(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035288
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】タイヤの性能の評価方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20240307BHJP
B60C 19/12 20060101ALI20240307BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20240307BHJP
G06F 30/27 20200101ALI20240307BHJP
G06F 30/15 20200101ALI20240307BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C19/12 Z
B60C19/00 H
G06F30/27
G06F30/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139655
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100210251
【弁理士】
【氏名又は名称】大古場 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公孝
(72)【発明者】
【氏名】西田 優
(72)【発明者】
【氏名】野村 聖二
【テーマコード(参考)】
3D131
5B146
【Fターム(参考)】
3D131LA22
3D131LA34
5B146AA05
5B146DC03
(57)【要約】
【課題】タイヤの性能の評価方法、評価装置及び評価プログラム等を提供する。
【解決手段】タイヤの性能の評価方法は、評価対象となる評価対象タイヤについての1または複数の測定値を取得することと、取得した1または複数の測定値を予測モデルに入力することと、予測モデルから出力を導出することとを含む。予測モデルから導出される出力は、ドライバーが、評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象となる評価対象タイヤについての1または複数の測定値を取得することと、
前記取得した1または複数の測定値を予測モデルに入力することと、
前記予測モデルから出力を導出することと
を含み、
前記予測モデルから導出される出力は、
ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する、
タイヤの性能の評価方法。
【請求項2】
前記予測モデルは、学習済みの機械学習モデルである、
請求項1に記載のタイヤの性能の評価方法。
【請求項3】
前記基準タイヤについての1または複数の測定値及び学習用タイヤについての1または複数の測定値と、正解データとを組み合わせた学習用のデータセットを準備することと、
前記学習用のデータセットを用いて、前記1または複数の測定値に対応するデータを入力すると、前記正解データに対応するデータを出力するように、前記機械学習モデルを定義するパラメータを調整することと
をさらに含み、
前記正解データは、前記ドライバーが、前記学習用タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、前記基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果を含む、
請求項2に記載のタイヤの性能の評価方法。
【請求項4】
前記評価結果は、前記評価対象タイヤが装着された前記車両の乗り心地を前記ドライバーが評価した結果を表し、
前記1または複数の測定値は、横バネ定数、縦バネ定数及び動バネ定数の少なくとも1つを含む、
請求項1または2に記載のタイヤの性能の評価方法。
【請求項5】
前記評価結果は、前記評価対象タイヤが装着された前記車両の操縦安定性を前記ドライバーが評価した結果を表し、
前記1または複数の測定値は、動バネ定数、コーナリングパワー、最大コーナリングフォース、及びセルフアライニングトルクの少なくとも1つを含む、
請求項1または2に記載のタイヤの性能の評価方法。
【請求項6】
前記ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、前記基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果を取得することと、
前記評価結果と、前記予測モデルから導出される出力とを比較することと
をさらに含む、
請求項1または2に記載のタイヤの性能の評価方法。
【請求項7】
前記予測モデルから導出される出力に基づいて、前記ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を評価した評価結果を、目標に近付けるための前記1または複数の測定値を特定すること
をさらに含む、
請求項1または2に記載のタイヤの性能の評価方法。
【請求項8】
評価対象となる評価対象タイヤについての1または複数の測定値を取得する取得部と、
予測モデルを定義するパラメータを記憶する記憶部と、
前記取得した1または複数の測定値を前記予測モデルに入力し、前記予測モデルから出力を導出する導出部と
を備え、
前記予測モデルから導出される出力は、
ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する、
タイヤの性能の評価装置。
【請求項9】
評価対象となる評価対象タイヤについての1または複数の測定値を取得することと、
前記取得した1または複数の測定値を予測モデルに入力することと、
前記予測モデルから出力を導出することと
を1または複数のプロセッサに実行させ、
前記予測モデルから導出される出力は、
ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する、
タイヤの性能の評価プログラム。
【請求項10】
基準タイヤについての1または複数の測定値及び学習用タイヤについての1または複数の測定値と、正解データとを組み合わせた学習用のデータセットを準備することと、
前記学習用のデータセットを用いて、前記1または複数の測定値に対応するデータを入力すると、前記正解データに対応するデータを出力するように、機械学習モデルを定義するパラメータを調整することと
を含み、
前記正解データは、ドライバーが、前記学習用タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、前記基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果を含む、
学習済みモデルの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの性能の評価方法、評価装置、評価プログラム及び学習済みモデルの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機械学習モデルを使用して、タイヤの接地面形状を表す画像に基づいて、タイヤ性能値を予測する方法を開示する。特許文献1によれば、予測の対象となるタイヤ性能値は、例えばCP(コーナリングパワー)、CFmax(最大コーナリングフォース)、SAT(セルフアライニングトルク)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような、機械的に測定が可能なタイヤ性能値の少なくとも一部は、当該タイヤが装着される車両の乗り心地や、操縦安定性との相関を有するものと考えられる。しかし、車両の乗り心地及び操縦安定性についての評価は、少なくとも部分的にはドライバーによる官能評価に基づいているのが現状であり、タイヤ性能値との相関の観点で、乗り心地及び操縦安定性(タイヤ性能)を評価するための体系的な手法は提供されていなかった。
【0005】
本発明は、タイヤの性能の評価方法、評価装置、評価プログラム及び学習済みモデルの生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係るタイヤの性能の評価方法は、評価対象となる評価対象タイヤについての1または複数の測定値を取得することと、前記取得した1または複数の測定値を予測モデルに入力することと、前記予測モデルから出力を導出することとを含む。前記予測モデルから導出される出力は、ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する。
【0007】
第2観点に係るタイヤの性能の評価方法は、第1観点に係るタイヤの性能の評価方法であって、前記予測モデルは、学習済みの機械学習モデルである。
【0008】
第3観点に係るタイヤの性能の評価方法は、第1観点または第2観点に係るタイヤの性能の評価方法であって、前記基準タイヤについての1または複数の測定値及び学習用タイヤについての1または複数の測定値と、正解データとを組み合わせた学習用のデータセットを準備することと、前記学習用のデータセットを用いて、前記1または複数の測定値に対応するデータを入力すると、前記正解データに対応するデータを出力するように、前記機械学習モデルを定義するパラメータを調整することとをさらに含む。前記正解データは、前記ドライバーが、前記学習用タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、前記基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果を含む。
【0009】
第4観点に係るタイヤの性能の評価方法は、第1観点から第3観点のいずれかに係るタイヤの性能の評価方法であって、前記評価結果は、前記評価対象タイヤが装着された前記車両の乗り心地を前記ドライバーが評価した結果を表し、前記1または複数の測定値は、横バネ定数、縦バネ定数及び動バネ定数の少なくとも1つを含む。
【0010】
第5観点に係るタイヤの性能の評価方法は、第1観点から第4観点のいずれかに係るタイヤの性能の評価方法であって、前記評価結果は、前記評価対象タイヤが装着された前記車両の操縦安定性を前記ドライバーが評価した結果を表し、前記1または複数の測定値は、動バネ定数、コーナリングパワー、最大コーナリングフォース、及びセルフアライニングトルクの少なくとも1つを含む。
【0011】
第6観点に係るタイヤの性能の評価方法は、第1観点から第5観点のいずれかに係るタイヤの性能の評価方法であって、前記ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、前記基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果を取得することと、前記評価結果と、前記予測モデルから導出される出力とを比較することとをさらに含む。
【0012】
第7観点に係るタイヤの性能の評価方法は、第1観点から第6観点のいずれかに係るタイヤの性能の評価方法であって、前記予測モデルから導出される出力に基づいて、前記ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を評価した評価結果を、目標に近付けるための前記1または複数の測定値を特定することをさらに含む。
【0013】
第8観点に係るタイヤの性能の評価装置は、取得部と、記憶部と、導出部とを備える。取得部は、評価対象となる評価対象タイヤについての1または複数の測定値を取得する。記憶部は、予測モデルを定義するパラメータを記憶する。導出部は、前記取得した1または複数の測定値を前記予測モデルに入力し、前記予測モデルから出力を導出する。前記予測モデルから導出される出力は、ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する。
【0014】
第9観点に係るタイヤの性能の評価プログラムは、以下のことを1または複数のプロセッサに実行させる。
・評価対象となる評価対象タイヤについての1または複数の測定値を取得すること
・前記取得した1または複数の測定値を予測モデルに入力すること
・前記予測モデルから出力を導出すること
前記予測モデルから導出される出力は、ドライバーが、前記評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する。
【0015】
第10観点に係る学習済みモデルの生成方法は、以下のことを含む。
・基準タイヤについての1または複数の測定値及び学習用タイヤについての1または複数の測定値と、正解データとを組み合わせた学習用のデータセットを準備すること
・前記学習用のデータセットを用いて、前記1または複数の測定値に対応するデータを入力すると、前記正解データに対応するデータを出力するように、機械学習モデルを定義するパラメータを調整すること
前記正解データは、ドライバーが、前記学習用タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、前記基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、乗り心地や操縦安定性といった、タイヤの性能の官能評価を行うドライバーの感覚が、タイヤの測定値を入力とする予測モデルとしてモデル化される。これにより、目標とするタイヤの性能を実現するための知見が効率的に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係るタイヤの性能の評価装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図2】予測モデルを用いたタイヤの性能の評価方法を示すフローチャート。
【
図3】予測モデルの生成方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るタイヤの性能の評価方法、評価装置、評価プログラム及び学習済みモデルの生成方法について説明する。
【0019】
<1.概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る評価装置1の電気的構成を示すブロック図である。評価装置1は、主としてタイヤの設計開発の場面で使用され、特に目標とする乗り心地や操縦安定性(以下、これらをまとめて「タイヤの性能」と称する)を実現するためのタイヤの設計開発を支援する。こうしたタイヤの開発では、コントロールタイヤ(以下、「基準タイヤ」とも称する)と称されるタイヤの性能を基準として、目標とする性能を実現するタイヤの開発がしばしば行われる。そして、上述したようなタイヤの性能の評価は、1または複数の専門の試験者(以下、「ドライバー」とも称する)により行われる。ドライバーは、実際に基準タイヤを装着した車両を運転して得られる感覚と、試作タイヤ(以下、「評価対象タイヤ」とも称する)を装着した同じ車両を運転して得られる感覚とを比較する官能評価を行う。すなわち、ドライバーは、基準タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を評価した結果を基準として、評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を評価する。
【0020】
上記官能評価におけるタイヤの性能の評価は、ドライバーによりばらつきが生じたり、また、同じドライバーであっても体調によってぶれを生じたりすることがある。加えて、タイヤの測定値とタイヤの性能との定量的な相関については、未だ検討の途上である。これにより、特定の性能について目標とする評価を実現するためには、人の感覚を頼りにタイヤの試作を繰り返すことが必要となり、効率的な開発の妨げとなっていた。評価装置1は、このような現状に鑑み、評価対象タイヤの1または複数の測定値に基づき、特定のドライバーによる評価対象タイヤの評価を予測する予測モデルにより、タイヤの測定値と官能評価との相関に対する知見を深め、効率的な開発を支援する。
【0021】
<2.評価装置の構成>
評価装置1は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップパソコン、ラップトップパソコン、タブレット、スマートフォンとして実現される。評価装置1は、CD-ROM、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体133から、或いはネットワークを介して、プログラム132を汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。プログラム132は、評価装置1に後述する動作を実行させる。
【0022】
評価装置1は、制御部10、表示部11、入力部12、記憶部13、及び通信部14を備える。これらの部10~14は、互いにバス線15を介して接続されており、相互に通信可能である。表示部11は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等で構成することができ、後述する予測モデルの機械学習過程における誤差、及び予測モデルから導出される出力結果等を表示する。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、評価装置1に対する操作を受け付ける。表示部11及び入力部12は、ともに同じタッチパネルディスプレイで構成されてもよい。
【0023】
記憶部13は、ハードディスク及びフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成することができる。記憶部13内には、プログラム132が記憶されている他、後述する機械学習により構築される学習済みの機械学習モデル131Aを定義するパラメータが記憶される。機械学習モデル131Aは、「予測モデル」の一例である。
【0024】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM及びRAM等で構成することができる。制御部10は、記憶部13内のプログラム132を読み出して実行することにより、仮想的に取得部10A、導出部10B、画面生成部10C、検証部10D及び学習部10Eとして動作する。取得部10Aは、入力部12や通信部14等を介して、評価対象タイヤの測定値を取得する。導出部10Bは、タイヤの測定値を予測モデルに入力し、予測モデルからの出力を導出する。画面生成部10Cは、導出部10Bにより導出された出力に基づいて、(予測される)評価対象タイヤの性能の評価結果を表示する画面を生成する。通信部14は、ネットワークを介したデータ通信を行う通信インターフェースとして機能する。検証部10D及び学習部10Eの動作については、後述する。
【0025】
<3.予測モデルの構成>
以下、予測モデルの構成について説明する。上述したように、本実施形態の予測モデルは、学習済みの機械学習モデル131Aである。学習済みの機械学習モデル131A(以下、単に「機械学習モデル131A」とも称する)は、予め決まった1または複数のドライバーごとに構築される。つまり、機械学習モデル131Aは、層構成が共通であって、ドライバーごとに最適化されたパラメータで定義された1または複数の機械学習モデル131の総称である。これらの機械学習モデル131を定義するパラメータは、例えばドライバーを識別する情報とそれぞれ関連付けられて記憶部13に保存される。そして、特定のドライバーの評価結果を予測することにより、評価対象タイヤの性能を評価する際には、当該ドライバーについて構築された機械学習モデル131が適用される。
【0026】
機械学習モデル131への入力データは、評価対象タイヤの1または複数の測定値である。測定値としては、評価対象タイヤ単体を測定して得られるデータであれば、特に限定されず、例えば横バネ定数、縦バネ定数、動バネ定数、コーナリングパワー(CP)、最大コーナリングフォース、セルフアライニングトルク(SAT)、CTP、H(α)、G(α)等が挙げられる。中でも、乗り心地についての評価を予測する場合は、入力データとして横バネ定数、縦バネ定数及び動バネ定数の少なくとも1つの測定値が含まれることが好ましく、操縦安定性についての評価を予測する場合は、入力データとして動バネ定数、CP、最大コーナリングフォース及びセルフアライニングトルクの少なくとも1つの測定値が含まれることが好ましい。これらの測定値は、当該タイヤが装着された車両の挙動を台上で再現して測定するような、公知のタイヤ性能試験機等を用いて測定することができる。
【0027】
本実施形態の機械学習モデル131Aは、ニューラルネットワーク(NN)をベースとするモデルであり、評価対象タイヤの1または複数の測定値またはこれに対応する1または複数の値を入力とし、1または複数の評価項目に対するドライバーの評価結果に対応する値を出力とする。上述したように、以下で説明するモデルの層構成は、本実施形態ではドライバーによらず共通である。
【0028】
機械学習モデル131Aは、各々、所定の数のノードを有する入力層と、中間層と、出力層とを備える。入力層は、入力されるデータを読み込むための層であり、入力されるデータの数と同数のノードを有する。入力層の各ノードからは、入力された値がそのまま出力され、入力層の直後に接続される、第1中間層の各ノードへ入力される。
【0029】
第1中間層の各ノードは、入力に対し、重みwを掛けてバイアスbを加えた値を算出する。そして、算出された値を、活性化関数により変換した値を後続の中間層のノードへと出力する。ここでの入力は、入力層で読み込まれた1または複数の値である。重みwは、入力層の各ノードから、第1中間層の各ノードへと受け渡される値のそれぞれに対し、後述する学習処理により調整済みである。つまり、第1中間層の各ノードに対しては、これに入力される値の数の対応した数の重みwが、それぞれ最適化されている。加えて、ノードの数に対応した数のバイアスbも、後述する学習処理によりそれぞれ最適化されている。
【0030】
活性化関数は、非線形変換を実現するための関数である。活性化関数としては、特に限定されず、tanh関数、シグモイド関数、ReLU関数、ステップ関数、ELU関数、Softmax関数等、公知の活性化関数を採用することができる。
【0031】
第1中間層の各ノードから出力された値は、好ましくは、後続の中間層の各ノードに入力される。後続の中間層も、所定の数のノードを有し、各ノードについて、重みw及びバイアスbが後述する学習処理によって最適化されている。各ノードは、第1中間層と同様に、入力された値に対し、これに対応する重みw及びバイアスbと、活性化関数とを用いて算出される値を出力する。すなわち、中間層では、原則として第1中間層と同様の処理が繰り返される。ただし、最後に続く中間層では、入力に対し、最適化された重みw及びバイアスbを用いた線形変換が行われるが、活性化関数による非線形変換は行われない。すなわち、最後に続く中間層の各ノードから出力される線形変換後の値が、出力層の各ノードへの入力となる。なお、中間層の数は、好ましくは2以上であるが、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0032】
出力層は、1または複数の評価項目の数に対応した数のノードを有し、各ノードは、典型的には、入力された値をそのまま出力する。各ノードからの出力は、これに対応する評価項目に対して予測される、タイヤの性能の評価を表す値である。この出力値が、機械学習モデル131Aの出力となる。すなわち、この出力は、ドライバーが、評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する。
【0033】
乗り心地に関連する評価項目としては、例えば感じられる振動の種類(細かい振動、粗い振動、人体に共振する振動等)、及び突き上げ感等が挙げられる。操縦安定性に関連する評価項目としては、収斂性、手応え、応答性、グリップ感及び硬さ等が挙げられる。本実施形態では、各評価項目についての評価は、基準タイヤの官能試験の評価を基準とする段階的な数値指標により行われる。例えば、基準タイヤの官能試験の各評価項目についての指標を「3」として、各評価項目の上限を「5」、下限を「1」とすれば、評価対象タイヤの(基準タイヤと比較した相対的な)性能を、1~5までの数値を選択することにより5段階評価することができる。機械学習モデル131Aにより出力される出力データは、1または複数の評価項目に対する、ドライバーの5段階評価結果の各予測値であるとも言うことができる。
【0034】
以上のように、本実施形態の機械学習モデル131Aは、入力データに対し、1または複数の評価項目に対応して、予測される評価結果を出力するように構成される。しかしながら、NNをベースとする機械学習モデル131Aの構成は、上記実施形態のものに特に限定されない。例えば、機械学習モデル131Aは、評価結果の予測値そのものではなく、ドライバーにより選択されると予測される、1または複数の評価項目に対する評価指標の確率を出力するように構成されてもよい(この場合、出力層の活性化関数としては、例えばsoftmax関数を使用することができる)。この場合、各評価項目のうち、最も確率が高い評価指標を評価指標の予測値とすることができる。このように、評価指標の予測値に換算可能な値も、ドライバーが、評価対象タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、基準タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果に対応する出力の一例である。
【0035】
<4.評価方法>
次に、
図2を参照しつつ、評価装置1の動作を含む評価対象タイヤの評価方法について説明する。
【0036】
まず、取得部10Aが、評価対象タイヤの1または複数の測定値を取得する(ステップS1)。測定値は、上述したように、公知のタイヤ性能試験機を用いて取得することができる。取得部10Aによる取得は、例えば評価装置1のユーザ(典型的には、タイヤの開発設計者)が入力部12を介して行ってもよいし、CD-ROM、USBメモリ等の記録媒体を介して行ってもよいし、ネットワークを介してタイヤ性能試験機からデータを読み出すことで行ってもよい。取得部10Aは、取得した測定値をRAMまたは記憶部13に保存する。
【0037】
続いて、導出部10Bが、入力部12を介して、ドライバーごとに構築された機械学習モデル131の中から、1つの機械学習モデル131の選択を受け付ける(ステップS2)。この選択は、各々の機械学習モデル131に関連付けられているドライバーを識別する情報を選択することにより行われてもよい。
【0038】
続いて、ステップS1で取得した測定値を機械学習モデル131に入力し、機械学習モデル131からの出力を導出する(ステップS3)。上述したように、これらの出力は、タイヤの性能について予め定められた各評価項目に対応する数値指標の予測値である。なお、機械学習モデル131の出力が、確率を表す値である場合は、選択される確率が最も高いと予測される評価指標を、数値指標の予測値とすることができる。
【0039】
続いて、画面生成部10Cが、ステップS3で導出された出力を表示する結果画面を生成し、表示部11を介して表示する(ステップS4)。結果画面は、例えば予め定められた評価項目と、各評価項目に対する数値指標の予測値とを対応させた表示を含むことができる。
【0040】
続いて、ステップS3で導出された出力、つまり評価結果の予測値に対し、検証部10Dによる検証が行われる(ステップS5)。検証部10Dは、ステップS2で選択されたドライバーが、実際に評価対象タイヤについて行った評価結果を取得し、予測値と比較する。実際の評価結果は、測定値の取得と同様、入力部12を介して行ってもよいし、記録媒体を介して行ってもよいし、ネットワークを介して別のコンピュータから受信してもよい。加えて、検証部10Dは、評価対象タイヤについて、目標とする性能評価(以下、「目標評価」と称する)のデータも取得する。目標評価は、基準タイヤを基準として定められる指標値である。実際の評価結果及び目標評価の取得は、いずれのタイミングで行われてもよい。
【0041】
評価結果と予測値との比較は、例えば各評価項目について、実際の評価結果と予測値との差を算出し、所定の閾値を超えた評価項目があるか否かで行うことができる。所定の閾値を超えた評価項目がない場合、検証部10Dは、「評価結果と予測値との間に差がない(NO)」と判定し、ステップS6が実行される。所定の閾値を超えた評価項目がある場合、検証部10Dは、「評価結果と予測値との間に差がある(YES)」と判定し、ステップS7が実行される。
【0042】
ステップS6では、ドライバーの実際の評価結果に基づき、評価対象タイヤが目標とする性能を有しているか否かの検証が行われる。検証部10Dは、実際の評価結果と目標評価とを比較し、目標とする性能が実現されているか否かを判定する。この比較は、ステップS5と同様に、例えば各評価項目について、実際の評価結果と目標評価との差を算出し、所定の閾値を超えた評価項目があるか否かで行うことができる。所定の閾値を超えた評価項目がない場合、検証部10Dは、「目標評価を達成(YES)」と判定する。この場合、開発の目的となるタイヤが作製されたことが確認されたため、当該タイヤについての開発は終了する。所定の閾値を超えた評価項目がある場合、検証部10Dは、「目的評価が未達成(NO)」と判定する。この場合、ステップS8が実行される。
【0043】
ステップS7では、画面生成部10Cが、ステップS6における検証結果を表示する画面を生成し、表示部11を介して表示する。結果画面は、例えばドライバーによる実際の評価結果と、数値指標の予測値とを各評価項目で対比させた表示を含むことができる。これを確認したユーザは、機械学習モデル131による予測値が実際の評価結果と差がある要因を解析し、対応を検討することができる。対応としては、例えば機械学習モデル131のハイパーパラメータを調整する、学習用のデータセットを変更して機械学習モデル131を再度学習させる(学習処理については、後述する)、評価指標を見直す、ドライバー自身の体調による評価のぶれを考慮する等が考えられるが、これに限定されない。
【0044】
ステップS8では、画面生成部10Cが、目標評価と実際の評価結果との差を表示する画面を生成し、表示部11を介して表示する。これを確認したユーザは、目標評価が未達成となった評価項目を特定し、対応を検討することができる。この場合、ステップS5で機械学習モデル131による予測が、ドライバーの評価結果にある程度一致することが既に検証されている。このため、ユーザは、例えば特定の測定値を変更した入力データを作成し、これを機械学習モデル131に入力し、再度出力を導出し、特定の測定値を変更することで、ドライバーの評価結果がどのように変わるかを予測することができる。すなわち、ドライバーの評価結果を、目標に近付けるための1または複数の測定値を特定することができる。この作業により、目標評価を達成するために、評価対象タイヤの測定値のうち、いずれの値をどの程度変更すればよいかを検討することが容易になる。この検討は、次の評価対象タイヤの試作への手掛かりとすることができる。
【0045】
<5.学習方法>
以下、
図3を参照しつつ、学習済みの機械学習モデル131Aを生成するための方法、つまり、学習部10Eにより実行される機械学習モデルの学習方法について説明する。
【0046】
上述したように、本実施形態の機械学習モデル131Aは、ドライバー別に生成される。このため、機械学習モデル131Aの学習用データセットもドライバー別に準備されるが、性能の評価項目及び測定値は、各学習用データセットで共通である。このため、以下では特定のドライバーに関連した機械学習モデルの学習方法について説明する。
【0047】
学習用データセットは、タイヤについての1または複数の測定値と、正解データとが組み合わされた多数のデータセットである。ここで、タイヤは、基準タイヤと、基準タイヤ以外の学習用タイヤとを含む。学習用タイヤは、例えば試作タイヤ等であり、評価対象タイヤに対応する。正解データは、タイヤが装着された車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を、特定のドライバーが評価した評価結果を表す。なお、学習用タイヤの評価結果は、基準タイヤが装着された前記車両の乗り心地及び操縦安定性の少なくとも一方を基準として評価した評価結果である。従って、本実施形態の正解データは、各評価項目についての評価結果の基準値(例えば、「3」等、一定の値)と、基準値に対する相対値で表された、各評価項目についての評価結果とを含む。
【0048】
上述した学習用データセットは、タイヤの設計開発の現場において、ドライバーが官能評価を行うことにより蓄積されるデータに基づいて準備することができる(ステップS11)。本実施形態では、準備された学習用データセットは、記録媒体やネットワークを介して評価装置1に取り込まれ、学習部10Eによって学習用データセット134として記憶部13に保存される。学習部10Eは、学習用データセット134を、パラメータ調整用の訓練用データセットと、精度検証用のテスト用データセットとに予め分けて保存する。両者の割合は、適宜設定することができる。
【0049】
続いて、学習部10Eが、訓練用データセットを所定の数のデータセットごとに分割し、複数のサブセットとする(ステップS12)。所定の数は、次のステップS13で1回当たりに機械学習モデルに入力するデータの数であり、適宜設定することができる。
【0050】
続いて、学習部10Eがサブセットの1つを選択し、選択したサブセットに含まれる計測値のデータを機械学習モデルに入力し、機械学習モデルからの出力を導出する(ステップS13)。出力は、入力された計測値のデータにそれぞれ組み合わされている正解データに対応するデータであり、本実施形態では、所定の評価項目に対応する評価指標の予測値である。
【0051】
続いて、学習部10Eが、ステップS13で導出された出力と、ステップS13で入力された測定値のデータに組み合わせられている正解データとの誤差関数の値が最小となるようにパラメータを調整する(ステップS14)。より具体的には、学習部10Eが、誤差逆伝播法により、機械学習モデルの中間層における重み係数及びバイアス等を調整し、更新する。
【0052】
続いて、学習部10Eが、1エポックの学習が完了したか否かを判断する(ステップS14)。本実施形態では、ステップS12で作成された各サブセットについて、ステップS13及びS14が1巡した場合に、1エポックの学習が完了したと判断される。1エポックの学習が完了していないと判断された場合(NO)、学習部10Eは、まだ使用されていないサブセットを用いて、ステップS13~ステップS14を繰り返す。一方、1エポックの学習が完了したと判断された場合(YES)、ステップS15が実行される。
【0053】
続くステップS15では、学習部10Eが、全エポックの学習が完了したか否かを判断する。全エポック数は、特に限定されず、適宜設定することができる。全エポックの学習が完了していないと判断された場合(NO)、学習部10Eは、前回のエポックと同じ順でサブセットを選択しながら、ステップS13~ステップS14を繰り返す。一方、全エポックの学習が完了したと判断された場合(YES)、学習部10Eは、最新のパラメータを記憶部13に格納し、これを学習済みの機械学習モデル131Aを定義するパラメータとする。つまり、以上の手順により、学習済みの機械学習モデル131Aが生成される。
【0054】
なお、学習部10Eは、学習が1エポック終了するごとに、テスト用データをその時点の機械学習モデルに入力して、その出力とテスト用データの正解データに対する誤差を算出し、算出結果を表示部11に表示してもよい。これにより、全エポックの学習が終了する前に、機械学習モデルの出力の誤差が所定の範囲内に収束したと考えられる場合は、その時点で学習を終了させてもよい。
【0055】
<6.特徴>
以上の評価装置1によれば、ドライバーごとの官能評価の特徴を学習した機械学習モデル131によって、評価対象タイヤの測定値に対する評価結果を予測することができる。これにより、具体的なタイヤの測定値とタイヤの性能評価(乗り心地や操縦安定性)との相関について、より多くの知見が得られることが期待される。特に上記実施形態では、機械学習モデル131による予測と、ドライバーによる実際の評価結果との比較が行われ、機械学習モデル131による予測の信頼性が裏付けられた後に、評価対象タイヤの測定値と評価結果との相関の検討が行われる。これにより、どの測定値がどの程度乗り心地や操縦安定性に作用するか、あるいは作用しないかの検討が容易となり、タイヤの設計開発をより効率的に行うことができる。
【0056】
また、機械学習モデル131を複数のドライバーに関連して構築することにより、各ドライバーに普遍的な傾向や、ドライバーにより差が出やすい評価項目等について、より多くの知見が得られる。これにより、どの測定値がどの程度乗り心地や操縦安定性に作用するか、あるいは作用しないかの検討がさらに促進されると考えられる。
【0057】
<7.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下に示す変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0058】
(1)
上記実施形態では、機械学習モデル131AとしてNNをベースとしたモデルが用いられたが、機械学習モデルはこれに限定されず、サポートベクタ―マシン(SVM)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデル、K-NNモデル、クラスタリング、k-means、決定木、ロジスティック回帰モデルを用いたモデル等、その他の機械学習モデル及びこれらを組み合わせたモデルが用いられてもよい。また、NNをベースとするモデルであっても、層構成等は適宜変更することができる。例えば、機械学習モデル131Aは、中間層以降が評価項目ごとに分かれたモデルであってもよい。この場合、出力層も各評価項目に対応して複数とすることができる。さらに、機械学習モデル131は、性能の評価項目ごとに1つ構築されてもよい。つまり、1つの機械学習モデル131で出力される値は、1つの評価対象タイヤについて1つであってもよい。また、いずれのモデルを採用した場合でも、機械学習モデル131で出力される値は、評価指標の予測値そのものであってもよいし、例えば評価指標1~5のそれぞれがドライバーによって選択される確率を表す値であってもよい。機械学習モデル131Aの学習方法も上記実施形態に限定されず、確率的勾配降下法等、公知のパラメータ最適化アルゴリズムを適用することができ、損失関数も特に限定されず、出力されるデータの性質に応じて適宜選択することができる。
【0059】
(2)
「予測モデル」としては、機械学習モデル131Aに加えて、またはこれに代えて、回帰モデル130Aを用いることができる。回帰モデル130Aは、1または複数の測定値を説明変数とし、特定の評価項目の評価指標を目的変数とする回帰式モデルであり、ドライバーごとに最適化されたパラメータ(説明変数の係数)で定義される。すなわち、回帰モデル130Aは、ドライバーごとに、また必要に応じて評価項目ごとに、最適化されたパラメータで定義される回帰モデル130の総称である。予測モデルとして回帰モデル130を用いる場合、これを定義するパラメータの決定は、最小二乗法等、公知の回帰アルゴリズムで行うことができる。また、ドライバーの実際の評価結果と予測値とに差があると判定される場合は、いずれのパラメータによる影響が大きいかを検討し、当該パラメータを容易に調整することができる。予測モデルとして回帰モデル130Aを用いた場合でも、どの測定値がどの程度乗り心地や操縦安定性に作用するか、あるいは作用しないかの検討が容易となり、ドライバーの実際の評価結果と目標評価とに差がある場合でも、どの測定値をどの程度変更するかの指針を効率的に得ることができる。
【0060】
(3)
上記実施形態では、性能評価指標として5段階指標を用いたが、性能評価指標はこれに限定されず、適宜変更することができる。
【0061】
(4)
上記実施形態では、評価装置1は1つの装置として構成されたが、各部10A~10E、記憶部13の機能は、複数の装置に分散されていてもよい。例えば、機械学習モデルの学習はネットワークを通じて提供されるサービスにより行い、構築された機械学習モデル131Aを評価装置1に保存することとしてもよい。
【0062】
(5)
評価装置1の制御部10は、CPUやGPUの他、ベクトルプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、その他人工知能専用チップ等を含んで構成されてもよい。また、制御部10の動作は、1または複数のプロセッサにより実行されてもよい。
【0063】
1 評価装置
10 制御部
10A 取得部
10B 導出部
10C 画面生成部
10D 検証部
130,130A 回帰モデル(予測モデル)
131,131A 機械学習モデル(予測モデル)