IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社野村総合研究所の特許一覧

特開2024-35291投資ファンド検索システムおよび投資ファンド検索方法
<>
  • 特開-投資ファンド検索システムおよび投資ファンド検索方法 図1
  • 特開-投資ファンド検索システムおよび投資ファンド検索方法 図2
  • 特開-投資ファンド検索システムおよび投資ファンド検索方法 図3
  • 特開-投資ファンド検索システムおよび投資ファンド検索方法 図4
  • 特開-投資ファンド検索システムおよび投資ファンド検索方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035291
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】投資ファンド検索システムおよび投資ファンド検索方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9032 20190101AFI20240307BHJP
   G06Q 40/06 20120101ALI20240307BHJP
【FI】
G06F16/9032
G06Q40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139659
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】外園 康智
(72)【発明者】
【氏名】田村 光太郎
【テーマコード(参考)】
5B175
5L055
【Fターム(参考)】
5B175DA10
5B175FA01
5B175GA01
5L055BB55
(57)【要約】
【課題】投資ファンドを対象とした好適な検索を実現する技術を提供する。
【解決手段】検索装置18は、ファンド情報記憶装置16に記憶された、複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書に基づいて、各投資ファンドに対応するキーワードを決定する。検索装置18は、投資家端末12から検索用キーワードを受け付ける。検索装置18は、複数の投資ファンドの中から検索用キーワードに対応する投資ファンドを検索する。検索装置18は、検索用キーワードに対応する投資ファンドに関する情報を投資家端末12に提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書に基づいて、各投資ファンドに対応するキーワードを決定する決定部と、
検索者が指定した検索用のキーワードを受け付ける受付部と、
前記複数の投資ファンドの中から前記検索用のキーワードに対応する投資ファンドを検索する検索部と、
前記検索用のキーワードに対応する投資ファンドに関する情報を前記検索者に提供する提供部と、
を備える投資ファンド検索システム。
【請求項2】
前記決定部は、或る投資ファンドに関して作成された第1の文書と、複数のキーワードのそれぞれを説明する第2の文書との関連度を評価し、前記第1の文書との関連度が相対的に高い第2の文書により説明されるキーワードを前記或る投資ファンドに対応付ける、
請求項1に記載の投資ファンド検索システム。
【請求項3】
前記複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書において重要度が高いワードと、外部の情報サイトにおけるトレンドワードの少なくとも一方をキーワードとして取得するキーワード取得部をさらに備え、
前記決定部は、前記キーワード取得部により取得された複数のキーワードの中から各投資ファンドに対応するキーワードを決定する、
請求項1または2に記載の投資ファンド検索システム。
【請求項4】
前記決定部により決定された或る投資ファンドに対応するキーワードを変更可能な設定画面を提供する設定画面提供部をさらに備える、
請求項1または2に記載の投資ファンド検索システム。
【請求項5】
複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書に基づいて、各投資ファンドに対応するキーワードを決定するステップと、
検索者が指定した検索用のキーワードを受け付けるステップと、
前記複数の投資ファンドの中から前記検索用のキーワードに対応する投資ファンドを検索するステップと、
前記検索用のキーワードに対応する投資ファンドに関する情報を前記検索者に提供するステップと、
をコンピュータが実行する投資ファンド検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に投資ファンド検索システムおよび投資ファンド検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、ユーザから投資先企業に対する希望条件に関するキーワード情報を受け付け、学習モデルを用いてキーワード情報から照会情報を生成し、照会情報を用いてデータベースから抽出される投資先企業に関する情報をユーザに提示する情報提供装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-77009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
数多くの投資ファンドが存在する中、投資家は、自身の意向に即した投資ファンドを見つけることが容易ではない。本開示の技術はこうした課題に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、投資ファンドを対象とした好適な検索を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の投資ファンド検索システムは、複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書に基づいて、各投資ファンドに対応するキーワードを決定する決定部と、検索者が指定した検索用のキーワードを受け付ける受付部と、複数の投資ファンドの中から検索用のキーワードに対応する投資ファンドを検索する検索部と、検索用のキーワードに対応する投資ファンドに関する情報を検索者に提供する提供部とを備える。
【0006】
本開示の別の態様は、投資ファンド検索方法である。この方法は、複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書に基づいて、各投資ファンドに対応するキーワードを決定するステップと、検索者が指定した検索用のキーワードを受け付けるステップと、複数の投資ファンドの中から検索用のキーワードに対応する投資ファンドを検索するステップと、検索用のキーワードに対応する投資ファンドに関する情報を検索者に提供するステップとをコンピュータが実行する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、投資ファンドを対象とした好適な検索を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の投資ファンド検索システムの構成を示す図である。
図2図1の検索装置が備える機能ブロックを示すブロック図である。
図3】検索装置の動作を示すフローチャートである。
図4】紐付け情報の例を示す図である。
図5】設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態の概要を説明する。現在、数多くの投資ファンドが存在し、投資家による投資対象となっている。投資ファンドは、投資信託とも呼ばれ、投資家から集めた資金をまとめて、運用の専門家が株式や債券等に投資・運用する金融商品である。また、投資ファンドでは、各投資家の投資額に応じて運用成果が分配される。以下、投資ファンドを単に「ファンド」とも呼ぶ。
【0011】
これまで、投資家(特に個人投資家)が投資ファンドの特徴を判断する場合、投資ファンドの名称により判断すること、または、投資ファンドに関する文書(目論見書等)を読んで判断することが主な手段であった。しかし、前者の手段では限られた特徴しか分からないことがあり、また、後者の手段では、文書を読み込んで特徴を理解するまでに多くの時間がかかることがあった。そのため、投資先となり得る多数の投資ファンドが存在する状況下で、投資家は、自身の意向に即した投資ファンドを見つけることが容易でなかった。また、投資ファンドの販売元(例えば資産運用会社や証券会社)にとっても、自身の投資ファンドの特徴を投資家に訴求することは容易でなかった。
【0012】
このような課題を踏まえ、本実施形態では、投資ファンドを対象とした好適なキーワード検索を実現する技術を提案する。実施形態での「ワード」はフレーズを含み、「キーワード」はキーフレーズを含む。以下、実施形態の詳細を説明する。
【0013】
図1は、実施形態の投資ファンド検索システム10の構成を示す。投資ファンド検索システム10は、複数の投資家端末12、複数のファンド担当者端末14、ファンド情報記憶装置16、検索装置18を備える。これらの装置は、LAN・WAN・インターネット等を含み得る通信網20を介して接続される。
【0014】
複数の投資家端末12は、複数の投資家(典型的には個人投資家)により操作される複数の情報処理装置である。複数の投資家端末12は、投資家端末12a、投資家端末12b、投資家端末12cを含む。複数の投資家端末12のそれぞれは、コンピュータ、タブレット端末、スマートフォンであってもよい。
【0015】
複数のファンド担当者端末14は、各投資ファンドの販売元の担当者(例えば営業担当者やファンドマネージャ等、以下「ファンド担当者」とも呼ぶ)により操作される複数の情報処理装置である。複数のファンド担当者端末14は、ファンド担当者端末14a、ファンド担当者端末14b、ファンド担当者端末14cを含む。複数のファンド担当者端末14のそれぞれは、コンピュータ、タブレット端末、スマートフォンであってもよい。
【0016】
ファンド情報記憶装置16は、投資ファンドに関する種々の情報(総称して「ファンド情報」とも呼ぶ)を記憶する情報処理装置である。ファンド情報記憶装置16は、データベース管理システムが導入されたデータベースサーバであってもよい。ファンド情報は、投資ファンドに関して作成された文書を含み、例えば、月次報告書、運用報告書、目論見書等のデータを含む。
【0017】
検索装置18は、投資家により指定された検索用キーワードに適合する投資ファンドを検索し、検索結果を投資家に提供する情報処理装置である。検索装置18は、証券会社のウェブサイト上のサービスとして、投資ファンドの検索サービスを提供してもよい。
【0018】
図2は、図1の検索装置18が備える機能ブロックを示すブロック図である。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
検索装置18は、処理部30、記憶部32、通信部34を備える。処理部30は、投資ファンドの検索に関するデータ処理を実行する。処理部30は、検索装置18のプロセッサ(CPU等)により実現されてもよい。記憶部32は、処理部30により参照または更新されるデータを記憶する。通信部34は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。処理部30は、通信部34を介して、投資家端末12、ファンド担当者端末14、ファンド情報記憶装置16とデータを送受信する。
【0020】
記憶部32は、キーワードリスト記憶部36と紐付け情報記憶部38を含む。キーワードリスト記憶部36は、キーワードリストを記憶する。キーワードリストは、投資ファンドと対応付ける候補となる1つ以上のキーワードを示す情報である。紐付け情報記憶部38は、紐付け情報を記憶する。紐付け情報は、複数の投資ファンドのそれぞれと、1つ以上のキーワードとを対応付けた情報である。
【0021】
処理部30は、キーワード取得部40、紐付け部42、設定画面提供部44、検索要求受付部46、検索部48、検索結果提供部50を含む。これら複数の機能ブロックの機能は、コンピュータプログラムに実装されてもよい。このコンピュータプログラムは、記録媒体またはネットワークを介して検索装置18のストレージにインストールされてもよい。検索装置18のプロセッサは、このコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0022】
キーワード取得部40は、複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書において重要度が高いワードと、外部の情報サイトにおけるトレンドワードの少なくとも一方をキーワードとして取得する。実施形態では、キーワード取得部40は、前者の重要度が高いワードと、後者のトレンドワードの両方をキーワードとして取得する。トレンドワードは、ニュースやSNS(Social networking service)で注目されているホットワードとも言える。キーワード取得部40は、取得した1つ以上のキーワードを記録したキーワードリストをキーワードリスト記憶部36に格納する。
【0023】
紐付け部42は、決定部として、複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書に基づいて、各投資ファンドに対応するキーワードを決定する。言い換えれば、紐付け部42は、各投資ファンドに対して1つ以上のキーワードを自動で対応付ける。紐付け部42は、キーワード取得部40により取得され、キーワードリスト記憶部36に格納された複数のキーワードの中から各投資ファンドに対応するキーワードを決定する。
【0024】
また、紐付け部42は、或る投資ファンドに関して作成された第1の文書と、複数のキーワードのそれぞれを説明する第2の文書との関連度を評価する。紐付け部42は、第1の文書との関連度が相対的に高い第2の文書により説明されるキーワードを上記或る投資ファンドに対応付ける。紐付け部42は、投資ファンドとキーワードとの対応関係を示す紐付け情報を紐付け情報記憶部38に格納する。
【0025】
設定画面提供部44は、紐付け部42により決定された或る投資ファンドに対応するキーワードを変更可能な設定画面をファンド担当者端末14に提供する。実施形態の設定画面は、紐付け部42により自動で決定された或る投資ファンドに対応するキーワードを手動で変更可能なユーザインタフェースである。紐付け部42は、設定画面における投資ファンドとキーワードの対応付けの編集結果を、紐付け情報記憶部38の紐付け情報に反映する。
【0026】
検索要求受付部46は、検索者(実施形態では投資家端末12の投資家)が指定した検索用キーワードを含む検索要求を受け付ける。検索部48は、紐付け情報記憶部38の紐付け情報を参照して、複数の投資ファンドの中から検索用キーワードに対応する投資ファンドを検索する。検索結果提供部50は、検索部48による検索結果に関する情報を検索者に提供する。検索結果に関する情報は、検索用キーワードに対応する投資ファンドに関する情報を含み得る。
【0027】
以上の構成による投資ファンド検索システム10の動作を説明する。図3は、検索装置18の動作を示すフローチャートである。検索装置18は、図3に示す処理を繰り返し実行する。
【0028】
検索装置18のキーワード取得部40は、投資ファンドとキーワードとの紐付けを更新すべきタイミングに至った場合、そのことを検出する。更新タイミングは、例えば、(1)投資ファンドとキーワードとの紐付けが前回更新されてから、予め定められた時間(例えば1か月)が経過したタイミングでもよい。また、更新タイミングは、(2)新規の投資ファンドに関するデータ(文書等)がファンド情報記憶装置16に格納されたタイミングでもよい。また、更新タイミングは、(3)検索装置18の管理者等から紐付けの更新指示が検索装置18に入力されたタイミングでもよい。(2)の場合、紐付け情報の更新範囲は、新規の投資ファンドのみであってもよい。(3)の場合、紐付け情報の更新範囲は、検索装置18の管理者等により指定された投資ファンドのみであってもよい。
【0029】
投資ファンドとキーワードとの紐付けを更新すべきタイミングに至った場合(S10のY)、検索装置18のキーワード取得部40は、ファンド情報記憶装置16に記憶されたファンド情報に基づいてキーワードリストを作成する(S11)。S11において、キーワード取得部40は、検索の母集団としての複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書(ここでは月次報告書とする)をファンド情報記憶装置16から取得する。キーワード取得部40は、複数の投資ファンドに対応する複数の月次報告書(ファンドマネージャのコメント等)において頻出の用語を抽出する。
【0030】
また、S11において、キーワード取得部40は、複数の投資ファンドを複数のグループに分類し、各グループ内の月次報告書において登場回数が多い用語を抽出する。グループは、パフォーマンス上位、直近3か月の新規設定等を含んでもよい。また、S11において、キーワード取得部40は、「上昇」、「下降」等、投資判断に関連すると想定される予め定められた抽出対象用語を記憶し、複数の投資ファンドに対応する複数の月次報告書から抽出対象用語を抽出する。キーワード取得部40は、抽出した用語をキーワードリスト記憶部36のキーワードリストに登録する。
【0031】
また、キーワード取得部40は、世の中のトレンドワードに基づいてキーワードリストを作成する(S12)。S12において、キーワード取得部40は、外部のSNS(Social Networking Service)サイト(例えばミニブログサイト)が提供するAPI(pplication Programming Interface)を呼び出すことにより、当該SNSサイトにおける現在のトレンドワードを取得する。また、キーワード取得部40は、外部の検索サイトが公開する、当該検索サイトにおいて現在検索数が多いトレンドワードを取得する。
【0032】
S12において、キーワード取得部40は、取得したトレンドワードの中から、投資ファンドに対応付ける候補となるキーワードを抽出する。例えば、キーワード取得部40は、トレンドワード(フレーズ)を品詞分解し、特定の品詞(例えば名詞または動詞)のワードをキーワードとして抽出してもよい。また、キーワード取得部40は、外部の百科事典サイトにアクセスして、抽出したトレンドワードのうち百科事典サイトに記事があるトレンドワードをキーワードとして抽出してもよい。
【0033】
また、キーワードの除外カテゴリが予め定められてもよい。除外カテゴリは、例えば、人物、グループ、男性名、女性名、番組、楽曲、遊園地、ゲーム、漫画、ドラマ、雑誌、映画、ソフト、新聞を含んでもよい。キーワード取得部40は、或るトレンドワードが属するカテゴリが除外カテゴリに該当する場合、当該トレンドワードをキーワードから除外してもよい。キーワード取得部40は、或るトレンドワードが属するカテゴリが除外カテゴリに該当しなければ、当該トレンドワードをキーワードとして抽出してもよい。トレンドワードが属するカテゴリとして、外部の百科事典サイトにおける当該トレンドワードに対応する記事のカテゴリを当てはめてもよい。
【0034】
キーワード取得部40は、抽出したトレンドワードをキーワードリスト記憶部36のキーワードリストに登録する。キーワードリストに登録されるキーワードは、例えば、「証券」、「SaaS」、「カーボンニュートラル」、「オンライン診療」、「土壌汚染」等、様々な単語やフレーズを含み得る。
【0035】
紐付け部42は、複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書に基づいて、各投資ファンドに、キーワード取得部40により取得された複数のキーワードであって、かつ、キーワードリスト記憶部36のキーワードリストに登録された複数のキーワードの中から特定のキーワードを対応付ける(S13)。
【0036】
S13において、紐付け部42は、紐付け部42は、外部の百科事典サイトから、キーワードリストに登録された複数のキーワードのそれぞれに関する記事(言い換えれば、各キーワードを説明する文書)を取得する。また、紐付け部42は、処理対象の投資ファンドに関する文書(ここでは月次報告書とする)をファンド情報記憶装置16から取得する。
【0037】
紐付け部42は、処理対象の投資ファンドの月次報告書(第1文書)と、複数のキーワードのそれぞれを説明する記事(第2文書)とを比較して両者の関連度(類似度とも言える)を評価する。紐付け部42は、キーワードリスト内のキーワードごとに処理対象の投資ファンドとの関連度を評価する。文書間の関連度の評価には公知技術を用いてもよい。例えば、紐付け部42は、機械学習モデルを用いて、第1文書と第2文書の関連度を評価してもよい。この機械学習モデルは、第1文書と第2文書の入力を受け付けて、これらの文書間の関連度を示す指標値を出力する数理モデルであってもよい。
【0038】
紐付け部42は、処理対象の投資ファンドの月次報告書との関連度が相対的に高い記事により説明されるキーワードを処理対象の投資ファンドに対応するキーワードとして決定する。実施形態では、紐付け部42は、上記関連度を示す指標値が上から所定順位内(例えば上位10位内)の記事に対応するキーワードを処理対象の投資ファンドに対応付ける。紐付け部42は、処理対象の投資ファンドと、上記関連度が相対的に高い複数のキーワードとを対応付けた紐付け情報を紐付け情報記憶部38に格納する。紐付け部42は、処理対象の投資ファンドを切り替えつつ上記の処理を繰り返し、ファンド情報記憶装置16で管理された複数の投資ファンドのそれぞれに対応するキーワードを決定する。
【0039】
図4は、紐付け情報記憶部38に記憶される紐付け情報の例を示す。図4では、3つの投資ファンド(AAA、BBB、CCC)に関する紐付け情報を示している。紐付け情報は、投資ファンドの識別情報(「ファンド名」列)と、投資ファンドに対応付けられたキーワード(図4の関連順位1~10であり、以下「対応キーワード」とも呼ぶ)を含む。対応キーワードは、紐付け部42により処理対象の投資ファンドに自動で対応付けられたキーワードを含み、また、ファンド担当者が手動で紐付けたキーワードも含む。
【0040】
図4には不図示だが、実施形態の紐付け情報は、「キーワード候補」をさらに含む。キーワード候補は、例えば、対象キーワードに続く関連順位(11~20位)のキーワードを含み、また、ファンド担当者が手動で候補に追加したキーワードを含む。紐付け情報は、各キーワードの情報として、投資ファンドとの関連度を示す指標値を含む。図4では、この指標値を「スコア」として示し、スコアが大きいほど、関連度が高いことを意味する。
【0041】
図3に戻り、投資ファンドとキーワードとの紐付けを更新すべきタイミングでなければ(S10のN)、S11~S13の処理をスキップする。検索装置18は、紐付け情報の更新タイミングに至る都度、S11~S13の処理を実行することにより紐付け情報記憶部38の紐付け情報を更新する。
【0042】
ファンド担当者端末14は、ファンド担当者の操作に応じて、特定の投資ファンド(ここでは「特定投資ファンド」と呼ぶ)とキーワードとの対応付けの編集要求を検索装置18へ送信する。この編集要求は、特定投資ファンドとキーワードとの対応関係の設定画面の表示指示とも言える。ファンド担当者端末14から送信された編集要求が受け付けられると(S14のY)、検索装置18の設定画面提供部44は、特定投資ファンドに関する設定画面のデータを生成して、そのデータをファンド担当者端末14へ送信する(S15)。
【0043】
ファンド担当者端末14は、特定投資ファンドに関する設定画面を表示部に表示させる。図5は、設定画面の例を示す。設定画面60は、キーワード案62と追加キーワード候補66を含む。設定画面提供部44は、紐付け情報記憶部38に記憶された、特定投資ファンドの紐付け情報に含まれる対応キーワードをキーワード案62に設定する。また、設定画面提供部44は、特定投資ファンドの紐付け情報に含まれるキーワード候補を追加キーワード候補66に設定する。
【0044】
ファンド担当者は、キーワード案62に含まれる不要なキーワード(すなわち検索でヒットしてほしくないキーワード)に対応する削除ボタン64を選択することにより、不要なキーワードをキーワード案62から削除する。また、ファンド担当者は、追加キーワード候補66に含まれるキーワードのうち、キーワード案62に追加したいキーワード(すなわち検索でヒットしてほしいキーワード)に対応する追加キーワード候補66に対応する追加ボタン68を選択することにより、当該キーワード候補をキーワード案62に追加する。また、ファンド担当者は、追加キーワード候補66に任意の文字列を設定し、その任意の文字列をキーワード案62に追加することができる。
【0045】
紐付け情報の更新を指示する操作が設定画面60に入力されると、ファンド担当者端末14は、設定画面60のキーワード案62に含まれる1つ以上のキーワード(対応キーワード)と、追加キーワード候補66に含まれる1つ以上のキーワード(キーワード候補)を検索装置18へ送信する。
【0046】
図3に戻り、検索装置18の紐付け部42は、紐付け情報記憶部38に記憶された、特定投資ファンドの紐付け情報に含まれる対応キーワードを、ファンド担当者端末14から送信された対応キーワードに更新する。また、紐付け部42は、紐付け情報記憶部38に記憶された、特定投資ファンドの紐付け情報に含まれるキーワード候補を、ファンド担当者端末14から送信されたキーワード候補に更新する(S16)。特定投資ファンドとキーワードとの対応付けの編集要求を受け付けなければ(S14のN)、S15とS16の処理をスキップする。
【0047】
投資家端末12は、投資家の操作に応じて、投資家が指定した検索用キーワードを含む検索要求を検索装置18へ送信する。検索装置18の検索要求受付部46は、投資家端末12から送信された検索要求を受け付ける。検索要求が受け付けられると(S17のY)、検索装置18の検索部48は、紐付け情報記憶部38に記憶された紐付け情報(例えば図4)を参照して、検索用キーワードに対応する投資ファンドを検索する(S18)。
【0048】
例えば、検索部48は、紐付け情報において、検索用キーワードに一致する対応キーワードに紐付けられた投資ファンドを、検索用キーワードに対応する投資ファンドとして抽出する。また、検索部48は、検索用キーワードに類似する対応キーワードに紐付けられた投資ファンドも、検索用キーワードに対応する投資ファンドとして抽出する。具体的には、検索部48は、予め定められた類語辞書(シソーラスとも呼ばれる)を参照して検索用キーワードの類語を識別し、検索用キーワードの類語に一致する対応キーワードに紐付けられた投資ファンドも、検索用キーワードに対応する投資ファンドとして抽出してもよい。類語辞書は、例えば、「BRICs」の類語として、「ブラジル」、「ロシア」、「インド、「中国」を定めたものであってもよい。
【0049】
検索装置18の検索結果提供部50は、検索部48による検索結果を示すデータを投資家端末12へ提供する(S19)。検索結果提供部50は、投資家により指定された検索用キーワードに対応する投資ファンドが抽出された場合、検索用キーワードに対応する投資ファンドに関する情報(例えば名称、概要、各種文書等)をファンド情報記憶装置16から取得する。そして検索結果提供部50は、検索用キーワードに対応する投資ファンドに関する情報を投資家端末12へ送信する。
【0050】
なお、検索部48は、検索用キーワードに対応する複数の投資ファンドを抽出した場合、紐付け情報に記録された、検索用キーワードに一致または類似する対応キーワードのスコアが相対的に高い投資ファンドを相対的に上位に設定した検索結果を生成してもよい。例えば、図4の紐付け情報において検索用キーワードが「SaaS」の場合、検索部48は、ファンドCCCをファンドAAAより上位に設定した検索結果を生成してもよい。この場合、検索結果提供部50は、ファンドCCCの情報を上位に設定し、ファンドAAAの情報を下位に設定した検索結果の表示用データを投資家端末12へ送信してもよい。
【0051】
投資家端末12は、検索装置18から提供された検索結果を示すデータを表示部に表示させる。例えば、投資家端末12は、投資家が指定した検索用キーワードに対応する投資ファンドに関する情報を表示させる。投資家端末12から検索装置18への検索要求がなければ(S17のN)、S18とS19の処理をスキップする。
【0052】
実施形態の投資ファンド検索システム10によると、複数の投資ファンドのそれぞれに関する文書(目論見書や月次報告書等)に基づき作成した紐付け情報を用いて、投資家が指定した検索用キーワードに関連度が高い投資ファンドの情報を投資家に提供できる。これにより、投資家は、投資ファンドに関して専門家が作成した文書(目論見書や月次報告書等)を読まなくても、検索用キーワードを自由に指定して、自身の意向に沿った投資ファンドを見つけやすくなる。
【0053】
また、実施形態の投資ファンド検索システム10によると、投資ファンドの販売元にとっても、自身の投資ファンドの特徴を投資家に訴求し易くなる。例えば、ファンドマネージャが株式・債券・その他有価証券等の銘柄や投資割合を決定するアクティブファンドについて、従来、投資家がアクティブファンドの内容を理解することは容易でなく、アクティブファンドへの投資の喚起が課題であった。実施形態の投資ファンド検索システム10によると、投資家の意向に即したアクティブファンドの情報を提供でき、アクティブファンドへの投資を喚起することができる。
【0054】
また、実施形態の投資ファンド検索システム10によると、投資ファンドに関して作成された第1の文書と、複数のキーワードのそれぞれを説明する第2の文書との関連度を評価し、投資ファンドに対応するキーワードを自動で決定する。これにより、人の手間を低減しつつ精度の高い投資ファンドのキーワード検索を実現できる。また、投資ファンドに関する第1の文書の中にキーワードそのものが記載されていない場合でも、当該キーワードを説明する第2の文書との関連度に基づいて当該投資ファンドと当該キーワードを紐付けることができ、投資ファンドとキーワードの一層適切な紐付けを実現できる。
【0055】
また、実施形態の投資ファンド検索システム10によると、複数の投資ファンドのそれぞれに関して作成された文書において重要度が高いワードと、外部の情報サイトにおけるトレンドワードを、投資ファンドに対応付けるキーワードの候補として取得する。これにより、投資ファンドに関する文書中での重要なワードや外部の情報サイトにおけるトレンドワードを反映したキーワード検索を実現できる。また、実施形態の投資ファンド検索システム10では、投資ファンドとキーワードとの紐付け情報を適時更新していく。これにより、投資ファンドに関する文書中での重要なワードの変化や、外部の情報サイトにおけるトレンドワードの変化に追従したキーワード検索を実現できる。
【0056】
また、実施形態の投資ファンド検索システム10によると、投資ファンドの担当者は、設定画面60を使用して、投資ファンドの内容を踏まえた対応キーワードを当該投資ファンドに直接紐付けることができる。これにより、適切な対応キーワードを自動で紐付けることが容易でないカテゴリの投資ファンド(例えば債券ファンドやマルチアセットファンド)にも適切な対応キーワードが紐付くよう支援できる。
【0057】
以上、本開示を実施形態をもとに説明した。実施形態に記載の内容は例示であり、実施形態の構成要素や処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0058】
変形例を説明する。検索装置18は、検索画面提供部をさらに備えてもよい。検索画面提供部は、投資ファンドの検索画面のデータを投資家端末12に提供する。検索画面は、検索用キーワードとして自由な文字列を受け付けるキーワード自由入力エリアと、予め定められた候補ワードの中から検索用キーワードの指定を受け付けるキーワード選択エリアとを含む。検索画面提供部は、キーワードリスト記憶部36のキーワードリストの中から、時事性の高いキーワードを抽出し、抽出したキーワードを候補ワードとしてキーワード選択エリアに設定する。時事性の高いキーワードは、外部の情報サイトからキーワード取得部40が取得したトレンドワードに含まれるキーワードであってもよい。
【0059】
検索画面のキーワード選択エリアにて特定のキーワードが選択された場合、検索装置18は、選択された特定のキーワードを検索用キーワードとして取得し、以降、実施形態と同様の処理を実行する。この変形例によると、世の中のトレンドに即した検索用キーワードを容易に指定できるよう投資家を支援でき、また、世の中のトレンドに即した検索用キーワードによる検索結果を得られるよう投資家を支援できる。
【0060】
別の変形例を説明する。検索装置18の紐付け部42は、文書比較に代えて、キーワードリストの各キーワードの、投資ファンドに関する文書(月次報告書等)内での重要度に応じて、投資ファンドに対応するキーワードを決定してもよい。例えば、紐付け部42は、投資ファンドに関する文書内での各キーワードの重要度を示す指標値として、各キーワードのtf-idf(term frequency - inverse document frequency)値を求めてもよい。紐付け部42は、tf-idf値が相対的に高いキーワード(例えばtf-idf値が上位10位内のキーワード)を当該投資ファンドに対応付けてもよい。
【0061】
上記実施形態または変形例において検索装置18が備えた複数の機能ブロックは、複数の装置に分散して実装されてもよい。そして、これら複数の装置が互いにデータを送受信しつつシステムとして連携することにより、上記実施形態または変形例の検索装置18の処理と同様の処理が実現されてもよい。
【0062】
上述した実施形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0063】
10 投資ファンド検索システム、 18 検索装置、 40 キーワード取得部、 42 紐付け部、 44 設定画面提供部、 46 検索要求受付部、 48 検索部、 50 検索結果提供部、 60 設定画面。
図1
図2
図3
図4
図5