(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035226
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】エレベータかごのドアの反転検出
(51)【国際特許分類】
B66B 13/26 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B66B13/26 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142097
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】22193528
(32)【優先日】2022-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508030084
【氏名又は名称】セデス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャンヨン ウェン
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307AA02
3F307DA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スライドドア、特にエレベータかごのドアに取り付けるための改良されたライトグリッドを提供する。
【解決手段】送信ストリップ上の、特定の強度の放射を行う送信エレメントと、受信ストリップ上の、割り当てられた送信エレメントの放射を受信する受信エレメントと、割り当てられた送信エレメントから来る放射の遮断に関して受信エレメントを評価し、遮断があると物体識別信号を出力する制御装置とを備え、少なくとも1つの受信エレメントは、受信した放射の強度値を出力するように構成され、制御装置は強度値を評価するように、また、別々の高強度値範囲、中間強度値範囲、及び低強度値範囲を、高強度値、中間強度値、及び低強度値によって区別するように、また、低強度値範囲から中間強度値範囲を経て低強度値範囲へ少なくとも1回交替する交替局面を区別するように、また、交替局面が識別された場合に信号を出力するように、構成されている。
【選択図】
図4b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドドア、特にエレベータかごのドアに取り付けるための、物体の検出及びドアの周期的な動きを判定するためのライトグリッドであって、
送信ストリップ上の、特定の強度の放射を行う少なくとも1つの送信エレメントと、
受信ストリップ上の、割り当てられた送信エレメントの前記放射を受信する少なくとも1つの受信エレメントと、
割り当てられた送信エレメントから来る前記放射の遮断に関して前記受信エレメントを評価し、遮断があると物体識別信号を出力する制御装置と、
を備え、
少なくとも1つの受信エレメントは、前記受信した放射の前記強度の強度値を出力するように構成されており、
前記制御装置は、
前記強度値を評価するように、
また、別々の高強度値範囲、中間強度値範囲、及び低強度値範囲を、高強度値、中間強度値、及び低強度値によって区別し、低強度範囲と中間強度範囲間の遷移は、所定の第一限界値によって定義され、中間強度範囲と高強度範囲間の遷移は、所定の第二限界値によって定義されるように、
また、前記低強度値範囲から前記中間強度値範囲を経て前記低強度値範囲へ少なくとも1回交替する交替局面を識別するように、
また、交替局面が識別された場合に信号を出力するように、
構成されていることを特徴とする、ライトグリッド。
【請求項2】
請求項1に記載のライトグリッドであって、前記制御装置は、
前記交替局面が、前記高強度値範囲からの介在する強度値なしに、前記低強度範囲から前記中間強度範囲を経て前記低強度範囲へ直接的に交替することを少なくとも1回有するように、かつ/又は、
前記交替局面には最大の許容可能な交替局面の持続時間が定義され、その時間までは交替局面とみなされるように、かつ/又は、
前記交替局面が、複数回の交替を有する、特に、前記低強度値範囲から前記中間強度値範囲を経て前記低強度値範囲へ交替することを少なくとも3回有するように、かつ/又は、
前記交替局面が、前記低強度値範囲から前記中間強度値範囲を経て前記低強度値範囲へ周期的に交替することを複数回有するように、かつ/又は、
前記周期的に交替することは、互いに直接連続するように、かつ/又は、
周期的に交替することには、最大の交替局面の期間の持続時間が定義されており、その時間までは、周期的に交替することは交替局面とみなされるように、
構成されていることを特徴とする、ライトグリッド。
【請求項3】
先行する請求項のいずれかに記載のライトグリッドであって、前記制御装置は、
前記信号が周期的に交替することの数を含むように、かつ/又は
前記信号が周期的に交替することの持続時間を含むように、
構成されていることを特徴とする、ライトグリッド。
【請求項4】
先行する請求項のいずれかに記載のライトグリッドであって、前記制御装置は、
前記高強度値範囲は、短距離の範囲に、特に、閉じたか又は僅かに開いたエレベータかごのドアの範囲に対応するように、
前記中間強度値範囲は、中間距離の範囲に、特に、部分的に開いたエレベータかごのドアの範囲に対応するように、
前記低強度値範囲は、長距離の範囲に、特に、広く開いたか又は完全に開いたエレベータかごのドアの範囲に対応するように、
短距離、中間距離、長距離の前記範囲はそれぞれ互いに連続するように、特に、互いに直接連続するように、
構成されていることを特徴とする、ライトグリッド。
【請求項5】
先行する請求項のいずれかに記載のライトグリッドであって、
前記ライトグリッドは、前記信号を無線で転送する装置を有することを特徴とする、ライトグリッド。
【請求項6】
先行する請求項のいずれかに記載のライトグリッドであって、
前記送信ストリップ及び/又は前記受信ストリップは、スライドドア、特にエレベータかごのドアに取り付けるために設けられることを特徴とする、ライトグリッド。
【請求項7】
先行する請求項に記載のライトグリッドを備えるスライドドア、特にエレベータかごのドア。
【請求項8】
先行する請求項に記載のライトグリッドを備えるエレベータであって、
前記送信ストリップ及び/又は前記受信ストリップは、前記エレベータかごのドアに固定されている、エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、スライドドア、特にエレベータかごのドアに取り付けるためのライトグリッドに関する。
【0002】
先行技術は、前述したタイプのライトグリッドであって、送信ストリップ(送信帯)と受信ストリップ(受信帯)との間の物体を検出するよう構成されているライトグリッドを開示している。
【0003】
本発明は、改良されたライトグリッドを提供することを目的としている。
【0004】
序文で述べたタイプのライトグリッドから進み、この目的は、請求項1に記載のライトグリッド、請求項7に記載のスライドドア、請求項8に記載のエレベータによって達成される。有利な実施形態は、更なる従属項において特定される。
【0005】
本発明のライトグリッドは、スライドドア、特にエレベータかごのドアに取り付けるための、物体の検出及びドアの周期的な動きを判定するためのライトグリッドであって、送信ストリップ上の、特定の強度の放射を行う少なくとも1つの送信エレメントと、受信ストリップ上の、割り当てられた送信エレメントの放射を受信する少なくとも1つの受信エレメントと、割り当てられた送信エレメントから来る放射の遮断に関して受信エレメントを評価し、遮断があると物体識別信号を出力する制御装置とを備え、少なくとも1つの受信エレメントは、受信した放射の強度値を出力するように構成され、制御装置は強度値を評価するように、また、別々の高強度値範囲、中間強度値範囲、及び低強度値範囲を、高強度値、中間強度値、及び低強度値によって区別し、低強度範囲と中間強度範囲間の遷移は、所定の第一限界値によって定義され、中間強度範囲と高強度範囲間の遷移は、所定の第二限界値によって定義されるように、また、低強度値範囲から中間強度値範囲を経て低強度値範囲へ少なくとも1回交替する交替局面を識別するように、また、交替局面が識別された場合に信号を出力するように、構成されている。
【0006】
これによって、スライドドアの反転が識別されるという有利な点がもたらされる。これによって、欠陥のあるスライドドアが識別されるという有利な点がもたらされる。これによって、汚れたスライドドアが識別されるという有利な点がもたらされる。
【0007】
制御装置は、ライトグリッドの外側まで拡張でき、例えばデータ転送後の信号の評価と出力を、外部サーバ上でも実行し得る。
【0008】
好ましくは、制御装置は、交替局面が、高強度値範囲からの介在する強度値なしに、低強度範囲から中間強度範囲を経て低強度範囲へ直接的に交替することを少なくとも1回有するように、かつ/又は、交替局面には最大の許容可能な交替局面の持続時間が定義され、その時間までは交替局面とみなされるように、かつ/又は、交替局面が、交替することを複数回有する、特に、低強度値範囲から中間強度値範囲を経て低強度値範囲へ交替することを少なくとも3回有するように、かつ/又は、交替局面が、低強度値範囲から中間強度値範囲を経て低強度値範囲へ周期的に交替することを複数回有するように、かつ/又は、周期的に交替することは、互いに直接連続するように、かつ/又は、周期的に交替することには、最大の交替局面の期間の持続時間が定義されており、その時間までは周期的に交替することは交替局面とみなされるように、構成されている。
【0009】
これによって、反転する、かつ/又は、欠陥のある、かつ/又は、汚れた、スライドドアが、特に正確に識別されるという有利な点がもたらされる。
【0010】
好ましくは、制御装置は、信号が周期的に交替することの数を含むように、かつ/又は、信号が周期的に交替することの持続時間を含むように構成されている。
【0011】
これによって、ドアの状態を特に詳細に評価することが実行可能になるという有利な点がもたらされる。
【0012】
好ましくは、制御装置は、高強度値範囲は、短距離の範囲に、特に、閉じたか又は僅かに開いたエレベータかごのドアの範囲に対応するように、中間強度値範囲は、中間距離の範囲に、特に、部分的に開いたエレベータかごのドアの範囲に対応するように、低強度値範囲は、長距離の範囲に、特に、広く開いたか又は完全に開いたエレベータかごのドアの範囲に対応するように、また、短距離、中間距離、長距離の範囲はそれぞれ互いに連続するように、特に、互いに直接連続するように構成されている。
【0013】
これによって、具体的に定義された評価が実行可能になるという有利な点がもたらされる。
【0014】
好ましくは、ライトグリッドは、信号を無線で転送する装置を有する。
【0015】
これによって、信号の受信や、データ転送後の信号の評価と出力を外部サーバ上でも実行し得るという有利な点がもたらされる。
【0016】
好ましくは、送信ストリップ及び/又は受信ストリップは、スライドドア、特にエレベータかごのドアに取り付けるために設けられる。
【0017】
これによって、容易な取り付けが可能になるという有利な点がもたらされる。
【0018】
本発明に係るスライドドア、特にエレベータかごのドアは、前述した本発明に係るライトグリッドを備えるスライドドア、特にエレベータかごのドアである。この場合、送信ストリップ及び/又は受信ストリップは、ドアリーフに固定される。
【0019】
これによって、上述した有利な点がもたらされる。
【0020】
本発明にかかるエレベータは、前述した本発明に係るライトグリッドを備えるエレベータである。
【0021】
これによって、上述した有利な点がもたらされる。
【0022】
本発明のさらなる特徴は、図面において詳細に特定される。
【0023】
各ケースで述べた有利な点は、述べられていない文脈における特徴の組み合わせについても実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
[図面の概要]
本発明の例示的な実施形態は以下の図面に示されており、下記においてさらに詳細に説明される。この場合、各図における同一の参照符号は、互いに対応している要素を指定するものである。
【
図2a】
図2aは、エレベータかごの、開いた両開きのスライドドアを示す。
【
図2b】
図2bは、エレベータかごの、半ば開いた両開きのスライドドアを示す。
【
図2c】
図2cは、エレベータかごの、閉じられた両開きのスライドドアを示す。
【
図3a】
図3aは、正常に閉まるスライドドアの距離曲線を示す。
【
図3b】
図3bは、反転して閉まるスライドドアの距離曲線を示す。
【
図4a】
図4aは、正常に閉まるスライドドアの強度曲線を示す。
【
図4b】
図4bは、反転して閉まるスライドドアの強度曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[図面の詳細な説明]
図1は、送信ストリップ21と受信ストリップ22を備える、本発明のライトグリッド20を示す。送信ストリップ21は、3つの適格な送信エレメント31と、さらに、非適格な送信エレメント33を有する。適格な送信エレメント31は、特定の強度を持つ赤外線を放射することができる。受信ストリップ22は、3つの適格な受信エレメント32と、さらに、非適格な受信エレメント34を有する。適格な受信エレメント32は、受信した放射の強度について強度値を出力することができる。送信ストリップと受信ストリップは、垂直に、互いに平行に、同じ高さにおいて互いに対向して、それぞれ配置されている。送信エレメントと受信エレメントは、光線30を形成する。ある光線が遮断されると、受信ストリップは、遮断信号を出力する。適格な各送信エレメント31には、同じ高さにある適格な受信エレメント32が割り当てられており、これらは共に水平の送信ビーム30を形成する。ライトグリッド20は、さらに制御装置35を有する。
【0026】
図2aから
図2cは、エレベータかごの両開きのスライドドア10の、
図1のライトグリッド20を示している。送信エレメント31を備える送信ストリップは、両開きのスライドドアの一方のリーフ(扉)に固定され、送信エレメント32を備える受信ストリップは、両開きのスライドドアの反対側のリーフに固定される。残りの配置は、
図1にある通りである。送信ストリップと受信ストリップは、両開きのスライドドアに付随して動き、そのプロセス中は、互いに対して平行かつ同じ高さの配置を保つことで、光線が平行を維持し、対応する適格な送信エレメントと受信エレメントへ継続して割り当てられるようにする。送信ストリップと受信ストリップは、エレベータかごのドアが閉じるとき、エレベータかごのドアと共に距離を縮め、エレベータかごのドアが開くとき、エレベータかごのドアと共に距離を広げる。送信ストリップと受信ストリップとの間の距離は、一定の要因を除き、両開きのスライドドアの二枚のリーフ間の距離に対応している。
図2aは開いたドアを示す。
図2bは半ば閉じられたドアを示す。
図2cは閉じられたドアを示す。
【0027】
図3aが示す図表40は、
図2aから2cに従い、エレベータかごのドアが正常に開き、再び閉じることにつき、送信ストリップと受信ストリップとの間の距離を時間の関数として表したものである。
【0028】
X軸41は、時間の経過を示す。Y軸42は、送信ストリップと受信ストリップとの間の距離を示す。最小距離43は、エレベータかごのドアが閉じている状態での送信ストリップと受信ストリップとの間の距離である。最大距離45は、エレベータかごのドアが完全に開いている状態での送信ストリップと受信ストリップとの間の距離である。左から進んで、曲線のプロファイルが示すのは、閉じられたエレベータかごのドア、開扉プロセス46、エレベータかごのドアが最大距離45で完全に開いているときの任意の時間、閉扉プロセス48、そして最後は、再び最小距離43で閉じられたエレベータかごのドアの状態である。
【0029】
図3bは、
図3aによる図表40を示しているが、閉扉プロセス48の前に、ドアの反転47を伴う。
【0030】
左側におけるドアの反転47の開始は、本来、閉じるプロセスの開始である。しかし、この本来の閉じるプロセスの開始後すぐに、エレベータかごのドアは抵抗に遭い、ドア制御の通常の設定に基づいて再び開く。示された図表では、この反転は、閉扉48における新たな、今度は成功した試みにおいて抵抗が克服されるまで3回繰り返され、その際、エレベータかごのドアは実際に閉じ、最小距離43で閉じられる。抵抗は、例えば汚れたガイドストリップ、又はガイドストリップの中の小石によって生じたものであってもよい。
【0031】
3回のドアの反転47の間、エレベータかごのドアは、3回、部分的に閉じ、再び完全に開く。従って、送信ストリップと受信ストリップとの間の距離は、ドアの反転47の間、最大距離45と中間距離44との間で変動する。
【0032】
図4aが示す図表は、
図3aに従いエレベータかごのドアが通常通り開き、再び閉じることにつき、受信ストリップの適格な受信エレメントが受信した強度値を時間の関数として表したものである。
【0033】
X軸51は、時間の経過を示す。Y軸52は、適格な受信エレメントが受信した強度を示す。
【0034】
最大強度53は、エレベータかごのドアが閉じた状態での送信ストリップと受信ストリップとの間の距離に対応する。最小強度55は、エレベータかごのドアが完全に開いた状態での送信ストリップと受信ストリップとの間の距離に対応する。左から進んで、曲線のプロファイルは、最大強度53により閉じられたエレベータかごのドアを示し、強度の減少により開扉プロセス56を示し、最小強度55によりエレベータかごのドアが完全に開いているときを示し、再び上昇する強度により閉扉プロセス58を示し、最後は、再度の最大強度により閉じられたエレベータかごのドアの状態を示す。
【0035】
図4bは、
図4aに従う図表40を示しているが、
図3bに従い、閉扉プロセス58の前に、ドアの反転57を伴う。
【0036】
3回のドアの反転57の間、強度は、エレベータかごのドアが完全に開いた場合の最小強度55と、エレベータかごのドアが部分的に開いた場合の中間強度54との間で変動する。
【0037】
前述したタイプの改定の最小強度55は低強度52cの範囲にとどまり、このタイプの改定の中間強度54は、中間強度52bの範囲にとどまり、高強度の範囲に到達しないことは明らかである。低強度の範囲と中間強度の範囲の間の遷移は、所定の第一限界値54aにより定義される。中間強度の範囲と高強度の範囲の間の遷移は、所定の第二限界値53aにより定義される。
【0038】
したがって、前述したタイプの改定の強度は、低強度52cと中間強度52bの隣接範囲の間で変動し、高強度52aの隣接範囲に到達することはない。
【0039】
制御装置35は強度のプロファイルを監視し、強度が低強度52cの範囲と中間強度の範囲との間を直接6回交替する場合は、多数回のドア反転について信号を発する。
【符号の説明】
【0040】
[参照符号一覧]
10…かごのドア、20…ライトグリッド、21…送信ストリップ、22…受信ストリップ、30…光線、31…適格な送信エレメント、32…適格な受信エレメント、33…単純な送信エレメント、34…単純な受信エレメント、35…制御装置、40…距離の曲線、41…時間軸、42…距離軸、43…最小距離、44…中間距離、45…最大距離、46…開扉、47…ドアの反転、48…閉扉、50…強度の曲線、51…時間軸、52…強度軸、52a…高強度の範囲、52b…中間強度の範囲、52c…低強度の範囲、53…最大強度、53a…限界値、54…中間強度、54a…限界値、55…最小強度、56…開扉、57…ドアの反転、58…閉扉
【外国語明細書】