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特開2024-35166プランジャロッド及びそのようなプランジャロッドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035166
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】プランジャロッド及びそのようなプランジャロッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240306BHJP
   B01L 3/02 20060101ALI20240306BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20240306BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01N1/00 101K
B01L3/02 D
B29C45/16
B29C45/14
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023138911
(22)【出願日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】22193005
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523066679
【氏名又は名称】エッペンドルフ セーエイ
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
【住所又は居所原語表記】Barkhausenweg 1 22339 Hamburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イェンス, ウィルマー
(72)【発明者】
【氏名】イェルク, サトラー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンチャオ, ルー
【テーマコード(参考)】
2G052
4F206
4G057
【Fターム(参考)】
2G052CA20
2G052CA28
2G052CA30
4F206AD05
4F206AD12
4F206AG08
4F206AM33
4F206AR03
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB22
4F206JL02
4F206JQ81
4G057AB16
4G057AB18
4G057AB31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ピペット用又はピペット用マルチチャンネル底部用のプランジャロッドとその製造方法、及びそのようなプランジャロッドを有する液体移送システムの提供。
【解決手段】液体移送デバイス(100)用のプランジャロッド(10)は、2部品構造又は多部品構造である。プランジャロッド(10)は、液体移送デバイス(100)のアクチュエータデバイス(110)と作動的に接続される第1のプランジャロッド構成要素(12)と、第2のプランジャロッド構成要素(14)とを有する。プランジャロッド(10)は、プランジャロッド(10)用のシーリング要素(18)を受けるためのシーリングシート(16)をさらに備え、第1のプランジャロッド構成要素(12)と第2のプランジャロッド構成要素(14)との間にシーリングシート(16)にパーティングラインフラッシュ(22)がないようにパーティングライン(20)が構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体移送デバイス(100)用のプランジャロッド(10)であって、
前記プランジャロッド(10)が2部品又は多部品構造であり、第1のプランジャロッド構成要素(12)と、第2のプランジャロッド構成要素(14)と、プランジャロッド(10)用のシーリング要素(18)を受けるためのシーリングシート(16)を有し、
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)は、前記液体移送デバイス(100)のアクチュエータデバイス(110)と作動的に接続されることができ、
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)と前記第2のプランジャロッド構成要素(14)との間に、前記シーリングシート(16)にパーティングラインフラッシュ(22)がないようにパーティングライン(20)が構成されている、プランジャロッド(10)。
【請求項2】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が前記第1のプランジャロッド構成要素(12)と同心に配置されている、請求項1に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項3】
前記シーリングシート(16)が、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)と前記第2のプランジャロッド構成要素(14)との間にシーリング要素(18)を受けるように構成されている、請求項1又は請求項2に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項4】
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)が前記シーリングシート(16)に受容されるシーリング要素(18)のための第1の制限停止部(24)を形成し、
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が前記シーリングシート(16)に受容されるシーリング要素(18)のための第2の制限停止部(26)を形成する、請求項3に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項5】
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)が、前記シーリングシート(16)と離隔した端部(28)に、締め付け機構(30)を有し、
前記締め付け機構(30)がピペット(102)又はピペット(102)用のマルチチャンネル底部(108)のプランジャアクチュエータ(112)用である、請求項1~4のいずれか1項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項6】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)がプランジャ先端部(32)として構成され、
前記プランジャ先端部(32)が前記第1のプランジャロッド構成要素(12)の軸延長部として配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項7】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)がカバー(34)又はディッシュ(36)として構成され、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)に形状嵌合的に又は圧力嵌合的に接続される、請求項1~5のいずれか1項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項8】
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)がシャフト(38)を有し、
凹部(40)が、ラッチ接続(42)によって前記カバー(34)又は前記ディッシュ(36)と圧力嵌合的に接続するために、前記シャフト(38)に形成されている、請求項7に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項9】
前記カバー(34)又は前記ディッシュ(36)が中央開口部(44)を有し、
少なくとも1つのラッチラグ(46)が、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)の前記シャフト(38)における前記凹部(40)とラッチするために、中央開口部(44)に形成されている、請求項8に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項10】
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)及び前記第2のプランジャロッド(14)が同じプラスチック材料で作製されている、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のプランジャロッド(10)の製造方法であって、以下の工程を備える:
前記プランジャロッド(10)の第2のプランジャロッド構成要素(14)を作製する第1の射出成形工程と、
前記プランジャロッド(10)の第1のプランジャロッド構成要素(12)を作製する第2の射出成形工程と、
前記プランジャロッド(10)の前記第1のプランジャロッド構成要素(12)を、前記プランジャロッド(10)の前記第2のプランジャロッド構成要素(14)に接続する工程であって、プランジャロッド(10)用のシーリング要素(18)を受けるためのシーリングシート(16)が、プランジャロッド(10)を製造するための射出成形型(54、56)の型割り線(58)から離れた位置にある、工程。
【請求項12】
前記プランジャロッド(10)が2構成要素射出成形法によって製造され、
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が第1の射出成形工程で作製され、
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が第2の射出成形工程で第1のプランジャロッド構成要素(12)によって部分的に成形されており、
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が前記第1のプランジャロッド構成要素(12)と同心であり、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)の延長部として軸方向に延長している、請求項11に記載のプランジャロッド(10)の製造方法。
【請求項13】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)を作製する前記第2の射出成形工程のための射出成形型(56)に、インサートとして挿入される、請求項12に記載のプランジャロッド(10)の製造方法。
【請求項14】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が、前記第2のプランジャロッド構成要素(14)の中央開口部(44)により、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)に取り付けられ、圧力嵌合的に又は形状嵌合的に接続されている、請求項13に記載のプランジャロッド(10)の製造方法。
【請求項15】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のプランジャロッド(10)を有する、液体を吸い上げ、その後吐出するための液体移送デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルによれば、液体移送システム用、特にピペット用又はピペット用マルチチャンネル底部用のプランジャロッド、そのようなプランジャロッドの製造方法、及びそのようなプランジャロッドを有する液体移送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ピペットは、特に実験室において、液体の吸い上げ及び吐出を制御するために使用される。そのため、上開口部を有するピペットチップは、ピペットシートの上にしっかりと装着される。シートは、好ましくはピペット本体上に円錐形又は円筒形の突起として形成されている。ピペットチップは、下開口部を通じて液体を吸い上げ及び吐出することができる。空気変位ピペットは、シート内の穴を通じてピペットチップと連絡可能に接続されている空気用の変位デバイスを備える。変位デバイスにより、エアクッションを移動させ、液体をピペットチップ内に吸引し、かつピペットチップから排出することができる。そのため、変位デバイスは、可動境界要素を有する変位チャンバーを有する。変位デバイスは、通常、内部で移動可能なプランジャロッドを有するシリンダである。シーリング要素がプランジャロッド上に配置され、プランジャロッドを取り囲むシリンダに対してプランジャロッドをシールする。
【0003】
マルチチャンネル流体移送デバイスとは、特にマルチチャンネルピペット及びマルチチャンネルディスペンサであり、校正された液体の吸引及び/又はその後の容器内への液体の吐出を目的とする。液体を吸引及び分注する間、マルチチャンネル流体移送デバイスは使用者の手に保持される。マルチチャンネル流体移送デバイスは、液体を吸引するための機械的構成要素又は電子機器及び操作要素が配置されている上部と、液体を吸い上げ及び/又は吐出するように設計された平行に配置された複数の分注チャンネルを有するマルチチャンネル底部と、を有する。
【0004】
吸引される量の精度及び正確さは、各変位要素が、所定量の設定に対して、同様、同時の移動を再現できるかどうかに依存する。しかしながら、マルチチャンネルピペットを使用するときに、プランジャアクチュエータが、移動中に、スライド方向に対して直交性を維持しない傾向があることが観察されている。この作用は、傾きクリアランスとして知られており、プランジャアクチュエータ及び変位要素の往復運動中に生じ、一の変位要素が他の変位要素に対して移動距離に違いが生じる。その結果、複数の変位要素間の吸引される量の精度及び正確さが低下する。このrake作用は、プランジャアクチュエータとプランジャアクチュエータガイドとの間の過剰なガイドクリアランス、プランジャアクチュエータを上昇させるために使用される復元ばねの不適当な形状又は硬度、プランジャアクチュエータガイドの過度に低い剛性、及び変位要素のシールにおけるレベルの異なる摩擦によって引き起こされ得る。変位要素は、それぞれ、プランジャロッドを備え、プランジャロッド上にはシーリング要素が配置されている。
【0005】
DE 10 2006 031 460 B4には、液体を分注するためのマルチチャンネルピペットが開示されている。このピペットは、プランジャと、それぞれ1つのプランジャヘッドに対応するプランジャアクチュエータロッドの一端に配置されている複数の受座とを有する。受座におけるプランジャの位置決めを補助する弾性要素は、マルチチャンネルピペットの個々のチャンネルのプランジャと、対応するプランジャヘッド用の受座との間に配置されている。
【0006】
EP 2 633 915 B1には、円筒形変位チャンバーがその内部に形成されている本体を有する手動シングルチャンネル空気置換ピペットが開示されており、液体を吸い上げ、その後吐出するプランジャロッド及びシールを有するプランジャが変位可能に配置されている。
【0007】
しかしながら、先行技術で知られている解決策には、プランジャロッドが一体射出成形の形態をとるという欠点がある。射出成形型からプランジャロッドを簡単に脱型できるように、一般的には、プランジャロッドの長手方向軸に沿って型割り線(パーティングライン)が設けられ、その結果、プランジャロッドはその全長にわたって型由来のパーティングラインフラッシュが生じる。このパーティングラインフラッシュは、射出成形工程後のバリ取り工程、例えば、バレル研磨、研磨ブラスト又はタンブリングにより、少なくとも部分的に除去され得る。このとき、型由来のパーティングラインフラッシュがプランジャロッドのシーリングシートの領域において完全に除去されない及び/又はバリ取り工程由来の残留粒子がプランジャロッドに付着するリスクがあり、場合によっては、ピペット又はマルチチャンネル底部の操作中に、シーリング要素がプランジャロッドに対して完全に密着していない又はパーティングラインフラッシュの粒子がシーリング要素とプランジャロッド上に形成されているシーリングシートとの間に入り込むため、プランジャロッドにはめられたシーリング要素の領域において気密性が欠如することにつながる。このような気密性の欠如は、ピペット又はマルチチャンネル底部の最終気密性試験中に最終製品でのみ確認することができる。プランジャロッドの交換には多大な労力を要し、組み立てコストも高くなる。また、ピペットが想定した耐用年数に達する前に漏れが発生し、顧客からの苦情につながるリスクもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、プランジャロッドと、プランジャロッド上に配置されているシーリング要素との間の漏れを回避し、液体移送システム、特にピペットの気密性及び耐用年数を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、液体移送システム用のプランジャロッドにより達成される。本件におけるプランジャロッドは2部品又は多部品構造であり、液体分注システムのアクチュエータデバイスと作動的に接続され得る第1のプランジャロッド構成要素を有する。プランジャロッドは、さらに、第1のプランジャロッド構成要素とは異なる第2のプランジャロッド構成要素と、プランジャロッド用のシーリング要素を収容するためのシーリングシートとを備える。この場合、第1のプランジャロッド構成要素と第2のプランジャロッド構成要素との間に、シーリングシートにパーティングラインフラッシュがないように、型割り線が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
プランジャロッドの多部品構成は、射出成形型のパーティングライン及び関連するパーティングラインフラッシュがシーリングシートの領域に形成されることを防止することができる。このようにして、シーリング要素がプランジャロッドのシーリングシートに対して非流体気密な状態にされることを防止でき、この箇所での漏れの発生を防止することができる。このような漏れは液体移送デバイスの最終気密性試験中にのみ確認されるため、組み立ての際に、手間がかかり、コストのかかる再研磨を行うことになる。さらに、シーリング要素の耐用年数を短くし、液体移送デバイスの耐用年数に悪影響を及ぼし得る、シーリング要素の摩耗という潜在的なリスクを排除することができる。
【0011】
従属請求項に記載された特徴により、独立請求項に記載されたプランジャロッドの有利な改良及びさらなる発展が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、先行技術におけるピペット用のプランジャロッドを示す。
図2図2は、液体移送システム用の本発明に係るプランジャロッドの好ましい例示的実施形態を示す。
図3図3は、本発明に係るプランジャロッドの第1のプランジャロッド部分を示す。
図4図4は、カバー又はディッシュとして構成された本発明に係るプランジャロッドの第2のプランジャロッド部分を示す。
図5図5は、第1のプランジャロッド部分と、プランジャ先端部として構成された第2のプランジャロッド部分とを備える、本発明に係るプランジャロッドの代替の例示的実施形態を示す。
図6図6は、シーリングシート上に配置されているシーリング要素を有する図5に係るプランジャロッドを示す。
図7図7は、本発明に係るプランジャロッドを有する手動空気置換ピペットの形態の液体移送デバイスを示す。
図8図8は、本発明に係る複数のプランジャロッドを有するピペット用のマルチチャンネル底部を示す。
図9図9は、本発明に係るプランジャロッドを製造するための製造工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
プランジャロッドの好ましい構成において、第2のプランジャロッド構成要素は第1のプランジャロッド構成要素と同心に配置又は構成されるように設けられている。プランジャロッドとプランジャロッドを取り囲むシリンダとの間の気密性を確保するために、プランジャロッドの製造公差を厳しくする必要がある。真円度に違いがあると、特に、シーリング要素がプランジャロッド又はシリンダのシリンダ壁に対して不十分にシールし得る。このような厳しい公差を遵守するために、第2のプランジャロッド構成要素が第1のプランジャロッド構成要素と同心に配置又は構成されていることが有利である。
【0014】
プランジャロッドの1つの有利な構成において、第1のプランジャロッド構成要素と第2のプランジャロッド構成要素との間に形成されているシーリング要素を受けるためのシーリングシートが設けられている。これは、型割り線がプランジャロッド上のシーリングシートを通過することを防止する簡単な方法である。その代わりに、2つの構成要素に分割することで、シーリングシートの領域における型割り線を必要としない脱型が可能となり、その結果、パーティングラインフラッシュが生じない。このようにして、シーリング要素がシーリングシートに対して充分に接しないことによる潜在的な漏れのリスクを排除することができる。さらに、このような構成によって、シーリング要素は簡単に誘導され、位置に保持される。
【0015】
この観点において、第1のプランジャロッド構成要素がピペット又はピペット用のマルチチャンネル底部のプランジャアクチュエータのための締め付け機構を、シーリングシートから離隔した端部に有することが特に好ましい。特にピペット用のマルチチャンネル底部の場合、複数のプランジャロッドを平行に、かつ高いレベルの正確さで誘導する必要がある。そのために、一般的に「プランジャアクチュエータ」が使用され、プランジャアクチュエータは対応するプランジャロッドの端部に係合し、複数のプランジャロッドを平行に変位させることができる。その結果、同じ量の液体がマルチチャンネル底部のそれぞれのシリンダに吸い上げられる。
【0016】
プランジャロッドの1つの有利な構成によれば、第2のプランジャロッド構成要素が、第1のプランジャロッド構成要素の軸方向延長部として配置される、プランジャ先端部として構成されるように設けられている。特に、液体を吸い上げるためのマルチチャンネル底部の個々のチャンネルに使用されるような、小型のプランジャの場合に、小径の小型のプランジャロッドが必要となる。このような小径の細いプランジャの場合は特に、パーティングラインフラッシュなしでシーリングシートを形成するために、第1のプランジャロッド構成要素にプランジャ先端部を接続し、第1のプランジャロッド構成要素を軸方向に延長することが特に有利になり得る。
【0017】
この観点において、プランジャ先端部が、2構成要素射出成形法によって第1のプランジャロッド構成要素に物質的に結合されていることが特に好ましい。この文脈において、2構成要素射出成形法とは、第1の射出成形工程において第2のプランジャロッド構成要素をプランジャ先端部の形態で作製し、第2の射出成形工程において第2のプランジャロッド構成要素に成形される二段階射出成形法を意味すると理解すべきである。2つの射出成形工程には、同じプラスチック又は異なるプラスチックを使用することができる。本特許出願の目的上、二成分成形法は、二段階射出成形法において2つの同一のプラスチック材料の使用を意味するものと理解すべきである。2構成要素射出成形法により製造される物質的結合により、第1のプランジャロッド構成要素に対してプランジャ先端部を特に正確に位置決めすることができる。このようにして、シーリングシートの真円度条件を特に正確に遵守することができ、プランジャロッドに対する気密性を高めることができる。
【0018】
あるいは、プランジャロッドのさらに好ましい構成として、第2のプランジャロッド構成要素がカバー又はディッシュとして構成されることが提供され、第1のプランジャロッド構成要素と形状嵌合的に又は圧力嵌合的に接続される。例えばシングルチャンネルピペットに使用される、比較的大型のプランジャロッドの場合には特に、2以上の構成要素で構成されるプランジャロッドを使用することが有利になり得る。パーティングラインフラッシュのないプランジャロッド上のシーリングシートを比較的簡潔に形成するために、プランジャロッドは実質的に細長い円筒形の第1のプランジャロッド構成要素及びこの第1のプランジャロッド構成要素上に配置されるカバー又はディッシュの2つの部品から形成されている。射出成形型からのカバー又はディッシュの脱型は、特にアンダーカットなしで構成され得る単純な形状のため、特に簡単である。さらに、第1のプランジャロッド構成要素は比較的単純な構造とすることができ、脱型に必要な傾斜面は、プランジャロッドのシーリングシート上に延長することなく設けることができる。
【0019】
この観点において、第1のプランジャロッド構成要素がシャフトを有していることが好ましく、ラッチ接続によってカバー又はディッシュをシャフトに圧力嵌合的に接続するための凹部がシャフトに形成されている。ディッシュ又はカバーを第1のプランジャロッド構成要素に対して簡潔に位置決めし、シーリングシートを形成するために、カバー又はディッシュを第1のプランジャロッド構成要素に圧力嵌合的に接続するための凹部が、第1のプランジャロッド構成要素のシャフトに形成されていると有利である。
【0020】
プランジャロッドのさらなる改良において、カバー又はディッシュが中央開口部を有し、少なくとも1つのラッチラグが、第1のプランジャロッド構成要素のシャフトの凹部にラッチするように中央開口部に形成されている。ディッシュ又はカバーは、中央開口部により第1のプランジャロッド構成要素に小さな力で簡単に押し付けることができる。ラッチラグにより、ディッシュ又はカバーが第1のプランジャロッド構成要素の凹部にラッチされ、カバー又はディッシュを第1のプランジャロッド構成要素に対して定められた位置にロックすることができる。ディッシュ又はカバー上のラッチラグ及びシャフトの凹部は、特に、対応する射出成形型に組み込むことができ、これにより、実質的にコスト中立的な方法で製造することができる。
【0021】
プランジャロッドの好ましい構成において、第1のプランジャロッド構成要素及び第2のプランジャロッド構成要素が、プラスチック材料、好ましくは熱可塑性プラスチック、特に好ましくはポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリーテルエーテルケトン(PAEK)、ポリアミド(PA)又はポリフェニレンサルファイド(PPS)で作成されることが設けられる。プラスチック材料は、耐薬品性が高レベルであり、軽量であるため、ピペットなどの実験器具に特に適している。プランジャロッドの2つの構成要素の形状及び公差に関する条件が厳しいため、熱可塑性プラスチックは、長さ、直径、位置及び射出成形工程後の構成要素の収縮に関する必要とされる公差を確実に提供することに特に適している。
【0022】
この観点において、第1のプランジャロッド構成要素及び第2のプランジャロッド構成要素が同じプラスチック材料から作製されることが特に好ましい。このようにすることで、2つの構成要素が射出成形工程後に同じ収縮挙動を有し、同じ熱膨張を有することが保証される。このようにすることで、プランジャロッドの構成要素が、例えば液体移送デバイスのオートクレーブ処理中に、加熱と冷却の繰り返されることによって相対的に動いたり緩んだりしないようにすることができる。
【0023】
あるいは、第1のプランジャロッド構成要素が第1のプラスチック材料、特に第1の熱可塑性プラスチックから構成され、第2のプランジャロッド構成要素が第1のプラスチック材料とは異なる第2のプラスチック材料、特に第2の熱可塑性プラスチックから構成されてもよい。このようにして、構成要素の硬度及び耐摩耗性を、プランジャロッドの構成要素の対応する条件に適合させることができる。
【0024】
本発明のさらに別の側面は、このようなプランジャロッドを製造する方法に関する。本方法は、以下の工程を備える:
-プランジャロッドの第2のプランジャロッド構成要素を作製する第1の射出成形工程、
-プランジャロッドの第1のプランジャロッド構成要素を作製する第2の射出成形工程、
-プランジャロッドの第1のプランジャロッド構成要素を、プランジャロッドの第2のプランジャロッド構成要素に接続する工程であって、プランジャロッドのシーリング要素を受けるためのシーリングシートが、プランジャロッドを製造するための射出成形型の型割り線から離れた位置にある、工程。
【0025】
上述の方法を使用して、シーリングシートの領域にパーティングラインフラッシュがなく形成され、その結果、プランジャロッドのシャフトに対してシールが改良された液体移送デバイス用のプランジャロッドが製造されてもよい。このようにして、シーリング要素がプランジャロッドのシーリングシートに対して非流体気密な状態にされることを回避でき、この箇所での漏れの発生を防止することができる。このような漏れは液体移送デバイスの最終気密性試験中にのみ確認されるため、組み立ての際に、手間がかかり、コストのかかる再研磨を行うことになる。さらに、シーリング要素の耐用年数を短くし、液体移送デバイスの耐用年数に悪影響を及ぼし得る、シーリング要素の摩耗という潜在的なリスクを排除することができる。
【0026】
本方法の1つの有利な構成において、プランジャロッドが2構成要素射出成形法を用いて製造され、この2構成要素射出成形法において第2のプランジャロッド構成要素が第1の射出成形工程で作製され、この第2のプランジャロッド構成要素が第2の射出成形工程で第1のプランジャロッド構成要素によって部分的に成形されており、第2のプランジャロッド構成要素が第1のプランジャロッド構成要素と同心であり、第1のプランジャロッド構成要素の延長部として軸方向に延長している。2構成要素射出成形法によって製造される物質的結合は、第1のプランジャロッド構成要素に対する第2のプランジャロッド構成要素の特に正確な位置決めを可能にする。このようにして、シーリングシートの真円度条件を特に正確に遵守することができ、プランジャロッドに対する気密性を高めることができる。
【0027】
この観点において、第2のプランジャロッド構成要素が、第1のプランジャロッド構成要素を作製する第2の射出成形工程用の射出成形型にインサートとして挿入されることが特に好ましい。このようにして、第1のプランジャロッド構成要素と第2のプランジャロッド構成要素との間の位置、真円度及び同心度に関して、特に厳しい製造公差を達成することができる。
【0028】
本方法の代替実施形態において、第2のプランジャロッド構成要素が、第2のプランジャロッド構成要素の中央開口部により、第1のプランジャロッド構成要素に取り付けられ、圧力嵌合的に又は形状嵌合的に接続されている。このようにして、2つの構成要素から簡単に組み立てられてもよく、シーリングシートの領域には射出成形の型割り線によって形成されるパーティングラインフラッシュの形成の潜在的なリスクがないように構成されたプランジャロッドを製造することができる。
【0029】
本方法のさらなる代替実施形態によれば、第1のプランジャロッド構成要素と第2のプランジャロッド構成要素とが、スピン溶接を用いて物質的に結合されていることが設けられる。スピン溶接法は、特に比較的大型のプランジャにおいて、2つのプランジャロッド構成要素を厳しい製造公差で物質的に結合することに適している。この場合において、シーリングシートに溶接法から生じる溶接残渣又は蓄積物質がないように、スピン溶接法による溶接部がシーリングシートから離れた位置に設けられる。
【0030】
本発明のさらに副次的な側面は、このようなプランジャロッドを有する、液体を吸い上げ、その後吐出するための液体移送デバイスに関する。液体移送デバイスの耐用年数及び気密性を向上させ、漏れの結果生じる組み立て時の再研磨の可能性を回避するために、本発明に係るプランジャロッドを液体移送デバイスに使用することが有利である。液体移送デバイスは、特にピペット、特に手動式又は電子式の、手持ちピペットであってもよい。代替的又は追加的に、液体移送デバイスはまた、ピペット用のマルチチャンネル底部であるか、又はそれを備えてもよい。さらに代替実施形態において、液体移送デバイスは、自動ディスペンサ、特に実験室で使用される自動ディスペンサ、特に好ましくは自動ピペットのための分注器具を備えてもよい。
【0031】
本願に記載された本発明の異なる実施形態は、特に断りのない限り、互いに有利に組み合わせ可能である。
【0032】
以下、本発明を、例示的な実施形態を参照し、関連する図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、先行技術におけるピペット102用のプランジャロッド10を示す。プランジャロッド10は、射出成形体48として一体的に構成されている。プランジャロッド10を射出成形体として成形するためには、図1に示されるように、射出成形体48を射出成形型54から脱型できるように射出成形型54にパーティングラインが必要となる。この場合、型割れ線58は、プランジャロッド10の長手方向軸Aに沿って射出成形型54の第1の型半部126及び第2の型半部128に延び、製造工程によっては、プランジャロッド10の全長Lにわたって延びるパーティングラインフラッシュ22が生じる。パーティングラインフラッシュ22は、シーリング要素18がプランジャロッド10のシーリングシート16に対して液密に配置されず、したがって漏れが発生し得ることを意味する。
【0034】
図2は、図7に示される液体移送デバイス100用の本発明に係るプランジャロッド10の第1の例示的実施形態を示す。プランジャロッド10は、第1のプランジャロッド構成要素12と、第1のプランジャロッド構成要素12と同心に配置された第2のプランジャロッド構成要素14とを備え、両プランジャロッド構成要素12、14は射出成形体48の形態をとる。プランジャロッド10は、長手方向軸A及び長さLを有する。第1のプランジャロッド構成要素12はシャフト38を有し、このシャフト38には第2のプランジャロッド構成要素14とのラッチ接続42を作製するための凹部40が形成されている。
【0035】
第2のプランジャロッド構成要素14は、カバー34又はディッシュ36として構成され、第1のプランジャロッド構成要素12と同心に配置され、特に第1のプランジャロッド構成要素12にシャフト38を介して取り付けられる。そのため、図4に示されるように、第2のプランジャロッド構成要素において、カバー34又はディッシュ36に中央開口部44が形成されている。第1のプランジャロッド構成要素12には第1の制限停止部24が、第2のプランジャロッド構成要素14には第2の制限停止部26が、シーリング要素18のために形成されている。第1の制限停止部24と第2の制限停止部26との間に、シーリング要素18を受けるためのシーリングシート16が形成されている。
【0036】
図3は、プランジャロッド10を形成するために第2のプランジャロッド構成要素14に接続する前の第1のプランジャロッド構成要素12の個別部分図である。締め付け機構30は、シーリングシート16から離隔した第1のプランジャロッド構成要素12の端部28に設けられている。図3は、さらに、第1のプランジャロッド構成要素12のシャフト38の凹部40を示す。凹部40はシャフトに押し付けられた後のカバー34又はディッシュ36の位置を定義し、カバー34又はディッシュ36がこの凹部40にラッチすることを可能にする。
【0037】
図4は、第2のプランジャロッド構成要素14としてのカバー34又はディッシュ36を示す。カバー34又はディッシュ36は中央開口部44を有し、カバー34又はディッシュ36には中央開口部44に突出するラッチラグ46が形成されている。ラッチラグ46は、第1のプランジャロッド構成要素12のシャフト38の凹部40にラッチするように構成されており、それにより形状嵌合的な接続が生じ、第1のプランジャロッド構成要素12に対応するカバー34又はディッシュ36の位置、すなわちシーリングシート16の長さが定義される。
【0038】
図5は、液体移送デバイス100用の本発明に係るプランジャロッド10の代替の例示的実施形態を示す。図5に示される例示的実施形態は、特に小径の小型プランジャロッド10、特にマルチチャンネルピペットのマルチチャンネル底部のプランジャロッド10に有用である。図2図4で示される例示的実施形態とは対照的に、この例示的実施形態においては、プランジャロッド10は2つのプランジャロッド構成要素12、14を組み立てることによってではなく、2構成要素射出成形法によって構成される。この場合、まず、第2のプランジャロッド構成要素14がプランジャ先端部32の形態で作製され、このプランジャ先端部32が第2の射出成形工程において第1のプランジャロッド構成要素12に形状嵌合的に接続される。ここで、プランジャ先端部32は第1のプランジャロッド構成要素12の同心かつ軸方向延長部として形成されている。プランジャ先端部32上には、プランジャロッド10用のシーリングシート16が、シーリングシート16に受けられ、図6に示されるシーリング要素18用の下限停止部26と共に示されている。第1のプランジャロッド構成要素12には、シーリング要素18のための上限停止部24が示されており、当該上限停止部は軸方向においてシーリングシート16を制限する。
【0039】
図6は、図5に示すプランジャロッド10について、シーリング要素18がシーリングシート16上に取り付けられた状態を示している。
【0040】
図7は、メカニカルシングルチャンネルピペット104として構成された、ピペット102の形態における液体移送デバイス100を示す。液体を吸引し、続く作業ステップにおいて制御された方法で再び吐出することを目的として、ピペット102は作動要素110を備え、作動要素110がシリンダ114内で変位可能なプランジャロッド10と作動的に接続されている。シリンダ114は、ピペット102の本体116内に配置されている。プランジャロッド10は、第1のプランジャロッド構成要素12と、第1のプランジャロッド構成要素12と同心に配置された第2のプランジャロッド構成要素14とを備える多部品プランジャロッド10の形態をとる。図2から図4に記載されるようなプランジャロッド10は、特に、このようなピペット102に使用してもよい。ピペット102の下端部分には、ピペットチップ118を受けるためのレセプタクルが形成されている。
【0041】
図8は、マルチチャンネルピペット106用のマルチチャンネル底部108の形態の液体移送デバイス100を示す。マルチチャンネル底部108は支持フレーム124を備え、液体移送区画120を囲む複数の互いに平行なシリンダ114が配置されている。マルチチャンネル底部108の本体116は、支持フレーム124に固定されている。マルチチャンネル底部108は、さらに、プランジャアクチュエータ112を備え、プランジャアクチュエータ112は、互いに平行なシリンダ114の多数のプランジャロッド10と作動的に接続されている。明確にするため、図8には8つのシリンダ114のうち2つのみが示されている。本体116から延出するシリンダ114の端部には、ピペットチップを受けるシーリングシート122が形成されている。図5及び図6に示されるように、プランジャロッド10は第1のプランジャロッド構成要素12と、第2のプランジャロッド構成要素14とを備え、第2のプランジャロッド構成要素14はプランジャ先端部32として構成され、第1のプランジャロッド構成要素12に物質的に結合されている。さらに、プランジャロッド10の第1のプランジャロッド構成要素12及び第2のプランジャロッド構成要素14の間に、シーリング要素18を受けるためのシーリングシート16が形成されている。第1のプランジャロッド構成要素12の、シーリングシート16から離隔した端部28には、プランジャアクチュエータ112にプランジャロッド10を締め付けるための締め付け機構30が形成されている。
【0042】
図9は、このようなプランジャロッド10を製造する方法の概略図である。第1の製造工程において、第2のプランジャロッド構成要素14が、第1の射出成形型を有する第1の射出成形機50においてプランジャ先端部32の形態で射出成形体48として作製される。ここでは、プランジャ先端部32を脱型するための型割れ線58が生じる。第2の製造工程において、プランジャ先端部32が第2の射出成形機52において第2の射出成形型56に挿入される。あるいは、両方の射出成形工程が同じ射出成形機50を用いて実施されてもよい。ここでは、第1のプランジャロッド構成要素12がプランジャ先端部32に射出され、完成したプランジャロッド10となる。射出成形工程を分けることにより、シーリングシート16の領域におけるパーティングラインフラッシュ22を回避することが可能となる。ここでは、プランジャ先端部32を作製する際、シーリングシート16が第1の型半部126に、円錐形又は錐体形の先端部が第2の型半部128に位置するように型割れ線20が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 プランジャロッド
12 第1のプランジャロッド構成要素
14 第2のプランジャロッド構成要素
16 シーリングシート
18 シーリング要素
20 パーティングライン
22 パーティングラインフラッシュ
24 第1の制限停止部
26 第2の制限停止部
28 離隔した端部
30 締め付け機構
32 プランジャ先端部
34 カバー
36 ディッシュ
38 シャフト
40 凹部
42 ラッチ接続
44 中央開口部
46 ラッチラグ
48 射出成形体
50 第1の射出成形機
52 第2の射出成形機
54 第1の射出成形型
56 第2の射出成形型
58 型割れ線
100 液体移送デバイス
102 ピペット
104 シングルチャンネルピペット
106 マルチチャンネルピペット
108 マルチチャンネル底部
110 作動要素
112 プランジャアクチュエータ
114 シリンダ
116 本体
118 ピペットチップ
120 液体移送区画
122 シーリング要素
124 支持フレーム
126 第1の型半部
128 第2の型半部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体移送デバイス(100)用のプランジャロッド(10)であって、
前記プランジャロッド(10)が2部品又は多部品構造であり、第1のプランジャロッド構成要素(12)と、第2のプランジャロッド構成要素(14)と、プランジャロッド(10)用のシーリング要素(18)を受けるためのシーリングシート(16)を有し、
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)は、前記液体移送デバイス(100)のアクチュエータデバイス(110)と作動的に接続されることができ、
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)と前記第2のプランジャロッド構成要素(14)との間に、前記シーリングシート(16)にパーティングラインフラッシュ(22)がないようにパーティングライン(20)が構成されている、プランジャロッド(10)。
【請求項2】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が前記第1のプランジャロッド構成要素(12)と同心に配置されている、請求項1に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項3】
前記シーリングシート(16)が、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)と前記第2のプランジャロッド構成要素(14)との間にシーリング要素(18)を受けるように構成されている、請求項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項4】
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)が前記シーリングシート(16)に受容されるシーリング要素(18)のための第1の制限停止部(24)を形成し、
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が前記シーリングシート(16)に受容されるシーリング要素(18)のための第2の制限停止部(26)を形成する、請求項3に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項5】
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)が、前記シーリングシート(16)と離隔した端部(28)に、締め付け機構(30)を有し、
前記締め付け機構(30)がピペット(102)又はピペット(102)用のマルチチャンネル底部(108)のプランジャアクチュエータ(112)用である、請求項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項6】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)がプランジャ先端部(32)として構成され、
前記プランジャ先端部(32)が前記第1のプランジャロッド構成要素(12)の軸延長部として配置される、請求項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項7】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)がカバー(34)又はディッシュ(36)として構成され、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)に形状嵌合的に又は圧力嵌合的に接続される、請求項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項8】
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)がシャフト(38)を有し、
凹部(40)が、ラッチ接続(42)によって前記カバー(34)又は前記ディッシュ(36)と圧力嵌合的に接続するために、前記シャフト(38)に形成されている、請求項7に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項9】
前記カバー(34)又は前記ディッシュ(36)が中央開口部(44)を有し、
少なくとも1つのラッチラグ(46)が、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)の前記シャフト(38)における前記凹部(40)とラッチするために、中央開口部(44)に形成されている、請求項8に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項10】
前記第1のプランジャロッド構成要素(12)及び前記第2のプランジャロッド(14)が同じプラスチック材料で作製されている、請求項に記載のプランジャロッド(10)。
【請求項11】
請求項に記載のプランジャロッド(10)の製造方法であって、以下の工程を備える:
前記プランジャロッド(10)の第2のプランジャロッド構成要素(14)を作製する第1の射出成形工程と、
前記プランジャロッド(10)の第1のプランジャロッド構成要素(12)を作製する第2の射出成形工程と、
前記プランジャロッド(10)の前記第1のプランジャロッド構成要素(12)を、前記プランジャロッド(10)の前記第2のプランジャロッド構成要素(14)に接続する工程であって、プランジャロッド(10)用のシーリング要素(18)を受けるためのシーリングシート(16)が、プランジャロッド(10)を製造するための射出成形型(54、56)の型割り線(58)から離れた位置にある、工程。
【請求項12】
前記プランジャロッド(10)が2構成要素射出成形法によって製造され、
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が第1の射出成形工程で作製され、
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が第2の射出成形工程で第1のプランジャロッド構成要素(12)によって部分的に成形されており、
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が前記第1のプランジャロッド構成要素(12)と同心であり、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)の延長部として軸方向に延長している、請求項11に記載のプランジャロッド(10)の製造方法。
【請求項13】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)を作製する前記第2の射出成形工程のための射出成形型(56)に、インサートとして挿入される、請求項12に記載のプランジャロッド(10)の製造方法。
【請求項14】
前記第2のプランジャロッド構成要素(14)が、前記第2のプランジャロッド構成要素(14)の中央開口部(44)により、前記第1のプランジャロッド構成要素(12)に取り付けられ、圧力嵌合的に又は形状嵌合的に接続されている、請求項13に記載のプランジャロッド(10)の製造方法。
【請求項15】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のプランジャロッド(10)を有する、液体を吸い上げ、その後吐出するための液体移送デバイス(100)。
【外国語明細書】