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特開2024-35271中古携帯端末の商品化工程での取扱い方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035271
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】中古携帯端末の商品化工程での取扱い方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240307BHJP
   B65G 43/10 20060101ALI20240307BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240307BHJP
【FI】
G06Q10/06
B65G43/10
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139628
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】519280025
【氏名又は名称】株式会社CDRエコムーブメント
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】関口 利宏
(72)【発明者】
【氏名】石坂 正宏
(72)【発明者】
【氏名】今井 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】原田 望
【テーマコード(参考)】
3F027
5L049
【Fターム(参考)】
3F027CA01
3F027DA12
3F027EA01
3F027FA18
5L049AA06
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】
中古端末の商品化工程が、複数の工程をベルトコンベアで繋ぎ、各工程の作業と各工程間の連繋作業が専ら人手により実行されているため、作業総量や作業効率に限界があった点を改善するための商品化工程での中古端末の取扱い方法を提供する。
【解決手段】
中古端末の商品化工程において、中古端末Tの受入工程3と、データ消去工程6と、機能検査及び外観検査の検査工程10とを、2基のハンドリングロボット7,13によって連繋し、前記3つの工程3,6,10での作業のために、前記ハンドリングロボット7,13が中古端末Tを各工程3,6,10にセットしたり、各工程3,6,10から取出したり、次の工程に運搬したりするようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々に識別コードが付与され背面カメラ部に保護フィルムが貼付されてトレイに積み込まれ供給コンベアで搬送されて来る複数台の中古携帯端末(以下、「端末」という。)を、第1ハンドリングロボットのアーム(以下、「第1アーム」という。)に1台毎に保持させ、当該第1アームが動いて前記端末を次工程のデータ消去部に向け搬送する第1搬送工程、
前記第1アームは、前記第1搬送行程で搬送する前記端末の所要の複数台(以下、「各端末」という。)を、1台毎に当該データ消去部の端末セット台にセットするデータ消去部セット工程、
前記データ消去部は、前記各端末に対応して消去ヘッドを有する複数の端末セット台を備え、前記端末セット台にセットされた前記各端末の残留データを、前記消去ヘッドにより消去するデータ消去工程、
前記データ消去部は、残留データが消去された端末(以下、「消去端末」という。)と、何らかの理由で残留データの消去が出来なかった端末(以下、「未消去端末」という。)とを判別し、前記各端末についてデータ消去の有無を判別する判別工程、
前記第1アームが、前記データ消去工程で個々にデータが消去された前記消去端末と、データが消去できなかった前記未消去端末とを、前記端末セット台から分別して取り出す分別取り出し工程、
前記端末セット台から分別して取り出される前記消去端末を、表側を上向きにした姿勢で前記第1アームに保持させ、当該各消去端末の機能と外観についての検査のため1台毎に検査部へ搬入する搬入コンベアに載置される検査部搬入工程、
前記端末セット台から前記第1アームで取り出された前記未消去端末は、当該第1アームに保持されて前記供給コンベアのスタート点に戻すため返却コンベアに載置される返却工程、
前記検査部での検査が終了し当該検査部から搬出コンベアで1台毎に搬出される前記各消去端末は、第2ハンドリングロボットのアーム(以下、「第2アーム」という。)が保持し、次工程に向けて搬送する検査部搬出工程、
とを備える中古端末の商品化工程における端末の取扱い方法であって、
前記供給コンベア、返却コンベア、及びデータ消去部は、夫々の動作が中央制御部によって制御され、
前記第1アームは、その先端に前記各端末を1台毎に着脱自在に保持する第1端末保持部を備えた6軸ロボットのアームであって、当該第1アームと第1端末保持部が、前記第1搬送工程、前記データ消去部セット工程、前記データ消去部取り出し工程、前記検査部搬入工程、及び前記返却工程における、前記第1アームの向きと当該アーム先端の高さを含む作動姿勢とその作動姿勢の時期、及び前記第1端末保持部の作動内容とその作動時期の夫々について、第1アーム制御部によって制御されると共に、
前記第2アームは、その先端に前記各端末を1台毎に着脱自在に保持する第2端末保持部を備えたスカラロボットのアームであって、当該第2アームと第2端末保持部が、前記検査部搬出工程において、前記第2アームの向き含む作動姿勢とその姿勢の時期、及び前記第2端末保持部の作動内容とその作動時期の夫々について、第2アーム制御部によって制御されることにより、
実行される前記端末の商品化工程における端末の取扱い方法。
【請求項2】
前記供給コンベアで搬送されてきた複数台の端末を、第1アーム又はその近傍に配置した1台又は2台のカメラで撮像し、その撮像データに基づいて前記第1アームに保持させる端末を選択するようにした請求項1に記載の端末の取扱方法。
【請求項3】
前記第1アームによる前記データ消去部取り出し工程における各消去端末の取り出し工程での取り出し動作と、前記検査部搬入工程における搬入コンベアへの配置動作との動作時期は、前記検査部に先行搬入されている1台の端末の所要検査の終了を含む検査進捗に関して、当該検査部から前記第1アーム制御部に供給される検査進捗信号に基づいて制御される、請求項1に記載の端末の取扱い方法。
【請求項4】
前記消去端末は、前記データ消去部取り出し工程の後に、保護フィルムが除去される請求項1に記載の端末の取扱い方法。
【請求項5】
前記第2アームは、前記検査部搬出工程の後に、前記各消去端末の背面カメラ部に新たに保護フィルムを貼付し表側を下向きにされた姿勢の当該各消去端末を、次工程に向かう搬送コンベアに載置する請求項1に記載の端末の取扱い方法。
【請求項6】
前記第1アームの第1端末保持部と前記第2アームの第2端末保持部は、各端末の表面を負圧空気で吸着保持する吸盤と、当該各端末保持部を前記吸盤の中心軸に平行な軸に関して正逆回転する回転機構を備える請求項1に記載の端末の取扱い方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中古携帯端末(以下、中古端末、又は端末ともいう。)を商品化する工程における当該端末の取扱い方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、中古端末を再生して商品化すること(以下、商品化という。)が行われており、当該商品化に関する業務について有用と思われる様々なアイデアが特許文献1~3等により提案されているが、特許文献1~3は、商品化のための工程の合理化に関するものではない。
【0003】
中古端末の商品化の一般的な工程の概要を図4の工程模式図により説明する。図4の各工程において中古端末は、基本的に人手により各工程の作業が実行される。
始めに中古端末は商品化工程へ「入庫」される。入庫した端末から商品化できない端末を排除する等の粗選別をして再生対象とする端末を「受入」れる。受入れた再生対象の端末は、各端末に残る残留データを「消去」する。
【0004】
次に、残留データが完全に消去された端末は、その端末が備えている端末としての機能が十全であるかどうかの「機能検査」と、機能検査が済んだ端末の外観について傷の付き具合や程度を検査する「外観検査」とを人的作業で行い、前記機能検査と外観検査の結果に基づき、各端末に再生商品としてのグレード(等級)を担当作業員が付与する(「グレーディング」)。グレーディングによりグレード(等級)別等の分類基準によって分類された端末(以下、再生端末という。)を「在庫棚」に保管し、買取り業者からの注文を受けている。
【0005】
再生端末について、複数の買取り側(発注者)からの注文(受注)があると、各発注者毎に、夫々の注文内容に沿った個々の再生端末を個装し、個装した各端末を各発注者向けに「梱包」し、各梱包毎に「封緘」を施して「出荷」している。
【0006】
上記の「入庫」、「受入」、「消去」、「機能検査」、「外観検査」、「グレーディング」、「在庫棚」、「梱包」、「封緘」、「出荷」による各工程の拠点は、基本的にベルトコンベアBCで接続されており、各ポイントには、図示しないが、一例として作業台、仮置き棚、必要な工具や道具等が備えられ、各拠点担当の作業員が少なくとも1名ついている。
【0007】
上記のような中古端末の人手による商品化の工程では、各工程の作業を作業員が実行するから、原則として一日8時間程度の商品化業務しか行えず、商品化の作業効率に限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-35758号公報
【特許文献2】特許第5820461号公報
【特許文献3】特許第4171453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の中古端末の商品化工程が、複数の工程をベルトコンベアで繋ぎ、各工程の作業と各工程の連繋作業が専ら人手により実行されているため、作業総量や作業効率に限界があった点に鑑み、商品化工程の作業効率を上げることができる中古端末の取扱い方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題の解決手段の基本形として、中古端末の商品化工程において、端末の受入工程と、データ消去工程と、機能検査及び外観検査の検査工程とを、2基のハンドリングロボットによって連繋し、前記3つの工程での作業のために、ハンドリングロボットが中古端末を各工程にセットしたり、各工程から取出したり、次の工程に運搬したりすることを、主な特徴とする。
【0011】
本発明の上記基本形における中古端末の商品化工程での端末の具体的な取扱いは、以下の通りである。
【0012】
夫々に識別コードが付与され背面カメラ部に保護フィルムが貼付されてトレイに積載されて供給コンベアで搬送されて来る複数台の中古携帯端末(以下、「端末」という。)の中から、データ不一致等でエラーと判断されず商品化可能と判断された端末を、第1ハンドリングロボットのアーム(以下、「第1アーム」という。)に1台毎に保持させ、当該第1アームが動いて前記端末を次工程のデータ消去部に向け搬送する第1搬送工程、
ここで各端末に付与する識別コードは、一例としてQRコード(登録商標)を各端末に貼付した形で付与し、各端末のQRコード(登録商標)を商品化工程(構内)での管理コードに紐づけて制御部のデータベースに格納している。
【0013】
前記第1アームが、前記第1搬送行程で搬送する前記端末の所要の複数台(以下、「各端末」という。)を、1台毎に当該データ消去部の端末セット台にセットするデータ消去部セット工程、
【0014】
前記データ消去部が、前記各端末に対応して消去ヘッドを有する複数の端末セット台を備え、前記端末セット台にセットされた前記各端末の残留データを、前記消去ヘッドにより消去するデータ消去工程、
【0015】
前記データ消去部が、残留データが消去された端末(以下、「消去端末」という。)と、何らかの理由で残留データの消去が出来なかった端末(以下、「未消去端末」という。)とを判別し、前記各端末についてデータ消去の有無を判別する判別工程、
【0016】
前記第1アームが、前記データ消去工程でデータが消去された消去端末と、データが消去できなかった未消去端末とを、前記端末セット台から分別して取り出す分別取り出し工程、
【0017】
更に前記第1アームが、端末セット台から分別して取り出され、表側を上向きにした消去端末を保持し、当該端末の機能と外観について検査するため、1台毎に検査部へ搬入する搬入コンベアに載置する検査部搬入工程、
【0018】
一方で第1アームが、端末セット台から取り出された未消去端末を、前記供給コンベアのスタート点に戻すために返却コンベアに載置する返却工程、
【0019】
次に、前記検査部での検査が終了し当該検査部から搬出コンベアで1台毎に搬出される各消去端末を、第2ハンドリングロボットのアーム(以下、「第2アーム」という。)が保持し、背面のカメラ部に保護フィルムを貼付して次工程に向けて搬送する検査部搬出工程、とを備える中古端末の商品化工程における端末の取扱い方法であって、次の点を特徴とする。
【0020】
第一に、前記第1アームは、その先端に前記各端末を1台毎に着脱自在に保持する第1端末保持部を備えた6軸ロボットのアームであって、当該第1アームと第1端末保持部が、前記第1搬送工程、前記データ消去部セット工程、前記データ消去部からの分別取り出し工程、前記検査部搬入工程、及び前記返却工程の各工程において、前記第1アームの向きと当該アーム先端の高さを含む作動姿勢とその作動姿勢の時期、及び前記第1端末保持部の作動内容とその作動時期の夫々について、第1アーム制御部によって制御される。
【0021】
第二に、前記第2アームは、その先端に前記各端末を1台毎に着脱自在に保持する第2端末保持部を備えたスカラロボットのアームであって、当該第2アームと第2端末保持部が、前記検査部搬出工程において、前記第2アームの向き含む作動姿勢とその姿勢の時期、及び前記第2端末保持部の作動内容とその作動時期の夫々について、第2アーム制御部によって制御される。
【0022】
前記第1アームによる前記データ消去部取り出し工程における各消去端末の取り出し工程での取り出し動作と、前記検査部搬入工程における搬入コンベアへの配置動作との動作時期は、前記検査部に先行搬入されている1台の端末の所要検査の終了を含む検査進捗に関して、当該検査部から前記第1アーム制御部に供給される検査進捗信号に基づいて制御される。
【0023】
前記各消去端末は、前記データ消去部取り出し工程の後に、フィルム剥離機構により当該各消去端末の保護フィルムが除去される。
【0024】
前記第2アームは、前記検査部搬出工程の後に、前記各消去端末の背面カメラ部に新たに保護フィルムを貼付して表側を下向きにした姿勢の当該各消去端末を、次工程に向かう搬送コンベアに載置する。
【0025】
前記第1アームの第1端末保持部と前記第2アームの第2端末保持部は、夫々に各端末の表面を負圧空気で吸着保持する吸盤と、当該各端末保持部を前記吸盤の中心軸に平行な軸に関して正逆回転する回転機構を備えている。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、中古端末の商品化工程において、端末の受入工程、データ消去工程、検査工程の間で、端末の搬送、セット、取出し、移動を2基のハンドリングロボットにより行うから、従来の人手作業による取り扱い効率を大幅に上げて省力化でき、しかも昼夜連続作業も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の中古端末の商品化工程の配置を模式的に示した平面図。
図2】本発明で用いる第1ハンドリングロボット(6軸ロボット)の一例の概要を示す斜視図。
図3】本発明の端末商品化における端末取扱いのフロー図。
図4】従来の中古端末の商品化工程の配置を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図を参照して本発明中古端末の商品化工程における端末の取り扱いについて説明する。
【0029】
図1に示す本発明の商品化工程では、図の左側の下方において、トレイ1に積載された中古端末Tが、図1の左方から右方へ向けて走行する搬入コンベア2(以下、コンベア2ともいう。)により搬送されて受取3に到着する。
搬入コンベア2は、通常は水平姿勢での設置であるが、ここではコンベア進行方向に直交する向きに関して図1のコンベア2の上辺2a側に下り勾配の傾きを付けて配置している。そして傾斜したコンベア2の上のトレイ1に、一例として複数の端末Tを2列に並べて積載し、このトレイ1を受取3に送っている(図1参照)。なお、コンベアの下り勾配は、上辺2aとは反対側(下辺)に向けた下り勾配でもよい。
この実施例では、受取3に到着したトレイ1に積まれた2列の端末Tの台数、位置、姿勢などを確認し、後述する6軸ロボット7の第1アーム7aのエア保持部8で端末Tを保持するために、傾斜した2列の端末Tに正対させて2台のカメラ(不図示)を設けている。このカメラは第1アーム7a又は受取3の近傍に設ければよい。
2台のカメラは、トレイ1の中の2列の端末Tを撮像し、撮像データを後述する第1制御部に送る。第1制御部では、撮像データに基づき各列の端末Tの台数、姿勢、トレイ1内での位置のデータを形成し、6軸ロボット7のエア保持部8に保持させたい端末Tを決定して6軸ロボット7を制御している。
【0030】
上記のように、受取3では、到着したトレイ1内の端末Tを6軸ロボット7が備えるカメラで撮像してトレイ内での端末Tの位置を確認し、当該ロボット7のエア保持部8がどの端末を保持するかを判断している。
確認ブース4では、6軸ロボット7が置いた端末Tを前記カメラで再度撮像し、その撮像データとQRコード(登録商標)が一致するか否かの確認を行い、データ不一致等の何らかの理由でエラーと判断された端末eTを、前記搬入コンベア2と平行に隣接したエラー端末排出用の搬出コンベア5に載せて受入れ部(図示せず)へ戻す。
【0031】
図1において、前記搬入コンベア2と搬出コンベア5の上方には、消去ステーション6(以下、データ消去部6ともいう。)が、図1では、一例として端末Tの12台がセットできる12基の端末セット台6aを並べた形態で配置されている。端末セット台6aの数は任意に設定できる。なお、消去ステーション6は、図1では平面的に示されているが、スペース効率等を考慮すると、垂直姿勢で配置されることが好ましい。また、消去ステーション6は、図1では搬入コンベア2と搬出コンベア5の配置の向きと平行な向きで配置しているが、当該ステーション6の正面を前記コンベア2,5に直交させた向きで配置することもある。
【0032】
消去ステーション6の端末セット台6aは、後述する6軸ロボット7の第1アーム7aが備える第1端末保持部8(以下、エア保持部8ともいう。)に保持された端末Tを、当該エア保持部8から受け取り、その端末Tを保持する端末支持部9を備える。端末支持部9は、磁力などを利用して開閉する機械式保持機能で端末Tを保持し、且つその保持を解除できるようになっている。
【0033】
12基の端末セット台6aの各端末支持部9にセットされた12台の端末Tでは、各端末Tに残留しているデータが、図示していない消去ヘッドに各端末Tが接続されることにより消去される。なお、消去ステーション6の各端末セット台6aでは各端末Tに残留データが残っているか否かが当該消去ヘッドを通して確認され、残留データが完全消去された端末T(消去端末T)と、消去されない端末(未消去端末eT)とを判別している。この判別結果は、各端末Tに紐付けられて後述する6軸ロボット7の制御部(第1制御部)にも供給される。
【0034】
図1において、搬入コンベア2、搬出コンベア5、及び確認ブース4で形成する配置の列と、消去ステーション6の側面(又は正面)がなす狭角の間には、図2に例示する6軸ロボット7が第1ハンドリングロボットとして配置されている。ここで、本発明では、端末Tを取扱う6軸ロボット7が前記受取3,確認ブース4を含む2本のコンベア2,5とデータ消去部6がなす挟角の間に配置されることにより、従来の各工程が直線ライン状に並んだ工程レイアウトに比べ必要な作業空間の省スペース化を図ることができる。
【0035】
6軸ロボット7の先端アーム7a(以下、第1アーム7aともいう。)には、端末Tを空気の吸引力で吸着して保持する第1端末保持部8(エア保持部8)が設けられている。
【0036】
6軸ロボット7の第1アーム7aのエア保持部8では、搬入コンベア2のエンド部(受取3)に集積され、確認ブース4で商品化可能と判別された端末Tを、1台毎エア保持部8で保持して、消去ステーション6の端末セット台6aに搬送し(第1搬送工程)、各端末セット台6aにセットする(データ消去部セット工程)。
【0037】
データ消去部セット工程において、各端末セット台6aは、6軸ロボット7の第1アーム7aのエア保持部8に保持された端末Tが運ばれてきて当該セット台6aに当接すると、それを電気式、電子式、磁気式、光式、或は機械式等のいずれかの方式によるセンサ(図示せず)で検知し、当該セット台6aが備える端末支持部9を開状態(受入状態)から閉状態(保持状態)に切替える。このセンサの動作、端末支持部9の動作は、6軸ロボット7の制御部(第1制御部)に連繋された中央制御部により制御される。
【0038】
端末Tを保持した端末セット台6aでは、消去ヘッドがその端末Tに接続される。ここで端末セット台6aへの端末Tのセットにおいて、端末Tの認識が出来ない、接続コネクタが見つからない、端末Tが予定外の機種、6軸ロボット7に異常があるなどによって、端末Tのセットが出来ない場合、当該端末は装置エラーの端末として搬出コンベア5に6軸ロボット7で運ばれて載置される。消去ヘッドは、装置エラーのない端末Tの残留データを消去する(データ消去工程)。各端末セット台6aでの残留データの消去処理が終了すると、消去ヘッドの消去機能が解かれ、続いて当該消去ヘッドが残留データの確認ヘッドとして機能する。これにより各端末Tは、残留データが消去されているか否かがチェックされる。(データ消去の判別工程)。
【0039】
各端末Tについて,残留データ有無のチェック結果は、判別データとして各端末Tに紐付けられて6軸ロボット7の第1制御部に供給され、第1制御部では、セットされている消去ステーション6の未消去端末eTと消去端末Tを分別して取出すための第1アーム7aと、エア保持部8と、端末セット台6aの端末支持部9とに対する夫々の指令信号が形成される。
【0040】
前記指令信号によって、まず未消去端末eTの端末支持部9が開くので、第1アーム7aのエア保持部8によって当該未消去端末eTがその端末セット台6aから取出され、不良品用の搬出コンベア5に載せられる。(データ消去部取り出し工程)。
【0041】
次に、前記指令信号により、残留データが消去された消去端末Tが端末セット台6aから第1アーム7aとエア保持部8によって取出され、次の検査部10の搬入コンベア11に置かれる(データ消去部取り出し工程、検査部搬入工程)。
ここでデータ消去部6からの端末Tの取出しタイミングと、取出した端末Tの検査部10への搬入タイミングは、検査部10での1台の端末Tの検査の終了と搬出のタイミング(検査進捗)に同期するように出力される検査進捗信号に基づいて取出し動作や搬入動作のアクチュエータが制御される。
【0042】
なお、本実施形態では、消去端末の取り出し工程と検査部搬入工程の間に、端末Tのカメラ部を保護していた保護フィルム(図示せず)を剥離除去するフィルム除去機構による除去工程Fxと、保護フィルムを剥がした後に当該端末Tを反転させる反転機構による反転工程TRとが配置されている。
【0043】
反転工程TRがある理由は、端末Tは保護フィルムの除去工程Fxでは、背面を上向きにしているが、検査部10では端末Tの画面を上向きにして搬入するため、反転させる必要があるからである。
【0044】
保護フィルムの剥離除去は、図示していないフィルム剥離機構が実行し、端末Tの反転は、第1アーム7のエア保持部7aが保持している端末Tを反転台(反転機構)に移すと、その反転台の上で反転させられる(反転工程TR)。
【0045】
検査部10は、内部に残留データが消去された端末Tが備える諸機能を、当該端末Tに配置されたカメラ、スピーカー、スイッチ、センサ等の装備品の機能などを自動的に検査するように構成された機能検査部と、当該端末Tの外観の状態(傷の有無や傷の程度など)を検査カメラの撮像データに基づき自動的に調べる外観検査部と、これらの自動検査部が配置されたハウジング状の検査空間と、前記の両検査部の検査動作を制御し、検査データを管理コードに紐づけられた端末ごとに収集して出力する検査制御部とを備えている。
【0046】
検査部10の搬出コンベア12の近傍には、第2ハンドリングロボットとしてスカラロボット13が配置されている。このスカラロボット13は、その先端アームを第2アーム13aとして第2端末保持部14を備えている。なお、本発明では第2ハンドリングロボットに、スカラロボット13に代え6軸ロボットを使用することもある。
【0047】
検査部10で自動的に機能検査と外観検査とが行われた端末Tは、検査部10から搬出コンベア12によって搬出される(検査部搬出工程)。搬出コンベア12で搬出される端末Tは、画面を上向きにして搬出されてくるため、スカラロボット13の第2端末保持部14に保持され、第2反転工程RTの反転台(反転機構)の上に搬送されて載せられ、この反転台の上で背面が上向きになるように反転される。
【0048】
背面を上向きに反転させられた端末Tは、スカラロボット13の第2アーム13aが備えるフィルム添付ハンド(図示せず)によって、カメラに保護フィルムを貼付するため、フィルム貼付工程Feに運ばれる。再び保護フィルムが貼付された各端末Tは、このあと商品化された端末Tとして梱包搬送コンベア15に載せられ再生端末Tとして搬出される。なお、検査部10での検査の結果で不良品と判断された端末eTは、不良品として排出コンベア16によって搬出される。
【0049】
不良品ではない各端末Tは検査部10で機能検査と外観検査とが行われているから、検査工程の後の工程において2種類の検査結果のデータに基づいて再生端末としてのグレード(等級)が付与される。等級が付与された各端末Tは、商品化された端末Tとして在庫棚などのストッカーに保管され、出荷に向けた取扱対象となる。
【0050】
本発明において、6軸ロボット7の第1端末保持部8を含む第1アーム7aは、トレイ1に積載されてきた端末Tのうち、再生不能の端末eTを除去した端末Tのデータ消去部6(消去ステーション6、以下同じ。)への搬送、データ消去部6へのセット、データ消去後の取り出し、消去端末を検査部10への搬送、未消去端末の排出における各端末の取り扱いのために、当該第1アーム7aの向きと高さを含む作動姿勢とその姿勢の時期、及び第1端末保持部8(エア保持部8)の作動内容とその作動時期とを、6軸ロボット7の第1制御部によって制御している。
【0051】
また、スカラロボット13の第2アーム13a先端の第2端末保持部14も、検査部10からの端末Tの搬出工程において、当該端末保持部14の位置と作動内容とを、スカラロボット13の第2制御部によって制御している。
【0052】
以上に説明した中古端末を商品化するための工程において、本発明では商品化のために受入れた中古端末の残留データの消去部における取扱い、当該消去部から検査部への搬送、及び検査が終わって検査部から搬出された端末の再生商品として搬出されるまでの端末の取扱いに、2基のハンドリングロボットを利用したから、人手に依らないで中古端末の商品化工程の主要工程を実行することができる。これによって作業員の就労ができない深夜や早朝の時間帯においても中古端末の商品化作業を連続的に行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
T 端末
1 トレイ
2 搬入コンベア
3 受取
4 確認ブース
5 搬出コンベア
6 消去ステーション
6a 端末セット台
7 6軸ロボット(第1ハンドリングロボット)
7a 第1アーム
8 エア保持部(第1端末保持部)
9 端末セット台6aの端末支持部
10 検査部
11 検査部搬入コンベア
12 検査部搬出コンベア
13 スカラロボット(第2ハンドリングロボット)
13a 第2アーム
14 第2端末保持部
15 梱包工程への搬送コンベア
16 不良品の排出コンベア
図1
図2
図3
図4