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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035183
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】患者の位置を監視するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023139576
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】22193158.7
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】511180259
【氏名又は名称】ビジョン アールティ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン ロジャー ウィリアム バレット
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジェームズ ワグホーン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AE01
4C082AJ02
4C082AJ10
4C082AN03
4C082AP07
4C082AP08
4C082AR02
4C082AR20
(57)【要約】
【課題】患者(220)の位置を監視するために医療装置(210)と共に使用するためのモニタリングシステム(100)を提供する。
【解決手段】モニタリングシステム(100)は:視覚データを提供する少なくとも1つの視覚センサ(110);視覚データに基づいて、1つ以上のビューを生成するように構成された少なくとも1つの処理ユニット(120);及び生成された1つ以上のビューを表示するための少なくとも1つのディスプレイ(130)を有する。より便利でハンズフリーな操作を可能にするモニタリングシステムを提供する目的は、モニタリングシステム(100)が、信号を提供する少なくとも1つの音響センサ(140)をさらに有し、少なくとも1つの処理ユニット(120)が、少なくとも1つの音響センサ(140)の信号に基づいて動作を実行するように構成される点で解決される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の位置を監視するために医療装置と共に使用するためのモニタリングシステムであって、前記モニタリングシステムは:
- 視覚データを提供する少なくとも1つの視覚センサ;
- 前記視覚データに基づいて、1つ以上のビューを生成するように構成された少なくとも1つの処理ユニット;及び
- 生成された前記1つ以上のビューを表示するための少なくとも1つのディスプレイ;を有し、
前記モニタリングシステムは、信号を提供する少なくとも1つの音響センサをさらに有し、前記少なくとも1つの処理ユニットは、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づいて動作を実行するように構成される、
モニタリングシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの処理ユニットは、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づいて動作を実行するために、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に音声認識アルゴリズムを適用するように構成される、
請求項1に記載のモニタリングシステム。
【請求項3】
前記音声認識アルゴリズムは、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号内の少なくとも1つのキーワード及び/又は少なくとも1つのコマンドフレーズの事前定義された組み合わせを認識するように構成される、
請求項2に記載のモニタリングシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの処理ユニットは、前記視覚データに基づいて、2つ以上の異なるビューを生成するように構成され、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づいて実行される前記動作は、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づいて、前記少なくとも1つのディスプレイに表示される特定の生成されたビューの選択を含む、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項5】
前記視覚データに基づいて前記少なくとも1つの処理ユニットによって生成される前記ビューは、前記患者の身体の3次元表面ビューを含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項6】
前記視覚データに基づいて前記少なくとも1つの処理ユニットによって生成される前記ビューは、前記患者の身体の表面変形ビューを含む、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項7】
前記視覚データに基づいて前記少なくとも1つの処理ユニットによって生成される前記ビューは、前記患者の身体のリアルタイムビデオビューを含む、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項8】
前記リアルタイムビデオビューはさらに患者輪郭を示す、
請求項7に記載のモニタリングシステム。
【請求項9】
前記視覚データに基づいて前記少なくとも1つの処理ユニットによって生成される前記ビューは、前記患者の身体の輪郭ビューを含む、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項10】
前記視覚データに基づいて前記少なくとも1つの処理ユニットによって生成される前記ビューは、治療に必要な少なくとも1つの付属品のビューと、前記少なくとも1つの付属品がどこに位置決めされるべきかの指示とを含む、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づいて実行される前記動作は、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づいて、前記患者の前記位置のリアルタイム監視を開始及び/又は停止することを含む、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項12】
前記モニタリングシステムは、前記少なくとも1つの処理ユニットを制御するための少なくとも1つの入力装置をさらに有する、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項13】
前記音響センサは、前記モニタリングシステムのオペレータの衣服に取り外し可能に取り付けられ、前記少なくとも1つの処理ユニットに無線で接続されるように構成される。
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項14】
放射線治療装置及び/又はコンピュータ断層撮影装置との、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のモニタリングシステムの使用。
【請求項15】
医療装置のモニタリングシステムで患者の位置を監視する方法であって、前記方法は:
- 少なくとも1つの視覚センサによって視覚データを提供すること;
- 前記視覚データに基づいて、少なくとも1つの処理ユニットによって、1つ以上のビューを生成すること;及び
- ディスプレイに生成された前記1つ以上のビューを表示すること;を含み、
前記方法はさらに:
- 少なくとも1つの音響センサによって信号を提供すること;及び
- 前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づいて、前記少なくとも1つの処理ユニットによって動作を実行すること;を含む、
方法。
【請求項16】
前記方法は、前記視覚データに基づいて、前記少なくとも1つの処理ユニットによって、2つ以上の異なるビューを生成することを含み、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づいて実行される前記動作は、前記少なくとも1つの音響センサの前記信号に基づく、前記少なくとも1つのディスプレイに表示される特定の生成されたビューの選択を含む、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスと併用して使用するための患者モニタリングシステムに関する。特に、医療デバイスは、正しい治療及び最適な断層撮影及び/又はシミュレーションを確実にするために、患者の正確な配置を必要とするタイプのものである。加えて、本発明は、放射線治療、コンピュータ断層撮影及び/又は医療シミュレーションに使用するための患者モニタリングシステム、及び治療、イメージング、又はシミュレーション中の患者の位置を監視するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療では、放射線源によって放射される放射線ビームが、通常、そこに存在する腫瘍を破壊又は除去するために、患者の身体の所定の領域に一定時間投影される。放射線治療は、典型的には、一定間隔で行われる複数の治療セッションで実施される。各セッションでは、治療者は、選択された身体領域が可能な限り高い精度で照射されることを確実にするために、放射線ビームに対して患者を慎重に位置決めしなければならない。そうでなければ、選択された身体領域の周囲の健康な組織が放射線によって損傷を受ける可能性がある。
【0003】
従来技術の放射線治療装置は、放射線ビームがいわゆる治療アイソセンタに焦点を合わせられるように較正されている。患者は通常、機械的駆動装置によって空間の3方向すべてにおいて位置決めすることができる診察台上に横になる。次に、放射線治療装置のアイソセンタが治療されることになる患者の身体領域と一致するように診察台の位置を調整することは、治療者の仕事である。患者の身体、又はその一部を、治療セッション中の患者による動きを避けるために診察台に固定することができる。
【0004】
治療者がそれぞれの放射線治療のために患者とともに診察台を正しく位置決めすることを支援するために、患者の位置を監視するモニタリングシステムが利用可能である。特許文献WO2016/181156A1(特許文献1)に記載されているモニタリングシステムのような従来のモニタリングシステムは、典型的には、視覚センサ、処理ユニット、及びディスプレイを含む。視覚センサは、視覚データを提供し、例えば、ステレオカメラである場合がある。カメラは、患者から約1.5m~2m離れた場所にあるような固定された場所で治療室の天井から吊り下げられるか、又は、診察台に取り付けられる場合がある。診察台上の患者は既知の位置に配置され、これは、治療アイソセンタに対する患者の相対位置が識別されるようなカメラの較正を可能にする。処理ユニットは、典型的には、視覚センサによって提供される視覚データに基づいて、患者及び/又は放射線治療装置の異なるビュー(views)を生成する。このビューは、例えば、患者の身体表面の3次元ビュー又は患者の身体のリアルタイムのビデオビューである場合がある。生成された様々なビューは、患者がモニタリングシステムの助けを借りて治療者によって正しく位置決めされることを可能にするようにディスプレイに表示される。
【0005】
位置決め手順の間、治療者は通常、現在の患者の位置と所望の患者の位置の両方が一致するまで、両方を評価するためにディスプレイを観察しなければならない。さらに、治療者は、例えば、異なるビューで患者の位置をクロスチェックするために、ディスプレイに表示される異なるビューの間を頻繁に切り替えなければならない。切り替えは、典型的には、処理ユニットのコンピュータキーボード又はマウスのような入力装置を介して行われ、これらは一般的に、治療室の放射線治療装置から離れて配置されている。したがって、ビュー間の切り替えは、治療者が患者から向きを変えるか、場合によっては患者から離れ、別のビューを選択するためにキーボードとマウスに移動し、その後患者に戻る必要があるため、現在、面倒な手順である。同じことは、モニタリングシステムの全体的な操作、例えば、患者の位置のリアルタイムモニタリングの開始及び/又は停止にも当てはまる。全体として、これは治療者/患者の相互作用(interaction)に悪影響を及ぼし、ワークフローの非効率性をもたらし、治療者が患者に向くことを妨げる。さらに、治療者の手はモニタリングシステムの操作のために占有されている。
【0006】
上記の問題は、患者の位置が重要な役割を果たすとすぐに他の医療デバイスでも同様に発生する。例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンを実行する場合、患者の正確な位置決めは適切な画像を得るために役立つことがある。この文脈において、モニタリングシステムは、CTは通常、患者の身体の一部しか画像化しないため、例えば、CTスキャンの前に患者を位置決めする、CTスキャン中に患者の呼吸運動を追跡する、又はCTスキャン時に患者の全面をキャプチャするために使用される。このようなモニタリングシステムの操作のために、例えばCTスキャン中、又はCTスキャン前に行われる患者のセットアップ手順中には、コンピュータキーボード又はマウスのような入力装置を使用することが現在広く行われている。しかし、放射線療法の文脈で上述したものと同様に、これは治療者と患者の相互作用に悪影響を及ぼし、ワークフローの非効率性をもたらし、治療者が患者に向くことを妨げ、治療者の手を占有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2016/181156A1
【発明の概要】
【0008】
この背景に対して、本発明の目的は、より便利でハンズフリーな操作を可能にする放射線治療、コンピュータ断層撮影、又はシミュレーションを提供するように構成された医療デバイスと共に使用するためのモニタリングシステムを提供することである。さらに、本発明の目的は、音声制御を含む改良されたモニタリングシステムを特定することである。本発明の第1の態様は、放射線治療、コンピュータ断層撮影、又はシミュレーションを提供するように構成されたような医療デバイスと共に使用するためのモニタリングシステムに関するものであり、モニタリングシステムは:
- 視覚データを提供する少なくとも1つの視覚センサと;
- 視覚データに基づいて1つ以上のビューを生成するように構成された少なくとも1つの処理ユニットと;
- 生成された1つ以上のビューを表示するための少なくとも1つのディスプレイと;
- 信号を供給する少なくとも1つの音響センサと;を有し、
少なくとも1つの処理ユニットは、少なくとも1つの音響センサの信号を分析し、それに基づいてモニタリングシステムの作動応答に対応する動作を選択するように構成される。
【0009】
シミュレーションという用語は、この文脈では、ターゲットが正確に位置特定されてマークされるように放射線療法を計画するために使用される。これには、患者のCTスキャンを撮影し、これを治療計画システム(TPS)で使用することが含まれ得る。また、患者の体に(その後の位置合わせのために)印を付けること、位置決めすること(例えば、マスク、真空バッグ)又は線量特性(例えば、ボーラス材料)の変更をデバイスに補助させたりすることも含まれる。
【0010】
第1の態様によれば、上記の目的は、モニタリングシステムが、信号を提供する少なくとも1つの音響センサをさらに有し、少なくとも1つの処理ユニットが、少なくとも1つの音響センサの信号に基づいて動作を実行するように構成される点で、このようなモニタリングシステムに対して解決される。さらに、第1の態様によれば、上記の目的は、治療者/患者相互作用が改善され、ワークフローの非効率性が低減され、モニタリングシステムを操作する際に治療者の手がもはや占有されない点で、このようなモニタリングシステムに対して解決される。
【0011】
第1の態様によるモニタリングシステムは、視覚データを提供する少なくとも1つの視覚センサを有する。特に、少なくとも1つの視覚センサは、少なくとも1つの表面イメージングカメラ(surface imaging camera)であり得る。しかしながら、一般的に、サーモグラフィカメラ等を含む、適切な視覚データを提供する任意の視覚センサが考えられる。さらに、視覚センサは、ステレオカメラ、LIDARセンサ、飛行時間センサ、レーザスキャナ及び/又は構造化光スキャナを含み得る。少なくとも1つの視覚センサにより、1つ以上のビューを生成するための視覚データが提供されることが達成される。少なくとも1つのステレオカメラにより、ステレオ視の原理を用いて、患者の3次元表現を可能にする視覚データが提供されることが達成される。
【0012】
第1の態様によるモニタリングシステムは、さらに、視覚データに基づいて、1つ以上のビューを生成するように構成された少なくとも1つの処理ユニットを有する。少なくとも1つの処理ユニットは、モニタリングシステムの内部処理ユニットであり得る、又は、外部処理ユニット、例えば、少なくとも1つの視覚センサにワイヤ又は無線で接続され、それぞれのコンピュータプログラムを実行する汎用パーソナルコンピュータであり得る、又はその両方の組み合わせであり得る。この文脈におけるビューは、例えば放射線治療、CTスキャン、及び医療シミュレーションのような医療処置のために患者を正確に位置決めする際に治療者を助けることができる、患者又はファントムのような物体、又はその部品、及び/又は関連する装置、又はその部品の任意の適切な視覚表現を意味すると理解される。ビューは、写真又はビデオのような現実的な表現であってもよく、又は単に概略的な表現であってもよい。異なるビューは、異なる視点からの同じオブジェクトの表現を参照することもある。視覚データに基づく1つ以上のビューの生成は、同じオブジェクトの異なる視点のような1つ以上のビューを生成するために、視覚データが任意の適切な方法で使用されることを意味すると理解される。例えば、視覚データを処理し、ハイライトを追加し、投影、スケール、マーカー、カラーコードを導入してもよい。視覚データに基づいて1つ以上のビューを生成するように構成された少なくとも1つの処理ユニットによって、治療者が患者を正しく位置決めすることを支援するための1つ以上のビューを治療者に提供することができることが達成される。
【0013】
さらに、ファントムが、1つ以上の小さなセラミックボール又は金属ボールなどの照射ターゲット、又はスチール、チタン又はタングステンなどで作られたターゲットなどの他のセラミック又は金属ターゲットを含む較正キューブの形態であり得る。ファントムは、治療装置によって適用される放射線の性質に依存する材料の選択(例えば、セラミックターゲットはMV又はkV放射線を利用してイメージングすることができるが、金属ターゲットはMV放射線で照射された場合にはより良く見えるが、kV放射線で照射された場合にはより悪く見える)で、ファントムの中心を放射線治療装置のアイソセンタの推定位置にして位置決めされ得る。次に、放射線治療装置を用いてキャリブレーションファントムが照射される。次に、キャリブレーションファントムの中心と放射線治療のアイソセンタの相対位置が、照射ターゲットを含むキャリブレーションファントムの照射の放射線画像を解析することによって決定される。
【0014】
第1の態様によるモニタリングシステムは、1つ以上の生成されたビューを表示するための少なくとも1つのディスプレイをさらに有する。例えば、少なくとも1つのディスプレイは、少なくとも1つの処理ユニットのグラフィック出力に接続され得る。少なくとも1つのディスプレイによって、治療者が患者を正しく位置決めすることを支援するために生成されたビューが、治療者によって光学的に知覚できることが達成される。
【0015】
信号を提供する少なくとも1つの音響センサを使用し、少なくとも1つの処理ユニットが少なくとも1つの音響センサの信号に基づいて動作を実行するように少なくとも1つの処理ユニットを構成することによって、モニタリングシステムの便利でハンズフリーな操作を治療者に提供することができることが、第1の態様の文脈で認識されている。この文脈において、少なくとも1つの音響センサの信号に基づいて動作を実行することは、少なくとも1つの音響センサの信号が、実行されることになる動作を識別するために任意の適切な方法で使用されることを意味すると理解される。例えば、少なくとも1つの音響センサは、特に少なくとも1つのマイクロフォンであり得る。治療者は、例えば、彼の声を使用するなどの特定の音を生成し得、これらの音は、入力として少なくとも1つの音響センサによって取得又は受信され得る。音は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの音響センサによって出力される信号に含まれ得、動作を実行するために、少なくとも1つの処理ユニットによって分析、処理又は識別され得る。したがって、治療者はもはやモニタリングシステムを操作するためにコンピュータのキーボード又はマウスを使用することを必要とされず、したがって、治療者と患者の相互作用が改善され、ワークフローの非効率性が低減され、モニタリングシステムを操作するときに治療者の手はもはや占有されない。さらに、コンピュータのキーボード又はマウスとの物理的接触が減少するため、感染症のリスクが低下する。
【0016】
少なくとも1つの音響センサの信号は、この文脈において、少なくとも1つの音響センサによって捕えられた音響音を表すアナログ又はデジタル(電気)信号として解釈され得る。言い換えると、少なくとも1つの音響センサの信号は、少なくとも1つの音響センサによって捕えられた音響情報を表す信号であり得る。信号はまた、少なくとも1つの処理ユニット又は他のユニットにおいて、実行されることになる動作を識別するために使用され得る処理された信号が生成されるように、特定の処理ステップをもたらし(undergo)得る。
【0017】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるモニタリングシステムの使用に関するものであり、モニタリングシステムは、放射線治療、コンピュータ断層撮影又はシミュレーションを提供するように構成された医療デバイスと共に使用される。
【0018】
第2の態様によれば、上記の目的は、第1の態様によるモニタリングシステムがそのような放射線治療システムに対して解決される。これにより、第1の態様において既に説明したように、治療者と患者の相互作用が改善され、ワークフローの非効率性が低減され、モニタリングシステムを操作するときに治療者の手が占有されなくなる。
【0019】
本発明の第3の態様は、医療装置のモニタリングシステムで患者の位置を監視する方法に関し、その方法は:
- 少なくとも1つの視覚センサによって視覚データを提供すること;
- 視覚データに基づいて、少なくとも1つの処理ユニットによって、1つ以上のビューを生成すること;及び
- 1つ以上の生成されたビューをディスプレイに表示すること;を含む。
【0020】
第3の態様によれば、上記の目的は、このような方法に対して解決され、この方法は、さらに:
- 少なくとも1つの音響センサ(140)によって信号を提供すること;及び
- 少なくとも1つの処理ユニット(120)によって、信号(140)を分析し、それに基づいて、モニタリングシステムの作動応答に対応する動作を選択すること;を含む。
【0021】
これにより、治療者/患者相互作用が改善され、ワークフローの非効率性が低減され、第1の態様の文脈で既に説明したように、モニタリングシステムを操作するときに治療者の手がもはや占有されない。
【0022】
異なる態様の実施形態では、少なくとも1つの処理ユニットは、少なくとも1つの音響センサの信号に音声認識アルゴリズムを適用し、それに基づくモニタリングシステムの作動応答に対応する動作を選択するように構成される。これにより、治療者は通常の会話音声を使用してモニタリングシステムを操作し得るため、治療者の利便性がさらに向上する。
【0023】
異なる態様の実施形態では、音声認識アルゴリズムは、少なくとも1つの音響センサの信号内の少なくとも1つのキーワード及び少なくとも1つのコマンドフレーズの事前定義された組み合わせを認識するように構成される。これにより、モニタリングシステムの動作の信頼性を高めることができ、利便性をさらに向上させることができる。
【0024】
異なる態様の実施形態では、2つ以上の異なるビューが、視覚データに基づいて生成される。第2の態様によるモニタリングシステムにおいて、第1の態様で使用されるように、これは、少なくとも1つの処理ユニットが、視覚データに基づいて、2つ以上の異なるビューを生成するように構成されることを意味すると理解される。第3の態様による方法において、これは、方法が、視覚データに基づいて、少なくとも1つの処理ユニットによって、2つ以上の異なるビューを生成することを含むことを意味すると理解される。視覚データに基づいて2つ以上の異なるビューを生成することにより、治療者に追加データを提供することができ、特に患者の位置決めを容易にすることができる。
【0025】
視覚データに基づいて2つ以上の異なるビューが生成される異なる態様の実施形態では、少なくとも1つの音響センサの信号に基づいて実行される動作は、少なくとも1つのディスプレイに表示されることになる特定の生成されたビューの少なくとも1つの音響センサの信号に基づく選択を含む。特に、選択は、少なくとも1つのディスプレイに表示されることになる特定の生成されたビューを提供し、これは、モニタリングシステムの便利でハンズフリーな操作を治療者に提供することができることを確立する。これは、モニタリングシステムの典型的な操作中に、治療者が患者から離れることを必要とする定期的に発生する動作が、異なるビュー間の切り替えであるためである。さらに、選択は、少なくとも1つのディスプレイに表示されることになる特定の生成されたビューを提供し、これは、治療者が、異なるビュー間を切り替えるためにコンピュータのキーボード又はマウスを使用することをもはや必要としないことを確実にする。したがって、治療者/患者の相互作用がさらに改善され、ワークフローの非効率性がさらに低減され、モニタリングシステムの動作中にビューを切り替えるときに治療者の手はもはや占有されない。
【0026】
異なる態様の実施形態では、視覚データに基づいて少なくとも1つの処理ユニットによって生成されるビューは、患者の3次元の部分的又は全体的な表面のビューを含む。患者の3次元表面ビューは、患者又はその一部の3次元表面トポグラフィーの表現を意味すると理解される。3次元表面ビューは、例えば、患者の表面トポグラフィーのメッシュ表現によって実現され得る。3次元表面ビューは、別の例として、患者の3次元モデルから生成された患者のレンダリングされた表面の表現によって実現され得る。3次元表面ビューは、テクスチャマッピングを用いた患者の写真を含み得る。患者の3次元表面ビューは、患者の異なる身体部位、及び空間におけるそれらの位置とアライメント(alignment)を容易に識別できるという利点を提供し、これは患者を位置決めするのに役立つ。
【0027】
異なる態様の実施形態では、視覚データに基づいて少なくとも1つの処理ユニットによって生成されるビューは、患者の部分的又は全体的な表面変形ビューを含む。患者の表面変形ビューは、患者の表面と所定の基準表面との一致度を示す患者又はその部分の表現を意味すると理解される。例えば、患者の表面が所定の許容範囲内で基準表面と一致する表面領域は第1の色で表示され、患者の表面と基準表面との間の差が許容範囲を超える表面領域は第2及び/又は第3の色で表示される。例えば、緑色は、許容範囲内の患者の表面と基準表面との間の一致を示すために使用され得、赤色は、患者の表面が許容範囲を超える程度まで基準表面より上にあることを示すために使用され得、青色は、患者の表面が許容範囲を超える程度まで基準表面より下にあることを示すために使用され得る。所定の基準表面は、例えば、所望の患者位置を表し得る。この場合、患者の表面変形ビューは、患者を正確に位置決めするのにさらに役立つという利点を提供する。あるいは、放射線療法の場合、所定の基準表面は、例えば、前の治療セッション中に行われた測定に基づいて、例えば決定された患者の以前の表面トポグラフィーを表し得る。この場合、患者の表面変形ビューは、患者の表面トポグラフィー、特に放射線療法で治療されることになる体の部分が、例えば腫瘍の縮小に起因して変化したかどうか、及びどの程度変化したかを評価することを可能にするという利点を提供し、さらに、治療の再計画の必要性を示し得る。
【0028】
異なる態様の実施形態では、視覚データに基づいて少なくとも1つの処理ユニットによって生成されるビューは、患者の体のリアルタイムのビデオビューを含む。リアルタイムのビデオビューは、患者の完全な体、又はその一部のみを示し得る。患者のリアルタイムのビデオビューは、患者の現実的なビューを治療者に提供できるという利点を提供し、これは患者を正しく位置決めするのに役立つ。リアルタイムのビデオビューは、さらに患者輪郭(patient outlines)を示し得る。これは、輪郭が患者の位置に関する視覚的配向(visual orientation)を治療者に提供するので、患者の位置決めがさらに容易になるという利点を提供する。
【0029】
異なる態様の実施形態では、視覚データに基づいて少なくとも1つの処理ユニットによって生成されるビューは、患者の輪郭ビューを含む。患者の輪郭ビューは、患者輪郭のみを示す患者の身体又はその部分の表現を意味すると理解される。これはまた、患者の位置決めを容易にすることができるという利点を提供する。
【0030】
異なる態様の実施形態では、視覚データに基づいて少なくとも1つの処理ユニットによって生成されるビューは、付属品(accessory)のビューを含む。付属品のビューは、例えば放射線治療又はCTスキャンのような医療処置に必要な少なくとも1つの付属品のビューと、少なくとも1つの付属品がどこに位置決めされるべきかの指示とを意味すると理解される。特に放射線治療において、潜在的な付属品は、例えば、患者を支持し、動きを最小限にするための患者位置決め装置、例えば、乳房板、ウイングボード、バクロックバッグ、熱可塑性マスク又は膝スポンジ、又はボーラス要素のようなターゲットへの放射線送達の特性を変更するためのビーム減衰装置を含み得る。付属品のビューは、治療に必要な可能性のある付属品も、治療者によって便利な方法で正確に位置決めできるという利点を提供する。
【0031】
異なる態様の実施形態では、少なくとも1つの音響センサの信号に基づいて実行される動作は、少なくとも1つの音響センサの信号に基づいて、患者の位置のリアルタイムモニタリングを開始及び/又は停止することを含む。それにより、治療者は患者の位置のリアルタイムモニタリングをオン及び/又はオフにするために患者を離れる必要がないので、モニタリングシステムの便利でハンズフリーな操作を治療者に同様に提供することができる。したがって、少なくとも1つの音響センサの信号に基づいてリアルタイムモニタリングの開始及び/又は停止を制御することは、治療者がリアルタイムモニタリングをオン及び/又はオフにするためにコンピュータキーボード又はマウスを使用することを軽減する。したがって、治療者/患者の相互作用がさらに改善され、ワークフローの非効率性がさらに低減され、治療者の手は、リアルタイムモニタリングをオン及び/又はオフにするときにもはや占有されない、
【0032】
異なる態様の実施形態では、モニタリングシステムは、少なくとも1つの処理ユニットを制御するための少なくとも1つの入力装置をさらに有する。少なくとも1つの入力装置は、例えば、少なくとも1つのコンピュータキーボード及び/又は少なくとも1つのコンピュータマウスであり得る。特に、少なくとも1つの入力装置は、少なくとも1つの処理ユニットに接続される。少なくとも1つの入力装置によって、患者を位置決めするためにビューを切り替えるためのバックアップシステムを提供することができる。例えば、少なくとも1つの音響センサの故障又は欠陥の場合、治療者は、どのビューがディスプレイに表示されることになるかを選択するために少なくとも1つの入力装置を使用することができる。
【0033】
異なる態様の実施形態では、医療装置は放射線治療装置である。第1の態様によるモニタリングシステムについては、これは、モニタリングシステムが放射線治療装置と共に使用するように構成されることを意味すると理解される。第3の態様による方法については、これは、方法が放射線治療装置のモニタリングシステムで行われることを意味すると理解される。医療装置が放射線治療装置であることにより、本発明の利点は、放射線治療において達成することができ、そこでは、患者の正確な位置決めが特に重要である。すでに説明したように、本発明の利点は、改善された治療者/患者相互作用、低減されたワークフローの非効率性、及びモニタリングシステムのハンズフリー操作の実装を含む。
【0034】
異なる態様の実施形態では、医療装置は、CTスキャナとしても知られるコンピュータ断層撮影装置である。第1の態様によるモニタリングシステムについては、これは、コンピュータ断層撮影装置で使用するように構成されていることを意味すると理解される。第3の態様に係る方法については、これは、コンピュータ断層撮影装置のモニタリングシステムで行われることを意味すると理解される。医療装置がコンピュータ断層撮影装置であることにより、本発明の利点は、コンピュータ断層撮影において達成することができ、そこでは、患者の正確な位置決めが同様に重要な役割を果たす。既に説明したように、本発明の利点は、改善された治療者/患者相互作用、低減されたワークフローの非効率性、及びモニタリングシステムのハンズフリー操作の実装を含む。
【0035】
方法ステップを実行するための手段の開示は、それぞれの方法ステップも開示すると理解されるべきである。同様に、方法ステップの開示は、方法ステップを実行するためのそれぞれの手段も開示すると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の更なる構成及び利点は、本発明のいくつかの例示的な実施形態の以下の詳細な説明において図面と共に説明される。
【0037】
図1】本発明の第1の態様によるモニタリングシステムの概略図を示す。
【0038】
図2】本発明の第2の態様によるシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下では、本発明の例示的な実施形態を、例として、放射線治療装置のためのモニタリングシステムの文脈で説明する。しかしながら、これは、本発明が放射線治療のみに限定されるように理解されることを意図するものではない。代わりに、当業者は、コンピュータ断層撮影装置のためのモニタリングシステムのような、医療装置における患者の位置決めの非常に高い精度を必要とする他のタイプの医療装置のためのモニタリングシステムにも本発明を容易に実施することができるであろう。
【0040】
まず図1を参照して、第1の態様によるモニタリングシステム100を概略図で示す。モニタリングシステム100は、視覚センサ110、ここではステレオカメラ110、並びに処理ユニット120及びディスプレイ130を有する。視覚センサ110は、視覚データを記録し、視覚データを処理ユニット120に提供する。受信した視覚データに基づいて、処理ユニット120は、放射線治療を受けることになる患者及び放射線治療装置の1つ以上のビューを作成する。ビューはディスプレイ130に送られ、そこに表示される。このように、放射線治療を行う治療者は、患者を正確に位置決めするのを支援される。
【0041】
モニタリングシステム100は、音響センサ140、ここではマイクロフォン140をさらに有し、これは、例えば治療室からの音響センサの信号を記録し、音響センサの信号を処理ユニット120に提供する。音響センサの受信信号に基づいて、処理ユニット120は、患者のリアルタイムモニタリングをアクティブ化及び/又は非アクティブ化し、異なるビューのどれがディスプレイ130に表示されるかを決定する。この例では、音響センサの信号は、音声認識アルゴリズムを使用して処理ユニット120によって分析される。これにより、治療者は、表示される異なるビューを切り替えるための便利でハンズフリーな方法を可能にする。
【0042】
さらに、処理ユニット120は、モニタリングシステムの作動制御に関する様々な動作に関連付けられたキーワードを記憶するメモリを有する。音響センサは、治療者の音声指示を記録するとともに信号を生成し、この信号は、処理ユニット120に転送される。処理ユニット120は、例えば音声認識によって信号を分析し、解析をメモリ内のキーワードのバンクと比較する。処理ユニット120が一致を識別した場合、処理ユニット120は、モニタリングシステム100の動作制御をもたらす識別されたキーワードに関連するタスクをアクティブにする。
【0043】
図2において、モニタリングシステム100は、第2の態様による放射線治療装置210と共に使用されるものとして示されている。放射線治療装置210は、放射線治療セッションのために患者220に向けられる放射線源211を有する。患者220は、そのうちの2つが図2の矢印で示されている空間の全3方向に移動することができる診察台212に横たわる。さらに、診察台212は、空間の全3方向に回転し得る(図示せず)。
【0044】
放射線治療を開始する前に、治療者(図示せず)は、患者220を正しく位置決めすることに注意しなければならない。このために、以下に述べるように、モニタリングシステム100が使用される。モニタリングシステム100は、治療室の天井から吊り下げられたセンサユニット101を有する。本発明の他の実施形態では、センサユニットは、患者のために診察台に取り付けられてもよい。センサユニット101は、ここに記載された例示の実施形態では、合計3つのステレオカメラ110を含み、そのうち1つだけが図2に示されている。3つのステレオカメラ110は、中央カメラが患者の対称面に位置するように配置され、残りの2つのサイドカメラは、中央カメラに対して患者の左右にシフトされる。
【0045】
センサユニット101は、プロセッサ(図示せず)及びメモリ(図示せず)を有しそれぞれのコンピュータプログラムを実行することにより、モニタリングシステム100の処理ユニット120として機能するパーソナルコンピュータ120に接続される。このように、ステレオカメラ110によって提供される画像データは、治療者が患者220を位置決めするのを助けるために、異なるビューに処理される。このようにして生成されたビューは、治療者が見るためにディスプレイ130に表示される。
【0046】
この例では、3つのステレオカメラ110によって提供された画像データから以下のビューが生成される。
- 患者の3次元表面ビュー;
- 患者の表面変形ビュー;
- 患者のリアルタイムビデオビュー、オプションで患者輪郭を含む;
- 患者の輪郭ビュー;
- 治療に必要な付属品のビューと付属品がどこに配置されるべきかの指示。
【0047】
リアルタイムビデオビューに関しては、左、中央、又は右のステレオカメラ110からのビデオ画像を表示するかどうかを選択することができる。輪郭ビュー及び付属品のビューについても同様である。それによって、この例示の実施形態では、患者220及び必要に応じて付属品を正確に位置決めするのを助けるために、合計でいくつかの異なるビューを治療者に提供することができる。
【0048】
患者のリアルタイムモニタリングをアクティブ化及び/又は非アクティブ化し、ビューを切り替えるために、センサユニット101は、同様に有線又は無線接続のいずれかを介してパーソナルコンピュータ120に接続されたマイクロフォン140も含む。別の実施形態では、マイクロフォン140は、治療者のシャツに取り付けられ、例えばBluetooth(登録商標)接続を使用してパーソナルコンピュータ120と通信し得る。マイクロフォン140によって提供される音響センサの信号は、音声認識アルゴリズムを使用してコンピュータ120で分析される。音声認識の結果に応じて、コンピュータ120は、リアルタイムモニタリングをアクティブ化及び/又は非アクティブ化する、又はディスプレイ130に表示される特定のビューを選択するなどの動作を実行し得る。この例では、音声認識アルゴリズムは、音響センサの信号内のキーワードとコマンドフレーズの事前定義された組み合わせを認識するように設定される。ここでは、単語「vision(ビジョン)」がキーワードとして事前定義され、表1に示すフレーズがコマンドフレーズとして定義されている。
【0049】
【表1】
【0050】
例えば、音声認識アルゴリズムが、治療者が「vision start(ビジョン スタート)」というフレーズを音声で述べたことを認識するとき、コンピュータ120は、患者の位置のリアルタイムモニタリングを開始する。同様に、「vision surface(ビジョン 表面)」というフレーズが認識されるとき、コンピュータ120は、ディスプレイ130に三次元表面ビューを表示する。同様に、「vision video(ビジョン ビデオ)」というフレーズが認識されるとき、この例では、直近に選択されたカメラ、又はまだ選択されていない場合は、中央カメラのリアルタイムビデオビューが表示される、等。キーワード(ここでは「vision(ビジョン)」)の使用は、割り当てられた動作が、キーワードが述べられている場合にのみ実行されるという利点を提供する。これにより、コマンドフレーズが通常の会話内で述べられている場合など、意図しない動作の実行が回避される。したがって、治療者の利便性が向上する。
【0051】
表1に含まれているもの以外にも、他のビューを選択する又は他の動作を実行するためのさらなるコマンドフレーズの定義がもちろん考えられる。例えば、コマンドフレーズ「outlines on(輪郭オン)」は、リアルタイムビデオビューにおける患者輪郭の表示をアクティブ化することに割り当てられてもよく、コマンドフレーズ「outlines off(輪郭オフ)」は、リアルタイムビデオビューにおける患者輪郭の表示を非アクティブ化するために割り当てられてもよく、コマンドフレーズ「screenshot(スクリーンショット)」は、現在のビューのスクリーンショットを撮るために割り当てられてもよい。さらに、コマンドフレーズの例は、患者又はファントムの表面を確立するための「capture surface(表面をキャプチャ」、....のための「change reference(基準を変更)」、患者の特定の位置にズームするための「change region of interest(関心領域を変更)」であり得る。しかし、これらは選択された例であり、原則として、モニタリングシステムによって実行される任意の動作を、それぞれ割り当てられたコマンドフレーズの音声認識に基づいてトリガーすることができる。さらに、ここで説明した例示の実施形態のキーワード及びコマンドフレーズは英語であるが、他の言語のキーワード及びコマンドフレーズを追加又は代替的に使用することも容易に考えられる。
【0052】
患者220を正確に位置決めするために、治療者は次のように進めることができる:患者220を診察台212に寝かせた後、治療者は、上記で説明したように、キーワード及びそれぞれのコマンドフレーズを述べることによって、リアルタイムモニタリングをアクティブ化し、第1のビューを選択することができる。第1のビューを使用して、治療者は、次に、可動診察台212を使用して、空間の全3方向における患者220の位置及びアライメントの調整を開始することができる。位置決めの間、治療者は、キーワード及びそれぞれのコマンドフレーズを再び述べることによって、異なるビューに切り替えることができる。このように、治療者は、現在の患者位置と所望の患者位置が一致するまで、患者220の位置決めを支援するために、異なるビュー間を切り替えるために彼の音声を使用することができる。さらに、治療のために付属品が必要な場合、治療者は、彼の音声を使用して付属品のビューに切り替え、付属品を正しく位置決めすることができる。
【0053】
リアルタイムモニタリングのアクティブ化及び/又はアクティブ化並びにディスプレイ130に表示される特定の生成ビューの選択は、音響センサの信号に基づいてコンピュータ120によって実行されるので、ここでは、音声認識の結果に基づいて、モニタリングシステムの便利でハンズフリーな操作が可能になる。これは、治療者による異なるビュー間の切り替えに適用される。より具体的には、治療者がモニタリングシステムを操作するためにコンピュータのキーボード又はマウスを使用することはもはや必要とされず、したがって、治療者と患者の相互作用が改善され、ワークフローの非効率性が低減され、治療者の手はもはや占有されない。
【0054】
なお、図2のモニタリングシステム100は、コンピュータ120を制御するための入力装置として、コンピュータのキーボード151とマウス152も有する。キーボード151及びマウス152は、ここでバックアップシステムとして機能する。マイクロフォン140の故障又は欠陥の場合、治療者は、モニタリングシステムを操作し、ディスプレイ130に表示するビューを選択するために、キーボード151及びマウス152を使用し得る。
図1
図2
【外国語明細書】