(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035267
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】給油ノズル
(51)【国際特許分類】
B67D 7/48 20100101AFI20240307BHJP
B67D 7/12 20100101ALI20240307BHJP
【FI】
B67D7/48
B67D7/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139619
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】夏 堅勇
(72)【発明者】
【氏名】永澤 祥方
(72)【発明者】
【氏名】竹島 亜弓
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA01
3E083AC23
3E083AG02
(57)【要約】
【課題】給油の停止状況を一目で確認し易い給油ノズルを提供する。
【解決手段】車両の燃料タンク内に挿入される吐出パイプ2と、吐出パイプが接続され、吐出パイプへの燃料油が流れる流路を有するノズル本体3と、ノズル本体の握り部3aに設けられたノズルレバー4により開弁される主弁5と、ノズルレバーを保護するレバーガード7と、吐出パイプ内に先端が開口する空気流路管6を有して空気流路管の先端開口6aが閉塞した際に主弁を閉弁させる自動閉弁機構とを備える給油ノズル1において、ノズルレバーは、給油ノズルを構成する他の部品とは異なる色で配設される給油ノズル。ノズルレバーを握り部及びレバーガードと異なる色で配設してもよく、ノズルレバーの横断面の面積を1000mm
2以上とすることができる。ノズルレバーの端部が当接した際に音を発する発音部7aをレバーガードに設けてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃料タンク内に挿入される吐出パイプと、該吐出パイプが接続され、該吐出パイプへの燃料油が流れる流路を有するノズル本体と、該ノズル本体の握り部に設けられたノズルレバーにより開弁される主弁と、前記ノズルレバーを保護するレバーガードと、前記吐出パイプ内に先端が開口する空気流路管を有して該空気流路管の先端開口が閉塞した際に前記主弁を閉弁させる自動閉弁機構とを備える給油ノズルにおいて、
前記ノズルレバーは、該給油ノズルを構成する他の部品とは異なる色で配設されることを特徴とする給油ノズル。
【請求項2】
前記ノズルレバーは、前記握り部及び前記レバーガードと異なる色で配設されることを特徴とする請求項1に記載の給油ノズル。
【請求項3】
前記ノズルレバーの横断面の面積は、1000mm2以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の給油ノズル。
【請求項4】
前記ノズルレバーの端部が当接した際に音を発する発音部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の給油ノズル。
【請求項5】
前記発音部は、前記レバーガードに設けられることを特徴とする請求項4に記載の給油ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃料タンク内の液位が上限近くに達すると自動的に弁を閉じて給油を停止する給油ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
給油所には、給油ノズルの筒先部を車両の給油口に挿入し、燃料油を車両の燃料タンクに給油するための給油装置が設置されている。給油中に車両の燃料タンク内の液位が上限近くに達すると、自動的に弁を閉じて給油を停止するようにした給油ノズルについては、既に特許文献1で提案されている。
【0003】
この種の給油ノズルは、
図5に示すように、握り部33aを備えたノズル本体33の吐出パイプ32の先端32aに開口した空気流路管36がタンク内の液により閉鎖されると、給油ノズル31の陰圧発生部38に生じる負圧が自動閉弁機構のダイアフラム39を上方に変形させ、作動杆40の係止を解除して下方に変位させると共に、この下端に軸支されレバーガード37内に配設されたノズルレバー34を変位させ、開弁状態に保持していた主弁35を閉じるように構成される。
【0004】
ここで、長距離を走行する大型トラックや観光バス等の大型車両では、比較的容量の大きい燃料タンクに給油を行うために給油作業に時間が掛かり、作業員は他の顧客の対応をしながら給油の停止状況(自動閉弁機構の作動)を遠目で確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、
図6に示すように、一般的な給油所41では、キャノピー44の下に給油装置42、43等が配置され、他の車両の作業をしながら遠目に給油ノズル31のノズルレバー34(
図6参照)の作動状況を確認しても、キャノピー44や給油装置42、43の陰となり暗く、さらにノズルレバー34が握り部33a(
図5参照)とレバーガード37と同色のため、給油の停止状況が把握し難く、結果的に給油時間が長く掛かり大型車両の顧客に迷惑を掛ける恐れがあった。
【0007】
そこで、本発明は、給油の停止状況を一目で確認し易い給油ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、車両の燃料タンク内に挿入される吐出パイプと、該吐出パイプが接続され、該吐出パイプへの燃料油が流れる流路を有するノズル本体と、該ノズル本体の握り部に設けられたノズルレバーにより開弁される主弁と、前記ノズルレバーを保護するレバーガードと、前記吐出パイプ内に先端が開口する空気流路管を有して該空気流路管の先端開口が閉塞した際に前記主弁を閉弁させる自動閉弁機構とを備える給油ノズルにおいて、前記ノズルレバーを、該給油ノズルを構成する他の部品とは異なる色で配設したことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ノズルレバーを他の部品とは異なる色で配設したため、燃料油の給油時(ノズルレバーの開時)及び燃料油の給油停止時(ノズルレバーの閉時)の状態が判り易く、給油停止後の対応が早くなる。尚、ノズルレバーは蛍光色とすることが好ましい。
【0010】
上記給油ノズルにおいて、前記ノズルレバーを前記握り部及び前記レバーガードと異なる色で配設することができる。握り部とレバーガードは汚れを防止するために黒色とすることが多いが、ノズルレバーを黒色とは異なる色にすることでノズルレバーの位置を把握し易くなる。
【0011】
また、前記ノズルレバーの横断面の面積を1000mm2以上と太くすることで、給油ノズルがキャノピーや給油装置の陰になって暗い位置にある場合でも、遠目でもノズルレバーの作動状況が確認し易くなる。
【0012】
さらに、前記ノズルレバーの端部が当接した際に音を発する発音部を備えることで、作動状況を音で確認できるので、他の車両の対応中でも確実に把握できる。この前記発音部を前記レバーガードに設けることで、音を外部に伝え易くすることができると共に、既存の給油ノズルの形状を変えることがないので、給油操作やノズル掛けに掛ける操作に影響を与えることがなく、給油ノズルの操作性を良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、給油の停止状況を一目で確認し易い給油ノズルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る給油ノズルの第1の実施形態の給油前の状態を示す正面図である。
【
図2】
図1の給油ノズルの断面図であって、(a)は全体図、(b)は(a)のA部拡大図である。
【
図3】
図1の給油ノズルの給油時の状態を示す断面図である。
【
図4】本発明に係る給油ノズルの第2の実施形態の給油前の状態を示す正面図である。
【
図5】従来の給油ノズルの一例を示す断面図である。
【
図6】従来の給油所の一例を示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1及び
図2は、本発明に係る給油ノズルの第1の実施形態を示し、この給油ノズル1は、車両の燃料タンク内に挿入される吐出パイプ2と、吐出パイプ2への燃料油が流れる流路3bを有するノズル本体3と、ノズル本体3の握り部3aに設けられたノズルレバー4により開弁される主弁5と、ノズルレバー4を保護するレバーガード7と、吐出パイプ2内に先端が開口する空気流路管6と、逆止弁8とを有し、空気流路管6の先端開口が閉塞した際に主弁5を閉弁させる自動閉弁機構を構成するダイアフラム9及びクラッチ10等を備える。
【0017】
ノズル本体3の握り部3a及びレバーガード7は黒色、吐出パイプ2は鋼色であり、ノズルレバー4は、これら給油ノズル1を構成する他の部品とは異なる色、例えば、黄緑色や黄土色の蛍光色で配設される。このように、ノズルレバー4を他の部品とは異なる色としたのが給油ノズル1の特徴である。尚、近傍の握り部3a及びレバーガード7とは異なる色であれば、ノズルレバー4を吐出パイプ2と同じ鋼色としてもよい。
【0018】
図2(b)に示すように、レバーガード7には、ノズルレバー4の端部4aが当接した際に音を発する発音部7aが設けられる。この発音部7aは、給油エリアが危険エリアであるため、静電気を蓄積しないように、金属部品ではなく太鼓のように皮等が振動して音を発するように構成される。
【0019】
次に、上記給油ノズル1を用いた給油動作について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0020】
図2の給油前の状態では、主弁5及び逆止弁8が閉じられている。この状態から給油所係員がノズルレバー4を引き上げると、クラッチ10がロックされ、支点11を中心にして弁棒5aが押し上げられ、主弁5が開く(
図3参照)。これにより、燃料油が流路3bから主弁5を通過し、逆止弁8を押して吐出パイプ2から車両の燃料タンクへ給油される。この時には、負圧発生部12に負圧が発生するが、空気流路管6のパイロット孔(先端開口)6aより空気が補給されているため、ダイアフラム室13の負圧は高くならない。この状態で、給油所係員は、他の車両の作業をしながら遠目に給油ノズル1のノズルレバー4の作動状況を確認する。
【0021】
給油中に給油タンク内の液面が上昇し、空気流路管6のパイロット孔6aを塞ぐと、パイロット孔6aからの空気の補給がなくなり、負圧発生部12を介してダイアフラム室13内の負圧が急激に高まる。これにより、ダイアフラム9が上方へ移動し、クラッチ10のロック状態は解除されノズルレバー4は支点を失う。そして、主弁ばね5bの弾性力によって主弁5が閉じ、燃料油の流れが止まり、
図2の給油前の状態へ移行する。この時、給油ノズル1が、
図6に示したキャノピー44や給油装置42、43の陰になって暗い位置にある場合でも、ノズルレバー4が他の部品とは異なる色であるため、給油所係員はノズルレバー4の動きを把握し易く、給油停止後の対応が早くなる。また、ノズルレバー4の端部4aが発音部7aに当接して音が発せられるため、作動状況を音で確認することができ、他の車両への対応中でも確実に給油停止を把握できる。
【0022】
次に、本発明に係る給油ノズルの第2の実施形態について、
図4を参照しながら説明する。
【0023】
この給油ノズル21は、
図1~
図3に示した給油ノズル1と全体構成は同じであるが、ノズルレバー24が給油ノズル1のノズルレバー4とは異なる。吐出パイプ2、ノズル本体3、レバーガード7等の他の構成要素は給油ノズル1のものと同じである。
【0024】
ノズルレバー24は、給油ノズル1のノズルレバー4と同色であるが、ノズルレバー4よりも太く形成され、横断面(ノズルレバー24の軸線に対して垂直な断面)の面積を1000mm2以上とする。これにより、遠目でもノズルレバー4の作動状況をさらに確認し易くなる。
【0025】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0026】
1、21 給油ノズル
2 吐出パイプ
3 ノズル本体
4、24 ノズルレバー
5 主弁
6 空気流路管
7 レバーガード
8 逆止弁
9 ダイアフラム
10 クラッチ
11 支点
12 負圧発生部
13 ダイアフラム室