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特開2024-35231エフロ除去用薬液の製造方法及びその製造方法により製造されるエフロ除去用薬液並びにそのエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法とその装置。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035231
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】エフロ除去用薬液の製造方法及びその製造方法により製造されるエフロ除去用薬液並びにそのエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法とその装置。
(51)【国際特許分類】
   E03F 9/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
E03F9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023148811
(22)【出願日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2022147434
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511200971
【氏名又は名称】有限会社第一化学工業所
(72)【発明者】
【氏名】青木 實
(72)【発明者】
【氏名】青木 栄一
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063FA01
2D063FA16
(57)【要約】
【課題】 エフロ除去用薬液の製造現場のみならず換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間域でエフロ除去に用いた場合でも発生する刺激臭を抑制し作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく、又エフロ溶解洗浄後の排水をも非劇物指定物の普通物として地下等において簡単に排水処理することが出来るエフロ除去用薬液の製造方法及びその製造方法により製造されるエフロ除去用薬液並びにそのエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法とその装置を提供することを課題とするものである。
【解決手段】
本発明のエフロ除去用薬液の製造方法は、構造物の地下等でモルタル中の水酸化カルシウムが、進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して生成されたエフロが地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで、地下水等の排出水が滞った状態における竪管等の管内に固着したエフロを前記滞った排出水を利用して溶解除去するための薬液が水、塩酸、グリコール酸又は乳酸の少なくとも何れ一方の酸との混合で生成されるエフロ除去用薬液の製造方法であって、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び/又は0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合し、その後撹拌を停止させた状態で3~10重量%以下の塩酸を投入した後所定時間撹拌混合すること特徴とする。
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の地下等において、生成されたエフロが地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで地下水等の排出水が滞った状態となった際に、滞った排出水を利用して管の内部に固着したエフロを溶解除去するために用いられるエフロ除去用薬液の製造方法及びその製造方法により製造されるエフロ除去用薬液並びにそのエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、コンクリート構造物の地下等において、モルタル中の水酸化カルシウムが進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなって出てきたエフロレッセンス(以下、エフロという)が地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで地下水等の排出水が滞った状態での竪管等の管内のエフロを除去する方法としては、超高圧洗浄機を使用しての管内洗浄や管ツールを用いての除去が一般的に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記前者超高圧洗浄機を使用しての管内洗浄によりエフロを除去する場合には、洗浄作業のコストが極めて高くつくばかりか、洗浄による排水は産廃扱いとなり、よってその処理も極めて煩雑であり、ここでもコストが嵩むこととなる。更に上記後者管ツールを用いて管内のエフロを除去する場合には、該管ツールを介して管を痛める恐れがあるだけでなく、仮に痛めた場合には多額の管の交換工事に至ることともなり、従って、高いリスクを背負うのみならず、エフロの再発もあり得るばかりかエフロの固着状態によっては、管ツールを使用しても容易に貫通することが出来ないという数々の問題が生じていた。
【0004】
更に、上記前者及び後者の手段を用いてエフロを除去した場合において、滞っていた地下水等の排出水がエフロが瞬間的に除去又は貫通されたことで一気に排出される場合もあり、よって稀にではあるが竪管の下方の分岐ジョイント部に排出水が一気に押し寄せた際の水圧で分岐ジョイント部が破損するという問題も生じていた。
【0005】
よって、本願発明出願人は、上記課題を解決すべく特願2018-71929(特開2018-155095)を発明し、現場でのエフロ除去の作業の簡略化や経費節減を実現した経緯があるが、如何せん、エフロ除去の作業そのものの現場が、換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間が主体であることから、そのエフロ除去の作業に用いる薬液には、エフロを効率良く溶解可能な塩酸が配合されつつも、その塩酸の刺激臭を抑えるための特殊な配合で用いられてはいるが、いまだ刺激臭を密閉に近い空間において劇的なぐらいにまで抑え込むまでには至っていないという問題が生じていた。
【0006】
更に、薬液にエフロを効率良く溶解可能な様に塩酸が配合されているが、塩酸を用いる場合において、日本では毒物及び劇物取締法により配合量が10%を超えると劇物指定物となり、よってエフロ溶解洗浄後の排水を地下等において簡単に処理することが出来なくなる可能性も生じるという問題も生じていた。
【0007】
尚、塩酸等の無機酸の単体使用のみならず、カルボン酸等及び/又はヒドロキシ酸等の有機酸を使用する場合、若しくは無機酸と有機酸とを混合してコンクリートの表面処理を行う下地処理の液薬としては、特願2019-51202(特開2020-152599)にて開示された下地処理剤が存在する。
【0008】
この下地処理剤はコンクリートの表面にブリージング水や劣化が原因で発生した多孔質脆弱層を除去する際に用いられるものであり、コンクリートの表面に主にモルタルやセメントペーストからなる塗材を塗布する前に前記多孔質脆弱層に対して用いられるが、塩酸等の無機酸のみを用いる場合には、コンクリートの基盤自体を傷める可能性があるために、有機酸を混合するのが好ましいとはされるが、塩酸等の無機酸を用いた場合であっても屋外での作業においてコンクリートの表面に発生した多孔質脆弱層の除去に適したものであり、よって、屋外での使用という事で塩酸等の無機酸の濃度の上限も必要ではなく、換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間が主体の作業に適したものではないばかりか、モルタル中の水酸化カルシウムが進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなり地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着して地下水等の排出水を滞らせる管内のエフロを滞った排出水を利用して除去するエフロ除去液薬とはその除去する対象が全く異なるものである。
【0009】
尚、換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間が主体のエフロの除去という目的のみに鑑みれば、エフロ除去用の薬液には、エフロを効率良く溶解可能な塩酸が配合されつつも、エフロの溶解除去時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭を抑えるために、乳酸及び/又はグリコール酸を塩酸と混合した場合に良好な結果を得ることは出来るが、如何せん、その混合液薬の製造時において、塩化水素の刺激臭が作業員に体調不良を促す等多大な負担をかける事になるばかりか、塩化水素そのものが液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類を劣化させるという製造時における重大な問題も生じていた。
【0010】
更に、竪管等の管の内部に固着するエフロは、管内の一部に生じるとは限らず、管の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管の内径を狭めつつ最終的には管内を閉鎖する様に発生する場合が大半の症状であり、よって短時間に効率良く管の内周面に所定の長さで個着したエフロを同時に溶解除去しなければエフロの除去作業に膨大な時間を有することになり、その結果作業コストが高騰するという現場での問題も生じていた。
【0011】
即ち、本発明は、エフロ除去用薬液の製造現場のみならず換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間域でエフロ除去に用いた場合でも発生する刺激臭を抑制し作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく、又管の鉛直方向の内周面に所定の長さで個着したエフロを同時に、しかも短時間に効率良く溶解除去可能であると共にエフロ溶解洗浄後の排水をも非劇物指定物の普通物として地下等において簡単に排水処理することが出来るべく以下の手段を講じたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を全て解決すべく以下の手段を講じたものであり、請求項1記載のエフロ除去用薬液の製造方法は、構造物の地下等でモルタル中の水酸化カルシウムが、進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して生成されたエフロが地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで、地下水等の排出水が滞った状態における竪管等の管内に固着したエフロを前記滞った排出水を利用して溶解除去するための薬液が水、塩酸、グリコール酸又は乳酸の少なくとも何れ一方の酸との混合で生成されるエフロ除去用薬液の製造方法であって、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び/又は0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で3~10重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程とを介することで混合撹拌時に発生する塩化水素の刺激臭を抑制したエフロ除去用薬液を製造することにある。
【0013】
請求項2記載のエフロ除去用薬液の製造方法は、構造物の地下等でモルタル中の水酸化カルシウムが、進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して生成されたエフロが地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで、地下水等の排出水が滞った状態における竪管等の管内に固着したエフロを前記滞った排出水を利用して溶解除去するための薬液が水、塩酸、グリコール酸又は乳酸の少なくとも何れ一方の酸との混合で生成されるエフロ除去用薬液の製造方法であって、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸及び/又は3.6~14重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で10~38重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程とを介することで混合撹拌時に発生する塩化水素の刺激臭を抑制したエフロ除去用薬液を製造することにある。
【0014】
請求項3記載のエフロ除去用薬液は、請求項1又は2記載の製造方法により製造されることにある。
【0015】
請求項4記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った状態の竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の送り込みがエフロ(10)のエフロ詰まり部位(10a)を介して阻止された後、該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の前記エフロ除去用薬液(4)を該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで該可撓性チューブ(6)の外周面(6c)の注入孔(6d)から管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して排出水(9)を滞らせるべく管(7)の内部に固着したエフロ(10)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)近傍から徐々に溶解除去して滞った地下水等の排出水(9)を排出させることにある。
【0016】
請求項5記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った状態の竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の前記エフロ除去用薬液(4)を該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ(6)の外周面(6c)の注入孔(6d)から管(7)の内部に順次注入される所定量のエフロ除去用薬液(4)を介して排出水(9)を滞らせるべく管(7)の内部に固着したエフロ(10)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)近傍から徐々に溶解除去して滞った地下水等の排出水(9)を排出させることにある。
【0017】
請求項6は、請求項4又は5記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から他端側(6b)方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に設けられたことにある。
【0018】
請求項7は、請求項4乃至6の何れかに記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、竪管(7)内の下方向にエフロ除去用薬液(4)を案内注入することが出来る下方向注入部位(6e)介して外周面(6c)に設けられたことにある。
【0019】
請求項8は、請求項4乃至7の何れかに記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の先端部(6f)にも注入孔(6d)が設けられ、且つ該先端部(6f)の注入孔(6d)から管(7)内に注入されるエフロ除去用薬液(4)が外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)から管(7)内に注入されるエフロ除去用薬液(4)の注入圧を保持可能な注入圧で管(7)内に注入される構成を有したことにある。
【0020】
請求項9は、エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置が、エフロ(10)を溶解するエフロ除去用薬液(4)を有する薬剤容器(3)と、該薬剤容器(3)が有するエフロ除去用薬液(4)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から他端側(6b)方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置(2)とを備えたことにある。
【0021】
請求項10は、請求項9記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、竪管(7)内の下方向にエフロ除去用薬液(4)を案内注入することが出来る下方向注入部位(6e)介して外周面(6c)に設けられたことにある。
【0022】
請求項11は、請求項9又は10記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の先端部(6f)に注入孔(6d)が設けられたことにある。
【0023】
請求項12は、請求項9乃至11の何れかに記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置において、管内エフロの除去兼固着防止装置が外周面(6c)に注入孔(6d)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)を着脱自在な構成を有してなり、しかも該着脱部位には、一端側(6a)の先端部(6f)にのみエフロ除去用薬液(4)の管(7)内への注入を可能とする注入孔(6d)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)又は一端側(6a)の先端部(6f)にのみエフロ除去用薬液(4)の管(7)内への注入を可能とする注入孔(6d)を有すると共に、該注入孔(6d)近傍に該注入孔(6d)より管(7)内へ注入されるエフロ除去用薬液(4)の注入範囲量を変化可能とする調整部(6g)を有したノズル体(6h)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)の少なくとも何れか一方が着脱自在な構成を有してなることにある。
【発明の効果】
【0024】
本発明におけるエフロ除去用薬液の製造方法は、構造物の地下等でモルタル中の水酸化カルシウムが、進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して生成されたエフロが地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで、地下水等の排出水が滞った状態における竪管等の管内に固着したエフロを前記滞った排出水を利用して溶解除去するための薬液が水、塩酸、グリコール酸又は乳酸の少なくとも何れ一方の酸との混合で生成されるエフロ除去用薬液の製造方法であって、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び/又は0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で3~10重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程を行うことで構造物の地下等で使用されるエフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭を抑えることが可能となり、よって塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るという格別な効果を奏する。
【0025】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、塩酸が3~10重量%以下、グリコール酸が0.1~3.6重量%以下の2種のみで混合されていた場合には、エフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭をも抑えることで作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るのみならずグリコール酸を介してエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制しエフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るだけでなく、管内に鉄分が多い場合でもPH値の上昇を抑えて管内のPH値を安定化させることが出来るという格別な効果を奏する。
【0026】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、塩酸が3~10重量%以下、乳酸が1~15重量%以下の2種のみで混合されていた場合には、エフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭を抑えることで作業員の体調不良を回避することが出来ると共に塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来、更にエフロ溶解除去時にも滞った排出水を介して塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制するだけでなく滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を上げることが出来るのみならず塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制しエフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るという格別な効果を奏する。
【0027】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸及び/又は3.6~14重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で10~38重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程とを介することで混合撹拌時に発生する塩化水素の刺激臭を抑制したエフロ除去用薬液を製造した場合でも、塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るという格別な効果を奏する。
【0028】
更に、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸及び/又は3.6~14重量%以下のグリコール酸、10~38重量%以下の塩酸を投入することで混合撹拌時における塩酸の揮発をギリギリまで抑制しつつ最大のエフロ溶解除去力を得ることが出来る格別な効果を奏するが、この配合によるエフロ除去用薬液を用いてエフロの溶解除去を行った場合には、エフロ除去後の排水は劇物指定物となる恐れが極めて高く、よって劇物指定物の範囲となった際には普通物としてその場に貯留等している自然排出水と共に排水する前に洗浄用注水等を介して希釈等の処理手段を介して普通物として排水処理する工程が必要となるのは言うまでもない。
【0029】
更に、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸及び/又は3.6~14重量%以下のグリコール酸、10~38重量%以下の塩酸の配合からなるエフロ除去用薬液であればグリコール酸又は乳酸若しくはその双方の働きにより滞った排出水を利用しての最大のエフロ溶解除去力を有しつつエフロ溶解除去時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭を、作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させることが可能になるという格別な効果を有する。
【0030】
更に、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、10~38重量%以下の塩酸、6~14重量%以下のグリコール酸の2種のみで混合された場合には、最大のエフロ溶解除去力を有しつつ、グリコール酸によりエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させつつ、管内に鉄分が多い場合でもPH値の上昇を抑えて管内のPH値を安定化させることが出来るという格別な効果を奏する。
【0031】
更に、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、10~38重量%以下の塩酸、15~57重量%の乳酸の2種のみで混合されてなる場合には、最大のエフロ溶解除去力を有しつつ、エフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を控えつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、水に極めて溶け込みやすい乳酸の作用を介して作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させつつ、滞った排出水を利用してのエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を急激に上げることが出来、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮することで作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0032】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸、3.6~14重量%以下のグリコール酸、10~38重量%以下の3種で混合される場合には、塩酸の揮発をギリギリまで抑制しつつ最大のエフロ溶解除去力を得ることが出来ると共に、3種の混合撹拌時に発生する塩化水素の刺激臭を抑制して塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来、更にエフロ溶解除去時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭を、作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させることが可能になるという格別な効果やグリコール酸によりエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させつつ、管内に鉄分が多い場合でもPH値の上昇を抑えて管内のPH値を安定化させることが出来るという格別な効果のみならずエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を控えつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、水に極めて溶け込みやすい乳酸の作用を介して作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させつつ、滞った排出水を利用してのエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を急激に上げることが出来、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮することで作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0033】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った状態の竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の送り込みがエフロ(10)のエフロ詰まり部位(10a)を介して阻止された後、該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の前記エフロ除去用薬液(4)を該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで該可撓性チューブ(6)の外周面(6c)の注入孔(6d)から管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して排出水(9)を滞らせるべく管(7)の内部に固着したエフロ(10)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)近傍から徐々に溶解除去して滞った地下水等の排出水(9)を排出させるものである。
【0034】
尚、竪管等の管(7)の内部に固着するエフロ(10)のは、管内の一部に生じるとは限らず、管の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管の内径を狭めつつ最終的には管内を閉鎖する様に発生する場合が大半の症状であり、よって可撓性チューブ(6)の外周面(6c)の複数の注入孔(6d)から管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管(7)の内径を狭めつつ個着したエフロ(10)の内周面全体に薬液(4)を同時に接触させることでエフロ溶解除去の反応面積及び反応速度を急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0035】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った状態の竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の前記エフロ除去用薬液(4)を該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ(6)の外周面(6c)の注入孔(6d)から管(7)の内部に順次注入される所定量のエフロ除去用薬液(4)を介して排出水(9)を滞らせるべく管(7)の内部に固着したエフロ(10)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)近傍から徐々に溶解除去して滞った地下水等の排出水(9)を排出させるものである。
【0036】
よって、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の送り込みがエフロ(10)のエフロ詰まり部位(10a)を介して阻止されることなく所定の距離で管(7)の内部に送り込まれた場合、即ちエフロ詰まり部位(10a)に可撓性チューブ(6)の一端側(6a)が通り抜ける程度の空間(固着したエフロでの完全な詰まりはないが浮遊エフロや塵等により管内を閉塞している場合等)があり、しかも管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管の内径を狭める様に発生してなる場合には、可撓性チューブ(6)の外周面(6c)の複数の注入孔(6d)から管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管(7)の内径を狭めつつ個着したエフロ(10)の内周面全体に薬液(4)を同時に接触させることでエフロ溶解除去の反応面積及び反応速度を急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0037】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から他端側(6b)方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に設けられた場合には、管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管(7)の内径を狭めつつ個着したエフロ(10)の内周面全体に薬液(4)を同時に接触させることが出来る反応有効範囲をより広く設定することが可能となり、よってエフロ溶解除去の反応面積を最大限に、且つ反応速度もより速く急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0038】
更に、エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、竪管(7)内の下方向にエフロ除去用薬液(4)を案内注入することが出来る下方向注入部位(6e)介して外周面(6c)に設けられた場合、一般的に管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ(10)は、該管(7)の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位(10a)を有して管(7)の内周面に固着してなることから、下方向注入部位(6e)の注入孔(6d)から下方向に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)近傍に強制的にエフロ除去用薬液(4)を接触されること可能となり、よって逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)近傍のエフロ溶解除去の反応面積を最大限に、且つ反応速度もより速く急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0039】
更に、エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の先端部(6f)に注入孔(6d)が設けられた場合、一般的に管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ(10)は、該管(7)の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位(10a)を有して管(7)の内周面に固着してなるものである。よって一端側(6a)の先端部(6f)の注入孔(6d)から真下に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)に強制的にエフロ除去用薬液(4)を接触されることが出来、しいては逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)をピイポイントで溶解除去させることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0040】
エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置が、エフロ(10)を溶解するエフロ除去用薬液(4)を有する薬剤容器(3)と、該薬剤容器(3)が有するエフロ除去用薬液(4)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から他端側(6b)方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置(2)とを備えたことから、管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管(7)の内径を狭めつつ個着したエフロ(10)の内周面全体に薬液(4)を同時に接触させることが出来る反応有効範囲をより広く設定することが可能となり、よってエフロ溶解除去の反応面積を最大限に、且つ反応速度もより速く急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0041】
エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、竪管(7)内の下方向にエフロ除去用薬液(4)を案内注入することが出来る下方向注入部位(6e)介して外周面(6c)に設けられた場合には、一般的に管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ(10)は、該管(7)の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位(10a)を有して管(7)の内周面に固着してなることから、下方向注入部位(6e)の注入孔(6d)から下方向に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)近傍に強制的にエフロ除去用薬液(4)を接触されること可能となり、よって逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)近傍のエフロ溶解除去の反応面積を最大限に、且つ反応速度もより速く急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0042】
エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の先端部(6f)に注入孔(6d)が設けられた場合には、一般的に管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ(10)は、該管(7)の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位(10a)を有して管(7)の内周面に固着してなるものである。よって管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管(7)の内径を狭めつつ個着したエフロ(10)の内周面全体に可撓性チューブ(6)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)を介して薬液(4)を同時に接触させることが出来る反応有効範囲をより広く設定することが可能となるばかりか一端側(6a)の先端部(6f)の注入孔(6d)から真下に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)に強制的にエフロ除去用薬液(4)を接触されることが出来、しいては逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)をピイポイントで溶解除去させることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0043】
エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置において、管内エフロの除去兼固着防止装置が外周面(6c)に注入孔(6d)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)を着脱自在な構成を有してなり、しかも該着脱部位には、一端側(6a)の先端部(6f)にのみエフロ除去用薬液(4)の管(7)内への注入を可能とする注入孔(6d)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)又は一端側(6a)の先端部(6f)にのみエフロ除去用薬液(4)の管(7)内への注入を可能とする注入孔(6d)を有すると共に、該注入孔(6d)近傍に該注入孔(6d)より管(7)内へ注入されるエフロ除去用薬液(4)の注入範囲量を変化可能とする調整部(6g)を有したノズル体(6h)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)の少なくとも何れか一方を着脱自在とする構成にしてなる場合には、竪管等の管(7)に生じたエフロ(10)の固着状態のみならず生成されたエフロ(10)の長さ寸法に適合した長さの可撓性チューブ(6)に交換して使用することが出来るという利便性を有する。更に、一般的に管(7)の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ(10)は、該管(7)の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位(10a)を有して管(7)の内周面に固着してなるものである。よってエフロ詰まり部位(10a)の固着状態により、エフロ除去用薬液(4)の注入範囲量を変化可能とすることで先端部(6f)の注入孔(6d)から真下に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)の形状に合わせて強制的にエフロ除去用薬液(4)を接触されることが出来、しいては逆円錐頂部のエフロ詰まり部位(10a)を効率良く溶解除去させることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】 本発明におけるエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止装置の一実施形態を示し、同図(イ)は一部断面使用状態図、(ロ)は同図(イ)のF-F線断面図。
図2】 本発明におけるエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止装置の一実施形態を示し、同図(ハ)、(ニ)は要部拡大断面図。
図3】 本発明におけるエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止装置の他の実施形態を示し、同図(ホ)、(ヘ)は要部拡大断面図。
図4】 本発明におけるエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止装置の他の実施形態を示し同図(ト)、(チ)は要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明のエフロ除去用薬液を、竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置に用いた場合の一実施形態を図面に従って説明する。
【0046】
先ず、図1(イ)おいて、1は後述する方法で製造されたエフロ除去用薬液4を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置を示し、2はエフロ10を溶解するエフロ除去用薬液4を貯留する薬剤容器3と接続ホース5を介して接続され、且つ該薬剤容器3が貯留するエフロ除去用薬液4を他端側6bが接続された可撓性チューブ6の一端側6aから所定の時間管内に該可撓性チューブ6が送り込まれた管7内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置を示す。
【0047】
又、上記薬剤容器3内に貯留すべく投入されるエフロ除去用薬液4はエフロ10を効率良く溶解すると共に反応泡を発生させつつ、エフロ10の溶解時には主に二酸化炭素、塩素酸を発生させてエフロ10を効率良く溶解除去するものであり、そのエフロ除去用薬液4の製造方法は、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び/又は0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で3~10重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程を有することで構造物の地下等で使用されるエフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭を抑えることが可能となり、よって塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るという格別な効果を奏する。
【0048】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、水、塩酸、グリコール酸及び/又は乳酸との混合で生成されていることから、グリコール酸又は乳酸若しくはその双方の働きにより滞った排出水を利用してのエフロ溶解除去時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制することが可能となり、していはエフロ除去用薬液を換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間域で用いた場合でも作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく快適な現場作業を提供することが可能になるという格別な効果を有する。
【0049】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、塩酸が3~10重量%以下、グリコール酸が0.1~3.6重量%以下の2種のみで混合された場合には、グリコール酸を介してエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制しエフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るのみならず管内に鉄分が多い場合でもPH値の上昇を抑えて管内のPH値を安定化させることが出来るという格別な効果を奏する。
【0050】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、塩酸が3~10重量%以下、乳酸が1~15重量%以下の2種のみで混合されてなる場合には、エフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を控えつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、水に極めて溶け込みやすい乳酸の作用を介して劇的に抑制するだけでなく滞った排出水を利用してのエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を上げることが出来るだけでなく、刺激臭を劇的に抑制したエフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るという格別な効果を奏する。
【0051】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、塩酸が3~10重量%以下、グリコール酸が0.1~3.6重量%以下、乳酸が1~15重量%以下の3種で混合された場合には、滞った排出水を利用してのエフロ溶解除去時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制することが可能となり、エフロ除去用薬液を換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間域で用いた場合でも作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく快適な現場作業を提供することが可能となるばかりか、エフロ溶解除去時に滞った排出水を介してのエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を上げつつ水面に浮く反応泡をも減少させることが出来るだけでなく、エフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るという格別な効果を奏する。
【0052】
従って、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液によれば、エフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭を抑えることで、塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るという格別な効果を有するのみならずエフロ除去時において、エフロ除去の現場が密閉に近い地下等の空間域で用いた場合でもエフロ溶解時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭をも劇的に抑えて作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく快適な現場作業を提供しつつエフロ除去後の排水も普通物として簡単に処理出来ることから、作業者のみならず不特定多数の人々が集まる地下の駅構内やビル等の建築物の地下において地下水等の排出水を滞らせるべく竪管等の管内に固着したエフロを溶解除去するに最適なエフロ除去用薬液を市場に提供することが出来るという格別な効果を奏する。
【0053】
図1(イ)において、前記管内エフロの除去固着防止装置1を構成する注入装置2及び薬剤容器3は、例えば、駅構内等のコンクリート床8a面上に各々が有する脚部2b、3bを介して載置されるものである。
【0054】
7はコンクリート床8aの内部のコンクリート層8内に埋めこまれた、所謂竪管等の樹脂製の管を示し、9は管7の内周面7bに形成されたエフロ10のエフロ詰まり部位10aを介して排出が滞った地下水等の排出水を示すと共に、該排出水9は管7の内部及びコンクリート床8aに貯留している。
【0055】
尚、一般的に管7の鉛直方向の内周面7bに所定の長さ寸法で発生したエフロ10は、該管7の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位10aを有して管7の内周面7bに固着してなるものである。
【0056】
本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる一実施形態における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置1は上記構成からなり、次に係る装置1を用いての竪管等の管内エフロを除去する場合について説明するが、先ず、エフロ10の固着により地下水等の排出水9が滞った状態の竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを送り込む(矢印D)が、その際、該可撓性チューブ6の一端側6aの送り込みがエフロ10のエフロ詰まり部位10a又は該エフロ詰まり部位10a近傍に存在するエフロ10を介して阻止されるところまで送り込んで停止させる。
【0057】
尚、可撓性チューブ6の一端側6aの外周面6cには該可撓性チューブ6の一端側6aから他端側6b方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に複数の注入孔6dが設けられている。(同図(ロ)は同図(イ)のF-F線断面)
【0058】
次に、注入装置2を介して可撓性チューブ(6)の他端側6bからエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量のエフロ除去用薬液4を該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)に送り込む(矢印D)のであるが、この時注入装置2は、図2(ハ)に示す様に、可撓性チューブ6の他端側6bから一端側6aの外周面6cに該可撓性チューブ6の一端側6aから他端側6b方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に設けられた複数の注入孔6dからエフロ除去用薬液4を前記管7内に所定の時間注入(矢印A)しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことから、管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管7の内径を狭めつつ個着したエフロ10の内周面全体に薬液4を同時に接触させることが出来る反応有効範囲をより広く設定することが可能となりエフロ溶解除去の反応面積を最大限に、且つ反応速度もより速く急激に上げることが可能となり、しいては同図(ニ)様に示す様に、可撓性チューブ6の一端側6aより管7の内部に順次注入(矢印A)される所定量のエフロ除去用薬液4及び反応泡の双方を介して排出水9を滞らせるべく管7の内部に固着したエフロ10のエフロ詰まり部位10a及び所定の長さで該管7の内径を狭めつつ個着したエフロ10の内周面全体を徐々に溶解除去させて溶解除去部位(B)を形成させつつ管7の内径空間を所定の長さで拡大(C)し、最終にはエフロ詰まり部位10aに貫通路(E)を形成することで、滞った地下水等の排出水9を確実に排出することが出来る。
【0059】
要は、管7の内部に固着して排出水9を滞めるべく作用するエフロ10を可撓性チューブ6の一端側6a近傍のエフロ詰まり部位10a及び所定の長さで該管7の内径を狭めつつ個着したエフロ10の内周面全体を徐々に溶解除去させて溶解除去部位(B)を形成させつつ管7の内径空間を所定の長さで拡大(C)し、最終にはエフロ詰まり部位10aに貫通路(E)を形成することで、滞った地下水等の排出水9を確実に排出させることから、管の内部に固着して排出水9を滞めるべく作用するエフロ10にエフロ除去用薬液4が直接アプローチして徐々に溶解するだけでなく、エフロ10の溶解時に発生する反応泡が管内に滞った排出水9の中を管7の管口側7aへと向かうことで管内のあらゆる個所に固着したエフロ10をも徐々に溶解除去することで、滞った地下等の水9を徐々に排出することが可能となる。
【0060】
よって、滞っていた地下水等の排出水9が一気に排出されて竪管の下方の分岐ジョイント部(図示せず)に排出水9が一気に押し寄せた際の水圧で分岐ジョイント部が破損するという問題を完全に解消することが出来るという効果を奏するだけでなく、超高圧洗浄機も不用であることから煩雑且つ高額な洗浄作業をも不用にすることのみならずエフロ10も溶解により除去することで排出水9も煩雑且つコストのかかる産廃扱いを行う必要がないという顕著な効果も有しつつ、更にエフロ除去時に管7の内面部を痛めるという高いリスクをも背負う管ツールも一切不用になるという格別な効果がある。
【0061】
更に、エフロ除去用薬液4を管内エフロの除去固着防止装置1を用いて使用する場合において、エフロ除去用薬液4が、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合し、その後撹拌を停止させた状態で3~10重量%以下の塩酸を投入した後所定時間撹拌混合して製造することで、エフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭を抑えることが可能となり塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るという利点を有するだけでなく、滞った排出水を利用してのエフロ溶解除去時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制することが可能となり、よってエフロ除去用薬液を換気が十分になされない地下空間、即ち密閉に近い空間域で用いた場合でも作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることなく快適な現場作業を提供することが可能となるばかりか、エフロ溶解除去時に滞った排出水を介してのエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を上げつつ水面に浮く反応泡をも減少させることが出来るだけでなく、エフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るという格別な効果を奏する。
【0062】
又、本発明におけるエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液4が、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び/又は0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を混合して生成されてなる場合には、該エフロ除去用薬液4の比重を排出水9の比重より重く設定することが可能となり、よってエフロ除去用薬液4に所定の圧力をかけて管7の内部に注水させる加圧装置も一切必要なく、極めて安価な装置により所定量のエフロ除去用薬液4をエフロ10のエフロ詰まり部位10aの最深部位まで重力を用いて浸透させて、管内のエフロ10を効率よく除去することが出来るという格別な効果を奏する。
【0063】
更に、本発明におけるエフロ除去用薬液4を竪管等の管内エフロの除去固着防止装置1がエフロ除去用薬液4を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返す工程において可撓性チューブ6自体を振動させる機能を有していても良く、この場合でも注入されるエフロ除去用薬液4、反応泡及び管内に貯留した排出水9の全てに振動を与えることでエフロ除去用薬液4を竪管等の管7内の隅々まで効率よく充満させることが出来、よってエフロ詰まり部位10a以外に管7内に固着したエフロ10が管7を詰まらせる前の付着状態であっても該管7の内部の隅々まで振動を介して管内に充満するエフロ除去用薬液4により除去することが可能になるという格別な効果を奏する。
【0064】
更に、本発明の一実施形態におけるエフロ除去用薬液4を用いる管内エフロの除去固着防止装置1が、薬剤容器3が有するエフロ除去用薬液4を可撓性チューブ6の一端側6aから所定の時間管内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置2とから構成されていることで、作業員が現場にいる必要なく、自動でエフロ10の固着により地下水等の排出水9が滞った竪管等の管7の詰まりを除去することが出来るという効果を奏する。
【0065】
更に、本発明の一実施形態において、エフロ除去用薬液4を管内エフロの除去固着防止装置1を用いて使用する場合に竪管を対象にした場合を説明したが、例えば、分岐ジョイント部を介しての水平管に使用してもよく、要はエフロを除去又はエフロの固着を防止することを目的とする管であれば、係る発明を実施する管の具体的な材質、形状、配置、径、種類等も一切限定されないのは言うまでもない。
【0066】
又、本発明におけるエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液4が、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び/又は0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を混合して生成されてなる場合には、該エフロ除去用薬液4の比重を排出水9の比重より重く設定することが可能となり、よってエフロ除去用薬液4に所定の圧力をかけて管7の内部に注水させる加圧装置も一切必要なく、極めて安価な装置により所定量のエフロ除去用薬液4をエフロ10のエフロ詰まり部位10aの最深部位まで重力を用いて浸透させて、管内のエフロ10を効率よく除去することが出来るという格別な効果を奏する。
【0067】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置の他の実施形態として、
図3(ホ)に示す様に、可撓性チューブ6の一端側6aの外周面6cに複数放射状且つ他段状に設けられた注入孔6dが、竪管7内の下方向にエフロ除去用薬液4を案内注入(矢印A)することが出来る下方向注入部位6e介して外周面6cに設けられた場合には、一般的に管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ10は、該管7の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位10aを有して管7の内周面に固着してなることから、下方向注入部位6eの注入孔6dから下方向に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10a近傍に強制的にエフロ除去用薬液4を直接的に接触させることが可能となり、よって逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10a近傍のエフロ溶解除去の反応面積を最大限に、且つ反応速度もより速く急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0068】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置の他の実施形態として、
図3(ヘ)に示す様に、可撓性チューブ6の一端側6aの先端部6fに注入孔6dが設けられた場合には、一般的に管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ10は、該管7の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位10aを有して管7の内周面に固着してなるものである。よって管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管7内径を狭めつつ個着したエフロ10の内周面全体に可撓性チューブ6の外周面6cに設けられた注入孔6dを介して薬液4を同時に接触させることが出来る反応有効範囲をより広く設定することが可能となるばかりか一端側(6a)の先端部6fの注入孔6dから真下に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10aに強制的にエフロ除去用薬液4を接触されることが出来、しいては逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10aをピイポイントで溶解除去させることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0069】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置の他の実施形態として、
図4(ト)に示す様に、管内エフロの除去兼固着防止装置が外周面6cに注入孔6dが設けられた可撓性チューブ6の他端側6bを着脱自在な構成を有してなり、しかも該着脱部位には、一端側6aの先端部6fにのみエフロ除去用薬液4の管7内への注入を可能とする注入孔6dを有すると共に、該注入孔6d近傍に該注入孔6dより管7内へ注入されるエフロ除去用薬液4の注入範囲量を変化可能とする調整部6gを有したノズル体6hが設けられた可撓性チューブ6の他端側6b又は一端側6aの先端部6fにのみエフロ除去用薬液4の管7内への注入を可能とする注入孔6dが設けられた可撓性チューブ6(図示せず)の他端側6bの少なくとも何れか一方を着脱自在とする構成にしてなる場合には、竪管等の管7に生じたエフロ10の固着状態のみならず生成されたエフロ10の長さ寸法に適合した長さの可撓性チューブ6に交換して使用することが出来るという利便性を有する。更に、一般的に管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ10は、該管7の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位10aを有して管7の内周面に固着してなるものである。よってエフロ詰まり部位10aの固着状態により、エフロ除去用薬液4の注入範囲量を、同図(チ)に示す様に、調整部6gを回転(矢印G)等の調整手段を介して変化可能(放射状で管内に注入)とすることで、先端部6fの注入孔6dから真下に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10aの形状や詰まり具合に合わせて強制的にエフロ除去用薬液4注入(矢印A)して接触させることが出来、しいては逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10aを効率良く溶解除去させることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0070】
本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置は上記構成からなるが、係る構成からなる管内エフロの除去兼固着防止装置を用いてのエフロ除去用薬液を用いた管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロ10の固着により地下水等の排出水9が滞った状態の竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを送り込み、その後該可撓性チューブ6の一端側6aの送り込みがエフロ10のエフロ詰まり部位10aを介して阻止された後、該可撓性チューブ6の他端側6bよりエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の前記エフロ除去用薬液4を該可撓性チューブ6の一端側6aの外周面6cに設けられた複数の注入孔6dから前記管7内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで該可撓性チューブ6の外周面6cの注入孔6dから管7の内部に順次注入される所定量の薬液4及び反応泡の双方を介して排出水9を滞らせるべく管7の内部に固着したエフロ10を可撓性チューブ6の一端側6aの外周面6c近傍から徐々に溶解除去して滞った地下水等の排出水9を排出させるものである。
【0071】
尚、竪管等の管7の内部に固着するエフロ10のは、管内の一部に生じるとは限らず、管の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管の内径を狭めつつ最終的には管内を閉鎖する様に発生する場合が大半の症状であり、よって可撓性チューブ6の外周面6cの複数の注入孔6dから管7の内部に順次注入される所定量の薬液4及び反応泡の双方を介して管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管7の内径を狭めつつ個着したエフロ10の内周面全体に薬液4を同時に接触させることでエフロ溶解除去の反応面積及び反応速度を急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0072】
更に、本発明における管内エフロの除去兼固着防止装置を用いてのエフロ除去用薬液を用いた管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロ10の固着により地下水等の排出水9が滞った状態の竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ6の他端側6bよりエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の前記エフロ除去用薬液4を該可撓性チューブ6の一端側6aの外周面6cに設けられた複数の注入孔6dから前記管7内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ6の外周面6cの注入孔6dから管7の内部に順次注入される所定量のエフロ除去用薬液4を介して排出水9を滞らせるべく管7の内部に固着したエフロ10を可撓性チューブ6の一端側6aの外周面6c近傍から徐々に溶解除去して滞った地下水等の排出水9を排出させるものである。
【0073】
よって、可撓性チューブ6の一端側6aの送り込みがエフロ10のエフロ詰まり部位10aを介して阻止されることなく所定の距離で管7の内部に送り込まれた場合、即ちエフロ詰まり部位10aに可撓性チューブ6の一端側6aが通り抜ける程度の空間(固着したエフロでの完全な詰まりはないが浮遊エフロや塵等により管内を閉塞している場合等)があり、しかも管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管の内径を狭める様に発生してなる場合には、可撓性チューブ6の外周面6cの複数の注入孔6dから管7の内部に順次注入される所定量の薬液4及び反応泡の双方を介して管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管7の内径を狭めつつ個着したエフロ10の内周面全体に薬液4を同時に接触させることでエフロ溶解除去の反応面積及び反応速度を急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0074】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ6の一端側6aの外周面6cに設けられた注入孔6dが、該可撓性チューブ6の一端側6aから他端側6b方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に設けられた場合には、管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで該管7の内径を狭めつつ個着したエフロ10の内周面全体に薬液4を同時に接触させることが出来る反応有効範囲をより広く設定することが可能となり、よってエフロ溶解除去の反応面積を最大限に、且つ反応速度もより速く急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0075】
更に、エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ6の一端側6aの外周面6cに設けられた注入孔6dが、竪管7内の下方向にエフロ除去用薬液4を案内注入することが出来る下方向注入部位6e介して外周面6cに設けられた場合、一般的に管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ10は、該管7の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位10aを有して管7の内周面に固着してなることから、下方向注入部位6eの注入孔6dから下方向に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10a近傍に強制的にエフロ除去用薬液(4)を接触されること可能となり、よって逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10a近傍のエフロ溶解除去の反応面積を最大限に、且つ反応速度もより速く急激に上げることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0076】
更に、エフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ6の一端側6aの先端部6fに注入孔6dが設けられた場合、一般的に管7の鉛直方向の内周面に所定の長さで発生したエフロ10は、該管7の下方向に向かう程徐々に管の内径を狭める様に逆略円錐状に形成され、その略円錐頂部にエフロ詰まり部位10aを有して管7の内周面に固着してなるものである。よって一端側6aの先端部6fの注入孔6dから真下に位置する逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10aに強制的にエフロ除去用薬液4を接触されることが出来、しいては逆円錐頂部のエフロ詰まり部位10aをピイポイントで溶解除去させることが可能となり、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮して作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0077】
尚、本発明におけるエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液は、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び/又は0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で3~10重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程を行うことで構造物の地下等で使用されるエフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭を抑えることが可能となり、よって塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るという格別な効果を奏するが、必要最少量で最大のエフロ溶解除去力を得ることが出来る量としては、乳酸を1~9重量%、更にグリコール酸独自の臭いも考慮しつつ必要最少量で最大のエフロ溶解除去力を得ることが出来る量として、グリコール酸を0.1~1重量%としても良く、この場合であっても溶解除去したエフロを劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るという効果を有しつつエフロ除去用薬液の製造に生じる塩化水素の刺激臭をも抑えることで作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るという格別な効果を奏する。
【0078】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、乳酸とグリコール酸の双方を混合することが必須要件ではなく、例えば、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、塩酸が3~10重量%以下、グリコール酸が0.1~3.6重量%以下の2種のみで混合されていてもよく、この場合でもエフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭をも抑えることで作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るのみならずグリコール酸を介してエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制しエフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るだけでなく、管内に鉄分が多い場合でもPH値の上昇を抑えて管内のPH値を安定化させることが出来るという格別な効果を奏する。
【0079】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、塩酸が3~10重量%以下、乳酸が1~15重量%以下の2種のみで混合されていてもよく、この場合でもエフロ除去用薬液の製造時に生じる塩化水素の刺激臭を抑えることで作業員の体調不良を回避することが出来ると共に塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来、更にエフロ溶解除去時にも滞った排出水を介して塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制するだけでなく滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を上げることが出来るのみならず塩酸(塩素酸)の刺激臭を劇的に抑制しエフロ除去後の排水を劇物指定物ではなく普通物としてその場に貯留等している自然排出水や洗浄用注水に混ぜて地下現場であっても簡単に排水処理することが出来るという格別な効果を奏する。
【0080】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸及び/又は3.6~14重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で10~38重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程とを介することで混合撹拌時に発生する塩化水素の刺激臭を抑制したエフロ除去用薬液を製造した場合でも、塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来るという格別な効果を奏する。
【0081】
更に、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸及び/又は3.6~14重量%以下のグリコール酸、10~38重量%以下の塩酸を投入することで混合撹拌時における塩酸の揮発をギリギリまで抑制しつつ最大のエフロ溶解除去力を得ることが出来る格別な効果を奏するが、この配合によるエフロ除去用薬液を用いてエフロの溶解除去を行った場合には、エフロ除去後の排水は劇物指定物となる恐れが極めて高く、よって劇物指定物の範囲となった際には普通物としてその場に貯留等している自然排出水と共に排水する前に洗浄用注水等を介して希釈等の処理手段を介して普通物として排水処理する工程が必要となるのは言うまでもない。
【0082】
更に、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸及び/又は3.6~14重量%以下のグリコール酸、10~38重量%以下の塩酸の配合からなるエフロ除去用薬液であればグリコール酸又は乳酸若しくはその双方の働きにより滞った排出水を利用しての最大のエフロ溶解除去力を有しつつエフロ溶解除去時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭を、作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させることが可能になるという格別な効果を有する。
【0083】
更に、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、10~38重量%以下の塩酸、6~14重量%以下のグリコール酸の2種のみで混合された場合には、最大のエフロ溶解除去力を有しつつ、グリコール酸によりエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させつつ、管内に鉄分が多い場合でもPH値の上昇を抑えて管内のPH値を安定化させることが出来るという格別な効果を奏する。
【0084】
更に、エフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に対して、10~38重量%以下の塩酸、15~57重量%の乳酸の2種のみで混合されてなる場合には、最大のエフロ溶解除去力を有しつつ、エフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を控えつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、水に極めて溶け込みやすい乳酸の作用を介して作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させつつ、滞った排出水を利用してのエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を急激に上げることが出来、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮することで作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【0085】
更に、本発明のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液が、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸、3.6~14重量%以下のグリコール酸、10~38重量%以下の3種で混合される場合には、塩酸の揮発をギリギリまで抑制しつつ最大のエフロ溶解除去力を得ることが出来ると共に、3種の混合撹拌時に発生する塩化水素の刺激臭を抑制して塩化水素の刺激臭による作業員の体調不良を回避することが出来るだけでなく、塩化水素の発生そのものを抑えることで液薬製造施設内の鋼管等の金属類、塩ビ管等の樹脂類の劣化をも防ぐことが出来、更にエフロ溶解除去時に発生する塩酸(塩素酸)の刺激臭を、作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させることが可能になるという格別な効果やグリコール酸によりエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を減少させつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させつつ、管内に鉄分が多い場合でもPH値の上昇を抑えて管内のPH値を安定化させることが出来るという格別な効果のみならずエフロ溶解除去時に滞った排出水を介して発生し水面に浮く反応泡を控えつつ塩酸(塩素酸)の刺激臭を、水に極めて溶け込みやすい乳酸の作用を介して作業者が不快感や体調不良等の不都合を生じることがない最低限で発生させつつ、滞った排出水を利用してのエフロの反応泡を細かくしてエフロ溶解の反応速度を急激に上げることが出来、しいては現場におけるエフロ溶解除去の作業時間を大幅に短縮することで作業コストの高騰を抑えることが出来るという格別な効果を有する。
【産業上の利用分野】
【0086】
本発明は、コンクリート構造物の地下等において、生成されたエフロが地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで地下水等の排出水が滞った状態となった際に、滞った排出水を利用して管の内部に固着したエフロを溶解除去することが出来るエフロ除去用薬液の製造方法及びその製造方法により製造されるエフロ除去用薬液並びにそのエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法とその装置を提供するものである。
【符号の説明】
【0087】
1 … 管内エフロの除去兼固着防止装置
2 … 注入装置
3 … 薬剤容器
4 … エフロ除去用薬液
5 … 接続ホース
6 … 可撓性チューブ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の地下等でモルタル中の水酸化カルシウムが、進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して生成されたエフロが地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで、地下水等の排出水が滞った状態における竪管等の管内に固着したエフロを前記滞った排出水を利用して溶解除去するための薬液が水、塩酸、グリコール酸又は乳酸の少なくとも何れ一方の酸との混合で生成されるエフロ除去用薬液の製造方法であって、常温状態にある所定量の水に、1~15重量%の乳酸及び/又は0.1~3.6重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で3~10重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程とを介することで混合撹拌時に発生する塩化水素の刺激臭を抑制したエフロ除去用薬液を製造することを特徴とするエフロ除去用薬液の製造方法。
【請求項2】
構造物の地下等でモルタル中の水酸化カルシウムが、進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して生成されたエフロが地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで、地下水等の排出水が滞った状態における竪管等の管内に固着したエフロを前記滞った排出水を利用して溶解除去するための薬液が水、塩酸、グリコール酸又は乳酸の少なくとも何れ一方の酸との混合で生成されるエフロ除去用薬液の製造方法であって、常温状態にある所定量の水に、15~57重量%の乳酸及び/又は3.6~14重量%以下のグリコール酸を投入して所定時間撹拌して混合する第1の撹拌工程と、その後該撹拌を所定時間停止させた状態で10~38重量%以下の塩酸を投入した後再び所定時間撹拌混合する第2の撹拌工程とを介することで混合撹拌時に発生する塩化水素の刺激臭を抑制したエフロ除去用薬液を製造することを特徴とするエフロ除去用薬液の製造方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のエフロ除去用薬液の製造方法により製造されるエフロ除去用薬液。
【請求項4】
前記請求項3記載のエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止方法であって、エフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った状態の竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の送り込みがエフロ(10)のエフロ詰まり部位(10a)を介して阻止された後、該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の前記エフロ除去用薬液(4)を該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで該可撓性チューブ(6)の外周面(6c)の注入孔(6d)から管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して排出水(9)を滞らせるべく管(7)の内部に固着したエフロ(10)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)近傍から徐々に溶解除去して滞った地下水等の排出水(9)を排出させることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法。
【請求項5】
前記請求項3記載のエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止方法であって、エフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った状態の竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の前記エフロ除去用薬液(4)を該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ(6)の外周面(6c)の注入孔(6d)から管(7)の内部に順次注入される所定量のエフロ除去用薬液(4)を介して排出水(9)を滞らせるべく管(7)の内部に固着したエフロ(10)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)近傍から徐々に溶解除去して滞った地下水等の排出水(9)を排出させることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法。
【請求項6】
前記請求項4又は5記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から他端側(6b)方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に設けられてなることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法。
【請求項7】
前記請求項4乃至6の何れかに記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、竪管(7)内の下方向にエフロ除去用薬液(4)を案内注入することが出来る下方向注入部位(6e)介して外周面(6c)に設けられてなることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法。
【請求項8】
前記請求項4乃至7の何れかに記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の先端部(6f)にも注入孔(6d)が設けられ、且つ該先端部(6f)の注入孔(6d)から管(7)内に注入されるエフロ除去用薬液(4)が外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)から管(7)内に注入されるエフロ除去用薬液(4)の注入圧を保持可能な注入圧で管(7)内に注入される構成を有してなることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法。
【請求項9】
エフロ(10)を溶解するエフロ除去用薬液(4)を有する薬剤容器(3)と、該薬剤容器(3)が有するエフロ除去用薬液(4)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から他端側(6b)方向に所定の距離寸法の範囲で複数放射状且つ多段状に設けられた複数の注入孔(6d)から前記管(7)内に所定の時間注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置(2)とを備えてなることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置。
【請求項10】
前記請求項9に記載のエフロ除去用薬液を用いる管内エフロの除去兼固着防止装置において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の外周面(6c)に設けられた注入孔(6d)が、竪管(7)内の下方向にエフロ除去用薬液(4)を案内注入することが出来る下方向注入部位(6e)介して外周面(6c)に設けられてなることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置。
【請求項11】
前記請求項9又は10に記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置において、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の先端部(6f)にも注入孔(6d)が設けられてなることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置。
【請求項12】
前記請求項9乃至11の何れかに記載のエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置において、該管内エフロの除去兼固着防止装置が外周面(6c)に注入孔(6d)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)を着脱自在な構成を有してなり、しかも該着脱部位には、一端側(6a)の先端部(6f)にのみエフロ除去用薬液(4)の管(7)内への注入を可能とする注入孔(6d)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)又は一端側(6a)の先端部(6f)にのみエフロ除去用薬液(4)の管(7)内への注入を可能とする注入孔(6d)を有すると共に、該注入孔(6d)近傍に該注入孔(6d)より管(7)内へ注入されるエフロ除去用薬液(4)の注入範囲量を変化可能とする調整部(6g)を有したノズル体(6h)が設けられた可撓性チューブ(6)の他端側(6b)の少なくとも何れか一方が着脱自在な構成にしてなることを特徴とするエフロ除去用薬液を用いる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置。