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特開2024-35282シミュレーションシステム、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035282
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】シミュレーションシステム、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240307BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20240307BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20240307BHJP
   G06F 111/04 20200101ALN20240307BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/12
G06F30/20
G06F111:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139644
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】原 英文
(72)【発明者】
【氏名】上垣 秀人
(72)【発明者】
【氏名】安田 晃洋
(72)【発明者】
【氏名】法身 裕治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 直生
(72)【発明者】
【氏名】入江 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】中野 達也
(72)【発明者】
【氏名】垰田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】浅井 久志
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 裕季
(72)【発明者】
【氏名】堀江 聡雅
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC04
5B146DC05
5B146DG01
5B146DG07
5B146DJ11
5B146DJ15
5B146EA08
5B146EA15
5B146EC01
5B146EC08
5B146EC09
5B146FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アクセスしやすく経験に依存しないで梁構造の最適な分割パターンを決定しやすいシミュレーションシステム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】シミュレーションシステムにおいて、情報端末装置Cは、建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶する記憶部、これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成する生成部、少なくとも梁構造を建築物の階数毎に搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する分割条件に関する情報を設定する第1設定部と、梁部材の断面に関する情報を設定する第2設定部、階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理する第1表示処理部、前記モデルから分割条件及び断面の適用対象をX―Y座標で特定する特定部、適用対象の分割パターンを導出する導出部、分割パターンを表示処理する第2表示処理部及び分割結果のうち最適な分割結果を決定する決定部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶する記憶部と、
これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成する生成部と、
前記梁構造を搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する前記梁構造の分割条件に関する情報を設定する第1設定部と、
前記梁構造の断面に関する情報を設定する第2設定部と、
建築物の階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理する第1表示処理部と、
前記モデルから前記分割条件及び前記断面の適用対象をX―Y座標で特定する特定部と、
前記適用対象の分割パターンを導出する導出部と、
前記分割パターンを表示処理する第2表示処理部と、
前記分割パターンのうち最適な分割パターンを決定する決定部と
を備えたことを特徴とするシミュレーションシステム。
【請求項2】
第1設定部は、前記梁構造に含まれる継手の長さ、前記梁構造を長手方向に2つ以上に分割する位置、前記梁部材の最大長、前記梁部材の最大幅、前記梁部材の最大重量、前記梁構造のコンクリート強度又は密度、前記梁構造に関連する柱構造のコンクリート強度又は密度のいずれか1つ又は2つ以上を前記分割条件に関する情報として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項3】
第2設定部は、スラブ厚、前記適用対象における建築物の階数、前記梁構造の断面形状、前記柱構造を構成する柱部材を座標とするX-Y座標のY軸方向におけるX座標間の前記断面タイプ、前記X-Y座標のX軸方向におけるY座標間の前記断面タイプのいずれか1つ又は2つ以上を前記断面に関する情報として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項4】
第1表示処理部は、前記柱構造を構成する柱部材を座標として二次元化した前記モデルを表示し、表示された前記モデルから前記適用対象を選択可能にする
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項5】
特定部は、前記適用対象が選択された場合、同じ座標軸上の前記モデルを前記適用対象として選択し、選択された前記モデルを適用対象として特定する
ことを特徴とする請求項4に記載のシミュレーションシステム。
【請求項6】
特定部は、前記適用対象が選択された場合、同じ座標軸上の前記モデルを前記適用対象として選択し、決定部により最適な分割パターンが決定済みのモデルと交わらないように選択した前記モデルを前記適用対象として特定する
ことを特徴とする請求項5に記載のシミュレーションシステム。
【請求項7】
梁部材は、前記柱構造を構成する柱部材同士の間に位置する単一の柱間梁部、前記柱部材の一部に充当される柱梁接合部とこの柱梁接合部の両方の外側面と連結する柱間梁部の各々とで形成される第1梁部材、一対の前記柱梁接合部及びこの各々が向き合う側面と連結する柱間梁部で形成される第2梁部材のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせで構成され、隣接する柱間梁部同士の連結又は柱間梁部と柱梁接合部との連結が生じた場合に用いられる継手を含み、
導出部は、単一の柱間梁部の数、第1梁部材の数、第2梁部材の数、柱間梁部・第1梁部材・第2梁部材の合計数、継手の数、梁部材の最大重量、梁部材の最大長のいずれか1つ又は2つ以上を前記分割パターンに関する情報として導出する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項8】
第2表示処理部は、前記適用対象を特定するX-Y座標毎かつ分割パターン毎に前記分割パターンに関する情報を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項9】
第2表示処理部は、前記分割パターンに関する情報を前記適用対象に相当する前記モデルに付与してX―Y座標上に表示する
ことを特徴とする請求項7に記載のシミュレーションシステム。
【請求項10】
前記柱構造を構成する柱部材に関する情報を設定する第3設定部をさらに備え、
第3設定部は、前記柱部材が建築現場で打設されるコンクリート造である場合、前記継手が前記柱部材に内蔵されているか否か、内蔵されている場合はX-Y座標で示される四方向のいずれに向いているかを設定し、
特定部は、前記適用対象が選択された場合、前記柱部材に相当するモデルと交わらないように選択した前記モデルを前記適用対象として特定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項11】
決定部により決定された最適な分割パターンに関する情報に基づいて前記モデルの分割パターンに関する情報を編集する編集部をさらに備え、
編集部は、編集した前記モデルの分割パターンに関する情報に基づいて前記階数毎に最適な分割パターンに関する情報を集計する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項12】
建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶し、
これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成し、
前記梁構造を搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する前記梁構造の分割条件に関する情報を設定し、
前記梁構造の断面に関する情報を設定し、
建築物の階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理し、
前記モデルから前記分割条件及び前記断面の適用対象をX―Y座標で特定し、
前記適用対象の分割パターンを導出し、
前記分割パターンを表示処理し、
前記分割パターンのうち最適な分割パターンを決定する
処理をコンピュータに実行させるシミュレーションプログラム。
【請求項13】
建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶し、
これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成する
処理をコンピュータに実行させるプログラムの機能を拡張するシミュレーションプログラムであって、
前記梁構造を搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する前記梁構造の分割条件に関する情報を設定し、
前記梁構造の断面に関する情報を設定し、
建築物の階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理し、
前記モデルから前記分割条件及び前記断面の適用対象をX―Y座標で特定し、
前記適用対象の分割パターンを導出し、
前記分割パターンを表示処理し、
前記分割パターンのうち最適な分割パターンを決定する
処理をコンピュータに実行させるシミュレーションプログラム。
【請求項14】
建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶する記憶ステップと、
これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成する生成ステップと、
前記梁構造を搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する前記梁構造の分割条件に関する情報を設定する第1設定ステップと、
前記梁構造の断面に関する情報を設定する第2設定ステップと、
前記階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理する第1表示処理ステップと、
前記モデルから前記分割条件及び前記断面の適用対象をX―Y座標で特定する特定ステップと、
前記適用対象の分割パターンを導出する導出ステップと、
前記分割パターンを表示処理する第2表示処理ステップと、
前記分割パターンのうち最適な分割パターンを決定する決定ステップと
を含むことを特徴とするシミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物を構成する梁構造の分割パターンのシミュレーションシステム、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物を構成する柱構造や梁構造は、建築現場で打設されるコンクリート造(以下「在来式」ともいう。)や所定の工場で製造されてから建築現場に搬送されるプレキャストコンクリート造(以下「PCa式」ともいう。)であり、建築物の仕様や施工計画に応じて在来式かPCa式か選択され、また併用されることもあり、例えば、在来式の柱とPCa式の梁、PCa式の柱とPCa式の梁、といった組み合わせもある。
【0003】
PCa式は在来式と比べて工期を短縮できることから、近年にはPCa式の採用率が高まっているものの、上記梁構造を個々のPCa式の梁部材に最適に分割するには熟練者の経験値に基づく割付作業が避けられず、その分の工数によって工期が遅れたり熟練者以外の人材育成が間に合わなかったりして、将来的に建築物の建設数の増加に対応できなくなるおそれがあることから、上記割付作業以外の分割パターンの検討が求められていた。
【0004】
例えば、非特許文献1は、Autodesk社製のRevit(登録商標)で設計したBIM(Building Information Modeling)モデルを活用した梁構造の分割に関し、柱と梁との接合部分を柱と梁から分割するために、上記モデルから上記接合部の位置を自動識別し、予め用意した3種類の接合部のオブジェクトを配置することで、上記モデルの柱や梁を自動切断することについて記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】朱正路、志手一哉、牧野能久著 「BIMによる構工法計画に関する研究」 2017年日本建築学会関東支部研究報告集2 2018年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1の開示内容は、実用化レベルに至っておらず、上記梁構造の分割パターンを検討しにくいばかりでなく、上記接合部のオブジェクトを適用できないモデルに非特許文献1を採用しにくい。すなわち、上記梁構造の最適な分割パターンの導出には、熟練者の経験に依存することなく、従来の割付作業と比べて上達するまでに時間を要さない実用的なシステム化が必要である。
【0007】
また、BIMモデルを本発明の技術分野に活用するには、RevitのようなBIMモデルの生成ツールと同程度にユーザーフレンドリーなツールであることが望まれる。すなわち、上記生成ツールと比べて視認性や操作性が低いと、従来の割付作業の代替案にはなりにくくことから、上記分割パターンの決定までスムーズでありストレスを感じにくくすることが必要である。
【0008】
また、上記分割パターンの決定には、例えば、建築物の仕様、管理会社の事情、施工業者の希望といった条件設定や検討が厳密には必要であり、理論的に導出した分割パターンが最適とは言えないおそれがある。すなわち、上記条件設定や検討をしやすくするためには、分割パターンを豊富に提供し、これを柔軟に追加したり変更したりして、決定の精度を高めることが必要である。
【0009】
そこで、本発明の第1の目的は、アクセスしやすく本発明の技術分野の経験に依存しないで梁構造の最適な分割パターンを決定しやすいシミュレーションシステム、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、所定のモデル生成ツールに劣らない視認性及び操作性を備えていて梁構造の最適な分割パターンを導出しやすいシミュレーションシステム、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第3の目的は、建築物の施工に関わるユーザーの意向を漏れなく反映して梁構造の最適な分割パターンを検討しやすいシミュレーションシステム、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明におけるシミュレーションシステムは、建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶する記憶部と、これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成する生成部と、前記梁構造を搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する前記梁構造の分割条件に関する情報を設定する第1設定部と、前記梁部材の断面に関する情報を設定する第2設定部と、前記階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理する第1表示処理部と、前記モデルから前記分割条件及び前記断面の適用対象をX―Y座標で特定する特定部と、前記適用対象の分割パターンを導出する導出部と、前記分割パターンを表示処理する第2表示処理部と、前記分割結果のうち最適な分割結果を決定する決定部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
第1設定部は、前記梁構造に含まれる継手の長さ、前記梁構造を長手方向に2つ以上に分割する位置、前記梁部材の最大長、前記梁部材の最大幅、前記梁部材の最大重量、前記梁構造のコンクリート強度又は密度、前記梁構造に関連する柱構造のコンクリート強度又は密度のいずれか1つ又は2つ以上を前記分割条件に関する情報として設定することが望ましい。
【0014】
第2設定部は、スラブ厚、前記適用対象における建築物の階数、前記梁構造の断面形状、前記柱構造を構成する柱部材を座標とするX-Y座標のY軸方向におけるX座標間の前記断面形状、前記X-Y座標のX軸方向におけるY座標間の前記断面形状のいずれか1つ又は2つ以上を前記断面に関する情報として設定することが望ましい。
【0015】
第1表示処理部は、前記柱構造を構成する柱部材を座標として二次元化した前記モデルを表示し、表示された前記モデルから前記適用対象を選択可能にすることが望ましい。
【0016】
特定部は、前記適用対象が選択された場合、同じ座標軸上の前記モデルを適用対象として選択し、選択された前記モデルを前記適用対象として特定することが望ましい。
【0017】
特定部は、前記適用対象が選択された場合、同じ座標軸上の前記モデルを前記適用対象として選択し、決定部により最適な分割パターンが決定済みのモデルと交わらないように選択した前記モデルを前記適用対象として特定することが望ましい。
【0018】
梁部材は、前記柱構造を構成する柱部材同士の間に位置する単一の柱間梁部、前記柱構造を構成する柱部材の一部に充当される柱梁接合部とこの柱梁接合部の両方の外側面と連結する柱間梁部の各々とで形成される第1梁部材、一対の前記柱梁接合部及びこの各々が向き合う側面と連結する柱間梁部で形成される第2梁部材のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせで構成され、隣接する柱間梁部同士の連結又は柱間梁部と柱梁接合部との連結が生じた場合に用いられる継手を含み、導出部は、単一の柱間梁部の数、第1梁部材の数、第2梁部材の数、柱間梁部・第1梁部材・第2梁部材の合計数、継手の数、前記梁部材の最大重量、前記梁部材の最大長のいずれか1つ又は2つ以上を前記分割パターンに関する情報として導出することが望ましい。
【0019】
第2表示処理部は、前記適用対象を特定するX-Y座標毎かつ分割パターン毎に前記分割結果に関する情報を表示することが望ましい。
【0020】
第2表示処理部は、前記分割パターンに関する情報を前記適用対象に相当する前記モデルに付与してX―Y座標上に表示することが望ましい。
【0021】
本発明におけるシミュレーションシステムは、前記柱構造を構成する柱部材に関する情報を設定する第3設定部をさらに備え、第3設定部は、前記柱部材が建築現場で打設されるコンクリート造である場合、前記継手が前記柱部材に内蔵されているか否か、内蔵されている場合はX-Y座標で示される四方向のいずれに向いているかを設定し、特定部は、前記適用対象が選択された場合、前記柱部材に相当するモデルと交わらないように選択した前記モデルを前記適用対象として特定することが望ましい。
【0022】
本発明におけるシミュレーションシステムは、決定部により決定された最適な分割パターンに関する情報に基づいて前記モデルの分割パターンに関する情報を編集する編集部をさらに備え、編集部は、編集した前記モデルの分割パターンに関する情報に基づいて前記階数毎に最適な分割パターンに関する情報を集計することが望ましい。
【0023】
また、本発明におけるシミュレーションプログラムは、建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶し、これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成し、前記梁構造を搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する前記梁構造の分割条件に関する情報を設定し、前記梁部材の断面に関する情報を設定し、前記階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理し、前記モデルから前記分割条件及び前記断面の適用対象をX―Y座標で特定し、前記適用対象の分割パターンを導出し、前記分割パターンを表示処理し、前記分割パターンのうち最適な分割パターンを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶し、これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成する処理をコンピュータに実行させるプログラムの機能を拡張するシミュレーションプログラムであって、前記梁構造を搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する前記梁構造の分割条件に関する情報を設定し、前記梁部材の断面に関する情報を設定し、前記階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理し、前記モデルから前記分割条件及び前記断面の適用対象をX―Y座標で特定し、前記適用対象の分割パターンを導出し、前記分割パターンを表示処理し、前記分割パターンのうち最適な分割パターンを決定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0025】
また、本発明におけるシミュレーション方法は、建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶する記憶ステップと、これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルを生成する生成ステップと、少なくとも前記梁構造を建築物の階数毎に搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する分割条件に関する情報を設定する第1設定ステップと、前記梁部材の断面に関する情報を設定する第2設定ステップと、前記階数毎に前記モデルをX―Y座標で表示処理する第1表示処理ステップと、前記モデルから前記分割条件及び前記断面の適用対象をX―Y座標で特定する特定ステップと、前記適用対象の分割パターンを導出する導出ステップと、前記分割パターンを表示処理する第2表示処理ステップと、前記分割パターンのうち最適な分割パターンを決定する決定ステップとを含むことを特徴とする。
【0026】
「建築物の柱に関する情報」とは、柱のサイズ・素材・形状等であり、建築物を構成する柱構造の設計・施工・管理等に必要な情報の全てを意味する。「建築物の梁に関する情報」とは、梁のサイズ・素材・形状等であり、建築物を構成する梁構造の設計・施工・管理等に必要な情報の全てを意味する。「建築物を構成する柱構造」とは、建築物の階毎の柱の全部又は所定範囲内の集合体を意味し、換言すると、1本1本の柱部材の集合体であり、PCa式であるが、部分的に在来式を含んでもよい。「建築物を構成する梁構造」とは、建築物の階毎の梁の全部又は所定範囲内の集合体を意味し、PCa式であるが、部分的に在来式を含んでもよい。「モデル」とは、好ましくはBIMモデルだが、3次元CADで生成したモデルでも、2次元CADで生成したモデルでもよい。「搬送可能」とは、トラック等の輸送手段により搬送できることを意味する。「梁部材」とは、「梁構造」が分割された後の状態のものを意味する。「適用対象」とは、「モデル」を階数毎に2次元化した2次元モデルのうち設定した分割条件に関する情報及び断面に関する情報を付与して分割されるモデルを意味する。「分割パターン」とは、梁構造の分割条件に関する情報及び断面に関する情報を満たして「適用対象」が分割された状態の候補を意味する。「最適な分割パターン」とは、「分割パターン」のうち設定された優先順位や可視化された図表等に基づいて選ばれた1つ又は所定の条件を満たして最適候補となり得る2つ以上の分割パターンを意味する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、アクセスしやすく本発明の技術分野の経験に依存しないで梁構造の最適な分割パターンを決定しやすく、また、所定のモデル生成ツールに劣らない視認性及び操作性を備えていて梁構造の最適な分割パターンを導出しやすく、また、建築物の施工に関わるユーザーの意向を漏れなく反映して梁構造の最適な分割パターンを検討しやすい効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本発明の一実施形態におけるシミュレーションシステムの対象となる建築物の柱構造及び梁構造の簡略図である。
図1B】上記建築物の柱構造及び梁構造の概念図である。
図2】上記シミュレーションシステムの構成図である。
図3】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図4】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図5】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図6A】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図6B】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図6C】上記シミュレーションシステムの一機能を説明する概念図である。
図7】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図8A】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図8B】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図9】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図10】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図11】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図12】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図13】上記シミュレーションシステムの動作に伴う操作画面の一例である。
図14】上記シミュレーションシステムの動作の流れを示す図である。
図15】上記シミュレーションシステムの一機能を説明する概念図である。
図16】上記シミュレーションシステムの動作の流れを示す図である。
図17】上記シミュレーションシステムの動作の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1図17を参照しつつ、本発明の一実施形態におけるシミュレーションシステム(以下「本シミュレーションシステム」ともいう。)について説明する。
【0030】
<本シミュレーションシステムの概要>
本シミュレーションシステムは、建築物の各階を構成する柱構造及び梁構造を形成する個々のプレキャストコンクリート製の梁部材を生産工場から建築物の建設現場に最も効率良く搬送するために、上記柱構造及び上記梁構造の長さや強度や形状といった仕様ばかりでなく、建築物の関係者の事情や都合に鑑みて、上記柱構造の一部を含むか否かに関わらず、上記梁構造の分割パターンを全て洗い出し、最適な分割パターンを決定するものである。
【0031】
本シミュレーションシステムが用いられる建築物は、例えば、集合住宅、戸建住宅、仮設住宅、学校、病院、高齢者施設、障害者施設、各種商業施設であり、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造であり、柱、梁、壁、床、天井等の構造部分と、建具、配線・配管、設備等の非構造部分とを備えており、敷地面積、階数といったサイズ及び立地の場所、条件を限定しない。「建築物」が集合住宅の場合、部屋数、サイズ、構造、間取り、施工方法といった本発明が実施される集合住宅内の各居室の仕様は限定されない。
【0032】
上記建築物を構成する柱構造及び梁構造は、在来式やPCa式であり、建築物の仕様や施工計画に応じて選択されてよく、いずれも混在してよいが、工期の短縮にとって好ましくはPCa式であり、例えば、在来式の柱とPCa式の梁、PCa式の柱とPCa式の梁、といった組み合わせでもよい。
【0033】
上記柱構造は垂直方向に複数設けられた柱部材で構成され、上記梁構造は上記柱構造に対して水平方向に複数設けられた梁部材で構成され、上記柱構造及び上記梁構造は建築物の階毎に構築される。柱構造を構成する個々の柱部材と梁構造を構成する個々の梁部材とは、柱部材の端部から上側に突出する鉄筋と梁部材の端部から外側に突出する鉄筋とを機械式継手を介して連結したり、柱部材の表面から内側に形成された細長い穴に梁部材の端部から外側に突出する鉄筋を挿し込んで連結されたり、梁部材の端部の表面から内側に形成された細長い穴に柱部材の端部から外側に突出する鉄筋を挿し込んで連結されたりしてよく、建築物の仕様や施工計画に応じて選択されてよい。梁部材と梁部材とは、互いに向き合う端部から突出する鉄筋同士を機械式継手で連結されてもよい。
【0034】
例えば、図1A及び図1Bに示すように、PCa式の梁構造Bは、柱構造Pを構築する垂直方向の柱部材P1の各々に対して水平方向に設けられる略直方体状の梁部材B1を複数備える。梁部材B1は、柱部材P1、P1の間に位置する単一の柱間梁部B2(以下「単梁B2」ともいう。)、柱部材P1の一部に充当される柱梁接合部B3及びこの両側面と連結する柱間梁部B2、B2で形成される第1梁部材B1a(以下「1レンコンB1a」ともいう。)、一対の柱梁接合部B3、B3及びこの各々が向き合う側面と連結する柱間梁部B2で形成される第2梁部材B1b(以下「2レンコンB1b」ともいう。)のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせで構成されてもよく、隣接する柱間梁部B2同士の連結又は柱間梁部B2と柱梁接合部B3との連結が生じた場合に用いられる継手Jを含んでもよい。
【0035】
すなわち、本シミュレーションシステムは、梁部材B1の構成パターン、継手の有無、継手の長さ(梁部材B1の端部からの突出量)、梁部材B1の長さ・強度・形状を含む仕様、在来式の有無、その他建築物を構成する柱及び梁に関する情報の全てを踏まえ、複数のプレキャストコンクリート製の梁部材B1で構成される梁構造Bにおける最適な分割パターンをシミュレートするものである。
【0036】
<本シミュレーションシステムを構成する基本的なハードウェア・ソフトウェア>
本シミュレーションシステムは、コンピュータ又は2つ以上のコンピュータで構成されたコンピュータシステムであって、電子情報{例えばOS(Operating System)・ミドルウェア・ファームウェア・アプリケーションといったソフトウェア・これらを実行するプログラム・その他文字・静止画像・動画像・音}を演算処理したり各ハードウェアに命令処理したりするCPU(Central Processing Unit)を含むマイクロプロセッサ、電子情報を記憶するハードディスクやSSDといった補助記憶装置(ストレージ)や読み出し専用のROM(Read Only Memory)、CPUによる制御に伴い一時的に上記電子情報を記憶するRAM(Random Access Memory)といった主記憶装置、RFチップ・ベースバンドチップ・その他通信モジュールといった通信機器、キーボード・マウス・タッチパネル・マイク・カメラ・ボイスレコーダー・センサ等の入力機器、ディスプレイ・スクリーン・プリンタ・スピーカ・ヘッドホン等の出力機器、バッテリー等の電源機器、モーター等の稼働機器といったハードウェアを適宜組み合わせて形成されてもよく、ハードウェアの各々はバスやUSB等の入出力インタフェースを介して相互に接続されてもよい。
【0037】
コンピュータは、例えばサーバ装置や、パーソナルコンピュータ・スマートフォン・タブレットといった情報処理端末である。コンピュータが搭載するハードウェアやソフトウェアの種類・数・サイズは、用途やスペックに応じて適宜決定してもよく、量子コンピュータとして構成されてもよい。2つ以上のコンピュータの各々は、入出力インタフェース又は通信機器から通信ネットワークを介して相互に接続されるが、これ以外の方式で接続されてもよい。通信ネットワークは、例えば、インターネット・イントラネット・エキストラネット・LAN・CATV通信網・VPN・電話回線・移動体通信網・衛星通信網である。通信ネットワークを構成する伝送媒体は、IEEE1394・電力線搬送・電話線等の有線やIrDA、ブルートゥース(登録商標)・IEEE802.11(wifi等)・携帯電話網・衛星回線・地上波デジタル網等の無線でもよい。コンピュータの各々は、通信機器から通信ネットワークを介して電子情報を相互に送受信してもよい。
【0038】
図2に示すように、本シミュレーションシステムは、サーバ装置Sと、情報処理端末Cとで構成されており、サーバ装置Sと情報処理端末Cとは通信ネットワークNを介して通信し合っている。サーバ装置Sがあると複数の情報処理端末Cがサーバ装置Cにアクセスして所定の電子情報の取得・閲覧・更新・実行といった処理を行えるが、サーバ装置Sがなくても情報端末装置Cをスタンドアロンとして上記処理を行ってよい。
【0039】
サーバ装置Sは、マイクロプロセッサに相当する付番しない制御部と、補助記憶装置に相当する記憶部SRと、電子情報を情報処理端末Cに送信したり情報処理端末Cから受信したりする通信機器に相当する付番しない通信部とを備えおり、これら以外にも出力機器に相当する出力部や入力機器に相当する入力部や情報処理に必要な各種ハードウェアを備えていてもよい。本発明においてサーバ装置Sはいわゆるファイルサーバとしての役割を担うが、ウェブサーバ・アプリケーションサーバ・データベースサーバにより構成されるウェブアプリケーションサーバとしての役割を担ってもよい。サーバ装置Sは、電子情報を取り扱う公知のコンピュータに備わる部品や機能を全て備えてもよい。
【0040】
情報処理端末Cは、マイクロプロセッサに相当する制御部C1と、補助記憶装置に相当する記憶部C2と、電子情報をサーバ装置Sに送信したりサーバ装置Sから受信したりする通信機器に相当する付番しない通信部と、出力機器に相当する付番しない出力部と、入力機器に相当する付番しない入力部とを備えおり、これら以外にも情報処理に必要な各種ハードウェアを備えていてもよい。本発明において情報端末装置Cは、制御部C1で制御されるインストール済みのアプリケーションを介して記憶部C2やサーバ装置Sの記憶部SRにアクセスして所定の電子情報の取得・閲覧・更新・実行といった処理を行う。情報処理端末Cは、電子情報を取り扱う公知のコンピュータに備わる部品や機能を全て備えてもよい。
【0041】
情報処理端末Cは、BIMによって記述するアプリケーション(以下「BIMアプリケーション」ともいう。)で建築物をモデル化する。BIMとは、要するにコンピュータの3次元空間上で建築物のBIMモデルを生成したり、BIMモデルを様々な面や視点で切り出して2次元の図面を生成したりすることを意味する。BIMモデルとは、建築物に関する形状情報に基づき3次元化されたモデル(以下「3次元モデル」ともいう。)に属性情報を付与したものを意味する。BIMモデルと形状情報と属性情報とはそれぞれ紐づいており、いずれかが変更されると他も変更されてよい。BIMアプリケーションは、例えば、Autodesk社製のRevit(登録商標)やGRARHISOFT社製のArchiCAD(登録商標)である。
【0042】
サーバ装置Sの記憶部SR及び/又は情報処理端末Cの記憶部C2は、建築物に関する形状情報として、例えば、柱、梁、壁、床、天井等の構造部分、建具、配線・配管、設備等の非構造部分といった建築物を構成する資材、部材、部品、製品を含む建築要素の形状に関する文字情報・数値情報・画像情報を含む電子情報を記憶し、建築物に関する属性情報として、例えば、名称、厚さ、長さ、高さ、表面積、体積、重さ、密度、強度、色、個数、製造元、型番、生産日、耐用年数といった建築要素の属性に関する文字情報・数値情報・画像情報を含む電子情報のいずれか1つ又は2つ以上を記憶している。建築物に関するこれらの電子情報は、例えば、柱に関する情報や梁に関する情報といった建築要素毎に関する情報として記憶されてもよい。
【0043】
すなわち、本シミュレーションシステムは、図1A図1B、及び図2に示すように、上記形状情報や上記属性情報を含む建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶する記憶部として機能するサーバ装置Sの記憶部SR及び/又は情報処理端末Cの記憶部C2と、これらの情報に基づき建築物を構成する柱構造P及び梁構造Bのモデルを生成する生成部1と、梁構造Bを搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材Bに分割する梁構造Bの分割条件に関する情報を設定する第1設定部2aと、梁構造Bの断面に関する情報を設定する第2設定部2bと、建築物の階数毎に上記モデルをX―Y座標上に表示処理する第1表示処理部3aと、上記モデルから上記分割条件及び上記断面の適用対象をX―Y座標で特定する特定部4と、上記適用対象の分割パターンを導出する導出部5と、上記分割パターンを表示処理する第2表示処理部3bと、上記分割結果のうち最適な分割パターンを決定する決定部6として少なくとも機能する情報処理端末Cの制御部C1を備えている。
【0044】
このような構成によれば、例えば記憶部C2が建築物のBIMモデルの生成用として少なくとも柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶し、これらの情報に基づいて生成部1が少なくとも建築物を構成する柱構造P及び梁構造BのBIMモデルを生成し、柱に関する情報及び梁に関する情報と紐付く上記BIMモデルに基づいて、第1設定部2aが梁構造Bからプレキャストコンクリート製の梁部材B1に分割する分割条件に関する情報、第2設定部2bが梁構造B1の断面に関する情報をそれぞれ設定し、第1表示処理部3aが所定の階に該当する上記BIMモデルを切り出した2次元モデルをX-Y座標上に表示処理し、特定部4が上記2次元モデルのうち分割条件及び断面の適用対象となるモデルをX-Y座標で特定でき、導出部5が上記モデルの分割パターンを所定の数値情報も含めて導出し、第2表示処理部3bが上記分割パターンをリストやモデルとして表示処理し、決定部6が上記リストやモデルとして表示された分割パターンに基づいて最適な分割パターンを決定することができるため、図1A図1Bに示すような実際の建築物を構成する梁構造Bを搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材B1にする分割パターンの全てを洗い出し、その中から最適な分割パターンをシミュレートしやすくなる効果を期待できる。
【0045】
本シミュレーションシステムのうち、建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶する記憶部は、サーバ装置Sの記憶部SRと情報処理端末Cの記憶部C2とのように物理的に2つ以上のハードウェアであっても、同じハードウェア内の別々の領域であってもよい。制御部C1は、生成部1、第1設定部2a、第2設定部2b、第1表示処理部3a、第2表示処理部3b、特定部4、導出部5、決定部6の他に、第3設定部2c、編集部7のような本発明を拡張する部位や、公知の情報処理を行う部位として機能するプログラムを搭載しているが、それぞれのプログラムを搭載している物理的に2つ以上のハードウェアであってもよい。
【0046】
以下、本シミュレーションシステムに備わる各部の詳細について、制御部C1からの命令処理に従い情報処理端末Cの出力部に表示されて入力部からユーザーに操作されたり、RPA(Robotic Process Automation)に操作されたりするアプリケーション(以下「本アプリケーション」ともいう。)の操作画面を参照しつつ説明する。本アプリケーションは、情報処理端末Cの記憶部C2に記憶されているが、サーバ装置Sの記憶部SRに記憶されていて情報処理端末C1を介して操作されてもよい。本アプリケーションは、BIMアプリケーションにアドインされてもよく、BIMアプリケーションとAPI(Application Programming Interface)を介して連携してもよい。図3は、本アプリケーションの操作画面G1であり、操作画面G1は制御部C1の処理に応じて表示内容を変更する表示領域G1aを含む。
【0047】
<記憶部SR、記憶部C2>
図2に示す記憶部SRと記憶部C2とは、少なくとも建築物に関する形状情報や建築物に関する属性情報・分割条件に関する情報・断面に関する情報・分割パターンに関する情報を記憶し、情報端末装置Cの制御部C1による取得・閲覧・更新・実行といった各種演算処理に用いられる。記憶部SRと記憶部C2とに記憶する情報の仕分は、本シミュレーションシステムの動作に本質的な影響を与えず、運用の都合であってもよい。
【0048】
<生成部1>
図2に示す生成部1は、記憶部SR及び/又は記憶部C2に記憶された建築物に関する形状情報及び属性情報に基づいて、BIMアプリケーションを介して建築物の3次元モデルを生成する。生成部1は、BIMアプリケーションの操作画面を介してユーザーからの入力に応じて動作する。生成部1により生成された3次元モデルは、記憶部C2に保存され、上記形状情報及び上記属性情報と紐付いており、上記形状情報及び上記属性情報の変更に連動して変更されてもよい。生成部1は、BIMアプリケーションで建築物を構成する柱構造及び梁構造のみの3次元モデルを生成してもよい。
【0049】
<第1設定部2a>
図2に示す第1設定部2aは、図3に示す操作画面G1に表示される設定ボタンG11のクリック操作により作動してもよい。図4は、第1設定部2aを動作させる操作画面G2であり、図3の表示領域G1aに表示されてもよい。第1設定部2aは、設定ボタンG11及び操作画面G2を介してユーザーからの入力に応じて動作するが、所定のプログラムにより任意のタイミングで自動的に動作してもよい。
【0050】
図1A図1B、及び図4に示すように、第1設定部2aは、分割条件に関する情報として、継手Jの長さの入力欄G21を介して柱部材P1側の長さ及び柱間梁部B2側の長さを設定する継手長設定機能と、隣り合う柱部材P1、P1間の中央で分割するか否かの選択(表示上は「スパン長中央での分割」)、柱部材P1から分割位置までの距離(表示は「柱面からの分割位置」)、及び柱部材P1、P1間の中央に位置する継手Jの長さを固定値とするか否かの選択(表示上は「中央継手長さ固定値適用」)の入力欄G22を介して梁構造B1の分割位置条件を設定する分割位置条件設定機能と、分割パターンに含まれる個々の梁部材1の最大長・最大幅・最大重量の入力欄G23を介して梁部材1のサイズの条件を設定する梁サイズ条件設定機能と、梁部材1のコンクリート密度の入力欄G24を介して梁部材1のコンクリート密度を設定する梁コンクリート密度設定機能と、柱部材P1のコンクリート密度の入力欄G25を介して梁部材1が連結する柱部材P1のコンクリート密度を設定する柱コンクリート密度設定機能と、上記各機能により設定された分割条件に関する情報のうち、例えば梁サイズ条件設定機能で設定された梁部材1のサイズ以上の分割パターンもシミュレーションする場合、梁部材1の最大長・最大重量の入力欄G26を介して上記情報の上限を超えるシミュレーションを行うように設定する条件超シミュレーション設定機能と、シミュレーションの最大算出パターン数の入力欄G27を介してシミュレーションの上記パターン数を設定するシミュレーション最大数設定機能とを発揮するように動作するが、このうち少なくとも梁サイズ条件設定機能を発揮すればよく、好ましくは継手長設定機能又は梁コンクリート密度設定機能も発揮するとよい。
【0051】
継手長設定機能は、柱部材P1側の長さが未入力又は柱間梁部B2側の長さより小さい場合、また、柱間梁部B2側の長さが未入力又はゼロ以下の場合、エラーとしてもよい。継手長設定機能は、梁部材1を分割する位置が柱部材P1、P1間の中央の場合、継手Jの柱側の長さを座標が小さい値側の長さ(Y軸方向であればX座標が小さい側の長さ)、継手Jの中央側の長さを座標が大きい側の長さ(Y軸方向であればX座標が大きい側の長さ)としてよい。
【0052】
分割位置条件設定機能は、柱部材P1からの分割位置の値が未入力又は継手長設定機能が設定した柱部材P1側の長さより小さい場合、エラーとしてもよい。分割位置条件設定機能は、隣り合う柱部材P1、P1間の中央で分割する選択をした場合に限り、柱部材P1、P1間の中央に位置する継手Jの長さを固定値とする選択をしてもよい。梁コンクリート密度設定機能及び柱コンクリート密度設定機能は、コンクリート強度を分割条件として設定してもよい。
【0053】
梁サイズ条件設定機能は、T字型や十字型として分割する場合の許容値として設定してもよい。
【0054】
設定された分割条件に関する情報は、付番しない設定保存ボタンを介して外部ファイルとして記憶されてよく、付番しない設定復元ボタンを介して上記外部ファイルを呼び出して復元されてよい。第1設定部2aの動作を終了させる場合、付番しないOKボタンのクリック操作により上記外部ファイルを記憶して画面を終了させ、付番しないキャンセルボタンのクリック操作により設定した上記分割条件に関する情報を破棄してもよい。
【0055】
<第2設定部2b>
図2に示す第2設定部2bは、図3に示す操作画面G1に表示される設定ボタンG11のクリック操作により作動してもよい。図5は、第2設定部2bを動作させる操作画面G3であり、図3の表示領域G1aに表示されてもよい。第2設定部2bは、設定ボタンG11及び操作画面G3を介してユーザーからの入力に応じて動作するが、所定のプログラムにより任意のタイミングで自動的に動作してもよい。第2設定部2bは、第1設定部2aと共に動作してもよい。
【0056】
第2設定部2bは、図1A図1B、及び図5に示すように、梁構造Bの断面に関する情報として、建築物の各階を構成する床等のスラブ厚の入力欄G31を介して上記スラブ厚を設定するスラブ厚設定機能と、建築物の3次元モデル又は建築物を構成する柱構造及び梁構造のモデルのうちシミュレーションを実行する階数のプルダウンメニュー欄G32を介して上記階数を設定するシミュレーション階数設定機能と、建築物のバルコニーや外廊下の種類に対応する梁構造Bの断面タイプの選択欄G33を介して梁構造Bの断面タイプを設定する断面タイプ設定機能と、柱部材P1を座標とするX-Y座標のY軸方向におけるX座標間で区切った断面タイプのリスト型設定欄G34を介して上記断面タイプを設定するY軸方向断面タイプ設定機能と、X軸方向におけるY座標間で区切った断面タイプのリスト型設定欄G35を介して上記断面タイプを設定するX軸方向断面タイプ設定機能とを発揮するように動作するが、このうち少なくとも断面タイプ設定機能を発揮すればよく、好ましくはシミュレーション階数設定機能も発揮するとよい。
【0057】
スラブ厚設定機能は、生成部1により生成された3次元モデルからスラブ厚を取得してもよい。
【0058】
シミュレーション階数設定機能は、例えば「3FSL」(3FSL:Three Flour Slab Level)を選択した場合、4FSLの床、梁、及び3FSLの柱を対象としてもよい(「SL」はスラブ天端、「FL」は仕上げ天端を意味する)。
【0059】
断面タイプ設定機能は、CSVファイルで記憶された断面タイプに関連付けた画像データを表示してよく、断面タイプの画像データ以外にテキストデータの選択により設定されてもよい。
【0060】
Y軸方向断面タイプ設定機能及びX軸方向断面タイプ設定機能は、記憶された断面タイプ情報ファイルと関連付けて各座標間(セル)の断面タイプをプルダウンメニューからの選択により設定してもよく、梁が存在しない座標間を非表示に(例えば「梁なし」と表示)してもよく、梁が存在する座標間で断面タイプを選択しない場合にエラー表示してもよく、上記セルの一括変更及び上記セルのコピーアンドペーストが可能であってもよい。
【0061】
Y軸方向断面タイプ設定機能及びX軸方向断面タイプ設定機能で設定された断面タイプに関する情報は、付番しない設定保存ボタンを介して階数毎に外部ファイルとして記憶されてよく、付番しない設定復元ボタンを介して上記外部ファイルを呼び出して復元されてよいが、記憶後に断面タイプや各座標間の梁の有無等の変更があった場合、復元時には上記外部ファイルのうち上記変更がない部分のみ復元してもよい。
【0062】
第2設定部2bの動作を終了させる場合、付番しないOKボタンのクリック操作により上記外部ファイルを記憶して画面を終了させ、付番しないキャンセルボタンのクリック操作により設定した上記分割条件に関する情報を破棄してもよい。
【0063】
<第1表示処理部3a・特定部4・導出部5>
図2に示す第1表示処理部3a・特定部4・導出部5は、図3に示す操作画面G1に表示されるシミュレーション実行ボタンG12のクリック操作により作動してもよい。図6A及び図6Bは、第1表示処理部3a及び特定部4を動作させる操作画面G4であり、図3の表示領域G1aに表示されてもよい。第1表示処理部3a・特定部4・導出部5は、シミュレーション実行ボタンG12及び操作画面G4を介してユーザーからの入力に応じて動作するが、所定のプログラムにより任意のタイミングで自動的に動作してもよい。図6Cは、特定部4の動作を説明する概念図である。
【0064】
第1表示処理部3aは、図1A図1B、及び図6Aに示すように、生成部1に生成された建築物の3次元モデルから第2設定部2b又はその他の手段で設定された3次元モデルの階数に該当する2次元モデルを天井伏図として柱部材B1が座標となるX-Y座標上に表示する天井伏図表示機能と、天井伏図表示機能に表示されたモデルから適用対象を選択可能に表示にする適用対象選択表示機能とを発揮するように動作する。
【0065】
天井伏図表示機能は、例えば、X軸の座標をCX1、CX2、CX3、・・・、Y軸の座標をCY1、CY2、CY3、・・・として2次元モデルを表示する。
【0066】
適用対象選択表示機能は、例えば、CY2におけるCX3に該当する柱部材P1とCX4に該当する柱部材P1との間にある柱間梁部B2に相当するモデルを適用対象として選択可能な状態にし、この状態であることを着色等で可視化してもよく、同じX軸(通り芯上)の他の柱間梁部B2に相当するモデルを適用対象として選択可能な状態にしてもよい。
【0067】
特定部4は、図1A図1B、及び図6Bに示すように、第1表示処理部3aの適用対象選択表示機能で選択可能に表示された柱間梁部B2に相当するモデルが選択されたことを検知して同じCY2におけるCX1に該当する柱部材P1からCX8に該当する柱部材P1の間(通り芯上)にある柱間梁部B2を含む梁構造に相当するモデルの全てを選択する適用対象選択機能と、柱間梁部B2を含む梁構造に相当するモデルの全てをシミュレーションの適用対象として特定する適用対象特定機能と、図6Cに示すように、決定部6により最適な分割パターンが決定済みのモデルと交わらないように分別して特定した選択したモデルを適用対象とする適用対象分別機能とを発揮するように動作する。
【0068】
適用対象選択機能は、柱間梁部B2が選択状態であることを着色等で可視化してもよい。適用対象特定機能は、柱間梁部B2を適用対象として特定するか否かの回答欄G41を介して適用対象を特定してもよい。
【0069】
適用対象分別機能は、適用対象として特定したモデルに直交する分割パターンが決定済みのモデルがあることを、双方のモデルに存在する同じ座標上の柱部材P1の有無により検知してもよく、例えば、決定済みのモデルが存在する場合、決定済みのモデルと特定した適用対象とに同じ座標の柱部材P1(図6Cに示す座標CX1・CY2、CX2・CY2、CX5・CY2、CX6・CY2の柱部材P1)を検知し、これらに挟まれる部分に相当するモデルを最終特定適用対象としてもよい。
【0070】
導出部5は、図1A及び図1Bに示すように、特定部4により最終特定適用対象が特定されたことを検知して、サーバ装置Sの記憶部SR及び/又は情報処理端末Cの記憶部C2に記憶された第1設定部2aで設定された分割条件に関する情報及び第2設定部2bで設定された断面に関する情報に基づき、梁部材B1を構成する単一の柱間梁部B2の数、第1梁部材B1aの数、第2梁部材B1bの数、単一の柱間梁部B2・第1梁部材B1a・第2梁部材B1bの合計数、継手Jの数、梁部材B1の最大重量、梁部材B1の最大長のいずれか1つ又は2つ以上を分割パターンに関する情報として導出する分割パターン導出機能と、分割パターン導出機能により導出された分割パターンに関する情報の各々に対して優先順位や重み付けを設定する分割パターン順位設定機能とを発揮するように動作する。
【0071】
分割パターン導出機能は、導出した分割パターンを柱に関する情報や梁に関する情報といった建築要素毎に関する情報と関連付けてサーバ装置Sの記憶部SR及び/又は情報処理端末Cの記憶部C2に記憶してよい。分割パターン導出機能は、第1設定部2aの条件超シミュレーション設定機能及びシミュレーション最大数設定機能により分割条件に関する情報が設定された場合、設定された上記情報に基づいて分割パターンを導出してもよい。
【0072】
分割パターン順位設定機能は、例えば、単一の柱間梁部B2・第1梁部材B1a・第2梁部材B1bの合計数、継手Jの数、第2梁部材B1bの数、第1梁部材B1aの数、単一の柱間梁部B2の数、梁部材B1の最大重量、梁部材B1の最大長の順番で優先順位を設定してもよく、また、単一の柱間梁部B2・第1梁部材B1a・第2梁部材B1bの合計数、継手Jの数、第2梁部材B1bの数、第1梁部材B1aの数、単一の柱間梁部B2の数が少ないほど高い優先順位を設定してもよく、すなわち、単一の柱間梁部B2・第1梁部材B1a・第2梁部材B1bの合計数が少ない順、継手Jの数が少ない順、第2梁部材B1bの数が少ない順、第1梁部材B1aの数が少ない順、単一の柱間梁部B2の数が少ない順に優先順位を設定してもよい。この機能により、優先順位が最も高い分割パターンが最適であると判断しやすくなり、また優先順位に基づけば分割パターンを再検討しやすくなる効果を期待できる。
【0073】
<第2表示処理部3b・決定部6>
図2に示す第2表示処理部3b及び決定部6は、図3に示す操作画面G1に表示される結果表示ボタンG13のクリック操作により作動してもよい。図7及び図8は、第2表示処理部3b及び決定部6を動作させる操作画面G5であり、図3の表示領域G1aに表示されてもよい。第2表示処理部3b及び決定部6は、結果表示ボタンG13及び操作画面G5を介してユーザーからの入力に応じて動作するが、所定のプログラムにより任意のタイミングで自動的に動作してもよい。
【0074】
図7に示すように、第2表示処理部3bは、導出部5により導出された分割パターンを適用する適用対象を特定するX-Y座標毎かつ組み合わせパターン毎に分割パターンに関する情報を表示する機能と、分割パターンに関する情報を適用対象に相当するモデルに付与してX-Y座標に表示する機能とを少なくとも発揮するように動作する。
【0075】
詳細には、第2表示処理部3bは、第2設定部2bのシミュレーション階数設定機能により設定された階数に関する情報に基づいて分割パターンが該当する階数を階数表示欄G51のように表示するシミュレーション階数表示機能と、導出部5の分割パターン導出機能により分割パターンが導出された軸(通り芯)毎にタブ表示欄G52のように表示するタブ表示機能と、最終特定適用対象毎に分割パターンを分割パターン表示欄G53のように表示する適用対象別分割パターン表示機能と、第1設定部2a及び第2設定部2bにより設定された各種条件に該当する分割パターンを通常パターン表示欄G54のように表示する通常パターン表示機能と、上記各種条件のうち第1設定部2aの条件超シミュレーション設定機能及びシミュレーション最大数設定機能により分割条件に関する情報が設定された場合に該当する分割パターンが上限を超えるパターン表示欄G55のように表示される上限パターン表示機能と、導出部5の分割パターン順位設定機能により設定された優先順位に基づき分割パターン導出機能により導出された分割パターンに関する情報毎をリスト表示欄G56のように表示する分割パターンリスト表示機能と、建築物の3次元モデルの所定階に該当する2次元モデルに導出部5の分割パターン導出機能が導出した分割パターンに関する情報として梁部材に関する情報に含まれる数値情報及び梁部材を構成する柱間梁部・第1梁部材・第2梁部材・継手毎に着色して塗り潰す着色情報を関連付けてビュー表示ボタンG57のクリック動作に連動して第1表示処理部3aの天井伏図表示機能で表示される2次元モデルに表示する分割パターンビュー表示機能と、第1表示処理部3aの天井伏図表示機能で表示される2次元モデルのうち上記色情報が付与された柱間梁部・第1梁部材・第2梁部材・継手に該当する各部分のそれぞれが隣接する境界に関する情報を記憶して所定のクリック動作で上記境界を移動させると共にこれに連動して上記各部分の着色情報の位置の変更(スライド移動)及び上記数値情報の変更を行う分割パターンビュー変更機能と、分割パターンビュー変更機能で変更された上記数値情報を再計算ボタンG59のクリック動作に連動して分割パターンに関する情報に反映する分割パターン再計算機能と、決定部6により最適な分割パターンとして決定された分割パターンに関する情報を表示する決定済み分割パターンビュー表示機能と、編集部7により編集された分割パターンに関する情報を表示する編集済み分割パターンビュー表示機能とを発揮するように動作する。
【0076】
分割パターンリスト表示機能は、導出部5の分割パターン順位設定機能により設定された分割パターンに関する情報の各々の優先順位(重み付け)に従って高順位の分割パターンに関する情報を分割パターン表示欄G53の左側かつ上側に表示してもよい。この機能により、最適な分割パターンを選択しやすく、また、優先順位に従って所望の分割パターンを任意かつ柔軟に選択しやすい効果を期待できる。
【0077】
分割パターンビュー表示機能は、図8Aに示すように、例えば、Y座標がCY2、X座標がCX2-CX5までの通常パターンのパターン1を表示する。パターン1は、1レンコンB1aが2本、継手が1つという組み合わせであり、1レンコンB1aの一方の長さが10650mm(このうち継手Jと重ならない部分が9925mm、重なる部分が725mm)及び重量が1000kg、もう一方の長さが12700mm(このうち継手Jと重ならない部分が11650mm、重なる部分が1050mm)及び重量が1200kg、継手Jの長さが1050mmである。分割パターンビュー表示機能は、パターン1の1レンコンB1a及び継手Jの数値情報並びに着色情報を2次元モデルに表示する。
【0078】
分割パターンビュー変更機能は、図8Bに示すように、図8Aに示す分割結果ビュー表示機能により表示された2次元モデルに対し、例えば、1レンコンB1aと継手Jとの境界に関する情報として該当する座標を記憶し、継手Jの長さを拘束したまま継手Jを左右に移動させると、上記座標と継手Jの長さとの関係が変化しないように、1レンコンB1aの色情報の位置の変更(スライド移動)及び上記数値情報の変更を行ってよく、例えば、継手Jの着色情報として塗り潰し領域を左方向にスライド移動したところ、1レンコンB1aの一方の長さが9650mm(このうち継手Jと重ならない部分が8925mm、重なる部分が725mm)及び重量が900kg、もう一方の長さが13700mm(このうち継手Jと重ならない部分が12650mm、重なる部分が1050mm)及び重量が1300kgに変更したが、継手Jの長さは1050mmのままであり、換言すると、着色情報として塗り潰し領域の幅を変更していない。分割パターンビュー変更機能は、分割パターン再計算機能により再計算できない変更を行った場合、その旨を文字情報で表示したり、上記数値情報の色を変えて表示したりしてもよい。分割パターンビュー変更機能により変更された上記数値情報は、図2に示す記憶部SR及び/又は記憶部C2に記憶された分割パターンに関する情報に反映されてもよい。
【0079】
分割パターン再計算機能は、例えば、上記数値情報が図2に示す第1設定部2aに設定された数値情報(例えば、継手Jの長さ、梁長、梁重量)と異なる場合、上記着色情報に基づく形状が長方形から変更された場合、上記着色情報同士が重なっている場合、上記着色情報同士の間に隙間がある場合、図8Aに示す継手Jが柱梁接合部B3と重なっている場合、再計算しなくてよい。
【0080】
図7に示すように、決定部6は、第2表示処理部3bの分割パターンリスト表示機能の実行により表示された分割パターンに関する情報のうち最上位に表示された分割パターンを最適な分割パターンとし、また、第2表示処理部3bの分割パターンビュー変更機能の実行の有無に関わらず、分割パターンビュー表示機能の実行により上記数値情報及び/又は上記着色情報が関連付いて表示された2次元モデルを最適な分割パターンとして最適パターン表示ボタンG58のクリック動作により決定する分割パターン決定機能を発揮するように動作する。
【0081】
<第3設定部2c>
図2に示す第3設定部2cは、生成部1で生成された3次元モデルに対して図1Aに示す柱構造Pを構成する柱部材P1に関する情報を設定する柱部材情報設定機能を発揮するように動作する。具体的には、第3設定部2cは、図9に示す付番しない柱部材情報設定ウィンドウでの設定操作により作動してもよい。第3設定部2cは、図1A及び図1Bに示すような上記3次元モデルに紐づく柱部材P1に関する情報として、柱部材P1を建築現場で打設されるコンクリート造とするか否かをチェックボックスのON-OFFにより設定し、上記チェックボックスをONに設定した場合、継手Jが柱部材P1内に内蔵されているタイプ(以下「仕口内継手」ともいう。)か否か、仕口内継手の場合にこれがX-Y座標で示される四方向(Xプラス方向、Xマイナス方向、Yプラス方向、Yマイナス方向)のいずれに向いているかを設定する。このような機能により、在来式の柱部材も加味して梁構造の分割パターンを検討できる。
【0082】
図3に示す特定部4は、図6Aに示すような柱部材P1に関する情報に基づいて、適用対象分別機能を動作させる。例えば、図9に示すように、柱部材P1が建築現場で打設されるコンクリート造(以下「在来式」という。)であり、かつ仕口内継手がYプラス方向及びYマイナス方向を向いている場合、特定部4は、柱部材P1に相当するモデルと交わらないように分別して適用対象のモデルを特定する。これによる分割パターンは、柱部材P1の左右が単梁か1レンコンか2レンコンのいずれかであり、柱部材P1と梁部材との間に継手が存在しない。
【0083】
また、柱部材P1が在来式であり、かつ仕口内継手がない場合、特定部4は、柱部材P1に相当するモデルと交わらないように分別して適用対象モデルを特定する。これによる分割パターンは、柱部材P1の左右が継手となる。一方、柱部材P1が在来式でなく、かつ仕口内継手がない場合、特定部4は、柱部材P1に相当するモデルを含めて通り芯全てを適用対象のモデルとして特定する。
【0084】
<編集部7>
図2に示す編集部7は、図3に示す操作画面G1に表示される最適パターン編集ボタンG14のクリック操作により作動してもよい。図10図13は、編集部7を動作させる操作画面G6であり、図3の表示領域G1aに表示されても、別途立ち上げられた表示領域に表示されてもよい。編集部7は、最適パターン決定ボタンG14及び操作画面G6を介してユーザーからの入力に応じて動作するが、所定のプログラムにより任意のタイミングで自動的に動作してもよい。
【0085】
編集部7は、図10に示すように、決定部6により決定された最適な分割パターンに関する情報に基づいて、同一階を構成しており分割パターンを決定していないモデルにおける分割パターンを編集する分割パターン編集機能を発揮するように動作する。
【0086】
詳細には、編集部7は、第2設定部2bのシミュレーション階数設定機能により設定された階数に関する情報に基づいて最適な分割パターンが編集される階数を階数表示欄G61のように認識する最適分割パターン編集階数認識機能と、決定部6により決定された最適な分割パターンに関する情報を分割パターンが決定されていない他の座標軸の梁構造に相当するモデルに適用するためにコピー操作欄G62を介して最適な分割パターンに関する情報を上記モデルにコピーする分割パターンコピー機能と、分割パターンコピー機能により最適な分割パターンに関する情報がコピーされたモデル以外で分割パターンが未決定のモデルに対して単梁生成実行ボタンG63のクリック操作により一括又は範囲指定で単一の柱間梁部(単梁)と継手との組み合わせを分割パターンとする単梁生成機能と、分割パターンとして第1梁部材(1レンコン)又は第2梁部材(2レンコン)を構成する柱梁接合部に相当するモデルと直交していて分割パターンが決定しているモデルとの間に隙間がある場合に上記隙間を埋めるためにT字梁生成実行ボタンG64のクリック操作により上記柱梁接合部をT字型又は十字型に変換する柱梁接合部変換機能と、再計算ボタンG65aのクリック操作により最新かつ決定済みの分割パターンに関する情報を集計して最適な分割パターンを最適パターン表示欄G65bのように表示する最適パターン集計機能と、最適パターン集計機能で集計した分割パターンに関する情報に基づいてこの情報の適用対象に相当するモデルの全ての分割パターンを分割PCa生成ボタンG66のクリック操作により決定する分割パターン最終決定機能とを発揮するように動作する。分割パターン最終決定機能の動作により最適な分割条件に関する情報が付与されたモデルは、図2に示す記憶部SR及び/又は記憶部C2に記憶される。
【0087】
分割パターンコピー機能は、図11に示すように、例えばY座標軸であるCY2の梁構造に相当するモデルが最適な分割パターンに関する情報に基づく決定済み分割パターンである場合、図10に示すコピー操作欄G62を介してコピー先であるCY3及びCY4の梁構造に相当するモデルに決定済み分割パターンをコピーする。このような機能により、同一の仕様の梁構造に対して最適な分割パターンを決定しやすい。分割パターンコピー機能による動作が第2表示処理部3bの編集済み分割パターンビュー表示機能に表示されたビュー表示に反映されてもよい。分割パターンコピー機能は、第2表示処理部3bの編集済み分割パターンビュー表示機能に表示されたビュー表示上で、該当するモデルに付与された分割パターンに関する情報に含まれる数値情報や着色情報を上記コピー先に付与してもよい。
【0088】
単梁生成機能は、図12に示すように、例えばX座標軸CX8に相当する梁構造のモデルの分割パターンのみ未決定で、他のX座標軸CX1~CX7に相当する梁構造のモデル及びY座標軸CY1~CY6に相当する梁構造のモデルの分割パターンが決定済みである場合、図10に示す単梁生成実行ボタンG63のクリック操作によりCX8に相当する梁構造のモデル全てに対して一括でこれらを単梁及び継手とする分割パターンに関する情報及びビュー表示用の着色情報を付与するが、単梁生成実行ボタンG63のクリック前に範囲指定チェックボックスをONにすることで、所望の範囲内のモデル全てに対して一括でこれらを単梁及び継手とする分割パターンに関する情報に含まれる数値情報及びビュー表示用の着色情報を付与してもよい。このような機能により、分割パターンが未決定である梁構造のモデルに対して効率的に分割パターンに関する情報を付与してこれらの分割パターンを決定しやすい。単梁生成機能による動作が第2表示処理部3bの編集済み分割パターンビュー表示機能に表示されたビュー表示に反映されてもよい。
【0089】
柱梁接合部変換機能は、図13(a)に示すように、分割パターンが決定済みのモデルのうち図1Bに示すような柱梁接合部B3と継手Jとが対向する部分に隙間Bsが有る場合、図13(b)に示すように、図10に示すT字梁生成実行ボタンG64のクリック操作により柱梁接合部B3の形状を立方体型からT字型に変換して隙間Bsを埋めても、第2表示処理部3bの編集済み分割パターンビュー表示機能に表示されたビュー表示上で該当する着色情報の変更により隙間Bsを埋めてもよい。隙間Bsの有無の確認は上記ビュー表示上で行われてもよく、隙間Bsが有る場合、上記確認の前後又は有無に関わらず柱梁接合部変換機能が動作してもよい。上記着色情報の変更に伴い、例えば、継手Jの長さが設定済みの分割条件に関する情報に含まれる長さ以下になった場合や上記着色情報が着色情報と重なっている場合、最適パターン集計機能が正常に動作せずエラー表示されてもよい。
【0090】
次に、図2及び図14を参照しつつ、上述した各部の構成や機能の説明に基づき、本シミュレーションシステムの動作の流れの一例を説明し、各部の詳細な機能の説明を省略する。
【0091】
まず、記憶部SR及び/又は記憶部C2により、制御部C1の命令により、建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶する(ステップS―01)。建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報は、BIMアプリケーション付属の建築物の3次元モデル生成用の建築物に関する形状情報及び属性情報に含まれていてもよく、すなわち建築物に関する形状情報及び属性情報も記憶部SR及び/又は記憶部C2に記憶される。
【0092】
次に、生成部1により、ステップS-01で記憶された建築物の柱に関する情報及び梁に関する情報に基づいて、建築物を構成する柱構造及び梁構造を含む3次元モデルを生成する(ステップS-02)。生成された3次元モデルは、記憶部SR及び/又は記憶部C2に保存され、取得・閲覧・更新といった本シミュレーションシステムの動作を実行できる状態で記憶される。
【0093】
次に、3次元モデルに含まれる梁構造の分割パターンを導出するため、第1設定部2aにより、建築物の階数毎に搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材に分割する梁構造の分割条件に関する情報と、上記梁構造の断面に関する情報とを設定する(ステップS-03)。設定された分割条件に関する情報及び断面に関する情報は、3次元モデルと関連付けて記憶部SR及び/又は記憶部C2に保存される。
【0094】
次に、第1表示処理部3aにより、ステップS-02でモデル化された柱構造及び梁構造の3次元モデルを所定階毎の2次元モデルに変換し、これを天井伏図としてX-Y座標に表示する(ステップS-04)。上記柱構造を構成する柱部材の各々が2次元モデルの座標、上記梁構造を構成する梁部材の各々がX軸及びY軸の通り芯として表示される。梁構造が階数毎に異なることもある分、3次元より2次元モデルの方が分割パターンを検討しやすい。
【0095】
次に、特定部4により、ステップS-04でX-Y座標に表示された2次元モデルから、ステップS-03で設定された梁構造の分割条件に関する情報及び断面に関する情報を適用して分割パターンを導出する適用対象を特定する(ステップS-05)。搬送手段には積載量の上限があり、また、梁構造が通り芯毎に異なることもある分、適用対象を任意に特定するほうが分割パターンを導出しやすい。
【0096】
次に、導出部5により、ステップS-05で特定された適用対象の分割パターンを、上記適用対象毎かつステップS-03で設定された梁構造の分割条件に関する情報及び断面に関する情報に基づいて導出する(ステップS-06)。上記適用対象が同一の座標軸(通り芯)上で2つ以上に分かれている場合、それぞれの適用対象毎の分割パターンを一括で導出することで、同一の通り芯上の梁構造の分割パターンを把握しやすい。
【0097】
次に、第2表示処理部3bにより、ステップS-06で導出された適用対象毎の分割パターンに関する情報を、上記適用対象を特定するX-Y座標毎かつ分割パターン毎に表示すると共に、長さや重さといった分割パターンに関する情報を、ステップS-05で特定された適用対象に相当するモデルに付与して表示する(ステップS-07)。適用対象が同一の座標軸かつ複数の座標間で特定された場合にはこの同一の座標軸かつ複数の座標間毎、かつ分割パターンが1~n個導出された場合には分割パターン1~n毎に表示し、モデル上に分割後の長さや重さを表示すれば、最適な分割パターンを決定しやすい。
【0098】
次に、決定部6により、ステップS-07で表示された分割パターンに関する情報に基づいて、ステップS-06で導出された適用対象毎に最適な分割パターンを決定する(ステップS-08)。決定された分割パターンに関する情報は、適用対象毎にステップS-04で表示された2次元モデルと関連付けて記憶部SR及び/又は記憶部C2に記憶されるため、決定後も閲覧や編集をしやすい。
【0099】
次に、編集部7により、ステップS-08で決定された最適な分割パターンに関する情報に基づいて、分割パターンが未決定な梁構造に相当するモデルの分割パターンに関する情報を編集する(ステップS-09)。異なる座標軸(通り芯)であっても同一の仕様の梁構造に対し、上記最適な分割パターンに関する情報を上記モデルにも適用(コピー)すれば、少なくともステップS-02~08の工程分の時間を省略しやすい。
【0100】
最後に、編集部7により、ステップS-04でX-Y座標に表示された2次元モデルのうち、分割パターンが未決定な梁構造に相当するモデルが無くなった場合、該当する階を構成する梁構造全ての最適な分割パターンに関する情報が決定されたため、分割パターンのシミュレーションを行った階数において最適な分割パターンに関する情報に関連付く2次元モデルを生成される(ステップS-10)。生成された上記2次元モデルは、記憶部SR及び/又は記憶部C2に記憶される。
【0101】
このような流れにより、図1A図1B、及び図2に示すように、例えば記憶部C2により建築物のBIMモデルの生成用として少なくとも柱に関する情報及び梁に関する情報を記憶し、これらの情報に基づいて生成部1により少なくとも建築物を構成する柱構造P及び梁構造BのBIMモデルを生成し、柱に関する情報及び梁に関する情報と紐付く上記BIMモデルに基づいて、第1設定部2aにより梁構造Bからプレキャストコンクリート製の梁部材B1に分割する分割条件に関する情報、第2設定部2bにより梁構造B1の断面に関する情報をそれぞれ設定し、第1表示処理部3aにより所定の階に該当する上記BIMモデルを切り出した2次元モデルをX-Y座標上に表示処理し、特定部4により上記2次元モデルのうち分割条件及び断面の適用対象となるモデルをX-Y座標で特定し、導出部5により上記モデルの分割パターンを所定の数値情報も含めて導出し、第2表示処理部3bにより上記分割パターンをリストやモデルとして表示処理し、決定部6により上記リストやモデルとして表示された分割パターンに基づいて最適な分割パターンを決定し、編集部7により分割パターンが未決定なモデルを決定済みの最適な分割パターンに関する情報に基づいて編集して上記最適な分割パターンに関する情報を関連付けた所定階の梁構造に相当するモデルを生成できるため、図1A図1Bに示すような実際の建築物を構成する梁構造Bを搬送可能なプレキャストコンクリート製の梁部材B1にする最適な分割パターンをシミュレートしやすくなる効果を期待できる。
【0102】
次に、図2図15、及び図16を参照しつつ、図14のステップS-06に示す導出部5が分割パターンを導出する流れを説明する。前提として、第1設定部2aにより設定した分割条件に関する情報に基づいて候補になった分割可能位置の全てが上記分割パターンを導出する基準点であり、第1設定部2aの分割位置条件設定機能により「柱面からの分割位置」と「スパン長中央での分割」の有効化とが設定された場合、各スパンの中心(柱面間)を上記基準点としてもよい。
【0103】
まず、図15に示すような分割可能位置(破線A~N)のうち、例えば破線Gを分割パターン導出の基準点と決定する(ステップS-06a)。
【0104】
次に、第1設定部2aの梁サイズ条件設定機能で設定した最大長の梁部材を、最左端の破線Aから破線Gの方向d1に配置する第1パターン、破線Gから破線Aの方向d2に配置する第2パターン、破線Gから最右端の破線Nの方向d3に配置する第3パターン、破線Nから破線Gの方向d4に配置する第4パターンを決定する(ステップS-06b)。例えば、第1パターンでは破線A、B、C・・・の順番に上記梁部材の左端を合わせて配置、第2パターンでは破線G、F、E・・・の順番に上記梁部材の右端を合わせて配置する。
【0105】
そして、第1パターンと第3パターンとの組み合わせ、第1パターンと第4パターンとの組み合わせ、第2パターンと第3パターンとの組み合わせ、第2パターンと第4パターンとの組み合わせの4通りそれぞれで分割後の梁部材等の数を比較し、上記梁部材等の数が最少となる組み合わせを、破線Gを基準点とした場合の最適な分割パターンとして決定する(ステップS-06c)。
【0106】
ステップS-06cにおいて、上記梁部材等の数が最少となる分割パターンが複数ある場合、これらをその基準点における最適な分割パターンと決定してもよい。ある分割可能位置から隣りの分割可能位置までの距離が最大長の梁部材を超える場合、配置可能な最大梁長の位置で分割してもよく、この場合はこの分割位置を基準点としてもよい。すなわち、上記距離が梁部材の最大長と等しいかこれを超える場合、少なくとも最大長の梁部材1つを分割パターンに含められる利点を有する。
【0107】
所定の基準点における最適な分割パターンの決定後、他の基準点が残っている場合、ステップS-06aに戻り、残っていない場合は、ステップS-06cで決定した基準点毎の最適な分割パターンを比較し、このうち上記梁部材等の数が最少となる分割パターンを、分割対象全体の最適な分割パターンとして決定する(ステップS-06d)。このとき導出部5の分割パターン順位設定機能により上記分割パターンの最適度の優先順位が決定されてもよい。
【0108】
ステップS-06dで決定された分割パターンは、図7に示すように上記分割パターンを適用する適用対象を特定するX-Y座標毎かつ組み合わせパターン毎に分割パターンに関する情報として、また、第1設定部2aのシミュレーション最大数設定機能により設定されたパターン数かつ導出部5の分割パターン順位設定機能により決定された優先順位に従って、第2表示処理部3bにより表示される。上記梁部材等の数が最少となる分割パターンが複数あり、上記パターン数を超えてしまう場合、導出部5が先に導出した分割パターンを優先して採用してもよい。
【0109】
次に、図17を参照しつつ、第1設定部2aの条件超シミュレーション設定機能が設定されている場合に設定条件の上限を超える分割パターンの導出の流れについて説明する。
【0110】
まず、図15に示すステップS-06bで決定した各パターンで配置した上記梁部材のうち最後に配置した上記梁部材を削除し、最後から一つ前に配置した上記梁部材を条件超シミュレーション設定機能で設定した条件に当てはまる別の梁部材に変更して再配置する(ステップS-06e)。上記別の梁部材におけるシミュレーションを効率良く行うためである。
【0111】
次に、図15に示すステップS-06cで決定した最適な分割パターンにおける梁部材等の数と、再配置した上記別の梁部材における同様の組み合わせ(4通り)それぞれの分割後の梁部材等の数とを対比する(ステップS-06f)。
【0112】
そして、ステップS-06fで対比した結果、再配置により分割後の部材等の数が少なくなった場合、上限を超えるパターンが採用される(ステップS-06g)。これにより、図7に示すように上限を超えるパターンが第2表示処理部3bの上限パターン表示機能により表示されるため、上限を超えるパターンを分割パターンの候補に含めてどのパターンが最適かを検討しやすくなる。上限を超えるパターンが複数あり、第1設定部2aのシミュレーション最大数設定機能により設定されたパターン数を超えてしまう場合、導出部5が先に導出した分割パターンを優先して採用してもよい。
【0113】
なお、本実施形態に示したシミュレーションシステムは、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の機能・配置・仕様や、部位同士の関係を含む。
【符号の説明】
【0114】
B 梁構造
B1 梁部材
B1a 第1梁部材(Sレンコン)
B1b 第2梁部材(Wレンコン)
B2 柱間梁部
B3 柱梁接合部
P 柱構造
P1 柱部材
J 継手
S サーバ装置
SR 記憶部
C 情報端末装置
C1 制御部
C2 記憶部
1 生成部
2a 第1設定部
2b 第2設定部
2c 第3設定部
3a 第1表示処理部
3b 第2表示処理部
4 特定部
5 導出部
6 決定部
7 編集部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17