(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035171
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139090
(22)【出願日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2022138350
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522347151
【氏名又は名称】スクールエージェント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 善将
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】子どもたち又は教員のウェルビーイングの定量的評価の結果を出力する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、予め設定された児童若しくは生徒、又は教員向けの設問に対するユーザからの回答に基づき、前記ユーザのウェルビーイング又はパーソナリティ特性に関する複数の指標の評価値を算出する算出部と、算出された複数の指標の評価値を、グラフ化して画面に表示するためのデータを出力する出力部とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された児童若しくは生徒、又は教員向けの設問に対するユーザからの回答に基づき、前記ユーザのウェルビーイング又はパーソナリティ特性に関する複数の指標の評価値を算出する算出部と、
算出された複数の指標の評価値を、グラフ化して画面に表示するためのデータを出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、
複数のユーザに対して前記算出部によって算出された複数の指標の評価値を、グラフを含む一覧で出力し、
前記複数のユーザの属性の選択を受け付け、
選択された属性のユーザの評価値を、前記一覧から抽出して出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
児童又は生徒に対して前記算出部により算出された複数の指標の評価値と、教員に対して前記算出により算出された複数の指標値の評価値との比較に基づき、前記児童又は生徒と前記教員とのマッチ度を出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、
前記複数の指標の評価値と共に、前記児童若しくは生徒、又は教員向けのレポート出力のリクエストを自然言語により受け付け、
前記リクエストに基づき、学習済みのチャットボットへのプロンプトを、前記指標の評価値を利用して作成し、
作成したプロンプトを前記チャットボットへ入力して得られる回答のテキストを出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
予め設定された児童若しくは生徒、又は教員向けの設問に対するユーザからの回答に基づき、前記ユーザのウェルビーイング又はパーソナリティ特性に関する複数の指標の評価値を算出し、
算出された複数の指標の評価値を、グラフ化した画面を表示させる
処理を含む情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
予め設定された児童若しくは生徒、又は教員向けの設問に対するユーザからの回答に基づき、前記ユーザのウェルビーイング又はパーソナリティ特性に関する複数の指標の評価値を算出し、
算出された複数の指標の評価値を、グラフ化して画面に表示するためのデータを出力する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育機関における子ども及び教員双方のウェルビーイングの評価を出力する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
子どもたちの学習効果及び人格形成は、指導者との相性のよさに左右されると言われている。このため、個別指導の場面において特に、生徒にとって好適な相性を有する指導者をマッチングさせる技術が種々提案されている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
子どもたちのウェルビーイング(幸福であること、健康であること等、以下、「幸福度」ともいう)は、教員との相性によって変化し得る。逆に、集団教育における教員にとっても、担当する児童又は生徒との個別の相性、並びに学級又はクラス集団との相性によってウェルビーイングが左右される。教員不足、長時間労働、又はストレス増により、集団教育における教員側の負担は大きい。教員のウェルビーイングは、子どもたちにも影響するはずであるが、その評価は十分に行なわれていない。教員及び子どもたち個々のウェルビーイングについて定量的な評価値を顕現化させることで、子どもたちへの学習効果や人格形成によりよい影響を与える集団形成の一助となり得る。
【0005】
本発明は、斯かる事情を鑑みてなされたものであり、子どもたち又は教員のウェルビーイングの定量的評価の結果を出力する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の情報処理装置は、予め設定された児童若しくは生徒、又は教員向けの設問に対するユーザからの回答に基づき、前記ユーザのウェルビーイング又はパーソナリティ特性に関する複数の指標の評価値を算出する算出部と、算出された複数の指標の評価値を、グラフ化して画面に表示するためのデータを出力する出力部とを備える。
【0007】
本開示の情報処理装置では、児童若しくは生徒からのみならず、教員からも設問に対する回答を受け付け、その回答からウェルビーイング又はパーソナリティ特性に関する複数の指標の評価値が算出される。更にその複数の評価値がグラフ化されて出力される。
【0008】
評価値の出力は、児童若しくは生徒、又は教員の属性毎に抽出されて出力されてもよい。また、各指標の評価値は、児童又は生徒と、教員との相性の評価に使用されてもよい。
【0009】
評価値に基づく児童若しくは生徒、又は教員へのアドバイスが、チャットボットを利用して出力されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、教員と子どもたち個々のウェルビーイングについて、その特性と共に定量的な評価値を視覚的に認識可能となり、指導の成果を学力の点数結果とは異なる指標で確認できる。また、教員と子どもたちとの間の相性がより良い教員と児童又は生徒とを組み合わせる一助になり得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの概要図である。
【
図2】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】情報端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】情報端末装置における設問の表示例を示す図である。
【
図5】情報処理装置による情報収集手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】指標値の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】教員が使用する情報端末装置で表示される画面例である。
【
図9】情報端末装置で表示される他の画面例である。
【
図11】変形例における指標値の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】チャットボットを利用した画面例を示す図である。
【
図13】チャットボットを利用した画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下の実施の形態では、本開示の情報処理装置を適用した支援システムについて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の情報処理システム100の概要図である。本実施形態の情報処理システム100は、情報処理装置1と、複数の情報端末装置2と、これらの装置間を通信接続するネットワークNとを含む。情報端末装置2は、複数の児童若しくは生徒、又は教員等が使用する端末である。情報端末装置2は、情報端末装置2を使用するユーザのアカウントデータとで区別される。
【0014】
ネットワークNは、プライベートネットワークであるローカルネットワークN1と、所謂インターネットである公衆通信網N2と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN3とを含む。ローカルネットワークN1には、アクセスポイントAPが含まれる。キャリアネットワークN3には基地局BSが含まれる。情報端末装置は有線又は無線によりローカルネットワークN1に通信接続が可能であり、公衆通信網N2又はキャリアネットワークN3を介して情報処理装置1及びグループウェア提供サーバ8と通信接続が可能である。
【0015】
複数の情報端末装置2は、Webブラウザ及びネットワークN経由で、システム外であるグループウェア提供サーバ8から提供されるWebアプリケーションにアクセス可能である。グループウェア提供サーバによって提供されるWebアプリケーションは、Web検索、メール又はチャット、データ共有アプリケーション、アンケートインタフェース等を含む。Webアプリケーションはこれらのアプリケーションに限らない。
【0016】
情報処理装置1は、グループウェア提供サーバ8から提供されている各種Webアプリケーションの呼び出し可能なAPI(Application Programming Interface )によって、対象の学校、団体に所属する児童、生徒、教員等のスタッフのアカウントに関するデータへのアクセス権限が与えられている。情報処理装置1は、そのWebアプリケーションの1つであるアンケートインタフェースのアプリケーションによって、児童、又は生徒、あるいは教員等のスタッフのアカウントに対し、特定の設問に対する回答を受け付ける。情報処理装置1は、回答を集計し、後述するような処理によって、ウェルビーイングに係る指標値を算出し、出力が可能である。情報処理装置1は、本実施形態では一例として、グループウェア提供サーバ8から提供されるWebアプリケーションの1つであるデータ分析及び視覚化のソフトウェアに基づき出力する。
【0017】
上述のような指標値の算出及び表示の実現について、以下に情報処理システム100の具体的構成及び処理内容を説明する。
【0018】
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、サーバコンピュータを用いる。情報処理装置1は、説明を容易にするために1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで処理又は機能を分散させた構成としてよい。
【0019】
情報処理装置1は、処理部10、記憶部11、通信部12及び入出力部13を備える。処理部10は、CPU(Central Processing Unit )又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサである。処理部10は、内蔵するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を用いて各構成部を制御する。処理部10は、記憶部11に記憶されている情報処理プログラムP1に基づき、後述する集計処理、指標値算出を含む情報処理を実行する。
【0020】
記憶部11は、ハードディスク又はSSD(Solid State Drive )を用いる。記憶部11は、情報処理プログラムP1を記憶しているほか、処理部10が参照する他のプログラム、及びデータを記憶する。情報処理装置1は、内部又は外部に設けた記録装置にデータベース110を構築している。記憶部11に記憶されている情報処理プログラムP1は、コンピュータから読み取り可能な記憶媒体9に記憶されていた情報処理プログラムP9をCPUが読み出して記憶部11に記憶したものであってもよい。
【0021】
データベース110は、グループウェア提供サーバ8によって提供されるストレージを含んでもよい。データベース110には、児童又は生徒の個別のアカウントそれぞれについて氏名、所属クラス、所属学校、又は所属団体の紐付け、学校等の教育機関で担当する教員、講師又は管理者等のスタッフのアカウントとの関連付け、集計結果等が記録されている。スタッフのアカウントには、例えば教員、事務局、代表者等の役職が対応付けられているとよい。例えば、教員のアカウントには、異なる権限が与えられており、代表者や管理職は全てのデータを閲覧できるが編集はできないという権限を与えられる。各教員又は事務局は、担当するクラス、教科については編集及び閲覧可能であるが、担当外のクラス等については閲覧も編集も不可という権限を与えられる。
【0022】
通信部12は、公衆通信網N2又はキャリアネットワークN3への通信接続を実現する。処理部10は、通信部12により公衆通信網N2又はキャリアネットワークN3を介して情報端末装置2、又はグループウェア提供サーバ8との間でデータの送受信が可能である。
【0023】
入出力部13は、データベース110への接続インタフェースである。データベース110が記憶部11内に設けられている場合は不要である。
【0024】
図3は、情報端末装置2の構成を示すブロック図である。情報端末装置2は、通信機能を有するラップトップ型又はタブレット型のパーソナルコンピュータを用いる。情報端末装置2は、処理部20、記憶部21、通信部22、表示部23、及び操作部24を備える。
【0025】
処理部20は、CPU又はGPUを用いたプロセッサを有し、内蔵するRAM及びROMを用いて各構成部を制御する。処理部20は、記憶部21に記憶してあるブラウザプログラムを読み出し、Webアプリケーションの処理を実行可能である。
【0026】
記憶部21は、フラッシュメモリ又はSSDを用いる。記憶部21は、ブラウザプログラムを記憶しているほか、使用者であるアカウントデータ、処理部20が参照する他のデータ等を記憶する。記憶部21には、情報処理装置1から出力される指標の評価値を表示させる特定のプログラムが記憶されていてもよい。以下の説明では、指標の評価値は、グループウェア提供サーバ8から提供されるWebアプリケーション若しくは他のドキュメントファイル表示用のアプリケーションにより表示される。
【0027】
通信部22は、ネットワークNを介した通信を実現する通信モジュールである。通信部22は、無線通信モジュールであってローカルネットワークN1に含まれるアクセスポイントAPと無線により通信可能である。通信部22は、無線に限られない。処理部20は、通信部22によりネットワークNを介してグループウェア提供サーバ8又は情報処理装置1とデータの送受信が可能である。
【0028】
表示部23は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を用いる。操作部24は、利用者の操作を受け付けるインタフェースであり、物理ボタン、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作部24は、物理ボタン又はタッチパネルにて表示部23で表示している画面上で操作を受け付けてもよいし、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
【0029】
このように構成されている情報処理システム100において、情報処理装置1は、情報端末装置2を通じて児童又は生徒、及び教員それぞれから、心理状態、パーソナリティについてのアンケートへの回答を受け付ける。アンケートの実施は、定期的に、又は、特定のイベントのタイミングでよい。アンケートの設問は、所謂ビッグファイブ(開放性:openness to experience,誠実性:conscientiousness,外向性:extraversion,協調性:agreeableness,神経症傾向:neuroticism)を導出するための設問を含む。アンケートの設問は、ウェルビーイングに係る指標を導出するための設問を含んでもよい。ウェルビーイングの指標は例えば、成長の実感、他者との繋がり(助ける)、前向きな感覚、独立性等の評価である。ビッグファイブ及びウェルビーイングの両方を測定するための設問を含んでもよい。設問の組み合わせは、情報処理装置1の管理事業者によって種々の研究に基づくものが採用される。
【0030】
図4は、情報端末装置2における設問の表示例を示す図である。情報端末装置2の表示部23には、児童又は生徒向けのアンケートの設問のテキストと、それに対する選択肢又は記述欄とが表示されている。アンケートの内容は例えば、
図4に示すように、児童向けに、「1学期のふりかえり」というテーマにおいて、「1学期のがんばり」、「1学期で一番がんばった科目」、「クラブ活動ではどのようなことをしましたか」等の設問を含む。その他、協調性や他との繋がりに関する「クラスメイトや仲間について」、達成感に関する「1学期に達成できたことは何ですか」等の設問を含んでもよい。アンケートの内容は、定期テストの後の各教科に対する手ごたえを受け付ける内容であってもよい。設問は、児童又は生徒が、教員が運営するクラスにおいて嬉しかったこと、楽しかったこと、心を動かされたことがあったか否か、積極的に何かに取り組んだか、だれかを助けたかあるいは助けてもらったか、何かを達成できたか、を評価する項目を含むことが考えられる。どのような設問とするかは、ビッグファイブ及びウェルビーイングに関する学術研究、研究報告に基づいて設定されるとよい。学年によって、設問の内容(平易なことば、漢字等)は変更されていると好ましい。
【0031】
情報処理装置1の記憶部11又はデータベース110には、
図4に示したような設問群のセットと、それらの設問群への回答に対する評価式とが、各々を識別するアンケートIDに対応付けて記憶されている。設問群セット及び評価式は、児童又は生徒向けと、教員向けとに識別されて記憶されている。評価式は例えば、各設問の回答が各指標について何ポイントになるのか、という設定を含む。例えば、ある設問に対する回答が(ア)から(オ)の選択肢のうちの(ア)である場合は「開放性」について「+3」、(イ)である場合は「開放性」について「+2」、(ウ)である場合は「+1」、(エ)である場合は「-1」、(オ)である場合は「-2」といった対応表が評価式に含まれている。評価式は、いくつかの設問の回答を引数として数値を出力するようにしてある数式を含んでもよい。評価式は、回答に記述がある場合、その記述の中に含まれるキーワードに応じたポイントの設定を含む。評価式は、記述欄に入力されるテキストが入力された場合に、指標についてのポイント加算値を出力するように学習された学習モデルを含んでもよい。
【0032】
図5は、情報処理装置1による情報収集手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1は、定期的に、あるいは「定期テスト」「まとめテスト」等イベントの実施後、又は、予め記憶してあるアンケートの実施スケジュールに基づき、以下の処理を実行する。
【0033】
情報処理装置1の処理部10は、記憶部11に記憶してあるテーマ別の設問群及び評価式から選択する(ステップS101)。処理部10は、グループウェア提供サーバ8にて提供されるアンケートインタフェースを使用し、選択したテーマの設問群からアンケートページを作成する(ステップS102)。処理部10は、アンケートぺージをグループウェア提供サーバ8から、回答できるユーザ(児童若しくは生徒、又は教員)のアカウント及び回答期限を指定して公開(アップロード)する(ステップS103)。ステップS101からステップS103における処理手順は、情報処理装置1に対して操作権限を有するスタッフ(アカウント)の操作を受け付けて実行されてもよい。
【0034】
処理部10は、ステップS103で公開したアンケートページに対する回答を、回答者の識別データ(例えばアカウントデータ)に対応付けて取得し、データベース110に記憶する(ステップS104)。アンケートページに対する回答は、逐次、グループウェア提供サーバ8にて提供されるストレージサービスでアクセスされる記録装置(分散されたネットワークストレージを含む)に記憶される。ステップS104の処理は、ステップS103で公開したアンケートページの回答期限が到来したタイミング若しくは回答がなされる都度のタイミングで情報処理装置1によって実施される。処理部10は、これらのタイミングで記録装置から回答を取得し、データベース110に記憶する。これらの回答は、グループウェア提供サーバ8で提供される表計算アプリケーションの形式によって、ストレージサービスを利用して記憶されてもよい。
【0035】
処理部10は、データベース110に記憶した回答と、設定されている評価式とに基づき、回答者毎に、ビッグファイブ及びウェルビーイングに係る指標それぞれに対する評価値を算出する(ステップS105)。処理部10は、算出した指標毎の評価値を、回答者の識別データ毎に、対象のアンケートを識別するデータ(アンケートID)を対応付けて記憶し(ステップS106)、集計処理を終了する。
【0036】
図5のフローチャートに示した処理手順により、データベース110には、回答者である児童若しくは生徒、又は教員を識別する識別データ(アカウントデータ又はID等)に対応付けて、回答したアンケートの履歴が蓄積される。データベース110には、
図4に示したようなアンケート以外に、各教科のテストのスコアが、児童又は生徒の識別データに対応付けて記憶されている。テストのスコアは、教員が情報端末装置2の操作によって、グループウェア提供サーバ8によって提供されるスコア管理に係るアプリケーション(表計算であってもよい)からストレージサービスに記憶されており、情報処理装置1からアクセス可能である。
【0037】
図5の処理手順のうち、ステップS105の処理については、後述の出力処理のステップS201にて実行し、ステップS106の記憶は省略してもよい。
【0038】
情報処理装置1の処理部10は、
図5の情報収集処理を終了すると、データベース110に記憶したデータに基づき指標値を出力可能となる。情報処理装置1では、処理部10の情報処理プログラムP1に基づく処理により、指標値を視覚化したレポートを作成し、出力する。
図6は、指標値の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。アンケートID毎に、出力処理が行なわれてもよい。
【0039】
情報処理装置1の処理部10は、対象の教育機関に所属する児童又は生徒それぞれに対し、対象のアンケートIDに対応付けて記憶されている指標毎の評価値を、読み出す(ステップS201)。
【0040】
処理部10は、ステップS201において、データベース110に記憶されている設問群に対する回答と、その設問群に対して設定されている評価式とに基づき、ビッグファイブ及びウェルビーイングに係る指標それぞれに対する評価値を算出する処理を、児童又は生徒それぞれについて実行してもよい。
【0041】
処理部10は、読み出した(算出した)指標毎の評価値を、表形式で出力する(ステップS202)。ステップS202で出力される評価値は、対象の教育機関に所属する児童又は生徒全員分である。出力される表には、各児童又は生徒の属性が、データベース110から読み出されて対応付けられていてもよい。表には、児童又は生徒それぞれの各教科のテストのスコアが含まれてもよい。
【0042】
ステップS202及び以下の処理における「出力先」は、例えば情報端末装置2の表示部23であってもよいし、pdf等のドキュメントファイルであってもよい。
【0043】
ステップS202で出力した児童又は生徒全員分の指標毎の評価値は、出力先が情報端末装置2の表示部23である場合、つまり画面表示する場合、表示部23の画面上でソートする項目を変更できることが好ましい。このため画面には例えば、ビッグファイブにおける「開放性」について降順に表示したい、あるいは標準にソートして表示したい、といったユーザが操作可能なコントロールが含まれるとよい。
【0044】
処理部10は、教育機関全体における指標値の統計データ(平均、偏差等)を、設定されている演算式に基づき演算し、ステップS202で出力した評価値と共に出力する(ステップS203)。処理部10は、統計データとして、テストのスコアに関するデータを出力してもよい。処理部10は、各児童又は生徒によるグループウェア提供サーバ8から提供されるWebアプリケーションの利用状況(メッセージ数、使用データ量)を表形式と共に出力してもよい。
【0045】
処理部10は、ステップS202で出力した評価値から、対象の教育機関の属性毎及び個別に評価値を抽出し(ステップS204)、属性別の指標毎の評価値を表形式で出力する(ステップS205)。ステップS204,S205において処理部10は例えば、クラス毎、学年毎、コース毎、所属クラブ毎、といった属性によって出力する。処理部10は、児童又は生徒毎の個別の評価値も出力可能である。
【0046】
処理部10は、属性毎の統計データ(平均、偏差等)を、設定されている演算式に基づき演算し、ステップS205で出力した評価値と共に出力する(ステップS206)。ステップS206において処理部10は、児童又は生徒の各教科のテストのスコアの属性毎の統計データ(平均、偏差、最大値、最小値等)を共に出力してもよい。
【0047】
処理部10はステップS204及びステップS206において、出力先の教員等のスタッフの属性により、出力対象の属性を選定することが望ましい。例えば、第3学年4組の担任である教員の情報端末装置2に対しては、第3学年4組を属性に持つ児童又は生徒の評価値、テストスコアのみが出力され、第3学年主任である教員の情報端末装置2に対しては、第3学年を属性に持つ児童又は生徒の評価値、テストスコアが出力される。
【0048】
処理部10は、出力結果を情報端末装置2へ送信し(ステップS207)、処理を終了する。ステップS202からステップS206までの出力先が、情報端末装置2の表示部23である場合、ステップS207の処理は出力処理毎に行なわれる。
【0049】
図7は、教員が使用する情報端末装置2で表示される画面例である。情報処理装置1の出力処理により、
図7に示すような画面231が情報端末装置2の表示部23に表示される。画面231は、指標毎の評価値の一覧232、統計データ233、テストスコアデータ234、Webアプリケーション利用状況235を含む。評価値の一覧232は、児童又は生徒毎の学年、クラス、氏名等の属性を含む。評価値の一覧232では、各指標に対する評価値の数値と共に、数値に対応する棒グラフが各欄の数字に並んで表示されている。棒グラフに限らず、円グラフ、アイコンの大きさ等で他との比較が分かるようになっていてもよい。これにより、一覧232における指標毎の評価値を視覚で直感的に捉えることが可能である。
【0050】
統計データ233には、画面231が対象としている児童又は生徒の指標毎の評価値の平均値が表示されている。
図7の例では、教育機関に所属する全ての児童又は生徒を対象としている。平均値に限らず、偏差、最大値、最低値、中央値等の統計値が表示されてもよいし、選択可能であってもよい。統計データ233に含まれる平均値と、各児童又は生徒の評価値とを比較して確認することができる。
【0051】
テストスコアデータ234は、対象としている児童又は生徒のテストスコアに関するデータを含む。
図7の例では、過去の定期テストのスコアの平均の推移が表示されている。その他、対象の児童又は生徒の数等のデータが表示されてもよい。Webアプリケーション利用状況235は、ストレージ利用データ量、メッセージ数等の児童又は生徒毎の量の分布を含む。Webアプリケーション利用状況235は、何を表示させるかを切り替えるためのコントロールを含んでいる。教員等がこのコントロールを使用して切り替えることにより、表示内容を変化させることができる。Webアプリケーション利用状況235では、最も多い学年は第何学年か、最も多い児童又は生徒はだれか、といったデータが演算されて表示されてもよい。
【0052】
図8は、児童又は生徒個別の指標の出力例である。
図8の出力例は、
図7の一覧232において児童又は生徒それぞれの氏名又は識別データにリンクを貼っておき、いずれかのリンクを選択すると、表示される画面236である。画面236には、各指標の評価値を描画したチャート237,238が含まれている。
図8の例では、ビッグファイブの指標のチャート237及びウェルビーイングに係る指標のチャート238が表示されている。画面236には、
図8に示すように、児童又は生徒の個別のテストスコアの過去の推移、Webアプリケーションの利用状況239が含まれてもよい。教員は、画面236を確認することにより、その時点における児童又は生徒の特性及びウェルビーイング(幸福度)を把握することができる。過去の履歴を閲覧できるようにしてもよい。
【0053】
教員に対するアンケートの回答集計及び出力手順も、
図6の処理手順と同様の手順によって実施できる。対象となるアンケートID、属性の階層が異なる程度である。教員のビッグファイブ及びウェルビーイングに関する指標の評価値も、個別算出される。
【0054】
図9は、情報端末装置2で表示される他の画面例である。
図9は、主任、指導員の資格を有する特定の教員であるアカウントが使用する情報端末装置2にて出力される画面例である。
図9においても、画面231には、指標毎の評価値の一覧232が、各指標に応じてソート可能に表示され、統計データ233も表示されている。担当学年、担当クラス等によって児童又は生徒同様に抽出も可能である。
【0055】
情報処理装置1の処理によって、
図7から
図9に示したような画面が表示可能になる。これにより、各教員が児童又は生徒の指標の評価値を閲覧でき、指導に役立てることができる。また、管理職の教員が、各教員の指標の評価値を把握し、教員それぞれのパフォーマンス管理の根拠とすることができ、指標に基づくアドバイスも可能になる。
【0056】
データベース110に記憶されているアンケート集計結果に基づく
図7から
図9に示した指標毎の評価値に基づき、以下のように、教員と児童又は生徒との間のマッチ度を演算することも可能である。例えば処理部10は、児童若しくは生徒、及び教員について、
図7から
図9に示したような9つの指標それぞれを次元とし、評価値をその値としたベクトルを求める。処理部10は、ベクトル間の距離に基づく類似性の判断により、類似度が高い場合にマッチ度を高く算出するなどし、各教員に対してマッチ度が高い児童又は生徒を抽出してもよい。これにより、マッチ度が高い児童又は生徒と、教員とを組み合わせたクラス編成によって、双方のウェルビーイングが高まることを期待することもできる。
【0057】
更に、データベース110に記憶されているアンケート集計結果に基づき、以下のように、教員と児童又は生徒との間のマッチ度を出力するように学習済みモデルを作成することも可能である。
図10は、学習済みモデルの概要図である。学習済みモデルは、ニューラルネットワークを用い、入力層に、児童又は生徒の特性に係る指標(例えばビッグファイル)の評価値群と、教員の特性に係る指標の評価値群とが入力されるようにしてある。出力層は、入力層に入力された指標をそれぞれ有する児童又は生徒と、教員とのマッチ度を出力するようにしてある。実際の過去のクラス編成における各児童又は生徒と、教員とのそれぞれから得られたウェルビーイング(幸福度)の評価値が高いほどに、マッチ度が高くなるように、学習モデルのパラメータを学習する。学力のテストスコアの高さもパラメータ学習の評価に使用してもよい。このようにして学習された学習済みモデルに、新たな組み合わせの児童又は生徒の特性に係る評価値と、教員の特性に係る評価値とを入力することによって、その学習済みモデルから出力されるマッチ度を用いて相性を評価することが可能になる。
【0058】
このようにして、指標毎の評価値を算出し、出力可能とすることで、児童又は生徒、及び教員の双方にとってウェルビーイングが高くなるような環境構築が期待できる。
【0059】
本実施形態では、情報端末装置を通じてアクセス可能なWebアプリケーションにより、児童若しくは生徒、又は教員等からの設問に対する回答の集計及び指標値の出力を実施した。しかしながら、情報処理装置が提供するWeb画面にて、回答を受け付け、pdf等のドキュメントによって指標値を出力する構成としてもよい。
【0060】
(変形例)
変形例において、情報処理装置1は、算出したウェルビーイングに係る指標値の出力に、チャットボットを利用する。変形例における情報処理システム100は、上述の実施形態と同様である。変形例において、ネットワークN経由にて、グループウェア提供サーバ8、又は、他の外部サーバから、チャットボットの提供を受ける。このチャットボットは、ネットワークN経由で接続されている各種サービスのWebサーバにて公開されている公開情報を学習しており、自然言語にてプロンプトと呼ばれる質問文に対して回答を出力することができるサービスである。変形例では、算出した指標値を表示する画面にて、情報処理装置1は、プロンプトを受け付け、そのプロンプトを、教員の役割として、主任の役割として、あるいは、教員に対するアドバイザとして情報を提示するように補正し、チャットボットから結果を取得し、出力する。
【0061】
図11は、変形例における指標値の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11のフローチャートに示す処理手順は、上述の実施形態における
図6のフローチャートに示した処理手順の後に、続けて実行される。
【0062】
情報処理装置1の処理部10は、教員が使用する情報端末装置2へ、指標値の出力結果を送信する(ステップS301)。ステップS301で送信する出力結果には、情報端末装置2に、レポート作成のためのリクエストのテキストの受付画面を表示させるスクリプトが含まれる。
【0063】
情報端末装置2の処理部20は、出力結果を受信すると(ステップS401)、リクエストのテキストの受付画面を表示させる(ステップS402)。処理部20は、受付画面にて、リクエストのテキストを受け付け(ステップS403)、受け付けたテキストを情報処理装置1へ送信する(ステップS404)。
【0064】
情報処理装置1の処理部10は、リクエストのテキストを取得する(ステップS302)。処理部10は、教員へのアドバイスを行なうアドバイザとしての「役割」と、アドバイザとして注意すべき「条件」とを記述したテキストに、ステップS302にて取得したテキストを加えてプロンプトを作成する(ステップS303)。処理部10は、作成したプロンプトに、算出した指標値に基づくウェルビーイングを示すテキストや数値を加える(ステップS304)。
【0065】
処理部10は、ウェルビーイングの指標値に基づくデータを加えて作成したプロンプトを、外部サーバであるチャットボットへ入力し(ステップS305)、チャットボットからの回答を取得する(ステップS306)。処理部10は、取得した回答を情報端末装置2へ送信する(ステップS307)。
【0066】
情報端末装置2の処理部20は、送信された回答を受信し(ステップS405)、表示部23に出力させ(ステップS405)、処理を終了する。
【0067】
処理部10は、受付画面にてテキストの入力を受け付ける都度、
図11のフローチャートに示した処理手順を実行する。
【0068】
図12及び
図13は、チャットボットを利用した画面例を示す図である。
図12は、主任、指導員の資格を有する特定の教員であるアカウントが使用する情報端末装置2にて出力される画面例であり、
図7に示した画面231と同様である。
図12に示す画面231の例では、画面231に、チャットボットに対してのリクエストの受付画面240が含まれている。受付画面240には、
図12に示すように、主任又は特定の教員が自然言語でリクエストを入力可能である。
図12に示す受付画面240では、入力欄に入力例が示されている。
【0069】
図13は、チャットボットによる回答の出力結果を示す。
図13は、
図12に示した画面231の受付画面240にリクエストが入力されて送信された後に表示される画面231を示す。
図13の画面231では、リクエストの対象であるクラスの指標の評価値の平均や、チャート237,238が
図8の個人用の出力例と同様に表示されている。
図13では、リクエストへの回答画面241が、画面231内に表示されている。回答画面241には、対象のクラス(例えば2年A組)の2学期以降の指導方針が、教員へのアドバイザの役割がプロンプトで指定されたことでチャットボットから得られた回答として表示されている。
【0070】
このように、Webサービスとして提供されているチャットボットの自然言語処理を利用しつつ、主任又は指導員としての適切なプロンプトの入力をサポートする。これにより、実際に使用する教員がチャットボットに詳しくなくとも、ウェルビーイングの指標に基づきアドバイザから得られるような適切な結果を得ることが可能である。
【0071】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理装置
10 処理部
P1 情報処理プログラム(コンピュータプログラム)
2 情報端末装置
20 処理部
23 表示部