(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035227
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】外装材、容器、及び容器と外装材の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B65D81/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142262
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】63/403,090
(32)【優先日】2022-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA07B
3E067BA20C
3E067BB01C
3E067BC03C
3E067CA18
3E067FA01
3E067GA11
3E067GD10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】紙系素材を少なくとも一部に用いて断熱性能に優れた断熱シートを提供する。
【解決手段】断熱シートが、繊維を有する紙系素材から形成され、一方面側に複数の凸部を有する第1のシートと、前記第1のシートの前記凸部に向かい合う第2のシートと、を備え、少なくとも一部の前記凸部は、基端部を有し、且つ、前記紙系素材を構成する前記繊維の密度として定められる繊維密度が前記基端部における前記繊維密度よりも小さい低密度部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体を有する容器の前記容器本体の外周面に取り付けられて用いられ、
紙系素材を有するブランク材から形成され、
前記外周面との向き合い面側に突出し基端部と先端部を有する複数の凸部を有し、
少なくとも一部の前記凸部として、複数の第1の凸部と、少なくとも異なる2つの前記第1の凸部につながる第2の凸部と、を有し、
前記第1の凸部のほうが、前記第2の凸部よりも、前記外周面との向き合い面側に突出しており、
少なくとも一部の前記凸部は、前記紙系素材を構成する繊維の密度が前記基端部における前記密度よりも小さい低密度部を有する、
外装材。
【請求項2】
前記第1の凸部及び前記第2の凸部の組み合わせで形成される組み合わせ構造部が形成されている、
請求項1に記載の外装材。
【請求項3】
少なくとも一部の前記凸部に形成される前記低密度部のうちの少なくとも一部は、前記第1の凸部から前記第2の凸部まで延びている、
請求項1に記載の外装材。
【請求項4】
少なくとも一部の前記凸部に形成される前記低密度部のうちの少なくとも一部は、前記第1の凸部又は前記第2の凸部に形成されている、
請求項1に記載の外装材。
【請求項5】
少なくとも一部の前記凸部は、
前記低密度部よりも前記先端部に寄った位置に前記ブランク材の厚み方向を横切る方向に延び前記外周面の少なくとも一部を隠蔽する隠蔽部を形成しており、
前記低密度部の前記繊維の前記密度が、前記隠蔽部の前記繊維の前記密度よりも小さい、
請求項1に記載の外装材。
【請求項6】
前記低密度部は、前記先端部から前記基端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分を有する、
請求項1に記載の外装材。
【請求項7】
前記低密度部は、前記基端部から前記先端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分を有する、
請求項1に記載の外装材。
【請求項8】
前記低密度部では、前記先端部から前記基端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分と、前記基端部から前記先端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分がつながっている、
請求項1に記載の外装材。
【請求項9】
前記凸部は、前記外周面との非向き合い面側に凹面を形成している、
請求項1に記載の外装材。
【請求項10】
前記凸部には、スリット部が形成されている、
請求項1に記載の外装材。
【請求項11】
前記外周面との非向き合い面側に、表面シートが積層されている、
請求項1に記載の外装材。
【請求項12】
少なくとも一部の前記凸部は、樹脂を有する、
請求項1に記載の外装材。
【請求項13】
少なくとも一部の前記第2の凸部は、再粘着性樹脂を有する、
請求項1に記載の外装材。
【請求項14】
前記外周面に取り付けられるスリーブとして用いられる、
請求項1に記載の外装材。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の外装材が、前記容器本体の前記外周面に取り付けられている、
容器。
【請求項16】
前記容器本体を有する容器と、
請求項1から14のいずれか1項に記載の外装材と、を有する、
容器と外装材の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装材、容器、及び容器と外装材の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に温度の高い内容物が収容された場合に容器の外周面の温度上昇のスピードを緩やかにすることが要請されている。また、容器に温度の低い内容物が収容された場合に容器の外周面の結露を抑制することが要請されている。これらのことから容器には、外周面の断熱性を高めることが要請されている。ここにいう内容物としては、例えば、コーヒーなどの飲料、麺類などの食品、及び氷などを具体的に挙げることができる。
【0003】
上記の要請に対して、特許文献1、2には、容器の外周面を取り巻くように外装材としてスリーブを設け、スリーブにおける外周面との向き合い面側に突出した凸部を設け、スリーブと容器の外周面との間に断熱性を向上させるための空間を形成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50-031073号公報
【特許文献2】特表2014-513650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2では、スリーブの外周面の意匠性を向上させる点や、スリーブと同じ構造を有する容器の外周面の意匠性を向上させる点で改善の余地がある。
【0006】
また、スリーブを装着した容器の内部に内容物として温度の高いものを収容した場合に、断熱性を十分に維持できる時間が短く、容器の外周面の温度上昇のスピードを緩やかにする点で改善の余地がある。例えば、容器に温度の高い内容物が収容された場合に容器の外周面の温度上昇のスピードが速ければ、容器の外周面を掴んだ状態を維持しながら容器を持ち運ぶことが難しい。仮に、容器を手に取ってその容器を持ち運ぶ場合には、例えば、容器の下端と上端に指をかけることで、指で容器を上下に挟んだ状態にて容器を持ち運ぶことが行われる。この場合、指が容器の上端にかかるため、容器の内容物が指に触れる可能性があり、指にやけどを生じる虞がある。
【0007】
また、特許文献1及び特許文献2に提示された技術では、内容物として温度の低いものを収容した場合に、容器の外周面に結露が生じるまでの時間が短い点で改善の余地がある。例えば、容器に温度の低い内容物が収容された場合に容器の外周面に結露がすぐに生じてしまうと、手で容器の外周面を掴んだ場合に手から容器がすべりおちてしまう虞がある。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、意匠性の向上を容易とするとともに断熱性に優れた外装材、容器及び容器と外装材の組み合わせを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次の(1)から(15)にかかる発明を要旨とする。
(1)容器本体を有する容器の前記容器本体の外周面に取り付けられて用いられ、紙系素材を有するブランク材から形成され、前記外周面との向き合い面側に突出し基端部と先端部を有する複数の凸部を有し、前記凸部として、複数の第1の凸部と、少なくとも異なる2つの前記第1の凸部につながる第2の凸部と、を有し、前記第1の凸部のほうが、前記第2の凸部よりも、前記外周面との向き合い面側に突出しており、少なくとも一部の前記凸部は、前記紙系素材を構成する繊維の密度が前記基端部における前記密度よりも小さい低密度部を有する、外装材。
(2)前記第1の凸部及び前記第2の凸部の組み合わせで形成される組み合わせ構造部が形成されている、上記(1)に記載の外装材。
(3)少なくとも一部の前記凸部に形成される前記低密度部のうちの少なくとも一部は、前記第1の凸部から前記第2の凸部まで延びている、上記(1)に記載の外装材。
(4)少なくとも一部の前記凸部に形成される前記低密度部のうちの少なくとも一部は、前記第1の凸部又は前記第2の凸部に形成されている、上記(1)に記載の外装材。
(5)少なくとも一部の前記凸部は、前記低密度部よりも前記先端部に寄った位置に前記ブランク材の厚み方向を横切る方向に延び前記外周面の少なくとも一部を隠蔽する隠蔽部を形成しており、前記低密度部の前記繊維の前記密度が、前記隠蔽部の前記繊維の前記密度よりも小さい、上記(1)に記載の外装材。
(6)前記低密度部は、前記先端部から前記基端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分を有する、上記(1)に記載の外装材。
(7)前記低密度部は、前記基端部から前記先端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分を有する、上記(1)に記載の外装材。
(8)前記低密度部では、前記先端部から前記基端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分と、前記基端部から前記先端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分がつながっている、上記(1)に記載の外装材。
(9)前記凸部は、前記外周面との非向き合い面側に凹面を形成している、上記(1)に記載の外装材。
(10)前記凸部には、スリット部が形成されている、上記(1)に記載の外装材。
(11)前記外周面との非向き合い面側に、表面シートが積層されている、上記(1)に記載の外装材。
(12)少なくとも一部の前記凸部は、樹脂を有する、上記(1)に記載の外装材。
(13)少なくとも一部の前記第2の凸部は、再粘着性樹脂を有する、上記(1)に記載の外装材。
(14)前記外周面に取り付けられるスリーブとして用いられる、上記(1)に記載の外装材。
(15)上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の外装材が、前記容器本体の前記外周面に取り付けられている、容器。
(16)容器本体を有する容器と、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の外装材と、を有する、容器と外装材の組み合わせ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、意匠性を向上させることが可能な外装材、容器及び容器と外装材の組み合わせを提供することができる。例えば、第2の凸部を文字や特定の意匠に対応したレイアウトとすることで、特定の文字を模した意匠を施された外装材や特定の意匠に対応した意匠を施された外装材を得ることができるため、意匠性に優れた外装材を得ることができる。
【0011】
本発明によれば、断熱性に優れた外装材、容器及び容器と外装材の組み合わせを提供することができる。具体的に使用者が温度の高い内容物を収容した容器を手に取ってその容器を持ち運ぶ場合においても、例えば、指で容器を上下に挟んだ状態にて容器を持ち運ぶ必要性を低減することができることから、容器の内容物が指に触れる可能性を抑制することができ、高い温度の内容物で指にやけどを生じる虞も抑制することができる。
【0012】
また、本発明によれば、内容物として温度の低いものを収容した場合において、容器の外周面に結露が生じにくくなる。したがって、本発明によれば、例えば、容器に温度の低い内容物が収容された場合に手で容器の外周面を掴んだ場合に結露によって手から容器がすべりおちてしまうという虞を、抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1Aは、第1の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。
図1Bは、
図1AのA-A線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図1Cは、
図1AのB-B線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図1Aは、第1の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。
図1Bは、
図1AのC-C線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。
【
図4】
図4Aは、第2の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。
図4Bは、
図4AのD-D線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図4Cは、
図4AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図5B】
図5Bは、
図5AのF-F線縦断面を説明するための断面図及び一点鎖線XSで囲まれた部分を拡大した状態を説明するための部分拡大断面図である。
【
図5C】
図5Cは、外装体を容器本体に取り付けた状態における凸部と容器本体の外周面との接する部分を説明するための一実施例を説明するための断面図である。
【
図7A】
図7Aは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図7B】
図7Bは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図7C】
図7Cは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図8A】
図8Aは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図8B】
図8Bは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図9A】
図9Aは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図9B】
図9Bは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図9C】
図9Cは、第1の実施形態における低密度部を有する凸部の一実施例を説明するための平面図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。
【
図11】
図11は、外装材を取付けた容器の一実施例を説明するための断面図である。
【
図12】
図12は、外装材をスリーブとして用いる場合の一実施例を説明するための斜視図である。
【
図15】
図15Aは、第4の実施形態の一実施例を説明するための断面図である。
図15Bは、第5の実施形態の一実施例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明にかかる断熱シートについて、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態、及び第5の実施形態の順に図面を参照しながら説明する。また、応用例についてもあわせて説明する。
【0015】
本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、これらの実施の形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して、前後、左右、上下等の方向及び水平面の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。
図1の例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)であるものとし、Z軸方向を法線とする平面上に定められた互いに直交するX軸及びY軸に沿った方向をX軸方向及びY軸方向とし、さらにX軸とY軸で貼られた平面であるXY平面が水平面であるものとし、これらに基づき説明を行う。X軸、Y軸、Z軸については、
図1の他の図面(
図2から
図15)についても同様である。
図1から
図15の各図に示す大きさ等の相対的な大小比率は便宜上の記載であり、実際の大小比率を限定するものではない。
【0017】
[1 第1の実施形態]
[1-1 構成]
第1の実施形態にかかる外装材1は、容器本体(以下単に、本体と呼ぶことがある)を有する容器の前記容器本体の外周面に取り付けられて用いられることができる。外装材1は、
図1、
図5及び
図6に基づき説明するように、基材となるシート3と、容器本体の外周面に取り付けられた場合にシート3から外周面との向き合い面側に突出し基端部と先端部を有する複数の凸部Gを有する。外装材1は、凸部Gとして、複数の第1の凸部22と、少なくとも異なる2つの前記第1の凸部につながる第2の凸部23とを有する。
図1Aは、第1の実施形態にかかる外装材1の一実施例を示す斜視図である。
図1Bは、第1の実施形態にかかる外装材1について、
図1AのA-A線断面に対応する一実施例を示す断面図が示されている。
図1Cは、
図1AのB-B線断面に対応する一実施例を示す図であり、第2の凸部23の一例を説明するための断面図である。
図6は、
図1Bの領域X1を拡大した状態を模式的に示す図である。
図5Aは、第1の凸部22が
図1Bに示す凸部9に対応する構造を有する場合の例が示されている。
【0018】
(凸部)
外装材1においては、少なくとも一部の凸部Gは、後述する低密度部12を有する。第1の実施形態では、少なくとも第1の凸部22について、少なくとも一部の第1の凸部22に低密度部12が形成されている場合を例として説明を続ける。ただし、このことは、第2の凸部23に低密度部12が形成されることを禁止するものではない。なお、本発明の効果をより高める観点からは、第1の凸部22に低密度部12が形成されていることが好ましい。また、
図1Aの例に示すように第1の凸部22の全てが第2の凸部23に繋がっていてもよいし、第1の凸部22の一部が第2の凸部23に繋がっていてもよい。
【0019】
(外装材の形状)
外装材1は、容器500の容器本体502の外周面504に取り付けることができる構造を有する。外装材1は、シート状に形成され、容器500の容器本体502に取り付けられる際に、容器本体502の外周面504の形状に対応した形状に整えられてよい。
【0020】
例えば、容器500が、コーヒー等を入れることが可能な上面側を開口させ下方向に向かって縮径した円筒状の外周面504を有する場合、
図10に示すように外装材1が、扇型状のシートとして形成され、扇形の両端(側端部43)を接着剤などで接合することで容器500の容器本体502に容易に取り付けることができる構造体とすることができる。
図10は、外装材1の一実施例を示す平面図である。これは、例えば両面接着テープを一方の側端部43に取り付け、他方側の側端部43を重ねることで接着テープを介して両方の側端部43を接着することで実現できる。
図10では説明の便宜上、全ての第1の凸部22が凸部9を兼ねており、凸部9に副隆起部9Dを形成している場合を例として図示している。ただし、これは一例であり、後述するように外装材1は、容器本体502に固定されて容器500の一部を構成してもよいし、予め容器本体502の外周面504の形状に対応した形状とされて容器500とは別体の部材としてのスリーブ560とされてもよい。
【0021】
(シート)
凸部Gを形成される基材となるシート3は、少なくとも一部を紙系素材で形成された繊維シート18で構成されている。
図1の例では、シート3は、全体的に紙系素材を用いて形成されている。すなわちこの例において、繊維シート18は、紙系素材で形成された紙系シートである。繊維シート18を形成する紙系素材(繊維シート18の材質)としては、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される、いわゆる紙類の他、化学繊維紙、合成紙、耐水紙、コート紙、代替紙、羊皮紙、羊毛紙、ガラス繊維紙、ストーンペーパー、陶紙等が挙げられる。紙系素材は、再生紙であってもよいし、非再生紙であってもよい。なお、シート3の材質として、繊維素材を有するものが使用されていれば、非紙系素材が用いられることを禁止するものではない。非紙系素材としては、布巾系素材(織布素材や不織布素材)等を挙げることができる。不織布素材としては、例えば、空気流によって積繊した粉砕パルプを結合してシート状に形成したいわゆるエアレイドシート、パルプ系素材、天然繊維素材や合成繊維等の繊維の不織布を挙げることができる。繊維シート18の材質として、紙系素材と非紙系素材とを組み合わせたものを用いることも可能である。
【0022】
(第1の凸部)
外装材1においては、第1の凸部22のほうが、第2の凸部23よりも、外周面との向き合い面側に突出している。少なくとも一部の第1の凸部22は、
図1A、
図1B、
図1Cなどに示すように、第2の凸部23とつながっている。
図6に示すように、少なくとも一部の第1の凸部22には、先端部22Aと基端部22Bとの間に低密度部12が形成される。なお、
図1A、
図1B、
図1C、
図6において、符号92Aは、第1の凸部22の凸面を示し、符号92Bは、第1の凸部22の凹面を示す。
【0023】
図1Bの例では、第1の凸部22は、第2の凸部23の上からさらに第2の凸部23の突出方向と同じ方向に突出した形状に形成されている。したがって第1の凸部22において基端部22Bが第2の凸部23の上に位置しており、第1の凸部22の先端部22Aが第2の凸部23の上からさらに突出した位置に形成されている。なお、周辺部15は、第1の凸部22と第2の凸部23を除いた部分で形成されており、
図1Aに示す例では、隣り合う第2の凸部23の間に形成されている。
【0024】
ただし、第2の凸部23の上からさらに第2の凸部23の突出方向と同じ方向に突出した形状に形成されている場合において、シート3において少なくとも一部の第1の凸部22の基端部22Bについて、基端部22Bの少なくとも一部が第2の凸部23から外れた位置に形成されてよい。また、基端部22Bの少なくとも一部が第2の凸部23の基端部23Bに一致してもよい。例えば、
図2A、
図2Bに示す例では、第2の凸部23の長手方向に沿った端部付近に形成された第1の凸部22の基端部22Bの一部が第2の凸部23の基端部23Bに一致している。
図2Aは、第2の実施形態にかかる外装材1の一実施例を模式的に示す平面図である。
図2Bは、
図2AのC-C線縦断面の状態を示す断面図であり、第1の凸部22と第2の凸部23を示す図である。
【0025】
(第2の凸部)
シート3は、第2の凸部23を複数有する。第2の凸部23は、第1の凸部22と同じく、容器本体502の外周面504に取り付けられた場合にシート3から外周面504との向き合い面3A側に突出している。また、
図1Cに示すように、第2の凸部23は、少なくとも異なる2つの第1の凸部22を含む領域に形成されている。第2の凸部23は、少なくとも異なる2つの第1の凸部22をつなぐように形成されている。
図1A、
図1Bの例では、第2の凸部23は、隣接する2つの異なる第1の凸部22を繋ぐように形成されている。なお、
図1A、
図1Bにおいて、符号93Aは、第2の凸部23の凸面を示し、符号93Bは、第2の凸部23の凹面を示す。符号23Aは、第2の凸部23の先端部、符号23Bは、第2の凸部の基端部を示す。これらは、
図1C、
図2A、
図2B、
図3等についても同様である。
【0026】
ここに、1つの第1の凸部22に対して隣接する第1の凸部22は、その1つの第1の凸部22に対して直接的に向かい合う第1の凸部22を示す。
【0027】
図1Bに示すように第2の凸部23の上に第1の凸部22が形成されているようなレイアウトとなることで2つの第1の凸部22を繋いでもよいが、第2の凸部23は、このようなレイアウトに限定されない。第2の凸部23は、2つの第1の凸部22の凸面92Aを繋ぐように形成されてもよい。この場合、第1の凸部22の基端部22Bの一部は、第2の凸部23から外れた位置に形成される。
【0028】
(第2の凸部)
第2の凸部23は、
図1Aに示す例では、斜め方向に帯状に伸びる形状に形成され、間隔をあけて複数の第2の凸部23が並ぶように形成されている。それぞれの第2の凸部23は、斜めに隣り合う第1の凸部22をつなぐとともに、第2の凸部23の上側(凸面93A側)に第2の凸部23の長手方向に沿って複数の第1の凸部22を形成させている。このとき、第2の凸部23の上側で、複数の第1の凸部22が所定の間隔で並んでいる。隣り合う第1の凸部22の間隔は一定でもよいし、異なってもよい。
【0029】
(第2の凸部の形状)
第2の凸部23の形状は、
図1Cの例では、断面台形状に形成されている。なお、第2の凸部23の形状は、
図1Cの例に限定されず、その他の形状であってもよい。例えば、第2の凸部23の形状は、断面U字状でもよいし、断面矩形状でも、断面山形状でも、不定形でもよい。第2の凸部23の平面視上の形状は、
図1Aでは帯状の形状で直線状に延びるように形成されているが、このような場合に限定されず、第2の凸部の形状は、折れ線状でもよいし曲線状でもよい。また、第2の凸部の形状は、帯状に限定されず、ドット状でもよいし、矩形状でもよい。
【0030】
(第2の凸部の高さ)
第2の凸部23の高さ(周辺部15から先端部23Aまでの高低差)(H2)は、
図1Bに示すように、第1の凸部22の全高さ(周辺部15から先端部22Aまでの高低差)(H1)よりも低くなるように形成される。これにより、外装材1を容器本体502の外周面504に取り付けた場合に、第1の凸部22の先端部9Aが容器本体502の外周面504に接した状態とし、且つ、第2の凸部23が容器本体502の外周面504から離間した状態とすることができる。このように第2の凸部23の高さが第1の凸部22よりも低くなるように形成されていることで、シート3と容器本体502の外周面504との接触面積が過剰に増えた状態が継続する虞を抑制することができ、シート3の断熱性を保持することができる。
【0031】
(第1の凸部と第2の凸部の形成)
第1の凸部22は、エンボス加工によるエンボス部(第1の凸状エンボス部)として形成することができる。第2の凸部23は、エンボス加工によって形成されたエンボス部(第2の凸状エンボス部)として形成することができる。第2の凸部23は、第1の凸部22をエンボス加工で形成する際に、第1の凸部22と一体的に形成されてよい。また、第1の凸部22と第2の凸部23は、個別にエンボス加工されてもよい。
【0032】
(凸部Gのピッチ及びレイアウト)
凸部Gのピッチは、特に限定されないが、凸部Gの基端部の外径(直径)よりも大きいことが好ましい。
図1Aの例に示すように、凸部Gのピッチは、隣り合う凸部の中心間距離を示すものとする。凸部GのピッチPIが大きいことで隣り合う凸部9の間がやや離れた状態を形成することができる。また、凸部9の間がやや離れた状態となっている場合、シート3の製造工程上、後述する低密度部12を形成することが容易となる。また、隣り合う凸部9のピッチは、一定(均等)であってもよいし、不均一でもよい。
図1Aから
図1Cは、凸部9のレイアウトの一実施例を示す図である。
図1Aでは、凸部9がピッチの均一な千鳥状に配置されている。このほかにも、凸部9がピッチの均一な格子状に配置されてもよい。
【0033】
(低密度部を有する凸部)
シート3に形成される凸部Gのうち低密度部12を形成した凸部9の構造について説明する。
図5から
図9は、低密度部12を形成した凸部9を説明する図である。少なくとも一部の凸部9は、第1の凸部22を兼ねている。
図5Aから
図5C、
図6では、凸部9が第1の凸部22を兼ねている場合の一例を示している。
【0034】
上述したようにシート3は、一方面側に複数の凸部9を有する。凸部9は、シート3の面のうち容器本体の外周面との向き合い面3A側に突出している。凸部9は、基端部9Bと先端部9Aを有している。
【0035】
また、
図5A、
図5Bの例に示す外装材1では、凸部9は、シート3の平面視上、ドット状に形成されており、少なくとも一部の凸部9について、隣り合う凸部9の基端部9Bが離れている。ただし、これは一例であり、一部の凸部9について、ドット状とは異なる形状に形成されてもよい。また、隣り合う凸部9の基端部9Bがつながっていてもよい。
【0036】
(凸部の形状)
凸部9の凸面90の形状は、
図5A、
図5B、
図6に示すように、略ドーム状に形成された主隆起部9Cの先端側に隆起した部分(副隆起部9Dと呼ぶことがある)を有する形状となっている。ただし、
図5A、
図5B、
図6は、凸部9の一実施例を示す平面図と断面図である。
図5Aは、凸部9の部分を模式的に示す拡大平面図である。
図5Bは、
図5AのF-F線縦断面の状態を模式的に示し、凸部9及びその周囲を示す拡大断面図となっている。なお、
図5A、
図5Bに示す凸部9は、一例であり、凸部9の形状を限定するものではない。例えば、凸部9の主隆起部9Cの形状は、三角錐台状や四角錐台状などの垂台形状、円錐台状、柱状等であってもよい。また、副隆起部9Dは、主隆起部9Cの形状が、三角錐状や四角錐状などの垂形状、円錐台状、柱状等である場合も凸部9の先端側に形成されてよい。副隆起部9Dの形状は、
図5A、
図5Bの例では円盤状となっているが、これは一例であり、
図5A、
図5Bの形状に限定されるものではない。
【0037】
(基端部)
凸部9の基端部9Bは、凸部9の外側に形成される周辺部15から凸部9が立ち上がる部分で構成されている。周辺部15は、隣り合う凸部9の間に形成される。
図1A、
図1B、
図2B等の例では、シート3のうち凸部9を除いた部分が周辺部15となっている。
【0038】
(先端部)
凸部9の先端部9Aは、凸部9の先端を含む所定の部分(先端及びそれに隣り合う部分)として定義することができる。
図5A、
図5Bの例では、凸部9の副隆起部9Dの中心を含む所定の部分(副隆起部9Dの前面部9D1)が凸部9の先端部9Aとなっている。先端部9Aは、繊維が存在する部分となっており、紙系素材を構成する複数の前記繊維が横断する部分となっている。
【0039】
(圧縮部)
凸部9の先端部9Aの構成は、特に限定されるものでないが、先端部9Aには、圧縮部16が形成されていることが好ましい。圧縮部16は、基端部9Bよりもシート3を形成するための繊維シート18の圧縮率が高い部分である。
図5A、
図5Bの例では、凸部9の全体のうち基端部9Bと低密度部12を除く部分が圧縮部16となっている。したがって、この例において、圧縮部16が少なくとも先端部9Aには形成されている。少なくとも先端部9Aに圧縮部16が形成されていると、凸部9の少なくとも先端部9Aにコシがある状態が形成され、先端部9Aを容器本体の外周面に接触させた状態で凸部9の形状が崩れにくくなり、凸部9の形状が崩れて凸部9と容器本体の外周面との接触面積が必要以上に増加してしまう虞を低減することができる。
【0040】
(圧縮部の厚み)
圧縮部16の厚みは、基端部9Bの厚みよりも薄いことが好ましい。このような構成は、後述する繊維シート18にエンボス加工を施す際に、圧縮部16に対応する部分が基端部9Bに対応する部分よりも高い所定の圧力で押圧されることで、実現することができる。
【0041】
(平坦面)
図5A、
図5Bの例に示すように、凸部9の先端部9Aに平坦面17が形成されていることが好適である。先端部9Aに平坦面17が形成されている場合、シート3を容器本体の外周面と接合させた場合に、先端部9Aで容器本体の外周面の表面に接触した状態を安定的に形成することが容易となる。ただし、このことは、シート3において凸部9の先端部9Aが平坦面17である場合に限定するものではない。シート3における凸部9の先端部9Aが、凹面を有してもよいし、凸面を有してもよい。
【0042】
(低密度部)
複数の凸部9のうち少なくとも一部の凸部9は、
図5A、
図5Bに示すように、低密度部12を有する。低密度部12は、紙系素材を形成する繊維18Aの密度(繊維密度)が基端部9Bにおける繊維18Aの密度(繊維密度)よりも小さい部分として定めることができる。紙系素材を形成する繊維18Aの密度は、シート3を形成した状態における繊維シート18を構成する繊維18Aの密度を示す。
【0043】
低密度部12は、
図5A、
図5Bの例では、凸部9の凸面90に沿って基端部9Bと先端部9Aの間の位置に形成されている。
図5A、
図5Aの例では、低密度部12は、凸部9の凸面90に沿って先端部9Aの外周縁よりも基端部9B側の位置に形成されており、すなわち副隆起部9Dの側面部9D2に形成されている。
【0044】
低密度部12は、先端部9Aにおける繊維18Aの密度(繊維密度)よりも密度が小さい部分であることが好ましい。また、低密度部12は、周辺部15における繊維18Aの密度よりも密度が小さいことが好ましい。ただし、低密度部12は、複数の繊維18Aが存在する部分であるものとする。なお、低密度部12は、後述するスリット状構造部35と同様に、繊維シート18に対して該繊維シート18の面方向に引っ張り力を付加された場合に低密度部12の輪郭形状の変化を規制される程度に繊維18Aが存在する部分、となっていることが好適である。また、低密度部12は、低密度部12の輪郭位置近傍の繊維18Aを凸部9の凸面90から外側に向かって変位させることを規制する程度に繊維18Aが存在する部分、となっていることが好適である。
【0045】
(繊維密度)
繊維密度(繊維18Aの密度)は、緊度を示すものとする。繊維密度は、例えば、凸部9の所定部分を切り出して切り出された部分における坪量と厚みを測定し、坪量を厚みで除してられた値(坪量/厚み)に基づき特定することができる。
【0046】
切り出された部分については、特定しようとする部分に応じて定めることができる。例えば、基端部9Bの繊維18Aの密度は、基端部9Bから任意に選択された複数個所における所定の部分を切り出し、その切り出された部分における繊維18Aの密度の算術平均値として定めることができる。先端部9Aの繊維18Aの密度は、先端部9Aを切り出し、その切り出された部分における繊維18Aの密度として定めることができる。また、周辺部15の繊維18Aの密度は、周辺部15から任意に選択された複数個所における所定の部分を切り出し、その切り出された部分における繊維18Aの密度の算術平均値として定めることができる。ただし、ここに記載する繊維密度の特定方法は、一例であり、他の方法を用いられることを禁止するものではない。上記の他にも、光透過率の測定等を特定方法として繊維密度が小さくなることが特定されてもよい。
【0047】
(低密度部の形状)
低密度部12の形状は、特に限定されないが、
図5A、
図5B、
図6の例では、上下方向の位置(Z軸方向の位置)において凸部9の基端部9Bから先端部9Aまで間の位置に、XY平面方向に曲線状に延びる裂け目状に形成されている。なお、低密度部12が裂け目状に形成されているとは、繊維シート18の目視外観上において繊維18Aの量が少ないように認識される部分が線状に延びていることを示す。この場合、線状には、直線状、折れ線状及び曲線状、それらの組み合わせが含まれる。
【0048】
低密度部12は、凸部9の先端部9Aの周囲を取り巻くように形成されていることが好ましい。
図5A、
図5Bの例では、低密度部12が、シート3の平面視上、凸部9の先端部9Aの全周囲を取り巻くように形成されている。ただし、このことは、低密度部12のレイアウトを限定するものではない。例えば、
図7Aに示すように低密度部12が、凸部9の先端部9Aから基端部9Bの方向に延びる部分を有してもよい。
図7Bに示すように低密度部12が、凸部9の先端部9Aの周囲の一部に形成されてよい。また、低密度部12は、凸部9の凸面90に沿って互いに異なる位置に形成されてよい。例えば、
図7Cに示すように、複数の低密度部12が、凸部9の先端部9Aに近い位置と基端部9Bに近い位置に離れて形成されてもよい。
【0049】
(第1の部分)
低密度部12は、第1の部分19を有することが好ましい。低密度部12における第1の部分19は、先端部9Aから基端部9Bに向かって凸部9を形成する紙系素材を構成する繊維18Aの密度(繊維密度)が小さくなる部分として定義される。
図5Bの例では、第1の部分19は、低密度部12のうち先端部9Aに近い端部12A側の位置に形成されている。
【0050】
繊維密度が小さくなることは、例えば、第1の部分19を複数の区画に均等寸法に分割して各区画における密度を定め、それらの区画のうち、先端部9Aに近い区画における密度と、基端部9Bに近い位置における密度を対比することで特定することができる。
【0051】
(第2の部分)
低密度部12は、第2の部分20を有することが好ましい。低密度部12における第2の部分20は、基端部9Bから先端部9Aに向かって凸部9を形成する紙系素材を構成する繊維18Aの繊維密度が小さくなる部分として定義される。
図5Bの例では、低密度部12のうち基端部9Bに近い端部12B側の位置に形成されている。
【0052】
第2の部分20について繊維密度が小さくなることは、例えば、第1の部分19と同様にして特定することができる。
【0053】
(第1の部分と第2の部分の位置関係)
低密度部12は、第1の部分19と第2の部分20とがつながるように形成されていることが好ましい。すなわち、低密度部12では、先端部9Aから基端部9Bに向かって紙系素材を構成する繊維18Aの繊維密度が小さくなる部分と、基端部9Bから先端部9Aに向かって紙系素材を構成する繊維18Aの繊維密度が小さくなる部分がつながっていることが好ましい。
【0054】
なお、低密度部12には、第1の部分19と第2の部分20の間に、繊維密度がおおむね一定である部分が介在してもよい。繊維密度がおおむね一定である部分には、繊維密度が均一である場合のほか、第1の部分19と第2の部分20よりも繊維密度のばらつきが小さい部分が含まれる。
【0055】
(非向き合い面)
シート3において、容器本体502の外周面504との非向き合い面3B側には、
図5A、
図5Bの例では、凸部9の凸面90に対応した部分(裏面側)に凹面91が形成されている。凹面91は、凸部9の凸面90に対応した形状に形成されてよい。したがって、非向き合い面3Bには、複数の凹面91の形成領域が形成されている。複数の凹面91の形成領域のレイアウトやピッチは、凸部9のレイアウトやピッチに対応している。ただし、これは非向き合い面3Bの一例であり、非向き合い面3Bに、後述するように凸状の構造が形成されてもよい。
【0056】
(隠蔽部)
凸部9には、低密度部12よりも先端部9Aに寄った位置に隠蔽部21が形成されていることが好ましい。隠蔽部21は、シート3の露出面側からの容器本体502の外周面504の露出を規制する。ここに、隠蔽部21としては、容器本体の外周面を外部から完全に隠蔽するように形成されている場合のほか、隠蔽部21を介してシート3の露出面側から容器本体502の外周面504の一部又は全部が透けて見えるように形成されている場合も含まれるものとする。隠蔽部21は、シート3の厚み方向に対して交差する方向に沿って延びるように形成されていることが好ましい。隠蔽部21は、平板状に形成されている場合のほか、湾曲や屈曲した形状に形成されていてよい。隠蔽部21は、低密度部12よりも繊維の密度が高い部分として構成されていることが好適である。
【0057】
凸部9において、隠蔽部21は、凸部9のうち先端部9Aの少なくとも一部を含む部分に形成されてよい。また、先端部9Aが隠蔽部21を兼ねてよく、先端部9Aの一部に隠蔽部21が形成されてよい。隠蔽部21が先端部9Aを含む部分にて形成されてよい。
図5A、
図5Bの例では、先端部9Aが隠蔽部21を兼ねている。なお、先端部9Aが隠蔽部21を含む場合(先端部9Aの内側に隠蔽部21が形成される場合と、先端部9Aに隠蔽部21の一部が形成される場合のいずれでもよい)には、先端部9Aに隙間や孔が形成されることで先端部9Aが隠蔽部21のほかに隙間や孔の構成を有する場合が、含まれる。
【0058】
[1-2 製造方法]
次に、第1の実施形態にかかる外装材1の製造方法について述べる。シート3を形成する紙系素材のシート(繊維シート18と呼ぶ)を準備する。外装材1は、シート3を形成するシート材に例えば特定のエンボス加工を施すことによって凸部Gを形成することで得ることができる。この場合、凸部Gは、凸状エンボス部として形成され、向き合い面3A側に凸面を形成し、凸面の形成部分に対応する非向き合い面3B側の位置には、凹面が形成されている。凹面は、凸面の凸面に対応した形状に形成されてよい。
【0059】
凸部Gのうち凸部9の低密度部12は、エンボス加工の条件や金型の形状などの各種の条件を設定することで形成することができる。なお、シート材は、凸部9を形成することができるものであり且つ紙系素材を用いたシート(繊維シート18)であれば特に限定されず、表面の平坦なシートであってもよいし、表面の非平坦なシートであってもよい。表面の非平坦なシートの例としては、表面に微細な波面(第1の凸部22と第2の凸部23のいずれよりも小さな高さの波面)等の連続凹凸面を形成したシートを例示することができる。
【0060】
低密度部12は、エンボス加工時に、繊維シート18を構成する繊維18Aを凸部9内の所定部分で局所的にほぐれさせることや、凸部9内の所定部分で局所的に繊維18Aの切断を生じさせることで形成することができる。たとえば、エンボス加工の工程において、繊維シート18の凸部9の先端部9Aに対応する部分が穿孔される前にエンボス型に挟まれ、さらに圧力が負荷されて繊維シート18の部分がエンボス型で押圧されることで、凸部9に対応する部分における先端部9Aよりも基端部9B側の所定位置で繊維18Aの少なくとも一部でほぐれや破壊を生じさせ、低密度部12を生じさせることが可能である。このとき、エンボス型において凸部9の先端部9Aの近傍に対応する部分が繊維シート18と面接触することで、低密度部12を生じさせる際に先端部9Aを穿孔されることを抑制するとともに隠蔽部21を形成することができる。隠蔽部21は、好ましくは、先端部9Aの少なくとも一部を含む部分に形成される。
【0061】
そして、エンボス加工を施された繊維シート18(エンボスシート)として外装材1が得られる。
【0062】
[1-3 作用及び効果]
第1の実施形態にかかる外装材1によれば、少なくとも一部の凸部Gとして第1の凸部22が形成されており、少なくとも一部の第1の凸部22が低密度部12を形成した凸部9となっている。これにより、容器本体の外周面に向かい合う面側に温度の高い物が触れた場合に、第1の凸部22のうち凸部9を兼ねる部分で容器本体から凸部9の先端部9Aに熱が伝達されたとしても、先端部9Aから凸部9の基端部9Bまでの間に低密度部12が形成されているため、先端部9Aの熱が繊維18Aを介して凸部9の基端部9Bまで繊維シート18を伝って到達しにくくなる。また、第1の凸部22は、
図5Cに示すように、容器本体502とシート3の間に隙間27を形成するためのスペーサとして機能することができる。これにより、隙間27で空気層が形成され、空気層によっても熱伝導の抑制効果を得ることができる。
【0063】
第1の実施形態にかかる外装材1によれば、第2の凸部23が形成されていることで、シート3の形状を安定化させることができる。第1の実施形態にかかる外装材1によれば、外周面504に対する非向き合い面3B側から向き合い面3A側に向かって力が加えられても、第2の凸部23が形成されていることで、シート3は向き合い面3A側をさらに突出させるような変形を生じにくくなっており、シート3の周辺部15が容器本体の外周面に接触する虞を抑制することができる。ところで、第2の凸部23は、向き合い面3A側に突出している。したがって第2の凸部23の形成位置では、第2の凸部23を形成していない場合に比べて、シート3と容器本体の外周面との離間距離が小さくなる。しかしながら、第1の実施形態では、第2の凸部23は、2つの異なる第1の凸部22を繋ぐように形成されている。このため、シート3が必要以上に変形しにくくなり、周辺部15と外周面との予定されない接触が抑制されることとなる。
【0064】
第1の実施形態にかかる外装材1によれば、複数の凸部9が形成されており、凸部9の先端部9Aが容器本体の外周面に向かい合っている。凸部9には低密度部12が形成されている。
【0065】
また、第1の実施形態においては、
図5B、
図5Cに示すように、低密度部12が隠蔽部21よりも基端部9B側に形成されるため、低密度部12の少なくとも一部を容器本体に接触させずに、低密度部12の少なくとも一部を隙間27に向けた状態とすることができる。外装材1において隙間27の空気層が温められた場合に、低密度部12の部分で、シート3に低密度部12から外部にむけた方向に空気AHを徐々に拡散させることができ、温められた空気層に含まれる空気AHを徐々に外部に放出させることができる。これによっても、外装材1の面のうち容器本体への向き合い面3A側の温度の上昇を抑制することができると考えられる。
【0066】
[2-3 変形例]
次に第1の実施形態の変形例について詳細に説明する。
【0067】
(変形例1)
第1の実施形態においては、第1の凸部22と第2の凸部23とで組み合わせ構造部24が形成されてよい。(この形態を、第2の実施形態の変形例1と呼ぶ)。
図3は、第2の実施形態の変形例1にかかる外装材1のシート3が組み合わせ構造部24を形成している場合の一実施例を示す
図3である。
【0068】
(組み合わせ構造部)
組み合わせ構造部24は、第1の凸部22と第2の凸部23との全体でまとまった意匠を表示するように構成された部分を示す。組み合わせ構造部24は、例えば、第2の凸部23のレイアウトが、単数もしくは複数の第2の凸部23で一つの文字や絵柄を表示するように定められていることで形成することができる。
図3の例では組み合わせ構造部24は、アルファベットの大文字でYの文字となるように第2の凸部23のレイアウトが定められている。なお、組み合わせ構造部24は、1つに限定されず、複数形成されてもよい。
【0069】
(変形例2)
第1の実施形態においては、少なくとも一部の第1の凸部22に形成された低密度部12の一部について、その第1の凸部22に接している第2の凸部23まで延びていてもよい。(この形態を、第2の実施形態の変形例2と呼ぶ)。低密度部12が第2の凸部23まで延びていることで、低密度部12の領域を広く確保することができ、熱が外装材1の全体に広がる速度をより遅くすることができる。
【0070】
(変形例3)
第1の実施形態の上記説明では、少なくとも一部の第1の凸部22を兼ねる凸部9は、副隆起部9Dを有していたが、凸部9においては、副隆起部9Dは省略されてもよい(変形例3)。変形例3は、凸部9において副隆起部9Dが省略されている他の構成については、上記した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0071】
変形例3の例においては、主隆起部9Cが凸部9の先端まで形成され、主隆起部9Cが凸部9を形成する。主隆起部9Cは、先端を開口させた形状でも、先端を閉じた形状でもよい。また、先端部9Aは、主隆起部9Cの突端を含む所定の範囲に形成されている。先端部9Aを含む部分が隠蔽部21となっており、隠蔽部21の周囲(主隆起部9Cに沿った基端部9B側の所定部分)に低密度部12が形成されている。なお、凸部9に副隆起部9Dが形成されていない場合には、凸部9の主隆起部9Cの先端及びその近傍の部分が凸部9の先端部9Aとして定められる。
【0072】
(変形例4)
第1の実施形態において、
図9Aに示すように、シート3は、凸部9にスリット部34が形成されてもよい(第1の実施形態の変形例4と称呼する)。
図9Aは、変形例2の一実施例を説明するための平面図である。
図9Aの例では、凸部9の先端部9Aよりも基端部9B側にスリット部34が形成されている。
【0073】
(スリット部)
第1の実施形態の変形例3において、スリット部34は、
図9Aの例では凸部9の低密度部12よりも基端部9B側に形成されているが、
図9Bに示すように低密度部12に交差してもよいし、低密度部12よりも先端部9A側に形成されてもよく、また、スリット部34は、低密度部12に合流するように形成されていてもよい。スリット部34が低密度部12の形成領域内にあってもよい。
【0074】
(スリット部の形成方法)
凸部9がエンボス加工で形成される場合に、繊維シート18のうち凸部9に対応する部分で複数の繊維18Aに破断を生じさせるように繊維シート18を押圧し、破断した繊維18Aの少なくとも一部を互いに離間させる。このとき、凸部9に対応する部分において繊維18Aに破断を生じた部分のうち、先端部9Aよりも基端部9B側の繊維シート18の一部を破断させる。繊維シート18の破断に至る部分でスリット部34が形成される。これにより、凸部9にスリット部34が形成される。なお、繊維シート18の破断に至らない部分で、低密度部12を形成することができる。
【0075】
(変形例5)
第1の実施形態の変形例4にかかる外装材1において、
図9Aに示すように、シート3は、凸部9にスリット部34が形成されていたが、
図9Cに示すように、スリット部34にかえて開口孔36が形成されていてもよい(第1の実施形態の変形例5と称呼する)。開口孔36は、円形状等の長手方向を特定されない孔構造を示す。
図9Cは、変形例5の一実施例を説明するための平面図である。
図9Cの例では、凸部9の先端部9Aよりも基端部9B側に開口孔36が形成されている。開口孔36の形成位置は、これに限定されず、先端部9Aに形成されてもよい。開口孔36は、繊維シート18の凸部9の所定位置に穿設孔を設けることで、穿設孔として形成することができる。
【0076】
(変形例6)
第1の実施形態にかかる外装材1において、
図8Aに示すように、シート3は、凸部9の先端部9Aにスリット状構造部35が形成されてもよい(第1の実施形態の変形例6と称呼する)。
図5Aは、変形例6の一実施例を説明するための平面図である。
【0077】
(スリット状構造部)
スリット状構造部35は、繊維シート18に対して該繊維シート18の面方向に引っ張り力を付加された場合に繊維シート18を構成する繊維18Aの一部の切断等で形成される。なお、スリット状構造部35は、おおむね繊維シート18の切断が完全にされている点で低密度部12と異なり、切断された繊維の重なり合いが残っている状態となっている点でスリット部34と異なる部分として定められる。スリット状構造部35は、低密度部12と同様に、繊維シート18に対して該繊維シート18の面方向に引っ張り力を付加された場合にスリット状構造部35の輪郭形状の変化を規制される程度に繊維18Aが存在する部分、となっていることが好ましい。スリット状構造部35は、
図8Aに示すように、後述する低密度部12に繋がっていてもよい。なお、
図8Aでは、スリット状構造部35が先端部9Aを横断するように直線状に形成されているが、スリット状構造部35の形状はこれに限定されない。また、スリット状構造部35は、
図4Bに示すように、先端部9Aからさらに基端部9B側に延びていてもよい。
【0078】
第2の実施形態にかかる外装材1について説明する。
【0079】
[2 第2の実施形態]
[2-1 構成]
第2の実施形態にかかる外装材1は、
図4A、
図4B及び
図4Cに示すように、凸部Gとして第1の凸部22と第2の凸部23とを形成したシート3を有し、第1の実施形態と同様に、シート3の面のうち容器本体の外周面との向き合い面3Aに突出した少なくとも一部の凸部Gとして凸部9を有し、少なくとも一部の凸部9が少なくとも一部の第1の凸部22を兼ねる。凸部9には、低密度部12が形成されている。さらに、第3の実施形態にかかる外装材1は、シート3と容器本体の外周面との隙間27の内部に向かう方向とは逆向き(外向き)にシート3から突出した外向き凸部37を有する。
【0080】
第2の実施形態は、外向き凸部37を除く他の構成については、第1の実施形態と同じであるので、他の構成についての説明を省略する。
図4Aは、第2の実施形態にかかる外装材1の一実施例を模式的に示す平面図である。
図4Bは、
図4AのD-D線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図4Cは、
図4AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【0081】
(外向き凸部)
第2の実施形態にかかる外装材1には、外向き凸部37は、シート3の非向き合い面3B側から容器本体の外周面から離れる方向に突出した凸型構造を有する。外向き凸部37は、非向き合い面3B側に突出した面として凸面137Aを有しており、凸面137Aに対応する位置における向き合い面3A側には凹面137Bを形成している。凹面137Bの形状は、凸面137Aに対応した形状に形成されていることが好適である。
【0082】
図4Aの例では、外向き凸部37として、第2の凸部23の形成領域内に設けられている第1の外向き凸部38と、第2の凸部23の形成領域外に設けられている第2の外向き凸部39が形成されている。なお、これは一例であり、第1の外向き凸部38と、第2の外向き凸部39がいずれか一方だけが設けられていてもよい。また、第2の凸部23の基端部23Bを跨ぐように外向き凸部37が形成されてもよい(図示しない)。
【0083】
(第1の外向き凸部の高さ)
第1の外向き凸部38の高さは、第2の凸部23の高さよりも大きいことが好ましい。この場合、第1のシートの非向き合い面3Bから周辺部15の位置よりも外側に突出した状態を形成することが容易となり、外装材1のシート3に対して使用者の手が触れた際に、周辺部15に接触する前に第1の外向き凸部38に接することができ、使用者の手とシート3との接触面積を減じることが期待できる。
【0084】
(第2の外向き凸部の高さ)
第2の外向き凸部39の高さは、特に限定されない。
【0085】
外装材1の断熱性を高める観点からは、第1の外向き凸部38と、第2の外向き凸部39との少なくともいずれか一方には、凸部9の低密度部12と同様の低密度部が形成されていることが好適である。この観点から、第1の外向き凸部38と、第2の外向き凸部39との少なくともいずれか一方には、突出方向を除いて凸部9と同様の構成を備えられていることが好適である。
【0086】
[2-2 作用及び効果]
第2の実施形態にかかる外装材1によれば、シート3に凸部9が形成されていることで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、第2の実施形態においては、シート3に外向き凸部37が設けられているため、シート3の表面積を拡大させることができ、熱がシート3の全体に伝わるスピードを抑制することができる。
【0088】
[3 第3の実施形態]
[3-1 構成]
第3の実施形態にかかる外装材1の構成について説明する。第3の実施形態にかかる外装材1は、
図13A、
図13Bに示すように、第1の実施形態におけるシート3の面の非向き合い面3B側に表面シート5を積層した構成を有しているほかについては、第1の実施形態と同様である。
図13A、
図13Bは、
図1Aから
図1Cに示す第1の実施形態にかかる外装材に表面シート5を設けた例を示し、それぞれ
図1B、
図1Cに対応する図であり、且つ、第3の実施形態にかかる外装材1の一実施例を説明するための断面図である。
【0089】
(表面のシート)
表面シート5は、可視光を通じることができるシート材である。表面シート5は、透明シートでもよいし、半透過シートでもよい。表面シート5の一方面側から表面シート5の厚み方向を視線方向として目視観察した場合に、表面シート5の多方面側が透けるものであることが好適である。第1の実施形態で説明した繊維シート18と同様の紙系素材から形成されたシート(繊維シート)を採用されてよい。また、表面シート5は、繊維シートではないシート材として定義される非繊維シートであってもよい。非繊維シートとしては、例えば樹脂フィルム等を例示することができる。
【0090】
表面シート5とシート3との接合方法は、特に限定されない。表面シート5とシート3との接合方法、例えば、容器本体の外周面とシート3との接合と同様の方法等を用いることができる。例えば、非向き合い面3Bに表面シート5を貼り合わせることで製造することができる。貼り合わせ方法としては、接着剤による貼付や、ヒートシールを用いた方法等を適宜使用することができる。
【0091】
[3-2 作用及び効果]
第3の実施形態にかかる外装材1によれば、シート3に凸部9が形成されていることで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
また、第3の実施形態においては、シート3の非向き合い面3B上を表面シート5が覆っているため、表面シート5として意匠をあらわす印刷部が形成されているものを用い、且つ、シート3の第2の凸部23で意匠が形成されている場合においては、表面シート5の印刷部による意匠と第2の凸部23による意匠を重ねた意匠を認識させることができるようになり、外装材1の意匠性を高めることができる。
【0093】
また、第3の実施形態においては、表面シート5がシート3に積層されていることで、凸部9の基端部9Bの形状を安定化させることができ、凸部9の形状の変形を抑制することができ、凸部9をより潰れにくくすることが可能となる。
【0094】
[3-3 変形例]
上記に示した第3の実施形態にかかる外装材1の例では、第1の実施形態において外装材1の非向き合い面3B側に表面シート5を積層した構成を有していた。第3の実施形態はこれに限定されず、
図14A、
図14Bに示すように、第2の実施形態における外装材1の非向き合い面3B側に表面シート5を積層した構成を有してもよい。この形態を第3の実施形態の変形例と呼ぶ。
図14A、
図14Bは、
図4Aから
図4Cに示す第2の実施形態にかかる外装材1に表面シート5を設けた例を示し、それぞれ
図4B、
図4Cに対応する図であり、且つ第3の実施形態の変形例にかかる外装材1の一実施例を説明するための断面図である。
【0095】
第3の実施形態の変形例では、シート3の外向き凸部37が表面シート5に接合されることが好ましい。外向き凸部37と表面シート5との接合する方法については、例えば、外向き凸部37の先端部付近に接着剤を塗布してシート3の外向き凸部37を表面シート5に接することで、接着剤を介して表面シート5をシート3に接着することができる。第4の実施形態の変形例2にかかる外装材1においては、
図14A、
図14Bに示すように、シート3と表面シート5との間に隙間40が形成されている。隙間40には空気層が形成される。
【0096】
第3の実施形態の変形例によれば、シート3と表面シート5との接触面積を減じることができ、より断熱性を高めることができる。また、第3の実施形態の変形例によれば、隙間40の空気層が形成されることで、さらに断熱性を高めることができる。
【0097】
[4 第4の実施形態]
第4の実施形態にかかる外装材1の構成について説明する。第4の実施形態にかかる外装材1は、
図15Aに示すように、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態における第1の凸部22を兼ねる凸部9の先端部9A又は先端部9Aの近傍に樹脂41を設けたほかについては、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態と同様である。
図15Aは、第4の実施形態にかかる外装材1の一実施例を説明するための断面図である。
【0098】
(樹脂)
樹脂41は、第1の凸部22を兼ねる凸部9の先端部9A又は先端部9Aの近傍に設けられており、低密度部12の周囲の少なくとも一部に設けられている。樹脂41は、低密度部12の周囲の全体に設けられてもよい。また樹脂41は、低密度部12に設けられてもよい。ただし、樹脂のうち低密度部12に設けられた部分は、低密度部12の通気性が失われない程度に設けられている。樹脂41は、繊維シート18の内部に浸透していることが好ましい。
【0099】
樹脂41の材質は、特に限定されず、外装材1の用途などの条件に応じて選択されていればよい。樹脂としては接着剤の用途で適用可能なものを用いることができ、例えば、でんぷん糊等を適宜用いられてよい。
【0100】
外装材1を容器本体の外周面に接触させる場合、樹脂41は硬化状態とされている。このため凸部9の先端部9A付近の形状が強度を有し、外装材1に外側から容器本体側にある定地強い力が加えられても凸部9がつぶれにくくなり、低密度部12の構造をより安定化させることができる。
【0101】
[5 第5の実施形態]
第5の実施形態にかかる外装材1の構成について説明する。第5の実施形態にかかる外装材1は、
図15Bに示すように、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態及び第4の実施形態における第2の凸部23の先端部9A又は先端部9Aの近傍に再粘着性樹脂42を設けたほかについては、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態及び第4の実施形態と同様である。
図15Bは、第5の実施形態にかかる外装材1の一実施例を説明するための断面図である。
【0102】
(再粘着性樹脂)
第2の凸部23の先端部に再粘着性樹脂42が、設けられている。再粘着性樹脂42は、外装材1に容器本体からの再剥離性を付与するものである。第2の凸部23の先端部に再粘着性樹脂42が設けられていることで、外装材1を容器本体に強く押し付けることで、外装材1と容器本体を固定した状態を形成することができる。また、シート3の復元力の作用で、徐々に外装材1と容器本体との粘着状態が解除されため、外装材1と容器本体を固定した状態は一時的である。
【0103】
第5の実施形態にかかる外装材1によれば、容器本体に外装材1を取付けて持ち運びをする間の時間では容器本体に対して外装材1を再粘着性樹脂42で固定できるため持ち運びが容易となり、容器500の持ち運びを終了した後には、外装材1の第2の凸部23が容器本体から離れるため、外装材1による断熱性を効率的に発揮させる状態を回復させることができる。また、容器本体502に一時的に接触する部分が第2の凸部23であるため熱がすぐにはシートの周辺部15までは伝わりにくく、持ち運び時に外装材1の機能が完全に失われる虞も抑制されている。
【0104】
[6 適用例]
上記第1の実施形態から第5の実施形態においては、次に示すように、外装材1は、容器500の一部を構成してもよいし、容器500とは別体とされても用いられてよい。
【0105】
(応用例1)
容器500は、
図11に示すように、内部に空間部505有し空間部505の下側に底部507を有する容器本体502を有する。
図11の例では、容器500は、容器本体502を有する。容器500は、容器本体502の上端側に開口部501を形成しており、開口部501の上端縁部を形成する縁部503を有する。
図11の例では、縁部503は外向きに容器本体502を形成する部材を巻きまわしたカール部となっている。容器500では、凸部551を有する外装体550が容器本体502の外周面504の形状に合わせた円錐台形状に形成されており、外装体550の内周面側の凸部の先端が外周面504に接着されている。
図11の例に示す容器500では、容器本体502の外周面504に固定された外装体550が設けられている。
図11は、容器500の一実施例を説明するための断面図である。容器500に取り付けられた外装体550として上述した外装材1を用いることができる。
【0106】
(応用例2)
応用例2では、
図12に示すように上記した応用例1で説明した外装体550が、容器500から分離されて別の部材とされて、別体のスリーブ560として用いられている。この場合、スリーブ560として外装材1が用いられる。
図12は、スリーブ560の一実施例を説明するための斜視図である。なお、スリーブ560を容器500とは別途独立させて流通させもよいし、スリーブ560としての外装材1を容器に接着させていない状態で、容器500と外装材1との組み合わせとして流通させてもよい。
【0107】
以上、本発明の実施形態、その変形例、およびその製造方法の例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態、変形例、製造方法の例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0108】
また、上述の実施形態、その変形例およびその製造方法の例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0109】
上述の実施形態に例示した材料は、特に限定しない限り、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0110】
なお、本明細書中に例示された作用及び効果は、本発明の内容を限定するものではない。
【0111】
本発明は、以下の構成を採用することができる。
(E1)容器本体を有する容器の前記容器本体の外周面に取り付けられて用いられ、
紙系素材を有するブランク材から形成され、
前記外周面との向き合い面側に突出し基端部と先端部を有する複数の凸部を有し、
前記凸部として、複数の第1の凸部と、少なくとも異なる2つの前記第1の凸部につながる第2の凸部と、を有し、
前記第1の凸部のほうが、前記第2の凸部よりも、前記外周面との向き合い面側に突出しており、
少なくとも一部の前記凸部は、前記紙系素材を構成する繊維の密度が前記基端部における前記密度よりも小さい低密度部を有する、
外装材。
(E2)前記第1の凸部及び前記第2の凸部の組み合わせで形成される組み合わせ構造部が形成されている、
上記(E1)に記載の外装材。
(E3)少なくとも一部の前記凸部に形成される前記低密度部のうちの少なくとも一部は、前記第1の凸部から前記第2の凸部まで延びている、
上記(E1)または(E2)に記載の外装材。
(E4)少なくとも一部の前記凸部に形成される前記低密度部のうちの少なくとも一部は、前記第1の凸部又は前記第2の凸部に形成されている、
上記(E1)から(E3)のいずれか1つに記載の外装材。
(E5)少なくとも一部の前記凸部は、
前記低密度部よりも前記先端部に寄った位置に前記ブランク材の厚み方向を横切る方向に延び前記外周面の少なくとも一部を隠蔽する隠蔽部を形成しており、
前記低密度部の前記繊維の前記密度が、前記隠蔽部の前記繊維の前記密度よりも小さい、
上記(E1)から(E4)のいずれか1つに外装材。
(E6)前記低密度部は、前記先端部から前記基端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分を有する、
上記(E1)から(E5)のいずれか1つに記載の外装材。
(E7)前記低密度部は、前記基端部から前記先端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分を有する、
上記(E1)から(E6)のいずれか1つに記載の外装材。
(E8)前記低密度部では、前記先端部から前記基端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分と、前記基端部から前記先端部に向かって前記紙系素材を構成する前記繊維の前記密度が小さくなる部分がつながっている、
上記(E1)から(E7)のいずれか1つに記載の外装材。
(E9)前記凸部は、前記外周面との非向き合い面側に凹面を形成している、
上記(E1)から(E8)のいずれか1つに記載の外装材。
(E10)前記凸部には、スリット部が形成されている、
上記(E1)から(E9)のいずれか1つに記載の外装材。
(E11)前記外周面との非向き合い面側に、表面シートが積層されている、
上記(E1)から(E10)のいずれか1つに記載の外装材。
(E12)少なくとも一部の前記凸部は、樹脂を有する、
上記(E1)から(E11)のいずれか1つに記載の外装材。
(E13)少なくとも一部の前記第2の凸部は、再粘着性樹脂を有する、
上記(E1)から(E12)のいずれか1つに記載の外装材。
(E14)前記外周面に取り付けられるスリーブとして用いられる、
上記(E1)から(E13)のいずれか1つに記載の外装材。
(E15)上記(E1)から(E14)のいずれか1つに記載の外装材が、前記容器本体の前記外周面に取り付けられている、
容器。
(E16)容器本体を有する容器と、
上記(E1)から(E14)のいずれか1つに記載の外装材と、を有する、
容器と外装材の組み合わせ。
【符号の説明】
【0112】
1 :外装材
3 :シート
3A :向き合い面
3B :非向き合い面
5 :表面シート
9 :凸部
9A :先端部
9B :基端部
9C :主隆起部
9D :副隆起部
9D1 :前面部
9D2 :側面部
12 :低密度部
12A :端部
12B :端部
15 :周辺部
16 :圧縮部
17 :平坦面
18 :繊維シート
18A :繊維
19 :第1の部分
20 :第2の部分
21 :隠蔽部
22 :第1の凸部
22A :先端部
22B :基端部
23 :第2の凸部
23A :先端部
23B :基端部
24 :組み合わせ構造部
27 :隙間
34 :スリット部
35 :スリット状構造部
36 :開口孔
37 :外向き凸部
38 :第1の外向き凸部
39 :第2の外向き凸部
40 :隙間
42 :再粘着性樹脂
43 :側端部
90 :凸面
91 :凹面
92A :凸面
93A :凸面
137A :凸面
137B :凹面
500 :容器
501 :開口部
502 :容器本体
503 :縁部
504 :外周面
505 :空間部
507 :底部
550 :外装体
551 :凸部
560 :スリーブ
AH :空気
G :凸部
PI :ピッチ
X1 :領域
XS :一点鎖線