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特開2024-35254食器の洗浄検査装置及び食器洗浄システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035254
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】食器の洗浄検査装置及び食器洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/00 20060101AFI20240307BHJP
   A47L 15/24 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A47L15/00 Z
A47L15/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139598
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000231888
【氏名又は名称】日本調理機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】堀川 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】白井 納
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082AA03
3B082AA07
3B082AA08
(57)【要約】
【課題】洗浄後の食器の両面について、汚れ等の検査を短時間でかつ確実に行うことができ、さらに、洗浄後の食器の汚れ等の検査を、簡易な構成で、容易に行うことができる食器の洗浄検査装置及び食器洗浄システムを提供する。
【解決手段】食器の洗浄検査装置は、洗浄後の食器の一方の面の全面を上方から撮像する第1の撮像器と、撮像した食器を上下に反転させる第1の反転器と、反転した食器の他方の面の全面を上方から撮像する第2の撮像器と、第1の撮像器及び第2の撮像器によって撮像された画像から食器の洗浄結果の良否を判別する判別機構とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄後の食器の一方の面の全面を上方から撮像する第1の撮像器と、撮像した前記食器を上下に反転させる第1の反転器と、反転した前記食器の他方の面の全面を上方から撮像する第2の撮像器と、前記第1の撮像器及び前記第2の撮像器によって撮像された画像から前記食器の洗浄結果の良否を判別する判別機構とを備えていることを特徴とする食器の洗浄検査装置。
【請求項2】
前記第2の撮像器により撮像した前記食器を上下に反転させる第2の反転器をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項3】
前記判別機構により前記食器の洗浄結果が否と判別された場合は当該食器を途中で排出する食器排出機構をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項4】
前記食器排出機構は、洗浄結果が否と判別された食器を落下させる落下機構と、該落下機構により落下した食器を外部へ排出する排出コンベアとを備えていることを特徴とする請求項3に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項5】
前記第2の反転器が、前記落下機構を備えていることを特徴とする請求項4に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項6】
前記第2の反転器に接続されており、前記判別機構により前記食器の洗浄結果が良と判別された場合は当該食器を途中排出せずに搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアによって搬送された食器を順次積み重ねて整理する食器整理機構とをさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項7】
前記第1の反転器が、前記第1の撮像器による撮像後に搬送された食器を把持する把持部と、該把持部を回動させて上下に反転させる第1の回動部と、該第1の回動部による反転の後に前記把持部による前記食器の把持を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項8】
前記第1の反転器が、搬送されてきた食器を長手方向の一端から内部に収容可能であり、長手方向の中央を中心にして回動可能な食器収容部と、該食器収容部の前記一端を開閉可能な開閉扉とを備えており、前記開閉扉は、前記食器収容部が180度回動した際に開成するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項9】
前記第2の反転器が、前記第2の撮像器による撮像後に搬送された食器を摺動可能に把持する把持部と、該把持部を回動させて上下に反転させる第2の回動部と、該第2の回動部による反転の後に前記把持部による前記食器の把持を解除するように構成されており、さらに、前記判別機構により前記食器の洗浄結果が否と判別された場合は回動の途中で当該食器の把持を解除するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項10】
前記第2の反転器が、搬送されてきた食器を長手方向の一端から内部に収容可能であり、長手方向の中央を中心にして回動可能な食器収容部と、該食器収容部の前記一端を開閉可能な開閉扉とを備えており、前記開閉扉は、前記食器収容部が180度回動した際と、当該食器の洗浄結果が否と判別されかつ前記食器収容部が90度回動した際に開成するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項11】
食器を並列して搬送する複数の搬送ラインの各々に前記第1の撮像器、前記第1の反転器、前記第2の撮像器及び前記第2の反転器が設けられており、前記複数の搬送ラインにおける複数の前記第1の反転器は互いに連動して反転動作を行うように構成されており、前記複数の搬送ラインにおける複数の前記第2の反転器は互いに連動して反転動作及び排出動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の食器の洗浄検査装置。
【請求項12】
食器を洗浄する食器洗浄機と、該食器洗浄機の後段に接続された、請求項1から11のいずれか1項に記載の食器の洗浄検査装置とを備えていることを特徴とする食器洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄後の食器の洗浄検査装置及びこの洗浄検査装置を備えた食器洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、食器の乾燥部と包装部との間に後検査装置を設け、乾燥部から搬送されてくる食器収容体内に斜めに収容されている食器をCCDカメラにより撮影し、得られた画像データを解析し、解析結果と施設識別情報とに基づいて食器の破損の有無や汚れ残りを施設別に自動で検査する食器洗浄システムが開示されている。
【0003】
食器が食器収容体内に斜めに収容されているため、これら食器を食器収容体の上方に設けたCCDカメラで撮影すると、食器の表面全体を撮影することができない。そこで、特許文献1に記載されている食器洗浄システムにおいては、複数のCCDカメラを複数の細い棒状体の先端にそれぞれ取り付け、これら棒状体を移動させて食器収容体と食器との隙間にCCDカメラを挿入することにより、食器の表面全体を撮影している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-221096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載されている食器洗浄システムによると、複数のCCDカメラ及び細い棒状体が必要であることのみならず、これらを移動させて食器収容体と食器との隙間に挿入する必要があるため、装置構成及び動作が非常に複雑となって検査処理が難しくなり、しかも、検査を短時間でかつ確実に行うことができなかった。さらに、この食器洗浄システムでは、食器の表面及び裏面の両面について、汚れの検査を行うことができなかった。
【0006】
従って本発明の目的は、洗浄後の食器の両面について、汚れ等の検査を短時間でかつ確実に行うことができる食器の洗浄検査装置及び食器洗浄システムを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、洗浄後の食器の汚れ等の検査を、簡易な構成で、容易に行うことができる食器の洗浄検査装置及び食器洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、食器の洗浄検査装置は、洗浄後の食器の一方の面の全面を上方から撮像する第1の撮像器と、撮像した食器を上下に反転させる第1の反転器と、反転した食器の他方の面の全面を上方から撮像する第2の撮像器と、第1の撮像器及び第2の撮像器によって撮像された画像から食器の洗浄結果の良否を判別する判別機構とを備えている。
【0009】
洗浄後の食器の一方の面の全面を撮像し、その食器を上下に反転させた後、他方の面の全面を撮像し、これら撮像した画像から食器の洗浄結果の良否を判別している。食器の一方の面の全面を1つの撮像器で一度に撮像し、上下に反転させた後に他方の面の全面を1つの撮像器で一度に撮像して洗浄結果を判別しているので、洗浄後の食器の汚れ等の検査を短時間でかつ確実に行うことができる。また、食器を反転させて両面を撮像しているので、検査を簡易な構成で容易に行うことができる。
【0010】
なお、本明細書において、「食器」とは、例えば、学校給食に用いられる、椀(飯椀、汁椀)、菜皿(大皿、小皿)、コップ及びトレイ等を指している。弁当箱も「食器」に含まれる。
【0011】
第2の撮像器により撮像した食器を上下に反転させる第2の反転器をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
判別機構により食器の洗浄結果が否と判別された場合はこの食器を途中で排出する食器排出機構をさらに備えていることも好ましい。
【0013】
食器排出機構は、洗浄結果が否と判別された食器を落下させる落下機構と、落下機構により落下した食器を外部へ排出する排出コンベアとを備えていることも好ましい。
【0014】
この場合、第2の反転器が、落下機構を備えていることがより好ましい。
【0015】
第2の反転器に接続されており、判別機構により食器の洗浄結果が良と判別された場合はこの食器を途中排出せずに搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアによって搬送された食器を順次積み重ねて整理する食器整理機構とをさらに備えていることも好ましい。
【0016】
第1の反転器が、第1の撮像器による撮像後に搬送された食器を把持する把持部と、把持部を回動させて上下に反転させる第1の回動部と、第1の回動部による反転の後に把持部による食器の把持を解除するように構成されていることも好ましい。
【0017】
この場合、第1の反転器が、搬送されてきた食器を長手方向の一端から内部に収容可能であり、長手方向の中央を中心にして回動可能な食器収容部と、食器収容部の一端を開閉可能な開閉扉とを備えており、開閉扉は、食器収容部が180度回動した際に開成するように構成されていることがより好ましい。
【0018】
第2の反転器が、第2の撮像器による撮像後に搬送された食器を摺動可能に把持する把持部と、把持部を回動させて上下に反転させる第2の回動部と、第2の回動部による反転の後に把持部による食器の把持を解除するように構成されており、さらに、判別機構により食器の洗浄結果が否と判別された場合は回動の途中でこの食器の把持を解除するように構成されていることも好ましい。
【0019】
この場合、第2の反転器が、搬送されてきた食器を長手方向の一端から内部に収容可能であり、長手方向の中央を中心にして回動可能な食器収容部と、食器収容部の一端を開閉可能な開閉扉とを備えており、開閉扉は、食器収容部が180度回動した際と、この食器の洗浄結果が否と判別されかつ食器収容部が90度回動した際に開成するように構成されていることがより好ましい。
【0020】
食器を並列して搬送する複数の搬送ラインの各々に第1の撮像器、第1の反転器、第2の撮像器及び第2の反転器が設けられており、複数の搬送ラインにおける複数の第1の反転器は互いに連動して反転動作を行うように構成されており、複数の搬送ラインにおける複数の第2の反転器は互いに連動して反転動作及び排出動作を行うように構成されていることも好ましい。
【0021】
本発明によれば、さらに、食器洗浄システムは、食器を洗浄する食器洗浄機と、食器洗浄機の後段に接続された、上述の食器の洗浄検査装置とを備えている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、食器の一方の面の全面を1つの撮像器で一度に撮像し、上下に反転させた後に他方の面の全面を1つの撮像器で一度に撮像して洗浄結果を判別しているので、洗浄後の食器の汚れ等の検査を短時間でかつ確実に行うことができる。また、食器を反転させて両面を撮像しているので、検査を簡易な構成で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態として、食器洗浄システムの一部の構成例を概略的に示す側面図である。
図2図1の食器洗浄システムにおける食器洗浄機の一部及び食器整理部の構成例を概略的に示す斜視図である。
図3図1の食器洗浄システムにおける洗浄検査装置、高さ調整コンベア及び食器積上げ部の構成例を概略的に示す平面図である。
図4図1の食器洗浄システムの洗浄検査装置における食器排出機構の構成例を概略的に示す斜視図である。
図5図1の食器洗浄システムにおける食器整理機構の構成例を終端側から概略的に示す図である。
図6図1の食器洗浄システムにおける食器整理機構の各食器積上げ部の構成及び動作を概略的に示す側面図である。
図7図1の食器洗浄システムにおける洗浄検査装置の食器を反転させる機構の構成例を概略的に示す(A)側面図及び(B)正面図である。
図8図1の食器洗浄システムの洗浄検査装置における第1の反転器の動作を説明する側面図である。
図9図1の食器洗浄システムの洗浄検査装置における第2の反転器の動作を説明する側面図である。
図10図1の食器洗浄システムの洗浄検査装置における制御装置の判別動作の一例の流れを説明するフローチャートである。
図11】本発明の他の実施形態として、食器洗浄システムの一部の構成例を概略的に示す側面図である。
図12図11の食器洗浄システムの一部の構成例を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の一実施形態として、食器洗浄システムの一部の構成例を概略的に示しており、図2は本実施形態の食器洗浄システムにおける食器洗浄機の一部及び食器整理部の構成例を概略的に示しており、図3は本実施形態の食器洗浄システムにおける洗浄検査装置、高さ調整コンベア及び食器積上げ部の構成例を概略的に示している。本実施形態の食器洗浄システムは、例えば学校給食に使用する食器やトレイを洗浄し、洗浄結果を検査するシステムである。
【0025】
これらの図において、10は食器洗浄機を示しており、洗浄され乾燥された食器11、11′及び11″が複数列(本実施形態では4列であるが、その列数はこれに限定されない)の洗浄機搬送コンベア12によって一方の面(本実施形態では裏面)を上に向けて搬送される状態を表している。食器洗浄機10には食器整理部13が連結されており、食器洗浄機10の4列の洗浄機搬送コンベア12によって搬送された食器11、11′及び11″は、食器整理部13の4列の整理部搬送コンベア14によって食器洗浄機10の搬送速度より速い速度でそれぞれ搬送される。整理部搬送コンベア14の搬送速度は洗浄機搬送コンベア12の搬送速度より速く設定されており、これにより、搬送される食器11、11′及び11″の間隔を広げることができる。食器整理部13には、高さゲート15が設けられており、整理部搬送コンベア14によって搬送される食器11、11′及び11″の高さを検知して、これら食器11、11′及び11″が2枚以上重なっていることを検出した場合は、食器洗浄システムの動作を停止するように構成されている。
【0026】
食器整理部13には洗浄検査装置16が連結されており、この洗浄検査装置16には高さ調整コンベア17を介して食器整理機構18が連結されている。
【0027】
図1及び図3に示すように、洗浄検査装置16は、食器整理部13の4列の整理部搬送コンベア14によって搬送された食器11、11′及び11″を受け取って搬送する4列の第1の検査装置搬送コンベア19と、これら4列の第1の検査装置搬送コンベア19の中央に位置して搬送される食器11、11′及び11″の一方の面(本実施形態では裏面)の全面を上方から一度にそれぞれ撮像する4つの第1の撮像器20と、4つの第1の撮像器20によって撮像され、4列の第1の検査装置搬送コンベア19によって搬送された食器11、11′及び11″を受け取って上下に反転させる4つの第1の反転器21と、4つの第1の反転器21によって反転された食器11、11′及び11″を受け取って搬送する4列の第2の検査装置搬送コンベア22と、これら4列の第2の検査装置搬送コンベア22の中央に位置して搬送される食器11、11′及び11″の他方の面(本実施形態では表面)の全面を上方から一度にそれぞれ撮像する4つの第2の撮像器23と、4つの第2の撮像器23によって撮像され、4列の第2の検査装置搬送コンベア22によって搬送された食器11、11′及び11″を受け取って上下に反転させると共に洗浄結果が否と判別された場合は食器11、11′及び11″を反転させることなく途中で排出する4つの第2の反転器24とを備えている。なお、4つの第1の反転器21は共通の回動軸21aに連結されており連動して回動するように構成されている。また、4つの第2の反転器24も共通の回動軸24aに連結されており連動して回動するように構成されている。
【0028】
第1の撮像器20は第1の検査装置搬送コンベア19によって搬送される食器について1つの撮像器で上方から一度に撮像し、食器の裏面全体の静止画を得る例えばCCDカメラであり、第2の撮像器23は第2の検査装置搬送コンベア22によって搬送される食器について1つの撮像器で上方から一度に撮像し、食器の表面全体の静止画を得る例えばCCDカメラである。食器がCCDカメラの正面に搬送されてきたことを図示しない位置検出センサが検知すると、CCDカメラは静止画を撮像し、その撮像データは制御装置26へ送信される。なお、図示されていないが、CCDカメラによる撮像を補助するために食器を照明するための照明機器を設けることが望ましい。第1の撮像器20及び第2の撮像器23として、CMOSカメラ又はその他のカメラを用いても良い。なお、食器の形状によっては、各列に複数の第1の撮像器20及び複数の第2の撮像器23を設け、上方からのみならず、側方から食器を撮像するように構成しても良い。
【0029】
洗浄検査装置16には、さらに、4つの第2の反転器24から排出された食器11、11′及び11″を排出する食器排出機構25と、4つの第1の撮像器21及び4つの第2の撮像器23によって撮像された画像のデータから食器の洗浄結果の良否を判別する判別動作(本発明の判別機構の判別動作に対応する)を制御するコンピュータを備えた制御装置26とが設けられている。図示されていないが、制御装置26には、上述したコンピュータの他にタッチ操作で入力を行うタッチパネルや画像モニタ等が設けられている。
【0030】
図4は本実施形態の食器洗浄システムの洗浄検査装置16における食器排出機構25の構成例を概略的に示している。
【0031】
図1及び図4に示すように、食器排出機構25は、4つの第2の反転器24の下方に設けられており、これら4つの第2の反転器24に設けられた落下機構(後述する)により落下した食器11を外部へ排出する排出コンベア27と、排出コンベア27によって搬送された食器11を収容する排出食器収容部28を備えている。なお、4つの第2の反転器24は、上述したように連動して回動するように構成されており、従って、1列のみの検査装置搬送コンベア上の食器の洗浄結果が否と判別された場合であっても、4列の検査装置搬送コンベア上の食器を全て排出するように構成されている。本実施形態の変更態様として、検査装置搬送コンベア上の食器の洗浄結果が否と判別された場合に、その列のみの食器を排出するように、食器排出機構を構成しても良い。なお、本実施形態においては、排出コンベア27によって搬送された食器11を排出食器収容部28に収容するように構成されているが、本実施形態の変更態様として、排出された食器11を食器洗浄機10の入口まで搬送し、食器洗浄をやり直すように構成しても良い。
【0032】
洗浄検査装置16における4つの第2の反転器24は、4列の高さ調整コンベア17に連結されている。洗浄結果が良と判別された食器11、11′及び11″は4つの第2の反転器24によって上下反転されて裏面が上に向いた状態で4列の高さ調整コンベア17にそれぞれ送られる。これら4列の高さ調整コンベア17は、4つの第2の反転器24からの食器を食器整理機構18の高さまで上昇させるために設けられている。
【0033】
図5は本実施形態の食器洗浄システムにおける食器整理機構18の構成例を終端側から概略的に示しており、図6は食器整理機構18の各食器積上げ部29の構成及び動作を概略的に示している。
【0034】
これらの図に示すように、食器整理機構18には、4つの食器積上げ部29が設けられている。各食器積上げ部29は、高さ調整コンベア17から受け取った食器11′を積み重ね状態で係止するストッパ30と、食器11′をストッパ30の位置まで押し上げる押し上げ部31とを備えており、高さ調整コンベア17から受け取った食器11′を下方から順次積上げてスタックするように構成されている。
【0035】
次に、第1の反転器21及び第2の反転器24による食器反転動作及び食器落下動作について説明する。
【0036】
図7は本実施形態の食器洗浄システムの洗浄検査装置16における食器を反転させる機構の構成例を概略的に示しており、図8は本実施形態の食器洗浄システムの洗浄検査装置16における第1の反転器21の動作を説明しており、図9は本実施形態の食器洗浄システムの洗浄検査装置16における第2の反転器24の動作を説明している。
【0037】
図7に示すように、第1の反転器21及び第2の反転器24における食器を反転させる機構は、食器11を長手方向の一端の開口から内部に収容可能な食器収容部32と、食器収容部32の一端の開口を開閉可能な開閉扉33と、食器収容部32の他端の開口(の中央部)を開閉可能な開閉扉34とを備えている。食器収容部32はその長手方向の中央の軸32aを中心にして回動可能に構成されている。開閉扉33は、食器収容部32の内部の食器11が外部へ放出されないように、食器収容部32の一端の開口(の中央部)を閉成するためのものである。この開閉扉33は軸33aを中心として回動することによって開口を開成して内部の食器11を外部へ放出させることが可能となっている。開閉扉34は、食器収容部32の内部の食器11が外部へ放出されないように、食器収容部32の他端の開口(の中央部)を閉成するためのものである。この開閉扉34は軸34aを中心として回動することによって開口を開成して内部の食器11を外部へ放出させることが可能となっている。
【0038】
次に、第1の反転器21による食器反転動作を説明する。第1の反転器21は、最初は、開閉扉33を開成した状態に保たれている。この状態で、図8(A)に示すように、第1の検査装置搬送コンベア19により搬送されてきた食器11が長手方向の一端の開口から摺動して食器収容部32の内部に収容される。この時点で食器11は裏面が上を向いた状態にある。
【0039】
次いで、図8(B)に示すように、開閉扉33が軸33aを中心として回動することによって開口(の中央部)が閉成し、この状態で、図8(C)に示す0度の回動状態から、図8(D)に示す90度の回動状態となり、さらに、図8(E)に示す180度の回動状態まで、食器収容部32が軸32aを中心として回動する。これにより、食器収容部32の内部の食器11は外部へ放出されることなく、上下が反転し、表面が上を向いた状態となる。
【0040】
食器収容部32が図8(C)の0度の回動状態から図8(E)の180度の回動状態まで回動した後、図8(F)に示すように、開閉扉33が軸33aを中心として回動することによって開口が開成する。これにより、図8(G)に示すように、食器11が食器収容部32から外部へ放出され、第2の検査装置搬送コンベア22に受け取られる。
【0041】
次いで、図8(H)に示すように、開閉扉33(の中央部)が閉成する。その後、開閉扉34が開成することによって、図8(A)の場合と同様の状態となる。
【0042】
次に、第2の反転器24による食器反転動作及び食器排出動作を説明する。第2の反転器24は、最初は、開閉扉33を開成した状態に保たれている。この状態で、図9(A)に示すように、第2の検査装置搬送コンベア22により搬送されてきた食器11が長手方向の一端の開口から摺動して食器収容部32の内部に収容される。この時点で食器11は表面が上を向いた状態にある。
【0043】
次いで、図9(B)に示すように、開閉扉33が軸33aを中心として回動することによって開口(の中央部)が閉成し、この状態で、図9(C)に示す0度の回動状態から、図9(D)に示す90度の回動状態となり、洗浄結果が良と判別された場合は、図9(E)に示す180度の回動状態まで、食器収容部32が軸32aを中心として回動する。これにより、食器収容部32の内部の食器11は外部へ放出されることなく、上下が反転し、裏面が上を向いた状態となる。
【0044】
食器収容部32が図9(C)の0度の回動状態から図9(E)の180度の回動状態まで回動した後、図9(F)に示すように、開閉扉33が軸33aを中心として回動することによって開口が開成する。これにより、図9(G)に示すように、食器11が食器収容部32から外部へ放出され、高さ調整コンベア17に受け取られる。
【0045】
次いで、図9(H)に示すように、開閉扉33(の中央部)が閉成する。その後、開閉扉34が開成することによって、図9(A)の場合と同様の状態となる。
【0046】
一方、洗浄結果が否と判別された場合は、図9(D)に示す90度の回動状態から、図9(I)に示すように、開閉扉33が軸33aを中心として回動することによって開口が開成し、食器収容部32の内部の食器11を食器排出機構25の排出コンベア27上に落下させて外部へ排出する。第2の反転器24のこの部分が、本発明の落下機構に対応している。
【0047】
第1の撮像器20及び第2の撮像器23によって撮像された食器11の裏面及び表面の静止画像データから食器11の洗浄結果の良否を判別する判別方法としては、種々の方法が存在する。例えば、その1つの方法として、裏面又は表面の全面の光強度の画素データのばらつきが所定の閾値以上の場合は、汚れがあるとして洗浄結果が否と判別し、所定の閾値未満の場合は、汚れがないとして洗浄結果が良と判別する方法がある。
【0048】
図10は本実施形態の食器洗浄システムの洗浄検査装置16における制御装置26の判別動作の一例の流れを説明している。
【0049】
この方法においては、図10に示すように、まず、第1の撮像器21によって撮像され、制御装置26のデータベースに記憶されている、食器11の裏面全面の光強度の画素データを読み出し、そのばらつきを表す標準偏差(又は分散)を算出する(ステップS1)。
【0050】
同様に、第2の撮像器23によって撮像され、制御装置26のデータベースに記憶されている、食器11の表面全面の光強度の画素データを読み出し、そのばらつきを表す標準偏差(又は分散)を算出する(ステップS2)。
【0051】
次いで、算出した裏面の画素データの標準偏差が第1の閾値未満であるか否かを判別し(ステップS3)、第1の閾値未満であると判別した場合(YESの場合)、ステップS4へ進み、算出した表面の画素データの標準偏差が第2の閾値未満であるか否かを判別する。ステップS4において、第2の閾値未満であると判別した場合(YESの場合)は、この食器11は汚れがないとして洗浄結果が良と判別する(ステップS5)。
【0052】
ステップS3において標準偏差が第1の閾値以上であると判別した場合(NOの場合)、又はステップS4において標準偏差が第2の閾値以上であると判別した場合(NOの場合)、この食器11は汚れがあるとして洗浄結果が否と判別する(ステップS6)。
【0053】
本実施形態の食器洗浄システムの洗浄検査装置16における制御装置26の他の判別動作例として、AIを用いて食器の洗浄結果の良否を判別する方法がある。
【0054】
この方法は、非常に多数の汚れのない食器の裏面及び表面の画像データと、非常に多数の汚れのある食器の裏面及び表面の画像データとを、あらかじめディープラーニングさせて機械学習モデルを取得しておく。この取得した学習モデルに、第1の撮像器によって実際に撮像させた食器の裏面の画像データと第2の撮像器によって実際に撮像させた食器の表面の画像データとを適用して解を求め、その食器の洗浄結果の良否を検知するものである。
【0055】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、洗浄後の食器11、11′及び11″の一方の面(例えば裏面)の全面を1つの第1の撮像器20によって一度に撮像し、その食器11、11′及び11″を第1の反転器21によって上下に反転させた後、他方の面(例えば表面)の全面を1つの第2の撮像器23によって一度に撮像し、これら裏面の全面及び表面の全面の撮像された画像から食器11、11′及び11″の洗浄結果の良否を判別している。このように、食器11、11′及び11″の裏面の全面を1つの撮像器で一度に撮像し、上下に反転させた後に表面の全面を1つの撮像器で一度に撮像して洗浄結果を判別しているので、洗浄後の食器11、11′及び11″の汚れ等の検査を短時間でかつ確実に行うことができる。また、食器11、11′及び11″を反転させて両面を撮像しているので、検査を簡易な構成で容易に行うことができる。なお、食器の形状によっては、各列に複数の第1の撮像器20及び複数の第2の撮像器23を設け、上方からのみならず、側方から食器を撮像するように構成しても良い。
【0056】
図11は本発明の他の実施形態として、食器洗浄システムの一部の構成例を概略的に示しており、図12は本実施形態の食器洗浄システムの一部の構成例を概略的に示している。
【0057】
本実施形態は、食器排出機構及び高さ調整コンベアの構成が図1図10の実施形態における食器排出機構25及び高さ調整コンベア17の構成と異なっているのみであり、その他の構成及び動作は図1図10の実施形態の場合と同じである。従って、同じ構成要素については同じ参照符号を用いることとして説明を省略する。
【0058】
図11及び図12に示すように、本実施形態においては、複数列(本実施形態では4列であるが、その列数はこれに限定されない)の第2の反転器44a、44b、44c及び44dの下方に設けられており、これら4つの第2の反転器44a、44b、44c及び44dに設けられた落下機構により落下した食器11を外部へ排出する4つの排出コンベアと、これら排出コンベアによって搬送された食器11を収容する4つの排出食器収容部とを備えた食器排出機構45a、45b、45c及び45dが設けられている。4つの食器排出機構45a、45b、45c及び45dが列毎に別個に設けられているため、各列に同じ種類の食器を流して洗浄するように構成すれば、各食器排出機構に複数種類の食器が混在して排出されることはない。なお、4つの第2の反転器44a、44b、44c及び44dは、連動して回動するように構成されており、従って、1列のみの検査装置搬送コンベア上の食器の洗浄結果が否と判別された場合であっても、4列の検査装置搬送コンベア上の食器を全て排出するように構成されていても良いし、検査装置搬送コンベア上の食器の洗浄結果が否と判別された場合に、その列のみの食器を排出するように構成されていても良い。また、本実施形態においても、排出された食器11を食器洗浄機10の入口まで搬送し、食器洗浄をやり直すように構成しても良い。
【0059】
本実施形態において、4つの第2の反転器44a、44b、44c及び44dは、4列の高さ調整コンベア47a、47b、47c及び47dに連結されている。洗浄結果が良と判別された食器11は4つの第2の反転器44a、44b、44c及び44dによって上下反転されて裏面が上に向いた状態で4列の高さ調整コンベア47a、47b、47c及び47dにそれぞれ送られる。これら4列の高さ調整コンベア47a、47b、47c及び47dは、4つの第2の反転器44a、44b、44c及び44dからの食器を食器整理機構18の高さまで上昇させるために設けられている。
【0060】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、洗浄後の食器11の一方の面(例えば裏面)の全面を1つの第1の撮像器20によって一度に撮像し、その食器11を第1の反転器21によって上下に反転させた後、他方の面(例えば表面)の全面を1つの第2の撮像器23によって一度に撮像し、これら裏面の全面及び表面の全面の撮像された画像から食器11の洗浄結果の良否を判別している。このように、食器11の裏面の全面を1つの撮像器で一度に撮像し、上下に反転させた後に表面の全面を1つの撮像器で一度に撮像して洗浄結果を判別しているので、洗浄後の食器11の汚れ等の検査を短時間でかつ確実に行うことができる。また、食器11を反転させて両面を撮像しているので、検査を簡易な構成で容易に行うことができる。なお、食器の形状によっては、各列に複数の第1の撮像器20及び複数の第2の撮像器23を設け、上方からのみならず、側方から食器を撮像するように構成しても良い。さらに、本実施形態によれば、4列の搬送コンベアに別個の食器排出機構45a、45b、45c及び45dがそれぞれ設けられているため、各列に同じ種類の食器を流して洗浄するように構成すれば、各食器排出機構に複数種類の食器が混在して排出されることはない。
【0061】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0062】
10 食器洗浄機
11、11′、11″ 食器
12 洗浄機搬送コンベア
13 食器整理部
14 整理部搬送コンベア
15 高さゲート
16 洗浄検査装置
17、47a、47b、47c、47d 高さ調整コンベア
18 食器整理機構
19 第1の検査装置搬送コンベア
20 第1の撮像器
21 第1の反転器
21a、24a 回動軸
22 第2の検査装置搬送コンベア
23 第2の撮像器
24、44a、44b、44c、44d 第2の反転器
25、45a、45b、45c、45d 食器排出機構
26 制御装置
27 排出コンベア
28 排出食器収容部
29 食器積上げ部
30 ストッパ
31 押し上げ部
32 食器収容部
32a、33a、34a 軸
33、34 開閉扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12