(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035148
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】キャリア位置決め装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240306BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H05K13/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137730
(22)【出願日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】22193341.9
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517438583
【氏名又は名称】ネクスペリア ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】マッツァ アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】エレンブロエク ティム
【テーマコード(参考)】
5E353
5F131
【Fターム(参考)】
5E353BB03
5E353BB08
5E353EE63
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5F131KA72
5F131KB09
5F131KB12
5F131KB32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プリント基板などのキャリアを位置決めするキャリア位置決め装置、それを含むピックアンドプレース装置、プリント基板などのキャリアを位置決めする方法及びキャリアに電気部品を配置する方法を提供する。
【解決手段】位置決め装置1において、キャリア100は、第1の表面110及び第2の表面120を含み、第1の表面は、電気部品が配置される第1の中央領域111と、第1の中央領域に隣接する第1の縁部領域112とを含み、平坦化部材20の平坦化側21で平坦化され、平坦化側にある平坦化部材を移動させて、第1の表面が当接部材10A、10Bの平坦な当接面11A、11Bにキャリアを押し付ける。当接部材は、キャリアが平坦な当接面に当接しているとき、第1の中央領域を露出させる開口部を残す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板などのキャリア(100)を位置決めするキャリア位置決め装置(1)であって、前記キャリアは、第1の表面(110)及び第2の表面(120)を含み、前記第1の表面は、電気部品が配置される第1の中央領域(111)と、前記第1の中央領域に隣接する第1の縁部領域(112)とを含み、
前記キャリア位置決め装置は、平坦化側(21)を有する平坦化部材(20)と、平坦化ユニット(30)と、第1のアクチュエータ(50)とを含み、
前記平坦化ユニットは、前記第2の表面が前記平坦化側に押し当てられた前記キャリアを平坦化するように構成され、
前記キャリア位置決め装置は、平坦な当接側(11A、11B)を有する当接部材(10A、10B)を更に含み、前記第1のアクチュエータは、前記キャリアが前記平坦化側にある前記平坦化部材を移動させて、前記第1の表面が前記平坦な当接側に押し当てられた前記キャリアを押し付けるように構成され、前記当接部材は、前記キャリアが前記平坦な当接側に当接しているとき、前記第1の中央領域を露出させる開口部を残すことにより電気部品を前記第1の中央領域に配置させると共に、前記キャリアを前記当接部材と前記平坦化部材との間にクランプするように構成される、ことを特徴とするキャリア位置決め装置。
【請求項2】
前記当接部材は、明確に画定された位置を有する、請求項1に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項3】
前記平坦化ユニットは、前記第1のアクチュエータが前記平坦化部材を前記平坦な当接側に押し当てるように移動させる前に、前記キャリアを平坦化するように構成され、或いは前記第1のアクチュエータは、前記キャリアを前記平坦な当接側に押し当てるように移動させることにより、前記平坦化ユニットが前記キャリアを更に平坦化する前に前記キャリアの初期平坦化を達成するように構成され、
前記キャリア位置決め装置は、好ましくは、前記平坦化ユニット及び/又は前記第1のアクチュエータを制御するコントローラ(40)を更に含む、請求項1又は2に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項4】
位置決めされる前記キャリアは、その第2の表面に配置された1つ以上の電気部品を含み、前記平坦化側は、前記キャリアが前記平坦化側に配置されるときに前記キャリアの前記第2の表面に配置された前記1つ以上の電気部品が延在する1つ以上の部品収容開口部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項5】
前記平坦化ユニットは、真空ユニットを含み、
前記平坦化側は、1つ以上の真空開口部(205)を含み、前記真空ユニットは、前記平坦化側の前記1つ以上の真空開口部を通じて吸引力を与えることにより前記キャリアを平坦化するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項6】
前記真空開口部の少なくとも一部は、部品収容開口部であり、逆もまた同様である、請求項3又は4に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項7】
前記平坦化部材は、第1の壁(203)が前記平坦化側を画定する真空チャンバ(200)を含み、前記1つ以上の真空開口部及び、存在する場合の、前記1つ以上の部品収容開口部は、前記第1の壁に設けられ、前記真空ユニットは、前記真空チャンバを真空状態にするように構成される、請求項5又は6に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項8】
前記平坦化部材は、底壁と、前記底壁から延びる複数の側壁と、前記底壁から前記平坦化側に向かって延びる複数の支柱(207)とを含み、前記キャリアが前記複数の支柱に配置されるとき、前記底壁及び前記複数の側壁は、前記キャリアと共にチャンバを画定し、前記チャンバは、前記真空ユニットに接続され、請求項4に従属する限りでは、前記複数の支柱間の隙間は、前記平坦化側の1つ以上の部品収容開口部を形成する、請求項5又は6に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項9】
前記平坦化部材は、前記底壁に取り付けられた複数の吸引カップ(210)を含み、前記吸引カップのそれぞれは、その入口開口部と出口開口部との間に通路が設けられ、前記吸引カップの前記出口開口部は、前記1つ以上の真空開口部を画定し、前記入口開口部は、前記真空ユニットに接続され、前記吸引カップは、好ましくは、前記底壁から前記平坦化側に向かう方向に可撓性であり、前記キャリアを前記複数の支柱に配置する前に、前記吸引カップの出口開口部は、前記複数の支柱の端部よりも前記底壁から遠くに位置決めされ、そして、前記キャリアを平坦化する際に前記吸引カップの長さが収縮する、請求項8に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項10】
前記平坦化部材は、開口側を有する容器と、前記容器内に配置された多孔質体(300)とを含み、前記容器の前記開口側に対応する前記多孔質体の第1の側は、前記平坦化側を形成し、前記多孔質体の第1の側から出る前記多孔質体の細孔は、前記1つ以上の真空開口部を形成し、前記真空ユニットは、前記多孔質体の細孔を真空状態にするように構成される、請求項5に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項11】
前記キャリアを平坦化する前に、前記キャリアを前記平坦化側に向かって押すように構成された押しユニット(60)を更に含み、
前記押しユニットは、好ましくは、前記当接部材に対して固定的に配置された弾性部材を含み、前記弾性部材は、前記キャリアが前記当接部材に向かって移動するときに前記キャリアによって圧縮されるように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項12】
前記平坦化ユニットは、
前記キャリアの縁部に係合する1対の縁部係合部材(400A、400B)と、
前記係合部材を回転させる第2のアクチュエータとを含み、
前記平坦化部材は、基部と、前記基部から前記平坦化側に延びる複数の支柱とを含み、
前記第2のアクチュエータは、前記キャリアを前記平坦化側に向かって膨らませ、その後に前記キャリアを前記係合部材及び前記平坦化部材と共に相互に移動させて前記複数の支柱を前記キャリアの前記第2の表面に当接させて前記キャリアを平坦化するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項13】
前記当接部材は、前記キャリアを前記平坦化側に配置することができる第1の位置と、前記キャリアを当接面に押し付けることができる第2の位置との間で、前記平坦化側に平行な平面内で移動可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項14】
キャリアを位置決めするように構成された、請求項1~13のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置と、
前記位置決め装置が前記キャリアをその当接部材と平坦化部材との間でクランプしている間に、電気部品の供給部から電気部品をピックし、ピックした電気部品を前記キャリアの第1の表面の第1の中央領域に配置するように構成されたピックアンドプレースユニットとを含む、ピックアンドプレース装置。
【請求項15】
プリント基板などのキャリアを位置決めする方法であって、前記キャリアは、第1の表面及び第2の表面を含み、前記第1の表面は、電気部品が配置される第1の中央領域と、前記第1の中央領域に隣接する第1の縁部領域とを含み、
前記方法は、
平坦化部材の平坦化側で前記キャリアを平坦化するステップと、
前記キャリアが前記平坦化側にある前記平坦化部材を移動させて、第1の表面が当接部材の平坦な当接側に押し当てられた前記キャリアを押し付けるステップとを含み、
前記当接部材は、前記キャリアが前記平坦な当接側に当接しているとき、前記第1の中央領域を露出させる開口部を残すように構成される、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
電気部品をキャリアに配置する方法であって、
請求項15に記載のキャリアを位置決めする方法と、
前記キャリアを前記当接部材と前記平坦化部材との間にクランプしている間に、前記電気部品を前記第1の表面の第1の中央領域に配置するステップとを含む、方法。
【請求項17】
前記当接部材は、明確に画定された位置を有する、請求項15又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、プリント基板などのキャリアを位置決めするキャリア位置決め装置、及びそれを含むピックアンドプレース装置に関する。本開示の態様はまた、プリント基板などのキャリアを位置決めする方法、及びキャリアに電気部品を配置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術の分野では、電気部品をキャリアに配置することが必要になることがよくある。例えば、表示パネル又は照明パネルを組み立てるために、所謂ダイ取り付けプロセスを使用して複数の発光ダイオードLEDを例えば裸の半導体ダイとしてプリント基板PCBの形態のキャリア上に配置する必要がある。
【0003】
典型的には、キャリアは、第1の表面及び第2の表面を含み、第1の表面は、電気部品が配置される第1の中央領域と、第1の中央領域に隣接する第1の縁部領域とを含む。キャリアを位置決めするために第1の縁部領域を機械的に操作することができる。
【0004】
ダイ取り付けプロセスは、配置されたばかりの半導体ダイの写真を撮影するカメラを使用して実行されたボンディング後検査を含む。その後にこの写真を使用して、配置の精度を評価し、次のダイの機械パラメータを調整する。
【0005】
検査モジュールにおけるカメラの被写界深度は、±60マイクロメートルである。これらのカメラに対してPCBの上面を±60マイクロメートル以内に配置する必要がある。この距離は、同じPCBの異なる位置及び異なるPCB間で変化してはならない。
【0006】
PCBは、特定の規格に従って製造される。これらの規格は、PCBの最大のたわみとねじれの限界を設定する。例えば、IPC-A-600規格によれば、最大のたわみとねじれは、PCB対角線の0.75%未満である必要がある。これは、例えば、250×250mmのPCBの場合、最大のたわみ/ねじれが2.65mmであることが予想されることを意味する。IPC-A-600規格によって設定されたもう1つの限界は、厚さ精度に関連しており、この厚さ精度は、±0.1mm未満である必要がある。この厚さ精度は、異なるPCB間の厚さのばらつきに関係していることに注意されたい。これらの全ての値は、公差スタックに影響を与え、要求された±60マイクロメートルをはるかに超えている。
【0007】
米国特許出願公開第2015/271962A1号明細書には、真空接続側と、真空接続側の反対側に配置されたレール係合側とを有する本体を含む回路基板吸引アセンブリ装置が開示されている。基板係合面が、真空接続側とレール係合側との間に配置される。基板係合面は、そこから外側に延びる少なくとも1つの吸引カップを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/271962A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の態様は、上記問題が軽減される、プリント基板などのキャリアを位置決めするキャリア位置決め装置に関する。このため、キャリア位置決め装置は、平坦な当接側を有する当接部材と、平坦化側を有する平坦化部材と、平坦化ユニットと、第1のアクチュエータとを含む。平坦化ユニットは、第2の表面が平坦化側に押し当てられたキャリアを平坦化するように構成される。第1のアクチュエータは、キャリアが平坦化側にある平坦化部材を移動させて、第1の表面が平坦な当接側に押し当てられたキャリアを押し付けるように構成される。更に、当接部材は、キャリアが平坦な当接側に当接しているとき、第1の中央領域を露出させる開口部を残すことにより電気部品を第1の中央領域に配置させると共に、キャリアを当接部材と平坦化部材との間にクランプするように構成される。キャリアに配置される電気部品の例は、裸の半導体ダイ又はパッケージ化半導体ダイである。
【0010】
本開示の一態様によれば、キャリアは、平坦化ユニットで平坦化される。これにより、キャリアのたわみとねじれを十分に除去する。更に、第1のアクチュエータは、電気部品が配置されるキャリアの第1の表面が当接部材の平坦な当接側に押し付けられることを保証する。
【0011】
当接部材は、明確に画定された位置を有する。例えば、当接部材は、上述したように検査モジュールの光学カメラに対して静止して配置される。追加的又は代替的に、当接部材は、キャリア位置決め装置が配置される支持面に対して静止して配置される。したがって、キャリアを平坦な当接側に押し当てるように押し付けることにより、キャリアの第1の表面の位置は、検査カメラの正常な動作が可能な範囲内に収まる。
【0012】
平坦化ユニットは、第1のアクチュエータが平坦化部材を平坦な当接側に押し当てるように移動させる前に、前記キャリアを平坦化するように構成することができる。代替的に、第1のアクチュエータは、キャリアを平坦な当接側に押し当てるように移動させることにより、平坦化ユニットがキャリアを更に平坦化する前にキャリアの初期平坦化を達成するように構成される。
【0013】
第1のアクチュエータは、手動的な第1のアクチュエータであってもよく、レバーを含んでもよい。代替的に、第1のアクチュエータは、自動アクチュエータであってもよい。更に、キャリア位置決め装置は、第1のアクチュエータ及び/又は平坦化ユニットを制御するコントローラを含んでもよい。
【0014】
位置決めされるキャリアは、その第2の表面に配置された1つ以上の電気部品を含んでもよく、平坦化側は、キャリアが平坦化側に配置されるときにキャリアの第2の表面に配置された1つ以上の電気部品が延在する1つ以上の部品収容開口部を含む。したがって、本開示はまた、片側又は表面が1つ以上の電気部品によってすでに占有されているキャリアを使用することを可能にする。部品の配置が製品に固有であり、つまり、各製品がその独自の電気部品構成を持つ可能性があるため、典型的には、新しい種類の製品を製造する必要があるたびに平坦化部材を交換する必要がある。
【0015】
平坦化ユニットは、真空ユニットを含んでもよい。この場合、平坦化側は、1つ以上の真空開口部を含み、真空ユニットは、平坦化側の1つ以上の真空開口部を通じて吸引力を与えることによりキャリアを平坦化するように構成される。真空開口部の少なくとも一部は、部品収容開口部であり、逆もまた同様であり得る。
【0016】
本開示の一態様によれば、装置の運転をいくつかの動作に分離することができる。第1の動作は、キャリアと平坦化側とを近づけることを含んでもよい。第2の動作は、キャリアを平坦化側で平坦化することを含んでもよく、第3の動作は、キャリアが平坦化側に配置された平坦化部材を平坦な当接部に向かって移動させることを含んでもよく、第4の動作は、キャリアを平坦な当接面に押し付けることを含んでもよい。これら後者の2つの動作は、通常、組み合わせられる。例えば、第1のアクチュエータを使用して平坦化部材を平坦な当接面に向かって移動させることができる。当接が達成された後もこの駆動を継続できるようにすることにより、少なくともキャリアの第1の表面に電気部品を配置する間及び関連する検査中に、継続的な押し付け力をキャリアに与えることができる。
【0017】
第1の動作、即ち、キャリアと平坦化側とを近づける動作、及び第2の動作、即ち、キャリアを平坦化する動作は、両方とも平坦化ユニットによって実行することができる。例えば、平坦化ユニットが真空ユニットを含む場合、吸引力の適用により、キャリアが平坦化側に向かって引き寄せられ、キャリアが平坦化側に横たわると、キャリアが平坦化される。他の実施形態では、追加の手段を使用してキャリアと平坦化側とを近づける。
【0018】
第2の動作が第4の動作の一部として実行され、及び/又は第4の動作の最中に実行されることも可能である。例えば、キャリアを平坦な当接側に押し付けることにより、キャリアの初期の平坦化が達成される。初期の平坦化が達成された後、平坦化ユニットを使用してキャリアを更に平坦化することができる。
【0019】
平坦化部材は、第1の壁が平坦化側を画定する真空チャンバを含んでもよく、1つ以上の真空開口部及び(存在する場合)1つ以上の部品収容開口部は、第1の壁に設けられ、真空ユニットは、真空チャンバを真空状態にするように構成される。この実施形態では、平坦化側は、真空開口部及び任意選択に1つ以上の部品収容開口部が設けられた、アルミニウム又はステンレス鋼のプレートなどの平坦な壁によって形成することができる。平坦な壁は、キャリアを平坦な壁に対して平坦化するときに支持機能を提供する。
【0020】
代替的に、平坦化部材は、底壁と、底壁から延びる複数の側壁と、底壁から平坦化側に向かって延びる複数の支柱とを含んでもよく、キャリアが複数の支柱に配置されるとき、底壁及び複数の側壁は、キャリアと共にチャンバを画定する。このチャンバは、真空ユニットに接続される。この実施形態では、平坦化側は、前の実施形態のように平坦な壁によって形成されていない。むしろ、平坦化側は、支柱の端部によって形成される。平坦化中に、キャリアは、これらの端部に置かれる。更に、必要に応じて、複数の支柱間の隙間は、平坦化側の1つ以上の部品収容開口部を形成してもよい。キャリアが支柱に完全に配置される前に底壁と側壁との間の空間が真空状態にされるときに生成されることが可能な吸引力は、キャリアと平坦化側とを十分に近づけるには不十分である可能性がある。必要に応じて、平坦化部材は、底壁に取り付けられた複数の吸引カップを含んでもよい。吸引カップのそれぞれは、その入口開口部と出口開口部との間に通路が設けられてもよく、吸引カップの出口開口部は、1つ以上の真空開口部を画定し、入口開口部は、真空ユニットに接続される。真空カップを使用することにより、吸引力をより集中的に発生させることができ、真空カップは、真空チャンバに加えて、又は真空チャンバの代わりに使用できる。
【0021】
吸引カップは、底壁から平坦化側に向かう方向に可撓性であってもよく、このようにキャリアを複数の支柱に配置する前に、吸引カップの出口開口部は、複数の支柱の端部よりも底壁から遠くに位置決めされ、このようにキャリアを平坦化する際に吸引カップの長さが収縮する。収縮可能な長さにより、より遠くからキャリアに引き付け力(吸着力)を与えることができる。
【0022】
真空ユニットが上記のように画定されたチャンバ又は真空チャンバに接続される代わりに、平坦化部材は、開口側を有する容器と、容器内に配置された多孔質体とを含んでもよく、容器の開口側に対応する多孔質体の第1の側は、平坦化側を形成し、多孔質体の第1の側から出る多孔質体の細孔は、1つ以上の真空開口部を形成し、真空ユニットは、多孔質体の細孔を真空状態にするように構成される。多孔質体は、内部の細孔が通常相互につながっているように構成される。このようにして、多孔質体の一方の側の細孔を真空状態にすることにより、多孔質体の第1の側に吸引力が発生する。この場合の容器は、第1の側及び真空ユニットの接続部以外の側で多孔質体の細孔を単に塞ぐだけであることに留意されたい。
【0023】
上述したように、第1の動作と第2の動作は、同じ部品を使用して実行されなくてもよい。その一例として、キャリア位置決め装置は、キャリアを平坦化する前に、キャリアを平坦化側に向かって押すように構成された押しユニットを更に含んでもよい。この押しユニットは、キャリアの第1の表面上の1つ以上の電気部品の配置を妨げないように、キャリアの第1の表面の上方の空間から除去されるように移動可能であってもよい。押しユニットは、例えば、キャリアに力を与える可動ピストンを有するシリンダを含んでもよい。追加的又は代替的に、押しユニットは、当接部材に対して固定的に配置された弾性部材を含んでもよい。この弾性部材は、キャリアが当接部材に向かって移動するときにキャリアによって圧縮されるように構成されてもよい。この場合、キャリアを平坦化する動作は、平坦化部材を当接部材に向かって移動させるときに実行することができる。例えば、キャリアを平坦化側に配置することができる。この段階では、平坦化部材は、まだ、キャリアを完全に平坦化することができない可能性がある。例えば、キャリアのたわみ又はねじれの量が大きすぎるため、キャリアを完全に平坦化するのに吸引力が不十分である。平坦化部材を当接部材に向かって移動させるとき、キャリアの第1の表面は、弾性部材によって係合される。この部材の1つの端部は、固定的に取り付けられる。もう1つの端部は、キャリアを押し付けることによりキャリアを平坦化側に近づけると同時に、キャリアを部分的に平坦化する。十分に平坦化されると、キャリアと平坦化側との間の密閉性が向上するため、吸引力が増加して、キャリアを更に平坦化することができる。
【0024】
真空ユニットの代わりに、平坦化ユニットは、キャリアの縁部に係合する1対の縁部係合部材と、係合部材を回転させる第2のアクチュエータを含んでもよい。平坦化部材は、基部と、基部から平坦化側に延びる複数の支柱とを含んでもよい。第2のアクチュエータは、キャリアを平坦化側に向かって膨らませるように構成することができる。この場合、第2のアクチュエータは、キャリアを係合部材及び平坦化部材と共に相互に移動させて複数の支柱をキャリアの第2の表面に当接させてキャリアを平坦化するようにさらに構成することができる。この場合、平坦化動作は、キャリアを膨らませるように付勢する係合部材によって与えられる力と、支柱によって与えられる反力によって達成される。これらの力のバランスを適切にとることにより、キャリアを平坦化することができる。キャリアの縁部に沿って異なる位置に配置された複数の係合部材を使用し、かつこれらの係合部材を個別に制御することにより、キャリアのねじれを修正することができる。第1のアクチュエータと同様に、第2のアクチュエータは、手動アクチュエータであってもよく、自動アクチュエータであってもよい。後者の場合、アクチュエータは、前述のコントローラによって制御されてもよい。
【0025】
当接部材は、キャリアを平坦化側に配置することができる第1の位置と、キャリアを当接面に押し付けることができる第2の位置との間で、平坦化側に平行な平面内で移動可能であり得る。例えば、当接部材は、キャリアの少なくとも2つの縁部に対して別個の部品を含んでもよい。これらの部品を互いに遠ざけることにより、キャリアを平坦化側に配置するか又はそれに近接させるための領域が作成される。
【0026】
本開示の更なる態様によれば、キャリアを位置決めするように構成された上記キャリア位置決め装置を含むピックアンドプレース装置が提供される。ピックアンドプレース装置は、位置決め装置がキャリアをその当接部材と平坦化部材との間でクランプしている間に、電気部品の供給部から電気部品をピックし、ピックした電気部品をキャリアの第1の表面の第1の中央領域に配置するように構成されたピックアンドプレースユニットを更に含む。
【0027】
本開示の更なる態様によれば、プリント基板などのキャリアを位置決めする方法が提供される。キャリアは、第1の表面及び第2の表面を含み、第1の表面は、電気部品が配置される第1の中央領域と、第1の中央領域に隣接する第1の縁部領域とを含む。
【0028】
上記方法は、平坦化部材の平坦化側でキャリアを平坦化するステップと、キャリアが平坦化側にある平坦化部材を移動させて、第1の表面が当接部材の平坦な当接側に押し当てられたキャリアを押し付けるステップとを含む。キャリアを平坦化するステップは、平坦化部材を移動させる前に実行されてもよい。代替的に、キャリアを平坦な当接側に押し付けることは、最初に実行することもでき、これにより初期の平坦化を引き起こす。その後、更に平坦化することができる。また、当接部材は、キャリアが平坦な当接側に当接しているとき、第1の中央領域を露出させる開口部を残すように構成される。
【0029】
本開示の更なる別の態様によれば、電気部品をキャリアに配置する方法であって、上記方法と、キャリアを当接部材と平坦化部材との間にクランプしている間に、電気部品を第1の表面の第1の中央領域に配置するステップとを含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示の特徴を詳細に理解できるように、実施形態を参照してより具体的な説明が行われる。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は典型的な実施形態を示しているに過ぎないため、本開示の範囲を限定するとみなされるべきではないことに留意されたい。図面は、本開示の理解を容易にするためのものであるため、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。請求される主題の利点は、同様の要素を示すために同様の参照符号が使用される添付図面と併せてこの説明を読むことにより、当業者に明らかになる。
【0031】
【
図1】本開示の一態様に係る位置決め装置の概略上面図を示す。
【
図2】光学カメラを使用して検査される、PCBに取り付けられた電子部品を示す。
【
図3】本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置の平坦化部材の一例を示す。
【
図4】本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置の異なる実施形態を示す。
【
図5】本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置の異なる実施形態を示す。
【
図6】本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置の異なる実施形態を示す。
【
図7】本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置の異なる実施形態を示す。
【
図8】本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置の異なる実施形態を示す。
【
図9】本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置の異なる実施形態を示す。
【
図10】本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置の異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1の上部は、本開示の一態様に係る位置決め装置1の概略上面図を示す。位置決め装置1は、当接部材10A、10Bと、平坦化側21を有する平坦化部材20とを含む。PCBの形態のキャリア100は、平坦化側21に配置される。
【0033】
図1において、参照符号10A、10Bは、当接部材の2つの部分を指すために使用される。更に、キャリア100の上部及び下部を係合するために追加の部品が設けられてもよい。
【0034】
キャリア100は、第1の表面110及び第2の表面120を有する。第1の表面110は、中央領域111と、中央領域111を取り囲む縁部領域112とを含む。同様に、第2の表面120は、中央領域121と、中央領域121を取り囲む縁部領域122とを含む。
図1において、中央領域111、121は、同一の形状及びサイズを有する。しかしながら、本開示は、この構成に限定されない。
【0035】
電気部品は、中央領域111に配置される一方、縁部領域112は、電気部品がないままであり、キャリア100を取り扱うために機械的に操作することができる。電気部品を、中央領域111に配置する前に、第2の中央領域121に配置することができる。
【0036】
図1の上部に示すように、当接部材10A、10Bは、平坦な当接面11A、11Bを有する。当接面11A、11Bは、キャリア100の縁部領域112に当接し、及び/又は横たわるように構成される。当接面11A、11Bは、明確に画定された位置を有する。例えば、位置決め装置1は、支持床に配置されてもよく、及び/又は固定フレームを含んでもよい。当接面11A、11Bの位置は、支持床及び/又は固定フレームに対して固定されている。代替的に、当接面11A、11Bは、
図2を参照して後で説明するように、検査に使用される光学カメラ70に対して明確に画定された一定の位置を有してもよい。
【0037】
当接部材10A、10Bは、キャリア100が平坦な当接側11A、11Bに当接しているとき、中央領域111を露出させる開口部を残すことにより電気部品を中央領域111に配置させると共に、キャリア100を当接部材10A、10Bと平坦化部材20との間にクランプするように構成される。
【0038】
キャリア100は、完全に平らな構造ではない。例えば、PCBは、その全体で±15ミクロンの厚さのばらつきを有する場合がある。PCBは更に、公称値に対して±100ミクロンの範囲内に異なるPCB間で異なる平均厚さと、PCB対角線の0.75%の最大たわみ及び最大ねじれを有してもよい。
【0039】
キャリア位置決め装置1は、ピックアンドプレース装置の一部であるが、本開示は、キャリア位置決め装置1の他の応用領域を排除するものではない。
図2に示すように、ピックアンドプレース装置は、特定の被写界深度71を有する光学カメラ70を含む。光学カメラ70は、電気部品2のキャリア100への配置及び取り付けを検査するように構成される。例えば、光学カメラ70は、電気部品2が意図した位置に配置されたか否かを検査し、及び/又は電気部品2の間の電気的接触が信頼できるか否かを検査してもよい。
【0040】
ほとんどの高処理量システムでは、比較的浅い被写界深度71を有する光学カメラが使用される。光学カメラ70は、キャリア位置決め装置のフレーム及び/又はキャリア位置決め装置が配置された支持面に対して固定的な位置を有し、キャリア100が上述の公差を受けるため、キャリア100に垂直な方向における電気部品2の位置は、部品ごとに、またキャリアごとに異なる。本開示の一態様に係るキャリア位置決め装置は、動作中に電気部品2が光学カメラ70の被写界深度71内に留まるように、キャリアが十分に平坦化されることを可能にする。
【0041】
キャリア100を平坦化するために、キャリア位置決め装置1は、
図1に例を示した当接部材及び平坦化部材に加えて、平坦化ユニット、第1のアクチュエータ及びコントローラを含む。これらの部品は、
図3に概略的に示される。
【0042】
コントローラ40は、第2の表面120が平坦化部材20の平坦化側21に押し当てられたキャリア100を平坦化するように平坦化ユニット30を制御し、キャリア100が平坦化側21にある平坦化部材20を移動させて、第1の表面110が平坦な当接側11A、11Bに押し当てられたキャリア100を押し付けるように第1のアクチュエータ50を制御するように構成される。
【0043】
コントローラ40は更に、キャリア100を平坦化部材20に向かう方向に押すことができる押しユニット60を制御してもよい。他の実施形態では、コントローラ40は、省略でき、又は上記部品のそれぞれを制御するために使用されない。例えば、第1のアクチュエータ50は、ユーザが操作してもよい手動アクチュエータであってもよい。同様に、平坦化ユニット30は、ユーザによって直接的に、即ちコントローラ40なしで操作することができる。
【0044】
図3は、平坦化部材20が真空チャンバとして構成され、平坦化ユニット30が真空ポンプとして構成された実施形態を示す。
図4~
図9を参照して、この実施形態及び他の実施形態の動作原理について説明する。
【0045】
図4は、平坦化ユニットが真空ポンプ(図示せず)を含み、平坦化部材20が底壁201、側壁202及び上壁203を含む真空チャンバ200を含む実施形態を示す。真空チャンバ200には、真空ポンプに接続された入口が更に設けられる。
【0046】
この実施形態では、平坦化部材20の平坦化側21は、上壁203によって形成される。この後者の壁には、開口部204及び開口部205が設けられる。
【0047】
これより、
図4を参照して、キャリア100を平坦化するプロセスについて説明し、S1~S4を使用して異なる段階を示し、各段階を対応する図で表す。
【0048】
段階S1では、電気部品2が第2の表面120に設けられたキャリア100を平坦化側21、より具体的には上壁203に配置する。より具体的には、キャリア100は、電気部品2が部品収容開口部と呼ばれる開口部205を少なくとも部分的に通って配置されるように配置される。
【0049】
次に、段階S2では、当接部材10A、10Bを、後の段階でキャリア100と係合できる位置に移動させる。当接部材10A、10Bを移動させるプロセスは、自動的で、例えばコントローラ40によって制御されてもよく、手動で実行されてもよい。キャリア100を平坦化側21に配置した後、かつ当接部材10A、10Bを移動させた後又は移動させる前に、段階S2で真空チャンバ200を真空状態にする。
【0050】
真空チャンバ200内に真空を適用することにより、開口部204、205を通じてキャリア100に与えられる吸引力が生成される。これにより、段階S3に示すように、キャリア100を平坦化する。
【0051】
次に、段階S4では、コントローラ40によって制御されるアクチュエータ(図示せず)を使用して、平坦化部材20及びその上に配置されたキャリア100を当接部材10A、10Bに向かって移動させる。キャリア100と当接面11A、11Bとが接触した後、キャリア100を平坦化部材20の平坦化側21と当接部材10A、10Bとの間にクランプするように上向きの力が維持される。平坦化により、キャリア100のたわみとねじれが緩和される。更に、当接面11A、11Bに対する当接により、キャリア100の上面は、明確に画定された位置にある。これらの態様を組み合わせると、キャリア100に配置される電気部品の位置は、固定的に取り付けられた検査カメラの許容範囲内にある。
【0052】
一実施形態では、段階S3とS4の順序は、逆であってもよい。より具体的には、その時点で真空チャンバ200を真空状態にすることなく、まずキャリア100を平坦化側21に配置することができる。真空チャンバ200を真空状態にする代わりに、まず平坦化側21が当接部材10A、10Bに押し当てられた平坦化部材20を移動させる。これにより、初期の平坦化が行われる。完全な平坦化は、真空チャンバ200を真空状態にすることによって達成される。
【0053】
図5は、キャリア位置決め装置の異なる実施形態を示す。
図4と比較すると、チャンバ200は、もはや上壁203を含まない。なお、支持機能を提供するために、チャンバ200は、底壁201から上向きに延びる複数の支柱207を含む。この場合、平坦化側21は、支柱207の端部によって形成される。支柱207の間の空間は、電気部品2を収容するのに役立つ。
【0054】
たわみとねじれの存在により、キャリア100が全ての支柱207の端部に押し当てられるように横たわらない可能性がある。これは、段階S2及びS3について概略的に示される。
【0055】
図4と比較すると、段階S3は、チャンバ200に真空を適用することにより、キャリア100が更に下向きに引き付けられる点で異なる。段階S1又はS2でキャリア100を配置した後に達成されている、キャリア100が支柱207の少なくとも大部分で支持されることを見つけると、キャリア100は、少なくとも部分的にチャンバ200を密閉する。この密閉により、キャリア100に与えられる吸引力が増加するため、段階S3に示すように、キャリア100のたわみとねじれが除去される。段階S4は、
図4の段階S4と同様である。
【0056】
キャリア100のたわみとねじれを解消するための吸引力の発生に必要な密閉を生成できるようにキャリア100をチャンバ200に十分に近づけるのに吸引力が不十分な場合、追加の手段を設けることができる。段階S1及びS3について、可動ピストン209を含むシリンダ208の形態の押しユニットを示す一例が
図6に示される。例えば、コントローラ40によってシリンダ208を制御することにより、段階S3で示されるように、キャリア100をチャンバ200に向かって押すことができる。十分な密閉が達成されると、吸引力を引き継ぐことができる。この段階で、キャリア100が平坦化部材20と当接部材10A、10Bとの間にまだクランプされている後期で、キャリア100に電気部品を配置することができるようにシリンダ208を遠ざけることができる。
【0057】
図7は、チャンバ200が完全に真空状態にされていない更なる実施形態を示す。その代わりに、可撓性吸引カップ210は、底壁201から上向きに延びている。底壁201の近くで、吸引カップ210の開口部は、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。段階S3に示すように、吸引力は、吸引カップ210の他の開口部を通じてキャリア100に与えられる。これにより、キャリア100は、支柱207に向かって更に引っ張られる。更に、吸引カップ210は、底壁201に垂直な方向に可撓性であるため、段階S3に示すように、その長さが収縮する。
図7の段階S4は、
図4又は5の段階4と同様である。
【0058】
図8は、
図4に示される真空チャンバ200に加えてキャリア100を平坦化するための更なる追加手段を示す。
図8の実施形態は、一端が支持体212に固定的に接続され、他端が押し付け面213を有する弾性部材211を含む。
図4の段階S3と比較して、
図8の段階S3は、キャリア100を平坦化するために、真空チャンバ200がキャリア100と共に上向きに移動して、押し付け面213がキャリア100を平坦化側21に向かって押し付けるという点で異なる。これにより、吸引力に加えて、キャリア100を平坦化する力が与えられる。典型的には、キャリア100を当接部材10A、10Bに押し付けられる前に、キャリア100を完全に平坦化する。
【0059】
図9は、底壁201及び側壁202によって形成されるチャンバが多孔質体300で満たされる更なる実施形態を示す。真空ポンプ(図示せず)がチャンバを真空状態にすると、多孔質体300の細孔が真空状態にされる。これらの細孔が相互に接続されるため、多孔質体300の上面に吸引力が発生し、キャリア100を平坦化及び/又は引き付けられる。図示されるように、多孔質体300には、部品収容キャビティ301が設けられる。壁203及び真空チャンバ200の機能を置き換える多孔質体300の機能以外、
図9の実施形態の動作原理は、
図4の実施形態の動作原理と同様である。
【0060】
図10は、真空ポンプ以外の平坦化ユニットを示す。より具体的には、平坦化ユニットは、キャリア100の縁部に係合する1対の縁部係合部材400A、400Bを含む。係合部材400A、400Bは、移動可能に取り付けられる。より具体的には、コントローラ40によって制御され得る第2のアクチュエータ(図示せず)を使用して係合部材400A、400Bを回転させることができる。代替的に、係合部材400A、400Bは、手動で操作される。この回転の結果、キャリア100は、平坦化側21に向かって膨らむ。これは、段階S2として示される。その後、係合部材400A、400Bと、キャリア100と、支柱207を備えたチャンバ200とは、相互に移動する。例えば、キャリア100及び係合部材400A、400Bを固定したことを維持しながら、支柱207を備えたチャンバ206を上方に移動させる。この移動の結果は、段階S4に示される。キャリア100は、支柱207によってキャリア100に与えられる力と、係合部材400A、400Bによって与えられる力との間のバランスにより平坦化される。キャリア100の縁部に沿った異なる位置に複数の係合部材を配置し、これらの係合部材を個別に制御することにより、この動作を支柱207によって与えられる力と組み組み合わせるときに、キャリア100のたわみとねじれの両方を矯正することができる。
【0061】
図11Aは、本開示の一態様に係る、プリント基板などのキャリアを位置決めする方法を示す。キャリアは、第1の表面及び第2の表面を含み、第1の表面は、電気部品が配置される第1の中央領域と、第1の中央領域に隣接する第1の縁部領域とを含む。方法は、平坦化部材の平坦化側でキャリアを平坦化するステップS1と、キャリアが平坦化側にある平坦化部材を移動させて、第1の表面が当接部材の平坦な当接側に押し当てられたキャリアを押し付けるステップS2とを含む。図示されるように、キャリアを平坦化するステップは、平坦化部材を移動させる前に実行されてもよい。代替的に、キャリアを平坦な当接側に押し付けることは、最初に実行することもでき、これにより初期の平坦化を引き起こす。その後、更に平坦化することができる。また、当接部材は、キャリアが平坦な当接側に当接しているとき、第1の中央領域を露出させる開口部を残すように構成される。
【0062】
図11Bは、本開示の一態様に係る、キャリアに電気部品を配置する方法を示す。この方法は、
図11Aに記載の位置決め方法を適用するステップS1と、キャリアを当接部材と平坦化部材との間にクランプしている間に、電気部品を第1の表面の第1の中央領域に配置するステップS2とを含む。
【0063】
上記実施形態では、キャリアの平坦化に関連していくつかの異なる特徴について説明した。これらの異なる特徴の少なくともいくつかが組み合わせられる他の実施形態も可能であることに留意されたい。
【0064】
本開示の範囲には、請求された発明に関連するか否か、又は本発明によって対処される問題のいずれか又は全てを軽減するか否かにかかわらず、明示的又は暗示的に開示された任意の新規な特徴若しくは特徴の組み合わせ、又はそれらの任意の概念が含まれる。本出願人は、これによって、本願又は本願から派生する任意の更なる出願の手続き中に、このような特徴に対して新しい請求項が案出されてもよいことを通知する。特に、添付の特許請求の範囲を参照すると、従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴と組み合わされてもよく、それぞれの独立請求項の特徴は、請求項に列挙された特定の組み合わせだけでなく、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0065】
別個の実施形態に記載される特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に記載される様々な特徴は、別々に、又は任意の適切なサブ組み合わせで提供されてもよい。
【0066】
「含む」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、複数を排除するものではない。特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0067】
1 位置決め装置
2 電気部品
10A、10B 当接部材
11A、11B 当接面
20 平坦化部材
21 平坦化側
30 平坦化ユニット
40 コントローラ
50 第1のアクチュエータ
60 押しユニット
70 光学カメラ
71 被写界深度
100 キャリア
110 第1の表面
111 中央領域
112 縁部領域
120 第2の表面
121 中央領域
122 縁部領域
200 真空チャンバ
201 底壁
202 側壁
203 上壁
204、205 開口部
206 チャンバ
207 支柱
208 シリンダ
209 可動ピストン
210 吸引カップ
211 弾性部材
212 支持体
213 押し付け面
300 多孔質体
301 部品収容キャビティ
400A、400B 縁部係合部材
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板などのキャリア(100)を位置決めするキャリア位置決め装置(1)であって、前記キャリアは、第1の表面(110)及び第2の表面(120)を含み、前記第1の表面は、電気部品が配置される第1の中央領域(111)と、前記第1の中央領域に隣接する第1の縁部領域(112)とを含み、
前記キャリア位置決め装置は、平坦化側(21)を有する平坦化部材(20)と、平坦化ユニット(30)と、第1のアクチュエータ(50)とを含み、
前記平坦化ユニットは、前記第2の表面が前記平坦化側に押し当てられた前記キャリアを平坦化するように構成され、
前記キャリア位置決め装置は、平坦な当接側(11A、11B)を有する当接部材(10A、10B)を更に含み、前記第1のアクチュエータは、前記キャリアが前記平坦化側にある前記平坦化部材を移動させて、前記第1の表面が前記平坦な当接側に押し当てられた前記キャリアを押し付けるように構成され、前記当接部材は、前記キャリアが前記平坦な当接側に当接しているとき、前記第1の中央領域を露出させる開口部を残すことにより電気部品を前記第1の中央領域に配置させると共に、前記キャリアを前記当接部材と前記平坦化部材との間にクランプするように構成される、ことを特徴とするキャリア位置決め装置。
【請求項2】
前記当接部材は、明確に画定された位置を有する、請求項1に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項3】
前記平坦化ユニットは、前記第1のアクチュエータが前記平坦化部材を前記平坦な当接側に押し当てるように移動させる前に、前記キャリアを平坦化するように構成され、或いは前記第1のアクチュエータは、前記キャリアを前記平坦な当接側に押し当てるように移動させることにより、前記平坦化ユニットが前記キャリアを更に平坦化する前に前記キャリアの初期平坦化を達成するように構成され、
前記キャリア位置決め装置は、好ましくは、前記平坦化ユニット及び/又は前記第1のアクチュエータを制御するコントローラ(40)を更に含む、請求項1に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項4】
位置決めされる前記キャリアは、その第2の表面に配置された1つ以上の電気部品を含み、前記平坦化側は、前記キャリアが前記平坦化側に配置されるときに前記キャリアの前記第2の表面に配置された前記1つ以上の電気部品が延在する1つ以上の部品収容開口部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項5】
前記平坦化ユニットは、真空ユニットを含み、
前記平坦化側は、1つ以上の真空開口部(205)を含み、前記真空ユニットは、前記平坦化側の前記1つ以上の真空開口部を通じて吸引力を与えることにより前記キャリアを平坦化するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項6】
前記真空開口部の少なくとも一部は、部品収容開口部であり、逆もまた同様である、請求項5に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項7】
前記平坦化部材は、第1の壁(203)が前記平坦化側を画定する真空チャンバ(200)を含み、前記1つ以上の真空開口部及び、存在する場合の、前記1つ以上の部品収容開口部は、前記第1の壁に設けられ、前記真空ユニットは、前記真空チャンバを真空状態にするように構成される、請求項5に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項8】
前記平坦化部材は、底壁と、前記底壁から延びる複数の側壁と、前記底壁から前記平坦化側に向かって延びる複数の支柱(207)とを含み、前記キャリアが前記複数の支柱に配置されるとき、前記底壁及び前記複数の側壁は、前記キャリアと共にチャンバを画定し、前記チャンバは、前記真空ユニットに接続され、請求項4に従属する限りでは、前記複数の支柱間の隙間は、前記平坦化側の1つ以上の部品収容開口部を形成する、請求項5に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項9】
前記平坦化部材は、前記底壁に取り付けられた複数の吸引カップ(210)を含み、前記吸引カップのそれぞれは、その入口開口部と出口開口部との間に通路が設けられ、前記吸引カップの前記出口開口部は、前記1つ以上の真空開口部を画定し、前記入口開口部は、前記真空ユニットに接続され、前記吸引カップは、好ましくは、前記底壁から前記平坦化側に向かう方向に可撓性であり、前記キャリアを前記複数の支柱に配置する前に、前記吸引カップの出口開口部は、前記複数の支柱の端部よりも前記底壁から遠くに位置決めされ、そして、前記キャリアを平坦化する際に前記吸引カップの長さが収縮する、請求項8に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項10】
前記平坦化部材は、開口側を有する容器と、前記容器内に配置された多孔質体(300)とを含み、前記容器の前記開口側に対応する前記多孔質体の第1の側は、前記平坦化側を形成し、前記多孔質体の第1の側から出る前記多孔質体の細孔は、前記1つ以上の真空開口部を形成し、前記真空ユニットは、前記多孔質体の細孔を真空状態にするように構成される、請求項5に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項11】
前記キャリアを平坦化する前に、前記キャリアを前記平坦化側に向かって押すように構成された押しユニット(60)を更に含み、
前記押しユニットは、好ましくは、前記当接部材に対して固定的に配置された弾性部材を含み、前記弾性部材は、前記キャリアが前記当接部材に向かって移動するときに前記キャリアによって圧縮されるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項12】
前記平坦化ユニットは、
前記キャリアの縁部に係合する1対の縁部係合部材(400A、400B)と、
前記係合部材を回転させる第2のアクチュエータとを含み、
前記平坦化部材は、基部と、前記基部から前記平坦化側に延びる複数の支柱とを含み、
前記第2のアクチュエータは、前記キャリアを前記平坦化側に向かって膨らませ、その後に前記キャリアを前記係合部材及び前記平坦化部材と共に相互に移動させて前記複数の支柱を前記キャリアの前記第2の表面に当接させて前記キャリアを平坦化するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項13】
前記当接部材は、前記キャリアを前記平坦化側に配置することができる第1の位置と、前記キャリアを当接面に押し付けることができる第2の位置との間で、前記平坦化側に平行な平面内で移動可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置。
【請求項14】
キャリアを位置決めするように構成された、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア位置決め装置と、
前記位置決め装置が前記キャリアをその当接部材と平坦化部材との間でクランプしている間に、電気部品の供給部から電気部品をピックし、ピックした電気部品を前記キャリアの第1の表面の第1の中央領域に配置するように構成されたピックアンドプレースユニットとを含む、ピックアンドプレース装置。
【請求項15】
プリント基板などのキャリアを位置決めする方法であって、前記キャリアは、第1の表面及び第2の表面を含み、前記第1の表面は、電気部品が配置される第1の中央領域と、前記第1の中央領域に隣接する第1の縁部領域とを含み、
前記方法は、
平坦化部材の平坦化側で前記キャリアを平坦化するステップと、
前記キャリアが前記平坦化側にある前記平坦化部材を移動させて、第1の表面が当接部材の平坦な当接側に押し当てられた前記キャリアを押し付けるステップとを含み、
前記当接部材は、前記キャリアが前記平坦な当接側に当接しているとき、前記第1の中央領域を露出させる開口部を残すように構成される、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
電気部品をキャリアに配置する方法であって、
請求項15に記載のキャリアを位置決めする方法と、
前記キャリアを前記当接部材と前記平坦化部材との間にクランプしている間に、前記電気部品を前記第1の表面の第1の中央領域に配置するステップとを含む、方法。
【請求項17】
前記当接部材は、明確に画定された位置を有する、請求項15又は16に記載の方法。
【外国語明細書】