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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035290
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】電流検出回路及びスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20240307BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G01R19/00 B
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139658
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 竜也
【テーマコード(参考)】
2G035
5J055
【Fターム(参考)】
2G035AA01
2G035AB01
2G035AC02
2G035AD03
2G035AD10
2G035AD20
2G035AD28
2G035AD56
5J055AX00
5J055AX53
5J055AX65
5J055BX16
5J055CX22
5J055CX28
5J055DX13
5J055DX22
5J055DX54
5J055EX07
5J055EX12
5J055EX21
5J055EY01
5J055EY21
5J055EZ04
5J055EZ09
5J055FX04
5J055FX08
5J055FX13
5J055FX19
5J055GX01
5J055GX06
(57)【要約】
【課題】回路面積の増大を抑制しつつ軽負荷領域での電流検出精度を改善できる電流検出回路を提供する。
【解決手段】電流検出回路は、第1FET(M1)のドレインにドレインが共通接続され、前記第1FETのゲートにゲートが共通接続される第2FET(M2)と、前記第1FETのドレイン・ソース間電圧と前記第2FETのドレイン・ソース間電圧とを等しくするように構成されたバランス回路(A1、M3)と、前記第1FETのドレイン・ソース間電圧が所定値以下であるときに、前記第1FETのドレイン・ソース間電圧を制御するように構成された制御回路(R1、A2、CS1、CS2、M4、M6~M8、M10~M11)と、を有する。前記制御回路は、第1FETの出力電流に応じて前記第1FETのドレイン・ソース間電圧を可変する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電界効果トランジスタのドレインにドレインが共通接続され、前記第1電界効果トランジスタのゲートにゲートが共通接続される第2電界効果トランジスタと、
前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧と前記第2電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧とを等しくするように構成されたバランス回路と、
前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧が所定値以下であるときに、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧を制御するように構成された制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、第1電界効果トランジスタから出力される第1電流に応じて前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧を可変するように構成される、電流検出回路。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第1電流に応じた第2電流を出力するように構成された電流生成回路と、前記第2電流が流れるように構成された抵抗と、有し、
前記第2電流の値と前記抵抗の抵抗値によって前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧の値を設定するように構成される、請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第2電界効果トランジスタに電流が流れない場合に、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧の値を大きくする、請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項4】
前記第2電界効果トランジスタに電流が流れない場合に、
前記電流生成回路が前記第2電流の代わりに前記第2電流より大きい定電流を出力し、
前記制御回路は、前記定電流の値と前記抵抗の抵抗値によって前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧の値を設定するように構成される、請求項2に記載の電流検出回路。
【請求項5】
前記第1電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2電界効果トランジスタのドレインにドレインが共通接続され、前記第1電界効果トランジスタのゲート及び前記第2電界効果トランジスタのゲートにゲートが共通接続される第3電界効果トランジスタをさらに有し、
前記電流生成回路は、前記第3電界効果トランジスタから出力される第3電流に基づき、前記第2電流を生成するように構成される、請求項2に記載の電流検出回路。
【請求項6】
前記第1電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2電界効果トランジスタのドレインにドレインが共通接続され、前記第1電界効果トランジスタのゲート及び前記第2電界効果トランジスタのゲートにゲートが共通接続される第3電界効果トランジスタと、
前記第3電界効果トランジスタから出力される第3電流に基づき前記制御回路の制御を解除するための解除信号を生成するように構成された解除信号生成部と、
をさらに有する、請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電流検出回路と、
前記第1電界効果トランジスタと、を有するスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、電流検出回路及び当該電流検出回路を有するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IPD(intelligent power device)と称されるスイッチ装置は、一般的に、スイッチ装置から負荷に出力される出力電流を検出する電流検出回路を有する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記の電流検出回路は、出力電流が小さいほど電流検出精度が悪化するという傾向を有する。この傾向は、出力電流が小さいほどパワートランジスタ(スイッチ素子)での電圧降下が小さくなることに起因している。
【0004】
図6は、従来のスイッチ装置100の概略構成を示す図である。従来のスイッチ装置100の概略構成は、後述する比較例に係るスイッチ装置101の概略構成と重複するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0005】
図7は、従来のスイッチ装置100における出力電流IOUTとセンス電流ISENSEとの関係を示す図である。図8は、従来のスイッチ装置100における出力電流IOUTとパワートランジスタであるNMOS(N-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSとの関係を示す図である。
【0006】
差動アンプA1にオフセットがあると、図7に示す点線のように出力電流IOUTとセンス電流ISENSEとの線形関係が崩れる。その結果、センス電流ISENSEのミラー比(1/K)が大きくずれたり、出力電流IOUTが零でないにも関わらずセンス電流ISENSEが零になってしまう不感帯B1が発生するおそれがある。
【0007】
例えば、NMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSが1mVであるときに、差動アンプA1のオフセットが±1mVであると、センス電流ISENSEのミラー比が2倍になったり、センス電流ISENSEが流れなかったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-72740号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
つまり、従来のスイッチ装置100では、出力電流が小さくなる軽負荷領域において電流検出精度が悪化するという課題がある。そして、当該課題を解決するために電流検出回路の回路面積が大きくなり過ぎることは望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書中に開示されている電流検出回路は、第1電界効果トランジスタのドレインにドレインが共通接続され、前記第1電界効果トランジスタのゲートにゲートが共通接続される第2電界効果トランジスタと、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧と前記第2電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧とを等しくするように構成されたバランス回路と、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧が所定値以下であるときに、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧を制御するように構成された制御回路と、を有する。前記制御回路は、第1電界効果トランジスタから出力される第1電流に応じて前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧を可変するように構成される。
【0011】
本明細書中に開示されているスイッチ装置は、上記構成の電流検出回路と、前記第1電界効果トランジスタと、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書中に開示されている発明によれば、回路面積の増大を抑制しつつ軽負荷領域での電流検出精度を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、比較例に係るスイッチ装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、比較例に係るスイッチ装置における出力電流とセンス電流との関係を示す図である。
図3図3は、比較例に係るスイッチ装置における出力電流とパワートランジスタのドレイン・ソース間電圧との関係を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るスイッチ装置の概略構成を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るスイッチ装置における出力電流とパワートランジスタのドレイン・ソース間電圧との関係を示す図である。
図6図6は、従来のスイッチ装置の概略構成を示す図である。
図7図7は、従来のスイッチ装置における出力電流とセンス電流との関係を示す図である。
図8図8は、従来のスイッチ装置における出力電流とパワートランジスタのドレイン・ソース間電圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、MOSトランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなる電界効果トランジスタをいう。つまり、MOSトランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0015】
本明細書において、定電流源とは、定電流を出力する電流源をいう。本明細書において、定電流とは、理想的な状態において一定である電流を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電流である。
【0016】
<スイッチ装置(比較例)>
図1は、比較例(=後出の実施形態と対比される一般的な構成例)に係るスイッチ装置101の概略構成を示す図である。なお、図1において、図6と同一の部分には同一の符号を付す。
【0017】
比較例に係るスイッチ装置101は、従来のスイッチ装置100に抵抗R1、定電流源CS1、差動アンプA2、及びNMOSトランジスタM4を追加した構成である。
【0018】
比較例に係るスイッチ装置101は、端子T1~T4と、パワートランジスタであるNMOSトランジスタM1と、電流モニター用のNMOSトランジスタM2と、差動アンプA1と、PMOS(P-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタM3と、制御ロジック部1と、ゲートドライバ2と、を有する。また、比較例に係るスイッチ装置101は、上述した抵抗R1、定電流源CS1、差動アンプA2、及びNMOSトランジスタM4をさらに有する。
【0019】
端子T1には、電源電圧VBBが印加される。端子T1は、NMOSトランジスタM1及びM2の各ドレインに接続される。NMOSトランジスタM1のゲートとNMOSトランジスタM2のゲートとは共通接続される。なお、NMOSトランジスタM1のサイズは、NMOSトランジスタM2のサイズのK倍(K>1)である。
【0020】
NMOSトランジスタM1のソースは、端子T2に接続される。端子T2には、負荷RLの第1端が外付け接続される。負荷RLの第2端はスイッチ装置外部のグラウンド電位に接続される。
【0021】
NMOSトランジスタM2のソースは、PMOSトランジスタM3のソースに接続される。PMOSトランジスタM3のドレインは、端子T3に接続される。端子T3には、センス抵抗RSENSEの第1端が外付け接続される。センス抵抗RSENSEの第2端はスイッチ装置外部のグラウンド電位に接続される。
【0022】
差動アンプA1の非反転入力端子は、NMOSトランジスタM1のソースに接続される。差動アンプA1の反転入力端子は、NMOSトランジスタM2のソースに接続される。差動アンプA1の出力端子は、PMOSトランジスタM3のゲートに接続される。
【0023】
NMOSトランジスタM2及び差動アンプA1によって構成されるバランス回路は、NMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧とNMOSトランジスタM2のドレイン・ソース間電圧とを等しくするように動作する。NMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧とNMOSトランジスタM2のドレイン・ソース間電圧とが等しくなることで、NMOSトランジスタM1及びM2によって高精度のカレントミラー回路が構成される。
【0024】
制御ロジック部1は、端子T4が受け取る外部からの指示信号とスイッチ装置内部に設けられる各種保護回路(不図示)の出力とに基づき、ゲートドライバ2を制御する。図1に示す例では、ECU(electronic control unit)200が端子T4に指示信号を供給する。また、図1に示す例では、ECU200は、端子T3の電圧を監視することで、出力電流IOUTを間接的に監視し、例えば車載ランプ等である負荷RLの断線等を検知する。
【0025】
抵抗R1の第1端は、端子T1に接続される。抵抗R1の第2端は、差動アンプA2の反転入力端子及び定電流源CS1の第1端に接続される。定電流源CS1の第2端はスイッチ装置内部のグラウンド電位に接続される。差動アンプA2の非反転入力端子は、NMOSトランジスタM1及びM4の各ソースに接続される。差動アンプA2の出力端子は、NMOSトランジスタM4のゲートに接続される。NMOSトランジスタM4のドレインは、NMOSトランジスタM1及びM2の各ゲートに接続される。
【0026】
抵抗R1、定電流源CS1、差動アンプA2、及びNMOSトランジスタM4によって構成される制御回路は、負荷RLが軽負荷であるとき、すなわちNMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSが所定値以下であるときに、NMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSを一定の設定値に制御する。
【0027】
図2は、比較例に係るスイッチ装置101における出力電流IOUTとセンス電流ISENSEとの関係を示す図である。図3は、比較例に係るスイッチ装置101における出力電流IOUTとNMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSとの関係を示す図である。
【0028】
比較例に係るスイッチ装置101に設けられる電流検出回路は、負荷RLが軽負荷であるときにNMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSが一定になるため、出力電流IOUTが零でないにも関わらずセンス電流ISENSEが零になってしまう不感帯の発生を防止することができる(図2参照)。
【0029】
なお、出力電流IOUTとNMOSトランジスタM1のオン抵抗値との乗算値が上記の制御回路による一定の設定値を超えると、抵抗R1、定電流源CS1、差動アンプA2、及びNMOSトランジスタM4によって構成される制御回路の制御が解除される(図3参照)。ただし、図3に示す点線のように、上記の制御回路による一定の設定値にもバラツキがある。
【0030】
不感帯の発生を防止するためには、上記の制御回路による一定の設定値の最小値が差動アンプA1のオフセットの最大値より大きくなければならない。また、負荷RLが軽負荷であるときに差動アンプA1のオフセットの影響を小さくするためには、上記の制御回路による一定の設定値を大きくする必要がある。
【0031】
一方、負荷RLが軽負荷であって上記の制御回路の制御が解除されていないとき、NMOSトランジスタM1及びM2がフルオン状態でないため、NMOSトランジスタM1及びM2の閾値電圧の影響により、NMOSトランジスタM1及びM2によって構成されるカレントミラー回路のミラー比精度が悪化する。そのため、アプリケーションで想定される負荷領域に入る前に、制御回路の制御が解除される必要がある。
【0032】
NMOSトランジスタM1のオン抵抗が小さい場合、NMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSが小さくなるため、上記の要求を満たすためには、上記の制御回路及び差動アンプA1の精度向上が必要となり、上記の制御回路及び差動アンプA1の回路面積が大幅に増大する。
【0033】
ここで、NMOSトランジスタM1のオン抵抗が例えば室温で8mΩであり、アプリケーションで想定される負荷領域を出力電流IOUTが4A以上、差動アンプA1のオフセットの最大値を3mVとした場合を考える。
【0034】
この場合、差動アンプA2のオフセットの設計値は、最大値が22.4mV(=8mΩ×0.7(低温係数)×4A)となり、最小値が3mVとなる。したがって、上記の制御回路による一定の設定値は、12.7mV(=(22.4mV-3)/2)±9mV(5σ)となる。つまり、1σ=1.8mV以下にする必要があり、上記の制御回路において高い精度が必要となる。
【0035】
上記の考察に鑑み、以下では、回路面積の増大を抑制しつつ軽負荷領域での電流検出精度を改善できる新規な実施形態を提案する。
【0036】
<スイッチ装置(実施形態)>
図4は、実施形態に係るスイッチ装置102の概略構成を示す図である。なお、図4において、図1と同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0037】
実施形態に係るスイッチ装置102は、比較例に係るスイッチ装置101に対して、NMOSトランジスタM5、PMOSトランジスタM6、NMOSトランジスタM7~M11、及び定電流源CS2を追加した構成である。
【0038】
NMOSトランジスタM5のドレインは、NMOSトランジスタM1及びM2の各ドレインに共通接続される。NMOSトランジスタM5のゲートは、NMOSトランジスタM1及びM2の各ゲートに共通接続される。
【0039】
NMOSトランジスタM5のソースは、PMOSトランジスタM6のソースに接続される。NMOSトランジスタM6のゲートは、差動アンプA1の出力端子に接続される。
【0040】
NMOSトランジスタM5のドレインは、NMOSトランジスタM7のドレインと、NMOSトランジスタM7~M9の各ゲートと、に接続される。NMOSトランジスタM9のドレインから解除信号S1が差動アンプA2に供給される。
【0041】
定電流源CS2の第1端には電源電圧VBBが印加される。定電流源CS2の第2端は、NMOSトランジスタM8及びM10の各ドレインと、NMOSトランジスタM10及びM11の各ゲートと、に接続される。NMOSトランジスタM1のドレインは、抵抗R1及び定電流源CS1との接続ノードに接続される。NMOSトランジスタM7~M11の各ソースはスイッチ装置内部のグラウンド電位に接続される。
【0042】
抵抗R1と、定電流源CS1及びCS2と、差動アンプA2と、PMOSトランジスタM6と、NMOSトランジスタM4、M7~M8、及びM10~M11とによって制御回路が構成される。
【0043】
MOSトランジスタM2に電流が流れておりPMOSトランジスタM6がオンである場合、NMOSトランジスタM5は出力電流IOUTに応じた電流を出力する。NMOSトランジスタM5から出力される電流に応じた電流がNMOSトランジスタM8を流れ、定電流源CS2から出力される定電流からNMOSトランジスタM8を流れる電流を引いて得られる電流に応じた電流がNMOSトランジスタM11を流れる。したがって、定電流源CS1とNMOSトランジスタM11との接続ノードから出力されるシンク電流は、出力電流IOUTに応じた電流となる。
【0044】
これにより、上記の制御回路は、出力電流IOUTに応じてNMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSを可変するように動作する。
【0045】
図5は、実施形態に係るスイッチ装置102における出力電流IOUTとNMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSとの関係を示す図である。
【0046】
上記の制御回路によると、出力電流IOUTが小さいときにNMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSを大きくすることができる(図6参照)。したがって、実施形態に係るスイッチ装置102に設けられる電流検出回路は、回路面積の増大を抑制しつつ軽負荷領域での電流検出精度を改善できる。
【0047】
また、差動アンプA1のオフセットの影響により出力電流IOUTが流れているにもかかわらずMOSトランジスタM2に電流が流れておらずPMOSトランジスタM6がオフである場合、電流源CS2から出力される定電流は全てNMOSトランジスタM10に流れるため、定電流源CS1とNMOSトランジスタM11との接続ノードから出力されるシンク電流は、上述した出力電流IOUTに応じた電流より大きい定電流(電流源CS1から出力される定電流と電流源CS2から出力される定電流との合成電流)となる。
【0048】
つまり、差動アンプA1のオフセットの影響により出力電流IOUTが流れているにもかかわらずMOSトランジスタM2に電流が流れておらずPMOSトランジスタM6がオフである場合、上記の制御回路は、NMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSを一定値(上述した合成電流の電流値と抵抗R1の抵抗値との乗算値)にまで大きくする(図5参照)。これにより、上記の制御回路及び差動アンプA1の要求精度を緩くしても、不感帯の発生を防止することができる。
【0049】
また、出力電流IOUTが所定値に達すると、NMOSトランジスタM5から出力される電流に基づき、NOMSトランジスタM9がオンになり、解除信号(ローレベルの信号)S1が差動アンプA2に供給される。差動アンプA2は、解除信号S1を受け取ると、ローレベルの信号をNMOSトランジスタM4に供給し、トランジスタM4をオフにする。これにより、上記の前記制御回路の制御は解除される。
【0050】
つまり、出力電流IOUTが所定値に達すると、上記の前記制御回路の制御が解除される(図5参照)。したがって、アプリケーションで想定される負荷領域に入る前に、上記の制御回路の制御を解除することができる。
【0051】
アプリケーションで想定される負荷領域に入る前に、上記の制御回路の制御を解除することができるという効果のみが得られればよい場合には、比較例に係るスイッチ装置101と同様に、負荷RLが軽負荷であるときにNMOSトランジスタM1のドレイン・ソース間電圧VDSが一定になるような制御に変更しても構わない。
【0052】
<その他>
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。
【0053】
<付記>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0054】
本開示の電流検出回路は、第1電界効果トランジスタ(M1)のドレインにドレインが共通接続され、前記第1電界効果トランジスタのゲートにゲートが共通接続される第2電界効果トランジスタ(M2)と、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧と前記第2電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧とを等しくするように構成されたバランス回路(A1、M3)と、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧が所定値以下であるときに、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧を制御するように構成された制御回路(R1、A2、CS1、CS2、M4、M6~M8、M10~M11)と、を有し、前記制御回路は、第1電界効果トランジスタから出力される第1電流に応じて前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧を可変するように構成される構成(第1の構成)である。
【0055】
上記第1の構成の電流検出回路において、前記制御回路は、前記第1電流に応じた第2電流を出力するように構成された電流生成回路(A2、CS1、CS2、M6~M8、M10~M11)と、前記第2電流が流れるように構成された抵抗(R1)と、有し、前記第2電流の値と前記抵抗の抵抗値によって前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧の値を設定するように構成される構成(第2の構成)であってもよい。
【0056】
上記第1の構成の電流検出回路において、前記制御回路は、前記第2電界効果トランジスタに電流が流れない場合に、前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧の値を大きくする構成(第3の構成)であってもよい。
【0057】
上記第2の構成の電流検出回路において、前記第2電界効果トランジスタに電流が流れない場合に、前記電流生成回路が前記第2電流の代わりに前記第2電流より大きい定電流を出力し、前記制御回路は、前記定電流の値と前記抵抗の抵抗値によって前記第1電界効果トランジスタのドレイン・ソース間電圧の値を設定するように構成される構成(第4の構成)であってもよい。
【0058】
上記第2又は第4の構成の電流検出回路において、前記第1電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2電界効果トランジスタのドレインにドレインが共通接続され、前記第1電界効果トランジスタのゲート及び前記第2電界効果トランジスタのゲートにゲートが共通接続される第3電界効果トランジスタ(M5)をさらに有し、前記電流生成回路は、前記第3電界効果トランジスタから出力される第3電流に基づき、前記第2電流を生成するように構成される構成(第5の構成)であってもよい。
【0059】
上記第1~第5いずれかの構成の電流検出回路において、前記第1電界効果トランジスタのドレイン及び前記第2電界効果トランジスタのドレインにドレインが共通接続され、前記第1電界効果トランジスタのゲート及び前記第2電界効果トランジスタのゲートにゲートが共通接続される第3電界効果トランジスタ(M5)と、前記第3電界効果トランジスタから出力される第3電流に基づき前記制御回路の制御を解除するための解除信号を生成するように構成された解除信号生成部(M9)と、をさらに有する構成(第6の構成)であってもよい。
【0060】
本開示の電流検出回路は、上記第1~第6いずれかの構成の電流検出回路と、前記第1電界効果トランジスタと、を有する構成(第7の構成)であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 制御ロジック部
2 ゲートドライバ
100 従来のスイッチ装置
101 比較例に係るスイッチ装置
102 実施形態に係るスイッチ装置
200 ECU
A1、A2 差動アンプ
CS1、CS2 定電流源
M1、M2、M4、M5、M7~M11 NMOSトランジスタ
M3、M6 PMOSトランジスタ
R1 抵抗
RL 負荷
RSENSE センス抵抗
T1~T4 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8