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  • 特開-接ぎ木用苗切断装置 図1
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  • 特開-接ぎ木用苗切断装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003527
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】接ぎ木用苗切断装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 2/35 20180101AFI20240105BHJP
   B26D 1/06 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A01G2/35
B26D1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102729
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大越 崇博
【テーマコード(参考)】
3C027
【Fターム(参考)】
3C027HH03
3C027HH07
3C027HH11
3C027HH14
(57)【要約】
【課題】
本発明は、簡易な構成で台木苗と穂木苗を切断できる装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
長手方向に伸縮動作するアーム(2)の先端に苗を切断する切断刃(3,4)を支持する切断刃支持体(7,8)を設け、
前記アーム(2)が伸縮すると切断刃(3,4)が苗に当接して苗を切断し、
切断刃支持体(7,8)には台木苗(10)を切断する台木苗用切断刃(3)と穂木苗(11)を切断する穂木苗用切断刃(4)を装着し、前記アーム(2)が伸縮すると台木苗(10)と穂木苗(11)の双方を切断する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に伸縮動作するアーム(2)の先端に苗を切断する切断刃(3,4)を支持する切断刃支持体(7,8)を設け、
前記アーム(2)が伸縮すると切断刃(3,4)が苗に当接して苗を切断する接ぎ木用切断装置。
【請求項2】
切断刃支持体(7,8)には台木苗(10)を切断する台木苗用切断刃(3)と穂木苗(11)を切断する穂木苗用切断刃(4)を装着し、前記アーム(2)が伸縮すると台木苗(10)と穂木苗(11)の双方を切断することを特徴とする請求項1記載の接ぎ木用切断装置。
【請求項3】
前記アーム(2)は台木苗(10)の切断用位置と穂木苗(11)の切断用位置の中間位置にあって、台木苗用切断刃(3)と穂木苗用切断刃(4)は切断刃支持体(7)からそれぞれ反対方向に延びる構成とし、
台木苗用切断位置(d)と穂木苗用切断位置(h)はそれぞれ台木苗用切断刃(3)と穂木苗用切断刃(4)の動作方向に対向する位置に設けることを特徴とする請求項2記載の接ぎ木用切断装置。
【請求項4】
台木苗用切断刃(3)は切断刃支持体(7)より斜め上がり方向に延び、
穂木苗用切断刃(4)は切断刃支持体(7)より斜め下がり方向に延び、
台木苗用切断刃(3)と穂木苗用切断刃(4)は同一線上に延びるよう配置することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接ぎ木用切断装置。
【請求項5】
台木苗用切断刃(3)は切断刃支持体(8)より斜め上がり方向に延び、
穂木苗用切断刃(4)は切断刃支持体(8)より斜め下がり方向に延び、
台木苗用切断刃(3)における切断刃支持体(8)への取付部(3a)の位置を穂木苗用切断刃(4)における切断刃支持体(8)への取付部(4a)の位置よりも下位に設けることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接ぎ木苗用切断装置。
【請求項6】
前記アーム(2)を横軸芯に回動自在に構成することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接ぎ木用切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接ぎ木装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、斜め方向に突出させて苗を切断する切断刃が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-274716号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、
本発明は、簡易な構成で台木苗と穂木苗を切断できる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、
請求項1記載の発明は、
長手方向に伸縮動作するアーム(2)の先端に苗を切断する切断刃(3,4)を支持する切断刃支持体(7,8)を設け、
前記アーム(2)が伸縮すると切断刃(3,4)が苗に当接して苗を切断する接ぎ木用切断装置とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、
切断刃支持体(7,8)には台木苗(10)を切断する台木苗用切断刃(3)と穂木苗(11)を切断する穂木苗用切断刃(4)を装着し、前記アーム(2)が伸縮すると台木苗(10)と穂木苗(11)の双方を切断することを特徴とする請求項1記載の接ぎ木用切断装置とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、
前記アーム(2)は台木苗(10)の切断用位置と穂木苗(11)の切断用位置の中間位置にあって、台木苗用切断刃(3)と穂木苗用切断刃(4)は切断刃支持体(7)からそれぞれ反対方向に延びる構成とし、
台木苗用切断位置(d)と穂木苗用切断位置(h)はそれぞれ台木苗用切断刃(3)と穂木苗用切断刃(4)の動作方向に対向する位置に設けることを特徴とする請求項2記載の接ぎ木用切断装置とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、
台木苗用切断刃(3)は切断刃支持体(7)より斜め上がり方向に延び、
穂木苗用切断刃(4)は切断刃支持体(7)より斜め下がり方向に延び、
台木苗用切断刃(3)と穂木苗用切断刃(4)は同一線上に延びるよう配置することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接ぎ木用切断装置とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、
台木苗用切断刃(3)は切断刃支持体(8)より斜め上がり方向に延び、
穂木苗用切断刃(4)は切断刃支持体(8)より斜め下がり方向に延び、
台木苗用切断刃(3)における切断刃支持体(8)への取付部(3a)の位置を穂木苗用切断刃(4)における切断刃支持体(8)への取付部(4a)の位置よりも下位に設けることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接ぎ木苗用切断装置とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、
前記アーム(2)を横軸芯に回動自在に構成することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接ぎ木用切断装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、簡単な構成で接ぎ木用苗を切断することができる。また、一回の電動シリンダの伸縮動作で台木苗と穂木苗を共に切断することができる。
【0012】
また、複数の種類の台木苗や穂木苗に対応しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】切断装置の作用を示す図
図2】切断装置の構造を示す図
図3】切断装置の作用を示す図
図4】切断装置の構造を示す図
図5】(A)接ぎ木装置を示す模式図(B)接ぎ木した状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、以下図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
電動シリンダ1の伸縮する伸縮アーム2の先端部に切断刃支持体7を設ける。切断刃支持体7には切断刃支持体7から外側に延びる2つの切断刃を備える。一方は台木苗10を切断する台木苗用切断刃3で、他方は穂木苗11を切断する穂木苗用切断刃4である。台木苗用切断刃3は切断刃支持体7から斜め上がり姿勢に配置し、穂木苗用切断刃4は切断刃支持体7から斜め下がり姿勢に配置する。台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4は図1に示すような直線状の位置に配置する構成である。
【0016】
台木苗10を台木苗用把持ハンド5で把持して固定する台木苗切断位置dと穂木苗11を穂木苗用把持ハンド6で把持して固定する穂木苗切断位置hは伸縮アーム2の左右両側に位置する。具体的には伸縮アーム2の長手軸芯からそれぞれ左右方向の外側に向かって同じ又は略同じ距離Lで、かつ、台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4の幅内の位置である。
【0017】
台木苗用把持ハンド5の詳細は図示しないが機体に一端を機体(図示せず)に取り付け、他端を把持部5aに形成し、オペレータが台木苗10を把持部5aに挿入して把持させることで、台木苗10の姿勢を保持する。穂木苗用把持ハンド6も台木苗用把持ハンド5と同様である。
【0018】
本実施の形態ではオペレータの手動により把持ハンドに苗を挿入する構成であるが、別途装置で台木苗用把持ハンド5と穂木苗用把持ハンド6に自動で苗を供給し、かつ、台木苗用切断位置d及び穂木苗用切断位置hまで移動する構成でも良い。
【0019】
台木苗用把持ハンド5は台木苗切断位置dよりも下側に位置し、穂木苗用把持ハンド6は穂木苗切断位置hより上側に位置するように設ける。
【0020】
台木苗用把持ハンド5で台木苗10を台木苗切断位置dに固定すると共に、穂木苗用把持ハンド6で穂木苗11を穂木苗切断位置hに固定した後、電動シリンダ1が駆動し、伸縮アーム2が伸長すると台木苗用切断刃3が台木苗10と、穂木苗用切断刃4が穂木苗11に当接してそれぞれ切断される。切断後、伸縮アーム2が収縮して初期位置に戻る。なお、電動シリンダ1が伸縮すると台木苗10と穂木苗11が切断される構成でも良い。
【0021】
切断された台木苗10の下部は台木苗用把持ハンド5で把持されている状態であり、オペレータが台木苗用把持ハンド5から台木苗10を取り出す。切断された穂木苗11の上部は穂木苗用把持ハンド6で把持されている状態であり、オペレータが穂木苗用把持ハンド6から取り出す。そしてオペレータは切断された台木苗10と穂木苗11を接ぎ木する。
【0022】
オペレータは次の台木苗10を台木苗用把持ハンド5にセットし、穂木苗11を穂木苗用把持ハンド6にセットして次の切断を行う。
【0023】
切断刃支持体7の構成の詳細について説明する。
【0024】
電動シリンダ1又は伸縮アーム2は長手軸芯に対して回動自在に構成することで、台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4の傾斜角度を変更することができる。それにより、所望の角度で台木苗10と穂木苗11を切断することができる。
【0025】
台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4の取付基部を取り付けカバー12で取り付ける。取り付けカバー12はパチン錠13で着脱自在に構成されている。
【0026】
取り付けカバーを取り外すと台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4を着脱して交換できる構成である。すなわち、工具レスで交換できる。
【0027】
台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4はそれぞれ図2に示すように取り付け角度を微調節することができる。
【0028】
切断刃支持体の別実施例について説明する。
【0029】
切断刃支持体8の上部から下がり傾斜姿勢で穂木苗用切断刃4を設け、切断刃支持体8の下部から上がり傾斜姿勢で台木苗用切断刃3を設ける。台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4は左右反対方向に向かって延びる構成である。台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4は平行であることが望ましい。
【0030】
台木苗切断位置dと穂木苗切断位置hは伸縮アーム2の左右両側に位置する。具体的には伸縮アーム2の長手軸芯からそれぞれ左右方向の外側に向かって同じ又は略同じ距離Lで、かつ、台木苗用切断刃3と穂木苗切断刃4の幅内の位置である。
【0031】
台木苗用把持ハンド5で台木苗10を台木苗切断位置dに固定すると共に、穂木苗用把持ハンド6で穂木苗11を穂木苗切断位置hに固定した後、電動シリンダ1が駆動し、伸縮アーム2が伸長すると台木苗用切断刃3が台木苗10と、穂木苗用切断刃4が穂木苗11に当接してそれぞれ切断される。切断後、伸縮アーム2が収縮して、次の台木苗と穂木苗を切断位置に配置し、次の切断を行う。
【0032】
切断刃支持体8の構成の詳細について説明する。
【0033】
電動シリンダ1又は伸縮アーム2は長手軸芯に対して回動自在に構成することで、台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4の傾斜角度を変更することができる。それにより、所望の角度で台木苗10と穂木苗11を切断することができる。
【0034】
台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4の取付基部をそれぞれ取り付けカバー14で取り付ける。取り付けカバー14はパチン錠15で着脱自在に構成されている。
【0035】
取り付けカバー14を取り外すと台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4を交換できる構成である。すなわち、工具レスで交換できる。
【0036】
台木苗用切断刃3と穂木苗用切断刃4はそれぞれ図4に示すように取り付け角度を微調節することができる。
【0037】
切断刃支持体7と切断刃支持体8は伸縮アーム2に対して着脱自在に構成し、交換することができる構成としている。それにより、複数種類の台木苗10、穂木苗11の種類に対応することができる。
【0038】
図5に基づいて、切断した台木苗10と穂木苗11の接ぎ木方法について説明する。
【0039】
一対の樹脂ロール20から延びる熱可塑性の樹脂シート20a間に台木苗10と穂木苗11を接触させた状態の接ぎ木苗23を配置する。接ぎ木苗の左右両側を押圧させる押圧機22の先端に、熱による溶着部を設け、押圧機22で双方の樹脂シート20aを押圧することで樹脂シート20aを溶着させることで台木苗10と穂木苗11が固定され、接ぎ木苗23となる。押圧機22と樹脂ロール20との間に樹脂ロール20aを切断するためのレーザ装置23を設け、押圧機22で溶着した後、レーザ装置で樹脂シート20aを切断する。
【符号の説明】
【0040】
2 アーム
3 台木苗用切断刃
4 穂木苗用切断刃
7 切断刃支持体
8 切断刃支持体
10 台木苗
11 穂木苗
d 台木苗用切断位置
h 穂木苗用切断位置
図1
図2
図3
図4
図5