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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035162
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20240306BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240306BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240306BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B41J11/70
G03G21/14
G03G15/00 460
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138722
(22)【出願日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2022138627
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】梶川 佳史
【テーマコード(参考)】
2C058
2H072
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C058AB15
2C058AB23
2C058AC08
2C058AD01
2C058AE02
2C058AE08
2C058AF25
2C058AF51
2C058LB06
2C058LC04
2C058LC11
2C058LC16
2C058LC25
2H072AA09
2H072AA17
2H072AA29
2H072CA01
2H072GA05
2H270KA57
2H270LA39
2H270LA44
2H270LA65
2H270LA70
2H270LC14
2H270LD03
2H270MH15
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA05
3F048BB02
3F048CA03
3F048CC03
3F048CC11
3F048CC17
3F048DA09
3F048DC05
3F048EB22
3F048EB37
3F048EB40
(57)【要約】
【課題】シートを正確な位置で切断することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成部と、定着部と、装置本体と、搬送部と、カッターと、シートを検知するセンサと、制御部と、を備えている。制御部は、定着部を通過後のシートの搬送方向の寸法を計測する計測処理と、シート上における切断位置を決定する切断位置決定処理と、シートの切断位置がカッター位置に到達するように、シートを搬送した(S24)後、停止させる(S26)搬送処理と、シートを切断する切断処理(S27)と、を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体とを有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着部と、
搬送経路を有する装置本体と、
前記搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、
前記搬送経路において前記定着部よりもシート搬送方向下流側にあるカッター位置に配置され、シートを切断可能なカッターと、
前記搬送経路において前記定着部よりシート搬送方向下流側に配置され、シートを検知するセンサと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記センサの検知結果に基づいて、前記定着部を通過後のシートの搬送方向の寸法を計測する計測処理と、
前記計測処理にて計測した前記寸法に基づいて、前記シート上における切断位置を決定する切断位置決定処理と、
前記搬送部を制御して前記搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送処理であって、前記切断位置決定処理にて決定された前記シートの前記切断位置が前記カッター位置に到達するように、前記シートを搬送した後、前記搬送部を停止させる搬送処理と、
前記搬送処理の後、前記カッターを用いて前記シートを切断する切断処理と、
を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体は、
前記定着部を通過後のシートを、前記画像形成部に向けて再び搬送するための再搬送経路であって、前記搬送経路と合流位置で合流する再搬送経路を更に有し、
前記カッター位置は、前記搬送経路において前記合流位置よりもシート搬送方向下流側に位置し、
前記搬送部は、
前記搬送経路において前記合流位置よりもシート搬送方向上流側に配置され、シートを搬送方向に搬送する回転である第1回転する搬送ローラと、
前記搬送経路において前記合流位置よりもシート搬送方向下流側に配置され、前記第1回転することでシートを前記装置本体の外部に排出する排出ローラであって、シートを前記搬送方向とは逆方向に搬送する回転である第2回転することで、前記合流位置を経由してシートを前記再搬送経路に向けて搬送する排出ローラと、を有し、
前記制御部は、
前記搬送処理にて、前記シートの後端が前記合流位置を通過するように、前記搬送ローラ及び前記排出ローラを前記第1回転させ、前記シートの後端が前記合流位置を通過時もしくは通過後の所定のタイミングから、前記切断位置が前記カッター位置に到達するまでの間、前記排出ローラを前記第2回転させた後、前記排出ローラの回転を停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カッター位置は、
前記搬送経路に定型シートであるシートの後端が前記センサの位置にある場合において、前記定型シートの前記搬送方向のシートの寸法の半分の位置が前記カッター位置を超えた位置にあることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定のタイミングは、シートの後端が前記合流位置を通過時点でのタイミングであり、
前記制御部は、
前記搬送処理にて、シートの後端と前記切断位置決定処理にて決定されたシートの前記切断位置との間の長さから、前記搬送経路における前記合流位置と前記カッター位置との間の長さを差し引いた長さ分、前記排出ローラを前記第2回転させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送経路上において前記合流位置と前記カッター位置との間の第1位置が予め定められ、
前記所定のタイミングは、シートの後端が前記第1位置を通過時点でのタイミングであり、
前記制御部は、
前記搬送経路における前記センサと前記カッター位置との間の長さから、前記搬送経路における前記センサと前記第1位置との間の長さを差し引いた差分を算出し、
前記搬送処理にて、シートの後端と前記切断位置決定処理にて決定されたシートの前記切断位置との間の長さから、算出した前記差分を差し引いた長さ分、前記排出ローラを前記第2回転させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送経路上において前記カッター位置よりシート搬送方向下流側に第2位置が予め定められ、
前記所定のタイミングは、シートの後端が前記第2位置を通過時点でのタイミングであり、
前記制御部は、
前記搬送経路における前記センサと前記第2位置との間の長さから、前記搬送経路における前記センサと前記カッター位置との間の長さを差し引いた差分を算出し、
前記搬送処理にて、シートの後端と前記切断位置決定処理にて決定されたシートの前記切断位置との間の長さと、算出した前記差分とを足し合わせた長さ分、前記排出ローラを前記第2回転させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
シートが載置される供給トレイを更に備え、
前記搬送ローラは、
前記第1回転することによって、前記供給トレイのシートをピックアップし、前記搬送経路に向けてシートを搬送するピックアップローラと、
前記搬送経路において前記画像形成部よりもシート搬送方向上流側に配置され、前記画像形成部に向けて前記シートを搬送するレジストレーションローラと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部は、
前記第1回転する感光体ドラムと、
前記搬送経路における前記感光体ドラムとの間に転写ニップを形成する転写部材であって、前記感光体ドラムに形成されたトナー像を、前記転写ニップを通過するシートに転写する転写部材と、
を有し、
前記定着部は、
前記加熱回転体及び前記加圧回転体のうち少なくとも一方が前記第1回転することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記排出ローラは、少なくとも前記カッター位置を挟んだ上流位置及び下流位置に配置された複数のローラを含み、
前記制御部は、
前記切断処理の後、前記複数のローラをそれぞれ前記第1回転させる排出処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項10】
シートが載置される供給トレイを更に備え、
前記搬送ローラは、
前記第1回転することによって、前記供給トレイから前記搬送経路に向けて前記シートを給送するピックアップローラと、
前記搬送経路において前記画像形成部よりもシート搬送方向上流側に配置され、前記画像形成部に向けて前記シートを搬送するレジストレーションローラと、
を含み、
前記画像形成部は、
前記第1回転する感光体ドラムと、
前記搬送経路における前記感光体ドラムとの間に転写ニップを形成する転写部材であって、前記感光体ドラムに形成されたトナー像を、前記転写ニップを通過するシートに転写する転写部材と、
を有し、
前記排出ローラは、少なくとも前記カッター位置を挟んだ上流位置及び下流位置に配置された複数のローラを含み、
前記制御部は、
前記切断処理の後、複数の前記搬送ローラをそれぞれ前記第1回転させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記搬送ローラと、前記感光体ドラムと、前記加圧回転体または前記加熱回転体と、前記排出ローラとに対して、それぞれ駆動力を伝達するメインモータを更に備え、
前記搬送ローラと、前記感光体ドラムと、前記加圧回転体または前記加熱回転体とは、 前記メインモータから第1駆動力が伝達され、前記第1駆動力によってそれぞれ前記第1回転し、前記メインモータからの第2駆動力は伝達されず、
前記排出ローラは、
前記メインモータから前記第1駆動力が伝達された場合に前記第1回転し、前記メインモータから前記第2駆動力が伝達された場合に前記第2回転することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記搬送ローラと、前記感光体ドラムと、前記加圧回転体または前記加熱回転体とに対して、それぞれ駆動力を伝達するメインモータと、
前記排出ローラに対して駆動力を伝達するサブモータと、
を更に備え、
前記搬送ローラと、前記感光体ドラムと、前記加圧回転体または前記加熱回転体とは、 前記メインモータから前記第1回転をするための駆動力を伝達された場合、それぞれ前記第1回転し、
前記排出ローラは、
前記サブモータから第1駆動力が伝達された場合、前記第1回転し、前記サブモータから第2駆動力を伝達された場合、前記第2回転することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記再搬送経路に搬送されたシートを、前記画像形成部に向けて搬送する再搬送ローラを更に備え、
前記メインモータは、前記再搬送ローラに対して駆動力を伝達し、
前記再搬送ローラは、
前記メインモータから前記第1駆動力が伝達された場合に前記第1回転し、前記メインモータから前記第2駆動力が伝達された場合にも前記第1回転することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記再搬送経路に案内されたシートを、前記画像形成部に向けて搬送する再搬送ローラを更に備え、
前記メインモータは、前記再搬送ローラに対して駆動力を伝達し、
前記再搬送ローラは、
前記メインモータから前記第1駆動力が伝達された場合に第1回転することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記カッターがシートを切断するための駆動力を伝達するカッター用駆動源を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記センサは、
前記搬送経路における前記カッター位置と前記定着部との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記センサは、
前記搬送経路における前記カッター位置よりシート搬送方向下流側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項18】
シートに画像を形成する画像形成部と、
加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体とを有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着部と、
搬送経路を有する装置本体と、
前記搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、
前記搬送経路において前記定着部よりもシート搬送方向下流側にあるカッター位置に配置され、シートを切断可能なカッターと、
前記搬送経路において前記定着部よりシート搬送方向下流側に配置され、シートを検知するセンサと、
前記センサの検知結果に基づいて前記搬送部を停止させて前記カッターを用いて前記シートを切断する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを切断可能なカッターを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定型サイズの用紙を切断する切断部を備えた印刷装置がある(特許文献1参照)。特許文献1の印刷装置では、レジセンサによる用紙の前端及び後端の検知結果を用いることにより、用紙の搬送方向の長さを算出して、用紙が2等分される切断位置を設定した後、設定された切断位置で切断部により用紙を切断する。これにより、用紙を所望のサイズに切断して利用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-056961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、画像形成部によってシートに画像を形成し、定着部によりシートに画像を定着させる画像形成装置においては、定着部によりシートに熱が加えられることによって、シートが収縮することがある。
【0005】
上記した画像形成装置に、特許文献1の印刷装置の技術を適用した場合、特許文献1の印刷装置では定着部によるシートの収縮について考慮されていないため、シートを正確な位置で切断することができないおそれがあるという課題がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、シートを正確な位置で切断することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体とを有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着部と、搬送経路を有する装置本体と、前記搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、前記搬送経路において前記定着部よりもシート搬送方向下流側にあるカッター位置に配置され、シートを切断可能なカッターと、前記搬送経路において前記定着部よりシート搬送方向下流側に配置され、シートを検知するセンサと、制御部と、を備えている。
【0008】
前記制御部は、前記センサの検知結果に基づいて、前記定着部を通過後のシートの搬送方向の寸法を計測する計測処理と、前記計測処理にて計測した前記寸法に基づいて、前記シート上における切断位置を決定する切断位置決定処理と、前記搬送部を制御して前記搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送処理であって、前記切断位置決定処理にて決定された前記シートの前記切断位置が前記カッター位置に到達するように、前記シートを搬送した後、前記搬送部を停止させる搬送処理と、前記搬送処理の後、前記カッターを用いて前記シートを切断する切断処理と、を実行する。
【0009】
上記構成によれば、制御部は、センサの検知結果に基づいて定着部を通過後のシートの搬送方向の寸法を計測することにより、定着部により収縮後のシートの寸法を測定する。
そして、制御部は、定着部を通過後の正確なシートの搬送方向の寸法に基づいて、シート上における切断位置を決定する。これにより、制御部は、シート上の切断位置がカッター位置に到達するようにシートを搬送して、シート上の正確な切断位置でシートを切断することができる。
【0010】
本開示の一態様の画像形成装置では、前記装置本体は、前記定着部を通過後のシートを、前記画像形成部に向けて再び搬送するための再搬送経路であって、前記搬送経路と合流位置で合流する再搬送経路を更に有している。前記カッター位置は、前記搬送経路において前記合流位置よりもシート搬送方向下流側に位置している。前記搬送部は、前記搬送経路において前記合流位置よりもシート搬送方向上流側に配置され、シートを搬送方向に搬送する回転である第1回転する搬送ローラと、前記搬送経路において前記合流位置よりもシート搬送方向下流側に配置され、前記第1回転することでシートを前記装置本体の外部に排出する排出ローラであって、シートを前記搬送方向とは逆方向に搬送する回転である第2回転することで、前記合流位置を経由してシートを前記再搬送経路に向けて搬送する排出ローラと、を有している。
【0011】
前記制御部は、前記搬送処理にて、前記シートの後端が前記合流位置を通過するように、前記搬送ローラ及び前記排出ローラを前記第1回転させ、前記シートの後端が前記合流位置を通過時もしくは通過後の所定のタイミングから、前記切断位置が前記カッター位置に到達するまでの間、前記排出ローラを前記第2回転させた後、前記排出ローラの回転を停止させる。
【0012】
上記構成によれば、制御部が切断位置決定処理にてシート上の切断位置を決定した際、当該切断位置が既にカッター位置よりも搬送方向の下流にある場合がある。この場合、制御部は、排出ローラを用いて、シートを再搬送経路に向けて搬送し、切断位置がカッター位置に到達するまで、排出ローラを第2回転させる。そして、制御部は、排出ローラの回転が停止した状態で、カッターを用いてシートを切断することにより、シート上の正確な切断位置でシートを切断することができる。
【0013】
本開示の一態様の画像形成装置では、前記カッター位置は、前記搬送経路に定型シートであるシートの後端が前記センサの位置にある場合において、前記定型シートの前記搬送方向のシートの寸法の半分の位置が前記カッター位置を超えた位置にある。
【0014】
上記構成によれば、制御部は、切断処理にて、定型サイズのシートをちょうど半分のサイズに正確に切断することができる。
【0015】
本開示の一態様の画像形成装置では、前記所定のタイミングは、シートの後端が前記合流位置を通過時点でのタイミングである。前記制御部は、前記搬送処理にて、シートの後端と前記切断位置決定処理にて決定されたシートの前記切断位置との間の長さから、前記搬送経路における前記合流位置と前記カッター位置との間の長さを差し引いた長さ分、前記排出ローラを前記第2回転させる。
【0016】
上記構成によれば、制御部は、シートの後端が合流位置を通過したタイミングから、排出ローラを第2回転させて、シートを再搬送経路に向けて搬送するので、定着後のシートが再び定着部へ向けて搬送されることを防止できる。そして、制御部は、シートの後端と切断位置との間の長さから、合流位置とカッター位置との間の長さを差し引いた長さ分、排出ローラを第2回転させることで、シート上の正確な切断位置でシートを切断することができる。
【0017】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記搬送経路上において前記合流位置と前記カッター位置との間の第1位置が予め定められている。前記所定のタイミングは、シートの後端が前記第1位置を通過時点でのタイミングである。前記制御部は、前記搬送経路における前記センサと前記カッター位置との間の長さから、前記搬送経路における前記センサと前記第1位置との間の長さを差し引いた差分を算出し、前記搬送処理にて、シートの後端と前記切断位置決定処理にて決定されたシートの前記切断位置との間の長さから、算出した前記差分を差し引いた長さ分、前記排出ローラを前記第2回転させる。
【0018】
上記構成によれば、制御部は、シートの後端が第1位置を通過したタイミングから、排出ローラを第2回転させて、シートを再搬送経路に向けて搬送するので、定着後のシートが再び定着部へ向けて搬送されることを防止できる。そして、制御部は、シートの後端と切断位置との間の長さから上記差分を差し引いた長さ分、排出ローラを第2回転させることで、シート上の正確な切断位置でシートを切断することができる。
【0019】
本開示の一態様の画像形成装置では、前記搬送経路上において前記カッター位置よりシート搬送方向下流側に第2位置が予め定められている。前記所定のタイミングは、シートの後端が前記第2位置を通過時点でのタイミングである。前記制御部は、前記搬送経路における前記センサと前記第2位置との間の長さから、前記搬送経路における前記センサと前記カッター位置との間の長さを差し引いた差分を算出し、前記搬送処理にて、シートの後端と前記切断位置決定処理にて決定されたシートの前記切断位置との間の長さと、算出した前記差分とを足し合わせた長さ分、前記排出ローラを前記第2回転させる。
【0020】
上記構成によれば、制御部は、シートの後端が第2位置を通過したタイミングから、排出ローラを第2回転させて、シートを再搬送経路に向けて搬送するので、定着後のシートが再び定着部へ向けて搬送されることを防止できる。そして、制御部は、シートの後端と切断位置との間の長さと上記差分を足し合わせた長さ分、排出ローラを第2回転させることで、シート上の正確な切断位置でシートを切断することができる。
【0021】
本開示の一態様の画像形成装置は、シートが載置される供給トレイを更に備えている。
前記搬送ローラは、前記第1回転することによって、前記供給トレイのシートをピックアップし、前記搬送経路に向けてシートを搬送するピックアップローラと、前記搬送経路において前記画像形成部よりもシート搬送方向上流側に配置され、前記画像形成部に向けて前記シートを搬送するレジストレーションローラと、を含む。
【0022】
上記構成によれば、ピックアップローラにより、供給トレイから搬送経路に向けてシートを搬送することができる。また、レジストレーションローラにより、シートの先端の方向を揃えた後、画像形成部へ向けてシートを搬送することができる。
【0023】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記画像形成部は、前記第1回転する感光体ドラムと、前記搬送経路における前記感光体ドラムとの間に転写ニップを形成する転写部材であって、前記感光体ドラムに形成されたトナー像を、前記転写ニップを通過するシートに転写する転写部材と、を有している。前記定着部は、前記加熱回転体及び前記加圧回転体のうち少なくとも一方が前記第1回転する。
【0024】
上記構成によれば、加熱回転体及び加圧回転体のうち少なくとも一方を回転させて、シートを搬送させることで、転写部材によりシートに転写されたトナー像をシートに定着させることができる。
【0025】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記排出ローラは、少なくとも前記カッター位置を挟んだ上流位置及び下流位置に配置された複数のローラを含む。前記制御部は、前記切断処理の後、前記複数のローラをそれぞれ前記第1回転させる排出処理を実行する。
【0026】
上記構成によれば、複数の排出ローラを用いることによって、切断後の2枚のシートを装置本体の外部に確実に排出できる。
【0027】
本発明の一態様の画像形成装置は、シートが載置される供給トレイを更に備えている。
前記搬送ローラは、前記第1回転することによって、前記供給トレイから前記搬送経路に向けて前記シートを給送するピックアップローラと、前記搬送経路において前記画像形成部よりもシート搬送方向上流側に配置され、前記画像形成部に向けて前記シートを搬送するレジストレーションローラと、を含む。前記画像形成部は、前記第1回転する感光体ドラムと、前記搬送経路における前記感光体ドラムとの間に転写ニップを形成する転写部材であって、前記感光体ドラムに形成されたトナー像を、前記転写ニップを通過するシートに転写する転写部材と、を有している。前記排出ローラは、少なくとも前記カッター位置を挟んだ上流位置及び下流位置に配置された複数のローラを含む。前記制御部は、前記切断処理の後、複数の前記搬送ローラをそれぞれ前記第1回転させる。
【0028】
上記構成によれば、ピックアップローラにより、供給トレイから搬送経路に向けてシートを給送することができる。また、レジストレーションローラにより、シートの先端の方向を揃えた後、画像形成部に向けてシートを搬送できる。複数の排出ローラを用いることによって、切断後の2枚のシートを装置本体の外部に確実に排出できる。
【0029】
本開示の一態様の画像形成装置では、前記搬送ローラと、前記感光体ドラムと、前記加圧回転体または前記加熱回転体と、前記排出ローラとに対して、それぞれ駆動力を伝達するメインモータを更に備えている。前記搬送ローラと、前記感光体ドラムと、前記加圧回転体または前記加熱回転体とは、前記メインモータから第1駆動力が伝達され、前記第1駆動力によってそれぞれ前記第1回転し、前記メインモータからの第2駆動力は伝達されない。前記排出ローラは、前記メインモータから前記第1駆動力が伝達された場合に前記第1回転し、前記メインモータから前記第2駆動力が伝達された場合に前記第2回転する。
【0030】
上記構成によれば、排出ローラが第2回転している際には、搬送ローラは回転しないので、表面に画像形成がされたシートを再搬送経路にて搬送している際に、別のシートが給送されてしまうことを防止できる。
【0031】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記搬送ローラと、前記感光体ドラムと、前記加圧回転体または前記加熱回転体とに対して、それぞれ駆動力を伝達するメインモータと、前記排出ローラに対して駆動力を伝達するサブモータと、を更に備えている。前記搬送ローラと、前記感光体ドラムと、前記加圧回転体または前記加熱回転体とは、前記メインモータから前記第1回転をするための駆動力を伝達された場合、それぞれ前記第1回転する。
前記排出ローラは、前記サブモータから第1駆動力が伝達された場合、前記第1回転し、前記サブモータから第2駆動力を伝達された場合、前記第2回転する。
【0032】
上記構成によれば、搬送ローラを駆動させるメインモータと、排出ローラを駆動させるサブモータとが別々のモータであるので、シートの搬送及び排出を別々に行うことが可能である。
【0033】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記再搬送経路に搬送されたシートを、前記画像形成部に向けて搬送する再搬送ローラを更に備えている。前記メインモータは、前記再搬送ローラに対して駆動力を伝達する。前記再搬送ローラは、前記メインモータから前記第1駆動力が伝達された場合に前記第1回転し、前記メインモータから前記第2駆動力が伝達された場合にも前記第1回転する。
【0034】
上記構成によれば、再搬送ローラによって、表面に画像形成が行われたシートを、再搬送経路を経由して画像形成部へ向けて、再搬送することで、シートの両面に画像形成を行うことができる。
【0035】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記再搬送経路に案内されたシートを、前記画像形成部に向けて搬送する再搬送ローラを更に備えている。前記メインモータは、前記再搬送ローラに対して駆動力を伝達する。前記再搬送ローラは、前記メインモータから前記第1駆動力が伝達された場合に第1回転し、前記メインモータから前記第2駆動力が伝達された場合にも第1回転する。
【0036】
上記構成によれば、再搬送ローラによって、表面に画像形成が行われたシートを、再搬送経路を経由して画像形成部へ向けて再搬送することで、シートの両面に画像形成を行うことができる。
【0037】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記カッターがシートを切断するための駆動力を伝達するカッター用駆動源を更に備えている。
【0038】
上記構成によれば、カッター用駆動源を備えているので、カッターによるシートの切断とシートの搬送とを独立して行うことができる。
【0039】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記センサは、前記搬送経路における前記カッター位置と前記定着部との間に配置されている。
【0040】
上記構成によれば、シートを検知するセンサをカッター位置と定着部との間に配置することで、定着部を通過後のシートの搬送方向の寸法が変化したとしても、シート上の適切な切断位置でシートを切断することができる。
【0041】
本開示の一態様の画像形成装置は、前記センサは、前記搬送経路における前記カッター位置よりシート搬送方向下流側に配置されている。
【0042】
上記構成によれば、シートを検知するセンサを搬送経路におけるカッター位置よりシート搬送方向下流側に配置することで、定着部を通過後のシートの搬送方向の寸法が変化したとしても、シート上の適切な切断位置でシートを切断することができる。
【0043】
本開示の一態様の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、加熱回転体と、前記加熱回転体との間でニップを形成する加圧回転体とを有し、シートに形成された画像をシートに定着させる定着部と、搬送経路を有する装置本体と、前記搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、前記搬送経路において前記定着部よりもシート搬送方向下流側にあるカッター位置に配置され、シートを切断可能なカッターと、前記搬送経路において前記定着部よりシート搬送方向下流側に配置され、シートを検知するセンサと、前記センサの検知結果に基づいて前記搬送部を停止させて前記カッターを用いて前記シートを切断する制御部と、を備えている。
【0044】
上記構成によれば、画像形成装置は、、定着部を通過後のシートの搬送方向の寸法が変化したとしても、制御部がシート上の適切な切断位置でシートを切断するように制御することができる。
【発明の効果】
【0045】
本開示の一態様によれば、シートを正確な位置で切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本開示の実施形態1に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】実施形態1に係る画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係るシートの収縮及び切断の様子を示す図である。
図4】実施形態1に係る画像形成装置のCPUによる画像形成時の制御の流れを示すフローチャートである。
図5図4のメインモータ停止/再開処理の流れを示すフローチャートである。
図6】実施形態1に係るシートの切断位置の移動の様子を示す模式図である。
図7】実施形態2に係る画像形成装置のCPUによるメインモータ停止/再開処理の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る画像形成装置のメインモータの逆転駆動開始時のシートの切断位置を示す模式図である。
図9】変形例1に係る画像形成装置の制御部による画像形成時の制御の流れを示すフローチャートである。
図10】変形例1に係る画像形成装置のメインモータの逆転駆動開始時のシートの切断位置を示す模式図である。
図11】実施形態3に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図12】実施形態3に係る画像形成装置の制御部による画像形成時の制御の流れを示すフローチャートである。
図13】変形例2に係る画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1に係る画像形成装置1について、図1図6を参照して説明する。
【0048】
[画像形成装置の構成]
図1は、画像形成装置1の概略構成を示す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、モノクロレーザプリンタであり、装置本体2と、搬送部3と、画像形成部4と、定着器5と、カッター10と、操作パネル120とを備えている。以下、説明の便宜上、図1の矢印で示されるように、画像形成装置1の上下方向、及び前後方向を定義する。
【0049】
装置本体2は、フロントカバー20と、供給トレイ21と、排出トレイ22と、搬送経路201と、再搬送経路202とを有している。装置本体2は、その前面に開閉可能なフロントカバー20を有している。
【0050】
装置本体2は、その下部に着脱可能な供給トレイ21を有している。供給トレイ21には、シートPが載置される。シートPは、A4サイズ等の定型シートである。シートPは、例えば、普通紙、厚紙等の紙媒体である。装置本体2は、その上部に排出トレイ22を有している。排出トレイ22には、画像が形成されたシートPが載置される。
【0051】
搬送経路201は、供給トレイ21に載置されたシートPを、画像形成部4を経由して排出トレイ22へ向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、一方の面に画像が形成されたシートPを、搬送方向とは逆方向に搬送して、再び画像形成部4に向けて搬送するための経路である。再搬送経路202は、合流位置Cにおいて搬送経路201と合流し、且つ、レジ前センサ110の付近で搬送経路201と再合流する。
【0052】
搬送部3は、ピックアップローラ31、分離ローラ32、紙粉取りローラ33、レジストレーションローラ34、ローラ35、第1排出ローラ36、及び第2排出ローラ37、再搬送ローラ38、再搬送ローラ39、及びメインモータ108(図2参照)を有している。
【0053】
ピックアップローラ31は、シート押圧板21Aにより上方に押し上げられた供給トレイ21内のシートPをピックアップして、搬送経路201に向けてシートPを搬送する。
分離ローラ32は、ピックアップローラ31がピックアップしたシートPを1枚ずつ分離する。紙粉取りローラ33は、シートPの表面上の紙粉等を除去する。
【0054】
搬送経路201において画像形成部4よりもシート搬送方向上流側には、レジストレーションローラ34が配置されている。レジストレーションローラ34は、シートPの先端の方向を揃えた後、画像形成部4へ向けてシートPを搬送する。ローラ35は、定着器5を通過後のシートPを、第1排出ローラ36側へ搬送する。
【0055】
搬送経路201において合流位置Cよりもシート搬送方向下流側には、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37が配置されている。カッター10が配置されたカッター位置Bを挟んだ上流位置及び下流位置に、第1排出ローラ36と第2排出ローラ37とが配置されている。
【0056】
第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37は、第1回転することで、シートPを排出トレイ22に排出する。第1回転は、シートPを搬送方向に搬送する回転であり、装置本体2の左右方向を軸として反時計方向の回転に相当する。
【0057】
また、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37は、第1回転とは逆回転である第2回転することで、シートPを再搬送経路202へ搬送する。第2回転は、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送する回転であり、装置本体2の左右方向を軸として時計方向の回転に相当する。
【0058】
再搬送経路202には、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39が配置されている。再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39は、再搬送経路202に搬送されたシートPを、画像形成部4に向けて搬送する。再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39によって、一方の面に画像形成が行われたシートPを、レジ前センサ110よりも搬送方向の上流で搬送経路201に合流する再搬送経路202を経由して、画像形成部4へ向けて再搬送することで、シートPの両面に画像形成を行うことが可能となっている。
【0059】
画像形成部4は、シートPに画像を形成するものであり、装置本体2内に収容されている。画像形成部4は、ドラムカートリッジ6及びレーザユニット7を有している。ドラムカートリッジ6は、感光体ドラム61と、トナー収容部62と、供給ローラ63と、現像ローラ64と、帯電器65と、転写ローラTRと、ピンチローラ66とを有している。ドラムカートリッジ6は、フロントカバー20を開けることにより、装置本体2から取り外すことが可能となっている。ドラムカートリッジ6のピンチローラ66は、レジストレーションローラ34と向かい合って位置する。ピンチローラ66は、レジストレーションローラ34の回転に従動回転して、レジストレーションローラ34とともにシートPを搬送する。
【0060】
感光体ドラム61は、メインモータ108(図2参照)から伝達される駆動力によって、時計方向に回転することで、シートPを搬送方向に搬送する。感光体ドラム61では、シートPを搬送方向に搬送する回転である第1回転は、時計方向である。トナー収容部62には、トナーが収容されている。供給ローラ63は、トナー収容部62内のトナーを現像ローラ64に供給する。現像ローラ64は、メインモータ108からの駆動力によって、反時計方向に回転することで、感光体ドラム61の表面にトナーを供給する。帯電器65は、スコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム61の表面を一様に帯電させる。なお、帯電器65は、帯電ローラであってもよい。
【0061】
感光体ドラム61に対向する位置には、転写ローラTRが配置されている。転写ローラTRは、転写部材の一例であり、搬送経路201における感光体ドラム61との間に転写ニップTNを形成する。なお、転写ローラTRの代わりに、転写ベルトを用いてもよい。
【0062】
装置本体2は、その内部における上部に、レーザユニット7を有している。レーザユニット7は、ポリゴンミラー131、レーザ発光部132(図2参照)、図示しないレンズ及び反射鏡等を有している。レーザユニット7は、レーザ発光部132から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0063】
感光体ドラム61の表面は、レーザユニット7により露光されることで、画像データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ64は、感光体ドラム61の表面に形成された静電潜像にトナーを供給することで、感光体ドラム61の表面にトナー像を形成する。
【0064】
転写ローラTRには、図示しない電圧印加部により転写電圧が印加される。転写ローラTRは、感光体ドラム61との間でシートPを搬送することで、感光体ドラム61の表面に形成されたトナー像を、転写ニップTNを通過するシートPに転写する。このようにして、シートPへの画像形成が行われる。
【0065】
搬送経路201において画像形成部4よりもシート搬送方向下流側には、定着器5が配置されている。
定着器5は、定着部の一例である。定着器5は、加熱ローラ51と、加圧ローラ52と、ヒータ53と、温度センサ54とを有している。加熱ローラ51は、加熱回転体の一例であり、シートPを加熱する。加圧ローラ52は、加圧回転体の一例であり、加熱ローラ51との間でニップNを形成し、シートPを加圧する。加圧ローラ52は、メインモータ108の駆動力により、反時計方向に回転する。
【0066】
ヒータ53は、例えばハロゲンヒータであり、加熱ローラ51を加熱する。温度センサ54は、定着器5内に設けられ、加熱ローラ51の温度を検出する。温度センサ54は、検出した温度に応じた信号を、CPU101へ出力する。加圧ローラ52では、シートPを搬送方向に搬送する回転である第1回転は、反時計方向である。
【0067】
定着器5は、加熱ローラ51によりシートPを加熱して、加圧ローラ52を回転させることにより、加熱ローラ51及び加圧ローラ52によりシートPを加圧しながら搬送することで、画像形成部4によりシートPに形成された画像をシートPに定着させる。
【0068】
なお、加熱ローラ51及び加圧ローラ52のうち少なくとも一方が、メインモータ108の駆動力により回転すればよく、加圧ローラ52の代わりに加熱ローラ51を回転させてもよい。定着器5は、加熱ローラ51と、加圧ローラ52と、ヒータ53とを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、定着器5は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であってもよい。
【0069】
また、定着器5は、発熱パターンが形成された基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であってもよい。また、定着器5は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であってもよい。
【0070】
搬送経路201において定着器5及び合流位置Cよりもシート搬送方向下流側にあるカッター位置Bには、カッター10が配置されている。カッター10は、シートPを切断可能な周知のカッター機構である。カッター10は、例えば、回転可能な刃75と、固定刃と、カッターキャリッジと、切断モータ106とを有して構成される。なお、カッター10は、上下一対の刃75を有して構成されてもよい。
【0071】
刃75は、例えば、丸い刃であり、カッターキャリッジに保持されている。固定刃は、装置本体2内において左右方向に延びるように設けられたフレームに固定されている。カッターキャリッジは、切断モータ106の駆動力によって、装置本体2に左右方向に延びるように設けられたレールに沿って、シートPの幅方向に往復移動可能に構成されている。
【0072】
シートPがカッター位置Bにあるときに、カッターキャリッジがシートPの幅方向に沿って移動することにより、シートPが刃75と固定刃とに挟まれることで切断される。
【0073】
カッター位置Bは、第1排出ローラ36と第2排出ローラ37との間に位置している。
具体的には、搬送経路201におけるカッター位置Bと排出センサ112との間の距離は、シートPの半分の長さよりも短くなっている。
【0074】
[画像形成装置の電気的構成]
次に、画像形成装置1の電気的構成について、図2を参照して説明する。図2は、画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置1は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)105、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、NVRAM104(Non-Volatile Random Access Memory)と、レジ前センサ110と、レジ後センサ111と、排出センサ112と、温湿度センサ113と、通信インターフェース(I/F)130とを更に備えている。
【0075】
ASIC105には、CPU(Central Processing Unit)101が搭載されている。
CPU101は、制御部の一例であり、画像形成装置1の各部に対する全般的な制御を行う。ASIC105は、ROM102、RAM103、NVRAM104、切断モータ106、電磁クラッチ107、メインモータ108、レジ前センサ110、レジ後センサ111、排出センサ112、温湿度センサ113、操作パネル120、通信I/F130、定着器5、及びレーザユニット7と電気的に接続されている。
【0076】
ROM102には、画像形成装置1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及びジョブに含まれる画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0077】
CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムや、各種センサから出力される信号に従って、その処理結果をRAM103またはNVRAM104に記憶させながら、画像形成装置1の各部を制御する。
【0078】
切断モータ106は、カッター用駆動源の一例である。CPU101は、切断モータ106を駆動させて、カッターキャリッジを移動させることにより、移動刃をシートPの幅方向に移動させて、シートPを切断する。切断モータ106とメインモータ108とを独立させることで、カッター10によるシートPの切断と、シートPの搬送とを独立して行うことが可能となっている。
【0079】
メインモータ108は、搬送部3、加圧ローラ52、及びドラムカートリッジ6に駆動力を伝達する。CPU101がメインモータ108を正転駆動させると、加圧ローラ52、感光体ドラム61、現像ローラ64、ピックアップローラ31、及びレジストレーションローラ34に第1駆動力が伝達される。そして、加圧ローラ52、感光体ドラム61、現像ローラ64、ピックアップローラ31、及びレジストレーションローラ34は、シートPを搬送方向に搬送する向きに回転する。
【0080】
具体的には、加圧ローラ52は、反時計方向に回転する。感光体ドラム61は、時計方向に回転する。現像ローラ64は、反時計方向に回転する。ピックアップローラ31は、反時計方向に回転する。レジストレーションローラ34は、反時計方向に回転する。
【0081】
一方、CPU101が、メインモータ108を逆転駆動させても、加圧ローラ52、ドラムカートリッジ6、ピックアップローラ31及びレジストレーションローラ34には、第2駆動力が伝達されない構成となっている。
【0082】
また、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させることで、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37に第1駆動力を伝達して、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を反時計方向に回転させる。一方、CPU101は、メインモータ108を逆転駆動させることで、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37に第2駆動力を伝達し、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させる。
【0083】
CPU101は、メインモータ108を正転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39に第1駆動力を伝達し、時計方向に回転させる。また、CPU101は、メインモータ108を逆転駆動させることで、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39に第2駆動力が伝達し、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39を時計方向に回転する。
【0084】
電磁クラッチ107は、CPU101により制御される。CPU101は、電磁クラッチ107をオンすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ31に伝達される状態にする一方、電磁クラッチ107をオフすることにより、メインモータ108の駆動力がピックアップローラ31に伝達されない状態にする。
【0085】
レジ前センサ110は、搬送経路201においてレジストレーションローラ34よりもシート搬送方向上流側に配置され、シートPが通過することを検知するセンサである。レジ前センサ110としては、シートPが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。レジ前センサ110は、シートPが通過している状態でオン信号を出力し、シートPが通過していない状態でオフ信号を出力する。レジ前センサ110による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0086】
レジ後センサ111は、搬送経路201において、レジストレーションローラ34と転写ローラTRとの間に配置され、シートPが通過することを検知するセンサである。レジ後センサ111は、レジ前センサ110と同様の構成である。レジ後センサ111による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0087】
排出センサ112は、センサの一例であり、搬送経路201において定着器5とカッター位置Bとの間に配置され、シートPが通過することを検知する。排出センサ112は、レジ前センサ110と同様の構成である。排出センサ112による検知信号は、CPU101へ出力される。
【0088】
温湿度センサ113は、装置本体2の外部の温度及び湿度を検出するセンサである。温湿度センサ113は、例えば装置本体2の側面に配置されている。温湿度センサ113は、検出した温度及び湿度に応じた信号をCPU101へ出力する。なお、温湿度センサ113の代わりに、装置本体2の外部の温度を検出する温度センサ、及び装置本体2の外部の湿度を検出する湿度センサを、それぞれ装置本体2に配置してもよい。
【0089】
操作パネル120は、装置本体2の上面に配置されている。操作パネル120は、例えば、タッチパッド及びディスプレイが一体として形成されたタッチパネルと、キーボタン部とを有している。操作パネル120は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた情報をCPU101へ出力する。ユーザは、例えば、操作パネル120を操作することにより、シートPを切断するか否かを設定することが可能である。
【0090】
通信I/F130は、LAN等のネットワークに接続され、画像形成装置1用のドライバが組み込まれたPC等の外部装置との接続を可能にしている。CPU101は、通信I/F130を介して、ジョブを受信可能である。ジョブには、画像形成するための画像データ、画像形成に用いるシートPのサイズ及び種類等、シートPに画像を形成するために必要な各種情報が含まれている。
【0091】
次に、図3を参照してシートPの収縮及び切断について説明する。図3の(1)は、定着器5を通過する前のシートPを示している。定着器5を通過する前のシートPの搬送方向の寸法は、長さLとなっている。
【0092】
図3の(2)は、定着器5を通過した後のシートPを示している。定着器5を通過した後のシートPの搬送方向の寸法は、長さL’となる。つまり、シートPは、定着器5により加熱されることに伴って、搬送方向の長さがLからL’に収縮する。
【0093】
実施形態1では、シートPの切断位置Aは、図3の(2)に示すように、シートPを2等分する位置に設定されている。図3の(3)は、シートPを切断後に生成される第1シートP1及び第2シートP2を示している。実施形態1では、図3の(3)に示すように、シートPを2等分に切断して、第1シートP1及び第2シートP2を生成する。
【0094】
[CPUによる制御の流れ]
次に、画像形成装置1のCPU101による制御の流れについて、図4及び図5のフローチャートを参照して説明する。実施形態1では、複数のシートPのそれぞれに対して、画像形成部4により画像を形成した後、画像が形成されたシートPをカッター10により切断する場合を想定している。なお、ユーザは、PC又は操作パネル120を操作することにより、シートPを切断するか否かを予め設定しておくものとする。
【0095】
図4に示すように、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させ(S1)、加圧ローラ52、ドラムカートリッジ6、搬送部3の駆動を開始する。S1の後、CPU101は、1枚目のシートPの画像データの形成が完了したか否かを判定する(S2)。
【0096】
CPU101は、1枚目のシートPの画像データの形成が完了するまで(S2:NO)、S2を繰り返し、1枚目のシートPの画像データの形成が完了した場合(S2:YES)、シートPの搬送を開始する(S3)。
【0097】
S3において、CPU101は、電磁クラッチ107をオンさせるピックアップ命令を電磁クラッチ107に出力することにより、ピックアップローラ31を回転させて、供給トレイ21に載置されたシートPを、搬送経路201に搬送方向に沿って画像形成部4へ向けて搬送する。
【0098】
S3の後、CPU101は、画像形成部4によるシートPへの画像形成を開始する(S4)。具体的には、CPU101は、感光体ドラム61及び転写ローラTRを制御して、シートPに画像データに基づく画像を形成する。即ち、CPU101は、転写ローラTRにより、感光体ドラム61上に形成されたトナー像をシートPに転写する。そして、定着器5により、シートPに形成された画像をシートPに定着させる。
【0099】
S4の後、CPU101は、排出センサ112がオンしたか否かを判定する(S5)。
CPU101は、排出センサ112がオンするまで(S5:NO)、S5を繰り返し、排出センサ112がオンした場合(S5:YES)、計測処理を開始する(S6)。S6において、CPU101は、排出センサ112がオンしてからオフするまでの時間と、シートPの搬送速度とに基づいて、定着器5を通過後のシートPの搬送方向の寸法L’を計測する。
【0100】
S6の後、CPU101は、排出センサ112がオフしたか否かを判定し(S7)、排出センサ112がオフした場合(S7:YES)、画像形成部4によるシートPへの画像形成を終了し(S8)、計測処理を終了する(S9)。
【0101】
S9の後、CPU101は、計測処理にて計測した寸法L’に基づいて、シートP上における切断位置Aを決定する切断位置決定処理を実行する(S10)。ここで、図6は、シートPの切断位置Aの移動の様子を示す模式図である。図6の(1)は、シートPの後端が排出センサ112にあるときのシートPの切断位置Aの位置を示している。図6の(1)に示すように、CPU101は、シートPの前端から切断位置Aまでの長さL1が、寸法L’の半分の長さとなる位置を切断位置Aであると決定する。
【0102】
S10の後、CPU101は、図5に示すメインモータ停止/再開処理を実行する(S11)。図5に示すフローチャートにおいて、CPU101は、排出センサ112がオフしてからシートPの後端が合流位置Cに到達するまでの時間が経過したか否かを判定する(S21)。
【0103】
図6の(2)は、シートPの後端が合流位置CにあるときのシートPの切断位置Aの位置を示している。CPU101は、排出センサ112がオフしてから、図6の(2)に示すようにシートPの後端が合流位置Cに到達するまでの時間が経過した場合(S21:YES)、メインモータ108を停止させ(S22)、ローラ35、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37の回転を停止させ、シートPの搬送を停止させる。
【0104】
図6の(3)は、シートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達したときの様子を示している。S22の後、CPU101は、メインモータ108が停止してから、図6の(3)に示すようにシートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間を決定する(S23)。
【0105】
S23において、CPU101は、シートPの後端とシートPの切断位置Aとの間の長さL1から、搬送経路201における合流位置Cとカッター位置Bとの間の長さD2を差し引いた長さ(L1-D2)を算出することにより、X1の長さを算出する。そして、CPU101は、長さX1とシートPの搬送速度とに基づいて、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送させる時間を決定する。
【0106】
S23の後、CPU101は、メインモータ108を逆転駆動させて(S24)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させて、シートPを再搬送経路202に向けて搬送する。
【0107】
S24の後、CPU101は、シートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間が経過したか否かを判定する(S25)。CPU101は、シートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間が経過するまで(S25:NO)、S25を繰り返し、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送する。
【0108】
CPU101は、シートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間が経過した場合(S25:YES)、即ち、シートPがX1だけ搬送方向とは逆方向に搬送されて、図6の(3)に示すように切断位置Aがカッター位置Bと一致した場合、メインモータ108を停止させ(S26)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37の回転を停止させて、シートPの搬送を停止させる。
【0109】
S26の後、CPU101は、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37に挟持された状態のシートPを、カッター10を用いて切断する切断処理を実行する(S27)。これにより、シートPは、第1シートP1及び第2シートP2の2等分に切断される。
【0110】
S27の後、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させて(S28)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を反時計方向に回転させることにより、切断後の第1シートP1及び第2シートP2を排出トレイ22に排出する。以上により、CPU101は、メインモータ停止/再開処理S11を終了する。
【0111】
図4に戻り、CPU101は、実行中のジョブに次のシートPの画像データがあるか否かを判定する(S12)。CPU101は、実行中のジョブに次のシートPの画像データがある場合(S12:YES)、S3へ戻り、次のシートPを搬送する。一方、CPU101は、実行中のジョブに次のシートPの画像データがない場合(S12:NO)、メインモータ108を停止させ(S13)、図4に示すフローを終了する。
【0112】
以上説明した本実施形態の画像形成装置1によれば、CPU101は、排出センサ112の検知結果に基づいて、定着器5を通過することで収縮したシートPの搬送方向の寸法L’を計測することができる(S6)。これにより、図3の(2)に示される定着器5を通過したことに伴うシートPの搬送方向の収縮量ΔLを考慮して、シートPの搬送方向の長さを2等分にする位置に設定された切断位置Aを決定でき(S10)、シートP上の正確な切断位置AでシートPを切断する(S27)ことができる。
【0113】
特に、CPU101は、切断位置決定処理(S10)にて、シートP上の切断位置Aを決定した際、当該切断位置Aが既にカッター位置Bよりも搬送方向の下流にある場合に、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させることで(S24)、シートPを再搬送経路202に向けて搬送して、切断位置Aをカッター位置Bに到達させる。これより、シートPの切断位置Aがカッター位置Bを越えても、シートP上の正確な切断位置Aで、シートPを切断することを可能としている。
【0114】
また、CPU101は、シートPの後端が合流位置Cを通過したタイミングから、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させて、シートPを再搬送経路202に向けて搬送するので、定着器5を通過後のシートPが再び定着器5側へ向けて搬送されることを防止できる。そして、CPU101は、シートPの後端と切断位置Aとの間の長さL1から、合流位置Cとカッター位置Bとの間の長さD2を差し引いた長さX1=L1-D2分第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させることで、シートP上の正確な切断位置AでシートPを切断できる。
【0115】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2の画像形成装置1について、図7及び図8を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記した実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0116】
[CPUによる制御の流れ]
以下、実施形態2の画像形成装置1のCPU101による制御の流れについて、図7のフローチャートを参照して説明する。実施形態2では、図7に示すメインモータ停止/再開処理S11Aの流れが、実施形態1と異なる。具体的には、図7のS32及びS35において、CPU101によりメインモータ108を停止及び逆転駆動を開始させる位置が、実施形態1と異なる。
【0117】
CPU101によりメインモータ108を停止及び逆転駆動を開始させる位置は、合流位置Cよりも搬送方向の下流であり、且つ、第2排出ローラ37よりも搬送方向の上流であれば、適宜変更してもよい。実施形態2では、第1位置Q1において、CPU101によりメインモータ108を停止及び逆転駆動を開始させる。
【0118】
図7に示すフローチャートにおいて、まず、CPU101は、排出センサ112がオフしてからシートPの後端が第1位置Q1(図8参照)に到達するまでの時間が経過したかを判定する(S31)。
【0119】
ここで、図8は、CPU101によりメインモータ108を停止及び逆転駆動を開始させる時のシートPの切断位置Aを示す模式図である。実施形態2では、図8に示すように、シートPの後端が合流位置Cとカッター位置Bとの間の第1位置Q1を通過時点でのタイミングで、CPU101によりメインモータ108を停止及び逆転駆動を開始させる点が、実施形態1と異なる。
【0120】
CPU101は、排出センサ112がオフしてからシートPの後端が第1位置Q1(図8参照)に到達するまでの時間が経過した場合(S31:YES)、メインモータ108を停止させ(S32)、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送する距離を決定する(S33)。CPU101は、S33において、搬送経路201における排出センサ112とカッター位置Bとの間の長さD3から、搬送経路201における排出センサ112と第1位置Q1との間の長さD4を差し引いた差分(D3-D4)を算出する。そして、CPU101は、L1-(D3-D4)により、X2の長さを算出する。
【0121】
S33の後、CPU101は、メインモータ108が停止してからシートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間を決定する(S34)。S34の後、CPU101は、メインモータ108を逆転駆動させ(S35)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させて、シートPを再搬送経路202に向けて搬送する。
【0122】
S35の後、CPU101は、シートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間が経過したか否かを判定する(S36)。CPU101は、シートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間が経過するまで(S36:NO)、S36を繰り返し、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送する。
【0123】
CPU101は、シートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間が経過した場合(S36:YES)、即ち、シートPがX2だけ搬送方向とは逆方向に搬送されて、切断位置Aがカッター位置Bと一致した場合、メインモータ108を停止させ(S37)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37の回転を停止させ、シートPの搬送を停止させる。
【0124】
S37の後、CPU101は、カッター10を用いてシートPを切断する切断処理を実行する(S38)。これにより、シートPは、第1シートP1と第2シートP2とに切断される。
【0125】
S38の後、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させて(S39)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を第1回転させることにより、切断された第1シートP1及び第2シートP2を排出トレイ22に向けて搬送する。以上により、CPU101は、図7に示すメインモータ停止/再開処理S11Aを終了する。
【0126】
以上説明した実施形態2の画像形成装置1によれば、CPU101は、シートPの後端が第1位置Q1を通過したタイミングから(S31:YES)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させて、シートPを再搬送経路202に向けて搬送するので、定着後のシートPが再び定着器5へ向けて搬送されることを防止できる。
【0127】
そして、CPU101は、シートPの後端と切断位置Aとの間の長さL1から、上記差分(D3-D4)を差し引いた長さX2分、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させることで(S34)、シートP上の正確な切断位置でシートPを切断する(S37)ことができる。
【0128】
〔変形例1〕
次に、実施形態2の変形例1に係る画像形成装置1について、図9及び図10を参照して説明する。
【0129】
図9は、変形例1に係る画像形成装置1のCPU101によるメインモータ停止/再開処理S11Bの流れを示すフローチャートである。変形例1に係る画像形成装置1では、図9のS42及びS45において、CPU101によりメインモータ108を停止及び逆転駆動を開始させる位置が、実施形態2と異なる。
【0130】
図10は、変形例1に係る画像形成装置1のメインモータ108の逆転駆動開始時のシートPの切断位置Bを示す模式図である。変形例1では、図10に示すように、シートPの後端が、搬送経路201上においてカッター位置Bよりもシート搬送方向下流側の第2位置Q2を通過時点でのタイミングで、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させることで、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送させる。
【0131】
[CPUによる制御の流れ]
以下、変形例1における画像形成装置1のCPU101によるメインモータ停止/再開処理S11Bの変形例について、図9を参照して説明する。
【0132】
図9に示すように、CPU101は、排出センサ112がオフしてからシートPの後端が第2位置Q2に到達するまでの時間が経過したか否かを判定する(S41)。CPU101は、シートPの後端が第2位置Q2に到達するまでの時間が経過した場合(S41:YES)、メインモータ108を停止させ(S42)、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送させる距離X3を決定する(S43)。
【0133】
具体的には、CPU101は、S43において、搬送経路201における排出センサ112と第2位置Q2との間の長さD4から、搬送経路201における排出センサ112とカッター位置Bとの間の長さD3を差し引いた差分(D4-D3)を算出する。そして、CPU101は、L1+(D4-D3)により、X3の長さを算出する。
【0134】
そして、CPU101は、算出した長さX3と、シートPの搬送速度とに基づいて、メインモータ108が停止してから、シートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間を決定する(S44)。
【0135】
S44の後、CPU101は、メインモータ108を逆転駆動させ(S45)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させて、シートPを再搬送経路202に向けて搬送する。S45の後、CPU101は、メインモータ108が停止してからシートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間が経過したか否かを判定する(S46)。
【0136】
CPU101は、メインモータ108が停止してからシートPの切断位置Aがカッター位置Bに到達するまでの時間が経過した場合(S46:YES)、即ち、シートPがX3だけ搬送方向とは逆方向に搬送されて、切断位置Aがカッター位置Bと一致した場合、メインモータ108を停止させ(S47)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37の回転を停止させ、シートPの搬送を停止させる。
【0137】
S47の後、CPU101は、カッター10を用いてシートPを切断する切断処理を実行する(S48)。その後、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させて(S49)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を反時計方向に回転させることで、切断後に生成される第1シートP1及び第2シートP2を排出トレイ22に向けて搬送する。以上により、CPU101は、図9に示すメインモータ停止/再開処理S11Bを終了する。
【0138】
以上説明した変形例1の画像形成装置1によれば、CPU101は、シートPの後端と切断位置Aとの間の長さL1と上記差分(D4-D3)を足し合わせた長さX3分、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を時計方向に回転させる(S45)。そして、CPU101は、メインモータ108を停止させ(S47)、シートPを切断する(S48)。これにより、シートP上の正確な切断位置でシートを切断することができる。
【0139】
〔実施形態3〕
次に、本発明の実施形態3に係る画像形成装置1Cについて、図11及び図12を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0140】
図11は、実施形態3に係る画像形成装置1Cの概略構成を示す図である。図11に示すように、実施形態3の画像形成装置1Cでは、装置本体2Cの上下方向の長さが、実施形態1の画像形成装置1の装置本体2の上下方向の長さよりも長くなっている。具体的には、実施形態3の画像形成装置1Cでは、合流位置Cから第1排出ローラ36までの搬送経路201の搬送方向の長さが、実施形態1の画像形成装置1よりも長くなっている。
【0141】
このため、実施形態3に係る画像形成装置1Cでは、シートPの後端が排出センサ112を通過した時点で、シートPの切断位置Aが、カッター位置Bよりもシート搬送方向上流側に位置することになる。従って、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送することなく、シートPを切断することが可能となっている。
【0142】
[CPUによる制御の流れ]
次に、実施形態3における画像形成装置1のCPU101による制御の流れについて、図12のフローチャートを参照して説明する。実施形態3では、画像形成部4によりシートPに画像を形成した後、上述の通り、メインモータ108を逆転駆動させてシートPを再搬送経路202へ搬送することなく、シートPを切断する点が、実施形態1と異なる。
【0143】
図12に示すように、CPU101は、メインモータ108を正転駆動させる(S51)。S51の後、CPU101は、1枚目のシートPの画像データの形成が完了したか否かを判定する(S52)。
【0144】
CPU101は、1枚目のシートPの画像データの形成が完了するまで(S52:NO)、S52を繰り返し、1枚目のシートPの画像データの形成が完了した場合(S52:YES)、シートPの搬送を開始する(S53)。
【0145】
S53の後、CPU101は、レジ後センサ111がオンしたか否かを判定する(S54)。CPU101は、レジ後センサ111がオンするまで(S54:NO)、S54を繰り返し、レジ後センサ111がオンした場合(S54:YES)、画像形成部4によるシートPへの画像形成を開始する(S55)。
【0146】
S55の後、CPU101は、排出センサ112がオンしたか否かを判定する(S56)。CPU101は、排出センサ112がオンするまで(S56:NO)、S56を繰り返し、排出センサ112がオンした場合(S56:YES)、計測処理を開始する(S57)。
【0147】
S57において、CPU101は、排出センサ112がオンしてからオフするまでの間の時間と、予め定められたシートPの搬送速度とに基づいて、定着器5を通過後のシートPの搬送方向の寸法L’を計測する(図3の(2)参照)。
【0148】
S57の後、CPU101は、レジ後センサ111がオフし(S58:YES)、排出センサ112がオフした場合(S59:YES)、画像形成部4によるシートPへの画像形成を終了し(S60)、計測処理を終了する(S61)。
【0149】
S61の後、CPU101は、計測処理S57にて計測した寸法L’に基づいて、シートP上における切断位置Aを決定する切断位置決定処理を実行する(S62)。具体的には、CPU101は、シートPの前端から切断位置Aまでの長さL1が、寸法L’の半分の長さとなる位置を切断位置Aであると決定する。
【0150】
S62の後、CPU101は、排出センサ112がオフしてからメインモータ108が所定時間経過したか否かを判定する(S63)。CPU101は、排出センサ112がオフしてからメインモータ108が所定時間経過した場合(S63:YES)、メインモータ108を停止させ(S64)、搬送部3によるシートPの搬送を停止させる。
【0151】
そして、CPU101は、切断モータ106を駆動させて、カッター10を移動させることにより、シートPを切断位置Aにて切断する切断処理を実行する(S65)。これにより、シートPは、第1シートP1及び第2シートP2の2枚に切断される。
【0152】
S65の後、CPU101は、メインモータ108を再び正転駆動させて(S66)、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を反時計方向に回転させることにより、第1シートP1及び第2シートP2を排出トレイ22に向けて搬送する。
【0153】
S66の後、CPU101は、実行中のジョブに次のシートPの画像データがあるか否かを判定する(S67)。CPU101は、実行中のジョブに次のシートPの画像データがある場合(S67:YES)、S53へ戻り、次のシートPを搬送する。
【0154】
一方、CPU101は、実行中のジョブに次のシートPの画像データがない場合(S67:NO)、メインモータ108を停止させ(S68)、図12に示すフローを終了する。
【0155】
以上説明した実施形態3に係る画像形成装置1においても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。即ち、CPU101は、排出センサ112の検知結果に基づいて、定着器5を通過後のシートPの搬送方向の寸法を計測するため、定着器5により加熱されて収縮したシートPの正確な寸法を用いて、シートPの切断位置Aを決定できる。これにより、シートP上の正確な切断位置AでシートPを切断することができる。
【0156】
〔変形例2〕
次に、変形例2に係る画像形成装置1Dの電気的構成について、図13を参照して説明する。図13は、変形例2に係る画像形成装置1Dの電気的構成を示すブロック図である。図13に示すように、変形例では、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37の駆動力として、メインモータ108とは別の排出モータ140を用いる点が、実施形態1と異なる。
【0157】
排出モータ140は、サブモータの一例であり、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37に対して駆動力を伝達する。CPU101は、排出モータ140を正転駆動させることで、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37に第1駆動力を伝達して、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を第1回転させる。第1回転は、シートPを搬送方向に搬送する回転であり、図1の反時計方向に相当する。
【0158】
一方、CPU101は、排出モータ140を逆転駆動させることで、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37に第2駆動力を伝達して、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を第2回転させる。第2回転は、シートPを搬送方向とは逆方向に搬送する回転であり、図1の時計方向に相当する。
【0159】
また、再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39は、メインモータ108から駆動力が伝達されることで、第1回転する。再搬送ローラ38及び再搬送ローラ39の第1回転は、シートPを画像形成部4へ向けて搬送する回転であり、時計方向の回転に相当する。
【0160】
上記した変形例2の画像形成装置1Aによれば、ピックアップローラ31、レジストレーションローラ34、再搬送ローラ38,39を駆動させるメインモータ108と、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37を駆動させる排出モータ140とが別々のモータであるので、シートPの搬送とシートPの排出とを別々に行うことができる。
【0161】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態1,2の画像形成装置1、及び実施形態3の画像形成装置1Aは、モノクロレーザプリンタであるとしたが、これに限らず、カラーレーザプリンタであってもよい。また、シートPは、紙媒体であるとしたが、これに限らず、他にも、例えばOHPシートのような樹脂媒体であってもよい。
【0162】
上記した実施形態1,2の画像形成装置1、及び実施形態3の画像形成装置1Aは、排出センサ112による検知結果に基づいて、定着器5を通過することで収縮したシートPの搬送方向の寸法L’を計測することについて説明した。これに限らず、例えば、カッター10よりシート搬送方向下流側であって第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37によって挟んだ位置でシートPを検知するためのセンサを更に配置してもよい。更に配置されたセンサによって定着器5を通過することで収縮したシートPの搬送方向の寸法L’を計測してもよい。新たに設けられたセンサは、第1排出ローラ36及び第2排出ローラ37によって挟んだ位置であるため、シートPが撓むことなくシートの搬送方向の寸法L’を正確に計測することができる。
【0163】
上記した実施形態1,2の画像形成装置1、及び実施形態3の画像形成装置1Aは、シートPを2等分に切断する場合について説明したが、これに限らず、例えばシートPを3等分に切断してもよく、シートPの切断位置Aは適宜変更可能である。
【0164】
上記した実施形態1,2の画像形成装置1、及び実施形態3の画像形成装置1Aでは、通信I/F130によりジョブを受信するものとしたが、これに限らず、例えば、USBインターフェースを介して、ジョブを受信してもよい。
【0165】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0166】
1、1A、1C、1D 画像形成装置
2、2C 装置本体
3 搬送部
4 画像形成部
5 定着器
10 カッター
21 供給トレイ
31 ピックアップローラ
34 レジストレーションローラ
36 第1排出ローラ
37 第2排出ローラ
38、39 再搬送ローラ
51 加熱ローラ
52 加圧ローラ
61 感光体ドラム
TR 転写ローラ
101 CPU
107 電磁クラッチ
108 メインモータ
112 排出センサ
140 排出モータ
201 搬送経路
202 再搬送経路
Q1 第1位置
Q2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13