(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035279
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 41/86 20060101AFI20240307BHJP
C03C 8/14 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
C04B41/86 D
C03C8/14
C04B41/86 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139641
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新開 誠司
(72)【発明者】
【氏名】森 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】若杉 隆
(72)【発明者】
【氏名】若林 里佳
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA09
4G062BB03
4G062BB06
4G062BB08
4G062BB09
4G062BB12
4G062CC10
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4G062NN32
4G062PP05
4G062PP07
4G062PP08
4G062PP11
(57)【要約】
【課題】低温焼成でも釉層の黒色化を抑制することができる製造方法を提供する。
【解決手段】釉層を有する物品の製造方法である。平均粒子径が0μmより大きく20μm以下のガラス粉末を含む釉薬を用い、前記ガラス粉末を、酸化剤の存在下で、600℃以上800℃以下で熔融させて前記釉層を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釉層を有する物品の製造方法であって、
平均粒子径が0μmより大きく20μm以下のガラス粉末を含む釉薬を用い、前記ガラス粉末を、酸化剤の存在下で、600℃以上800℃以下で熔融させて前記釉層を形成する、物品の製造方法。
【請求項2】
前記酸化剤が、過酸化水素水、硝酸、及び硝酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の物品の製造方法。
【請求項3】
前記酸化剤が、過酸化水素水であり、
過酸化水素は、前記ガラス粉末1gあたり、0.5×10-6mol以上15.0×10-6mol以下である、請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイルや衛生陶器等の釉薬には、ガラス粉末(フリット原料)が用いられている(例えば特許文献1参照)。釉薬は、1000℃以上で焼成される温度条件で使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境問題を考慮して、エネルギー削減を実現するために、焼成温度をより低温化する試みがなされている。そのため、使用原料の一つであるフリット原料もより低温で熔融する必要性が生じてきた。
しかし、低温で焼成すると、微粉砕されたフリットが黒色化する現象が観察された。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑み、低温焼成でも釉層の黒色化を抑制することができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
釉層を有する物品の製造方法であって、
平均粒子径が0μmより大きく20μm以下のガラス粉末を含む釉薬を用い、前記ガラス粉末を、酸化剤の存在下で、600℃以上800℃以下で熔融させて前記釉層を形成する、物品の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図2は、過酸化水素の添加量と輝度値の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を詳しく説明する。尚、数値範囲について「-」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10-20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10-20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
【0009】
1.物品1の製造方法
本開示の物品1の製造方法は、釉層3を有する物品1の製造方法である。
物品1の製造方法は、平均粒子径が0μmより大きく20μm以下のガラス粉末を含む釉薬を用いる。物品1の製造方法では、ガラス粉末を、酸化剤の存在下で、600℃以上800℃以下で熔融させて釉層3を形成する。釉層3に関しては、2層以上であっても良い。
(1)物品1
物品1は、特に限定されない。物品1は、素地5の表面に位置する釉層3を有する。物品1としては、例えば、タイル、衛生陶器、陶磁器、食器、瓦等が好適に挙げられる。本明細書において「衛生陶器」とは、トイレ及び洗面所周りで用いられる陶器製品を意味する。衛生陶器としては、例えば、小便器、大便器、便器タンク、洗面台の洗面器、手洗い器等が挙げられる。本明細書において「陶器」とは、原料に長石、陶石、カオリン、粘土を用い、表面に釉薬を塗布して焼成したものを意味する。
素地5としては、例えば衛生陶器であれば、長石、陶石、カオリン、粘土、フリット等を原料として含む陶器素地組成物(陶器素地泥漿)を石膏型あるいは樹脂型等を用いて所定の形状に成形し、焼成した素地5が挙げられる。尚、素地の焼成に関しては、予め素地5のみを単独で1000℃以上で焼成したものに、釉薬を浸し掛け、流し掛け、塗り掛け、又は吹き掛けのいずれかにより塗布した後、再度600℃以上800℃以下で焼成して、物品1を得ても良く、また、未焼成の素地5に直接釉薬を塗布して600℃以上800℃以下の1回の焼成で物品1を得たものでも良い。
【0010】
(2)釉層3(釉薬層)
釉層3は、釉薬が焼成して形成される。釉薬は、平均粒子径が0μm以上20μm以下のガラス粉末を含む。釉薬は、例えば、長石、粘土、石灰石、珪石、滑石等を含んでいてもよい。
釉薬におけるガラス粉末の含有量は、特に限定されない。ガラス粉末の含有量は、釉薬に含まれる固形分の総質量に対して、50質量%以上100質量%以下が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましい。
【0011】
(3)ガラス粉末
ガラス粉末(フリット)は、目的の組成に調整したガラス原料を1000℃以上で溶融した後冷却し、非晶質のガラスとし、粉砕したものである。
(3.1)ガラス組成
ガラス組成は、特に限定されない。ガラス組成として、600℃以上800℃以下で熔融可能な組成を好適例として挙げることができる。低い温度で熔融可能なガラス組成を用いることで、タイルや衛生陶器の焼成温度を低温化して、環境問題を考慮して、エネルギーの削減を実現できる。
ガラス組成は、600℃以上800℃以下で熔融可能で有れば特に限定されない。ガラス組成として、例えば、リン酸塩系ガラス、バナジウム系ガラス、ホウ珪酸系ガラス、ソーダ石灰系ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩系ガラス等が例示される。
ガラス組成の例を以下に示す。
<ガラス組成例>
SiO2 0.5mol%以上5mol%以下
Al2O3 3mol%以上12mol%以下
B2O3 21mol%以上25mol%以下
Li2O 8mol%以上14mol%以下
K2O 2mol%以上6mol%以下
Na2O 20mol%以上29mol%以下
P2O5 21mol%以上35mol%以下
具体的なガラス組成例
SiO2 1mol%
Al2O3 10mol%
B2O3 23mol%
Li2O 12mol%
K2O 4mol%
Na2O 27mol%
P2O5 23mol%
<ガラス組成例>
SiO2 40mol%以上46mol%以下
Al2O3 0.5mol%以上5mol%以下
B2O3 0mol%以上5mol%以下
Li2O 7mol%以上13mol%以下
K2O 6mol%以上11mol%以下
Na2O 12mol%以上22mol%以下
P2O5 0.5mol%以上10mol%以下
ZnO 2mol%以上5mol%以下
V2O5 1mol%以上5mol%以下
TiO2 5mol%以上16mol%以下
具体的なガラス組成例
SiO2 44mol%
Al2O3 1mol%
B2O3 0mol%
Li2O 9mol%
K2O 9mol%
Na2O 15mol%
P2O5 1mol%
ZnO 4mol%
V2O5 3mol%
TiO2 14mol%
具体的なガラス組成例
SiO2 44mol%
Al2O3 1mol%
B2O3 1mol%
Li2O 9mol%
K2O 8mol%
Na2O 20mol%
P2O5 1mol%
ZnO 3mol%
V2O5 2mol%
TiO2 11mol%
【0012】
(3.2)平均粒子径
ガラス粉末の平均粒子径は、低温焼成時の黒色化を効果的に抑制する観点、又は低温焼成時の酸化剤の添加量をより少なくする観点から、0μmより大きく20μm以下であり、10μm以上20μm以下が好ましく、15μm以上20μm以下がより好ましい。この範囲内の平均粒子径であると、粒子径が細かく、低温焼成時に酸素欠陥がより増加すると推測され、黒色化し易く、酸化剤の添加量を増やす必要があるが、本開示では、酸化剤の添加量を少なくしても黒色化を効果的に抑制できる。
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定できる。「平均粒子径」は、50%平均粒子径(D50)を意味する。D50は、個数基準でのメジアン径であり、累積分布における50%の平均粒子径を意味する。
【0013】
(4)酸化剤
本開示では、ガラス粉末を、酸化剤の存在下で熔融させる。黒色化の原因は、微粉砕時に生じるガラス粉末中の酸素欠陥であると推測される。焼成時に酸化剤から酸素がガラスに供給されることで、酸素欠陥により生じる黒色化が抑制されると考えられる。
酸化剤は、特に限定されない。酸化剤は、焼成時の黒色化を効果的に抑制する観点から、過酸化水素水、硝酸、及び硝酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。硝酸塩としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムが例示される。
酸化剤は、ガラス熔融時の硝酸ガス発生による発泡を抑制する観点から、過酸化水素水であることが好ましい。
酸化剤が、過酸化水素水である場合、過酸化水素は、酸素欠陥により生じる黒色化の抑制効果を高める観点から、ガラス粉末1gあたり、0.5×10-6mol以上であることが好ましく、1.8×10-6mol以上であることがより好ましく、2.5×10-6mol以上であることが更に好ましい。過酸化水素の上限値は、特に限定されない。過酸化水素は、例えば、ガラス粉末1gあたり、15.0×10-6mol以下とすることができる。
酸化剤が、硝酸である場合、硝酸は、酸素欠陥により生じる黒色化の抑制効果を高める観点から、ガラス粉末1gあたり、0.8×10-6mol以上であることが好ましく、1.0×10-6mol以上であることがより好ましく、2.0×10-6mol以上であることが更に好ましい。硝酸の上限値は、特に限定されない。硝酸は、釉層3の発泡を抑制するために、例えば、ガラス粉末1gあたり、6.0×10-6mol以下であることが好ましく、5.0×10-6mol以下であることがより好ましく、4.0×10-6mol以下であることが更に好ましい。
酸化剤が、硝酸塩である場合、硝酸塩は、酸素欠陥により生じる黒色化の抑制効果を高める観点から、ガラス粉末1gあたり、0.8×10-6mol以上であることが好ましく、1.0×10-6mol以上であることがより好ましく、2.0×10-6mol以上であることが更に好ましい。硝酸塩の上限値は、特に限定されない。硝酸塩は、釉層3の発泡を抑制するために、例えば、ガラス粉末1gあたり、6.0×10-6mol以下であることが好ましく、5.0×10-6mol以下であることがより好ましく、4.0×10-6mol以下であることが更に好ましい。
【0014】
2.本開示の製造方法の効果
本開示の製造方法では、平均粒子径が0μmより大きく20μm以下のガラス粉末を用いて、低温で熔融させても黒色化が抑制された釉層を形成できる。
酸化剤として、過酸化水素水、硝酸、及び硝酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いると、黒色化の抑制効果が良好である。
酸化剤として、過酸化水素水を用い、過酸化水素を、ガラス粉末1gあたり、0.5×10-6mol以上15.0×10-6mol以下とすると、気泡がよく抑制され、黒色化も良好に抑制される。
【実施例0015】
以下、実施例によって詳細に説明する。
【0016】
1.実験
(1)比較例1
下記組成に調整したリン酸塩系ガラスを、1100℃で1hr溶融後、流しだし急冷することでガラスを作製した。作製したガラスはアルミナ乳鉢で粉砕した。ガラス粉末の平均粒子径は、100μmであった。平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定器(日機装(株)製、「MT3000II(型番)」)を用いて測定した。得られたガラス粉末1gに対して、水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布して、110℃で30min乾燥させた。
その後、600℃で2hr焼成し、アルミナ板からガラスを剥がし研磨を施した。研磨したガラスのスキャン画像から輝度値(明るさを表す指標)を算出し、黒化度合いを評価した。輝度値は、約1mmの厚みに研磨した試料をスキャナでスキャンした画像で求めた。試料を載せずにスキャンした際の輝度値を255とした。
輝度値の読み取りには、下記URLのImageJ というパブリックドメインのソフトを用い、手動で4mm角程度の大きさを指定し、その部分の輝度値の平均を求めた。
http://scienceandtechnology.jp/archives/25990#Image_J-4
<ガラス組成>
SiO2 1mol%
Al2O3 10mol%
B2O3 23mol%
Li2O 12mol%
K2O 4mol%
Na2O 27mol%
P2O5 23mol%
【0017】
(2)比較例2
ガラス粉末の平均粒子径を50μmとした以外は、比較例1と同様にして実験した。
【0018】
(3)比較例3
ガラス粉末の平均粒子径を18μmとした以外は、比較例1と同様にして実験した。
【0019】
(4)実施例1
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、0.8×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0020】
(5)実施例2
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、1.5×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0021】
(6)実施例3
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、2×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0022】
(7)実施例4
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、2.9×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0023】
(8)実施例5
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、5×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0024】
(9)実施例6
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、6×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0025】
(10)実施例7
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、10×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0026】
(11)実施例8
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、12×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0027】
(12)実施例9
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、過酸化水素水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
過酸化水素水には、過酸化水素をガラス粉末1gあたり、14.5×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0028】
(13)実施例10
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、硝酸を1.3×10-6molの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0029】
(14)実施例11
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、硝酸を3.9×10-6molの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0030】
(15)実施例12
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、硝酸ナトリウム水溶液を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
硝酸ナトリウム水溶液には、硝酸ナトリウムをガラス粉末1gあたり、3.8×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0031】
(16)比較例4
ガラス粉末の平均粒子径は18μmとした。
ガラス粉末1gに対して、アンモニア水を0.300mL/gの比率で混合しスラリー状とし、アルミナ板に塗布し乾燥させた。
アンモニア水には、アンモニアをガラス粉末1gあたり、3.8×10-6molの割合で含ませた。
それ以外の点は、比較例1と同様にして実験した。
【0032】
【0033】
2.結果
結果を表1に併記する。
ガラス粉末の平均粒子径が100μm、50μmと大きい比較例1,2の場合には、酸化剤を添加しなくても、輝度値は高く、透明の熔融状態であった。
ガラス粉末の平均粒子径が18μmと小さい比較例3の場合には、酸化剤を添加しないと、輝度値は低く、黒色の熔融状態であった。
ガラス粉末の平均粒子径が18μmと小さい実施例1-12の場合には、酸化剤を添加することで、比較例3よりも輝度値は高く、黒色化が抑制できた。
ガラス粉末の平均粒子径が18μmと小さい比較例4の場合には、還元剤を添加しても、比較例3よりも輝度値は低く、黒色の熔融状態であった。
図2に過酸化水素の添加量と輝度値の関係を示す。
図1の過酸化水素の添加量は、ガラス粉末1gあたりの添加量である。このグラフから、過酸化水素の添加量は、ガラス粉末1gあたり、0.5×10
-6mol以上15.0×10
-6mol以下であることが好ましく、1.8×10
-6mol以上15.0×10
-6mol以下であることがより好ましく、2.5×10
-6mol以上15.0×10
-6mol以下であることが更に好ましいことが確認できる。