(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003516
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ホイールローダ
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240105BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240105BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240105BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/26 B
G05D1/02 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102714
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】塚田 庸子
(72)【発明者】
【氏名】森木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】関根 和也
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5H301
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AC01
2D003BA03
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB03
2D015HB04
2D015HB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC08
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG14
5H301GG17
5H301JJ08
(57)【要約】
【課題】自律運転により、限られた走行距離で、積込位置まで移動可能なホイールローダを提供する。
【解決手段】ホイールローダは、フロントボディとリアボディとが屈曲可能に連結された車体と、リフトアーム及びバケットを有する作業装置と、車体を走行させる走行装置と、車体を屈曲させることにより屈曲角を変更し操舵させるステアリング装置と、走行装置及びステアリング装置の動作を制御する制御装置とを備える。制御装置は、車体の前方にある積込対象物と車体との相対位置を演算し、記憶装置に記憶された積込対象物の形状データと、演算された相対位置とに基づき、積込対象物から、左右一対の前輪間の中心である前輪間中心とバケットの先端部との間の距離よりも離れた位置に経由地点を設定し、走行装置及びステアリング装置の動作を制御して、設定された経由地点に前輪間中心を一致させる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の前輪を有するフロントボディと左右一対の後輪を有するリアボディとが屈曲可能に連結された車体と、
前記フロントボディに回動可能に設けられたリフトアーム、及び前記リフトアームに回動可能に設けられたバケットを有する作業装置と、
前記車体を走行させる走行装置と、
前記車体を屈曲させることにより屈曲角を変更し操舵させるステアリング装置と、
前記走行装置及び前記ステアリング装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記作業装置により掘削した掘削物を積込対象物に積み込む作業を行うホイールローダにおいて、
前記積込対象物の形状データを記憶する記憶装置を備え、
前記制御装置は、
前記車体の前方にある前記積込対象物と前記車体との相対位置を演算し、
前記記憶装置に記憶された前記積込対象物の形状データと、演算された前記相対位置とに基づき、前記積込対象物から、前記左右一対の前輪間の中心である前輪間中心と前記バケットの先端部との間の距離よりも離れた位置に経由地点を設定し、
前記走行装置及び前記ステアリング装置の動作を制御して、設定された前記経由地点に前記前輪間中心を一致させる
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項2】
請求項1に記載のホイールローダにおいて、
前記制御装置は、
前記積込対象物から延在する仮想直線上に前記経由地点を設定し、
設定された前記経由地点に前記前輪間中心を一致させた後、前記走行装置を停止させた状態で前記ステアリング装置の動作を制御して、前記フロントボディの向きを前記仮想直線に沿わせ、
前記フロントボディの向きを前記仮想直線に沿わせた後、前記走行装置及び前記ステアリング装置の動作を制御して、前記フロントボディを前記仮想直線に沿って走行させる
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項3】
請求項1に記載のホイールローダにおいて、
前記制御装置は、前記ホイールローダに設けられる物体検知センサの検出結果、あるいは前記ホイールローダの外部に設けられる物体検知センサの検出結果に基づいて、前記相対位置を演算する
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項4】
請求項2に記載のホイールローダにおいて、
前記車体の屈曲角を検出する屈曲角センサと、
報知装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記屈曲角センサにより検出された前記車体の屈曲角、前記記憶装置に記憶された前記積込対象物の形状データ、及び、演算された前記積込対象物と前記車体との相対位置に基づいて、前記積込対象物への接近可能条件が成立したか否かを判定し、
前記接近可能条件が成立した場合には、前記経由地点に前記前輪間中心を一致させるように、前記ステアリング装置及び前記走行装置を動作させ、
前記接近可能条件が成立しなかった場合には、前記報知装置を制御して、前記接近可能条件が成立しなかった旨を前記報知装置によって報知させ、
前記接近可能条件は、
前記ステアリング装置の動作及び前記走行装置による前進走行によって、前記経由地点に前記前輪間中心を一致させることが可能であること、及び、
前記経由地点に前記前輪間中心を一致させた状態で前記走行装置を停止させつつ前記ステアリング装置を動作させることにより前記フロントボディの向きを前記仮想直線に沿わせることが可能であることを含む
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項5】
請求項2に記載のホイールローダにおいて、
前記制御装置は、設定された前記経由地点に前記前輪間中心を一致させる際の車速よりも、前記フロントボディを前記仮想直線に沿って走行させる際の車速を遅くする
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項6】
請求項2に記載のホイールローダにおいて、
前記制御装置には、前記前輪間中心が前記経由地点に一致している状態における前記仮想直線と前記フロントボディとのなす角と、前記前輪間中心が前記経由地点に一致している状態から前記バケットを前記積込対象物に接触させることなく前記フロントボディの向きを前記仮想直線に沿わせることが可能な前記経由地点の位置との関係を規定するテーブルが予め記憶され、
前記制御装置は、
前記経由地点に前記前輪間中心を一致させる前に、現在の前記車体の位置と、前記積込対象物の位置とに基づいて、仮定した経由地点である仮定地点に前記前輪間中心を位置させたときの前記なす角と前記仮定地点の位置との関係を演算し、
演算された前記なす角と前記仮定地点の位置との関係と、前記テーブルとに基づいて、前記経由地点を設定する
ことを特徴とするホイールローダ。
【請求項7】
請求項3に記載のホイールローダにおいて、
前記フロントボディと前記リアボディの屈曲中心から前記前輪間中心までの距離、前記屈曲中心から前記左右一対の後輪間の中心である後輪間中心までの距離、及び、前記物体検知センサの設置位置を入力情報として前記制御装置に入力する入力装置と、を備える
ことを特徴とするホイールローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動で走行が可能なホイールローダに関する。
【背景技術】
【0002】
フロントボディとリアボディとが屈曲可能に連結された車体と、車体に取り付けられた作業装置とを有するアーティキュレート式の作業車両であって、自動で走行を行うホイールローダが知られている。ホイールローダは、作業装置により土砂等を掘削し、掘削物をホッパ等の積込対象物の手前の積込位置まで運搬し、積込対象物であるホッパの上部開口に対して掘削物を放出する。ホイールローダが積込位置まで移動する過程において、作業装置が積込対象物に接触せずに、積込位置まで到達するようにホイールローダの各部の動作を制御する必要がある。
【0003】
特許文献1には、アーティキュレート式の作業車両(振動ローラ)の走行精度を維持しながら滑らかな自律走行を実現することを目的とした制御装置が提案されている。特許文献1には、「走行基準線から前記建設機械までの距離が予め決められた第1閾値よりも大きい場合に、前記走行基準線に近づくように当該建設機械の進行方向を修正する制御信号を出力し、前記第1閾値と同じまたは当該第1閾値よりも小さい値である第2閾値よりも前記走行基準線から前記建設機械までの距離が小さくなった場合に、前記走行基準線に対して前記建設機械の進行方向を平行にするための制御信号を出力することを特徴とする自律走行用制御装置」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ホイールローダは、狭い作業現場で作業を行う場合がある。狭い現場では、ホイールローダの方向転換、方向修正を行うためのスペースや移動距離が制限されるとともに、方向転換、方向修正により作業効率も低下する。また、車体と積込対象物との位置関係にずれが生じると方向修正のためのステアリング動作が発生し、車体と積込対象物との接触のリスクも高まる。そのため、極力車体の方向修正を伴わずに、車体を積込対象物に向けて移動できるようにすることが望ましく、狭い作業現場など、限られた走行距離で適切な積込位置に車体を移動させることのできるホイールローダが要望されている。特許文献1には、振動ローラによる転圧を行う際に、走行基準線からの車体の横方向のずれを修正する制御内容が開示されているが、積込対象物などの物体との接触を回避しつつ、所定の位置に車体を移動させる制御内容についての開示はない。
【0006】
本発明の目的は、自律運転により、限られた走行距離で、積込位置まで移動可能なホイールローダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によるホイールローダは、左右一対の前輪を有するフロントボディと左右一対の後輪を有するリアボディとが屈曲可能に連結された車体と、前記フロントボディに回動可能に設けられたリフトアーム、及び前記リフトアームに回動可能に設けられたバケットを有する作業装置と、前記車体を走行させる走行装置と、前記車体を屈曲させることにより屈曲角を変更し操舵させるステアリング装置と、前記走行装置及び前記ステアリング装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記作業装置により掘削した掘削物を積込対象物に積み込む作業を行うホイールローダにおいて、前記積込対象物の形状データを記憶する記憶装置を備え、前記制御装置は、前記車体の前方にある前記積込対象物と前記車体との相対位置を演算し、前記記憶装置に記憶された前記積込対象物の形状データと、演算された前記相対位置とに基づき、前記積込対象物から、前記左右一対の前輪間の中心である前輪間中心と前記バケットの先端部との間の距離よりも離れた位置に経由地点を設定し、前記走行装置及び前記ステアリング装置の動作を制御して、設定された前記経由地点に前記前輪間中心を一致させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自律運転により、限られた走行距離で、積込位置まで移動可能なホイールローダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るホイールローダの側面図である。
【
図2】
図2は、ホイールローダのシステム構成図である。
【
図3】
図3は、ホイールローダの経路追従走行を説明する図である。
【
図4】
図4は、経路追従走行完了時、位置合わせ動作完了時、方位合わせ動作完了時、及びフロント直進動作完了時のそれぞれでのホイールローダとホッパとの位置関係を示す平面模式図である。
【
図5】
図5は、制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、位置合わせ動作が完了した状態のホイールローダの停車位置及び姿勢の一例を示す平面模式図である。
【
図8】
図8は、ホッパへの接近可能条件が成立したか否かを判定する方法の一例を説明する図である。
【
図9】
図9は、経由地点の設定方法の一例を説明する図である。
【
図10】
図10は、制御装置により実行される接近動作制御の流れの一例について説明するフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るホイールローダがホッパに接近する様子を示す側面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るホイールローダについて説明する。
【0011】
<第1実施形態>
-ホイールローダの全体構成-
図1は、本発明の実施形態に係る自律運転可能なホイールローダ1の側面図である。
図1に示すように、ホイールローダ(以下、車両とも記す)1は、アーティキュレート式の車体16と、車体16の前方に取り付けられた多関節型の作業装置17と、を備える。車体16は、左右一対の前輪4a(車輪4)を有するフロントボディ11と、左右一対の後輪4b(車輪4)を有するリアボディ12と、を備える。フロントボディ11とリアボディ12は、センターピン13により左右方向に屈曲可能に連結されている。
【0012】
ホイールローダ1は、センターピン13を屈曲中心として車体16を屈曲させることにより屈曲角を変更し操舵させるステアリング装置19を備えている。ステアリング装置19は、フロントボディ11とリアボディ12とを連結する左右一対の油圧シリンダ(以下、ステアリングシリンダとも記す)14を有している。一対のステアリングシリンダ14は、センターピン13の左右両側に設けられる。リアボディ12は、運転室5及びエンジン室6を有している。
【0013】
運転室5内には、ホイールローダ1の各部を制御する制御装置100と、オペレータの操作に応じて制御装置100に入力情報を入力する入力装置76が設けられている。入力装置76は、例えば、複数のスイッチを有するスイッチ装置である。なお、入力装置76は、液晶ディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等の表示装置の表示画面に重ねて設けられるタッチセンサ装置であってもよい。
【0014】
運転室5内には、オペレータに対して警告等の情報を報知する報知装置75が設けられている。報知装置75は、例えば、画像によって警告を報知する液晶ディスプレイ装置等の表示装置、あるいは、音声によって警告を報知するスピーカ等の音出力装置である。
【0015】
作業装置17は、フロントボディ11に取り付けられる。作業装置17は、フロントボディ11に上下方向に回動可能に設けられたリフトアーム2と、リフトアーム2の先端部に上下方向に回動可能に設けられたバケット3と、リフトアーム2を駆動する油圧シリンダ(以下、アームシリンダとも記す)7と、バケット3を駆動する油圧シリンダ(以下、バケットシリンダとも記す)8と、を備えている。なお、リフトアーム2とアームシリンダ7はフロントボディ11の左右に1つずつ設けられる。バケット3は、ベルクランク9及びバケットリンク10を介してバケットシリンダ8の伸縮により回動し、これによってバケット3の向きが上下する。
【0016】
アームシリンダ7は、ボトム室に圧油が供給されると伸長してリフトアーム2を上方向に回動(リフト上げ)させ、ロッド室に圧油が供給されると縮退してリフトアーム2を下方向に回動(リフト下げ)させる。バケットシリンダ8は、ボトム室に圧油が供給されると伸長してバケット3を上方向に回動(チルト)させ、ロッド室に圧油が供給されると縮退してバケット3を下方向に回動(ダンプ)させる。
【0017】
ホイールローダ1は、左右一対のステアリングシリンダ14の伸縮によりフロントボディ11とリアボディ12が相対的に回動することで操舵される。右側のステアリングシリンダ14が縮退するとともに左側のステアリングシリンダ14が伸長すると、車体16は右側に屈曲する。左側のステアリングシリンダ14が縮退するとともに右側のステアリングシリンダ14が伸長すると、車体16は左側に屈曲する。なお、本明細書において、屈曲角とは、センターピン13回りの回転角に相当する。屈曲角は、屈曲していない状態、すなわちホイールローダ1が直進する姿勢である場合に0(ゼロ)°である。屈曲角は、車体16が右側に屈曲している姿勢では正の値をとり、車体16が左側に屈曲している姿勢では負の値をとるものとする。
【0018】
運転室5の上部には、車体16の前方の物体を検知する物体検知センサ73が取り付けられている。センターピン13には、車体16の屈曲角を検出する屈曲角センサ72が取り付けられている。
【0019】
-ホイールローダのシステム構成-
図2は、ホイールローダ1のシステム構成図である。
図2に示すように、ホイールローダ1は、車体16を走行させる走行装置28と、掘削作業を行う作業装置17と、車体16を操舵させるステアリング装置19と、車体16を制動させたり、停止した車体16が動作することを抑制したりするブレーキ装置18と、これらの装置の駆動源となるエンジン50と、ホイールローダ1の各部を制御する制御装置100と、エンジン50に機械的に接続される油圧ポンプ60A,60B,60Cと、を備える。なお、ブレーキ装置18は、走行装置28の一部を構成する。
【0020】
作業装置17は、油圧ポンプ60Aから吐出される作動油によって駆動され、ブレーキ装置18は、油圧ポンプ60Bから吐出される作動油によって駆動され、ステアリング装置19は、油圧ポンプ60Cから吐出される作動油によって駆動される。
【0021】
ホイールローダ1は、作業装置17の動作を制御するフロント制御部61と、ブレーキ装置18の動作を制御するブレーキ制御部62と、ステアリング装置19の動作を制御するステアリング制御部63と、を備える。
【0022】
作業装置17及び走行装置28は、エンジン50の動力によって、互いに独立して駆動される。エンジン50は、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される。ホイールローダ1は、エンジン50の動作を制御するエンジン制御部65を備えている。エンジン制御部65は、エンジン回転速度センサにより検出される実際の回転速度を、制御装置100によって演算された目標回転速度に近づけるように、燃料噴射量を制御する。
【0023】
アームシリンダ7及びバケットシリンダ8は、エンジン50が出力するトルクによって回転する油圧ポンプ60Aから吐出される作動油(圧油)によって伸縮動作される。
【0024】
走行装置28は、車輪4と、エンジン50からの動力を車輪4に伝達する動力伝達装置と、を有する。動力伝達装置は、トルクコンバータ51、トランスミッション52、プロペラシャフト53、デファレンシャル装置54、アクスル55等を含んで構成される。
【0025】
エンジン50の出力軸にはトルクコンバータ51の入力軸が連結され、トルクコンバータ51の出力軸はトランスミッション52に連結されている。トルクコンバータ51は周知のインペラ、タービン、ステータからなる流体クラッチであり、エンジン50の回転はトルクコンバータ51を介してトランスミッション52に伝達される。トランスミッション52は、その速度段を1速~5速に切り換えるクラッチを有し、トルクコンバータ51の出力軸の回転はトランスミッション52で変速される。変速後の回転は、プロペラシャフト53、デファレンシャル装置54、アクスル55を介して車輪4に伝達されて、ホイールローダ1が走行する。
【0026】
ホイールローダ1は、トランスミッション52の動作を制御するトランスミッション制御部64を備えている。トランスミッション制御部64は、トランスミッション52の1速~5速の各速度段に対応した電磁弁を有する。トランスミッション制御部64は、制御装置100からの制御信号に応じて電磁弁が動作することにより、トランスミッション52を制御する。
【0027】
油圧ポンプ60A,60B,60Cは、エンジン50と機械的に接続されている。油圧ポンプ60A,60B,60Cは、エンジン50が出力するトルクによって駆動されて作動油を吐出する。
【0028】
油圧ポンプ60Aからアームシリンダ7及びバケットシリンダ8に供給される作動油は、フロント制御部61によって、その圧力、流量及び流通方向が制御される。これにより、作業装置17による掘削動作、積込動作が行われる。油圧ポンプ60Bからブレーキシリンダ18a及び駐車ブレーキシリンダ18bに供給される作動油は、ブレーキ制御部62によって、その圧力、流量及び流通方向が制御される。これにより、ブレーキ装置18による車体16の制動動作、停止保持動作が行われる。油圧ポンプ60Cから左右一対のステアリングシリンダ14に供給される作動油は、ステアリング制御部63によって、その圧力、流量及び流通方向が制御される。これにより、ステアリング装置19による車体16の操舵が行われる。
【0029】
図2に示すように、ホイールローダ1は、自車両の位置を検出し、検出結果を表す信号を制御装置100に出力する位置検出装置71を備えている。位置検出装置71は、例えば、複数のGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球衛星測位システム)用のアンテナと、GNSSアンテナで受信された複数の測位衛星からの衛星信号(GNSS電波)に基づき、グローバル座標系における車体16の位置及び方位を演算する測位演算装置と、を有する。
【0030】
複数のGNSSアンテナは、例えば、リアボディ12の運転室5に設けられる。この場合、位置検出装置71は、リアボディ12の基準点の位置(例えば、センターピン13の位置)及びリアボディ12の方位(向き)を演算する。
【0031】
なお、位置検出装置71は、これに限らず、車輪4の回転速度を検出する車輪速センサ及びジャイロセンサを備えたものであってもよい。測位演算装置は、車輪速センサの検出結果に基づいてホイールローダ1の移動距離を演算し、ジャイロセンサの検出結果に基づいてホイールローダ1の移動方向を演算する。
【0032】
ホイールローダ1は、屈曲角センサ72、及び車速センサ74を備えている。屈曲角センサ72は、例えば、センターピン13に設けられるロータリーエンコーダであり、車体16の屈曲角を検出し、検出結果を表す信号を制御装置100に出力する。屈曲角は、車体16の姿勢を表す物理量である。つまり、屈曲角センサ72は、車体16の姿勢を検出する姿勢センサとして機能する。なお、車体16の屈曲角を検出する屈曲角センサ72には、ステアリングシリンダ14のストローク量を検出するストロークセンサを採用してもよい。この場合、制御装置100は、ステアリングシリンダ14のストローク量に基づいて、車体16の屈曲角を演算する。
【0033】
車速センサ74は、自車両の走行速度(以下、車速とも記す)を検出し、検出結果を表す信号を制御装置100に出力する。
【0034】
ホイールローダ1により行われる作業の一例について説明する。ホイールローダ1は、掘削対象物である地山に向かって前進し、地山にバケット3を突入させ、バケット3及びリフトアーム2を動作させることにより、地山を掘削する掘削作業を行う。掘削作業の完了後、ホイールローダ1は、積込対象物に向かって走行し、積込対象物の手前の積込位置で停止する。そして、ホイールローダ1は、バケット3内の積荷(掘削物)を積込対象物に積み込む積込作業を行う。積込作業の完了後、ホイールローダ1は、再び掘削対象物に向かって走行する。
【0035】
制御装置100は、作業現場における掘削位置と積込位置とに基づき走行経路を生成し、走行経路を規定する複数のノードを不揮発性メモリ102(
図5参照)に記憶する。制御装置100は、生成された走行経路に沿って車体16が走行するように、走行装置28及びステアリング装置19を制御する。これにより、ホイールローダ1は、走行経路に沿って目標位置(掘削位置または積込位置)まで自動で走行する。また、掘削位置において制御装置100が作業装置17を制御することにより、作業装置17による掘削作業が行われる。また、積込位置において制御装置100が作業装置17を制御することにより、作業装置17による積込作業が行われる。
【0036】
-経路追従走行-
掘削作業の完了後、ホイールローダ1は自律運転による経路追従走行を行う。
図3は、ホイールローダ1の経路追従走行を説明する図である。なお、本実施形態では、積込対象物がホッパ20である例について説明する。
図3に示すように、制御装置100は、走行経路22に沿って車体16が走行するように、走行装置28及びステアリング装置19の動作を制御する。なお、以下では、走行経路22に沿って車体16を走行させるために、制御装置100によって実行される制御のことを経路追従走行制御とも記す。
【0037】
走行経路22は、不揮発性メモリ102(
図5参照)に記憶されている複数のノード23によって特定される。ノード23は、走行経路22上の座標を示すデータである。制御装置100は、車体16の基準点(例えば、前輪間中心4ac)と走行経路22との偏差が最小となるように車体16を自律走行させてもよいし、車体16の基準点(例えば、前輪間中心4ac)がノード23上を通過するように車体16を自律走行させてもよい。
【0038】
制御装置100は、位置検出装置71により検出された車体16の位置及び車体16の方位と、車速センサ74によって検出された車速と、屈曲角センサ72によって検出された車体16の屈曲角と、不揮発性メモリ102(
図5参照)に記憶されているノード23と、に基づいて目標車速及び目標屈曲角を含む制御目標を生成する。制御装置100は、車速センサ74により検出された車速が目標車速となるように走行装置28を制御する。また、制御装置100は、屈曲角センサ72により検出された車体16の屈曲角が目標屈曲角となるようにステアリング装置19を制御する。
【0039】
目標位置を含む複数のノードは、例えば、グローバル座標系の座標で表される。なお、目標位置は、作業現場の所定の位置を原点とする現場座標系の座標で表されることとしてもよい。基準方位は、例えば、真北に設定される。グローバル座標系と現場座標系は、座標変換が可能である。また、位置検出装置71により検出されたリアボディ12の方位は、屈曲角センサ72により検出された車体16の屈曲角を用いて、フロントボディ11の方位に変換可能である。
【0040】
-接近動作-
経路追従走行の完了後、ホイールローダ1は自律運転によるホッパ20への接近動作を行う。
図4を参照して、ホイールローダ1のホッパ20への接近動作を説明する。接近動作は、経路追従走行の完了後に実行される位置合わせ動作と、位置合わせ動作の完了後に実行される方位合わせ動作と、方位合わせ動作の完了後に実行されるフロント直進動作とを含む。
図4は、経路追従走行完了時、位置合わせ動作完了時、方位合わせ動作完了時、及びフロント直進動作完了時のそれぞれでのホイールローダ1とホッパ20との位置関係を示す平面模式図である。
【0041】
ホッパ20には、図示しない隣接のホッパに積荷が混入しないように側壁20aが設けられる。例えば、ホッパ20は、上面が開口された矩形箱状に形成され、矩形状の底板と、底板の4辺のそれぞれから立ち上がる4つの側壁20aと、を有する。ホイールローダ1の積込作業時に、ホイールローダ1に正対する側壁20aを前側壁20afと記す。ホイールローダ1は、ホッパ20の側壁20aに接触することなく、積込位置P2まで移動し、積込作業を行う必要がある。
【0042】
ホイールローダ1はアーティキュレート式の車両であるため、車体16が操舵されるとセンターピン13を中心にして車体16が屈曲する。走行停止状態で車体16が操舵され、車体16が屈曲する場合、前輪間中心4acの位置と後輪間中心4bcの位置はほとんど移動せずに、センターピン13の位置が左右方向に大きく移動する。
【0043】
前輪間中心4acとは、左右一対の前輪4a間の中心、すなわち左側の前輪4aの中心と右側の前輪4aの中心とを結ぶ線分の中点のことを指す。また、後輪間中心4bcとは、左右一対の後輪4b間の中心、すなわち左側の後輪4bの中心と右側の後輪4bの中心とを結ぶ線分の中点のことを指す。
【0044】
-位置合わせ動作-
図4(a)は、経路追従走行制御によるホイールローダ1の経路追従走行が完了した時点のホイールローダ1とホッパ20との位置関係について示している。経路追従走行制御において、制御装置100は、走行経路22の終端を規定するノード(最終ノードとも記す)23a(
図3参照)を停止目標地点として、車体16を減速させ、停止させる。最終ノード23aは、ホッパ20への積込位置の手前に設定される。
【0045】
制御装置100は、経路追従走行の完了条件が成立した場合には、経路追従走行制御を終了し、車体16をホッパ20に接近させる接近動作制御を実行する。例えば、制御装置100は、最終ノード23aとホイールローダ1の基準点(例えば、前輪間中心4ac)との間の距離が、予め定められた距離閾値以下となり、かつ、車体16が停止状態となった場合に、経路追従走行の完了条件が成立したと判定する。
【0046】
接近動作制御には、位置合わせ制御、方位合わせ制御、及びフロント直進制御が含まれる。
図4(a)に示すように、経路追従走行の完了条件が成立すると、制御装置100は、接近動作制御における位置合わせ制御を実行する。
【0047】
位置合わせ制御において、制御装置100は、車体16の前方にあるホッパ20と車体16との相対位置を演算する。ホッパ20と車体16の相対位置には、ホッパ20と車体16の相対距離x1が含まれる。制御装置100は、不揮発性メモリ102(
図5参照)に記憶されたホッパ20の形状データと、演算されたホッパ20と車体16の相対位置とに基づき、ホッパ20から、前輪間中心4acとバケット3の先端部との間の距離x0よりも離れた位置に経由地点(目標地点)P1を設定する。ホッパ20の形状データには、ホッパ20の角部などの特徴点の位置が含まれる。制御装置100は、物体検知センサ73の検出結果に基づき、ホッパ20の複数の特徴点を抽出し、抽出した複数の特徴点をホッパ20の形状データとして不揮発性メモリ102(
図5参照)に記憶する。
【0048】
経由地点P1は、ホッパ20から延在する仮想直線上に設定される。本実施形態では、経由地点P1が設定される仮想直線は、ホッパ20の長手方向を二分するホッパ20の中心線CLである。
【0049】
制御装置100は、エンジン50、走行装置28及びステアリング装置19の動作を制御して、設定された経由地点P1に前輪間中心4acを一致させる。
【0050】
-方位合わせ動作-
図4(b)は、位置合わせ制御によるホイールローダ1の位置合わせ動作が完了した時点のホイールローダ1とホッパ20との位置関係について示している。制御装置100は、経由地点P1に前輪間中心4acを一致させて位置合わせ動作が完了すると、位置合わせ制御を終了し、方位合わせ制御を実行する。方位合わせ制御において、制御装置100は、走行装置28を停止させた状態でステアリング装置19の動作を制御して、フロントボディ11の向き(方位)をホッパ20の中心線CLに沿わせる。方位合わせ動作により、フロントボディ11の前後方向に延在するフロントボディ11の中心線が、ホッパ20の中心線CLに平行になる。また、フロントボディ11がホッパ20の前側壁20afと正対する。
【0051】
-フロント直進動作-
図4(c)は、方位合わせ制御によるホイールローダ1の方位合わせ動作が完了した時点のホイールローダ1とホッパ20との位置関係について示している。制御装置100は、フロントボディ11の向きをホッパ20の中心線CLに沿わせて方位合わせ動作が完了すると、方位合わせ制御を終了し、フロント直進制御を実行する。
【0052】
フロント直進制御において、制御装置100は、エンジン50、走行装置28及びステアリング装置19の動作を制御して、フロントボディ11をホッパ20の中心線CLに沿って走行させる。前進走行中、フロントボディ11の方位は維持され、屈曲角の大きさ(絶対値)は徐々に小さくなる。また、フロント直進制御において、制御装置100は、フロントボディ11を直進させつつリフトアーム2の上げ動作を行うことにより、バケット3をホッパ20に干渉させることなく、バケット3をホッパ20の上方に配置させる。制御装置100は、積込位置P2に前輪間中心4acを一致させ、車体16を停止させる。
【0053】
-積込動作-
図4(d)は、フロント直進制御によるホイールローダ1のフロント直進動作が完了した時点のホイールローダ1とホッパ20との位置関係について示している。制御装置100は、前輪間中心4acを積込位置に一致させてフロント直進動作が完了すると、フロント直進制御を終了する。つまり、制御装置100は、接近動作制御を終了する。なお、接近動作が完了すると、制御装置100は、積込制御を実行する。積込制御において、制御装置100は、バケット3のダンプ動作を行ってバケット3内の掘削物をホッパ20内に放出する。
【0054】
以上のとおり、制御装置100は、経路追従走行の完了後、経由地点P1を経由して積込位置P2までホイールローダ1を移動させるための接近動作制御を実行する。この接近動作制御の詳細については後述する。
【0055】
-制御装置のハードウェア構成-
図5は、制御装置100のハードウェア構成を示す図である。
図5に示すように、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等の処理装置101、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ102、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ103、入力インタフェース104、出力インタフェース105、及び、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。なお、制御装置100は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。また、処理装置101としては、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを採用してもよい。
【0056】
不揮発性メモリ102には、各種演算が実行可能なプログラム、及び各種演算に用いられる閾値等のデータが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ102は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶装置(記憶媒体)である。処理装置101は、不揮発性メモリ102に記憶されたプログラムを揮発性メモリ103に展開して演算処理を実行する演算処理装置である。処理装置101は、プログラムに従って入力インタフェース104、不揮発性メモリ102及び揮発性メモリ103から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。
【0057】
入力インタフェース104は、位置検出装置71、屈曲角センサ72、物体検知センサ73、車速センサ74、及び入力装置76から入力された信号を処理装置101で演算可能なデータに変換する。また、出力インタフェース105は、処理装置101での演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を油圧機器(油圧ポンプ、油圧アクチュエータ)の動作を制御する電磁弁、報知装置75等に出力する。
【0058】
物体検知センサ73は、例えば、LiDARである。なお、LiDARに代えて、ミリ波レーダ、レーザレーダ、ステレオカメラ等を物体検知センサ73として採用してもよい。
【0059】
-制御装置の機能-
図6は、制御装置100の機能ブロック図である。制御装置100は、不揮発性メモリ102に記憶されているプログラムを実行することにより、車輪間中心演算部33、ホッパ位置演算部34、バケット位置演算部35、経由地点演算部37、相対位置演算部38、位置合わせ完了判定部40、方位合わせ完了判定部41、フロント直進完了判定部42、目標値演算部43、及び車両制御部44として機能する。
【0060】
-位置演算部-
車輪間中心演算部33、ホッパ位置演算部34、及びバケット位置演算部35は、ホイールローダ1の各部の位置を演算する位置演算部31として機能する。
【0061】
車輪間中心演算部33は、屈曲角センサ72の検出結果、物体検知センサ73の検出結果、及び入力装置76からの入力情報(入力データ)に基づき、前輪間中心4acの位置、及び後輪間中心4bcの位置を演算する。前輪間中心4acの位置は、例えば、センターピン13に対する前輪間中心4acの相対位置である。後輪間中心4bcの位置は、例えば、センターピン13に対する後輪間中心4bcの相対位置である。
【0062】
入力装置76は、オペレータの操作に応じて、センターピン13と前輪間中心4acの相対位置の情報として屈曲中心から前輪間中心4acまでの距離、センターピン13と後輪間中心4bcの相対位置の情報として屈曲中心から後輪間中心4bcまでの距離、センターピン13と物体検知センサ73の相対位置の情報として物体検知センサ73の取付位置(設置位置)の位置座標を入力情報(入力データ)として制御装置100に入力する。制御装置100に入力された相対位置(入力情報)は、不揮発性メモリ102に記憶される。入力装置76による相対位置の入力作業は、製造時(出荷時)、及び、経年劣化に起因して各部の位置にずれが生じた際に行われる。
【0063】
ホッパ位置演算部34は、物体検知センサ73の検出結果、及び入力装置76からの入力情報に基づき、ホッパ20の特徴点を抽出し、抽出したホッパ20の特徴点の位置を演算する。ホッパ20の特徴点の位置は、車体16の基準点(例えば、センターピン13、前輪間中心4ac)に対する相対位置である。ホッパ20の特徴点は、例えば、前側壁20afとホッパ20の中心線CLとの交差点(ホッパ20の入口位置)、及びホッパ20の上面開口部における四隅などである。
【0064】
バケット位置演算部35は、物体検知センサ73の検出結果、及び入力装置76からの入力情報に基づき、バケット3の特徴点を抽出し、抽出したバケット3の特徴点の位置を演算する。バケット3の特徴点の位置は、車体16の基準点(例えば、センターピン13、前輪間中心4ac)に対する相対位置である。バケット3の特徴点は、例えば、バケット3の先端部(爪先)、及びバケット3の左右端部などである。
【0065】
-動作演算部-
経由地点演算部37、相対位置演算部38、位置合わせ完了判定部40、方位合わせ完了判定部41、フロント直進完了判定部42、目標値演算部43は、位置演算部31の演算結果に基づいて、車体16をホッパ20にアプローチさせる際の手順に応じて車体16の各部を動作させるための目標値を演算する動作演算部32として機能する。
【0066】
経由地点演算部37は、車輪間中心演算部33、ホッパ位置演算部34、バケット位置演算部35の演算結果を用いて、ホッパ20へのアプローチが可能か否か(すなわちホッパ20への接近可能条件が成立したか否か)の判定と、経路追従走行完了時の車体16の位置(現在の位置)から積込位置P2に至る経路における最適な経由地点P1の演算を行う。
【0067】
経由地点演算部37は、経由地点P1の演算に先立って、経路追従走行が完了した状態において、ホッパ20への接近可能条件が成立したか否かを判定する。ホッパ20への接近可能条件は、以下の(条件1)及び(条件2)を含む。
(条件1)ステアリング装置19の動作及び走行装置28による前進走行によって、経由地点P1に前輪間中心4acを一致させることが可能であること。
(条件2)経由地点P1に前輪間中心4acを一致させた状態で走行装置28を停止させつつステアリング装置19を動作させることによりフロントボディ11の向きをホッパ20の中心線CLに沿わせることが可能であること。
【0068】
経由地点演算部37は、(条件1)及び(条件2)の双方が満たされた場合に、ホッパ20への接近可能条件が成立したと判定し、(条件1)及び(条件2)の少なくとも一方が満たされていない場合には、ホッパ20への接近可能条件は成立していないと判定する。
【0069】
このように、経由地点演算部37は、フロントボディ11の経由地点P1への位置合わせが可能であり、かつ、ホッパ20の中心線CLに対するフロントボディ11の方位合わせが可能であるか否かを判定する。
【0070】
図7~
図9を参照して、経由地点P1の演算方法及び接近可能条件が成立したか否かの判定方法について詳しく説明する。
図7は、位置合わせ動作が完了した状態のホイールローダ1の停車位置及び姿勢の一例を示す平面模式図である。
図7には、位置合わせが完了した状態から方位合わせが可能な前輪間中心4ac、センターピン13及び後輪間中心4bcが取りうる範囲(以下、方位合わせ可能領域とも記す)A0が図示されている。方位合わせ可能領域A0は、略五角形である。
【0071】
方位合わせ可能領域A0は、点A1と点A2とを結ぶ線分A1A2、点A2と点A3とを結ぶ線分A2A3、点A1と点A5とを結ぶ線分A1A5、点A5と点A4とを結ぶ線分A5A4、及び、点A3と点A4とを結ぶ円弧A3A4により囲まれる領域である。点A1は、経由地点P1に一致している前輪間中心4acの位置に相当する。点A2及び点A5は、ホイールローダ1の屈曲角αが最大屈曲角αmaxのときのセンターピン13の位置に相当する。点A3及び点A4は、ホイールローダ1の屈曲角αが最大屈曲角αmaxのときの後輪間中心4bcの位置に相当する。
【0072】
なお、円弧A3A4は、経由地点P1に前輪間中心4acが位置し、かつ、センターピン13がホッパ20の中心線CL上に位置している場合に、後輪間中心4bcのとりうる点の集合に相当する。線分A1A2及び線分A1A5の長さは、前輪間中心4acからセンターピン13までの長さに相当する。線分A2A3及び線分A5A4の長さ、並びに円弧A3A4の半径は、センターピン13から後輪間中心4bcまでの長さに相当する。
【0073】
点A2及び点A3は、車体16が左方向に最大で屈曲されたときのセンターピン13及び後輪間中心4bcの位置であり、点A5及び点A4は、車体16が右方向に最大で屈曲されたときのセンターピン13及び後輪間中心4bcの位置である。
図7に示す方位合わせ可能領域A0は、ホッパ20に対してセンターピン13が右側にある場合と左側にある場合の双方を考慮した領域として図示されている。このため、方位合わせ可能領域A0は、ホッパ20の中心線CLを対称軸とする線対称形状を呈している。
【0074】
点A1は経由地点P1上にあり、線分A2A3及び線分A5A4はホッパ20の中心線CLに平行である。また、方位合わせ可能領域A0の点A2及び点A5における外角は、それぞれ車体16の最大屈曲角αmaxと等しい。前述のとおり、停止した状態で車体16を屈曲させると、前輪間中心4ac及び後輪間中心4bcの位置はほぼ変化せず、センターピン13の位置が左右に動く。例えば、前輪間中心4ac、センターピン13、及び後輪間中心4bcがそれぞれ点A1,A2,A3にある場合のセンターピン13の位置の変化は以下のとおりである。車体16が左側に最大屈曲している状態から、車体16を右側に最大屈曲させると、センターピン13がホッパ20の中心線CL上に位置する(点A2´参照)。その結果、フロントボディ11の中心線とホッパ20の中心線CLとが平行になり、フロントボディ11とホッパ20の前側壁20afとが正対する。
【0075】
図7では、点A1,A2,A3に前輪間中心4ac、センターピン13、及び後輪間中心4bcが位置していたホイールローダ1の方位合わせ動作が完了したときの前輪間中心4ac、センターピン13、及び後輪間中心4bcを結ぶ線分を破線で示している。図示しないが、同様に点A1,A5,A4に前輪間中心4ac、センターピン13、及び後輪間中心4bcが位置している場合には、左側に車体16を最大屈曲させることにより、センターピン13をホッパ20の中心線CL上に位置させることができる。
【0076】
これに対して、方位合わせ可能領域A0の外側にセンターピン13が位置している状態では、車体16をどのように屈曲したとしても、センターピン13をホッパ20の中心線CL上に位置させることができない。つまり、フロントボディ11の中心線をホッパ20の中心線CLに平行にすることができない。
【0077】
以上のとおり、方位合わせ可能領域A0は、位置合わせ動作の完了後、フロントボディ11の向き(方位)をホッパ20の中心線CLに平行な方向に合わせること、すなわち方位合わせが可能な車体16の停車位置及び姿勢の限界を示している。言い換えると、位置合わせ動作が完了して前輪間中心4acが点A1に位置しているときに、点A2と点A3とを通る直線と点A5と点A4とを通る直線との間に後輪間中心4bcが位置し、かつ、ホッパ20の中心線CLとフロントボディ11の中心線とのなす角θが最大屈曲角以下であれば、その後、方位合わせが可能であるといえる。なお、フロントボディ11の中心線は、車体16の屈曲中心(センターピン13)及び前輪間中心4acを通る仮想直線である。
【0078】
図8を参照して、経路追従走行が完了した状態において、ホッパ20への接近可能条件が成立したか否かを判定する方法の一例を説明する。
図8には、経路追従走行が完了したホイールローダ1が模式的に示されている。また、
図8には、経路追従走行が完了した状態において、経由地点P1を仮定した場合の方位合わせ可能領域A0が示されている。
【0079】
経路追従走行が完了した後、ホイールローダ1の前輪間中心4acを仮定した経由地点P1である仮定地点(点A1)に一致させるための走行経路は、仮定地点(点A1)、前輪間中心4ac、後輪間中心4bcを通る円弧C1となる。ホイールローダ1は、アーティキュレート式の車両であるため、前輪間中心4ac及び後輪間中心4bcが円弧C1上を通る。このため、「円弧C1の半径が車両の最小旋回半径以上であること」が位置合わせを可能とする条件となり、「円弧C1が円弧A3A4と交わること」が方位合わせを可能とする条件となる。
【0080】
つまり、円弧C1の半径が車両の最小旋回半径以上である場合には(条件1)が満たされ、円弧C1の半径が車両の最小旋回半径未満である場合には(条件1)が満たされない。また、円弧C1が円弧A3A4と交わる場合には(条件2)が満たされ、円弧C1が円弧A3A4と交わらない場合には(条件2)が満たされない。
【0081】
図9を参照して、経由地点P1の設定方法の一例を説明する。
図9のグラフの横軸は、位置合わせ完了状態でのホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θを表す。また、
図9のグラフの縦軸は、ホッパ20から経由地点P1までの距離x、すなわち中心線CL上におけるホッパ20の前側壁20afから経由地点P1までの長さを表す。
【0082】
図4(b)及び
図4(c)に示すように、経由地点P1は、方位合わせ動作においてバケット3の右先端BR及び左先端BLがホッパ20に接触しないように、設定する必要がある。方位合わせ動作においてバケット3がホッパ20に接触しない経由地点P1とホッパ20との最短距離は、バケット3の位置と、位置合わせ動作が完了した状態でのなす角θとによって変化する。なお、バケット3の右先端BR及び左先端BLの位置は、バケット3の高さによって変化する。
【0083】
図9に示す接触防止特性曲線アは、バケット3の位置が一定の場合において、方位合わせ動作によりバケット3がホッパ20に接触しない経由地点P1の位置(ホッパ20から経由地点P1までの距離)と、ホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θの関係を示している。なお、バケット3の位置とは、平面視した場合のセンターピン13に対するバケット3の相対位置である。図中、接触防止特性曲線アよりも上側の領域であれば、方位合わせ動作において、ホッパ20とバケット3とは接触しない。接触防止特性曲線アのテーブルは、バケット3の位置ごとに予め演算され、不揮発性メモリ102に記録されている。なお、接触防止特性曲線アにより規定される距離xの最小値は、少なくとも前輪間中心4acとバケット3の先端部との間の距離x0よりも大きい値が設定される。
【0084】
ここで、上述したように、経路追従走行が完了した状態において、前輪間中心4ac、後輪間中心4bc、仮定した経由地点P1である仮定地点に基づいて、仮定地点に至る走行経路(
図8の円弧C1参照)を決定することができる。この走行経路(円弧C1)の仮定地点(経由地点P1)における接線の方向が、経路追従走行が完了した状態におけるフロントボディ11の向きに相当する。このため、走行経路(円弧C1)を求めることにより、ホッパ20の中心線CLとフロントボディ11の中心線とのなす角θを求めることができる。
【0085】
このように、経由地点P1を仮定すれば、ホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θを求めることができる。したがって、経路追従走行が完了したときの初期位置において前輪間中心4ac及び後輪間中心4bcの位置が定まると、ホッパ20から仮定地点(経由地点P1)までの距離xと、ホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θの関係は一意に決まる。
【0086】
経由地点演算部37は、経路追従走行完了時点の位置(初期位置)において、前輪間中心4ac及び後輪間中心4bc、ホッパ20の位置及びホッパ20の中心線CLに基づいて、ホッパ20から仮定した経由地点P1(仮定地点)までの距離x、経由地点P1に前輪間中心4acが一致したときのホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θとの関係を規定する許容屈曲角線を演算する。
【0087】
図9に示す線イ、ウは、許容屈曲角線の一例を示している。なお、なす角θは最大屈曲角以下であるため、線イ及び線ウは、なす角θが最大屈曲角となる位置までの線となる。
【0088】
線イは線アと点エで交差する。点エは、ホッパ20とバケット3が接触することなく、位置合わせ及び方位合わせが可能な距離xの最小値を示している。これに対して、線ウは線アと交差する点を持たない。このため、経路追従走行が完了した状態から、ホッパ20とバケット3が接触しないように位置合わせ動作及び方位合わせ動作が可能な経由地点P1を設定することはできない。
【0089】
経由地点演算部37は、経路追従走行が完了すると、複数の接触防止特性曲線(
図9の線ア参照)の中から現在のバケット3の位置に対応する接触防止特性曲線を読み出す。経由地点演算部37は、現在の前輪間中心4ac、後輪間中心4bc及びホッパ20の位置に基づいて、許容屈曲角線(
図9の線イ、ウ参照)を演算する。
【0090】
経由地点演算部37は、読み出した接触防止特性曲線と、演算された許容屈曲角線とに基づいて、接近可能条件が成立したか否かを判定する。接触防止特性曲線と、許容屈曲角線とが交差する場合、経由地点演算部37は、接近可能条件が成立したと判定し、その交差点における距離xに基づき、経由地点P1の位置を設定する。
【0091】
接触防止特性曲線と、許容屈曲角線とが交差しない場合、経由地点演算部37は、接近可能条件が成立していないと判定する。接近可能条件が成立しなかった場合には、経由地点演算部37は、報知装置75を制御して、報知装置75によって警告をオペレータに報知する。警告は、接近可能条件が成立しなかった旨をオペレータに知らせるためのものである。警告には、現在の位置では適切な積込位置への移動ができないことをオペレータに知らせるための情報と、オペレータの補助を要請するための情報とが含まれる。
【0092】
図6に示す目標値演算部43は、経由地点演算部37により経由地点P1が設定されると、車両制御部44と協働して、前輪間中心4acを経由地点P1に一致させるための位置合わせ制御を実行する。
【0093】
相対位置演算部38は、車輪間中心演算部33、ホッパ位置演算部34、バケット位置演算部35の演算結果に基づき、ホッパ20、バケット3、前輪間中心4acの相対位置(相対距離及び相対角度)の演算を行う。また、相対位置演算部38は、ホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θを演算する。さらに、相対位置演算部38は、バケット3の掘削物をホッパ20に放出する位置(放出位置)を演算する。放出位置は、バケット3の制御点の目標位置に相当する。バケット3の制御点は、バケット3の任意の位置に設定可能であり、例えば、リフトアーム2とバケット3とを連結するバケットピンの位置に設定される。
【0094】
位置合わせ完了判定部40は、経由地点演算部37により経由地点P1の位置が演算された場合、経由地点演算部37の演算結果及び相対位置演算部38の演算結果に基づき、位置合わせ動作の完了条件が成立しているか否かを判定する。位置合わせ完了判定部40は、例えば、経由地点演算部37により演算された経由地点P1の位置に前輪間中心4acの位置が一致している場合に、位置合わせ動作の完了条件が成立していると判定する。
【0095】
位置合わせ完了判定部40は、経由地点P1の位置から所定の範囲内に、前輪間中心4acが位置している場合には、経由地点P1の位置に前輪間中心4acの位置が一致していると判定する。より具体的には、位置合わせ完了判定部40は、経由地点P1から前輪間中心4acまでの距離yを演算する。位置合わせ完了判定部40は、演算された距離yが予め定めた距離閾値y0以下である場合には、経由地点P1の位置に前輪間中心4acの位置が一致しており、位置合わせ動作の完了条件が成立していると判定する。位置合わせ完了判定部40は、演算された距離yが距離閾値y0よりも大きい場合には、経由地点P1の位置に前輪間中心4acの位置が一致しておらず、位置合わせ動作の完了条件は成立していないと判定する。
【0096】
位置合わせ動作の完了条件が成立していると判定されると、位置合わせ完了判定部40は、位置合わせ動作の完了信号を目標値演算部43及び方位合わせ完了判定部41に出力する。位置合わせ動作の完了信号を取得した目標値演算部43は、位置合わせ制御を完了し、車両制御部44と協働して方位合わせ制御を開始する。
【0097】
方位合わせ完了判定部41は、位置合わせ動作の完了信号を取得すると、相対位置演算部38の演算結果に基づき、方位合わせ動作の完了条件が成立しているか否かを判定する。方位合わせ完了判定部41は、例えば、相対位置演算部38により演算されたホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θが角度閾値θ0以下である場合に、方位合わせ動作の完了条件が成立していると判定する。方位合わせ完了判定部41は、なす角θが予め定めた角度閾値θ0よりも大きい場合には、方位合わせ動作の完了条件は成立していないと判定する。
【0098】
方位合わせ動作の完了条件が成立していると判定されると、方位合わせ完了判定部41は、方位合わせ動作の完了信号を目標値演算部43及びフロント直進完了判定部42に出力する。方位合わせ動作の完了信号を取得した目標値演算部43は、方位合わせ制御を完了し、車両制御部44と協働して、フロント直進制御を開始する。
【0099】
フロント直進完了判定部42は、方位合わせ動作の完了信号を取得すると、相対位置演算部38の演算結果に基づき、フロント直進動作の完了条件が成立したか否かを判定する。フロント直進完了判定部42は、例えば、ホッパ20の上方にバケット3が位置している場合に、フロント直進動作の完了条件が成立していると判定する。
【0100】
フロント直進完了判定部42は、ホッパ20に対する放出位置の所定の範囲内に、バケット3の制御点が位置している場合には、フロント直進動作の完了条件が成立したと判定する。より具体的には、フロント直進完了判定部42は、放出位置からバケット3の制御点までの距離zを演算する。フロント直進完了判定部42は、演算された距離zが予め定めた距離閾値z0以下である場合には、ホッパ20の上方にバケット3が位置しており、フロント直進動作の完了条件が成立したと判定する。フロント直進完了判定部42は、演算された距離zが距離閾値z0よりも大きい場合には、ホッパ20の上方にバケット3が位置していないため、フロント直進動作の完了条件は成立していないと判定する。
【0101】
なお、フロント直進完了判定部42による判定方法はこれに限定されない。例えば、相対位置演算部38は、バケット3から掘削物を放出するときの前輪間中心4acの目標位置である積込位置を演算する。フロント直進完了判定部42は、相対位置演算部38により演算された積込位置に前輪間中心4acが一致した場合に、フロント直進動作の完了条件が成立したと判定してもよい。
【0102】
フロント直進動作の完了条件が成立していると判定されると、フロント直進完了判定部42は、フロント直進動作の完了信号を目標値演算部43に出力する。フロント直進動作の完了信号を取得した目標値演算部43は、フロント直進制御を完了し、車両制御部44と協働して積込制御を開始する。
【0103】
目標値演算部43は、経路追従走行が完了し、経由地点P1が設定されると、位置合わせ動作を行うための目標値を演算する。目標値演算部43は、位置合わせ完了判定部40から位置合わせ完了信号を取得すると、方位合わせ動作を行うための目標値を演算する。目標値演算部43は、方位合わせ動作の完了信号を取得すると、フロント直進動作を行うための目標値を演算する。目標値演算部43は、フロント直進動作の完了信号を取得すると、バケット3から掘削物を放出するための目標値を演算する。目標値には、目標車速、目標屈曲角、目標アーム角度及び目標バケット角度がある。
【0104】
目標値演算部43による目標値の演算には、経由地点演算部37により演算された経由地点P1の位置と、相対位置演算部38の演算結果が用いられる。車両制御部44は、目標値演算部43により演算された目標値に基づき、車両の各部を制御する。例えば、車両制御部44は、屈曲角センサ72により検出される屈曲角が目標値演算部43により演算された目標屈曲角になるように、ステアリング装置19を制御する。また、車両制御部44は、車速センサ74により検出される車速が目標値演算部43により演算された目標車速になるように、エンジン50、走行装置28(ブレーキ装置18を含む)を制御する。さらに、車両制御部44は、アーム角度センサ及びバケット角度センサにより検出されたアーム角度及びバケット角度が目標アーム角度及び目標バケット角度になるように、作業装置17を制御する。
【0105】
図10のフローチャートを参照して、制御装置100により実行される接近動作制御の流れの一例について説明する。
図10のフローチャートに示す処理は、経路追従走行の完了条件が成立することにより開始され、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0106】
図10に示すように、ステップS100において、位置演算部31は、屈曲角センサ72、物体検知センサ73及び入力装置76からの情報を取得し、取得した情報に基づいて、前輪間中心4ac、後輪間中心4bc、ホッパ20、及びバケット3の位置を演算し、処理をステップS104に進める。
【0107】
ステップS104において、経由地点演算部37は、ホッパ20への接近可能条件が成立したか否かを判定する。ステップS104において、ホッパ20への接近可能条件が成立していると判定されると処理がステップS112に進み、ホッパ20への接近可能条件が成立していないと判定されると処理がステップS108に進む。
【0108】
ステップS108において、制御装置100は、報知装置75を制御して、警告を報知装置75によって報知させる。報知装置75によって報知される警告には、接近可能条件が成立しなかった旨、及び、オペレータの介入を要請する情報が含まれる。警告処理(S108)が完了すると、処理がステップS100に戻る。
【0109】
ステップS112において、経由地点演算部37は、経由地点P1の位置を演算する。経由地点P1の演算処理(ステップS112)が完了すると、制御装置100は、位置合わせ制御(ステップS116~S136)を開始する。ステップS116において、位置合わせ完了判定部40は、ステップS100で演算された現在の前輪間中心4acの位置が、ステップS112で演算された経由地点P1の位置に一致しているか否かを判定する。
【0110】
ステップS116において、位置合わせ完了判定部40は、前輪間中心4acの位置が経由地点P1の位置に一致していないと判定されると、処理がステップS120に進む。ステップS120において、目標値演算部43は、目標屈曲角を演算し、処理をステップS122に進める。目標屈曲角は、ステップS100で演算された前輪間中心4ac及び後輪間中心4bc並びにステップS112で演算された経由地点P1を通る円弧C1に基づき演算される。ステップS122において、車両制御部44は、屈曲角センサ72により検出された現在の屈曲角の情報を取得し、処理をステップS124に進める。ステップS124において、車両制御部44は、現在の屈曲角が目標屈曲角に一致しているか否かを判定する。
【0111】
ステップS124において、現在の屈曲角が目標屈曲角に一致していないと判定されると、処理がステップS128に進む。ステップS128において、車両制御部44は、現在の屈曲角が目標屈曲角に近づくようにステアリング装置19を制御することで屈曲角を変更し、処理をステップS122に戻す。
【0112】
ステップS124において、現在の屈曲角が目標屈曲角に一致していると判定されると、処理がステップS132に進む。ステップS132において、目標値演算部43及び車両制御部44は、エンジン50及び走行装置28を制御して車体16を所定の車速V1で前進させ、処理をステップS134に進める。
【0113】
ステップS134において、位置演算部31は、屈曲角センサ72、物体検知センサ73及び入力装置76からの情報を取得し、取得した情報に基づいて、前輪間中心4acを演算し、処理をステップS136に進める。
【0114】
ステップS136において、位置合わせ完了判定部40は、ステップS134で演算された現在の前輪間中心4acの位置が、ステップS112で演算された経由地点P1の位置に一致しているか否かを判定する。ステップS136において、前輪間中心4acの位置が経由地点P1の位置に一致していないと判定されると、処理がステップS132に戻る。
【0115】
ステップS116またはステップS136において、前輪間中心4acの位置が経由地点P1の位置に一致していると判定されると、制御装置100は、位置合わせ制御を完了し、処理をステップS138に進める。
【0116】
位置合わせ制御が完了すると、制御装置100は、方位合わせ制御(ステップS138~S144)を開始する。ステップS138において、相対位置演算部38は、ホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θを演算し、処理をステップS140に進める。
【0117】
ステップS140において、方位合わせ完了判定部41は、ステップS138で演算されたなす角θが角度閾値θ0以下であるか否かを判定する。ステップS140において、なす角θが角度閾値θ0よりも大きいと判定されると、処理がステップS144に進む。ステップS144において、車両制御部44は、なす角θが0(ゼロ)に近づくようにステアリング装置19を制御することで屈曲角を変更し、処理をステップS138に戻す。ステップS140において、なす角θが角度閾値θ0以下であると判定されると、制御装置100は、方位合わせ制御を完了し、処理をステップS148に進める。
【0118】
方位合わせ制御が完了すると、制御装置100は、フロント直進制御(ステップS148~S160)を開始する。ステップS148において、目標値演算部43及び車両制御部44は、エンジン50及び走行装置28を制御して車体16を所定の車速V2で前進させ、ステップS150に処理を進める。なお、このときの車速V2は、位置合わせ動作における前進走行のときの車速V1に比べて遅い(V2<V1)。これにより、フロント直進動作の精度を向上することができる。
【0119】
ステップS150において、相対位置演算部38は、ホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θを演算し、処理をステップS152に進める。
【0120】
ステップS152において、フロント直進完了判定部42は、ステップS150で演算されたなす角θが角度閾値θ0以下であるか否かを判定する。ステップS152において、なす角θが角度閾値θ0よりも大きいと判定されると、処理がステップS156に進む。ステップS156において、車両制御部44は、なす角θが0(ゼロ)に近づくようにステアリング装置19を制御することで屈曲角を変更し、処理をステップS150に戻す。ステップS152において、なす角θが角度閾値θ0以下であると判定されると、制御装置100は、処理をステップS158に進める。
【0121】
ステップS158において、相対位置演算部38は、ホッパ20の放出位置に対するバケット3の制御点の位置を演算し、処理をステップS160に進める。ステップS160において、フロント直進完了判定部42は、ステップS158で演算されたバケット3の制御点の位置が、放出位置に一致しているか否かを判定する。ステップS160において、バケット3の制御点の位置が、放出位置に一致していないと判定されると、処理がステップS148に戻る。ステップS160において、バケット3の制御点の位置が、放出位置に一致していると判定されると、制御装置100は、フロント直進制御を完了し、
図10のフローチャートに示す処理を終了する。
【0122】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0123】
(1)ホイールローダ1は、作業装置17により掘削した掘削物をホッパ(積込対象物)20に積み込む作業を行う。制御装置100は、車体16の前方にあるホッパ20と車体16との相対位置を演算する(
図10のS100)。制御装置100は、不揮発性メモリ(記憶装置)102に記憶されたホッパ20の形状データと、演算された相対位置とに基づき、ホッパ20から、左右一対の前輪間の中心である前輪間中心4acとバケット3の先端部との間の距離よりも離れた位置に経由地点P1を設定する(
図10のS112)。制御装置100は、走行装置28及びステアリング装置19の動作を制御して、設定された経由地点P1に前輪間中心4acを一致させる(
図10のS116~S136)。
【0124】
この構成によれば、狭い作業現場において、自律運転により、従来よりも短く限られた走行距離で、ホッパ20と接触することなく積込位置P2まで移動可能なホイールローダ1を提供することができる。例えば、本実施形態では、経路追従走行が完了した時点のホッパ20の中心線CLからの横ずれが0.5m程度である場合において、前輪間中心4acとホッパ20との相対距離が1車長以下で積込位置P2までの適切なアプローチが可能である。
【0125】
(2)制御装置100は、ホッパ20から延在する仮想直線であるホッパ20の中心線CL上に経由地点P1を設定する(
図4(a)参照)。制御装置100は、設定された経由地点P1に前輪間中心4acを一致させ(
図4(b)参照)、その後、走行装置28を停止させた状態でステアリング装置19の動作を制御して、フロントボディ11の向きをホッパ20の中心線CLに沿わせる(
図4(c)参照)。制御装置100は、フロントボディ11の向きをホッパ20の中心線CLに沿わせた後、走行装置28及びステアリング装置19の動作を制御して、フロントボディ11をホッパ20の中心線CLに沿って走行させる(
図4(d)参照)。
【0126】
この構成によれば、方位合わせ及びフロント直進動作を精度よく行うことができ、ホッパ20の中心線CL上の積込位置P2に適切にホイールローダ1を位置させることができる。
【0127】
(3)制御装置100は、設定された経由地点P1に前輪間中心4acを一致させる際の車速V1よりも、フロントボディ11をホッパ20の中心線CLに沿って走行させる際の車速V2を遅くする(V2<V1)。これにより、フロント直進及び積込位置P2に対するホイールローダ1の位置合わせを精度よく行うことができる。また、フロント直進の際、リフトアーム2を上げ動作する場合であっても、安定して車体16をホッパ20に接近させることができる。
【0128】
(4)制御装置100は、屈曲角センサ72により検出された車体16の屈曲角、不揮発性メモリ102に記憶されたホッパ20の形状データ、及び、演算されたホッパ20と車体16との相対位置に基づいて、ホッパ20への接近可能条件が成立したか否かを判定する。接近可能条件が成立した場合には(
図10のS104でYes)、制御装置100は、経由地点P1に前輪間中心4acを一致させるように、ステアリング装置19及び走行装置28を動作させる(
図10のS112~S136)。接近可能条件が成立しなかった場合には(
図10のS104でNo)、制御装置100は、報知装置75を制御して、接近可能条件が成立しなかった旨を報知装置75によって報知させる(
図10のS108)。この場合、制御装置100は、自律運転による車体16の屈曲及び走行を行わず、停止状態を維持する。
【0129】
接近可能条件は、ステアリング装置19の動作及び走行装置28による前進走行によって、経由地点P1に前輪間中心4acを一致させることが可能であること、及び、経由地点P1に前輪間中心4acを一致させた状態で走行装置28を停止させつつステアリング装置19を動作させることによりフロントボディ11の向きをホッパ20の中心線CLに沿わせることが可能であることを含む。
【0130】
この構成によれば、例えば、経路追従走行が完了した時点で、ホッパ20への接近が不能であることをオペレータが知ることができる。オペレータは、例えば、車体16をホッパ20の中心線CLに近づけるように、あるいは、ホッパ20から車体16を遠ざけるようにホイールローダ1を手動で操作する。オペレータは、手動でホイールローダ1を操作した後、図示しない自律運転復帰ボタンを操作する。これにより、制御装置100は、再び、
図10のステップS100及びS104の処理を実行し、ステップS104で接近可能条件が成立したと判定された場合には、位置合わせ制御(S112~S136)、方位合わせ制御(S138~S140)、フロント直進制御(S148~S160)を実行する。
【0131】
したがって、経路追従走行が完了した時点で、自律運転によりホッパ20への接近が不可能である場合であっても、オペレータが補助を行うことで、その後の自律運転により車体16を積込位置P2に移動させ、ホッパ20への掘削物の積込作業を行うことができる。
【0132】
(5)制御装置100には、前輪間中心4acが経由地点P1に一致している状態におけるホッパ20の中心線CLとフロントボディ11とのなす角θと、前輪間中心4acが経由地点P1に一致している状態からバケット3をホッパ20に接触させることなくフロントボディ11の向きをホッパ20の中心線CLに沿わせることが可能な経由地点P1の位置との関係を規定する接触防止特性曲線のテーブルが予め記憶されている(
図9の線ア参照)。制御装置100は、経由地点P1に前輪間中心4acを一致させる前に、現在の車体16の位置と、ホッパ20の位置とに基づいて、仮定した経由地点である仮定地点に前輪間中心4acを位置させたときのなす角θと仮定地点の位置(本実施形態ではホッパ20から仮定地点までの距離)との関係(
図9の線イ参照)を演算する。制御装置100は、演算されたなす角θと仮定地点の位置との関係(
図9の線イ参照)と、接触防止特性曲線のテーブル(
図9の線ア参照)とに基づいて、位置合わせ動作により前輪間中心4acを一致させる経由地点P1を設定する。
【0133】
この構成では、予め接触防止特性曲線のテーブルが記憶されているため、都度、接触防止特性曲線を演算する必要がない。したがって、本実施形態によれば、都度、接触防止特性曲線を演算する形態に比べて、演算負荷を低減することができる。また、経由地点P1を可能な限りホッパ20の近くに設定することができ、位置合わせ動作を容易に行うことができる。
【0134】
(6)ホイールローダ1は、車体16に取り付けられ車体16の前方のホッパ20を検知する物体検知センサ73と、フロントボディ11とリアボディ12の屈曲中心(センターピン13)から前輪間中心4acまでの距離、フロントボディ11とリアボディ12の屈曲中心(センターピン13)から後輪間中心4bcまでの距離、及び、物体検知センサ73の取付位置(設置位置)を入力情報として制御装置100に入力する入力装置76と、を備える。
【0135】
この構成によれば、物体検知センサ73の取付位置を変更した場合、オペレータは入力装置76を操作し、物体検知センサ73の取付位置を制御装置100に入力する。これにより、制御装置100は、新たに入力された物体検知センサ73の取付位置に基づいて、自律運転によるホッパ20への接近動作を精度よく行うことができる。
【0136】
<第2実施形態>
図11及び
図12を参照して、本発明の第2実施形態に係るホイールローダ1Bについて説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照記号を付し、相違点を主に説明する。
【0137】
図11は、本発明の第2実施形態に係るホイールローダ1Bがホッパ20Bに接近する様子を示す側面図である。第1実施形態では、ホイールローダ1の車体16に物体検知センサ73が取り付けられていた。これに対して、第2実施形態では、ホッパ20Bの屋根20cに物体検知センサ73Bが取り付けられている。
【0138】
物体検知センサ73Bは、例えば、LiDARであり、ホッパ20Bの周囲の物体を検知する。
図11に示す状態では、物体検知センサ73Bは、ホイールローダ1Bのバケット3及びフロントボディ11の位置と形状を検出する。物体検知センサ73Bは、検出結果を無線通信によりホイールローダ1の制御装置100に送信する通信装置を備えている。
【0139】
図12は、第2実施形態に係る制御装置100Bの機能ブロック図である。
図12に示すように、第2実施形態では、車輪間中心演算部33B及びバケット位置演算部35Bがホイールローダ1の各部の位置を演算する位置演算部31Bとして機能する。
【0140】
ホイールローダ1Bは、物体検知センサ73Bから送信される情報を受信する通信装置79を備えている。通信装置79は、物体検知センサ73Bの通信装置と、直接的に無線通信可能な無線通信装置であって、例えば2.4GHz帯等の帯域を感受帯域とする通信アンテナを含む通信インタフェースを有する。第2実施形態に係る制御装置100Bは、通信装置79を介して物体検知センサ73Bの検出結果を取得する。
【0141】
入力装置76は、オペレータの操作に応じて、車体16の屈曲中心(センターピン13)から前輪間中心4acまでの距離、車体16の屈曲中心(センターピン13)から後輪間中心4bcまでの距離、及び、ホッパ20の入口位置と物体検知センサ73の相対位置を物体検知センサ73Bの取付位置(設置位置)として制御装置100Bに入力する。なお、制御装置100Bの不揮発性メモリ102には、ホッパ20の入口位置を基準とした各部(ホッパ20の上面開口部における四隅等)の相対位置データが、ホッパ20の形状データとして記憶されている。
【0142】
バケット位置演算部35Bは、物体検知センサ73Bの検出結果と入力装置76からの入力情報を用いて、ホッパ20とバケット3の相対位置を演算する。また、バケット位置演算部35Bは、バケット3の右先端BR、左先端BLを抽出することで、ホッパ20の中心線CLに対するフロントボディ11の角度(なす角θ)を演算する。
【0143】
車輪間中心演算部33Bは、物体検知センサ73Bの検出結果、屈曲角センサ72の検出結果と、入力装置76からの入力情報を用いて、ホッパ20と前輪間中心4ac、ホッパ20と後輪間中心4bcの相対位置を演算する。
【0144】
第2実施形態に係る制御装置100Bのその他の機能については、第1実施形態に係る制御装置100と同様であるため、説明を省略する。
【0145】
以上のように、本第2実施形態では、通信装置79がホッパ20とバケット3の相対位置情報を取得する相対位置取得装置として機能する。第1実施形態では、ホイールローダ1に相対位置取得装置としての物体検知センサ73が取り付けられているため、ホイールローダ1の走行中及び作業中の振動に起因して物体検知センサ73が故障する場合がある。これに対して第2実施形態では、物体検知センサ73Bが固定物であるホッパ20に取り付けられるため、振動に起因する物体検知センサ73Bの故障のリスクを低減することができる。
【0146】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0147】
<変形例1>
上記実施形態では、制御装置100は、物体検知センサ73の検出結果に基づき、車体16の基準点(例えば、センターピン13、前輪間中心4ac)に対するバケット3の位置を演算する例について説明した。つまり、上記実施形態では、物体検知センサ73が、バケット3の位置を取得するバケット位置取得装置として機能する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。制御装置100は、アーム角度センサにより検出される車体16に対するリフトアーム2の角度と、バケット角度センサにより検出されるリフトアーム2に対するバケット3の角度と、屈曲角センサ72により検出される屈曲角と、に基づいて、車体16の基準点に対するバケット3の位置を演算してもよい。この場合、アーム角度センサ、バケット角度センサ、及び屈曲角センサ72が、バケット3の位置を取得するバケット位置取得装置として機能する。
【0148】
<変形例2>
上記実施形態では、制御装置100は、物体検知センサ73の検出結果に基づき、車体16とホッパ20の相対位置を演算する例について説明した。つまり、上記実施形態では、物体検知センサ73が、車体16に対するホッパ20の相対位置情報を取得する相対位置情報取得装置として機能する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。制御装置100は、位置検出装置71により検出された車体16の位置及び向き(方位)と、入力装置76により予め不揮発性メモリ102に記憶されたホッパ20の位置及び向き並びにホッパ20の形状データに基づいて、車体16とホッパ20の相対位置を演算してもよい。この場合、入力装置76が、車体16に対するホッパ20の相対位置情報を取得する相対位置情報取得装置として機能する。
【0149】
<変形例3>
接近可能条件が成立しているか否かの判定方法は、上記実施形態で説明した方法に限定されない。ホッパ20の中心線CL上の所定の範囲内において、複数の経由地点候補を演算し、複数の経由地点候補ごとの円弧C1を演算して、演算された複数の円弧C1の中に、半径が車両の最小旋回半径以上であり、かつ、円弧A3A4と交わる円弧C1がある場合には、接近可能条件が成立していると判定してもよい。なお、最小旋回半径は、不揮発性メモリ102に記憶されている。
【0150】
<変形例4>
第1実施形態では、物体検知センサ73がホイールローダ1に設けられ、第2実施形態では、物体検知センサ73Bがホッパ20に設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ホッパ20から所定距離だけ離れた位置に、物体検知センサ73Bを設けてもよい。第2実施形態及び本変形例のように、物体検知センサ73Bがホイールローダ1の外部に設けられる場合、ホイールローダ1の制御装置は、物体検知センサ73Bの検出結果を、通信装置79を介して無線通信により取得し、物体検知センサ73Bの検出結果に基づいて、ホイールローダ1の車体16と、ホッパ20との相対位置を演算する。物体検知センサ73Bがホイールローダ1の外部に設けられることにより、振動に起因する物体検知センサ73Bの故障のリスクを低減することができる。
【0151】
<変形例5>
ホイールローダ1,1Bの構成は、上記実施形態で説明した例に限定されない。ホイールローダ1,1Bは、例えば、エンジン50に機械的に接続される発電電動機と、発電電動機によって発電された電力により回転駆動され走行装置を動作させる走行電動機と、を備える構成であってもよい。つまり、ホイールローダ1、1Bは、エンジン50の動力を電気に変換して車輪4に伝達するハイブリッド式の動力伝達機構を備えていてもよい。また、ホイールローダは、エンジン50の動力を油圧に変換して車輪4に伝達するHST(Hydro Static Transmission)式の動力伝達機構を備えていてもよい。
【0152】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0153】
1,1B…ホイールローダ、2…リフトアーム、3…バケット、4a…前輪、4ac…前輪間中心、4b…後輪、4bc…後輪間中心、7…アームシリンダ(油圧シリンダ)、8…バケットシリンダ(油圧シリンダ)、11…フロントボディ、12…リアボディ、13…センターピン、14…ステアリングシリンダ(油圧シリンダ)、16…車体、17…作業装置、18…ブレーキ装置、19…ステアリング装置、20,20B…ホッパ(積込対象物)、20a…側壁、20af…前側壁、20c…屋根、22…走行経路、23…ノード、28…走行装置、31,31B…位置演算部、32…動作演算部、33,33B…車輪間中心演算部、34…ホッパ位置演算部、35,35B…バケット位置演算部、37…経由地点演算部、38…相対位置演算部、40…位置合わせ完了判定部、41…方位合わせ完了判定部、42…フロント直進完了判定部、43…目標値演算部、44…車両制御部、50…エンジン、60A,60B,60C…油圧ポンプ、61…フロント制御部、62…ブレーキ制御部、63…ステアリング制御部、64…トランスミッション制御部、65…エンジン制御部、71…位置検出装置、72…屈曲角センサ、73,73B…物体検知センサ、74…車速センサ、75…報知装置、76…入力装置、79…通信装置、100,100B…制御装置、101…処理装置、102…不揮発性メモリ、103…揮発性メモリ