したもの)、又は、それらの組み合わせなどの第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ネットワークを含んでいる。いくつかの場合、1つ又は複数の送受信装置840は、通信ネットワーク842を介した、Wi-Fi(登録商標)、WiGig(登録商標)、WiMAX(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC、Radio Frequency Identification(RFID)、又は赤外線通信などを行うモデムなどの他の無線モデムを備えていてもよい。
【0112】
除細動器800は、1つ又は複数の通信ネットワーク842を介して1つ又は複数の外部装置844とデータ(例えば、ECGデータ、インピーダンスデータ、個人808の1つ又は複数の検出された心律動を示すデータ、個人808に対して実施された1回又は複数回の除細動ショックを示すデータ、など)を1つ又は複数の外部装置844に送信、及び/又は、1つ又は複数の外部装置844から受信するように構成されている。外部装置844は、例えば、携帯装置(例えば、携帯電話、スマートウォッチ、など)、モノのインターネット(IoT)装置、医療機器、コンピュータ(例えば、ラップトップ装置、サーバ、など)、又は、1つ又は複数の通信ネットワーク842を介して通信するように構成された任意の他のタイプのコンピュータ装置を含む。いくつかの実施例では、1つ又は複数の外部装置844は、遠隔の医療環境(例えば、病院)など、除細動器800から遠隔の位置にある。様々な実施形態によれば、1つ又は複数のプロセッサ812は、1つ又は複数の送受信装置840にデータを1つ又は複数の外部装置844に送信させる。いくつかの場合、1つ又は複数の送受信装置840は、データを外部装置844から受信し、送受信装置840は受信したデータを、それを分析する1つ又は複数のプロセッサ812に供給する。
【0113】
いくつかの場合、外部装置844は1つ又は複数の医療機器を含む。様々な実施形態によれば、メモリ814は、1つ又は複数のプロセッサ812により実行されると、本明細書に記載の除細動器800と1つ又は複数の外部装置844の間の通信に基づいて対象に対して治療(例えば、除細動、ペーシング、など)を実施するなどして、プロセッサ812に外部装置844と連携させる、コーディネータを更に保存している。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ812は、コーディネータ846を実行すると、1つ又は複数の外部装置844からデータ114を受信し、データ114を分析して1つ又は複数の制御パラメータを判断し、本明細書に記載のように、治療(例えば、除細動、ペーシング、など)を制御パラメータに基づいて実施させる。いくつかの実施形態では、プロセッサ812は、コーディネータ846を実行すると、個人806の生理学的パラメータなど、除細動器800により実施されている治療に関連するパラメータを判断し、このパラメータを分析して1つ又は複数の外部装置844により個人806に対して実施する治療を制御する制御パラメータを決定して、制御パラメータを示すデータを(例えば、1つ又は複数の送受信装置840を介して)外部装置844に送信する。一般に、コーディネータ846は、1つ又は複数のプロセッサ812により実行されると、プロセッサ812に、本明細書に記載のプロセス400、500、600、及び/又は700のいずれかを実行させる構成であってもよい。
【0114】
様々な実施形態において、体外式除細動器800は、体外式除細動器800のその他の素子を少なくとも一部覆うハウジング846も備えている。例えば、ハウジング846は、検出回路810、1つ又は複数のプロセッサ812、メモリ814、充電回路822、1つ又は複数の送受信装置840、又は、その組み合わせのいずれかを覆っている。いくつかの場合、1つ又は複数の入力装置818及び1つ又は複数の出力装置820は、ハウジング846の壁により少なくとも部分的に囲まれている内部空間からハウジング846の壁を介して外に面するように設けられている。いくつかの実施例では、ハウジング846は、湿気、電気干渉、及び/又は、埃などに対するバリアとして機能して、体外式除細動器800の様々な部品をダメージから守る。
【0115】
いくつかの実施形態では、体外式除細動器800は、訓練を受けていないユーザ(例えば、通りがかりの人、非専門家、など)により操作される自動体外式除細動器(AED)であり、自動モードで操作可能である。自動モードでは、1つ又は複数のプロセッサ812が、ECG信号のリズムの特定、除細動ショックを実施するか否かの決定、1つ又は複数のキャパシタ830の充電、1つ又は複数のキャパシタの放電、又は、これらの組み合わせのいずれかを自動的に実施する。いくつかの場合、1つ又は複数のプロセッサ812は、1つ又は複数の出力装置820を制御して、訓練されていないユーザに対して、簡素化したユーザインタフェースを出力(例えば、表示)させる。例えば、1つ又は複数のプロセッサ812は、出力装置820にECG信号の波形及び/又はインピーダンス信号の波形を訓練されていないユーザに対して表示させることをせず、体外式除細動器800の動作を簡素化する。
【0116】
いくつかの実施例では、体外式除細動器800は、訓練を受けているユーザ(例えば、医療従事者、緊急時対応要員など)により使用されるモニタ搭載型除細動器であり、手動モードや自動モードで操作可能である。体外式除細動器800が手動モードで操作される場合、1つ又は複数のプロセッサ812は、1つ又は複数の出力装置820に、ECGデータ及び/又はインピーダンスデータを示す波形や検出された心律動に関する通知など、訓練を受けているユーザ向けの様々な情報を表示させる。
【0117】
図9に、本明細書に記載の様々な機能を実行するように構成された胸部圧迫装置900を示す。例えば、胸部圧迫装置900は、
図1A~3を参照して上記にて説明された、モニタリング装置106、施術装置110、モニタリング装置202、施術装置204、第1医療機器302、第2医療機器304、中間装置210、又は、中間装置306である。
【0118】
様々な実施形態では、胸部圧迫装置900は、モータ904に作動可能に接続されているコンプレッサ902を備えている。コンプレッサ902は、対象906の胸部に対して物理的に力を印加し、対象906の胸部を圧迫する。いくつかの実施例では、コンプレッサ902は、圧迫テンポで2つの位置(例えば、圧迫位置と、リリース位置)との間を周期的に行き来する少なくとも1つのピストンを備えている。例えば、ピストンが対象906の胸部の上に配置された場合、ピストンが圧迫位置に移動すると、ピストンは胸部を圧迫する。動作時に対象906の胸部と接するように、ピストンの先端に吸引カップを配置してもよい。いくつかの場合、コンプレッサ902は、周期的に締まっている状態の第1張力と緩んでいる状態の第2張力との締緩を圧迫のテンポで繰り返すバンドを備えている。例えば、バンドが対象906の胸部に巻かれている場合、バンドが締まると胸部が圧迫される。
【0119】
モータ904は、電源908に蓄えられている電気エネルギーを、コンプレッサ902を移動及び/又は締める機械エネルギーに変換して、コンプレッサ902に対象906の胸部へ力を印加させる。いくつかの実施形態では、電源908は携帯可能である。例えば、電源908は、少なくとも1つの充電式(例えば、リチウムイオン)バッテリーを含む。いくつかの場合、電源908は、本明細書に記載の胸部圧迫装置900の1つ又は複数の素子に電気エネルギーを供給する。
【0120】
様々な場合、胸部圧迫装置900は、動作中に対象906に対する位置をコンプレッサ902が保てるように、コンプレッサ902に物理的に接続された支持部910を備えている。いくつかの実施形態では、支持部910は、対象906に対して固定位置に配置されるバックプレート912やコット、その他の外部構造と物理的に接続される。いくつかの場合、支持部910は、対象906の手首など、対象906の一部に物理的に接続される。
【0121】
胸部圧迫装置900の動作を、少なくとも1つのプロセッサ914にて制御する構成であってもよい。いくつかの実施形態では、モータ906は、1つ又は複数のプロセッサ914に通信可能に接続されている。より具体的には、1つ又は複数のプロセッサ914は、モータ906に制御信号を出力して、モータ906にコンプレッサ902を駆動させるように構成されている。例えば、モータ906は、コンプレッサ902に制御信号に基づいて対象906に対して圧迫を印加させる。いくつかの場合、制御信号は、圧迫の1つ又は複数の施術パラメータを示す。施術パラメータの例としては、圧迫を実施しているコンプレッサ902のテンポ、タイミング、デューティサイクル、深度、力、位置、速度、高さ、及び、加速度などが挙げられる。様々な場合おいて、制御信号は、モータ906に圧迫を停止させる。
【0122】
様々な実施形態において、胸部圧迫装置900は、1つ又は複数の通信ネットワーク920を介して少なくとも1つの外部装置918と通信するように構成された少なくとも1つの送受信装置916を備えている。本明細書に記載の通信ネットワークのいずれかを
図9に図示する1つ又は複数の通信ネットワーク920に含むことができる。例えば、外部装置918は、モニタ搭載型除細動器、AED、ECMO装置、人工呼吸器、患者モニタ、携帯電話、サーバ、又は、コンピュータ装置のうちの少なくとも1つを含んでいる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送受信装置916は、信号の送信及び/又は信号の受信を無線で行うことで、1つ又は複数の外部装置918と通信するように構成されている。例えば、1つ又は複数の送受信装置916は、様々な外部の装置及び/又はシステムに接続するためのNIC、ネットワークアダプタ、LANアダプタ、又は、物理的、仮想的、若しくは、論理的アドレスを備えている。様々な実施例では、1つ又は複数の送受信装置916は、無線通信(例えば、RF通信)を行うことができる無線送受信装置の任意の種類のものを含んでいる。例えば、1つ又は複数の通信ネットワーク920は、LTE RAN(例えば、1つ又は複数のLTEバンドを介したもの)、NR RAN(例えば、1つ又は複数のNRバンドを介したもの)、又は、その組み合わせなどの3GPPネットワークを含んだ1つ又は複数の無線ネットワークを含んでいる。いくつかの場合、1つ又は複数の送受信装置916は、通信ネットワーク920を介した、Wi-Fi(登録商標)、WiGig(登録商標)、WiMAX(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC、RFID(Radio Frequency Identification)、又は赤外線通信などを行うモデムなどの他の無線モデムを備えていてもよい。信号は、様々な場合、データパケットやデータグラムなどの形態のデータを暗号化したものである。いくつかの場合、信号の送信は、胸部圧迫装置900による圧迫の実行中(例えば、外部装置918によるリアルタイムフィードバック)、胸部圧迫装置900による圧迫の実施後(例えば、外部装置918による事後レビュー)、又は、その組み合わせにおいて行われる。
【0123】
様々な場合、1つ又は複数のプロセッサ914は、1つ又は複数の外部装置918から受信した信号に暗号化されているデータに基づいて制御信号を生成する。例えば、信号には、圧迫の開始する指示が含まれており、1つ又は複数のプロセッサ914は、モータ906に、信号に基づいてコンプレッサ902の駆動を始めるよう指示する。
【0124】
いくつかの場合、胸部圧迫装置900は、少なくとも1つの入力装置922を備えている。様々な実施例では、1つ又は複数の入力装置922は、対象906に対して施術をしている救助者であってもよいユーザ924からの入力信号を受信する構成であってもよい。例えば、入力装置922の例としては、キーパッド、カーソルコントロール、タッチ感応型ディスプレイ、音声入力装置(例えば、マイクロフォン)、触覚フィードバック装置(例えば、ジャイロスコープ)、又は、これらの組み合わせなどが挙げられる。様々な実施形態において、1つ又は複数のプロセッサ914は、入力信号に基づいて制御信号を生成する。例えば、1つ又は複数のプロセッサ914は、胸部圧迫装置900がユーザ924によるタッチスクリーン上に表示されたユーザインタフェースエレメントの選択を検知したこと、又は、胸部圧迫装置900がユーザ924による胸部圧迫装置900の外部ハウジングに備えられているボタンが押されたことを検知したことに基づいて、圧迫のテンポを調整する制御信号を生成する。
【0125】
いくつかの実施例によれば、1つ又は複数の入力装置922は、1つ又は複数のセンサを備えている。センサは、例えば、対象906の生理学的パラメータを検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサは、対象906又はバックプレート912に対するコンプレッサ902の位置や、対象906に対してコンプレッサ902が印加する力、圧迫時に対象906の身体によりバックグラウンド922に対して印加する力、など胸部圧迫装置900の状態パラメータを検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送受信装置916により送信される信号は、1つ又は複数の生理学的パラメータ、及び/又は、1つ又は複数の状態パラメータを示す。
【0126】
様々な実施形態において、胸部圧迫装置900は、更に少なくとも1つの出力装置924を備えている。出力装置924の例としては、例えば、ディスプレイ(例えば、プロジェクタ、LEDスクリーンなど)、スピーカ、触覚出力装置、プリンタ、これらの組み合わせのいずれかのうちの少なくとも1つを備えたものなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の出力装置924は、胸部圧迫装置900により検出された、及び/若しくは、胸部圧迫装置900に報告された様々なパラメータ、電源908の充電量、圧迫の開始又は一時停止からの経過時間を示す時間、その他の関連情報などを表示するように構成された画面を備えている。
【0127】
胸部圧迫装置900は、更に、メモリ926を備えている。様々な実施形態において、メモリ926は、揮発性(ランダムアクセスメモリ(RAM)など)、非揮発性(リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、など)、又は、この2種類の組み合わせである。メモリ926は、1つ又は複数のプロセッサ914により実行されると、プロセッサ914に様々な動作を実行させる命令を保存している。様々な実施例では、メモリ926は、方法、スレッド、プロセス、アプリケーション、オブジェクト、モジュール、その他の処理可能な命令、又はそれらの組み合わせを保存している。いくつかの場合、メモリ926は、ファイル、データベース、又はそれらの組み合わせを保存している。いくつかの場合、メモリ926は、RAM、ROM、EEPROM(消却可能型ROM)、フラッシュメモリ、又はその他のメモリ技術によるものを備えているが、これらに限定されない。いくつかの場合、メモリ926は、CD-ROM、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、連想メモリ(CAM)、又は、その他の光学ストレージ、磁気カセットテープ、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、その他の磁気記録装置、又は、所望の情報を保存するために使用可能な他の媒体のうちの1つ又は複数を備えている。いくつかの場合、メモリ926は、1つ又は複数のプロセッサ914に様々な機能を実行させる、命令、プログラム、スレッド、オブジェクト、データ、又は、それらの組み合わせのいずれかを保存している。いくつかの場合、メモリ926は、胸部圧迫装置900により検出された、及び/又は、胸部圧迫装置900に報告された1つ又は複数のパラメータを保存する。
【0128】
いくつかの場合、1つ又は複数の外部装置は、1つ又は複数の医療機器を含む。様々な実施形態によれば、メモリ926は、1つ又は複数のプロセッサ914に実行されると、本明細書に記載のように、胸部圧迫装置900と1つ又は複数の外部装置918との間の通信に基づいて対象906に対して治療(例えば、胸部圧迫)を実施するなど、プロセッサ914に1つ又は複数の外部装置918と連携させるコーディネータ928を実行する命令を保存している。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ914は、コーディネータ928を実行すると、1つ又は複数の外部装置918からデータ114を受信し、データ114を分析して1つ又は複数の制御パラメータを決定し、本明細書に記載のように、1つ又は複数の制御パラメータに基づいて治療(例えば、胸部圧迫)を実施する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ914は、コーディネータ928を実行すると、対象906の生理学的パラメータなどの、胸部圧迫装置900により実施されている治療に関するパラメータを判断し、該パラメータを分析して、1つ又は複数の外部装置918による対象906への治療の実施を制御する制御パラメータを決定し、制御パラメータを示すデータを(例えば、1つ又は複数の送受信装置916を介して)1つ又は複数の外部装置918に送信する。一般に、コーディネータ928は、1つ又は複数のプロセッサ914により実行されると、本明細書に記載のプロセス400、500、600、及び/又は、700のいずれかをプロセッサ914に実行させる構成であってもよい。
実施例の条項
1.対象に胸部圧迫を実施している機械式胸部圧迫装置から体外式除細動器がデータを受信する工程と、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記胸部圧迫と連携して前記対象に対して治療を実施するタイミングを決定する工程と、
前記体外式除細動器が前記タイミングに基づいて前記対象に対して前記治療を実施する工程と、を含む方法。
2.第1項に記載の方法であって、前記治療は除細動を含む、方法。
3.第1項又は第2項に記載の方法であって、前記治療はペーシングを含む、方法。
4.第1~3項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記機械式胸部圧迫装置が前記対象に実施する胸部圧迫のうちの1回に続く近々の一時停止の時間を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記時間に前記対象の生理学的パラメータを検出する工程と、を更に含む方法。
5.第1~4項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記対象に投与する薬剤を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記薬剤についての通知を出力する工程と、を更に含む方法。
6.第1~5項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、胸部圧迫のテンポを判断する工程と、
前記体外式除細動器が、前記テンポを特性とするフィルタを特定する工程と、
前記対象の生理学的パラメータを示す生理学的データから胸部圧迫アーチファクトを、前記フィルタを該生理学的パラメータに適用することで、除去する工程と、を更に含む方法。
7.第1~6項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器がデータを分析して、前記胸部圧迫が実施されている位置である、前記対象に対する位置を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記位置についての通知を出力する工程と、を更に含む方法。
8.第1~7項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記機械式胸部圧迫装置に関する警告状態を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記警告状態についての通知を出力する工程と、を更に含む方法。
9.体外式除細動器であって、
送受信装置と、
対象に対して電気ショックを出力するように構成された放電回路と、
プロセッサであって、
前記送受信装置を介して機械式胸部圧迫装置からデータを受信し、
前記データを分析して、前記機械式胸部圧迫装置が前記対象に対して実施している胸部圧迫と連携して前記対象に電気ショックを出力するタイミングを決定し、
前記放電回路に前記タイミングに基づいて前記対象に対して電気ショックを出力させるように構成されたプロセッサと、を備える体外式除細動器。
10.第9項に記載の体外式除細動器であって、前記電気ショックは除細動ショックを含む、体外式除細動器。
11.第9項又は第10項に記載の体外式除細動器であって、
情報を出力するように構成された出力装置を更に備え、
前記プロセッサは、更に、
前記機械式胸部圧迫装置が前記対象に実施する胸部圧迫に続く近々の一時停止の時間を、前記データを分析して判断し、
前記時間に前記対象の生理学的パラメータを検出し、
前記出力装置に前記生理学的パラメータを出力させるように構成されている、体外式除細動器。
12.第9~11項のいずれか1項に記載の体外式除細動器であって、
情報を出力するように構成された出力装置を更に備え、
前記プロセッサは、更に、
前記データを分析して、前記対象に対する薬剤を判断し、
該出力装置に前記薬剤についての通知を出力させるように構成されている、体外式除細動器。
13.第9~12項のいずれか1項に記載の体外式除細動器であって、
情報を出力するように構成された出力装置を更に備え、
前記プロセッサは、更に、
胸部圧迫が実施されている深度を、前記データを分析して判断し、
前記深度についての通知を前記出力装置に出力させるように構成されている、体外式除細動器。
14.第9~13項のいずれか1項に記載の体外式除細動器であって、
情報を出力するように構成された出力装置を更に備え、
前記プロセッサは、更に、
実施されている胸部圧迫の力を、前記データを分析して判断し、
該出力装置に前記力に関する通知を出力させるように構成されている、体外式除細動器。
15.対象に胸部圧迫を実施している機械式胸部圧迫装置から、体外式除細動器がデータを受信する工程と、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記体外式除細動器による前記対象に対する治療の実施を制御するための制御パラメータを決定する工程と、
前記体外式除細動器が前記制御パラメータに基づいて前記対象に対して前記治療を実施する工程と、を含む方法。
16.第15項に記載の方法であって、前記治療は除細動を含む、方法。
17.第16項に記載の方法であって、前記制御パラメータは、前記体外式除細動器が前記対象に対して供給する電気ショックのレベルを示すショックパラメータを含む、方法。
18.第15~17項に記載のいずれか1項に記載の方法であって、前記治療はペーシングを含む、方法。
19.第15~18項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記制御パラメータは、前記胸部圧迫と連携して前記体外式除細動器が前記対象に対して実施する治療のタイミングを示す、方法。
20.第15~19項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記データを分析して、前記機械式胸部圧迫装置が前記対象に対して実施する胸部圧迫に続く近々の一時停止の時間を判断する工程と、
前記体外式除細動器が前記時間に前記対象の生理学的パラメータを検出する工程と、を更に含む方法。
21.対象に治療を実施している体外式除細動器から機械式胸部圧迫装置がデータを受信する工程と、
前記機械式胸部圧迫装置が前記データを分析して、前記対象に対して胸部圧迫を実施するテンポを決定する工程と、
前記機械式胸部圧迫装置が前記テンポに基づいて前記対象に対して前記胸部圧迫を実施する工程と、を含む方法。
22.第21項に記載の方法であって、
前記データは、前記対象の内因性心拍を示し、
前記テンポを、前記対象の前記内因性心拍と合うように調整する、方法。
23.第22項に記載の方法であって、
前記データは、前記対象の心電図(ECG)を示す、方法。
24.第21~23項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記機械式胸部圧迫装置が前記データを分析して、前記胸部圧迫が実施される位置である、前記対象に対する位置を判断する工程を更に含み、
前記対象に対する前記胸部圧迫は前記位置にて実施される、方法
25.第21~24項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記機械式胸部圧迫装置が前記データを分析して、前記胸部圧迫が実施される深度を決定する工程を更に含み、
前記対象に対する前記胸部圧迫は前記深度にて実施される、方法。
26.第21~25項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記機械式胸部圧迫装置が前記データを分析して、前記胸部圧迫が実施される力を決定する工程を更に含み、
前記対象に対する前記胸部圧迫は前記力にて実施される、方法。
27.第21~26項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記機械式胸部圧迫装置が、前記胸部圧迫を任意の期間で一時停止させる指示を受信する工程と、
前記の期間で前記胸部圧迫を一時停止する工程と、を更に含む方法。
28.体外式除細動器が、該体外式除細動器により対象に対して実施している治療に関するパラメータを検出する工程と、
前記体外式除細動器が前記パラメータを分析して、胸部圧迫が実施される位置である、前記対象に対する位置を決定する工程と、
前記体外式除細動器が、機械式胸部圧迫装置に、前記位置を示すデータを送信する工程と、を含む方法。
29.第28項に記載の方法であって、前記パラメータは、前記対象の生理学的パラメータを含む、方法。
30.第28項又は第29項に記載の方法であって、前記パラメータは、前記体外式除細動器が前記対象に対して実施している治療のタイミングを示すタイミングパラメータを含む、方法。
31.第28~30項に記載のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記パラメータを分析して、前記対象に対して実施する前記胸部圧迫のテンポを決定する工程を更に含み、
前記データは更に前記テンポを示す、方法。
32.第28~31項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記パラメータを分析して、前記対象に対して実施する前記胸部圧迫の深度を決定する工程を更に含み、
前記データは更に前記深度を示す、方法。
33.第28~32項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記体外式除細動器が前記パラメータを分析して、前記対象に対して実施する前記胸部圧迫の力を決定する工程を更に含み、
前記データは更に前記力を示す、方法。
34.体外式除細動器であって、
センサと、
送受信装置と、
プロセッサであって、
前記センサを介して、該体外式除細動器が対象に対して実施している治療に関連したパラメータを検出し、
前記パラメータを分析して、前記対象に対して実施する胸部圧迫の深度を決定し、
前記送受信装置に、前記深度を示すデータを前記機械式胸部圧迫装置に送信させるように構成されたプロセッサと、を備える体外式除細動器。
35.第34項に記載の体外式除細動器であって、
前記プロセッサは、更に、
前記パラメータを分析して、前記対象に対して実施する前記胸部圧迫のテンポを決定するように構成され、
前記データは更に前記テンポを示す、体外式除細動器。
36.第35項に記載の体外式除細動器であって、
前記対象に対して電気ショックを出力することで、前記治療を実施するように構成された放電回路を更に備え、
前記プロセッサは、前記放電回路に、前記胸部圧迫のテンポと連携して、前記対象に対して前記電気ショックを出力させるように更に構成されている、体外式除細動器。
37.第34~36項のいずれか1項に記載の体外式除細動器であって、
前記プロセッサは、前記パラメータを分析して、前記胸部圧迫が実施される位置である、前記対象に対する位置を決定するように更に構成され、
前記データは更に前記位置を示す、体外式除細動器。
38.第34~37項のいずれか1項に記載の体外式除細動器であって、
前記プロセッサは、前記パラメータを分析して、前記対象に対して実施される前記胸部圧迫の力を決定するように更に構成され、
前記データは前記力を更に示す、体外式除細動器。
39.第34~38項のいずれか1項に記載の体外式除細動器であって、前記パラメータは、前記対象の前記生理学的パラメータを含む、体外式除細動器。
40.第34~39項のいずれか1項に記載の体外式除細動器であって、
前記プロセッサは、前記送受信装置に、前記胸部圧迫を任意の時間一時停止させる指示を前記機械式胸部圧迫装置に送信させるように更に構成され、
前記パラメータの検出は、前記時間に行われる、体外式除細動器。
【0129】
上記に説明した実施例の条項は、特定の実施に関して記載したものであるが、本明細書の文脈により、実施例の条項の内容は、方法、装置、システム、コンピュータ読取可能媒体、及び/又は、他の実施形態として実施することも可能であることは、理解されよう。また、実施例1~40のいずれか1つを単独で実施してもよく、実施例1~40の他のいずれかと組み合わせて実施してもよい。
【0130】
上記の記載、又は以下に記載の特許請求の範囲、又は、添付の図面に開示の構成は、それらの特定の形態、又は、開示されている機能を実施する手段という形態、若しくは、開示されている結果を達成するための方法やプロセスという形態として、適宜表現されているが、本開示の多様な形態での実施を実現するために、別々に、又は、そのような構成の組み合わせのいずれかの形で、使用することができる。
【0131】
本明細書に開示する各実施形態は、当業者には明らかなように、本書に記載した特定の要素、工程、材料、又は成分を含む、実質的にそれらからなる、又は、それらからなる(comprising, consist essentially of又はconsist of)構成であってもよい。よって、「含む(備える)」又は「含んでいる(備えている)」(include又はincluding)という用語は、「含む、からなる、又は、実質的にそれらからなる」(comprising, consist essentially of 又は consist of)を意味すると解釈されるべきものである。本願において、特許請求項における移行部の用語である「含む」又は「含んでいる」(comprise 又は comprises)は、は、有していることを意味するが、それに限定されず、その請求項では特定されていない要素、工程、材料又は成分を、場合により大量に、含み得ることを意味する。移行部の表現である「からなる」(consisting of)は、その請求項では特定されていない要素、工程、材料又は成分を含んでいないことを意味する。移行部の表現である「実質的にそれらからなる」(consisting essentially of)は、その実施形態の範囲を、その請求項で特定されている要素、工程、材料又は成分と、その実施形態に重要な影響を及ぼさないものとに限定することを意味する。本明細書において、用語「に基づく」は、別途記載がない限り、「少なくとも部分的に基づく」と均等である。
【0132】
別途記載がない限り、本願明細書及び本特許請求の範囲において使用される全ての数値は、全ての場合において、「約」という用語により修飾されていると、解釈されるべきものである。よって、別途記載がない限り、本願明細書及び添付の本特許請求の範囲において記載されている数値的パラメータは、本開示により実現しようとする所望の性質により変化しうる近似値である。少なくとも、そして、本願の請求項の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値的パラメータの解釈は、少なくとも、記載の有効桁数の数字を鑑み、そして通常の四捨五入を適用して行われるべきものである。さらなる明確性が求められる場合は、「約」という用語は、記載の数値又は数値的範囲と共に使用されたときに、当業者により合理的にその意味とされる意味を有するものとする。すなわち、「約」という用語は、記載の値又は範囲よりある程度大きいもの、又はある程度小さいものを示し、記載の値の±20%、記載の値の±19%、記載の値の±18%、記載の値の±17%、記載の値の±16%、記載の値の±15%、記載の値の±14%、記載の値の±13%、記載の値の±12%、記載の値の±11%、記載の値の±10%、記載の値の±9%、記載の値の±8%、記載の値の±7%、記載の値の±6%、記載の値の±5%、記載の値の±4%、記載の値の±3%、記載の値の±2%、又は記載の値の±1%の範囲内のものを示すものである。
【0133】
本開示の広い範囲を規定する数値的範囲とパラメータは近似値であるが、具体的な実施例に規定されている数値は、可能な限り精確に記載されているものである。しかし、どのような数値にも、その実験の測定における標準偏差の結果、必然的にある程度の誤差が内在している。
【0134】
実施形態を説明する文章(特に以下に示す請求項の文章)において使用されている「a」、「an」、「the」、及び同様の参照語は、本書において別途記載がない限り、又は、文脈と明らかに矛盾する場合を除き、単数の場合も複数の場合も同様に含めるものと解釈されるべきものである。本明細書において記載される値の範囲の記載は、その範囲内にある各値について個別に参照する簡便な方法として用いられているに過ぎない。別途記載がない限り、個々の値はそれぞれ個別に本願明細書に記載されているものとして本願明細書に含まれている。本明細書において記載されている全ての方法は、本明細書において別途記載がない限り、又は、文脈と明らかに矛盾する場合を除き、任意の好適な順番で実施可能である。本明細書において記載されている全てのあらゆる例示や例示的表現(例えば、「など」)は、本開示をより理解しやすく例解するために使用されているに過ぎず、本特許請求の範囲において別途特許請求されている本開示の範囲を限定するものではない。本願明細書に記載の文言は、本特許請求の範囲には記載されていないが本開示の実施に対して必須の何らかの要素を示すものとして解釈されるべきものではない。
【0135】
本明細書の開示におけるお互いに代替可能な要素や実施形態の組み合わせは、限定として解釈されるものではない。組み合わせ中の各要素は、個別に参照や特許請求されてもよく、当該組み合わせの中の他の要素や本明細書に記載の他の要素と任意に組み合わせて参照や特許請求されてもよい。ある組み合わせにおける1つ以上の要素を、説明を容易にするため、及び/又は特許性のために別の組み合わせにおいて包含又は省略してもよいことは理解されよう。何らかの包含や省略を伴って実施された場合でも、本願明細書はそのように改変された組み合わせを含むものとして見なされるものであり、よって、添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュの群に対する記載の要件を満足する。
【0136】
いくつかの実施形態は、本発明者らが知る限り本開示の実施におけるベストモードであるものを含んで、本明細書に記載されている。当然のことながら、これら記載されている実施形態に対する変更は、当業者にとっては、前記記載を読めば明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変更を適宜行うであろうことも予想しており、また、本発明者らは本開示の実施形態が、本明細書において具体的に記載されているものとは違う形で実施されることも意図している。すなわち、本開示は、適用法により許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている事項に対するあらゆる改変や均等物をも包含するものである。また、前記した要素の組み合わせは、その可能な全てのバリエーションが、本明細書に別途記載がない限り、又は、文脈と明らかに矛盾する場合を除き、本開示の範囲に含まれるものである。
【外国語明細書】