(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035269
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】物品管理システム、検出方法、検出用具
(51)【国際特許分類】
B65D 51/24 20060101AFI20240307BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240307BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B65D51/24
G06K7/10 244
G06K19/077 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139623
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
(72)【発明者】
【氏名】坂上 充敏
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
3E084JA01
3E084KA11
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】簡便な構成で容器本体に含まれる内容物の消費タイミングを把握できるようにする。
【解決手段】本発明のある態様は、開口が形成された容器本体と、容器本体に対して取り外し可能に連結される蓋部と、を有する物品において蓋部が取り外されたことを検出する物品管理システムである。このシステムは、蓋部に取り付けられ、通信デバイスと通信デバイスと近接したときに通信デバイスが発する電波を遮蔽する電波遮蔽部材とを有する検出用具と、通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、を備える。容器本体の開口が上向きであるときに容器本体に取り付けられた蓋部がとる姿勢を第1の姿勢とし、第1の姿勢をとる蓋部が反転したときにとる姿勢を第2の姿勢としたときに、検出用具は、蓋部が第1の姿勢から第2の姿勢に変化した場合、通信デバイスと電波遮蔽部材とが離間した状態と近接した状態との間で状態が変化するように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を挿入又は抽出するための開口が形成された容器本体と、前記容器本体に対して取り外し可能に連結され、前記容器本体に取り付けられたときに前記開口を封止する蓋部と、を有する物品において、前記蓋部が取り外されたことを検出する物品管理システムであって、
前記蓋部に取り付けられ、通信デバイスと、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、を有する検出用具と、
前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、
前記無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記蓋部が取り外されたか否か決定する制御装置と、を備え、
容器本体の開口が上向きであるときに容器本体に取り付けられた蓋部がとる姿勢を第1の姿勢とし、第1の姿勢をとる蓋部が反転したときにとる姿勢を第2の姿勢としたときに、前記検出用具は、前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間した状態と近接した状態との間で状態が変化するように構成されている、
物品管理システム。
【請求項2】
前記検出用具は、前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが、近接した状態から離間した状態に変化するように構成されている、
請求項1に記載された物品管理システム。
【請求項3】
前記検出用具は、
前記通信デバイス及び前記電波遮蔽部材のいずれか一方が取り付けられた可動部材と、
前記可動部材が鉛直方向に変位可能な空間が形成され、前記空間内に前記通信デバイス及び前記電波遮蔽部材のいずれか他方が配置された筐体と、を有し、
前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記空間内の前記可動部材の変位に応じて、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間した状態と近接した状態との間で状態が変化する、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項4】
前記物品の前記蓋部が取り外されたか否かに関係なく、前記電波遮蔽部材に電波が遮蔽されない位置に配置された参照用の通信デバイスをさらに備え、
前記無線装置は、前記参照用の通信デバイスと通信を行い、
前記制御装置は、前記無線装置による前記参照用の通信デバイスとの通信可否の結果を取得する、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項5】
前記通信デバイスは、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた無線タグである、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項6】
前記通信デバイスは、UHF帯の無線タグである、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項7】
前記通信デバイスは、HF帯の無線タグである、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項8】
前記通信デバイスは、マイクロ波帯の無線タグである、
請求項1又は2に記載された物品管理システム。
【請求項9】
内容物を挿入又は抽出するための開口が形成された容器本体と、前記容器本体に対して取り外し可能に連結され、前記容器本体に取り付けられたときに前記開口を封止する蓋部と、を有する物品において、前記蓋部が取り外されたことを検出する検出方法であって、
通信デバイスと、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、を有する検出用具を、前記物体の前記蓋部に取り付け、
容器本体の開口が上向きであるときに容器本体に取り付けられた蓋部がとる姿勢を第1の姿勢とし、第1の姿勢をとる蓋部が反転したときにとる姿勢を第2の姿勢としたときに、
前記蓋部が前記第1の姿勢にあるときには、前記検出用具において前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが近接し、それによって前記通信デバイスが発する電波が遮蔽され、
前記蓋部が前記第2の姿勢にあるときには、前記検出用具において前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間し、それによって前記通信デバイスが発する電波が遮蔽されなくなり、
無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、
前記通信可否の結果に基づいて、前記蓋部が取り外されたか否か決定する、
検出方法。
【請求項10】
内容物を挿入又は抽出するための開口が形成された容器本体と、前記容器本体に対して取り外し可能に連結され、前記容器本体に取り付けられたときに前記開口を封止する蓋部と、を有する物品において、前記蓋部が取り外されたことを検出するために前記蓋部に取り付けられる検出用具であって、
通信デバイスと、
前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、
前記通信デバイス及び前記電波遮蔽部材のいずれか一方が取り付けられた可動部材と、
前記可動部材が鉛直方向に変位可能な空間が形成され、前記空間内に前記通信デバイス及び前記電波遮蔽部材のいずれか他方が配置された筐体と、を備え、
容器本体の開口が上向きであるときに容器本体に取り付けられた蓋部がとる姿勢を第1の姿勢とし、第1の姿勢をとる蓋部が反転したときにとる姿勢を第2の姿勢としたときに、前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記空間内の前記可動部材の変位に応じて、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間した状態と近接した状態との間で状態が変化する、
検出用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理システム、検出方法、及び、検出用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば飲料用容器の蓋部が開封されたことを検知する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、容器の蓋部の開封を検知するICタグラベルが提案されている。このICタグラベルは、ラベル基材上に、蓋部が開封されたことを検知する開封検知部と、外部装置と通信可能とするアンテナコイルと、それらと電気的に接続されたICチップと、を備えている。開封検知部は、容器のプルタブに跨って備えられた開封検知部を破断可能とするスリットまたは弱め線と、蓋部が開封されたことを検知する開封検知配線と、を備えている。このICタグラベルは、開封検知部が破断したことをICチップが検知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、1回で容器の内容物を使い切る(消費する)場合ではなく、複数回継続して少しずつ消費する内容物が容器に含まれる場合に、消費するタイミングを都度認識したいという要請がある。例えば、内容物として粒状のインスタントコーヒーや洗濯用洗剤等が容器に含まれる場合、これらの内容物は継続的に複数回に亘って消費されていくが、その消費タイミングや消費頻度を認識することができれば、消費者の商品に対する消費実態を把握でき、マーケティング上有用である。
しかし、従来の蓋部の開封検知方法は、開封に応じて配線部分を断線させることに基づいており、蓋部を複数回開封する際、開封の都度に開封を検知することはできない。また、蓋部が容器本体から外れたことを検出する複雑なセンサを設けることは商品自体のコストの上昇を招来して好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、簡便な構成で容器本体に含まれる内容物の消費タイミングを把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、内容物を挿入又は抽出するための開口が形成された容器本体と、前記容器本体に対して取り外し可能に連結され、前記容器本体に取り付けられたときに前記開口を封止する蓋部と、を有する物品において、前記蓋部が取り外されたことを検出する物品管理システムであって、
前記蓋部に取り付けられ、通信デバイスと、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、を有する検出用具と、
前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、
前記無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記蓋部が取り外されたか否か決定する制御装置と、を備える。
前記検出用具は、
容器本体の開口が上向きであるときに容器本体に取り付けられた蓋部がとる姿勢を第1の姿勢とし、第1の姿勢をとる蓋部が反転したときにとる姿勢を第2の姿勢としたときに、前記検出用具は、前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間した状態と近接した状態との間で状態が変化するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、簡便な構成で容器本体に含まれる内容物の消費タイミングを把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の商品管理システムの適用例を示す図である。
【
図3】蓋部に内蔵される反転検出用具の分解斜視図である。
【
図4】
図3に示した反転検出用具の定常状態と反転状態での断面図である。
【
図5】一実施形態の商品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図6】タグデータベースのデータ構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の物品管理システム、物品管理方法、及び、物品検出器具の一実施形態について説明する。なお、以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
本発明のある態様の第1の態様は、内容物を挿入又は抽出するための開口が形成された容器本体と、前記容器本体に対して取り外し可能に連結され、前記容器本体に取り付けられたときに前記開口を封止する蓋部と、を有する物品において、蓋部が取り外されたことを検出する物品管理システムである。本開示において「物品」とは、例えば商品、製品、半製品(製造途中にある中間段階の製品)、モックアップ等の有体物を意味する。容器本体と蓋部を有する商品としては、例えば、粒子状のインスタントコーヒーが封入される商品、紅茶やお茶の茶葉が封入される商品、あるいは、香辛料や調味料が封入される商品等が挙げられる。
【0010】
この物品管理システムは、以下の(1)~(3)を備える。
(1)前記蓋部に取り付けられ、通信デバイスと、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、を有する検出用具
(2)前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置
(3)前記無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて、前記蓋部が取り外されたか否か決定する制御装置
【0011】
ここで、容器本体の開口が上向きであるときに容器本体に取り付けられた蓋部がとる姿勢を第1の姿勢とし、第1の姿勢をとる蓋部が反転したときにとる姿勢を第2の姿勢としたときに、前記検出用具は、前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間した状態と近接した状態との間で状態が変化するように構成されている。
なお、本開示において「上向き」は、鉛直方向とは逆の方向を意味する。
このシステムでは、蓋部がとる姿勢に応じて、通信デバイスと無線装置の通信状態(通信可能な状態あるいは通信不可能な状態)が変化するため、無線装置の受信状態を監視することで蓋部が容器本体から取り外されたか否か検出できる。この場合、通信デバイスと無線装置の通信状態は、蓋部が前記第1の姿勢にある場合に通信可能な状態とし、かつ蓋部が前記第2の姿勢にある場合に通信不可能な状態としてもよいし、逆に、蓋部が前記第2の姿勢にある場合に通信不可能な状態とし、かつ蓋部が前記第1の姿勢にある場合に通信可能な状態としてもよい。
なお、電磁遮蔽部材とは、通信デバイスから放射される電波の周波数を、無線装置と通信ができない意図しない周波数とする部材であってもよいし、通信デバイスから放射される電波を無線装置との通信を阻害するようなノイズを重畳させる部材であってもよい。
【0012】
本発明のある態様の第2の態様では、第1の態様において、前記検出用具が、前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが、近接した状態から離間した状態に変化するように構成されている。それによって、通信デバイスと無線装置の通信状態は、蓋部が前記第1の姿勢にある場合に通信不可能な状態とし、かつ蓋部が前記第2の姿勢にある場合に通信可能な状態となる。前記物品は保管状態、つまり蓋部が容器本体に取り付けられて蓋部が前記第1の姿勢にある時間が長いため、そのような長い時間に通信デバイスと無線装置が通信不可能となり、両者の間でのデータ通信量を抑制することができる。
【0013】
本発明のある態様の第3の態様では、第1又は第2の態様において、前記検出用具が、前記通信デバイス及び前記電波遮蔽部材のいずれか一方が取り付けられた可動部材と、前記可動部材が鉛直方向に変位可能な空間が形成され、前記空間内に前記通信デバイス及び前記電波遮蔽部材のいずれか他方が配置された筐体と、を有する。そして、前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記空間内の前記可動部材の変位に応じて、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間した状態と近接した状態との間で状態が変化する。鉛直方向に変化可能な前記可動部材の位置に応じて通信デバイスと電波遮蔽部材の位置関係が決定される。そのため、検出用具の小型化を図ることができる。
【0014】
本発明のある態様の第4の態様では、第1から第3の態様のいずれかの態様に対して、前記物品の前記蓋部が取り外されたか否かに関係なく、前記電波遮蔽部材に電波が遮蔽されない位置に配置された参照用の通信デバイスをさらに備える。前記無線装置は、前記参照用の通信デバイスと通信を行い、前記制御装置は、前記無線装置による前記参照用の通信デバイスとの通信可否の結果を取得する。物品の蓋部が取り外されたか否かに関わらず無線装置と通信可能な参照用の通信デバイスを設けることで、システムが定常に動作しているか否か判断できる。
【0015】
本発明のある態様の第5の態様では、第1から第4の態様のいずれか一つの態様において、前記通信デバイスが、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた無線タグである。このような無線タグは、長期間メンテナンス不要で利用可能な点で好ましい。
【0016】
本発明のある態様の第6の態様では、第1から第4の態様のいずれか一つの態様において、前記通信デバイスが、UHF帯の無線タグである。このような無線タグは汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0017】
本発明のある態様の第7の態様では、第1から第4の態様のいずれか一つの態様において、前記通信デバイスが、HF帯の無線タグである。このような無線タグは汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0018】
本発明のある態様の第8の態様では、第1から第4の態様のいずれか一つの態様において、前記通信デバイスが、マイクロ波帯の無線タグである。このような無線タグは汎用的に入手可能な点で好ましい。
【0019】
本発明の別の態様は、内容物を挿入又は抽出するための開口が形成された容器本体と、前記容器本体に対して取り外し可能に連結され、前記容器本体に取り付けられたときに前記開口を封止する蓋部と、を有する物品において、前記蓋部が取り外されたことを検出する検出方法である。この検出方法は、以下の(4)~(8)の各工程を含む。
(4)通信デバイスと、前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材と、を有する検出用具を、前記物体の前記蓋部に取り付けること
(5)容器本体の開口が上向きであるときに容器本体に取り付けられた蓋部がとる姿勢を第1の姿勢とし、第1の姿勢をとる蓋部が反転したときにとる姿勢を第2の姿勢としたときに、前記蓋部が前記第1の姿勢にあるときには、前記検出用具において前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが近接し、それによって前記通信デバイスが発する電波が遮蔽されること
(6)前記蓋部が前記第2の姿勢にあるときには、前記検出用具において前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間し、それによって前記通信デバイスが発する電波が遮蔽されなくなること
(7)無線装置による前記通信デバイスとの通信可否の結果を取得すること
(8)前記通信可否の結果に基づいて、前記蓋部が取り外されたか否か決定すること
この検出方法によれば、無線装置の受信状態を監視することで蓋部が容器本体から取り外されたか否か検出できる。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、内容物を挿入又は抽出するための開口が形成された容器本体と、前記容器本体に対して取り外し可能に連結され、前記容器本体に取り付けられたときに前記開口を封止する蓋部と、を有する物品において、前記蓋部が取り外されたことを検出するために前記蓋部に取り付けられる検出用具である。
この検出用具は、以下の(9)~(12)を備える。
(9)通信デバイス
(10)前記通信デバイスと近接したときに前記通信デバイスが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材
(11)前記通信デバイス及び前記電波遮蔽部材のいずれか一方が取り付けられた可動部材
(12)前記可動部材が鉛直方向に変位可能な空間が形成され、前記空間内に前記通信デバイス及び前記電波遮蔽部材のいずれか他方が配置された筐体
ここで、容器本体の開口が上向きであるときに容器本体に取り付けられた蓋部がとる姿勢を第1の姿勢とし、第1の姿勢をとる蓋部が反転したときにとる姿勢を第2の姿勢としたときに、前記蓋部が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化した場合、前記空間内の前記可動部材の変位に応じて、前記通信デバイスと前記電波遮蔽部材とが離間した状態と近接した状態との間で状態が変化する。
この検出用具によれば、比較的コンパクトにできるため、物品の蓋部に組み込むのに好適である。
【0021】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
以下の説明では、物品の一例として、消費者の家庭内で適量ずつ内容物が消費される商品を挙げる。内容物としては、固形(粉末状、粒状のものも含む)又は液体のものが想定され、例えば、調味料やインスタントコーヒー(粒状の内容物)、コーヒー豆(固形の内容物)、柔軟剤や洗剤(例えば、液体や粉末状の内容物)、酒類(液体の内容物)等である。なお、以下の説明では、「商品を消費する」ことは、当該商品に対応する内容物を消費することと同じ意味である。
図1は、一実施形態の商品管理システムの適用例を示す図である。
図1に示すように、一実施形態の商品管理システムでは、家庭内に複数の商品Pが保管され、その複数の商品Pのうちいずれかの商品Pを消費者が消費した場合、消費した商品Pと消費した時刻に関する情報を自動的に記録できるように構成される。
【0022】
図2に、
図1に例示した商品Pの側面図を示す。なお、
図2では、商品Pの蓋部62及び反転検出用具3を断面で示してある。
図1及び
図2に示すように、商品Pは、内容物を挿入又は抽出するための開口611が形成された容器本体61と、容器本体61に対して取り外し可能に連結される蓋部62と、を含む。商品Pが保管されている場合には、容器本体61の嵌合部612と蓋部62と嵌合部622を嵌合しており、それによって開口611が閉塞(封止)した状態となっている。逆に、商品Pを消費する場合に消費者は、嵌合部612と嵌合部622の嵌合を解除して蓋部62を容器本体61から外し、蓋部62を反転させてテーブル9等の水平な場所に置く(
図1参照)。
【0023】
一実施形態の商品管理システムでは、商品Pの蓋部62に反転検出用具3が組み込まれている。反転検出用具3は、
図2に商品Pが水平面に置かれたときに容器本体61に連結された蓋62の状態(「定常状態」という。)、又は蓋部62が反転されている状態(「反転状態」という。)のいずれかの状態を検出するように構成される。すなわち、消費者が商品Pを保管している状態のときには蓋部62が定常状態であり、商品Pが商品Pを消費するときには蓋部62が反転状態であるため、蓋部62が定常状態又は反転状態のいずれの状態であるか検出することで、消費者が商品Pを消費しているか否かを検出できる。
蓋部62が定常状態の場合にとる姿勢は第1の姿勢の一例であり、蓋部62が反転状態の場合にとる姿勢は第2の姿勢の一例である。つまり、蓋部62は、定常状態の場合に、容器本体61の開口611が上向きであるときに容器本体61に取り付けられた蓋部62がとる姿勢(第1の姿勢)となっている。蓋部62は、反転状態の場合に、第1の姿勢をとる蓋部62が反転したときにとる姿勢(第2の姿勢)となっている。
【0024】
図1に示すように、消費対象の商品Pが置かれた場所の近傍には、蓋部62に組み込まれた反転検出用具3に含まれるIoT(Internet of Things)タグT(後述する)と無線通信を行うための無線装置2が配置される。後述するが、無線装置2は、ネットワークを介してタグ管理サーバ(後述する)と通信可能なゲートウェイ装置である。無線装置2は、IoTタグTの電波出力を考慮して配置される。
【0025】
次に、
図3及び
図4を参照して、蓋部62に組み込まれる反転検出用具3の構造について説明する。
図3は、反転検出用具3の分解斜視図である。
図4は、
図3に示した反転検出用具3の定常状態と反転状態での断面図である。
【0026】
図3に示すように、反転検出用具3は、第1筐体部31、第2筐体部32、及び、可動部材4を有する。
第1筐体部31は、円形の基部311と、基部311の周縁に沿って設けられる側面部312と、を含む。基部311の第2筐体部32に対向する面には、IoTタグT(通信デバイスの一例)が取り付けられている。IoTタグは、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた無線タグである。このような無線タグは、長期間メンテナンス不要で利用可能な点で好ましい。以下では、IoTタグTを単に「タグT」という。
第1筐体部31の側面部312には、第2筐体部32と連結するための嵌合部315(
図4参照)が形成されている。嵌合部315は、側面部312の周縁に沿って形成された、ねじ切り加工された部分である。
【0027】
タグTの最大通信距離は、限定しないが、例えば3~10メートルの範囲である。タグTは、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy (以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
タグTは、BLEの規格に準拠する場合、所定間隔毎(例えば、1~10秒程度の短時間毎)にパケットをブロードキャスト送信する。タグTが送信するパケットには、タグの識別情報であるタグIDが含まれる。
図1に示した無線装置2は、タグTとBLE通信を行う。
【0028】
第2筐体部32は、円形の基部321と、基部321の周縁に沿って設けられる側面部322と、基部321から第1筐体部31に向かって突出して設けられる円筒部323と、を含む。
第2筐体部32の側面部322には、第1筐体部31と連結するための嵌合部325が形成されている。嵌合部325は、側面部322の周縁に沿って形成された、ねじ切り加工された部分である。第1筐体部31の嵌合部315と第2筐体部32の嵌合部325が嵌め合わされることで、反転検出用具3の筐体が構成される。
なお、第1筐体部31と第2筐体部32の連結方法は、ねじ切り加工された部分同士を嵌め合わせることに限られない。第1筐体部31と第2筐体部32を圧入により連結してもよい。
【0029】
可動部材4は、円盤状の被取付部41に電波遮蔽部材SMを例えば接着等によって取り付けることによって構成されている。被取付部41は、樹脂でも金属でも構わない。電波遮蔽部材SMは、タグTと近接したときにタグTが発する電波を遮蔽するシート状の部材である。なお、タグTが、後述するように通信用アンテナとハーベスティングアンテナを含む場合、電波遮蔽部材SMは、通信用アンテナのみを遮蔽することが好ましい。
電波遮蔽部材SMとして、例えばネーマ紙を採用できる。ネーマ紙は、透明PETフィルム、アルミニウムの蒸着層(膜)、粘着剤をこの順に積層したものであり、粘着剤により基部311の裏面に貼り付けられている。なお、ネーマ紙に代えて、ホイル紙(フォイル紙)を使用してもよい。この他、金属プレート、電波吸収シート、金属粉や磁性紛を練り込んだ塗膜を有するシートも使用可能である。
図3では、電波遮蔽部材SMが被取付部41の形態に合わせて円形としているが、その限りではない。電波遮蔽部材SMの形態は、タグTと近接したときにタグTからの電波を遮蔽することができれば如何なる形態でもよく、例えば矩形状、多角形状でもよい。
【0030】
図3に示すように、第1筐体部31と第2筐体部32が連結されるときに、電波遮蔽部材SMがタグTに対向する方向で可動部材4を第2筐体部32の円筒部323の内部に挿入することにより、反転検出用具3が完成する。
【0031】
図4を参照すると、反転検出用具3には、円筒部323の内部に空間SPが形成される。空間SP内において可動部材4は、基部311と基部321の間で移動可能である。円筒部323の先端と基部311の間には、隙間があっても無くてもよいが、隙間がある場合には可動部材4が当該隙間から空間SPを脱出できない程度の隙間である。
図4において定常状態(商品Pが水平面に置かれたときに容器本体61に連結された蓋62の状態)では、可動部材4の電波遮蔽部材SMが、第1筐体部31の基部311に取り付けられたタグTと接触又は近接し、それによってタグTからの電波が遮蔽される。他方、反転状態(蓋部62が定常状態から反転した状態)では、可動部材4の電波遮蔽部材SMが、第1筐体部31の基部311に取り付けられたタグTと離間し、それによってタグTから発信される電波が遮蔽されず、無線装置2(
図1)と通信可能となる。
【0032】
以下、
図1及び
図4を参照し、一実施形態の商品管理システムの動作について説明する。
家庭内に商品Pが保管されている状態では、商品Pの蓋部62に内蔵されている反転検出用具3が定常状態である。反転検出用具3が定常状態である場合、
図4に示すように電波遮蔽部材SMとタグTが近接しているため、タグTからの電波が電波遮蔽部材SMに遮蔽され、タグTと無線装置2が通信できない。
消費者がいずれかの商品Pを消費する場合には、蓋部62を容器本体61から外し、蓋部62を反転させてテーブル9等の水平な場所に置くため、商品Pの蓋部62に内蔵されている反転検出用具3が定常状態となる。反転検出用具3が反転状態である場合、
図4に示すように電波遮蔽部材SMとタグTが離間するため、タグTから発信される電波が電波遮蔽部材SMに遮蔽されず、無線装置2がタグTから送信されるパケットを受信できる。無線装置2が受信するパケットには、タグIDが含まれる。
なお、後述するが、タグIDは商品Pの商品コードと対応付けられており、タグIDを受信することで、どの商品Pがいつ消費されたか認識することができる。
【0033】
図1に示すように、好ましくは、例えばテーブル9に参照タグTrefが配置される。参照タグTrefは、参照用のタグであり、タグTと同じ構成のデバイスである。
参照タグTrefは、商品Pが消費されているか否かに関わらず無線装置2と通信可能である限り、如何なる場所に配置されてもよい。参照タグTrefは、無線装置2が定常に動作しているか否か判断するために設けられる。特に、すべての商品Pが消費されずに保管されている状態では、無線装置2がすべての反転検出用具3のタグTから発信される電波を受信できないため、仮に参照タグTrefがないとしたならば、システムが定常に動作しているかの判断が難しい。そこで、商品Pが消費されているか否かに関わらず無線装置2と通信可能な参照タグTrefを設けることで、システムが定常に動作しているか否か判断できる。
【0034】
次に、
図5を参照して、一実施形態の商品管理システム1の各装置の構成を説明する。
図5は、本実施形態の商品管理システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。
【0035】
図5に示すように、商品管理システム1は、タグT、無線装置2、タグ管理サーバ5(制御装置の一例)、及び、管理用端末8を含む。無線装置2とタグ管理サーバ5はネットワークNWを介して通信可能であり、タグ管理サーバ5と管理用端末8がネットワークNWを介して通信可能である。ネットワークNWは限定しないが、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、移動体通信ネットワーク、インターネット等である。
無線装置2は、タグT及び参照タグTrefからBLE通信によりパケットを受信するBLE無線端末として機能する。また、無線装置2は、各タグからパケットを受信すると、受信したパケットに含まれるタグIDをタグ管理サーバ5に送信する。
タグT及び参照タグTrefは、定常にパケットを発信できる状況では、所定間隔毎にパケットを発信し、それに応じて無線装置2もタグIDを所定間隔毎にタグ管理サーバ5に送信する。
管理用端末8は、タグ管理サーバ5によって検出される商品Pごとの消費タイミングについての情報を取得して表示する端末であるが、このシステムにおいて必須ではない。
【0036】
図5を参照すると、タグTは、制御部11、通信用アンテナ12、ハーベスティングアンテナ13、ハーベスティング部14、電圧制御部15、及び、RF通信部16を含む。ICチップ内に、制御部11、ハーベスティング部14、及び、電圧制御部15、RF通信部16が実装される。なお、以下では、タグTの構成について説明するが、
図5に図示しない参照タグTrefの構成もタグTと同じである。
【0037】
制御部11は、マイクロプロセッサとメモリ111を有し、タグTの全体を制御する。メモリ111は、RAM(Random Access Memory)及び/又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、タグTに固有の識別情報であるタグIDを記憶する。
【0038】
ハーベスティング部14は、ハーベスティングアンテナ13が受信する周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のキャパシタ142に貯蔵する。本実施形態では、ハーベスティング部14は、例えばハーベスティングアンテナ13が受信した無線信号を電圧増倍器141により直流電圧に変換し、キャパシタ142に貯蔵する。電圧増倍器141は、限定しないが、例えばディクソン電圧増倍回路(チャージポンプ)である。キャパシタ142は、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよいし、半導体チップとは別体として形成されたものでもよい。
【0039】
ハーベスティングアンテナ13が発電のために受信する電波は、広範囲の周波数帯域において複数の異なる周波数帯の電波である。例えば、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、900MHz帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。
なお、ハーベスティングアンテナ13は単一のアンテナである場合に限られない。例えば、ハーベスティングアンテナ13は2つの周波数帯(例えば900MHz帯(UHF帯)と2.4GHz帯)に対応したデュアルアンテナであってもよい。
【0040】
電圧制御部15は、制御部11及びRF通信部16に動作電圧を供給する。好ましくは、電圧制御部15は、キャパシタ142の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。
例えば、キャパシタ142の電圧が所定値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部11及びRF通信部16では、パケットの生成や無線信号の送信等が行われない。キャパシタ142の電圧が所定値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部11及びRF通信部16ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
【0041】
RF通信部16は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)を通信用アンテナ12に送出する。
通信用アンテナ12は、RF通信部16によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。
【0042】
図5に示すように、無線装置2は、制御部21、アンテナ22、RF通信部23、および、通信部24を備える。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、無線装置2の全体を制御する。例えば、制御部21は、タグTから受信したパケットからタグIDを取得すると、取得したタグIDをタグ管理サーバ5に送信するように、通信部24を制御する。
【0043】
RF通信部23は、アンテナ22でタグTから受信した無線信号を検波し、ベースバンド信号に変換し、所定のデジタル復調を行ってパケットを受信する。また、RF通信部23は、ビーコン信号をアンテナ22から送信するために、例えば所定のパターンのベースバンド信号を直交変調してアンテナ22に送出する。
通信部24は、タグ管理サーバ5との通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0044】
図5に示すように、タグ管理サーバ5は、例えば、制御部51、ストレージ52、及び、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、タグ管理サーバ5の全体を制御する。
ストレージ52は、HDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置を備え、タグデータベース(タグDB)を記憶する。
図6に示すように、タグデータベースには、タグTのタグIDと、当該タグTを含む反転検出用具3を内蔵する蓋部を有する商品の商品コードと、が関連付けられている。ストレージ52はまた、参照タグTrefのタグIDを記憶している。
通信部53は、無線装置2及び管理用端末8と通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0045】
制御部51はサーバプログラムを実行することで、各タグT及び参照タグTrefが発信するタグIDを含むパケットを無線装置2が受信した場合、当該パケットに含まれるタグIDを無線装置2から取得する。
【0046】
一実施形態では、制御部51は、参照タグTrefのタグIDを無線装置2から取得する度に、取得したタグIDと、タグIDを取得した時刻とを、タグ検出ログとしてストレージ52に記録する。
図1に示したように、参照タグTrefは遮蔽されることがないため、無線装置2が故障していない限り、参照タグTrefがパケットを発信する所定間隔ごとに参照タグTrefのタグIDを取得できる。参照タグTrefのタグIDを所定間隔ごとに取得できない場合には、制御部51は、無線装置2が故障していると判断し、管理用端末8に通知する。
【0047】
制御部51は、各タグTのタグIDを無線装置2から取得する度に、タグデータベースを参照して、取得したタグIDに対応する商品コードを特定し、その特定結果を示す画像を生成して管理用端末8に送信する。タグIDを取得できたということは、当該タグIDに対応する商品が消費されていることを意味する。
【0048】
制御部51は、タグTが信号(パケット)を発信する頻度に基づいて、商品が消費されているか否か決定してもよい。
商品が保管されているときにタグTが電波遮蔽部材SMに近接するものの十分に接触しない場合には、タグTから発信される電波が完全には遮蔽されず、無線装置2がタグTから信号を受信することもある。その場合、タグTが信号を発信する頻度が低く、したがって無線装置2がタグTから信号を受信する頻度も低くなる。そこで、制御部51は、タグTが信号を発信する頻度が低く、それによって無線装置2からタグIDを取得する頻度が所定の閾値より低い場合には、対応する商品が保管されていると判断する。
【0049】
管理用端末8は、各商品の消費タイミングや消費頻度を観測したい場合に利用される情報処理端末であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末やスマートフォン等である。
管理用端末8は、タグ管理サーバ5から通知される情報(例えば、無線装置2が故障していることを示す情報)や、タグ管理サーバ5から送信される画像を表示する。タグ管理サーバ5から送信される画像は、例えば商品ごとの消費タイミングや消費頻度に関する情報を含む画像である。
通信プロトコルを限定するものではないが、管理用端末8とタグ管理サーバ5は例えばHTTPSにより通信を行い、管理用端末8のウェブブラウザはタグ管理サーバ5から送信される画像を含むウェブページを表示する。
【0050】
以上説明したように、上述した商品管理システム1では、容器本体と蓋部を有する商品の蓋部が取り外されて反転されたことを、検出用具に組み込まれたタグTと無線装置2との通信可否に基づいて検出するように構成されている。そのため、容器本体に含まれる内容物の消費状況を実時間で捉えることができる。1回で定量の内容物を消費する場合には、内容物の消費回数(頻度)の実績に基づいて内容物の残量を予測することもできる。また、消費者の家庭での消費実態のデータを取得できることから、例えば商品のマーケティング用途等、様々な用途に当該データを活用することができる。
【0051】
一実施形態の検出方法(物品管理方法の一例)は、内容物を挿入又は抽出するための開口611が形成された容器本体61と、容器本体61に対して取り外し可能に連結される蓋部62と、を有する商品Pにおいて、蓋部62が取り外されたことを検出する方法であり、以下の(a)~(e)の各ステップを含む。
(a)タグTと、タグTと近接したときにタグTが発する電波を遮蔽するシート状の電波遮蔽部材SMと、を有する反転検出用具3を、商品Pの蓋部62に取り付けるステップ
(b)蓋部62が定常状態にあるときには、反転検出用具3においてタグTと電波遮蔽部材SMとが近接し、それによってタグTが発する電波が遮蔽されるステップ
(c)蓋部62が反転状態にあるときには、反転検出用具3においてタグTと電波遮蔽部材SMとが離間し、それによってタグTが発する電波が遮蔽されなくなるステップ
(d)無線装置2によるタグTとの通信可否の結果を取得するステップ
(e)上記通信可否の結果に基づいて、蓋部62が取り外されたか否か決定するステップ
【0052】
以上、本発明の物品管理システム、検出方法、及び、検出用具の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0053】
通信デバイスが、周囲の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えたIoTタグである場合について説明したが、その限りではなく、UHF帯、HF帯、又は、マイクロ波帯で動作するRFIDタグであっても構わない。また、いずれの場合も、RFIDタグは、パッシブ型(電池が内蔵されていないもの)でもよいし、アクティブ型(電池が内蔵されているもの)であってもよい。
【0054】
上述した反転検出用具3において、可動部材4に電波遮蔽部材SMが含まれ、可動しない第1筐体部31にタグTを取り付ける場合について説明したが、その限りではない。逆に、可動部材4にタグTが含まれ、第1筐体部31に電波遮蔽部材SMを取り付けても同様に動作する。
【0055】
上述した反転検出用具3では、定常状態においてタグTと電波遮蔽部材SMが近接し、反転状態においてタグIDと電波遮蔽部材SMが離間する場合について説明したが、その限りではない。
定常状態においてタグTと電波遮蔽部材SMが離間し、反転状態においてタグIDと電波遮蔽部材SMが近接するように反転検出用具を構成してもよく、その場合でも定常状態又は反転状態のいずれかの状態を検出することができる。例えば、
図4の反転検出用具3において、タグTを可動部材4の反対側の面に取り付け、電波遮蔽部材SMをタグTと対向するように基部321の側に取り付ける。
なお、上述した反転検出用具3の構成では、データ通信量を抑制できるという利点がある。すなわち、商品Pは保管状態、つまり蓋部62が容器本体61に取り付けられて蓋部62が定常状態である時間が長いため、そのような長い時間にタグTと無線装置2が通信不可能となり、両者の間でのデータ通信量を抑制することができる。
【0056】
上記電波遮蔽部材SMとして、タグTからから出射する電波を吸収する電波吸収体を適用することもできる。
電波吸収体は限定しないが、例えば、カーボンと発泡スチロールを組み合わせたもの(発泡スチロールを基材とし、カーボンのオーム損失を利用した電波吸収材)、フェライトと無機材料を組み合わせたもの(フェライトの磁気損失を利用した電波吸収材)、カーボンと発泡ポリエチレンを組み合わせたもの、磁性体と合成ゴムを組み合わせたもの(例えば、合成ゴムにフェライト粉末を混合したものや、合成ゴムにカーボニル鉄紛を混合したもの)、フェライト焼結体、ガラスクロス補強アルミ箔と導電粘着層を組み合わせたもの、誘電材料の層を利用したもの等が挙げられる。
【符号の説明】
【0057】
1…商品管理システム
T…タグ
Tref…参照タグ
11…制御部
111…メモリ
12…通信用アンテナ
13…ハーベスティングアンテナ
14…ハーベスティング部
141…電圧増倍器
142…キャパシタ
15…電圧制御部
16…RF通信部
2…無線装置
21…制御部
22…アンテナ
23…RF通信部
24…通信部
3…反転検出用具
31…第1筐体部
311…基部
312…側面部
315…嵌合部
32…第2筐体部
321…基部
322…側面部
323…円筒部
325…嵌合部
4…可動部材4
41…被取付部
5…タグ管理サーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
61…容器本体
611…開口
612…嵌合部
62…蓋部
622…嵌合部
8…管理用端末
9…テーブル
SP…空間
SM…電波遮蔽部材
P…商品
PL…ラベル
NW…ネットワーク