(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035284
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ヒアルロン酸産生促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240307BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240307BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240307BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20240307BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240307BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61P17/00
A61K38/39
C12N15/12 ZNA
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139648
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188824
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
【テーマコード(参考)】
4C083
4C084
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA072
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC02
4C083EE12
4C083FF01
4C084AA01
4C084AA02
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4C084DA40
4C084NA14
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZC191
4C084ZC192
4C084ZC521
4C084ZC522
(57)【要約】
【課題】ヒト等の皮膚において、皮膚塗布により(皮膚外用剤により)、ヒアルロン酸産生など肌を改善する手段を提供する。
【解決手段】プロテオグリカンを含有するヒアルロン酸産生促進剤、プロテオグリカンを含有するヒアルロン酸合成酵素(例えば、HAS2、HAS3)の発現促進剤、である。好ましくは、当該プロテオグリカンがコンドロイチン硫酸型プロテオグリカンであり、好ましくは、当該プロテオグリカンがサケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンである。また、当該組成物の形態は、例えば皮膚外用剤の形態である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテオグリカンを含有する、ヒアルロン酸産生促進剤。
【請求項2】
プロテオグリカンを含有する、ヒアルロン酸合成酵素の発現促進剤。
【請求項3】
プロテオグリカンがコンドロイチン硫酸型プロテオグリカンである、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
プロテオグリカンがサケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンである、請求項1又は2に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテオグリカンのヒト等の皮膚の表皮(基底層、有棘層、顆粒層、角質層)における、ヒアルロン酸の産生、ヒアルロン酸合成酵素の発現促進、に基づくプロテオグリカンの新規用途(化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤など)に関するもの、などである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、外部環境から直接影響を受ける最前線として、生体の内部環境を維持する重要な機能を担う。そのため、皮膚の機能が全面的な停止に至ることはないが、加齢、紫外線被曝、化学物質への皮膚露出などに伴いその機能は徐々に低下し、シワ、シミ、くすみ、タルミ等の老化徴候が顕在化してくる。
【0003】
ヒアルロン酸(HA)は、D-グルクロン酸とN-アセチルD-グルコサミンとの繰り返し構造からなる直鎖のムコ多糖である。生体内において、ヒアルロン酸は、皮膚、眼、軟骨、滑膜、関節液等に広く存在する。皮膚のヒアルロン酸は真皮に存在し、皮膚の保湿や弾力性に寄与している。従来、皮膚の保湿やアンチエイジングを目的とした化粧品等にヒアルロン酸やその分解を抑制する素材が利用されている(特許文献1、非特許文献1)。
【0004】
プロテオグリカン及びイチジクの乳酸菌醗酵物を含有する経口摂取用組成物が、肌を改善する(特に肌の保湿を向上させる)効能を有している、と考えられている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-135272
【特許文献2】特開2019-11316
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】井上紳太郎、グルコサミン研究 5:4-10,2009
【非特許文献2】村上伸也ら、ヒアルロン酸の生物学活性を考える、炎症、vol.19、NO.6、November 1999、p307-318
【非特許文献3】THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY、VOL.289、NO.26、pp.18569-18581、June 27、2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在も、ヒト等において、経口摂取だけでなく、皮膚塗布により(皮膚外用剤により)、ヒアルロン酸産生など肌を改善するなどより有効な手段が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、ヒト等の皮膚において、皮膚塗布により(皮膚外用剤により)、ヒアルロン酸産生など肌を改善する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものである。ヒト等の皮膚の表皮(特に、角化層)において、プロテオグリカンを含有する剤を添加したところ、ヒアルロン酸合成酵素の発現促進が確認でき、本発明を新たに見出した。
【0010】
本発明は、例えば、プロテオグリカンを含有するヒアルロン酸産生促進剤、プロテオグリカンを含有するヒアルロン酸合成酵素(例えば、HAS2、HAS3)の発現促進剤、である。好ましくは、当該プロテオグリカンがコンドロイチン硫酸型プロテオグリカンであり、好ましくは、当該プロテオグリカンがサケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンである。また、当該組成物の形態は、例えば皮膚外用剤の形態である。
【発明の効果】
【0011】
この組成物などを用いることにより、ヒト等の皮膚において、ヒアルロン酸産生など肌を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について説明する。
【0013】
(プロテオグリカン)
プロテオグリカンはコアタンパク質にコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸等のグリコサミノグリカン(以下GAGと表す。)と呼ばれる糖鎖が共有結合した糖タンパク質である。プロテオグリカンは、細胞外マトリックスの主要構成成分の一つとして皮膚や軟骨など体内に広く分布している。GAG鎖は分岐を持たない長い直鎖構造を持つ。多数の硫酸基とカルボキシル基を持つため負に荷電しており、GAG鎖はその電気的反発力のために延びた形状をとる。また、プロテオグリカンは、糖の持つ水親和性により、多量の水を保持することができる。プロテオグリカンに含まれる多数のGAG鎖群はスポンジのように水を柔軟に保持しながら、弾性や衝撃への耐性といった軟骨特有の機能を担っている。
プロテオグリカンのコアタンパク質はマトリックス中の様々な分子と結合する性質をもつ。軟骨プロテオグリカンの場合、N末端側にヒアルロン酸やリンクタンパク質との結合領域を持ち、これらの物質と結合すること、同一分子間で会合することもある。C末端にはレクチン様領域、EGF様領域などを持ち様々な他の分子と結合する。この性質により、プロテオグリカンはそれぞれの組織にあった構造を築く。
プロテオグリカンのうち、コンドロイチン硫酸型プロテオグリカンは、コンドロイチン硫酸がコアタンパク質に共有結合されているプロテオグリカンである。
例えば、サケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンは、サケの鼻軟骨から抽出して得られたプロテオグリカンである。ここで、サケは、例えばサケ属(Oncorhynchus)に属する魚であるが、好ましくは学名が「Oncorhynchus keta」のサケが選択される。
また、本発明に係る組成物に含まれるプロテオグリカンの含有量は、例えば効果(ヒアルロン酸産生など)の観点で、下限は好ましくは0.0001mg/mL(0.1μg/mL)以上、より好ましくは0.00025mg/mL以上、より好ましくは0.0005mg/mL以上、更に好ましく0.00075mg/mL以上であり、例えば皮膚への塗布の安全性などの観点で、上限は好ましくは好ましくは100mg/mL以下、より好ましくは10mg/mL以下、更に好ましく1mg/mL以下、である。
本発明に係る組成物に含まれるプロテオグリカンは、例えば公報(日本特許第6317053号公報)に記載の方法で作製される。
【0014】
(ヒアルロン酸)
ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンとの二糖単位が連結した構造をとる多糖類である。また、ヒアルロン酸の塩は、特に限定はなく、食品または薬学上許容しうる塩であればよく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等も挙げられる。ヒアルロン酸の分子量は、特に限定されない。
【0015】
(ヒアルロン酸合成酵素)
ヒアルロン酸は、HAは細胞膜内に存在するHA合成酵素(HA synthase:HAS)によって合成される。ヒトにおいて、3種類のHA合成酵素遺伝子(HAS1、HAS2、HAS3)が知られている(非特許文献2)。
【0016】
(ヒアルロン酸産生促進剤)
本発明の「ヒアルロン酸産生促進剤」とは、主として表皮(特に、角化層)のケラチノサイト等におけるヒアルロン酸の合成を促進する剤であればそのメカニズムには限定されない。ヒアルロン酸産生促進は、例えば、哺乳動物のヒアルロン酸合成酵素であるHAS2やHAS3をコードする遺伝子の発現を促進することを通じて、ヒアルロン酸の合成を促進することが好ましい。本発明は、ヒアルロン酸産生促進剤としてだけでなく、例えばヒアルロン酸合成酵素の発現促進剤(例えば、ヒアルロン酸の遺伝子発現促進剤)、特に、具体的には、HAS2遺伝子又はHAS3遺伝子の発現促進剤としても用いることができる。本発明のヒアルロン酸産生促進剤は体内、特に皮膚のヒアルロン酸減少に伴う様々な障害、疾患、疾病等の機能低下を防止することができる。例えば、皮膚の保湿を促して皮膚のハリ及び弾力性を改善すると共に潤いを与え、皮膚の肌荒れ、シワ、かさつき等の皮膚トラブルを予防又は改善し、関節障害、関節軟膏損傷等を予防又は改善する効果を奏しうる。
【0017】
(皮膚外用剤の形態)
本発明に係る組成物の一形態である皮膚外用剤は、アンプル、カプセル、粉末、顆粒、液体、ゲル、気泡、エマルジョン、シート、ミスト、スプレー剤等利用上の適当な形態の1)医薬品類、2)医薬部外品類、3)局所用又は全身用の皮膚外用剤類(例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック等の基礎化粧料、固形石鹸、液体ソープ、ハンドウォッシュ等の洗顔料や皮膚洗浄料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、除毛剤、脱毛剤、髭剃り処理料、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、シェービングクリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧料、香水類、美爪剤、美爪エナメル、美爪エナメル除去剤、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、貼付剤、エアゾール剤等)、4)頭皮・頭髪に適用する薬用又は/及び化粧用の製剤類(例えば、シャンプー剤、リンス剤、ヘアートリートメント剤、プレヘアートリートメント剤、パーマネント液、染毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛・養毛料、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、エアゾール剤等)、5)浴湯に投じて使用する浴用剤、6)その他、腋臭防止剤や消臭剤、制汗剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等が挙げられる。
【0018】
(皮膚外用剤の構成成分)
また、このような剤には、必要に応じて、本発明の効果を損ねない範囲で以下に例示する成分や添加剤を任意に選択・併用して製造することができ、これらの処方系中への配合量は、特に規定するものではないが、通常、0.0001~50%程度が好ましいと考えられる。
【0019】
(1)各種油脂類
アボカド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、スクワレン、スクワラン、プリスタン又はこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)等。
【0020】
(2)ロウ類
ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス等。
【0021】
(3)鉱物油
流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス等。
【0022】
(4)脂肪酸類
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸。
【0023】
(5)アルコール類
エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノール等の天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の合成アルコール。
【0024】
(6)多価アルコール類
酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール等。
【0025】
(7)エステル類
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等。
【0026】
(8)金属セッケン類
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等。
【0027】
(9)ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物
アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイド等のアルキレン(C2~C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2~C4)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイ
ドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等。
【0028】
(10)界面活性剤
アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等。
【0029】
(11)各種ビタミン類
ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU等。
【0030】
(12)各種アミノ酸類
バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等や、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、或いはピロリドンカルボン酸のごときアミノ酸誘導体等。
【0031】
(13)植物又は動物系原料由来の種々の添加物
これらは、添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工(例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製、圧搾、抽出、分画、ろ過、乾燥、粉末化、造粒、溶解、滅菌、pH調整、脱臭、脱色等を任意に選択、組み合わせた処理)を行い、各種の素材から任意に選択して供すれば良い。
【0032】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%(w/v%)を意味する。
【実施例0033】
以下、本発明の実施例について、実験例を用いて説明する。以下、実験例で挙げる実験で用いた実験材料は次の通りである。
・プロテオグリカンIPC:一丸ファルコス、サケ鼻軟骨由来のコンドロイチン硫酸型プロテオグリカン(アグリカン型プロテオグリカン)、精製されたサケ鼻軟骨由来のコンドロイチン硫酸型プロテオグリカン1%と1,3-ブチレングリコール29.7%とが含有された水溶液。
・表皮角化細胞:正常ヒト表皮角化細胞、クラボウ、KK-4009、凍結NHEK(NB)新生児由来、KURABO
・角化細胞培養用培地(1):HuMedia-KG2特注GC別添培地、クラボウ、KK-2170S
・角化細胞培養用培地(2):当該培地(1)からBPE(Bovine Pituitary Extract、ウシ脳下垂体抽出物)及びEGF(上皮成長因子)を除いた培地
・UDPG:以下試験2で使用した、Funakoshi CAY 15602 UDP-Glucose(Sodium Salt)、CasNo.28053-08-09。UDPGはP2Y14受容体を活性化し、ケラチノサイトのヒアルロン酸合成酵素の発現を刺激する(非特許文献3)。よって、以下試験2において、UDPGをポジディブコントロール(ヒアルロン酸合成酵素の発現が促進されることを示すポジティブコントロール)として用いた。
【0034】
[試験例1]ヒト表皮角化細胞におけるプロテオグリカンの添加によるヒアルロン酸産生の確認
ELISA法により、ヒト表皮角化細胞において、プロテオグリカンの添加により、ヒアルロン酸の産生が促進等されるかの確認を行った。
【0035】
(試験方法の概要)
1.試験で用いる細胞の準備
表皮角化細胞を準備した。表皮角化細胞を、角化細胞培養用培地(1)を用いて、所定の条件(5%CO2、37℃、24時間)で培養して、この試験で使用の表皮角化細胞を準備した。
【0036】
2.ELISAの準備
1.の工程で準備した表皮角化細胞(5×104個)を24well plateに播種した。この播種後、角化細胞培養用培地(1)を用いて、75%コンフルエント状態になるまで、所定の条件(5%CO2、37℃)で培養した。この培養後、培地を当該培地(1)から当該培地(2)へ置換した。当該置換後、以下表1に記載の試料を培地へ添加し、所定の条件(5%CO2、37℃、72時間)で培養した。当該72時間の培養後、所定の条件で培養液の上清を回収した。当該回収した上清中のヒアルロン産生をQnE Hyaluronic Acid(HA) ELISA Assay Kit(BTP、BTP-96200)を用いて、ヒアルロン酸量の確認を行った。
【0037】
(ELISAの結果)
ヒアルロン酸量の確認を行った結果を表1で示す。表1で示している値(各群の数値)は、コントロール群を100.0としての相対値である。表1中の*印は、Dunnett検定において、コントロール群(数値を100.0)との比較による有意差(p<0.05)を示す。コントロール群に比べて、プロテオグリカンの添加により、ヒアルロン酸量の増加が確認できた。
【0038】
【0039】
(その他:培養した細胞の細胞毒性の確認)
なお、当該ヒアルロン酸量の確認と並行して、Cell Counting Kit-8(Dojindo)を用いて、当該72時間の培養後の各群の細胞数の測定を行った。当該細胞数の測定のためのサンプルに当該kit-8を入れた。当該入れた後、5%CO2、37℃の条件で2時間培養した。当該培養後、「Cell Counting Kit-8(Dojindo)」の説明書に沿って450nmの吸光度で、各群の発色を確認した。当該発色の確認を行ったが、いずれの群でもコントロール群と比べて、有意な差は生じなかった。すなわち、プロテオグリカンに添加により、細胞毒性が確認されなかった。
【0040】
[試験例2]プロテオグリカンの添加によるヒアルロン酸合成酵素(HAS2及びHAS3)の発現量の確認
RT-PCR法を用いて、ヒト表皮角化細胞において、プロテオグリカンの添加により、ヒアルロン酸合成酵素の発現が促進等されるかの確認を行った。
【0041】
(試験方法の概要)
1.試験で用いる細胞の準備
表皮角化細胞を準備した。表皮角化細胞を、角化細胞培養用培地(1)を用いて、所定の条件(5%CO2、37℃、24時間)で培養して、この試験で使用の表皮角化細胞を準備した。
【0042】
2.RT-PCRの準備
1.の工程で準備した表皮角化細胞(10×104個)を24well plateに播種した。この播種後、角化細胞培養用培地(1)を用いて、75%コンフルエント状態になるまで、所定の条件(5%CO2、37℃)で培養した。この培養後、培地を当該培地(1)から当該培地(2)へ置換した。当該置換後、以下表2に記載の試料を培地へ添加し、所定の条件(5%CO2、37℃、24時間)で培養した。当該24時間の培養後、PBS(リン酸バッファー)で細胞を洗浄した。当該洗浄後の細胞から、mRNAを精製した。mRNAの精製にはQIAGEN社より販売されているQIAshreder及びRNeasy Mini Kitを用いた。
【0043】
精製したmRNAを鋳型として、TaKaRaより販売されているPrimeScript RT master Mixを用いて逆転写反応を行い、cDNAを合成した。以下の表3に示した、それぞれの標的因子に対応するプライマー対を用いて、RT-PCRを行い、相対定量にて発現量変化を解析した。RT-PCRにはTaKaRaより販売されているTB Green Premix Ex Taqを用いた。また、相対量変化解析のリファレンスにはRPS18(ribosomal protein S18)の増幅結果を用いた。
【0044】
【0045】
【0046】
(試験の結果:RT-PCRの結果)
この結果を表2示す。表2で示す結果(HAS2発現量及びHAS3発現量)は、コントロール群の値(当該相対定量にて発現量変化)を1.00とした場合の値で示す。*印は、Dunnett検定において、コントロール群の値(1.0)との比較による有意差(p<0.05)、を示す。当該試験結果より、コントロール群と比べて、プロテオグリカンの添加により、HAS2及びHAS3の発現が促進したことを確認した。
【0047】
以上、本発明の実施の形態(実施例も含め)について説明してきたが、本発明の具体的構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。