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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003520
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】プログラムおよびスキャナ
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/00 912
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102718
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 蕾
(72)【発明者】
【氏名】津谷 誠司
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB36
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC22
5C062AC58
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】読み取られたスキャンデータに基づく画像データを得るための条件の設定を容易にする技術を提供すること。
【解決手段】PC1は、スキャンプログラム22によって、スキャナ3からスキャンデータを取得し、取得されたスキャンデータがキャリアシートのスキャンデータであった場合に、取得されたスキャンデータから条件情報を抽出し、さらに、取得されたスキャンデータに基づく画像データを生成し、取得されたスキャンデータから条件情報が抽出された場合、生成された画像データを、抽出された条件情報に含まれる保存条件に従って、ファイルに保存する。スキャナ3は、セットされた原稿を1枚ずつ読み取り、読み取った原稿ごとのスキャンデータをPC1に送信する。スキャナ3は、キャリアシートを搬送可能であり、キャリアシートには、画像データをファイルに保存するための保存条件を含む条件情報が付される場合がある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータに、
スキャナで読み取られたデータであるスキャンデータを取得する取得処理を実行させ、前記スキャナは、セットされた原稿を1枚ずつ読み取り、読み取った前記原稿ごとのスキャンデータを前記情報処理装置に送信し、前記スキャナは、キャリアシートを搬送可能であり、前記キャリアシートには、画像データをファイルに保存するための保存条件を含む条件情報が付される場合があり、
さらに前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得された前記スキャンデータが前記キャリアシートのスキャンデータであった場合に、取得された前記スキャンデータから前記条件情報を抽出する抽出処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得された前記スキャンデータに基づく画像データを生成する生成処理を実行させ、前記抽出処理にて前記条件情報が抽出された場合、前記生成処理では、生成された前記画像データを、抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に従って、ファイルに保存する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記保存条件には、1つのファイルに1ページ分の画像データのみを保存する第1保存形式と、1つのファイルに複数ページ分の画像データを保存可能な第2保存形式と、を含む保存形式の中から1つを設定する条件が含まれ、
前記生成処理では、
前記抽出処理にて抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に前記第1保存形式が設定されている場合、前記取得処理にて取得された前記スキャンデータに基づいて、1ページごとに前記画像データを生成し、生成された1ページ分の前記画像データごとにファイルに保存し、
前記抽出処理にて抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に前記第2保存形式が設定されている場合、前記取得処理にて取得された前記スキャンデータに基づいて、1ページごとに前記画像データを生成し、生成された全ページ分の前記画像データを1つのファイルに保存する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載するプログラムにおいて、
前記生成処理では、
前記抽出処理にて抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に前記第1保存形式が設定されている場合、前記取得処理にて取得された前記スキャンデータに基づいて、1ページごとに前記スキャンデータに基づく画像に所定の付加情報を合成した前記画像データを生成し、生成された1ページ分の前記画像データごとにファイルに保存し、
前記抽出処理にて抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に前記第2保存形式が設定されている場合、前記取得処理にて取得された前記スキャンデータに基づいて、先頭ページの前記スキャンデータに基づく画像に所定の付加情報を合成した前記画像データを生成し、先頭ページ以外のページごとに前記スキャンデータに基づいて前記付加情報を合成しない前記画像データを生成し、生成された全ページ分の前記画像データを1つのファイルに保存する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記キャリアシートに付される前記条件情報には、前記スキャンデータに基づく画像に、付加情報を合成するための合成条件が含まれる場合があり、
前記生成処理では、前記抽出処理にて抽出された前記条件情報に前記合成条件が含まれる場合、前記取得処理にて取得された前記スキャンデータに基づく画像に、抽出された前記条件情報に含まれる前記合成条件に従って、前記付加情報を合成した前記画像データを生成する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記保存条件の入力を受け付ける設定画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示させ、前記設定画面を介して入力された前記保存条件を記憶する設定処理を実行させ、
前記生成処理では、前記抽出処理にて前記条件情報が抽出された場合、抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に従って、生成された前記画像データを保存し、前記抽出処理にて前記条件情報が抽出されなかった場合、前記設定処理にて記憶された前記保存条件に従って、生成された前記画像データを保存する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記保存条件の入力を受け付ける設定画面を、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示させ、前記設定画面を介して入力された前記保存条件を記憶する設定処理と、
前記設定画面の保存条件を優先するか、前記キャリアシートの保存条件を優先するか、を選択する選択画面を、前記ユーザインタフェースに表示させ、前記選択画面を介して入力された選択結果を記憶する選択処理と、
を実行させ、
前記生成処理では、前記抽出処理にて前記条件情報が抽出された場合、前記選択処理にて前記キャリアシートの保存条件を優先することが選択されていれば、抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に従って、生成された前記画像データを保存し、前記選択処理にて前記設定画面の保存条件を優先することが選択されていれば、前記設定処理にて記憶された前記保存条件に従って、生成された前記画像データを保存する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記抽出処理では、前記取得処理にて取得された前記スキャンデータから特定のコードを抽出し、抽出された前記特定のコードに前記条件情報が格納されている場合に、その格納されている前記条件情報を取得することで、取得された前記スキャンデータから前記条件情報を抽出し、前記スキャナによって搬送可能な前記キャリアシートには、前記条件情報が格納される前記特定のコードが付されている場合がある、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
ユーザインタフェースと、
読み取りデバイスと、
コンピュータと、
を備えるスキャナであって、
前記読み取りデバイスは、キャリアシートを搬送可能であり、前記キャリアシートには、画像データをファイルに保存するための保存条件を含む条件情報が付される場合があり、
前記コンピュータは、
前記読み取りデバイスに、セットされた原稿を1枚ずつ読み取らせ、読取結果であるスキャンデータを出力させる読取処理を実行し、
さらに前記コンピュータは、
前記読取処理にて前記キャリアシートを読み取った場合に、前記読取処理にて出力される前記スキャンデータから前記条件情報を抽出する抽出処理を実行し、
さらに前記コンピュータに、
前記読取処理にて出力される前記スキャンデータに基づく画像データを生成する生成処理を実行し、前記抽出処理にて前記条件情報が抽出された場合、前記生成処理では、生成された前記画像データを、抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に従って、ファイルに保存する、
ことを特徴とするスキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、原稿が挟まれたキャリアシートを読み取り、読み取ったスキャンデータに基づく画像データをファイルに保存する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿が挟まれたキャリアシートをスキャナにセットし、スキャナがそのキャリアシートを読み取り、読み取られたスキャンデータに基づく画像データを生成し、生成した画像データをファイルに保存する技術が知られている。例えば、特許文献1には、画像処理装置がキャリアシートの両面を読み取り、その読取結果からキャリアシートに付された画像位置マークを検出し、検出された画像位置マークに従ってスキャンデータから表面画像と裏面画像とを切り出し、切り出された両画像を繋ぎ合わせた画像データを出力する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-68243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザは、所望の画像データを得るために、スキャナドライバによって提供される設定画面あるいはスキャナ本体の操作パネルを操作して、各種の条件を設定する必要がある。しかしながら、その条件を設定するための操作はユーザにとって手間であることから、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決を目的としてなされたプログラムは、情報処理装置のコンピュータに、スキャナで読み取られたデータであるスキャンデータを取得する取得処理を実行させ、前記スキャナは、セットされた原稿を1枚ずつ読み取り、読み取った前記原稿ごとのスキャンデータを前記情報処理装置に送信し、前記スキャナは、キャリアシートを搬送可能であり、前記キャリアシートには、画像データをファイルに保存するための保存条件を含む条件情報が付される場合があり、さらに前記コンピュータに、前記取得処理にて取得された前記スキャンデータが前記キャリアシートのスキャンデータであった場合に、取得された前記スキャンデータから前記条件情報を抽出する抽出処理を実行させ、さらに前記コンピュータに、前記取得処理にて取得された前記スキャンデータに基づく画像データを生成する生成処理を実行させ、前記抽出処理にて前記条件情報が抽出された場合、前記生成処理では、生成された前記画像データを、抽出された前記条件情報に含まれる前記保存条件に従って、ファイルに保存する、ことを特徴としている。
【0006】
本明細書に開示されるプログラムを実行することにより、情報処理装置は、キャリアシートのスキャンデータを取得した場合に、そのキャリアシートのスキャンデータから条件情報を抽出し、スキャンデータに基づく画像データを、抽出された条件情報に含まれる保存条件に従って保存する。これにより、ユーザは、所望する画像データに適したキャリアシートに原稿を挟んで、そのキャリアシートをスキャナにセットするだけで、保存条件を設定することができる。すなわち、保存条件の設定のためにスキャナドライバの設定画面やスキャナ本体の操作パネルを操作する必要がないため、ユーザの手間を軽減できる。
【0007】
上記プログラムの処理を実行する情報処理装置、プログラムの機能を実現するための制御方法、および当該プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示される技術によれば、読み取られたスキャンデータに基づく画像データを得るための条件の設定を容易にする技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の形態にかかるスキャンシステムの概略構成図である。
図2】キャリアシートの例を示す説明図である。
図3】スキャン処理の手順を示すフローチャートである。
図4】保存設定画面の例を示す説明図である。
図5】保存条件を選択する画面の例を示す説明図である。
図6】合成条件を選択する画面の例を示す説明図である。
図7】キャリアシート優先処理の手順を示すフローチャートである。
図8】キャリアシートを利用したスキャンデータの例を示す説明図である。
図9】データ保存処理の手順を示すフローチャートである。
図10】第2の形態にかかるスキャナの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、スキャナと接続可能なパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)にて実行されるプログラムを開示するものである。
【0011】
本形態のスキャンシステム100は、図1に示すように、PC1と、スキャナ3と、を含み、これらが互いに通信可能に接続されたシステムである。PC1は、通信機能を備え、スキャナ3へのスキャンコマンドの送信、スキャナ3から読取結果であるスキャンデータの受信、等を行う装置である。PC1は、情報処理装置の一例である。PC1に代えて、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータであってもよい。
【0012】
本形態のPC1は、図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。また、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、図1中のコントローラ10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0013】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。CPU11は、コンピュータの一例である。メモリ12は、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ12の一例は、PC1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であっても良い。
【0014】
ユーザIF13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。ユーザIF13は、表示機能と操作受け付け機能とを有するタッチパネルを含んでも良いし、表示機能を有するディスプレイと、操作受け付け機能を有するキーボード、マウス、トラックボール等との組み合わせであっても良い。
【0015】
通信IF14は、スキャナ3等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USB等である。スキャナ3との通信方式は、有線通信であっても、無線通信であっても良い。また、PC1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0016】
PC1のメモリ12には、図1に示すように、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、スキャンプログラム22と、が記憶されている。スキャンプログラム22は、プログラムの一例である。OS21は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)である。
【0017】
スキャンプログラム22は、スキャナ3に対応するプログラムであり、スキャナ3にて読み取られたデータであるスキャンデータを取得して、そのスキャンデータに基づく画像データを生成し、生成した画像データをファイルに保存する処理を実行する。スキャンプログラム22は、スキャン設定の指示やスキャン実行の指示等のユーザの指示を受け付ける機能を有する。スキャンプログラム22は、スキャン設定の指示として、例えば、スキャンを実行させるスキャナの指定、スキャナから受信したスキャンデータに基づく画像データの保存形式や保存場所の指定、を受け付け可能である。
【0018】
本形態のスキャナ3は、PC1との通信機能と、原稿の画像を読み取ってスキャンデータを生成する画像読取機能と、を有する装置である。スキャナ3は、図1に示すように、自動原稿搬送装置(以下、「ADF」とする)31を備え、ADF31にセットされた1枚以上の原稿束から原稿を1枚ずつ自動的に搬送して、連続して読み取ることができる。スキャナ3は、ADF31に複数の原稿を含む原稿束がセットされた場合でも、原稿を1枚ずつ読み取って、読み取った原稿ごとにスキャンデータを生成して送信する。なお、スキャナ3は、スキャン単機能の装置に限らず、例えば、複合機、コピー機、FAX装置であってもよい。
【0019】
本形態のスキャナ3のADF31は、キャリアシートを搬送可能である。例えば、図2(A)に示すように、キャリアシート40は、読み取り対象の原稿Gを間に挟み込むことのできる2枚の透明のシート41、41と、2枚のシート41を一辺で連結する連結部42と、を有する。スキャナ3は、図2(B)に示すように、原稿Gをキャリアシート40に挟んだ状態で、ADF31によって搬送して読み取ることで、破れやすい原稿Gであっても安全に搬送して、読み取ることができる。なお、図2では、キャリアシート40の短辺側に連結部42が設けられている例を示しているが、連結部42は、長辺側に設けられても良い。
【0020】
本形態のキャリアシート40の連結部42には、図2に示すように、シート情報421が付される場合がある。シート情報421は、このキャリアシート40を用いてスキャンを行った場合の、スキャン結果に対する処理に関する情報を含むことができる。本形態のシート情報421は、例えば、スキャン結果に基づく画像データをファイルに保存するための保存条件を示す情報を含む。シート情報421は、条件情報の一例である。シート情報421に含まれる情報の詳細については、後述する。
【0021】
なお、シート情報421は、バーコード等の一次元コードや、QRコード(登録商標)等の二次元コード、を示すコード画像であって、そのコード画像に情報が格納されているものを含んでも良い。また、シート情報421は、各キャリアシート40にあらかじめ印刷されていても良いし、シート情報421を印刷したラベルをキャリアシート40に貼付したものでも良いし、所定のフォーマットに基づいてユーザがキャリアシート40に書き込んだものでも良い。また、連結部42には、シート情報421に加えて、さらに、ユーザの便宜のためのテキストやマーク等が含まれていても良い。
【0022】
続いて、本形態のスキャンシステム100において、PC1にて実行されるスキャン処理の手順について、図3のフローチャートを参照して説明する。スキャン処理は、スキャンプログラム22の起動指示を受け付けたことを契機に、PC1のCPU11にて実行される。以下の説明における処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、スキャンプログラム22等のプログラムに記述された命令に従った、CPU11による処理を示す。
【0023】
スキャン処理では、CPU11は、ユーザの指示を受け付けるためのトップ画面をユーザIF13に表示させて、ユーザの指示を受け付ける(S101)。本形態のスキャンプログラム22は、トップ画面では、ユーザの指示として、例えば、スキャン設定の設定指示と、スキャンの実行指示と、プログラムの終了指示と、を受け付ける。
【0024】
ユーザの指示として、スキャン設定の設定指示を受け付けた場合(S101:スキャン設定)、CPU11は、スキャン設定を受け付ける設定画面をユーザIF13に表示させる(S111)。本形態のスキャンプログラム22は、スキャン設定として、少なくとも、スキャナ3から受信したスキャンデータに基づく画像データの保存に関する設定を受け付ける。なお、スキャンプログラム22は、スキャン設定としてさらに、スキャナ3における読み取り機能に関する設定、スキャナ3の通信機能に関する設定、などを受け付け可能であっても良い。
【0025】
スキャンプログラム22は、例えば、図4に示すように、画像データの保存に関する設定を受け付ける保存設定画面50を表示させ、表示中の保存設定画面50へのユーザの入力を受け付ける。保存設定画面50は、設定画面の一例である。保存設定画面50は、ラジオボタン群51と、合成データ指定欄群52と、OKボタン53と、を含む。
【0026】
ラジオボタン群51は、画像データを保存する保存条件の指定として、キャリアシート優先511と、フォーマット指定512と、の指定を択一的に受け付ける。キャリアシート優先511は、スキャン対象の原稿がキャリアシート40に挟まれた原稿であった場合に、そのキャリアシート40に添付されているシート情報421(図2参照)に基づく保存条件を、保存設定画面50での設定よりも優先することを選択する指示である。フォーマット指定512は、キャリアシート40の利用の有無に関わらず、この保存設定画面50での設定を優先する設定である。
【0027】
フォーマット指定512が選択された場合、保存設定画面50では、例えば、図5に示すように、画像データを保存するための保存条件として、シングルページ保存と、マルチページ保存と、の選択を受け付ける。シングルページ保存は、1つのファイルに1ページ分の画像データのみを保存する保存形式であり、マルチページ保存は、1つのファイルに複数ページ分の画像データを保存可能な保存形式である。シングルページ保存は、第1保存形式の一例であり、マルチページ保存は、第2保存形式の一例である。ラジオボタン群51を含む保存設定画面50は、選択画面の一例である。
【0028】
具体的には、スキャンプログラム22は、シングルページ保存での保存を行う場合、取得したスキャンデータに基づいて、1ページごとに画像データを生成し、生成された1ページ分の画像データごとに1つのファイルに保存する。また、スキャンプログラム22は、マルチページ保存での保存を行う場合、取得したスキャンデータに基づいて、1ページごとに画像データを生成し、生成された全ページ分の画像データを1つのファイルに保存する。なお、保存条件としてはさらに、保存するファイルのファイルフォーマットを指定する情報を選択可能であっても良い。
【0029】
合成データ指定欄群52は、スキャンデータに基づく画像に、所定の付加情報を合成した画像データを生成して保存する条件である、合成条件の指定を受け付けるための複数の欄を含む。スキャンプログラム22は、合成データ指定欄群52にて、例えば、文字、カウンタ、日時、ウォータマークのそれぞれについて、合成する付加情報の指定または合成しない指定を受け付ける。
【0030】
なお、ラジオボタン群51にてフォーマット指定512が選択され、さらに、マルチページ保存が選択されている場合、スキャンプログラム22は、例えば、図6に示すように、合成対象の情報を合成するページの情報を受け付け可能となる。具体的には、スキャンプログラム22は、先頭ページのみに合成して先頭ページ以外のページには合成しない指定と、全ページにそれぞれ合成する指定と、どのページにも合成しない指定と、からの選択を受け付ける。なお、合成データ指定欄群52では、合成対象とするページの指定を受け付け可能であっても良い。
【0031】
CPU11は、保存設定画面50にてOKボタン53への操作を受け付けるまで(S112:NO)、ラジオボタン群51や合成データ指定欄群52への操作を受け付けて、受け付けた操作に基づいて保存設定画面50を変更して表示する。OKボタン53への操作を受け付けた場合(S112:YES)、CPU11は、その時点で選択されている各設定を、保存条件および合成条件として、メモリ12に記憶する(S113)。S113は、設定処理の一例である。S113にて、ラジオボタン群51による選択結果を記憶する処理は、選択処理の一例である。S113の後、CPU11は、S101に戻り、ユーザの指示を受け付ける。
【0032】
トップ画面にて、ユーザの指示として、スキャンの実行指示を受け付けた場合(S101:スキャン実行)、CPU11は、まず、スキャン設定を読み出す(S121)。スキャン設定には、前述した保存設定画面50にて受け付けた保存条件が含まれ、その他にも、スキャナ3の動作に関する各種の設定が含まれても良い。
【0033】
CPU11は、読み出したスキャン設定に基づいて、通信IF14を介して、スキャナ3にスキャンの実行を指示するスキャンコマンドを送信する(S122)。スキャナ3は、受信したスキャンコマンドに基づいて、セットされている原稿の画像を読み取り、スキャンデータを生成して、生成したスキャンデータをPC1に送信する。CPU11は、通信IF14を介して、スキャナ3からスキャンデータを受信することで、スキャンデータを取得する(S123)。S123は、取得処理の一例である。
【0034】
さらに、CPU11は、S121にて読み出したスキャン設定に含まれる保存条件が、キャリアシート優先であるか否かを判断する(S131)。キャリアシート優先の保存条件は、前述した保存設定画面50のラジオボタン群51にて、キャリアシート優先511が選択された場合に設定される。キャリアシート優先であると判断した場合(S131:YES)、CPU11は、キャリアシート優先処理を実行する(S132)。キャリアシート優先処理は、キャリアシート40(図2参照)を用いた原稿を読み取ったスキャンデータを受信した場合に、そのスキャンデータに含まれる情報に基づいて、保存条件を決定する処理である。
【0035】
なお、スキャンプログラム22は、スキャナ3のADF31に複数枚の原稿の原稿束がセットされ、その原稿束に含まれる複数の原稿を連続して読み取らせた場合でも、その原稿束に基づく全てのスキャンデータに対して、共通のスキャン設定を適用する。そのため、保存条件としてキャリアシート優先が選択されている場合、CPU11は、まず、最初に受信したスキャンデータに基づいて、キャリアシート優先処理を実行する。
【0036】
次に、キャリアシート優先処理の手順について、図7のフローチャートを参照して説明する。キャリアシート優先処理では、CPU11は、まず、受信したスキャンデータが、キャリアシート40を利用した原稿を読み取ったスキャンデータであるか否かを判断する(S201)。
【0037】
キャリアシート40に挟まれた原稿Gのスキャンを行った場合、例えば、図8に示すように、スキャンデータ60には、キャリアシート40を透して原稿Gを読み取った画像である原稿画像61と、原稿G以外のキャリアシート40のみを読み取った画像であるシート画像62とが含まれる。シート画像62には、キャリアシート40の連結部42を読み取った画像である連結部画像620が含まれる。さらに、連結部画像620には、シート情報421を読み取った画像である情報画像621が含まれる場合がある。CPU11は、例えば、シート画像62の有無に基づいて、キャリアシートが利用されているか否かを判断できる。
【0038】
キャリアシート40を利用したスキャンデータ60であると判断した場合(S201:YES)、CPU11は、連結部画像620から情報画像621の抽出を試行する(S202)。情報画像621は、特定のコードの一例である。一次元コードや二次元コードを含むシート情報421を用いることで、シート情報421をキャリアシート40に添付し易く、スキャンプログラム22は、そのキャリアシート40のスキャンデータ60から情報画像621を抽出し易い。
【0039】
そして、CPU11は、スキャンデータ60から情報画像621を抽出できたか否かを判断する(S203)。例えば、キャリアシート40が利用されていても、そのキャリアシート40にシート情報421が添付されていなかった場合、スキャンデータ60に情報画像621は含まれない。
【0040】
情報画像621を抽出できたと判断した場合(S203:YES)、CPU11は、その情報画像621を解析し、保存条件と合成条件の取得を試行する(S211)。S211は、抽出処理の一例である。
【0041】
そして、CPU11は、保存条件を取得できたか否かを判断する(S212)。保存条件を取得できたと判断した場合(S212:YES)、CPU11は、合成条件を取得できたか否かを判断する(S213)。合成条件も取得できたと判断した場合(S212:YES)、CPU11は、キャリアシート優先処理を終了して、スキャン処理に戻る。この場合、CPU11は、以後の処理にて、情報画像621から取得した保存条件と合成条件とを利用する。CPU11は、キャリアシート40に付加されるシート情報421に基づいて、例えば、マルチページ保存とシングルページ保存とを区別できる。
【0042】
一方、情報画像621を抽出できなかったと判断した場合(S203:NO)、または、情報画像621から保存条件を取得できなかったと判断した場合(S212:NO)、CPU11は、スキャン設定として記憶されている保存条件の情報を取得する(S221)。この場合、CPU11は、スキャン設定として記憶されている保存条件を利用する。
【0043】
例えば、添付されているシート情報421が汚れている場合、情報画像621を正しく抽出できていない可能性が高い。情報画像621から保存条件を適切に取得できなかった場合、CPU11は、情報画像621に基づく情報を利用しない。情報画像621から適切な保存条件が抽出されなかった場合には、保存設定画面50で受け付けた保存条件に従って画像データを保存することで、シート情報421が添付されていないキャリアシート40を読み取った場合であっても、保存条件に従って画像データを保存できる。
【0044】
S221の後、または、情報画像621から合成条件を取得できなかったと判断した場合(S213:NO)、CPU11は、スキャン設定として記憶されている合成条件の情報を取得する(S222)。この場合、CPU11は、スキャン設定として記憶されている合成条件を利用する。
【0045】
シート情報421には、保存条件と合成条件との両方を含むものと、保存条件のみを含み合成条件を含まないものと、があっても良い。本形態では、合成条件がシート情報421に含まれる場合には、シート情報421の合成条件を利用し、合成条件がシート情報421に含まれない場合には、スキャン設定の合成条件を利用することで、ユーザの要望に応じた使い方ができる。S222の後、CPU11は、キャリアシート優先処理を終了して、スキャン処理に戻る。
【0046】
図3のスキャン処理の説明に戻る。キャリアシート優先ではないと判断した場合(S131:NO)、CPU11は、スキャン設定として記憶されている保存条件と合成条件との情報を取得する(S133)。保存設定画面50(図4参照)のラジオボタン群51にてフォーマット指定512が選択されている場合、CPU11は、取得したスキャンデータがキャリアシートを利用したデータであるか否かに関わらず、保存設定画面50にて受け付けた設定を適用する。キャリアシートの保存条件を利用するか否かを選択できることで、特定の保存条件を示すシート情報421が付されているキャリアシート40を利用した場合であっても、別の保存条件で画像データを保存することができる。
【0047】
S132のキャリアシート優先処理の後、または、S133の後、CPU11は、データ保存処理を実行する(S135)。データ保存処理は、スキャナ3から取得したスキャンデータに基づく画像データを生成して保存する処理である。
【0048】
次に、データ保存処理の手順について、図9のフローチャートを参照して説明する。データ保存処理では、CPU11は、まず、保存条件として、シングルページ保存とマルチページ保存とのいずれが設定されているかを判断する(S301)。シングルページ保存が設定されていると判断した場合(S301:シングル)、CPU11は、合成条件に合成の設定が含まれているか否かを判断する(S311)。
【0049】
合成の設定が含まれていると判断した場合(S311:YES)、CPU11は、設定に基づいて、画像を合成し、カウンタが設定されていればカウントアップする(S312)。例えば、合成条件が日時を合成する設定であれば、CPU11は、OS21から日時を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて日時を示す文字列画像を生成して、所定の合成位置に合成する。また、カウンタの合成が設定されている場合、CPU11は、所定の初期値に基づいてカウンタを示す画像を生成して合成し、カウンタをカウントアップする。なお、画像の合成位置やカウンタの初期値は、あらかじめ決められていても良いし、合成条件としてユーザの指定を受け付け可能であっても良い。
【0050】
S312の後、または、合成の設定が含まれていないと判断した場合(S311:NO)、CPU11は、1ページ分の画像データを生成する(S315)。S315は、生成処理の一例である。CPU11は、S312にて画像の合成を行っていれば、合成後の画像データを生成し、合成を行っていなければ、元のスキャンデータに基づく画像データを生成する。さらに、CPU11は、生成した画像データを、1ページごとに1つのファイルとして保存する(S316)。S316は、生成処理の一例である。なお、ファイルに保存した後、その画像データは、メモリ12から消去される。
【0051】
一方、マルチページ保存が設定されていると判断した場合(S301:マルチ)、CPU11は、合成条件が、トップページのみであるか、全ページであるか、合成無しであるか、を判断する(S321)。合成条件がトップページのみであると判断した場合(S321:トップページのみ)、CPU11は、処理対象のページがトップページであるか否かを判断する(S322)。
【0052】
合成条件が全ページであると判断した場合(S321:全ページ)、または、合成条件がトップページのみであって、処理対象のページがトップページであると判断した場合(S322:YES)、CPU11は、画像を合成し、カウンタが設定されていればカウントアップする(S323)。S323の後、CPU11は、合成後の画像データを生成する(S325)。S325は、生成処理の一例である。
【0053】
また、合成条件が合成無しであると判断した場合(S321:なし)、または、合成条件がトップページのみであって、処理対象のページがトップページではないと判断した場合(S322:NO)、CPU11は、元のスキャンデータに基づいて画像データを生成する(S325)。
【0054】
さらに、CPU11は、生成した画像データを一旦、メモリ12に保存する(S326)。S326では、CPU11は、ファイルへの保存は行わない。そして、S316またはS326の後、CPU11は、データ保存処理を終了して、スキャン処理に戻る。
【0055】
図3のスキャン処理の説明に戻る。S135のデータ保存処理の終了後、CPU11は、スキャナ3からスキャン終了の情報を受信したか否かを判断する(S141)。スキャナ3は、スキャンコマンドに基づいてスキャンを開始した後、ADF31にセットされた全ての原稿のスキャンを終了したと判断した場合、PC1にスキャン終了の情報を送信する。スキャン終了の情報ではないと判断した場合(S141:NO)、つまり、次のページのスキャンデータを受信した場合(S142)、CPU11は、新たに受信したスキャンデータに基づいて、前述したデータ保存処理(S135)を実行する。
【0056】
スキャン終了の情報を受信したと判断した場合(S141:YES)、CPU11は、保存条件がマルチページ保存であるか否かを判断する(S143)。マルチページ保存であると判断した場合(S143:YES)、CPU11は、データ保存処理のS326にて保存した全ページ分の画像データを、1つのファイルに保存する(S144)。S144は、生成処理の一例である。
【0057】
S144の後、または、保存条件がマルチページ保存ではないと判断した場合(S143:NO)、または、トップ画面にてプログラムの終了指示を受け付けた場合(S101:終了)、CPU11は、スキャン処理を終了する。マルチページ保存ではない場合、各ページのファイルは、データ保存処理にて生成されている。
【0058】
以上、詳細に説明したように、本形態のスキャンシステム100によれば、PC1は、スキャンプログラム22を実行することで、キャリアシート40を用いて読み取ったスキャンデータ60から情報画像621を抽出し、スキャンデータ60に基づく画像データを、抽出された情報画像621に含まれる保存条件に従って保存する。これにより、ユーザは、所望する画像データに適したシート情報421を有するキャリアシート40に原稿Gを挟んで、そのキャリアシート40をスキャナ3にセットするだけで、保存条件を設定することができ、保存条件の設定のためにスキャンプログラム22の保存設定画面50での設定やスキャナ3の操作パネルでの操作の必要がないため、ユーザの手間を軽減できる。
【0059】
さらに、本形態では、キャリアシート40にシート情報421を添付できるので、同じキャリアシート40を利用すれば、同じ保存条件で画像データを保存できるため、設定の操作ミスによる無駄な読み取りを減らすことができる。
【0060】
続いて、第2の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、ファイルを保存する機能を備えたスキャナを開示するものである。本形態は、スキャナがファイルの保存まで行う点で、スキャナはスキャンデータを送信するのみであって、PCにてファイルの保存を行う第1の形態とは異なる。第1の形態と同様の構成や処理については、第1の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0061】
本形態のスキャナ7は、図10に示すように、CPU71と、メモリ72と、を含むコントローラ70を備えている。また、スキャナ7は、ユーザIF73と、通信IF74と、読み取りデバイス75と、を備え、これらがコントローラ70に電気的に接続されている。なお、図10中のコントローラ70は、スキャナ7の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にスキャナ7に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0062】
CPU71は、メモリ72から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。CPU71は、コンピュータの一例である。メモリ72は、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ72は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU71が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ72の一例は、スキャナ7に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU71が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であっても良い。
【0063】
ユーザIF73は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。ユーザIF73は、表示機能と操作受け付け機能とを有するタッチパネルを含んでも良いし、表示機能を有するディスプレイと、操作受け付け機能を有する操作ボタン、テンキー等との組み合わせであっても良い。通信IF74は、外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。スキャナ7は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF74を備えていてもよい。
【0064】
読み取りデバイス75は、ADF751を備え、ADF751にセットされた1枚以上の原稿束から原稿を1枚ずつ自動的に搬送して、連続して読み取る機能を有している。ADF751は、キャリアシートを搬送可能である。本形態で利用されるキャリアシートは、第1の形態のキャリアシート40と同様のものであり、シート情報421が付加されることがある。
【0065】
スキャナ7のメモリ72には、図10に示すように、OS81と、本体プログラム82と、が記憶されている。本体プログラム82は、読み取りデバイス75によって原稿の画像を読み取ることで取得されたスキャンデータに基づいて、画像データを生成してファイルに保存する処理を実行する。
【0066】
スキャナ7は、ユーザIF73を介して、スキャン設定の設定指示や、スキャンの実行指示を受け付け可能である。スキャナ7は、スキャン設定の設定指示を受け付けると、第1の形態のPC1における保存設定画面50(図4参照)と類似した画面を、ユーザIF73に表示させ、ユーザによる保存条件と合成条件との設定指示を受け付け可能である。そして、スキャナ7は、ユーザの設定指示に基づいて、保存条件と合成条件とを含むスキャン設定をメモリ72に記憶する。
【0067】
スキャナ7は、スキャンの実行指示を受け付けると、ADF751にセットされた原稿を1枚ずつ搬送し、読み取りデバイス75に、その画像を読み取らせる。読み取りデバイス75は、搬送される原稿を読み取ったスキャンデータをコントローラ70に出力する。読み取りデバイス75がコントローラ70にスキャンデータを出力する処理は、読取処理の一例である。そして、コントローラ70は、本体プログラム82によって、第1の形態のPC1におけるスキャン処理(図3参照)のS131以降と同様の処理を実行する。
【0068】
具体的には、コントローラ70は、メモリ72に記憶されているスキャン設定がキャリアシート優先の設定であれば、前述したキャリアシート優先処理(図7参照)と同様に、1ページ目のスキャンデータに基づいて、保存条件と合成条件とを取得する。コントローラ70が、スキャンデータから保存条件と合成条件とを取得する処理は、抽出処理の一例である。スキャン設定がキャリアシート優先でなければ、コントローラ70は、スキャン設定に基づいて、保存条件と合成条件とを決定する。
【0069】
さらに、コントローラ70は、前述したデータ保存処理(図9参照)と同様に、決定した保存条件と合成条件を用いて画像データを生成する。コントローラ70が画像データを生成する処理は、生成処理の一例である。コントローラ70は、生成した画像データを、保存条件に従ってファイルに保存する。コントローラ70は、画像データを保存したファイルをメモリ72に記憶しても良いし、外部装置に送信しても良い。
【0070】
以上、詳細に説明したように、本形態のスキャナ7は、第1の形態のPC1と同様に、キャリアシート40のスキャンデータから保存条件を取得する。従って、ユーザは、所望する画像データに適したキャリアシート40に原稿Gを挟んで、そのキャリアシート40をスキャナ7にセットすればよく、ユーザの手間を軽減できる。
【0071】
なお、第1および第2の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って、本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PC1に接続されるスキャナは、1台に限らず、複数台有ってもよい。
【0072】
また、第1および第2の形態では、キャリアシート40に付加されるシート情報421として、保存条件と合成条件とが含まれる例を説明したが、さらに他の情報が含まれても良い。例えば、複数の原稿の画像を集約した集約画像を生成する集約条件が含まれていても良い。
【0073】
また、第1および第2の形態では、スキャンプログラム22または本体プログラム82は、キャリアシート優先が設定されている場合にスキャンデータからの情報画像621の抽出を試行し、キャリアシート優先が設定されていない場合には試行しないとしたが、これに限らない。各プログラム22、82は、例えば、取得したスキャンデータがキャリアシートのスキャンデータであれば、そのスキャンデータからの情報画像621の抽出を試行し、取得したスキャンデータがキャリアシートのスキャンデータではなければ、スキャン設定として記憶されている条件を用いる、としても良い。
【0074】
また、第1および第2の形態では、スキャンプログラム22または本体プログラム82は、スキャンデータから情報画像621が抽出されなかった場合、スキャン設定として記憶している設定を用いるとしたが、これに限らない。各プログラム22、82は、例えば、情報画像621を抽出できなかったことを報知して処理を中断する、としても良いし、スキャン設定を用いるか処理を中断するかの選択を受け付ける、としても良い。
【0075】
また、第1および第2の形態では、スキャンプログラム22または本体プログラム82は、複数の原稿を含む原稿束を読み取って複数のスキャンデータが連続して送信される場合でも、1ページ目のスキャンデータに基づいて全ページの保存条件と合成条件とを決定するとしたが、これに限らない。各プログラム22、82は、例えば、キャリアシート優先が設定されている場合には、キャリアシートのスキャンデータを取得する度にスキャンデータからの情報画像621の抽出を試行し、抽出した情報画像621の条件がそれまでの条件と異なっている場合には、以後のスキャンデータについては条件を変更して適用するとしても良い。
【0076】
また、第1および第2の形態では、スキャンプログラム22または本体プログラム82は、保存条件として、シングルページ保存とマルチページ保存とのうちの1つの選択を受け付けるとしたが、これに限らない。例えば、1回のスキャンで取得される複数のスキャンデータに基づいて、複数ページ分の画像データを保存するファイルと、1ページ分の画像データを保存するファイルと、に保存する形式の選択を受け付け可能であっても良い。また、例えば、それぞれ複数ページ分の画像データを保存するファイルを、複数生成する保存形式を選択可能であっても良い。
【0077】
また、例えば、スキャナ3は、ADF31を備えていないものでも良い。その場合、ユーザは、原稿台に1枚ずつ原稿をセットしてスキャン実行指示を行う必要がある。その場合でも、スキャナ3は、スキャン終了の指示を受け付けるまで、ユーザの指示に基づいてスキャンを実行して、PC1にスキャンデータを送信し、PC1は、第1の形態と同様に、スキャン処理を実行すれば良い。また、ADF751を備えないスキャナ7であっても良く、その場合でも、スキャナ7は、ユーザの指示に基づいてスキャンを実行する。
【0078】
また、第1および第2の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0079】
また、第1および第2の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、第1および第2の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 PC
3、7 スキャナ
11、71 CPU
13、73 ユーザIF
75 読み取りデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10