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特開2024-35191情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035191
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240306BHJP
【FI】
G01S5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139960
(22)【出願日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2022137611
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516206761
【氏名又は名称】株式会社ELEMENTS
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】久田 康弘
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB01
5J062BB05
5J062CC07
5J062CC11
5J062CC15
5J062DD24
5J062FF01
5J062FF04
(57)【要約】
【課題】目的に応じてより効率的な位置情報を生成する技術を提供すること。
【解決手段】データ取得部52は、位置情報の生成をするための所定の生成手法により規定される、対象物の位置情報の生成に用いる第1種データを取得する。位置情報生成部53は、所定の生成手法に従って、第1種データを用いる位置情報の生成処理を実行することで、対象物の位置情報を生成する。目的結果推定部54は、対象物の位置情報に基づいて、対象物に関する所定目的の結果を推定する。手法選択部51は、位置情報の生成をするためのN種類(Nは2以上の整数値)の生成手法の中から、データ取得部52及び位置情報生成部53が用いる所定の生成手法を、目的に基づいて選択する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報の生成をするための所定の生成手法により規定される、対象物の位置情報の生成に用いる第1種データを取得するデータ取得手段と、
前記所定の生成手法に従って、前記第1種データを用いる位置情報の生成処理を実行することで、前記対象物の位置情報を生成する位置情報生成手段と、
前記対象物の位置情報に基づいて、前記対象物に関する所定目的の結果を推定する推定手段と、
位置情報の生成をするためのN種類(Nは2以上の整数値)の生成手法の中から、前記データ取得手段及び前記位置情報生成手段が用いる前記所定の生成手法を、前記目的に基づいて選択する手法選択手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記データ取得手段は、さらに、位置情報の補完をするための所定の補完手法により規定される、前記対象物の位置情報の補完に用いる第2種データを取得し、
前記位置情報生成手段は、前記生成処理の実行後に、さらに、前記所定の補完手法に従って、前記第2種データを用いる補完の処理を実行することで、前記位置情報を生成し、
前記手法選択手段は、さらに、位置情報の補完をするためのM種類(MはNとは独立した2以上の整数値)の補完手法の中から、前記データ取得手段及び前記位置情報生成手段が用いる前記所定の補完手法を、前記目的に基づいて選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記手法選択手段は、さらに、
前記目的に基づいて、絶対スコアに対する第1閾値と、相対スコアに対する第2閾値とのうち少なくとも一方を設定し、前記位置情報生成手段により生成される前記位置情報についての前記絶対スコア及び前記第1閾値の比較と、当該位置情報についての前記相対スコア及び前記第2閾値の比較とのうち少なくとも一方の結果に基づいて、前記所定の生成手法又は前記所定の補完手法を選択する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記位置情報生成手段は、前記絶対スコアと前記相対スコアのうち少なくとも一方を前記対象物の前記位置情報として生成し、
前記推定手段は、前記絶対スコアと前記相対スコアのうち少なくとも一方に基づいて、前記対象物に関する前記所定目的の結果を推定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記絶対スコアと前記相対スコアとを夫々1以上含む組み合わせに基づいて、前記対象物に関する前記所定目的の結果を推定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記位置情報生成手段は、前記対象物の過去の行動モデルに基いて、当該対象物の前記位置情報としての前記相対スコアを生成する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
位置情報の生成をするための所定の生成手法により規定される、対象物の位置情報の生成に用いる第1種データを取得するデータ取得ステップと、
前記所定の生成手法に従って、前記第1種データを用いる位置情報の生成処理を実行することで、前記対象物の位置情報を生成する位置情報生成ステップと、
前記対象物の位置情報に基づいて、前記対象物に関する所定目的の結果を推定する推定ステップと、
位置情報の生成をするためのN種類(Nは2以上の整数値)の生成手法の中から、前記データ取得ステップ及び前記位置情報生成ステップの処理に用いられる前記所定の生成手法を、前記目的に基づいて選択する手法選択ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
位置情報の生成をするための所定の生成手法により規定される、対象物の位置情報の生成に用いる第1種データを取得するデータ取得ステップと、
前記所定の生成手法に従って、前記第1種データを用いる位置情報の生成処理を実行することで、前記対象物の位置情報を生成する位置情報生成ステップと、
前記対象物の位置情報に基づいて、前記対象物に関する所定目的の結果を推定する推定ステップと、
位置情報の生成をするためのN種類(Nは2以上の整数値)の生成手法の中から、前記データ取得ステップ及び前記位置情報生成ステップの処理に用いられる前記所定の生成手法を、前記目的に基づいて選択する手法選択ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電波強度や音波強度といったセンサ情報を複数用いることで、端末位置の推定の精度向上を目指した技術が存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-170012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1を含む従来技術においては、特定の目的を定めず、単に端末位置の推定の精度の向上を目指すため、例えば、GPS(Global Positioning System)の情報と、ビーコンの情報を複合的に用いることで、精度を向上させるのみであった。
ここで、端末位置を利用する際には、端末位置の推定結果の利用目的が存在し、その利用目的に応じて、必要な精度が存在するといえる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、目的に応じてより効率的な位置情報を生成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
位置情報の生成をするための所定の生成手法により規定される、対象物の位置情報の生成に用いる第1種データを取得するデータ取得手段と、
前記所定の生成手法に従って、前記第1種データを用いる位置情報の生成処理を実行することで、前記対象物の位置情報を生成する位置情報生成手段と、
前記対象物の位置情報に基づいて、前記対象物に関する所定目的の結果を推定する推定手段と、
位置情報の生成をするためのN種類(Nは2以上の整数値)の生成手法の中から、前記データ取得手段及び前記位置情報生成手段が用いる前記所定の生成手法を、前記目的に基づいて選択する手法選択手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の情報処理装置に対応する方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、目的に応じてより効率的な位置情報を生成する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが実行する各種処理により実現できる本サービスの概要を示すイメージ図である。
図2図1の本サービスが適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサービス提供者サーバを含む情報処理システムの構成の概要を示す図である。
図3図2のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図3のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5図4の機能的構成を有するサーバの推定モデルの例を示す図である。
図6】目的の結果として、ユーザがオフィスへの出社又はリモートでの勤務のいずれかを目的の結果として推定する場合における、位置情報としてのスコアの算出手法の一例を説明する図である。
図7】目的の結果として、ユーザがオフィスへの出社又はリモートでの勤務のいずれかを目的の結果として推定する場合における、位置情報としてのスコアの算出手法の一例であって図6とは異なる例を説明する図である。
図8】目的の結果として、ユーザがオフィスへの出社又はリモートでの勤務のいずれかを目的の結果として推定する場合における、位置情報としてのスコアの算出手法の一例であって図6及び図7とは異なる例を説明する図である。
図9】目的の結果として、ユーザがオフィスへの出社又はリモートでの勤務のいずれかを目的の結果として推定する場合における、位置情報としてのスコアの算出手法の一例であって図6乃至図8とは異なる例を説明する図である。
図10】目的の結果として、ユーザがオフィスへの出社又はリモートでの勤務のいずれかを目的の結果として推定する場合における、位置情報としてのスコアの算出手法の一例であって図6乃至図9とは異なる例を説明する図である。
図11】目的の結果として、ユーザがオフィスへの出社又はリモートでの勤務のいずれかを目的の結果として推定する場合における、位置情報としてのスコアの算出手法の一例であって図6乃至図9とは異なる例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが実行する各種処理により実現できる本サービスの概要を示すイメージ図である。
【0012】
本サービスは、対象物の位置情報に基づいて、当該対象物に関する所定目的の結果を推定(予測)する処理(以下、「目的結果推定処理」と呼ぶ)の実行に際し、当該所定目的に適した位置情報の生成及び補完するものである。
具体的には例えば、対象物が会社の社員であり、所定目的が、当該社員の本日の勤務形態が、オフィスへの出社と、リモートでの勤務とのうち何れかを判断することである場合、対象物たる社員の位置情報として、高精度な位置情報は不要であり、オフィスと、リモートを行う自宅等との何れかを判断可能な程度の精度の位置情報であれば足りる。
これに対して例えば、対象物がトラックであり、所定目的が、当該トラックの現在位置を誤差数cmで把握することである場合、対象物たる自動車の位置情報としては、誤差数cm以下の高精度の位置情報を採用する必要がある。
このように、所定目的によって適切な位置情報は異なるため、本サービスは、所定目的にとって適切な位置情報の生成及び補完をするのである。
【0013】
ここで、本明細書でいう「位置情報」とは、1以上の位置を用いて生成される各種各様な情報(広義な概念の情報)をいう。
即ち、絶対位置を示す情報(狭義な概念の位置情報)のみならず、基準位置からの相対的な位置を示す情報、2点の位置間の移動量や移動時間を示す情報等も、位置情報の一例である。
このような位置情報の生成手法としては、N個(Nは2以上の整数値)のデータ源d1乃至dNの夫々から取得される情報(以下、「第1種情報」と呼ぶ)を夫々用いて所定種類の位置情報を生成するN個の手法が存在する。
【0014】
例えば、位置情報の種類の一例としては、「特定のポイントからの距離を推定する情報」が存在する。この場合、位置情報が示す領域が広域なのか狭域なのかによって、採用される第1種情報が異なる。例えば、広域から狭域に向かう方向で、データ源dk(kは1乃至nのうち何れかの整数値)は、GPS、基地局、LPWA、WiFi、ビーコンの夫々と異なるものになっていく。つまり、位置情報として「特定のポイントからの距離を推定する情報」が採用された場合の当該位置情報の生成手法としては、データ源dkとしてGPS、基地局、LPWA、WiFi、ビーコンの夫々に対応した別々の生成手法が存在する。
【0015】
また例えば、位置情報の種類の一例としては、「特定のポイントの情報」が存在する。この場合、特定のポイント毎に対応付けられているものによって、採用される第1種情報が異なる。例えば、特定のポイントと、そのポイントにおいて利用されるネットワークのIPアドレスとが対応付けられている場合、利用されているIPアドレスの情報の提供元がデータ源dkとなる。また例えば、特定のポイントに所定の二次元バーコード(例えば、QRコード(登録商標))等が配置されている場合、その二次元バーコードを読み取った旨を示す情報の提供元が、データ源dkとなる。つまり、位置情報として、「特定のポイントの情報」が採用された場合の当該位置情報の生成手法としては、データ源dkとして、IPアドレス、二次元バーコードの夫々に対応した別々の生成手法が存在する。
【0016】
また例えば、位置情報の種類の一例としては、「動きを前提とした相対的な位置の情報」が存在する。この場合、動きを測定するセンサの種類によって、採用される第1種情報が異なる。例えば、データ源dkには、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサが採用され得る。つまり、位置情報として、「動きを前提とした相対的な位置の情報」が採用された場合の当該位置情報の生成手法としては、データ源dkとして、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサの夫々に対応した別々の生成手法が存在する。
【0017】
また例えば、位置情報の一例としては、「自然言語情報を解釈した絶対的又は相対的な位置の情報」が存在する。この場合、自然言語情報の取得元によって、採用される第1種情報が異なる。例えば、自然言語情報がカレンダーから取得される場合、当該カレンダーの「A社に訪問」というスケジュールがデータ源dkとなる。また例えば、自然言語情報がコミュニケーションツールから取得される場合、当該コミュニケーションツールの「席を離れます。10分で戻ってきます。」というチャットがデータ源dkとなる。つまり、位置情報として、「自然言語情報を解釈した絶対的又は相対的な位置の情報」が採用された場合の当該位置情報の生成手法としては、データ源dkとして、カレンダー、コミュニケーションツールの夫々に対応した別々の生成手法が存在する。
【0018】
詳細については後述するが、本サービスでは、N種類の生成手法のうち、所定目的に適したデータ源dK(Kは1乃至Nのうち任意の整数値)を用いる生成手法が決定される(ステップST3)。
すると、決定された生成手法に従って、位置情報の生成処理が実行される(ステップST5)。即ち、決定された生成手法に規定されているデータ源dKから第1種情報が取得される。決定された生成手法に従って、当該第1種情報を用いた演算が実行されて所定種類の位置情報が算出される。
【0019】
ここで、生成処理により算出位置情報は適宜補完される。
具体的には例えば、生成手法として、位置情報を連続して取得できない手法が採用された場合には、生成された位置情報の間に位置情報が補完される。
また例えば、社員がオフィス内にいることを示す位置情報が生成された場合、カレンダー(予定表)を用いて位置情報が高精度に補完される。例えばカレンダーの予定がオフィス内の所定会議室ならば、位置情報は、社員が所定会議室にいることを示す情報に補完される。
また例えば、対象物の現在位置を示す位置情報が生成されたが精度が低い場合において、過去の連続性からの補完が行われる。上述の例と同様に、例えば、午前10時に社員がオフィス内にいることを示す位置情報が生成された場合、過去において午前10時に社員は自分の机に存在することがほとんどであるという履歴データが存在すれば、位置情報は、午前10時に社員は自分の机に存在することを示す情報に補完される。
【0020】
このように、位置情報の補完手法についても、M個(Mは、Nとは独立した2以上の整数値)のデータ源dd1乃至ddMの夫々から取得される情報(以下、「第2種情報」と呼ぶ)を夫々用いて所定種類の位置情報を生成するM個の手法が存在する。
なお、第2種情報の中には、第1種情報としても採用可能な情報(即ち、同一データ源から得られる情報)も含まれるし、第1情報として採用不可能な情報(例えば上述の履歴データ等)も含まれる。
【0021】
詳細については後述するが、本サービスでは、M個の補完手法のうち、所定目的に適したデータ源ddP(Pは1乃至Mのうち任意の整数値)を用いる生成手法が決定される(ステップST4)。
すると、決定された補完手法に従って、位置情報の補完処理が実行される(ステップST6)。即ち、決定された補完手法に規定されているデータ源ddPから第2種情報が取得される。決定された補完手法に従って、当該第2種情報を用いた演算が実行されて、補完された所定種類の位置情報が算出される。
【0022】
以上まとめると、本サービスでは、対象物の所定目的の結果を推定する目的結果推定処理(ステップST7)の実行前に、当該所定目的が設定され(ステップST1)、当該所定目的に応じて位置情報の生成手法(ステップST3)及び補完手法(ステップST4)が決定される。
決定された生成手法に従って位置情報の生成処理が実行される(ステップST5)。また、決定された補完手法に従って位置情報の補完処理が実行される(ステップST6)。
【0023】
このようにして、所定目的に応じた生成処理(ステップST5)や目的に応じた補完処理(ステップST6)の実行の結果として得られた対象物の位置情報に基づいて、当該対象物に関する所定目的の結果を推定(予測)する処理、即ち目的結果推定処理が実行される(ステップST7)。
【0024】
ここで、より正確には、本サービスでは、所定目的が設定されると(ステップST1)、当該所定目的に応じて絶対スコアの閾値が決定されると共に、当該所定目的に応じて相対スコアの閾値が決定される(ステップST2)。
この絶対スコアの閾値や相対スコアの閾値に基づいて、位置情報の生成手法が決定されると共に(ステップST3)、補完手法が決定される(ステップST4)。
【0025】
そこで、以下、絶対スコア、相対スコア、及びそれらの閾値について説明する。
即ち、絶対スコアとは、ユーザの特定の位置を特定する精度を示すスコアである。具体的には例えば、絶対スコアは、地球上の緯度及び経度を基準に値を設定される。データ源dkとしてGPSが用いられる場合、絶対スコアは、GPSにより測定された緯度及び経度の測定誤差に基づく値が採用される。即ち例えば、測定誤差がゼロメートルの場合絶対スコアは100、測定誤差が1km以上の場合絶対スコアはゼロ、といった値が採用される。
なお、絶対スコアは、複数のデータ源dk(例えば、GPSとビーコン)のから生成された緯度及び経度の誤差に基づく値が採用される。
なお、絶対スコアは、地球上の緯度経度といったグローバルな座標を基準とするものに限定されず、例えば所定の2次元の地図に規定されたX(横)座標及びY(縦)座標といったローカルな座標を基準として設定されてもよい。
【0026】
上述したように、絶対スコアとは、ユーザの特定の位置を特定する精度を示すスコアである。したがって、絶対スコアの閾値とは、ユーザの特定の位置を特定する精度の閾値である。つまり、絶対スコアの閾値として、100mが設定されている場合、絶対スコアが100m以下となるような位置情報の生成手法や保管手法が決定され、位置情報が生成又は補完されるのである。
【0027】
また、相対スコアとは、ユーザの相対的な位置の変化を示すスコアである。具体的には例えば、相対スコアは、ユーザが移動した距離を基準に値を設定される。
データ源dkとしてスケジュールが採用される場合、スケジュールの1つ目の予定が「本社で会議」であって、2つ目の予定が「A社を訪問」である場合本社の位置とA社の位置の差分(距離)に基づいて、相対スコアが設定される。また例えば、データ源dkとして、コミュニケーションツールのチャットにおける「席を離れます。10分で戻ります。」というチャットがある場合、席から5分で移動できる距離が相対スコアとして設定される。
なお、相対スコアは、移動した距離そのもののみならず、例えば、ユーザが移動した速度を基準に値を設定されてもよい。
【0028】
上述したように相対スコアとは、ユーザの相対的な位置の変化を示すスコアである。したがって、相対スコアの閾値とは、ユーザの相対的な位置の変化の閾値である。
【0029】
上述をまとめると、本サービスは、以下の特徴を有している。
即ち、従来の位置情報を推定する技術は、特定の目的を定めず、センサの特性を利用して、より高精度に位置を推定することが前提となっていた。
しかしながら、本サービスでは、目的に応じて、絶対スコアの閾値及び相対スコアのうち少なくとも一方の閾値を決定し、その閾値に応じた位置情報の生成手法(必要に応じてさらに補完手法)を決定する。これにより、その閾値を満たすような第1種情報がデータ源dkから、第2種情報がデータ源ddkから取得され、位置情報の精度はダイナミックに変化される。これにより、目的の結果の推定に利用可能な位置情報が、効率的に取得可能となる。
また、目的に応じて、位置情報の補完や目的の結果の推定を行う対象となるユーザを、類似の行動を行うユーザ毎にクラスタリング(分類)することで、目的の結果の推定に用いるモデルを最適に変更することを実現し、効率的な位置情報による目的の結果の予想を実現することができる。
【0030】
図2は、図1の本サービスが適用される情報処理システム、即ち、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムの構成の概要を示す図である。
【0031】
図1に示す情報処理システムは、本サービスの提供者が操作するサーバ1と、目的結果活用装置2とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。
【0032】
サーバ1は、本サービスの提供者により管理され、図1のステップST1乃至ST7の処理を実行する。
【0033】
目的結果活用装置2は、サーバ1による目的結果推定処理(図1のステップST7)の結果を用いて、所定の処理を実行する装置である。
具体的には例えば、対象物が会社の社員であり、所定目的が、当該社員の本日の勤務形態が、オフィスへの出社と、リモートでの勤務とのうち何れかを判断することである場合、目的結果活用装置2は、当該会社の勤務管理装置であり、所定処理として社員の勤務形態を管理する。
また例えば、対象物がトラックであり、所定目的が、当該トラックの現在位置を誤差数cmで把握することである場合、目的結果活用装置2は、当該トラックを保有する運送会社の管理装置であり、所定処理としてトラックの運行実績や予定を管理する。
【0034】
図3は、図2のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0035】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0036】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0037】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0038】
入力部16は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
【0039】
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(図2の例では目的結果活用装置2)との間で通信を行う。
【0040】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0041】
なお、図示はしないが、図2の目的結果活用装置2も、図3に示すハードウェア構成を有している。
【0042】
図4は、図3のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0043】
サーバ1のCPU11においては、図4に示すように、手法選択部51と、データ取得部52と、位置情報生成部53と、目的結果推定部54とが機能する。
位置情報生成部53には、生成処理部61と、補完処理部62とが設けられている。
記憶部18の一領域には、推定モデル80が設けられている。
【0044】
データ取得部52は、位置情報の生成をするための所定の生成手法により規定される、対象物の位置情報の生成に用いる第1種データを取得する。
位置情報生成部53の生成処理部61は、所定の生成手法に従って、第1種データを用いる位置情報を演算する生成処理を実行する。
【0045】
データ取得部52は、さらに、位置情報の補完をするための所定の補完手法により規定される、対象物の位置情報の補完に用いる第2種データを取得する。
位置情報生成部53の補完処理部62は、生成処理部61による生成処理の実行後に、さらに、所定の補完手法に従って、第2種データを用いる補完の処理を実行する。
【0046】
このように、位置情報生成部53は、生成処理部61による生成処理及び補完処理部62による補完処理を実行することで、対象物の位置情報を生成する。
【0047】
目的結果推定部54は、位置情報生成部53により生成された対象物の位置情報に基づいて、対象物に関する所定目的の結果を推定する処理、即ち、目的結果推定処理を実行する。
ここで、目的結果推定部54による推定手法は、特に限定されないが、ここでは、推定モデル80を用いる手法が採用されているものとする。推定モデル80は、所定の機械学習の結果として生成又は更新されるモデルであって、対象物の位置情報を入力パラメータとして入力すると、対象物に関する所定目的の結果(推定結果)を出力するモデルである。推定モデル80の具体例については、図5を参照して後述する。
【0048】
手法選択部51は、位置情報の生成をするためのN種類(Nは2以上の整数値)の生成手法の中から、データ取得部52及び位置情報生成部53の生成処理部61が用いる所定の生成手法を、所定目的に基づいて選択する。
ここで、所定目的とは、後述の目的結果推定部54で処理対象となる目的であり、当該目的結果推定部54で用いられる推定モデル80から認識可能なものである。
手法選択部51は、また、位置情報の補完をするためのM種類(MはNとは独立した2以上の整数値)の補完手法の中から、データ取得部52及び位置情報生成部53の補完処理部62が用いる所定の補完手法を、所定目的に基づいて選択する。
【0049】
手法選択部51は、さらに、所定目的に基づいて、絶対スコアに対する第1閾値と、相対スコアに対する第2閾値とのうち少なくとも一方を設定し、位置情報生成部53により生成される位置情報についての絶対スコア及び第1閾値の比較と、当該位置情報についての相対スコア及び第2閾値の比較とのうち少なくとも一方の結果に基づいて、所定の生成手法又は所定の補完手法を選択する。
【0050】
また、位置情報生成部53は、絶対スコアと相対スコアのうち少なくとも一方を対象物の位置情報として生成してもよい。
この場合、目的結果推定部54は、絶対スコアと相対スコアのうち少なくとも一方に基づいて、対象物に関する所定目的の結果を推定することができる。
【0051】
ここで、図4の機能的構成を有するサーバ1の処理の具体例について説明する。
本例では、対象物が会社の社員であり、所定目的が、当該社員の本日の勤務形態が、オフィスへの出社と、リモート(自宅)での勤務とのうち何れかを判断することであるものとする。
【0052】
この場合、位置情報の前提として、その日(本日)、オフィスと自宅の両方を移動し続けることは、位置の予測の前提から考慮しなくてよくなる。したがって、自宅からオフィスまでの範囲でリアルタイムに高精度で現在位置を予測する手法は、位置情報の生成処理や補完処理に採用する必要はない。
つまり、位置情報の位置の精度についても、GPS等の広域の位置精度のみを採用することができる。即ち、対象物がオフィスと自宅の何れに存在するのか判断できる位置情報を生成する生成手法が、手法選択部51により選択されれば足りる。
この場合、位置情報生成部53は、対象物の位置が広域の位置精度で示される位置情報を生成する。
従って、目的結果推定部54は、広域の位置精度で自宅近辺の位置である場合(そのような位置情報である場合)には、本日の社員の勤務形態はリモートであると推定する。一方、目的結果推定部54は、広域の位置精度でオフィス近辺の位置である場合(そのような位置情報である場合)には、本日の社員の勤務形態はオフィスであると推定する。
【0053】
或いはまた、速度センサにより一定程度の範囲しか動いていないことがわかれば、目的結果推定部54は、対象物の勤務形態はリモートと判断することができる。即ち、手法選択部51は、情報発生源dKを速度センサとして、当該速度センサから移動量(相対スコア)を位置情報として生成する生成手法を、所定の生成手法として選択することができる。
この場合、位置情報生成部53は、朝(7時から10時の間等)における速度センサから測定された相対スコア(対象物の移動量)を、移動情報として生成する。
従って、目的結果推定部54は、相対スコアの閾値を低く設定し、朝(7時から10時の間等)速度センサから測定された相対スコアが閾値以下の場合には、本日の社員の勤務形態はリモートであると推定する。
一方、速度センサから測定された相対スコアが閾値を超えた場合には、リモートではないと判断することはできるが、オフィスへの出社とまでは判断しかねる。
そこで、手法選択部51は、補完手法としてGPSを用いる手法を選択する。位置情報生成部53の補完処理部62は、朝のGPSの位置を、補完処理の結果得られた位置情報(以下、「補完情報」と呼ぶ)として出力する。
これにより、目的結果推定部54は、相対スコアが閾値を超えた場合であって、補完情報が広域の位置精度でオフィス近辺の位置を示している場合、本日の社員の勤務形態はオフィスへの出社と推定できる。
【0054】
また、その後の勤務形態の推定についても、午前、午後のような単位で、対象物(社員)の一定の位置を判断できればいい。
即ち、目的結果推定部54は、午前や午後にも、リモートかオフィスの推定が必要な場合、上記単位でGPSの補完情報を用いて推定すればよい。
【0055】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0056】
ここで、本サービス(図4の目的結果推定部54)で利用される推定モデル80の例について説明する。
図5は、図4の機能的構成を有するサーバの推定モデルの例を示す図である。
図5(A)の推定モデル80は、ユーザがオフィスへの出社と、リモートでの勤務か、或いは、そのいずれでもない旨を目的の結果として判定するモデルの一例である。
即ち例えば、図5(A)の推定モデル80は、相対スコアのみに基づいて、オフィスへの出社、リモートでの勤務、又は、出社もリモート(での勤務)もしていないことを目的の結果を推定することが出来る。
具体的には例えば、早朝を基準としてユーザの相対スコアが小さい場合、ユーザは自宅から移動していないと考えられる。そこで、推定モデル80は、リモート?に対してYES、即ち、在宅での勤務を行っているものとして目的の結果を推定する。
また例えば、早朝を基準としてユーザの相対スコアが大きい場合、ユーザは自宅から移動していると考えられる。そこで、判定モデルは、リモート?に対してNO、即ち、在宅での勤務は行っていないものと推定する。そして、GPSによる補完が行われ、ユーザの位置がオフィスであると補完された場合、出社?に対してYES、即ち、オフィスでの勤務が行われているものとして目的の結果を推定する。
また例えば、ユーザの位置がオフィスであると補完されなかった場合、出社?に対してNO、即ち、出社又はオフィスと推定が出来なかった旨の推定がなされる。
【0057】
なお、図5(A)の例において、推定モデル80は、GPSではなく、相対スコアのみに基づいて補完を行ってもよい。例えば、推定モデル80は、ユーザの自宅からオフィスまでの距離に相当する相対スコアである場合には、出社?に対して、YES、即ち、オフィスでの勤務が行われているものとして目的の結果を推定する。なお、図5(A)の例においては、推定モデル80のみが目的結果推定部54を構成しているのではなく、図5(A)の全体で目的結果推定部54を構成している。
【0058】
また、図5(B)の推定モデル80は、目的の結果として、ユーザがオフィスへの出社又はリモートでの勤務のいずれかを目的の結果として推定するモデルの一例である。
図5(B)の推定モデル80は、予め機械学習の手法(例えば、教師データを用いた機械学習やディープラーニング、クラスタリング)により学習されたモデルである。
例えば、図5(B)の推定モデル80は、出社やリモートの夫々における相対スコア等に基づいて、類似の行動を行うユーザがクラスタリングされることで学習されたもであるとする。この場合、学習された結果生成又は更新された推定モデルは、判定対象のユーザがいずれのクラスタに属するかを用いて、目的の結果を推定する。
即ち例えば、推定モデル80は、ユーザの自宅がオフィスとの距離に応じてクラスタリングされており、そのクラスタの夫々において、その相対スコアの場合に、出社又はリモートの旨の目的の結果を出力する。
このように、推定モデル80は、本サービスのユーザのニーズや目的等に応じて、適宜採用可能なものである。即ち、推定モデル80はいかなるものが採用されてもよい。
例えば、推定モデル80の入力は、図5の例では説明の便宜上相対スコアとされたが、当然ながら絶対スコア、或いは、相対スコアと絶対スコアであってもよい。
【0059】
以下、図6乃至図11を参照して、このような推定モデル80の入力等に用いられるスコアの具体例について説明する。
図6乃至図11は、目的の結果として、ユーザがオフィスへの出社又はリモートでの勤務のいずれかを目的の結果として推定する場合における、位置情報としてのスコアの算出手法の夫々の例を説明する図である。
図6乃至図11の例のスコアとしては、ユーザがオフィスにいる度合いを示す絶対スコア又は相対スコアが採用されている。
図6乃至図11についての下記説明をする際には、オフィスにいるスコアを単に「スコア」と略記する。また、スコアの値は、ユーザがオフィスにいる確率を示しており、例えば閾値として70が採用されているものとする。そして、スコアが閾値70以上の場合に「オフィスへの出社」が出力され、スコアが閾値20以下の場合に「リモートでの勤務」が出力され、スコアがそれらの間の場合「判定不能」が出力される推定モデル80が採用されているものとする。
なお、推定モデル80から判定不能と判断された場合には、図示はしないが、何らかの所定の補完手法により補完されて、「オフィスへの出社」と「リモートでの勤務」のうち何れかが最終的に推定されるものとする。
【0060】
図6の例では、データ源として、ユーザが勤務する会社の勤怠管理ツール(その中のユーザの勤務内容)が採用されている。図6の右方の表が、勤怠管理ツールに登録されたユーザの勤務内容を示している。
即ち、データ取得部52は、図6の右方の表の登録内容を、第1種データとして取得する。
位置情報生成部53は、図6の右方の表の登録内容(第1種データ)に基づいて、位置情報としてのスコアを生成(算出)する。
具体的には例えば、月曜の10時乃至12時の間においては「会議 会議室A」と登録されているので、ユーザはオフィスにいると判断できる。そこで、データ取得部52は、「会議 会議室A」を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、絶対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時乃至12時の間においては「オフィスへの出社」と推定する。
同様に、月曜の14時乃至16時の間においては「会議 会議室C」と登録されているので、ユーザはオフィスにいると判断できる。そこで、データ取得部52は、「会議 会議室A」を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、絶対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の14時乃至16時の間においては「オフィスへの出社」と推定する。
一方で、月曜の12時乃至14時の間には何も登録されていないが、その前の時間帯(10時乃至12時)の間においては「会議 会議室A」と登録され、かつ、その後の時間帯(14時乃至16時)の間においては「会議 会議室C」と登録されているため、ユーザがオフィスにいる可能性はかなり高い。そこで、このような場合、データ取得部52は、「10-12 会議 会議室A」及び「14-16 会議 会議室C」を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、相対位置情報としてのスコア(相対スコア)を80と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが80と閾値70以上であるので、月曜の12時乃至14時の間においては「オフィスへの出社」と推定する。
このように、図6の例では、目的結果推定部54は、勤怠管理ツールをデータ源として利用し、相対的位置情報(相対スコア)と絶対的位置情報(絶対スコア)を活用して、目的結果(「オフィスへの出社」であるのか「リモートでの勤務」であるのか)を推定することができる。
【0061】
図7の例では、データ源として、ユーザが勤務する会社のチャットツールが採用されている。図6の右方が、チャットツールにおけるユーザのチャット内容を示している。
なお、前提として、画像の共有は、オフィス内の同一wi-fi(登録商標)の環境でしか使えないものとする。即ち、チャットツールでユーザが画像の共有を行ったことは、ユーザがオフィスにいることのエビデンスとして用いることができるものとする。
データ取得部52は、図7の右方のユーザのチャット内容を、第1種データとして取得する。
位置情報生成部53は、図7の右方のチャット内容(第1種データ)に基づいて、位置情報としてのスコアを生成(算出)する。
具体的には例えば、月曜の10時においては「今、共有してもらった画像って、どういう意味ですか?」という画像共有したことを示すチャット内容となっているので、ユーザはオフィスにいると判断できる。そこで、データ取得部52は、「今、共有してもらった画像って、どういう意味ですか?」という画像共有したことを示すチャット内容を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、絶対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時においては「オフィスへの出社」と推定する。
同様に、月曜の10時11分においては「いえ、まだ共有していません」という画像共有したことを示すチャット内容となっているので、ユーザはオフィスにいると判断できる。そこで、データ取得部52は、「いえ、まだ共有していません」という画像共有したことを示すチャット内容を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、絶対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時11分においては「オフィスへの出社」と推定する。
さらに、月曜の10時乃至10時11分の間においては、その直前の時刻(10時)においては「今、共有してもらった画像って、どういう意味ですか?」という画像共有したことを示すチャット内容となっており、かつ、その直後の時刻(10時11分)においては「いえ、まだ共有していません」という画像共有したことを示すチャット内容となっており、その時間間隔も11分と短期間であるため、ユーザがオフィスにいると判断できる。そこで、このような場合、データ取得部52は、「今、共有してもらった画像って、どういう意味ですか? 月10:00」及び「いえ、まだ共有していません 月10:11」を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、相対位置情報としてのスコア(相対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時乃至10時11分の間においては「オフィスへの出社」と推定する。
このように、図7の例では、目的結果推定部54は、チャットツールをデータ源として利用し、相対的位置情報(相対スコア)と絶対的位置情報(絶対スコア)を活用して、目的結果(「オフィスへの出社」であるのか「リモートでの勤務」であるのか)を推定することができる。
【0062】
図8の例では、データ源として、ユーザが勤務する会社のQRコード(登録商標)の読取りによるオフィス内へのチェックイン(その旨を示すデータ)が採用されている。
データ取得部52は、図8の右方のチェックインした旨を示すデータを、第1種データとして取得する。
位置情報生成部53は、図8の右方のチェックインした旨を示すデータ(第1種データ)に基づいて、位置情報としてのスコアを生成(算出)する。
具体的には例えば、月曜の10時に座席Aにチェックインしたことを示すデータとなっているので、ユーザはオフィスにいると判断できる。そこで、データ取得部52は、月曜の10時に座席Aにチェックインしたことを示すデータを第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、絶対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時においては「オフィスへの出社」と推定する。
同様に、月曜の17時に座席Cにチェックインしたことを示すデータとなっているので、ユーザはオフィスにいると判断できる。そこで、データ取得部52は、月曜の17時に座席Cにチェックインしたことを示すデータを第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、絶対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時においては「オフィスへの出社」と推定する。
さらに、月曜の10時乃至15時の間においては、その直前の時刻(10時)に座席Aにチェックインし、かつ、その直後の時刻(17時)に座席Cにチェックインしており、ユーザがオフィスにいた可能性が高い。そこで、このような場合、データ取得部52は、月曜の10時に座席Aにチェックインしたことを示すデータ、及び、月曜の17時に座席Cにチェックインしたことを示すデータを第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、相対位置情報としてのスコア(相対スコア)を85と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが85と閾値70以上であるので、月曜の10時乃至17時の間においては「オフィスへの出社」と推定する。
このように、図8の例では、目的結果推定部54は、QRコード(登録商標)によるチェックインのデータをデータ源として利用し、相対的位置情報(相対スコア)と絶対的位置情報(絶対スコア)を活用して、目的結果(「オフィスへの出社」であるのか「リモートでの勤務」であるのか)を推定することができる。
【0063】
図9の例では、データ源として、ユーザの端末が接続したIP及び加速度センサのデータが採用されている。
なお、前提として、画像の共有は、オフィス内の同一IPXXXXXの環境でしか使えないものとする。即ち、ユーザの端末がIPXXXXXに接続したこと(接続先としてIPXXXXXが取得されたこと)は、ユーザがオフィスにいることのエビデンスとして用いることができるものとする。
データ取得部52は、図8の右方のユーザの端末が接続したIPXXXXX(オフィス内のIP)及び加速度センサのデータを、第1種データとして取得する。
位置情報生成部53は、図8の右方のユーザの端末が接続したIPXXXXX(オフィス内のIP)及び加速度センサのデータのうち少なくとも一方(第1種データ)に基づいて、位置情報としてのスコアを生成(算出)する。
具体的には例えば、月曜の10時においてユーザの端末はIPXXXXXに接続しているので、ユーザはオフィスにいると判断できる。そこで、データ取得部52は、「月10:00 IPXXXXX」を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、絶対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時においては「オフィスへの出社」と推定する。
また、月曜の14時においては、ユーザの端末のIPXXXXXの接続は解除されているものの、加速度センサのデータの動きは10時からほぼ無い(スマートフォンのアプリで加速度反応なし)。そこで、データ取得部52は、加速度のデータを第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、相対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の14時においては「オフィスへの出社」と推定する。
同様に、月曜の10時乃至14時の間においても、加速度センサのデータの動きは10時からほぼ無い(スマートフォンのアプリで加速度反応なし)。そこで、データ取得部52は、加速度のデータを第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、相対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時乃至14時においては「オフィスへの出社」と推定する。
このように、図9の例では、目的結果推定部54は、ユーザの端末が接続したIP及び加速度センサのデータをデータ源として利用し、相対的位置情報(相対スコア)と絶対的位置情報(絶対スコア)を活用して、目的結果(「オフィスへの出社」であるのか「リモートでの勤務」であるのか)を推定することができる。
【0064】
図10の例では、データ源として、ユーザが勤務する会社の勤怠管理ツールが採用されている。図10の右方の表が、勤怠管理ツールに登録されたユーザの過去の勤務内容を示している。
データ取得部52は、勤怠管理ツールに登録されたユーザの過去の勤務内容を、第1種データとして取得する。
位置情報生成部53は、第1種データと、ユーザの過去の行動モデルに基づいて、位置情報としてのスコアを生成(算出)する。
行動モデルとしては、例えば、一度オフィスに来た場合オフィスにいる可能性が高い、及び、移動を挟まない場合前回の位置にいる可能性が高いというものである。
具体的には例えば、図6の例と同様に、勤務管理ツールにおいて月曜の10時乃至12時の間においては「会議 会議室A」と登録されているので、ユーザはオフィスにいると判断できる。そこで、データ取得部52は、「会議 会議室A」を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データに基づいて、絶対位置情報としてのスコア(絶対スコア)を100と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが100と閾値70以上であるので、月曜の10時乃至12時の間においては「オフィスへの出社」と推定する。
次に、データ取得部52は、「10-12 会議 会議室A」及び「14-16 作業オフィス」を第1種データとして取得する。位置情報生成部53は、当該第1種データ並びに「一度オフィスに来た場合オフィスにいる可能性が高い」及び「移動を挟まない場合前回の位置にいる可能性が高い」という行動モデルに基づいて、相対位置情報としてのスコア(相対スコア)を例えば90と算出する。そこで、目的結果推定部54は、スコアが90と閾値70以上であるので、月曜の12時乃至14時の間においては「オフィスへの出社」と推定する。
このように、図10の例では、目的結果推定部54は、過去の行動モデルを用いた相対的位置情報(相対スコア)を活用して、目的結果(「オフィスへの出社」であるのか「リモートでの勤務」であるのか)を推定することができる。
【0065】
図11の例では、データ源として、図10の例とは異なる過去の行動モデルが採用されている。
図11の例の過去の行動モデルを示す表において、「データ」とはデータ源たる第1種データを意味している。傾向は、過去の行動モデルから導き出される傾向を意味している。スコアは、取得できた位置(例えばオフィス)との類似スコア、即ち相対スコアを意味している。
データ取得部52は、図11の表のうち所定行に記載された「データ」を、第1種データとして取得する。
位置情報生成部53は、図11の表において、第1種データとして取得されたデータの所定行の「傾向」に応じて、当該所定行の「スコア」を、スコアとして生成する。
【0066】
ところで、例えば、図3に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0067】
また、図4に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に図4の例に限定されない。
【0068】
また、機能ブロックの存在場所も、図4に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0069】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0070】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0071】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0072】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0073】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば、図4のサーバ1)は、
位置情報の生成をするための所定の生成手法により規定される、対象物の位置情報の生成に用いる第1種データを取得するデータ取得手段(例えば、データ取得部52)と、
前記所定の生成手法に従って、前記第1種データを用いる位置情報の生成処理を実行することで、前記対象物の位置情報を生成する位置情報生成手段(例えば、位置情報生成部53)と、
前記対象物の位置情報に基づいて、前記対象物に関する所定目的の結果を推定する推定手段(例えば、図4の目的結果推定部54)と、
位置情報の生成をするためのN種類(Nは2以上の整数値)の生成手法の中から、前記データ取得手段及び前記位置情報生成手段が用いる前記所定の生成手法を、前記目的に基づいて選択する手法選択手段(例えば、図4の手法選択部51)と、
を備える。
これにより、目的に応じてより効率的な位置情報が生成される。
【0074】
前記データ取得手段は、さらに、位置情報の補完をするための所定の補完手法により規定される、前記対象物の位置情報の補完に用いる第2種データを取得し、
前記位置情報生成手段は、前記生成処理の実行後に、さらに、前記所定の補完手法に従って、前記第2種データを用いる補完の処理を実行することで、前記位置情報を生成し、
前記手法選択手段は、さらに、位置情報の補完をするためのM種類(MはNとは独立した2以上の整数値)の補完手法の中から、前記データ取得手段及び前記位置情報生成手段が用いる前記所定の補完手法を、前記目的に基づいて選択する、ことが出来る。
【0075】
前記手法選択手段は、さらに、
前記目的に基づいて、絶対スコアに対する第1閾値と、相対スコアに対する第2閾値とのうち少なくとも一方を設定し、前記位置情報生成手段により生成される前記位置情報についての前記絶対スコア及び前記第1閾値の比較と、当該位置情報についての前記相対スコア及び前記第2閾値の比較とのうち少なくとも一方の結果に基づいて、前記所定の生成手法又は前記所定の補完手法を選択する、ことができる。
【0076】
前記位置情報生成手段は、前記絶対スコアと前記相対スコアのうち少なくとも一方を前記対象物の前記位置情報として生成し、
前記推定手段は、前記絶対スコアと前記相対スコアのうち少なくとも一方に基づいて、前記対象物に関する前記所定目的の結果を推定する、ことができる。
【0077】
前記推定手段は、前記絶対スコアと前記相対スコアとを夫々1以上含む組み合わせに基づいて、前記対象物に関する前記所定目的の結果を推定する(例えば図6乃至図9の例参照)、ことができる。
【0078】
前記位置情報生成手段は、前記対象物の過去の行動モデルに基いて、当該対象物の前記位置情報としての前記相対スコアを生成する(例えば図10及び図11参照)、ことができる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・サーバ
2・・・目的結果活用装置
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・バス
15・・・入出力インターフェース
16・・・出力部
17・・・入力部
18・・・記憶部
19・・・通信部
20・・・ドライブ
31・・・リムーバブルメディア
d1乃至dN、dd1乃至ddM・・・データ源
51・・・手法選択部
52・・・データ取得部
53・・・位置情報生成部
54・・・目的結果推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11