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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035257
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ロータ支持装置
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/48 20060101AFI20240307BHJP
   B64C 11/34 20060101ALI20240307BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240307BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240307BHJP
【FI】
B64C27/48
B64C11/34
B64C39/02
B64C27/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139603
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】石塚 勇二
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組み立て及び分解が容易で且つメンテナンスが容易なロータ支持装置を提供する。
【解決手段】ロータ支持装置18は、ロータ20を支持し、外方に突出する結合部56、58を有するマウント24(24b)と、接続部材26bと、補強部材60と、を備え、接続部材は、結合部に接続される端部に、切り欠きが形成されることで突出部64が形成され、突出部64は、結合部の突出方向と直交する第1方向から結合部に重ねられて、結合部に着脱可能に接続され、補強部材は、第1方向とは反対の第2方向から結合部及び接続部材に重ねられて、結合部及び接続部材に着脱可能に接続される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機に設けられ、鉛直方向の推力を発生させるロータを支持するロータ支持装置であって、
前記ロータを支持し、外方に突出する結合部を有するマウントと、
前記結合部の突出方向に沿って延び、前記結合部に着脱可能に接続される接続部材と、
前記結合部と前記接続部材との接続を補強するために、前記結合部及び前記接続部材に着脱可能に接続される補強部材と、
を備え、
前記接続部材は、前記結合部に接続される端部に、切り欠きが形成されることで突出部が形成され、
前記突出部は、前記結合部の前記突出方向と直交する第1方向から前記結合部に重ねられて、前記結合部に着脱可能に接続され、
前記補強部材は、前記第1方向とは反対の第2方向から前記結合部及び前記接続部材に重ねられて、前記結合部及び前記接続部材に着脱可能に接続される、ロータ支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロータ支持装置であって、
前記突出部は、上方から前記結合部に重ねられて、前記結合部に着脱可能に接続され、
前記補強部材は、下方から前記結合部及び前記接続部材に重ねられて、前記結合部及び前記接続部材に着脱可能に接続される、ロータ支持装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータ支持装置であって、
前記接続部材は、パイプである、ロータ支持装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロータ支持装置であって、
前記マウントとしての第1マウント及び第2マウントと、
前記補強部材としての第1補強部材及び第2補強部材と、
を備え、
前記第1マウントは、前記ロータとしての第1ロータを支持し、
前記第2マウントは、前記ロータとしての第2ロータを支持し、
前記接続部材は、第1端部及び第2端部の各々に前記切り欠き及び前記突出部が形成され、
前記第1マウントの前記結合部には、前記接続部材の前記第1端部及び前記第1補強部材が締結され、
前記第2マウントの前記結合部には、前記接続部材の前記第2端部及び前記第2補強部材が締結される、ロータ支持装置。
【請求項5】
請求項1に記載のロータ支持装置であって、
前記マウントに永久結合され、且つ、前記航空機の翼に接続される第2接続部材を備える、ロータ支持装置。
【請求項6】
請求項5に記載のロータ支持装置であって、
前記ロータとは別のロータを支持し、前記第2接続部材に永久結合される固定マウントを備える、ロータ支持装置。
【請求項7】
請求項1に記載のロータ支持装置であって、
前記マウントは、上下方向に貫通する空隙を有する、ロータ支持装置。
【請求項8】
請求項7に記載のロータ支持装置であって、
前記ロータの各々のブレードのピッチを変更するアクチュエータと、
前記アクチュエータを支持し、前記空隙の内部に配置されるアクチュエータ支持部と、
を備える、ロータ支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛直方向の推力を発生させるロータを支持するロータ支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のロータによって鉛直方向の推力を発生させる垂直離着陸航空機が開示される。一般に垂直離着陸航空機は、VTOL機と称される。特許文献1のVTOL機は、機体の左右の各々に2つのロータを有する。2つのロータのうちの第1ロータは、前翼の前方に延びる第1支持部材に取りつけられる。2つのロータのうちの第2ロータは、前翼から後翼まで延びる第2支持部材に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0385130号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータを支持する構造は、組み立て及び分解が容易であり且つメンテナンスが容易であることが好ましい。
【0005】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、航空機に設けられ、鉛直方向の推力を発生させるロータを支持するロータ支持装置であって、前記ロータを支持し、外方に突出する結合部を有するマウントと、前記結合部の突出方向に沿って延び、前記結合部に着脱可能に接続される接続部材と、前記結合部と前記接続部材との接続を補強するために、前記結合部及び前記接続部材に着脱可能に接続される補強部材と、を備え、前記接続部材は、前記結合部に接続される端部に、切り欠きが形成されることで突出部が形成され、前記突出部は、前記結合部の前記突出方向と直交する第1方向から前記結合部に重ねられて、前記結合部に着脱可能に接続され、前記補強部材は、前記第1方向とは反対の第2方向から前記結合部及び前記接続部材に重ねられて、前記結合部及び前記接続部材に着脱可能に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロータを支持する構造に関して、組み立て及び分解が容易であり、且つ、メンテナンスが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、VTOL機の外観図である。
図2図2は、ブームの左側面図である。
図3図3は、ブームの上面図である。
図4図4は、図2で示される第1マウント、VTOLロータ及びその周辺構造の拡大図である。
図5図5は、第1マウントと中間パイプとの接続部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1 VTOL機10の構成]
図1は、VTOL機10の外観図である。VTOL機10は、例えば電動垂直離着陸航空機、所謂eVTOL機である。VTOL機10は、胴体12と、前翼14と、後翼16と、2つのブーム18と、8つのVTOLロータ20と、2つのクルーズロータ22とを備える。
【0010】
前翼14は、胴体12の前部に接続される。前翼14は、左翼14Lと右翼14Rとを有する。後翼16は、胴体12の後部に接続される。後翼16は、左翼16Lと右翼16Rとを有する。前翼14及び後翼16は、VTOL機10の前方への移動に伴い揚力を発生させる。
【0011】
2つのブーム18の各々は、4つのVTOLロータ20を支持するロータ支持装置である。2つのブーム18のうちのブーム18Rは、胴体12の右方に配置される。2つのブーム18のうちのブーム18Lは、胴体12の左方に配置される。各々のブーム18は、前後方向に延びる。
【0012】
ブーム18Lには、後方に向かって順番に4つのVTOLロータ20が配置される。同様に、ブーム18Rには、後方に向かって順番に4つのVTOLロータ20が配置される。各々のVTOLロータ20は、鉛直方向の推力を発生させる。
【0013】
後翼16には、左右に並ぶ2つのクルーズロータ22が配置される。各々のクルーズロータ22は、水平方向の推力を発生させる。
【0014】
[2 ブーム18(ロータ支持装置)の構成]
図2は、ブーム18Lの左側面図である。図3は、ブーム18Lの上面図である。なお、上記説明で参照した図1は、フェアリングが取り付けられた状態のブーム18Lを示す。一方、図2及び図3は、フェアリングが取り外された状態のブーム18Lを示す。また、図2及び図3は、4つのVTOLロータ20が取り付けられた状態のブーム18Lを示す。一方、ブーム18Rの構造は、左右が反転することを除いてブーム18Lの構造と同一である。このため、本明細書ではブーム18Lに関する説明をし、ブーム18Rに関する説明を省略する。
【0015】
ブーム18Lは、4つのマウント24と、3つの接続パイプ26(接続部材)とを有する。4つのマウント24には、前マウント24aと、第1マウント24bと、第2マウント24cと、後マウント24dとが含まれる。3つの接続パイプ26には、前パイプ26aと、中間パイプ26bと、後パイプ26cとが含まれる。後方に向かって、前マウント24a、前パイプ26a、第1マウント24b、中間パイプ26b、第2マウント24c、後パイプ26c、後マウント24dという順番で連結される。
【0016】
図3で示されるように、上方から見て、前パイプ26aは、前後方向に対して、時計回りの方向に所定角度回転した方向に沿って延びる。前パイプ26aは、前マウント24aと第1マウント24bとに接続される。前パイプ26aの前端部と前マウント24aとは、永久結合によって接続される。前パイプ26aの後端部と第1マウント24bとは、永久結合によって接続される。また、前パイプ26aには、前翼14の左翼14Lが接続される(図1参照)。
【0017】
中間パイプ26bは、前後方向に沿って延びる。中間パイプ26bは、第1マウント24bと第2マウント24cとに接続される。中間パイプ26bの前端部と第1マウント24bとは、互いに着脱可能に接続される。中間パイプ26bの後端部と第2マウント24cとは、互いに着脱可能に接続される。マウント24(第1マウント24b及び第2マウント24c)と中間パイプ26bとの接続構造については後述する。
【0018】
図3で示されるように、上方から見て、後パイプ26cは、前後方向に対して、反時計回りの方向に所定角度回転した方向に沿って延びる。後パイプ26cは、第2マウント24cと後マウント24dとに接続される。後パイプ26cの前端部と第2マウント24cとは、永久結合によって接続される。後パイプ26cの後端部と後マウント24dとは、永久結合によって接続される。また、後パイプ26cには、後翼16の左翼16Lが接続される(図1参照)。
【0019】
以上のように、4つのマウント24と3つの接続パイプ26の各々は、前方から後方に向かって交互に連結される。更に、前パイプ26aが前翼14の左翼14Lによって支持され、後パイプ26cが後翼16の左翼16Lによって支持される。これにより、ブーム18Lは、胴体12の左方向に固定される。
【0020】
[3 第1マウント24bと中間パイプ26bとの接続構造]
図4は、図2で示される第1マウント24b、VTOLロータ20及びその周辺構造の拡大図である。第1マウント24bは、VTOLロータ20を支持する。VTOLロータ20は、モータ30と、放熱体32と、ギヤボックス34と、シャフト36と、プロペラ38と、可変ピッチ機構40と、第1アクチュエータ44aと、第2アクチュエータ44bとを有する。放熱体32は、モータ30の外周に取り付けられる。ギヤボックス34は、モータ30の上端部に取り付けられる。シャフト36は、ギヤボックス34から上方に延びる。プロペラ38は、シャフト36の上端部に取り付けられる。
【0021】
可変ピッチ機構40は、プロペラ38のブレード42のピッチを調整する。可変ピッチ機構40は、移動部材46を有する。移動部材46は、シャフト36に沿って上下に移動可能である。移動部材46は、リンク機構(不図示)に接続される。リンク機構は、移動部材46の移動に応じて、各ブレード42のピッチを変化させる。図4で示されるように、移動部材46は、シャフト36を中心にして、ブーム18Lの延伸方向に沿って延びる。移動部材46の前端部には、第1アクチュエータ44aが接続される。移動部材46の後端部には、第2アクチュエータ44bが接続される。
【0022】
第1マウント24bには、収容孔50と、第1空隙52と、第2空隙54とが形成される。また、第1マウント24bの前端部には、前結合部56が形成され、第1マウント24bの後端部には、後結合部58が形成される。収容孔50と第1空隙52と第2空隙54の各々は、上下方向に貫通する。
【0023】
収容孔50は、前後方向に関して、第1マウント24bの略中央に位置する。収容孔50には、VTOLロータ20が収容される。第1空隙52は、収容孔50と前結合部56との間に位置する。第1空隙52の内部には、第1アクチュエータ44aを支持する第1アクチュエータ支持部48aが形成される。第2空隙54は、収容孔50と後結合部58との間に位置する。第2空隙54の内部には、第2アクチュエータ44bを支持する第2アクチュエータ支持部48bが形成される。
【0024】
前結合部56は、前方に位置する前パイプ26aに向かって突出する。前結合部56は、前後方向に対して、時計回りの方向に所定角度回転した方向に沿って延びる。前結合部56は、前パイプ26aの後端部に挿入される。前結合部56と前パイプ26aの後端部とは、永久結合によって接続される。
【0025】
後結合部58は、後方に位置する中間パイプ26bに向かって突出する。後結合部58は、前後方向に沿って延びる。後結合部58は、中間パイプ26bの前端部及び補強部材60に接続される。後結合部58の上部は、後方から見て、丸みを帯びた形状(例えば楕円形状)である。後結合部58の下部は、後方から見て、角が丸まった矩形である。
【0026】
図5は、第1マウント24bと中間パイプ26bとの接続部分の分解斜視図である。中間パイプ26bの断面形状は、後結合部58の断面形状と同じである。つまり、中間パイプ26bの上部は、前方から見て、丸みを帯びた形状(例えば楕円形状)である。中間パイプ26bの下部は、前方から見て、角が丸まった矩形である。中間パイプ26bの前端部の下部には、切り欠き62が形成される。これにより、中間パイプ26bの前端部の上部には、突出部64が形成される。
【0027】
突出部64は、第1マウント24bの後結合部58に向かって突出する。つまり、突出部64は、前方に突出する。突出部64の内周形状は、後結合部58の上部の外周形状と同一である。突出部64の最大幅(左右方向の幅)は、切り欠き62の幅(左右方向の幅)以下である。突出部64の長さ(前後方向の長さ)は、後結合部58の長さ(突出方向の長さ)以下である。
【0028】
図5の矢印Aで示されるように、中間パイプ26bの突出部64は、上方(第1方向)から後結合部58に重ねられる。これにより、突出部64は、後結合部58の上部の外周面に当接する。突出部64と後結合部58とは、ボルト等の複数の締結部材によって互いに締結される。このように、突出部64は、後結合部58に着脱可能に接続される。突出部64が後結合部58に接続された状態で、後結合部58の下部は切り欠き62に配置される。
【0029】
補強部材60は、屈曲した板部材である。補強部材60の断面形状は、後結合部58の下部の断面形状及び中間パイプ26bの下部の断面形状と同じである。但し、補強部材60は、後結合部58の下部及び中間パイプ26bの下部よりも一回り大きい。つまり、補強部材60の幅(左右方向の幅)は、後結合部58の幅(左右方向の幅)及び中間パイプ26bの幅(左右方向の幅)よりも若干広い。補強部材60の長さ(前後方向の長さ)は、例えば、突出部64の長さ(突出方向の長さ)の2倍程度である。但し、突出部64の長さは、この長さに限定されない。補強部材60は、後結合部58と中間パイプ26bの突出部64とが締結された状態で、切り欠き62に位置する後結合部58の下部と中間パイプ26bの下部とに重なる長さであればよい。
【0030】
図5の矢印Bで示されるように、補強部材60は、下方(第2方向)から後結合部58及び中間パイプ26bに重ねられる。これにより、補強部材60は、後結合部58の下部の外周面及び中間パイプ26bの下部の外周面に当接する。補強部材60と後結合部58とは、ボルト等の複数の締結部材によって互いに締結される。また、補強部材60と中間パイプ26bとは、ボルト等の複数の締結部材によって互いに締結される。このように、補強部材60は、後結合部58及び中間パイプ26bに着脱可能に接続される。
【0031】
以上のようにして、中間パイプ26bの前端部と第1マウント24bの後結合部58とが接続される。一方、中間パイプ26bの後端部の構造は、前後が反転することを除いて中間パイプ26bの前端部の構造と同一である。また、第2マウント24cの構造は、前後が反転することを除いて第1マウント24bの構造と同一である。従って、中間パイプ26bの後端部及び第2マウント24cの前結合部(不図示)は、中間パイプ26bの前端部及び第1マウント24bの後結合部58と同じように接続される。
【0032】
[4 ブーム18Lの組み立て及びメンテナンス]
ブーム18Lの組み立て工程は、例えば、次の手順で行われる。先ず、前マウント24aと第1マウント24bとが接続された前パイプ26aが前翼14に接続される。また、第2マウント24cと後マウント24dとが接続された後パイプ26cが後翼16に接続される。このように、前パイプ26a及び後パイプ26cは、予め機体に接続される。従って、第1マウント24bと第2マウント24cの各々は、位置決めされる。
【0033】
この状態で、中間パイプ26bの前端部の突出部64が、上方から第1マウント24bの後結合部58に重ねられる。中間パイプ26bと第1マウント24bとは複数の締結部材で締結される。次いで、補強部材60が、下方から第1マウント24bの後結合部58及び中間パイプ26bに重ねられる。補強部材60と第1マウント24bとは複数の締結部材で締結される。また、補強部材60と中間パイプ26bとは複数の締結部材で締結される。これにより、中間パイプ26bは、第1マウント24bに接続される。同様にして、中間パイプ26bは、第2マウント24cにも接続される。これにより、ブーム18Lの基本的な部分は完成する。
【0034】
ブーム18Lのメンテナンスにおいては、ブーム18Lは分解される。ブーム18Lの分解工程は、ブーム18Lの組み立て工程と逆の手順で行われる。
【0035】
[5 他の形態]
中間パイプ26bの突出部64は、上方以外の方向(例えば左方向)から後結合部58に重ねられてもよい。これに伴い、補強部材60は、下方以外の方向(例えば右方向)から後結合部58及び中間パイプ26bに重ねられてもよい。但し、次の理由により、中間パイプ26bの突出部64は、上方から後結合部58に重ねられることが好ましい。すなわち、補強部材60の着脱工程において、中間パイプ26bは、第1マウント24b及び第2マウント24cで支持される。このため、上記構成によれば、補強部材60の着脱工程において、中間パイプ26bを支持するための装置が不要である。
【0036】
マウント24の数は4つでなくてもよい。また、接続パイプ26の数は3つでなくてもよい。例えば、マウント24の数が5つであり、接続パイプ26の数が4つであってもよい。また、ブーム18の形状は、前端部から後端部に延びる形状でなくてもよい。例えば、ブーム18の形状は、環状であってもよい。いずれの実施形態であって、機体に固定されていない接続パイプ26をマウント24に対して着脱可能にしてもよい。
【0037】
[6 本実施形態の効果]
仮に、第1マウント24bと第2マウント24cとを通常のパイプで接続するためには、第1マウント24bと第2マウント24cとを押し広げてパイプを挿入する必要がある。しかし、第1マウント24bと第2マウント24cの各々は機体に固定されている。このため、第1マウント24bと第2マウント24cとを押し広げることはできない。
【0038】
本実施形態では、中間パイプ26bが上方から第1マウント24bに重ねられ、補強部材60が下方から第1マウント24b及び中間パイプ26bに重ねられることによって、中間パイプ26bと第1マウント24bとが接続される。中間パイプ26bと第2マウント24cも同様に接続される。更に、中間パイプ26bは、第1マウント24b及び第2マウント24cに対して着脱可能である。また、一方の補強部材60は、第1マウント24b及び中間パイプ26bに対して着脱可能である。他方の補強部材60は、第2マウント24c及び中間パイプ26bに対して着脱可能である。本実施形態では、第1マウント24bと第2マウント24cとを押し広げる必要はない。従って、本実施形態によれば、ロータの支持構造に関して、組み立て及び分解が容易であり、且つ、メンテナンスが容易である。
【0039】
なお、第1マウント24bと第2マウント24cとを押し広げることが可能な機種もある。このような機種の場合、第1マウント24bと中間パイプ26bとの接続は、例えば、次の手順で行われてもよい。
【0040】
中間パイプ26bは、上方から見て、第1マウント24bの後結合部58が延びる方向に配置される。更に、中間パイプ26bは、左方向から見て、前端部の切り欠き62と第1マウント24bの上部とがラップするように配置される。この状態から、中間パイプ26bは、第1マウント24bに向かって動かされる。すると、中間パイプ26bの前端部の切り欠き62が第1マウント24bの上部に当接する。次いで、中間パイプ26bは、下方に動かされる。これにより、中間パイプ26bの前端部の突出部64が、上方から第1マウント24bの後結合部58に重ねられる。後の手順は、上述した手順と同じである。以上の手順により、第1マウント24bに対する中間パイプ26bの位置合わせが容易になる。
【0041】
[7 実施形態から得られる発明]
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0042】
本発明の態様は、航空機(10)に設けられ、鉛直方向の推力を発生させるロータ(20)を支持するロータ支持装置(18、18L、18R)であって、前記ロータを支持し、外方に突出する結合部(56、58)を有するマウント(24、24b、24c)と、前記結合部の突出方向に沿って延び、前記結合部に着脱可能に接続される接続部材(26、26b)と、前記結合部と前記接続部材との接続を補強するために、前記結合部及び前記接続部材に着脱可能に接続される補強部材(60)と、を備え、前記接続部材は、前記結合部に接続される端部に、切り欠き(62)が形成されることで突出部(64)が形成され、前記突出部は、前記結合部の前記突出方向と直交する第1方向から前記結合部に重ねられて、前記結合部に着脱可能に接続され、前記補強部材は、前記第1方向とは反対の第2方向から前記結合部及び前記接続部材に重ねられて、前記結合部及び前記接続部材に着脱可能に接続される。
【0043】
上記構成によれば、ロータを支持する構造に関して、組み立て及び分解が容易であり、且つ、メンテナンスが容易である。
【0044】
上記態様において、前記突出部は、上方から前記結合部に重ねられて、前記結合部に着脱可能に接続され、前記補強部材は、下方から前記結合部及び前記接続部材に重ねられて、前記結合部及び前記接続部材に着脱可能に接続されてもよい。
【0045】
上記構成によれば、補強部材の着脱工程において、接続部材を支持するための装置が不要である。
【0046】
上記態様において、前記接続部材は、パイプであってもよい。
【0047】
上記態様において、ロータ支持装置は、前記マウントとしての第1マウント(24b)及び第2マウント(24c)と、前記補強部材としての第1補強部材及び第2補強部材と、を備え、前記第1マウントは、前記ロータとしての第1ロータを支持し、前記第2マウントは、前記ロータとしての第2ロータを支持し、前記接続部材は、第1端部及び第2端部の各々に前記切り欠き及び前記突出部が形成され、前記第1マウントの前記結合部には、前記接続部材の前記第1端部及び前記第1補強部材が締結され、前記第2マウントの前記結合部には、前記接続部材の前記第2端部及び前記第2補強部材が締結されてもよい。
【0048】
上記態様において、ロータ支持装置は、前記マウントに永久結合され、且つ、前記航空機の翼(14、16)に接続される第2接続部材(26a、26c)を備えてもよい。
【0049】
上記態様において、ロータ支持装置は、前記ロータとは別のロータを支持し、前記第2接続部材に永久結合される固定マウント(24a、24d)を備えてもよい。
【0050】
上記態様において、前記マウントは、上下方向に貫通する空隙(52、54)を有してもよい。
【0051】
上記態様において、ロータ支持装置は、前記ロータの各々のブレード(42)のピッチを変更するアクチュエータ(44a、44b)と、前記アクチュエータを支持し、前記空隙の内部に配置されるアクチュエータ支持部(48a、48b)と、を備えてもよい。
【0052】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0053】
10…VTOL機(航空機) 14…前翼(翼)
16…後翼(翼)
18、18L、18R…ブーム(ロータ支持装置)
20…VTOLロータ(ロータ) 24…マウント
24a…前マウント(固定マウント)
24b…第1マウント(マウント)
24c…第2マウント(マウント)
24d…後マウント(固定マウント) 26…接続パイプ(接続部材)
26a…前パイプ(第2接続部材) 26b…中間パイプ(接続部材)
26c…後パイプ(第2接続部材) 42…ブレード
44a…第1アクチュエータ(アクチュエータ)
44b…第2アクチュエータ(アクチュエータ)
48a…第1アクチュエータ支持部(アクチュエータ支持部)
48b…第2アクチュエータ支持部(アクチュエータ支持部)
52…第1空隙(空隙) 54…第2空隙(空隙)
56…前結合部(結合部) 58…後結合部(結合部)
60…補強部材 62…切り欠き
64…突出部
図1
図2
図3
図4
図5