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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035328
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】繊維製品用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20240307BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D3/04
C11D3/20
C11D3/37
C11D3/386
C11D1/66
C11D1/02
C11D1/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139720
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】土居 青太
(72)【発明者】
【氏名】黒田 志穂
(72)【発明者】
【氏名】大塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 準也
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC12
4H003AC13
4H003BA12
4H003DA01
4H003EA12
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB22
4H003EB28
4H003EB36
4H003EB38
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003ED29
4H003FA04
4H003FA12
4H003FA16
4H003FA26
4H003FA28
4H003FA34
4H003FA47
(57)【要約】
【課題】液外観安定性及び酵素安定性に優れる繊維製品用液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(A)成分:亜硫酸(塩)及び亜硫酸水素(塩)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(B)成分:α-ヒドロキシ-モノカルボン酸(塩)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(C)成分:下記(C1)成分及び(C2)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種と、(D)成分:酵素と、(E)成分:界面活性剤とを含有する繊維製品用液体洗浄剤組成物。
(C1)成分:ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体及びポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種
(C2)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群より選ばれる1種以上の単位とを有するポリマー
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:亜硫酸、亜硫酸塩、亜硫酸水素及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
(B)成分:α-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びα-ヒドロキシ-モノカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
(C)成分:下記(C1)成分及び下記(C2)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
(C1)成分:ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体及びポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種
(C2)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位とを有するポリマー
(D)成分:酵素と、
(E)成分:界面活性剤と、
を含有する、繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(E)成分がノニオン界面活性剤及び非石けん系アニオン界面活性剤を含み、前記ノニオン界面活性剤はエチレンオキシドの平均付加モル数が10以下のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を含む、請求項1に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤/前記非石けん系アニオン界面活性剤で表される質量比が1~5である、請求項2に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(C)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.29~600である、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類等を洗浄対象とする繊維製品用の洗浄剤としては、粉末洗浄剤と液体洗浄剤との2種が一般的である。液体洗浄剤は、溶け残りの懸念がないことや衣類等に塗布して使用できることから、その需要が高まっている。
【0003】
洗浄剤は、保存中に黄変等の変色を生じることがある。洗浄剤に変色が生じると、洗剤製品の美観を損ね、商品価値を減じるおそれがある。特に、モノエタノールアミン等の窒素含有化合物を含有する液体洗浄剤は黄変しやすい傾向にある。液体洗浄剤が透明な容器に保存されている場合は、液体洗浄剤の変色が目立つため、液外観安定性の改善が求められる。
かかる液体洗浄剤の変色の問題に対し、例えば、特許文献1には、亜硫酸塩等の色安定化化合物を液体洗浄剤に配合することで、液体洗浄剤の黄変が抑制できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平7-500862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗浄剤には、洗浄力をより高める目的で、酵素が配合されることがある。
しかしながら、酵素を含む液体洗浄剤に亜硫酸塩を配合すると、酵素の活性が低下する、すなわち酵素安定性が低下するという新たな問題が生じる。
本発明は、液外観安定性及び酵素安定性に優れる繊維製品用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1] (A)成分:亜硫酸、亜硫酸塩、亜硫酸水素及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
(B)成分:α-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びα-ヒドロキシ-モノカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
(C)成分:下記(C1)成分及び下記(C2)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
(C1)成分:ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体及びポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体からなる群より選ばれる少なくとも1種
(C2)成分:アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位とを有するポリマー
(D)成分:酵素と、
(E)成分:界面活性剤と、
を含有する、繊維製品用液体洗浄剤組成物。
[2] 前記(E)成分がノニオン界面活性剤及び非石けん系アニオン界面活性剤を含み、前記ノニオン界面活性剤はエチレンオキシドの平均付加モル数が10以下のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を含む、前記[1]の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
[3] 前記ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤/前記非石けん系アニオン界面活性剤で表される質量比が1~5である、前記[2]の繊維製品用液体洗浄剤組成物。
[4] 前記(C)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.29~600である、前記[1]~[3]のいずれかの繊維製品用液体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液外観安定性及び酵素安定性に優れる繊維製品用液体洗浄剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維製品用液体洗浄剤組成物(以下、単に「液体洗浄剤組成物」ともいう。)は、以下に示す(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分と、(E)成分とを含有する組成物である。
液体洗浄剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分に加えて、以下に示す(F)成分をさらに含有することが好ましい。
また、液体洗浄剤組成物は、水を含有していてもよい。また、液体洗浄剤組成物は、必要に応じて(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び水以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、亜硫酸、亜硫酸塩、亜硫酸水素及び亜硫酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
液体洗浄剤組成物が(A)成分を含有することで、液体洗浄剤組成物が黄変しにくくなり、液体洗浄剤組成物の液外観安定性が向上する。
【0010】
亜硫酸塩は、亜硫酸イオン(SO 2-)を含む化合物全般を意味する。亜硫酸塩としては、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等の亜硫酸のアルカリ金属塩;亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸バリウム等の亜硫酸のアルカリ土類金属塩;亜硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
亜硫酸水素塩は、亜硫酸水素イオン(HSO )を含む化合物全般を意味する。亜硫酸水素塩としては、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等の亜硫酸水素のアルカリ金属塩;亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素マグネシウム等の亜硫酸水素のアルカリ土類金属塩;亜硫酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
これらの中でも、(A)成分としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩が好ましく、亜硫酸塩がより好ましく、亜硫酸のアルカリ金属塩がさらに好ましく、亜硫酸ナトリウムが特に好ましい。
(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0011】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~0.7質量%が好ましく、0.05~0.6質量%がより好ましく、0.1~0.5質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物の液外観安定性を良好に維持できる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物を低温(例えば0℃以下)で保存しても(A)成分が析出しにくく、安定性(以下、「低温安定性」ともいう。)を良好に維持できる。加えて、酵素安定性がより向上する。
【0012】
<(B)成分>
(B)成分は、α-ヒドロキシ-モノカルボン酸及びα-ヒドロキシ-モノカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(B)成分と後述する(C)成分との併用により、酵素である(D)成分の表面に(B)成分及び(C)成分が吸着することで活性部位が保護され、酵素安定性が高まる。
【0013】
α-ヒドロキシ-モノカルボン酸としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
11-C(OH)(R12)-COOH ・・・(1)
(式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、ニトロ基、炭素数2~6のエステル基、炭素数2~6のエーテル基、置換基を有していてもよいアミノ基、又はアミン誘導体基である。)
【0014】
11及びR12における、アルキル基又はアリール基が有してもよい置換基としては、例えば炭素数1~10のアリール基、炭素数1~6のアルキル基、ニトロ基、ニトロ誘導体基、ヒドロキシル基、炭素数2~6のエステル基、炭素数2~6のエーテル基、置換基を有していてもよいアミノ基、アミン誘導体基、アミド基、アミド誘導体基、ハロゲン原子等が挙げられる。
11及びR12における、アミノ基が有してもよい置換基としては、例えばエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ベンジル基、フェニル基、ピリジル基等が挙げられる。
【0015】
α-ヒドロキシ-モノカルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、エタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0016】
(B)成分としては、例えばグリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシイソ酪酸、マンデル酸、それらの光学異性体、及びそれらの塩が好ましく、マンデル酸、乳酸、及びそれらの塩がより好ましく、乳酸及びその塩がさらに好ましく、乳酸ナトリウムが特に好ましい。
(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0017】
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.3~2.0質量%が好ましく、0.4~1.5質量%がより好ましく、0.5~1.0質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、(D)成分表面に(B)成分が十分に吸着し、液体洗浄剤組成物での酵素安定性をより高めることができる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の低温安定性がより向上する。
【0018】
<(C)成分>
(C)成分は、下記(C1)成分及び下記(C2)成分からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(C)成分と(B)成分との併用により、(D)成分表面に(B)成分及び(C)成分が吸着することで活性部位が保護され、酵素安定性が高まる。
(C)成分は、(C1)成分のみを含んでいてもよいし、(C2)成分のみを含んでいてもよいが、酵素安定性がより高まる観点から、(C1)成分及び(C2)成分を含むことが好ましい。
【0019】
((C1)成分)
(C1)成分は、ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体(以下、「(C11)成分」ともいう。)及びポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体(以下、「(C12)成分」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0020】
(C11)成分は、ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体である。
ポリアルキレンイミンは、下記一般式(2)で表される。
NH-R21-(NA21-R21-NH ・・・(2)
(式(1)中、R21はそれぞれ独立して、炭素数2~6のアルキレン基であり、A21は水素原子又は分岐による別のポリアミン鎖を示し、nは、1以上の数である。ただし、前記A21がすべて水素原子であることはない。)
【0021】
21は、炭素数2~6の直鎖状のアルキレン基又は炭素数3~6の分岐鎖状のアルキレン基である。R21は、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
ポリアルキレンイミンは、炭素数2~6のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる。炭素数2~6のアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミン、1,1-ジメチルエチレンイミン等が挙げられる。
ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリプロピレンイミンが好ましく、PEIがより好ましい。PEIは、エチレンイミンを重合することによって得られ、その構造中に、1級、2級及び3級アミン窒素原子を含む分岐鎖構造を有している。
【0022】
ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、200~2000が好ましく、300~1500がより好ましく、400~1000がさらに好ましく、500~800が特に好ましい。
なお、本明細書における重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた値を意味する。
【0023】
ポリアルキレンイミンとしては、その1分子中に活性水素を5~30個有するものが好ましく、7~25個有するものがより好ましく、10~20個有するものがさらに好ましい。
【0024】
(C11)成分は、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加して得られる。この方法としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性触媒の存在下、出発物質であるポリアルキレンイミンに対して、100~180℃でエチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させる方法等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、炭素数2~4のアルキレンオキシドが挙げられる。前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられ、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
【0025】
(C11)成分としては、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのプロピレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体等が挙げられる。なお、前記ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体は、ポリアルキレンイミンにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを付加したものであり、ポリアルキレンイミンに対するエチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加順序や付加形態(ブロック状、ランダム状)は任意である。
(C11)成分としては、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体が好ましく、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体がより好ましい。
【0026】
(C11)成分としては、原料であるポリアルキレンイミンが有する活性水素1原子に対し、平均5~40個のアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均10~30個のアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。即ち、原料であるポリアルキレンイミンが有する活性水素1モルあたりに、平均5~40モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均10~30モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。
【0027】
(C11)成分の重量平均分子量は、1000~80000が好ましく、2000~50000がより好ましく、5000~30000がさらに好ましく、10000~20000が特に好ましい。
(C11)成分としては、例えば、下記一般式(2-1)で表される化合物が挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】
式(2-1)中、R22はそれぞれ独立して、炭素数2~6のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立して、1以上の数である。
22は、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
mは、(R22O)の平均繰り返し数であり、5~40が好ましく、10~30がより好ましい。なお、本明細書において、オキシアルキレン基(アルキレンオキシド)の平均繰り返し数を「平均付加モル数」ともいう。
(C11)成分としては、合成品が用いられてもよいし、市販品が用いられてもよい。
(C11)成分の市販品としては、例えばBASF社製の商品名「Sokalan HP20」等が挙げられる。
【0030】
(C12)成分は、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体である。
ポリアルキレンアミンは、下記一般式(3)で表される。
NH(R31NH)H ・・・(3)
(式(3)中、R31は炭素数2~6のアルキレン基であり、lは1以上の数である。)
【0031】
31は、炭素数2~6の直鎖状のアルキレン基又は炭素数3~6の分岐鎖状のアルキレン基である。R31は、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
ポリアルキレンアミンとしては、ポリエチレンアミンが好ましい。ポリエチレンアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。なお、これらのポリエチレンアミンは、公知の製造方法、例えばアンモニア及びエチレンジクロリドを反応させることで得られる。
【0032】
ポリアルキレンアミンの重量平均分子量は、60~1800が好ましく、60~1000がより好ましく、60~800がさらに好ましい。
【0033】
ポリアルキレンアミンとしては、その1分子中に活性水素を6~30個有するものが好ましく、7~20個有するものがさらに好ましい。
【0034】
(C12)成分は、ポリアルキレンアミンにアルキレンオキシドを付加して得られる。この反応は、(C11)成分と同様に行える。アルキレンオキシドとしては、炭素数2~4のアルキレンオキシドが挙げられる。前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられ、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
【0035】
(C12)成分としては、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンアミンのプロピレンオキシド付加体、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体等が挙げられる。
(C12)成分としては、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体が好ましく、ポリアルキレンアミンのエチレンオキシド付加体がより好ましい。
【0036】
(C12)成分としては、原料であるポリアルキレンアミンが有する活性水素1原子に対し、平均5~40個のアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均10~30個のアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。即ち、原料であるポリアルキレンアミンが有する活性水素1モルあたりに、平均5~40モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均10~30モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。
【0037】
(C12)成分の重量平均分子量は、1000~80000が好ましく、2000~50000がより好ましく、5000~30000がさらに好ましく、10000~20000が特に好ましい。
【0038】
(C1)成分としては、(C11)成分が好ましい。(C11)成分の中でも、ポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体が好ましい。
(C1)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0039】
((C2)成分)
(C2)成分は、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位(以下、これらを総称して「(c21)単位」ともいう。)と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単位(以下、これらを総称して「(c22)単位」ともいう。)とを有するポリマーである。
【0040】
(C2)成分のポリマーを構成する(c21)単位のうち、アルキレンテレフタレート単位としては、下記一般式(4-1)で示される単位が挙げられる。
【0041】
【化2】
【0042】
式(4-1)中、R41は、低級アルキレン基である。
41における低級アルキレン基の炭素数は、1~5が好ましく、1~4がより好ましく、2~4がさらに好ましい。
【0043】
アルキレンテレフタレート単位の具体例としては、エチレンテレフタレート単位、n-プロピレンテレフタレート単位、イソプロピレンテレフタレート単位、n-ブチレンテレフタレート単位、イソブチレンテレフタレート単位、sec-ブチレンテレフタレート単位、tert-ブチレンテレフタレート単位等が挙げられる。これらの中でも、イソプロピレンテレフタレート単位が好ましい。
すなわち、R41としては、具体的には、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレンが挙げられ、イソプロピレンが好ましい。
(c21)単位として、単一種類のアルキレンテレフタレート単位を単独で用いてもよく、複数種類のアルキレンテレフタレート単位を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
(C2)成分のポリマーを構成する、(c21)単位のうち、アルキレンイソフタレート単位としては、下記一般式(4-2)で示される単位が挙げられる。
【0045】
【化3】
【0046】
式(4-2)中、R42は低級アルキレン基である。
42における低級アルキレン基の炭素数は、1~5が好ましく、1~4がより好ましく、2~4がさらに好ましい。
【0047】
アルキレンイソフタレート単位の具体例としては、エチレンイソフタレート単位、n-プロピレンイソフタレート単位、イソプロピレンイソフタレート単位、n-ブチレンイソフタレート単位、sec-ブチレンイソフタレート単位、tert-ブチレンイソフタレート単位等が挙げられる。これらの中でも、イソプロピレンイソフタレート単位が好ましい。
すなわち、R42としては、具体的には、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、sec-ブチレン、及びtert-ブチレンが挙げられ、プロピレンが好ましい。
(c21)単位として、単一種類のアルキレンイソフタレート単位を単独で用いてもよく、複数種類のアルキレンイソフタレート単位を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
(c21)単位は、上記アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位から選択される単位を、単独で、又は2種以上の単位を組み合わせて使用することができる。すなわち、(C2)成分は、アルキレンテレフタレート単位のみを有していてもよく、アルキレンイソフタレート単位のみを有していてもよく、アルキレンテレフタレート単位とアルキレンイソフタレート単位の両方を有していてもよい。
(c21)単位は、1分子中に1単位で導入されてもよいし、2単位以上(すなわちブロック状)で導入されてもよい。
(C2)成分における1分子が有する(c21)単位の繰り返し数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましい。
【0049】
(C2)成分のポリマーを構成する(c22)単位としては、下記一般式(4-3)で示される単位が挙げられる。
-(R43O)- ・・・(4-3)
(式(4-3)中、R43は低級アルキレン基であり、kはR43Oの平均繰り返し数を表し、1~100の整数である。)
【0050】
43における低級アルキレン基の炭素数は、1~4が好ましく、2~4がより好ましく、2又は3がさらに好ましい。
kはR43Oの平均繰り返し数を表し、kが1の場合、式(4-3)で示される単位はオキシアルキレン単位であり、kが2以上の場合、式(4-3)で示される単位はポリオキシアルキレン単位である。kは1~100の整数であり、1~80の整数が好ましく、整数であり、1~50の整数がより好ましい。
【0051】
(c22)単位の具体例としては、オキシエチレン単位及びポリオキシエチレン単位;オキシプロピレン単位及びポリオキシプロピレン単位;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位等が挙げられる。これらの中でもオキシエチレン単位及びポリオキシエチレン単位が好ましい。
(c22)単位は、上記オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位から選択される単位を、単独で、又は2種以上の単位を組み合わせて使用することができる。すなわち、(C2)成分は、オキシアルキレン単位のみを有していてもよく、ポリオキシアルキレン単位のみを有していてもよく、オキシアルキレン単位とポリオキシアルキレン単位の両方を有していてもよい。
【0052】
(C2)成分は、(c21)単位と(c22)単位とがブロック状に重合しているポリマーでもよく、ランダム状に重合しているポリマーでもよい。これらの中でも(C2)成分としては(c21)単位と(c22)単位とがブロック状に重合しているポリマーが好ましい。
【0053】
(C2)成分は、(c21)単位及び(c22)単位に加えて、これら以外の単位(以下、「(c23)単位」ともいう。)を有していてもよい。(c23)単位としては、重合開始剤や重合停止剤等に由来する繰り返し単位、(c21)単位又は(c22)単位を提供するモノマーと共重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位等が挙げられる。
(c21)単位及び(c22)単位の合計は、(C2)成分を構成する全ての単位(100モル%)に対して、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であってもよい。
【0054】
(C2)成分は、それ自体の溶解性と液体洗浄剤組成物とした場合の液安定性の点から、水溶性ポリマーであることが好ましい。
ここでいう「水溶性ポリマー」とは、直径12cmの1Lビーカーで、10gのポリマーを水温が40℃の条件で1000gの水に添加し、スターラー(太さ8mm、長さ50mm、)で12時間攪拌(200rpm)したときに溶解しているものをいう。
【0055】
(C2)成分の好適な具体例としては、下記一般式(4-4)で表される高分子化合物、下記一般式(4-5)で表される高分子化合物、又はこれらの混合物を含むものが挙げられる。
【0056】
【化4】
【0057】
式(4-4)中、A41及びA42はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、R44、R45及びR46はそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレン基であり、s1は0~10であり、t1及びu1はそれぞれ独立して、1~100である。
式(4-5)中、A43及びA44はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、R47、R48及びR49はそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレン基であり、s2は0~10であり、t2及びu2はそれぞれ独立して、1~100である。
【0058】
式(4-4)中、A41及びA42はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、いずれもメチル基であることが好ましい。
式(4-4)中、R44、R45及びR46はそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレン基であり、炭素数2~3のアルキレン基であることが好ましい。
式(4-4)中、s1は0~10であり、0.5~5が好ましく、0.5~2.5がより好ましい。
式(4-4)中、t1及びu1はそれぞれ独立して、1~100であり、1~80が好ましく、1~50がより好ましく、10~50がさらに好ましく、20~30が特に好ましい。
【0059】
式(4-5)中、A43及びA44はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、いずれもメチル基であることが好ましい。
式(4-5)中、R47、R48及びR49はそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレン基であり、炭素数2~3のアルキレン基であることが好ましい。
式(4-5)中、s2は0~10であり、0.5~5が好ましく、0.5~2.5がより好ましい。
式(4-5)中、t2及びu2はそれぞれ独立して、1~100であり、1~80が好ましく、1~50がより好ましく、10~50がさらに好ましく、20~30が特に好ましい。
【0060】
式(4-4)において、s1と(t1+u1)の比[s1:(t1+u1)]は、1:5~1:20が好ましく、1:8~1:18がより好ましい。
式(4-5)において、s2と(t2+u2)の比[s2:(t2+u2)]は、1:5~1:20が好ましく、1:8~1:18がより好ましい。
s1と(t1+u1)の比、及びs2と(t2+u2)の比が上記範囲内であれば、洗浄力がより高められ、かつ水に対する溶解性がより高められる。
【0061】
(C2)成分の重量平均分子量は、500~10000が好ましく、800~9000がより好ましく、1000~8000がさらに好ましい。
【0062】
(C2)成分は市場において容易に入手することができる。また、文献等に開示の合成方法:例えば、Journal of Polymer Science , 第3巻,609~630ページ(1948年)、Journal of Polymer Science,第8巻,1~22ページ(1951年)、特開昭61-218699号公報記載の方法により製造することができる。
【0063】
(C2)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
また、(C2)成分としては、合成品が用いられてもよいし、市販品が用いられてもよい。
(C2)成分の市販品としては、例えばクラリアント社製の商品名「TexCare SRN-100」(重量平均分子量2000~3000)、商品名「TexCare SRN-300」(重量平均分子量7000);ローディア社製の商品名「Repel-O-Tex Crystal」、商品名「Repel-O-Tex QC」等が挙げられる。これらの中でも、水への溶解性が高く、保存安定性にも優れる点から、「TexCare SRN-100」が好ましい。また、取り扱い性に優れる点から、前記「TexCare SRN-100」の70%水溶液として市販されている、クラリアント社製の商品名「TexCare SRN-170C」が好ましい。
【0064】
(含有量・質量比)
(C)成分の含有量、すなわち、(C1)成分及び(C2)成分の含有量の合計は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.2~6.0質量%が好ましく、0.5~5.0質量%がより好ましく、0.8~4.0質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、酵素安定性をより高めることができる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物における他の成分の配合の自由度を確保しやすい。
【0065】
(C1)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.2~3.0質量%が好ましく、0.5~2.5質量%がより好ましく、0.8~2.0質量%がさらに好ましい。(C1)成分の含有量が上記下限値以上であれば、酵素安定性をより高めることができる。(C1)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物における他の成分の配合の自由度を確保しやすい。
【0066】
(C2)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.2~3.0質量%が好ましく、0.5~2.5質量%がより好ましく、0.8~2.0質量%がさらに好ましい。(C2)成分の含有量が上記下限値以上であれば、酵素安定性をより高めることができる。(C2)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物における他の成分の配合の自由度を確保しやすい。
【0067】
(C)成分/(A)成分で表される質量比、すなわち、((C1)成分+(C2)成分)/(A)成分で表される質量比(以下、「C/A比」ともいう。)は、0.29~600が好ましく、1~100がより好ましく、2~40がさらに好ましい。C/A比が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物がより黄変しにくくなり、液外観安定性がより向上する。加えて、酵素安定性をより高めることができる。C/A比が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物における他の成分の配合の自由度を確保しやすい。
【0068】
(C1)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「C1/A比」ともいう。)は、0.29~300が好ましく、0.5~50がより好ましく、1~20がさらに好ましい。C1/A比が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物がより黄変しにくくなり、液外観安定性がより向上する。加えて、酵素安定性をより高めることができる。C1/A比が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物における他の成分の配合の自由度を確保しやすい。
【0069】
(C2)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「C2/A比」ともいう。)は、0.29~300が好ましく、0.5~50がより好ましく、1~20がさらに好ましい。C2/A比が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物がより黄変しにくくなり、液外観安定性がより向上する。加えて、酵素安定性をより高めることができる。C2/A比が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物における他の成分の配合の自由度を確保しやすい。
【0070】
(C1)成分/(C2)成分で表される質量比(以下、「C1/C2比」ともいう。)は、0.07~15が好ましく、0.16~6.25がより好ましく、0.25~4がさらに好ましい。C1/C2比が上記下限値以上であれば、酵素安定性をより高めることができる。C1/C2比が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物における他の成分の配合の自由度を確保しやすい。
【0071】
(B)成分/(C)成分で表される質量比(以下、「B/C比」ともいう。)は、0.05~0.40が好ましく、0.05~0.24がより好ましく、0.08~0.22がさらに好ましく、0.13~0.20が特に好ましい。B/C比が上記下限値以上であれば、酵素安定性をより高めることができる。B/C比が上記上限値以下であれば、低温安定性がより向上する。
【0072】
(B)成分/(C1)成分で表される質量比(以下、「B/C1比」ともいう。)は、0.10~1.00が好ましく、0.10~0.49がより好ましく、0.16~0.45がさらに好ましく、0.16~0.40が特に好ましく、0.25~0.30が最も好ましい。B/C1比が上記下限値以上であれば、酵素安定性をより高めることができる。B/C1比が上記上限値以下であれば、低温安定性がより向上する。
【0073】
(B)成分/(C2)成分で表される質量比(以下、「B/C2比」ともいう。)は、0.10~1.00が好ましく、0.10~0.49がより好ましく、0.16~0.45がさらに好ましく、0.16~0.40が特に好ましく、0.25~0.30が最も好ましい。B/C2比が上記下限値以上であれば、酵素安定性をより高めることができる。B/C2比が上記上限値以下であれば、低温安定性がより向上する。
【0074】
<(D)成分>
(D)成分は、酵素である。
液体洗浄剤組成物が(D)成分を含有することで、洗浄力が高まる。
ここで、酵素とは、酵素製剤のことを意味する。
(D)成分として、液体の酵素製剤を使用してもよいし、固体(顆粒状)の酵素製剤を使用してもよい。固体の酵素製剤を使用する場合、その一部、あるいは全量が液体洗浄剤組成物中に固体の状態で存在することが、酵素の安定性の点で好ましい。
【0075】
(D)成分としては、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼなどが挙げられる。
プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼのように、分子内にセリン、ヒスチジン、及びアスパラギン酸を有するプロテアーゼが好ましい。具体的には、プロテアーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Savinase Evity 16L、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L、Progress Uno 100L、Deozyme、Savinase Evity 12T、Kannase Evity 24T;ジェネンコア社から入手できる商品名Purafect L、Purafect OX,Properase L;デュポン社から入手できる商品名EFFECTENZ P150、EFFECTENZ P100、PREFERENZ P100等が挙げられる。
【0076】
アミラーゼとしては、アミラーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L、Amplify 12L、Amplify Prime 100L、Stainzyme Plus 12T;ジェネンコア社から入手できる商品名Maxamyl;デュポン社から入手できる商品名EFFECTENZ S100;天野エンザイム株式会社から入手できる商品名プルラナーゼアマノ;生化学工業株式会社から入手できる商品名DB-250等が挙げられる。
リパーゼとしては、リパーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Lipex 100L、Lipolase 100L、Lipex 100T等が挙げられる。
セルラーゼとして、セルラーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Endolase 5000L、Celluzyme 0.4L、Carezyme 4500L、Celluclean 4500T;デュポン社から入手できる商品名REVITALENTZ 2000等が挙げられる。
マンナナーゼとしては、マンナナーゼ製剤としてノボザイムズ社から入手できる商品名Mannaway 4L、Mannaway 4.0T等が挙げられる。
酵素が2種以上配合されたマルチ酵素としては、Medley Core 210L、Medley Core 200L、Medley Boost 300L、Medley Advance 200T、Medley Glow 200L、Medley Brilliant 100L、Medley Essential 150L、Medley Core 200T、Medley CleanR、Medley Essential 200T、Medley SmartR、Medley Advance 200T、Medley Boost 200L、Medley Boost 200T、Medley SuperioR 100T等が挙げられる。
(D)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0077】
(D)成分としては、プロテアーゼを含むことが好ましい。プロテアーゼを配合することにより、タンパク汚れに対する洗浄力がより高められる。
プロテアーゼとしては、上記の中でも、商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L、Everlase Ultra 16L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L、Progress Uno 100Lが好ましく、Alcalase 2.5L、Everlase 16L、Savinase 16L、Coronase 48L、Progress Uno 100Lがより好ましい。
【0078】
(D)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~3.0質量%が好ましく、0.05~2.0質量%がより好ましく、0.1~1.5質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であれば、(D)成分の析出が抑制され、液体洗浄剤組成物の液外観安定性がより向上する。
【0079】
(A)成分/(D)成分で表される質量比(以下、「A/D比」ともいう。)は、0.1~70が好ましく、0.2~12がより好ましく、0.3~5がさらに好ましい。A/D比が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物の液外観安定性を良好に維持できる。A/D比が上記上限値以下であれば、(D)成分の析出が抑制され、液体洗浄剤組成物の液外観安定性がより向上する。
【0080】
<(E)成分>
(E)成分は、界面活性剤である。
液体洗浄剤組成物が(E)成分を含有することで、洗浄力が高まる。
【0081】
(E)成分としては、従来公知の洗浄剤に使用可能な界面活性剤であれば特に制限されず、例えばノニオン界面活性剤、非石けん系アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤などが挙げられる。
(E)成分として、1種の界面活性剤を用いてもよく、2種以上の界面活性剤を組み合わせてもよい。
洗浄力がより高まる観点から、(E)成分はノニオン界面活性剤(以下、「(E1)成分」ともいう。)及び非石けん系アニオン界面活性剤(以下、「(E2)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
(E)成分として、(E1)成分及び(E2)成分と、(E1)成分及び(E2)成分以外の界面活性剤(以下、「(E3)成分」ともいう。)とを併用してもよい。
【0082】
((E1)成分)
(E1)成分は、ノニオン界面活性剤である。
(E1)成分としては、例えばポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、炭素数8~22の脂肪酸又は炭素数8~22のアミン等のアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシドなどが挙げられる。
(E1)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0083】
(E1)成分としては、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましく、その中でも特に、下記一般式(5-1)で表される化合物(以下、「化合物(5-1)」ともいう。)、下記一般式(5-2)で表される化合物(以下、「化合物(5-2)」ともいう。)がより好ましく、化合物(5-1)がさらに好ましい。
【0084】
51-O-[(EO)p1/(A52O)q1]-(EO)r1-R52 ・・・(5-1)
(一般式(5-1)中、R51は炭素数7~22の炭化水素基であり、R52は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、p1はEO平均繰り返し数を示す3~25の数であり、A52OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表し、q1はA52Oの平均繰り返し数を示す0~20の数であり、r1はEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【0085】
51の炭化水素基における炭素数は7~22であり、10~22が好ましく、10~20がより好ましく、10~18がさらに好ましく、12~18が特に好ましい。R51は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。具体的には、R51は直鎖状の炭化水素基であってもよく、分岐鎖状の第1級の炭化水素基及び直鎖状の第2級炭化水素基から選ばれる基であってもよい。
52としては、水素原子、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
51が直鎖状の炭化水素基の場合、p1+r1は3~30が好ましく、5~18がより好ましく、6~18がさらに好ましく、10~18が特に好ましい。q1は0~6の数が好ましく、0~3がより好ましい。
51が分岐鎖状の第1級の炭化水素基及び直鎖状の第2級炭化水素基から選ばれる基である場合、p1+r1は3~10が好ましく、wは0が好ましい。
r1が0の場合、p1は4~20が好ましく、5~16がより好ましく、6~10がさらに好ましい。q1は0~4が好ましく、0~2がより好ましく、0がさらに好ましい。
r1が1以上の場合、p1は4~16が好ましく、6~12がより好ましく、8~10がさらに好ましい。q1は1~4が好ましく、2~3がより好ましい。r1は4~16が好ましく、6~12がより好ましく、8~10がさらに好ましい。
q1が1以上である場合、[(EO)p1/(A52O)q1]において、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
なお、平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0086】
53-X-[(EO)p2/(A52O)q2]-(EO)r2-R54 ・・・(5-2)
(一般式(5-2)中、R53は炭素数7~22の炭化水素基であり、-X-は、-COO-又は-CONH-であり、R54は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、p2はEO平均繰り返し数を示す3~25の数であり、A52はPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表し、q2はA52Oの平均繰り返し数を示す0~6の数であり、r2はEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。)
【0087】
53の炭化水素基における炭素数は7~22であり、9~19が好ましく、11~17がより好ましい。R53は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。具体的には、R53は直鎖状の炭化水素基であってもよく、分岐鎖状の第1級の炭化水素基及び直鎖の第2級炭化水素基から選ばれる基であってもよい。
-X-としては、-COO-が好ましい。
54としては、水素原子、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、炭素数1~2のアルキル基がより好ましい。
r2が0の場合、p2は6~22が好ましく、9~20がより好ましく、12~18がさらに好ましい。q2は0~4が好ましく、0~2がより好ましく、0がさらに好ましい。
r2が1以上の場合、p2は4~16が好ましく、6~12がより好ましく、8~10がさらに好ましい。q2は1~4が好ましく、2~3がより好ましい。r2は4~16が好ましく、6~12がより好ましく、8~10がさらに好ましい。
q2が1以上である場合、[(EO)p2/(A52O)q2]において、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。
【0088】
化合物(5-2)としては、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルが好ましく、特に式(5-2)におけるR53が炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基であり、-X-が-COO-であり、R54がメチル基であり、p2=15であり、q2=0、r2=0である化合物(以下、MEEということがある)がより好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステル、特にMEEは、水溶液系中で分子同士の配向性が弱く、ミセルが不安定なノニオン界面活性剤である。このため、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルは、高濃度でゲル化等を生じず、仮に1種単独で多量に液体洗浄剤組成物中に配合されても、水への溶解性を高められると推測される。従って、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルを含む液体洗浄剤組成物が水に接触すると速やかに分散されて洗浄液となると考えらえる。また洗浄液中のポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルの濃度が速やかに均一となり、洗浄初期から適切な濃度の洗浄液と被洗物(繊維製品)とを接触させることができ、その結果、高い洗浄力を発揮できると考えられる。
【0089】
化合物(5-2)としては、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルの中でも、エチレンオキシドの付加モル数が異なる化合物の分布の割合を示すナロー率が、20質量%以上であるものが好ましい。ナロー率の上限値は実質的に80質量%以下が好ましい。ナロー率は、20~60質量%がより好ましい。ナロー率が高いほど良好な洗浄力が得られるが、高すぎると低温での液安定性が低下するおそれがあることから、ナロー率は25~40質量%がさらに好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステル等のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤のナロー率は、下記の数式(S)で求められる値である。
【0090】
【数1】
【0091】
数式(S)中、pmaxは、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤中に最も多く存在するアルキレンオキシド付加体におけるアルキレンオキシドの付加モル数を示す。iはアルキレンオキシドの付加モル数を示す。Yiは式(S)で表される成分全体の中に存在するアルキレンオキシドの付加モル数がiであるアルキレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。
なお、前記ナロー率は、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルの製造方法等によって制御することができる。
【0092】
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルの製造方法としては特に制限されるものではないが、例えば、表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルに酸化エチレンを付加重合させる方法(特開2000-144179号公報参照)が挙げられる。
前記の表面改質された複合金属酸化物触媒の好適なものとしては、例えば、金属水酸化物等により表面改質された、金属イオン(Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒や、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシド等により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒等が挙げられる。
前記複合金属酸化物触媒の表面改質においては、複合金属酸化物100質量部に対して、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドの割合を0.5~10質量部とすることが好ましく、1~5質量部とすることがより好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルの製造方法は上述した方法に限定されない。例えば、アルカリ土類金属化合物とオキシ酸等の混合物より調製されるアルコキシル化触媒により、脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキシドを付加する方法によっても、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルを製造できる。上記のアルコキシル化触媒については、特許第04977609号公報、国際公開第1993/004030号、国際公開第2002/038269号、国際公開第2012/028435号等で開示されており、例えば、カルボン酸のアルカリ土類金属塩及び/又はヒドロキシカルボン酸のアルカリ土類金属塩と硫酸等の混合物より調製したアルコキシル化触媒等が挙げられる。
【0093】
(E1)成分は、低温安定性が向上する観点から、エチレンオキシドの平均付加モル数が10以下のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を含むことが好ましく、式(5-1)中のp1及びr1の合計が10以下である化合物、及び、式(5-2)中のp2及びr2の合計が10以下である化合物の少なくとも一方を含むことがより好ましく、式(5-1)中のp1及びr1の合計が10以下である化合物を少なくとも含むことがさらに好ましい。
なお、本明細書において、(E1)成分のうち、エチレンオキシドの平均付加モル数が10以下のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を特に「(E11)成分」ともいう。
【0094】
((E2)成分)
(E2)成分は、非石けん系アニオン界面活性剤である。
(E2)成分としては、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩(AES)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩(MES)、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤などが挙げられる。
非石けん系アニオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
(E2)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(E2)成分としては、LAS、AOS、AS、AES、IOSが好ましく、これらの中でも、洗浄力がより高まる観点から、LAS、AES、IOSがより好ましい。液体洗浄剤組成物は少なくともAESを含むことが好ましく、LASとAESの両方を含むことがより好ましい。
【0095】
ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)としては、下記一般式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6-1)」ともいう。)が挙げられる。
61-O-[(EO)/(PO)]-SOMa ・・・(6-1)
(一般式(6-1)中、R61は、炭素数8~20のアルキル基又は炭素数8~20のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、vはEOの平均繰り返し数を表す0以上の数であり、wはPOの平均繰り返し数を表す0~6の数であり、Maは対イオンである。)
【0096】
61は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。R61としては、炭素数10~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
式(6-1)におけるv=0、w=0の成分の含有量は、AESの総質量に対して35~55質量%であることが好ましい。
vは0~5が好ましく、0.1~3がより好ましく、0.5~3がさらに好ましく、0.5~2.5が特に好ましい。
wは0~3が好ましく、0がより好ましい。
v+wは0超の数が好ましく、1~5がより好ましい。
v及びwがそれぞれ0ではない場合、つまり化合物(6-1)がEOとPOとの両方を有する場合、EOとPOとは、ブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。EOとPOとをブロック状に付加する方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法が挙げられる。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
Maとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。なお、Maが2価以上の対イオンである場合、Maは1/価数を乗じた数で-SOと結合しているものとする。例えば、Maがマグネシウムイオンの場合、Maの数は1/2である。
【0097】
内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)は、下記一般式(6-2)で表されるアルケンスルホン酸(以下、「化合物(6-2)」ともいう。)と、下記一般式(6-3)で表されるヒドロキシアルカンスルホン酸(以下、「化合物(6-3)」ともいう。)との混合物である。内部オレフィンとは、二重結合が2位より内部に存在するオレフィンを表す。
【0098】
62-CH=CH(CHCH(SOMb)-R63 ・・・(6-2)
(式(6-2)中、R62はアルキル基であり、R63は炭素数1~5のアルキル基であり、炭素数の総数は8~24である。xは0~4の数であり、Mbは対イオンを表す。)
【0099】
化合物(6-2)の炭素数は、8~24であり、10~20が好ましく、12~18がより好ましく、14~18がさらに好ましい。炭素数が上記下限値以上であれば、IOSの親油性が高まり、界面活性剤としての機能が高まる。炭素数が上記上限値以下であれば、IOSの親水性が高まり、界面活性剤としての機能が高まる。
【0100】
式(6-2)中のR62は、アルキル基を表す。R62は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。R62の炭素数は、1~21が好ましく、3~17がより好ましく、7~15がさらに好ましい。
式(6-2)中のR63は、炭素数1~5のアルキル基を表す。R63の炭素数は、1~3が好ましい。
式(6-2)中のxは、0~4であり、0~2が好ましい。xが上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。xが上記上限値以下であれば、液安定性がより高まる。
式(6-2)中のMbとしては、前記Maと同様のものが挙げられる。なお、Mbが2価以上の対イオンである場合、Mbは1/価数を乗じた数で-SOと結合しているものとする。例えば、Mbがマグネシウムイオンの場合、Mbの数は1/2である。
【0101】
64-CH(OH)(CHCH(SOMc)-R65 ・・・(6-3)
(式(6-3)中、R64はアルキル基であり、R65は炭素数1~5のアルキル基であり、炭素数の総数は8~24である。yは0~4の数であり、Mcは対イオンを表す。)
【0102】
化合物(6-3)は、化合物(6-2)のヒドロキシ体である。
化合物(6-3)の炭素数は、8~24であり、10~20が好ましく、12~18がより好ましく、14~18がさらに好ましい。炭素数が上記下限値以上であれば、IOSの親油性が高まり、界面活性剤としての機能が高まる。炭素数が上記上限値以下であれば、IOSの親水性が高まり、界面活性剤としての機能が高まる。
【0103】
式(6-3)中のR64は、アルキル基を表す。R64は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。R64の炭素数は、2~22が好ましく、4~18がより好ましく、8~16がさらに好ましい。
式(6-3)中のR65は、炭素数1~5のアルキル基を表す。R65の炭素数は、1~3が好ましい。
式(6-3)中のyは、0~4であり、0~2が好ましい。yが上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。yが上記上限値以下であれば、液安定性がより高まる。
式(6-3)中のMcとしては、前記Maと同様のものが挙げられる。なお、Mcが2価以上の対イオンである場合、Mcは1/価数を乗じた数で-SOと結合しているものとする。例えば、Mcがマグネシウムイオンの場合、Mcの数は1/2である。
【0104】
IOSは、内部オレフィンをスルホン化して得られる。内部オレフィンの炭素数の総数は、8~24であり、10~20が好ましく、12~18がより好ましく、14~18がさらに好ましい。
内部オレフィンは、例えば、1-アルコールを脱水して得られた1-オレフィンを、異性化して得ることができる。内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、次いで、これらは中和加水分解工程において、化合物(6-2)と化合物(6-3)とへ転換する(例えば、J.Am.Oil Chem.Soc.69,39(1992))。ここで、得られる化合物(6-3)のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、化合物(6-2)の二重結合は、オレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、また、その一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸塩、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するα-オレフィンスルホン酸塩が微量に含まれる場合もある。本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称してIOSという。
【0105】
((E3)成分)
(E3)成分は、(E1)成分及び(E2)成分以外の界面活性剤であり、具体的には、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が挙げられる。
(E2)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0106】
カチオン界面活性剤としては、例えばカプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等のテトラ短鎖(炭素数1~4のアルキル)アンモニウム塩;オクチルトリメチルアンモニウム塩、デシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、オクチルジメチルエチルアンモニウム塩、デシルジメチルエチルアンモニウム塩、ドデシルジメチルエチルアンモニウム塩、テトラデシルジメチルエチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、セチルジメチルエチルアンモニウム塩、ステアリルジメチルエチルアンモニウム塩、オクチルジエチルメチルアンモニウム塩、デシルジエチルメチルアンモニウム塩、ドデシルジエチルメチルアンモニウム塩、テトラデシルジエチルメチルアンモニウム塩、セチルジエチルメチルアンモニウム塩、ステアリルジエチルメチルアンモニウム塩等の長鎖(炭素数8~18のアルキル)トリ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩;ジオクチルジメチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩、N,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム塩、ジテトラデシルジメチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジオクチルメチルエチルアンモニウム塩、ジデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジドデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジテトラデシルメチルエチルアンモニウム塩、ジセチルメチルエチルアンモニウム塩、ジステアリルメチルエチルアンモニウム塩等のジ長鎖(炭素数8~18のアルキル)ジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)アンモニウム塩;ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム等の長鎖(炭素数8~18のアルキル)ジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)ヒドロキシアルキル(炭素数1又は2)アンモニウム塩;[3(トリメトキシシリル)]プロピル(ジメチル)オクタデシルアンモニウム塩等のトリアルコキシシリルアルキル基(炭素数4~10)を有するジ短鎖(炭素数1又は2のアルキル)長鎖(炭素数8~18のアルキル)アンモニウム塩;アミンナイトレート;ベンジルトリメチルアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
カチオン界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0107】
両性界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
両性界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0108】
半極性界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
半極性界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0109】
(含有量・質量比)
(E)成分の含有量、すなわち、(E1)成分、(E3)成分及び(E3)成分の含有量の合計は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して30~65質量%が好ましく、35~60質量%がより好ましく、40~55質量%がさらに好ましい。(E)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。(E)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物がゲル化しにくく、流動性をより良好に維持できる。
【0110】
(E1)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して10~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、20~35質量%がさらに好ましい。(E1)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。(E1)成分の含有量が上記上限値以下であれば、低温安定性が向上する。
【0111】
(E2)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~20質量%が好ましく、8~17質量%がより好ましく、11~15質量%がさらに好ましい。(E2)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力がより高まる。加えて、再汚染防止性が向上する。(E2)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の流動性に優れるとともに、低温安定性が向上する。
【0112】
(E1)成分/(E2)成分で表される質量比(以下、「E1/E2比」ともいう。)は、0.5~8が好ましく、0.88~4.37がより好ましく、1.33~2.72がさらに好ましい。E1/E2比が上記範囲内であれば、低温安定性が向上する。加えて、液体洗浄剤組成物がゲル化しにくく、流動性をより良好に維持できる。また、酵素安定性をより良好に維持できる。
【0113】
(E)成分が、エチレンオキシドの平均付加モル数が10以下のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤((E11)成分)と(E2)成分とを含む場合、(E11)成分/(E2)成分で表される質量比(以下、「E11/E2比」ともいう。)は、1~5が好ましく、1.2~4がより好ましく、1.4~3がさらに好ましい。E1/E2比が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物がゲル化しにくく、流動性をより良好に維持できる。E1/E2比が上記上限値以下であれば、低温安定性が向上する。
【0114】
<(F)成分>
(F)成分は、ポリカルボン酸及びポリカルボン酸塩である。
液体洗浄剤組成物が(F)成分を含有することで、液体洗浄剤組成物がより黄変しにくくなり、液外観安定性がより向上する。
【0115】
ポリカルボン酸としては、例えば2~4価のカルボン酸基を有する化合物が挙げられ、具体的にはクエン酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸-マレイン酸共重合体、炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体、アクリル酸-メタクリル酸共重合体、アミノカルボン酸系化合物が挙げられる。
【0116】
アミノカルボン酸系化合物とは、1分子中に1~3級のアミノ基を1つ以上と、カルボキシル基を2つ以上とを含む化合物をいう。
アミノカルボン酸系化合物としては、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、トリエチレンテトラ酢酸(TTHA)、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、L-グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)、1,3-プロパン-2-ジアミン四酢酸(PDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、シクロヘキサン-1,2-ジアミンテトラ酢酸、イミノジコハク酸、アスパラギン酸ジ酢酸、β-アラニンジ酢酸、ヒドロキシイミノジコハク酸等が挙げられる。
【0117】
ポリカルボン酸としては、クエン酸、ポリアクリル酸、EDTA、MGDAが好ましく、クエン酸、EDTA、MGDAがより好ましく、クエン酸がさらに好ましい。
ポリカルボン酸の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。これらの中でも、ポリカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましく、ポリカルボン酸のナトリウム塩がより好ましい。
(F)成分としては、クエン酸、ポリアクリル酸、EDTA、MGDA及びこれらのアルカリ金属塩が好ましく、クエン酸、EDTA、MGDA及びこれらのアルカリ金属塩がより好ましく、クエン酸及びそのアルカリ金属塩がさらに好ましく、クエン酸及びクエン酸ナトリウムが特に好ましく、クエン酸が最も好ましい。
(F)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0118】
(F)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.04~0.5質量%が好ましく、0.06~0.5質量%がより好ましく、0.1~0.2質量%がさらに好ましい。(F)成分の含有量が上記下限値以上であれば、液外観安定性がより向上する。(F)成分の含有量が上記上限値以下であれば、酵素安定性をより高めることができる。
【0119】
(A)成分/(F)成分で表される質量比(以下、「A/F比」ともいう。)は、0.03~17.5が好ましく、0.17~10がより好ましく、0.5~6.25がさらに好ましい。A/F比が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物がより黄変しにくくなり、液外観安定性がより向上する。A/F比が上記上限値以下であれば、低温安定性を良好に維持できる。
【0120】
(B)成分/(F)成分で表される質量比(以下、「B/F比」ともいう。)は、0.6~50が好ましく、1.0~25がより好ましく、1.6~12.5がさらに好ましい。B/F比が上記下限値以上であれば、酵素安定性を良好に維持できる。B/F比が上記上限値以下であれば、低温安定性を良好に維持できる。
【0121】
(C)成分/(F)成分で表される質量比(以下、「C/F比」ともいう。)は、0.57~150が好ましく、1.0~83.4がより好ましく、2.5~40がさらに好ましい。C/F比が上記下限値以上であれば、液外観安定性を良好に維持できる。C/F比が上記上限値以下であれば、低温安定性を良好に維持できる。
【0122】
(C1)成分/(F)成分で表される質量比(以下、「C1/F比」ともいう。)は、0.57~75が好ましく、1.0~41.7がより好ましく、2.5~20がさらに好ましい。C1/F比が上記下限値以上であれば、液外観安定性を良好に維持できる。C1/F比が上記上限値以下であれば、低温安定性を良好に維持できる。
【0123】
(C2)成分/(F)成分で表される質量比(以下、「C2/F比」ともいう。)は、0.57~75が好ましく、1.0~41.7がより好ましく、2.5~20がさらに好ましい。C2/F比が上記下限値以上であれば、液外観安定性を良好に維持できる。C2/F比が上記上限値以下であれば、低温安定性を良好に維持できる。
【0124】
<水>
水としては、精製水、イオン交換水、蒸留水、水道水などを使用することができる。
水は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0125】
水の含有量は液体洗浄剤組成物の総質量に対して3~40質量%が好ましく、5~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましい。水の含有量が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物として適した粘度を良好に維持できる。水の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物がゲル化しにくく、流動性を良好に維持できる。
【0126】
<任意成分>
任意成分としては、水混和性有機溶剤、高級脂肪酸又はその塩、pH調整剤、減粘剤及び可溶化剤、抗菌剤、(A)成分以外のアルカリ剤、構造化剤、構造化剤以外の増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、(A)成分以外の無機還元剤、(B)成分及び(C)成分以外の酵素安定化剤、風合い向上剤、移染防止剤、着色剤、香料、乳濁化剤、蛍光剤、カチオン化ポリマー、変色防止剤、ハイドロトロープ剤、漂白剤、パール剤、天然物等のエキスなどが挙げられる。
任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0127】
水混和性有機溶剤は、25℃の水1Lに25g以上溶解する有機溶剤をいう。
水混和性有機溶剤としては、例えばエタノール、グリセリン、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(ソルフィット、商品名)等のアルコール類;プロピレングリコール(PG)、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量約200~1000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類などが挙げられる。これらの中でも、臭気の少なさ、入手のしやすさ、液体洗浄剤組成物の流動性の観点等から、エタノール、グリセリン、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピレングリコール、分子量約200~1000のポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)が好ましく、エタノール、グリセリン、プロピレングリコールがより好ましい。
水混和性有機溶剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
水混和性有機溶剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して5~40質量%が好ましく、7~30質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。
【0128】
液体洗浄剤組成物が高級脂肪酸又はその塩を含有していれば、消泡性が高まる。なお、「消泡性」とは、液体洗浄剤組成物を用いて洗濯する際、具体的には液体洗浄剤組成物が水道水等で希釈されて使用されるときの泡立ちを抑える性質のことである。
高級脂肪酸又はその塩としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の単一脂肪酸又はその塩;ヤシ脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸又はその塩などが挙げられる。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヤシ脂肪酸が好ましく、ヤシ脂肪酸がより好ましい。
高級脂肪酸の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
高級脂肪酸又はその塩は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
高級脂肪酸又はその塩の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.5~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、1.5~5質量%がさらに好ましい。高級脂肪酸又はその塩の含有量が上記下限値以上であれば、消泡性が高まる。高級脂肪酸又はその塩の含有量が上記上限値以下であれば、低温安定性が向上する。
【0129】
pH調整剤としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸;アンモニア;炭酸ナトリウム;硫酸、塩酸、リン酸等の酸剤などが挙げられる。これらの中でも、アルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム酸が好ましく、アルカノールアミンがより好ましく、モノエタノールアミンがさらに好ましい。特に、(E)成分が(E2)成分としてLAS等を含む場合、pH調整剤としてはアルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンであれば、LAS等との反応による析出を抑制できる。
なお、上述したように、アルカノールアミン等の窒素含有化合物を含む組成物は黄変しやすい傾向にあるが、本発明の液体洗浄剤組成物であれば(A)成分を含むので、アルカノールアミン等の窒素含有化合物を含んでいても黄変を抑制でき、液外観安定性に優れる。
pH調整剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
pH調整剤の添加量は、液体洗浄剤組成物を所定のpHに調整する量を適宜設定すればよい。
【0130】
減粘剤及び可溶化剤としては、例えば芳香族スルホン酸又はその塩が挙げられる。具体的には、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸又はこれらの塩が挙げられる。芳香族スルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、又はアルカノールアミン塩などが挙げられる。
減粘剤及び可溶化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
減粘剤及び可溶化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%が好ましい。
【0131】
抗菌剤としては、例えばダイクロサン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ポリリジン、ポリヘキサメチレンビグアニド等が挙げられる。これらの中でも、ジフェニル構造を有する抗菌剤が好ましく、ダイクロサン、トリクロサンがより好ましい。
抗菌剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
抗菌剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。
【0132】
(A)成分以外のアルカリ剤(以下、「他のアルカリ剤」ともいう。)としては、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤等が挙げられる。
無機アルカリ剤とは、水に全量又は一部が溶解して塩基性を示し、1質量%の水溶液の25℃におけるpHが8以上となる成分である。
無機アルカリ剤としては、具体的に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの複塩(セスキ炭酸ナトリウム)、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩;メタケイ酸ナトリウム、層状ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩などが挙げられる。これらの中でも、洗浄力がより高まる観点から、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、層状ケイ酸ナトリウムが好ましい。
無機アルカリ剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
なお、無機アルカリ剤は、pH調整剤として用いてもよい。
【0133】
また、無機アルカリ剤として、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルミノケイ酸塩(例えばゼオライト等)などを用いてもよい。
無機アルカリ剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して20質量%以下が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0134】
有機アルカリ剤としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンなどが挙げられる。これらの中でも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンが好ましい。
有機アルカリ剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
有機アルカリ剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1.5~8質量%が好ましく、2~6質量%がより好ましい。
なお、有機アルカリ剤は、pH調整剤として用いてもよい。
【0135】
液体洗浄剤組成物が構造化剤を含むことで液体洗浄剤組成物が構造化する。よって、液体洗浄剤組成物が不溶粒子を含有する場合、不溶粒子の分散安定性を高め、液体洗浄剤組成物中に不溶粒子を均一に分散でき、その状態を良好に維持できる。
なお、本明細書において「構造化」とは、力が加わる前後において、粘度が変化する状態をいう。
【0136】
構造化剤としては、例えば細菌セルロース、非細菌セルロース、トリグリセリド成分などが挙げられる。これらの中でも、不溶粒子の分散安定性を高める効果を少量でも充分に発揮できること、透明性の高い液体外観が得やすいことから、細菌セルロース、非細菌セルロースが好ましく、細菌セルロースがより好ましい。
構造化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0137】
細菌セルロースは、Acetobacter属の細菌の発酵によって生成されたセルロースである。
細菌セルロースとしては、水に不溶性である繊維が網状に分枝し、相互に噛み合ってネットワークを形成している、いわゆる網目状細菌セルロースなどが挙げられる。
細菌セルロースの少なくとも一部は、増粘剤で被覆あるいは混合されていてもよい。
細菌セルロースとしては市販品を用いることでき、例えばCPKelco U.S.社製の商品名「CELLULON(登録商標)」などが挙げられる。
【0138】
非細菌セルロースは、野菜、果物、木材から得られるセルロースであり、セルロース繊維とも呼ばれる。
非細菌セルロースとしては市販品を用いることでき、例えばFMC社製の商品名「Avicel(登録商標)」、Fiberstar社製の商品名「Citri-Fi」、Cosun社製の商品名「Betafib」などが挙げられる。
【0139】
トリグリセリド成分としては、例えば硬化ヒマシ油、硬化パーム油が挙げられる。
硬化ヒマシ油としては、ヒドロキシル基を組み込む炭素数10~22アルキル又はアルケニル部分を含むグリセリド、特にトリグリセリドを挙げることができ、具体的には、トリヒドロキシステアリン、ジヒドロキシステアリンなどが挙げられる。
硬化ヒマシ油は、ヒマシ油を水素化して、出発油中にリシノレイル部分として存在し得る二重結合を変換することで得られる。二重結合の変換により、リシノレイル部分は、飽和ヒドロキシアルキル部分、例えば、ヒドロキシステアリルに変換される。
硬化ヒマシ油は、固形の状態、溶融物の状態、又はこれらの混合物の状態で用いることができるが、これらに限定されない任意の好適な出発形態で加工することができる。
硬化ヒマシ油としては市販品を用いることでき、例えばRheox,Inc.製の商品名「THIXCIN(登録商標)」、日油株式会社製の商品名「カスターワックス A フレーク」などが挙げられる。
硬化パーム油としては市販品を用いることでき、例えば新日本理化株式会社製の商品名「パーム極度硬化油A」などが挙げられる。
【0140】
構造化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.02~2質量%が好ましく、0.04~1.5質量%がより好ましく、0.05~1質量%がさらに好ましい。
また、例えば構造化剤として、市販品である「CELLULON(登録商標)」等の細菌セルロース製剤を使用する場合、構造化剤の含有量は商品の有り姿(有姿)の含有量として、液体洗浄剤組成物の総質量に対して1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましく、2.5~7質量%がさらに好ましい。
ここで、「商品の有り姿の含有量」とは、商品中に含まれる水分等を含めた商品そのものの含有量のことをいう。
構造化剤の含有量が上記下限値以上であれば、不溶粒子の分散安定性がより高まる。構造化剤の含有量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の粘度がより低くなり、使用性や液安定性がより高まる。
【0141】
構造化剤以外の増粘剤(以下、「他の増粘剤」ともいう。)としては、例えばアクリル系ポリマー、キサンタンガム、ガラギーナンなどが挙げられる。
アクリル系ポリマーの市販品としては、例えばLubrizol社製のCarbopol(登録商標)シリーズ等が挙げられる。Carbopolシリーズとしては、例えばCarbopol ETD 2623、Carbopol EZ3、Carbopol EZ4、Carbopol Ultrez20、Carbopol Ultrez21、Carbopol Aqua 30などが挙げられる。
他の増粘剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
他の増粘剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して6質量%以下が好ましく、0.2~4質量%がより好ましい。
【0142】
防腐剤としては、例えば2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、3-ヨードプロピニルブチルカーバメート、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン、オクチルイソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BIT)、5-クロロ-2-メチルイソチアゾリン-3-オン(CMIT)、2-メチルイソチアゾリン-3-オン(MIT)、エトキシル化ココアミン、オクタンジオール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウムなどが挙げられる。
防腐剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
防腐剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.001~2質量%が好ましい。
【0143】
液体洗浄剤組成物が酸化防止剤を含有していれば、液体洗浄剤組成物を収容する容器のヘッドスペース中の酸素の吸収を抑制できる。加えて、光や熱による退色、変色を抑制できる。
酸化防止剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等のモノフェノール系酸化防止剤;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール等のビスフェノール系酸化防止剤;dl-α-トコフェロール等の高分子型フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。これらの中でも、モノフェノール系酸化防止剤、高分子型酸化防止剤が好ましい。モノフェノール系酸化防止剤の中では、ジブチルヒドロキシトルエンが特に好ましい。高分子型フェノール系酸化防止剤の中では、dl-α-トコフェロールが特に好ましい。
酸化防止剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
酸化防止剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~2質量%が好ましい。
【0144】
液体洗浄剤組成物が(A)成分以外の無機還元剤(以下、「他の無機還元剤」ともいう。)を含有していれば、光や熱による退色、変色をより抑制できる。
他の無機還元剤としては、例えばピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム等のピロ亜硫酸塩などが挙げられる。
他の無機還元剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
他の無機還元剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~0.05質量%が好ましく、0.05~0.01質量%がより好ましい。
【0145】
(B)成分及び(C)成分以外の酵素安定化剤(以下、「他の酵素安定化剤」ともいう。)としては、例えばホウ酸、ホウ砂、ギ酸又はその塩、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩類などが挙げられる。
他の酵素安定化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
他の酵素安定化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して2質量%以下が好ましい。
【0146】
風合い向上剤としては、例えばジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンなどが挙げられる。
風合い向上剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
風合い向上剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して5質量%以下が好ましい。
【0147】
移染防止剤としては、例えばポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリアルキレンアミンなどが挙げられる。
移染防止剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
移染防止剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して3質量%以下が好ましい。
【0148】
着色剤としては特に限定されず、例えば「法定色素ハンドブック」(日本化粧品工業連合会)に記載の色素や、発色団の構造の末端に水溶性高分子等を化学的に修飾したものなどが挙げられる。具体的には、C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド260、C.I.アシッドレッド106、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、Levanyl(登録商標) Violet(Levanyl(登録商標) バイオレット)、Liquitint(登録商標) BLUE SE(Liquitint(登録商標) ブルー SE)、Liquitint(登録商標) BLUE HP(Liquitint(登録商標) ブルー HP)、Liquitint(登録商標)BLUE MC(Liquitint(登録商標) ブルー MC)、Liquitint(登録商標) VIOLET CT(Liquitint(登録商標) バイオレット CT)、Liquitint(登録商標) VIOLET LS(Liquitint(登録商標) バイオレット LS)、Liquitint(登録商標) VIOLET DD(Liquitint(登録商標) バイオレット DD)、Liquitint(登録商標) GREEN SA(Liquitint(登録商標) グリーン SA)、Liquitint(登録商標) Bright Yellow(Liquitint(登録商標) ブライト イエロー)、Liquitint(登録商標)YELLOW SY(Liquitint(登録商標) イエロー SY)、Liquitint(登録商標)YELLOW LP(Liquitint(登録商標) イエロー LP)、Liquitint(登録商標) PINK AL(Liquitint(登録商標) ピンク AL)、Liquitint(登録商標) RED MX(Liquitint(登録商標) レッド MX)、C.I.77007(ピグメントブルー29、L-280 BLUE U)、C.I.74160(ピグメントブルー15)、C.I.77346(ピグメントブルー28)、C.I.77343(ピグメントブルー36)、C.I.74260(ピグメントグリーン7)、C.I.74265(ピグメントグリーン36)、WA-S カラー グリーン、C.I.21090(ピグメントイエロー12、黄色205号)、C.I.56110(ピグメントレッド254)、C.I.12490(ピグメントレッド5)、ラブラコール 040(F)レッド、PIGMOSOL(登録商標)、Liquitint(登録商標)SeaGreenCC等の汎用の色素や顔料などが挙げられる。なお、本明細書において、「C.I.」は、カラーインデックスの略である。
着色剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
着色剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~1.0質量%が好ましく、0.01~0.01質量%がより好ましい。着色剤の含有量が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物に十分に色を付けることができる。着色剤の含有量が上記上限値以下であれば、被洗物への色素沈着が起こりにくく、分散安定性に優れる液体洗浄剤組成物が得られやすくなる。
【0149】
香料としては、香料原料単体、又は、香料原料と香料用溶剤と香料安定化剤等とからなる香料組成物を含むものが挙げられ、液体洗浄剤組成物に通常用いられる香料を配合することができる。また、カプセル香料を配合しても良い。液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~5質量%が好ましい。
【0150】
乳濁化剤としては、例えばポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルションなどが挙げられ、通常、固形分30~50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(商品名:サイビノール(登録商標)RPX-196 PE-3、固形分40質量%、サイデン化学株式会社製)、Opulyn 301、Acusol OP 301などが挙げられる。
乳濁化剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
乳濁化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~0.5質量%が好ましい。
【0151】
蛍光剤としては、例えば4,4’-ビス-(4-クロロ-3-スルホスチリル)-ビフェニルジナトリウム塩等のビフェニル型蛍光剤;4,4’-ビス((4-アミノ-6-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-2)アミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸塩、4,4’-ビス((4-トルイジノ-6-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-2)アミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホン酸塩等のスチルベン型蛍光剤などが挙げられる。
蛍光剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
蛍光剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.05~1質量%が好ましい。
【0152】
カチオン化ポリマーとしては、例えば4,4’-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、カチオン化セルロース、塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、ポリエチレンイミン、カチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体などが挙げられる。
カチオン化ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
カチオン化ポリマーの含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~3質量%が好ましい。
【0153】
<物性>
(pH)
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは5~9が好ましく、5.5~8.5がより好ましく、6~8がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物のpHが上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物での(A)成分の分解を抑制でき、液外観安定性を良好に維持できる。液体洗浄剤組成物のpHが上記上限値以下であれば、衣類等の繊維製品に対するダメージを防止できる。加えて、液体洗浄剤組成物の液外観安定性を良好に維持できる。
液体洗浄剤組成物のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
液体洗浄剤組成物のpHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、製品名「HM-30G」)により測定される値である。
【0154】
<製造方法>
液体洗浄剤組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、液体洗浄剤組成物は常法に準じて製造することができる。
例えば、液体洗浄剤組成物は、液体洗浄剤組成物を構成する成分を混合することで得られる。また、例えば上述した(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分と、(E)成分と、水の一部と、必要に応じて(F)成分、及びpH調整剤以外の任意成分の1つ以上とを混合し、必要に応じてpH調整剤を用いて所定のpHに調整した後、残りの水を混合することで液体洗浄剤組成物を製造してもよい。
【0155】
<使用方法>
液体洗浄剤組成物の使用方法としては、例えば液体洗浄剤組成物を洗濯機の液体洗浄剤組成物の投入口に入れてから洗濯機を稼働させる方法、液体洗浄剤組成物を洗濯時に被洗物と一緒に水に投入する方法、液体洗浄剤組成物を予め水に溶解して調製される洗浄液に被洗物を浸漬する方法、液体洗浄剤組成物を被洗物に直接塗布して、例えば3分~24時間放置し、その後、通常の洗濯を行う方法等が挙げられる。
【0156】
また、近年実用化された洗剤自動投入装置を備えた洗濯機を使用することも好ましい。洗剤自動投入装置は、液体洗浄剤組成物を収容したタンクから、タンクの底に設けられたゴミ取り用のフィルター、及び投入用配管を経由して、自動的に洗濯槽に液体洗浄剤組成物を投入する装置である。投入用配管の途中には、シリンジポンプ等の計量手段が設けられており、洗濯物の量等に応じて設定された一定量を、タンクから洗濯槽へと移送できるようになっている。
洗剤自動投入装置を利用すれば、計量の手間が省けるだけでなく、計量時に液体洗浄剤組成物が手に付着したり、こぼれて洗濯機や周囲を汚してしまったりすることを回避できる。
【0157】
また、自動で所定の量の液体を吐出できる自動ディスペンサーを使用することも好ましい。自動ディスペンサーを使用する場合も、少量の液体洗浄剤組成物でも正確に計量することができるため、充分な洗浄力を発揮しやすく、使いすぎによる無駄も回避できるので好ましい。
自動ディスペンサーの中には、赤外線センサなどを利用して、スイッチ等に触れなくとも自動的に吐出するものも市販されている。このような自動ディスペンサーを使用すれば、片手に保持した容器を差し出すだけで液体洗浄剤組成物を計量することができ、使用者の負担軽減効果が大きい。
【0158】
また、自動ディスペンサーを使用する場合、軟質容器に吐出された液体洗浄剤組成物を受け、その軟質容器をそのまま洗濯機に投入することも好ましい。これにより、吐出された液体洗浄剤組成物の全量を、確実に洗浄液中に溶解させることができる。
そのまま洗濯機に投入可能な軟質容器の材質としては、例えば、シリコ-ン樹脂、ポリ塩化ビニル、エラストマー、軟質ポリエステル、軟質ポリプロピレン、ポリウレタン等が挙げられる。
【0159】
被洗物の例としては、例えば衣類(衣料)、布巾、タオル類、シーツ、カーテン等の繊維製品などが挙げられる。繊維製品の素材は特に限定されず、綿、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維などのいずれでもよい。
液体洗浄剤組成物を水に溶解して使用する場合、例えば5~6000倍(体積基準)に希釈することが好ましい。
衣類量あたりの水量である浴比(洗濯時の洗浄液の質量/衣類の質量)は、ドラム型洗濯機であれば5以上、縦型洗濯機であれば10以上が好ましい。
液体洗浄剤組成物は、繊維製品用の洗浄剤として好適である。
【0160】
<作用効果>
本発明の液体洗浄剤組成物は(D)成分及び(E)成分を含有するので、洗浄力が高い。加えて、本発明の液体洗浄剤組成物は(A)成分を含有するので黄変しにくく、液外観安定性に優れるため、洗剤製品としたときの美観に優れる。特に、無色透明な容器に本発明の液体洗浄剤組成物を充填して洗剤製品としても、美観を良好に維持できる。
しかも、本発明の液体洗浄剤組成物であれば、(B)成分及び(C)成分も含有するので、(A)成分を含有しているにもかかわらず、(D)成分である酵素の活性の低下を抑制でき、酵素安定性にも優れる。
【実施例0161】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。本実施例において「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0162】
「使用原料」
(A)成分又はその代替品として、以下に示す化合物を用いた。
・亜硫酸Na:亜硫酸ナトリウム(神州化学株式会社製、商品名「亜硫酸ナトリウム」)。
・亜硫酸水素Na:亜硫酸水素ナトリウム(純正化学株式会社製、商品名「亜硫酸水素ナトリウム」)。
・チオ硫酸Na:チオ硫酸ナトリウム(純正化学株式会社製、商品名「チオ硫酸ナトリウム」、(A)成分の代替品)。
【0163】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・乳酸Na:乳酸ナトリウム(株式会社武蔵野化学研究所製、商品名「乳酸ナトリウム」)。
【0164】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・HP20:ポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体(BASF社製、商品名「Sokalan HP20」、一般式(2-1)中、R21がエチレン基であり、mが20である化合物、(C11)成分)。
・SRN-170C:クラリアント社製の商品名「TexCare SRN-100」の70質量%水溶液(ラリアント社製の商品名「TexCare SRN-170C」、(C2)成分)。
【0165】
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・プロテアーゼ:ノボザイムズ社製、商品名「Progress Uno 100L」、酵素液体製剤。
・アミラーゼ:ノボザイムズ社製、商品名「Amplify Prime」、酵素液体製剤。
【0166】
(E)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・AE7:炭素数12~14のアルコールに、7モル相当のエチレンオキシドを付加した、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ECOGREEN OLEOCHEMICALS社製、商品名「ECOLAT24-7」、一般式(5-1)中、R51が炭素数12~14のアルキル基であり、R52が水素原子であり、p1が7であり、q1が0であり、r1が0である化合物(5-1)、(E11)成分)。
・LMAO:炭素数12及び14の天然アルコール(第1級アルコール)に15モル相当のエチレンオキシドを付加した、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(一般式(5-1)中、R51が炭素数12の直鎖状のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)であり、R52が水素原子であり、p1が15であり、q1が0であり、r1が0である化合物(5-1)、(E1)成分)。下記合成方法により合成されたもの。
・MEE:脂肪酸メチルエステルエトキシレート(脂肪酸の炭素数12~14、EOの平均付加モル数15、一般式(5-2)中、R53が炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基であり、-X-が-COO-であり、R54がメチル基であり、p2が15であり、q2が0であり、r2が0である化合物(5-2)、(E1)成分、ナロー率30質量%)。下記合成方法により合成されたもの。
・LAS-H:炭素数10~14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「ライポンLH-200」、(E2)成分)。
・AES-1:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(一般式(6-1)中、R61が炭素数12の直鎖状のアルキル基(C12)及び炭素数14の直鎖状のアルキル基(C14)であり(質量比でC12:C14=75:25)、vが1であり、wが0であり、Maがナトリウムであり、AES全体に対するvが0かつwが0である化合物の割合が43質量%である化合物(6-1)、(E2)成分)。下記合成方法により合成されたもの。
【0167】
<LMAOの合成方法>
原料アルコールとしてプロクター・アンド・ギャンブル社製の商品名CO-1214アルコール565.78gと、30質量%NaOH水溶液2.5gとを耐圧型反応容器内に仕込み、該反応容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)1933.5gを反応液中に徐々に加えた。この時、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。
エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p-トルエンスルホン酸を加えて中和し、LMAOを得た。
【0168】
<MEEの合成>
特開2000-144179号公報に記載の合成方法に準じて合成した。
組成が2.5MgO・Al2O3・zH2Oである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業株式会社製、商品名「キョーワード300」)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して、焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒を得た。焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。
得られた反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5gとを添加し混合した後、触媒を濾別してMEEを得た。
【0169】
<AES-1の合成方法>
容量4Lのオートクレーブ中に、原料アルコールとしてプロクター・アンド・ギャンブル社製の商品名CO1270アルコール(炭素数12のアルコールと炭素数14のアルコールとの質量比75/25の混合物)400gと、反応用触媒として水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、該オートクレーブ内を窒素で置換した後、攪拌しながら昇温した。
続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しながらエチレンオキシド91gを導入し、反応させることによりアルコールエトキシレートを得た。
ガスクロマトグラフ:Hewlett-Packard社製のGC-5890と、検出器:水素炎イオン化型検出器(FID)と、カラム:Ultra-1(HP社製、L25m×φ0.2mm×T0.11μm)と、を用いて分析した結果、得られたアルコールエトキシレートは、エチレンオキシドの平均付加モル数が1.0であった。また、エチレンオキシドが付加していない化合物(最終的に成分(b-0)となるもの)の量が得られたアルコールエトキシレート全体に対して43質量%であった。
次に、上記で得たアルコールエトキシレート237gを、攪拌装置付の500mLフラスコに採り、窒素で置換した後、液体無水硫酸(サルファン)96gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。次いで、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりAES-1を得た。
【0170】
(F)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・クエン酸:扶桑学工業株式会社製、商品名「液体クエン酸」。
【0171】
任意成分及び水として、以下に示す化合物を用いた。
・MEA:モノエタノールアミン(株式会社日本触媒製、商品名「モノエタノールアミン」)。
・エタノール:日本アルコール販売株式会社製、商品名「特定アルコール95度合成」。
・PEG1000:ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製、商品名「PEG#1000-L60」重量平均分子量=1000)。
・pTs:p-トルエンスルホン酸(明友産業株式会社製、商品名「PTS酸」)。
・ヤシ脂肪酸:日油株式会社製、商品名「椰子脂肪酸」。
・ダイクロサン:4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(BASF社製、商品名「TINOSAN(登録商標) HP100」)。
・ソルフィット:3-メトキシ-3-メチルブタノール(株式会社クラレ製、商品名「ソルフィット」)。
・色素:ミリケン・ジャパン合同会社、商品名「Liquitint SeaGreenCC」。
・香料:ジボダン ジャパン株式会社、商品名「Aquatic Powdery」。
・水:イオン交換水。
【0172】
「測定・評価」
<液外観安定性の評価>
液体洗浄剤組成物85mLをガラス瓶(広口規格びんPS-NO.11)に充填し、蓋を閉めて密閉し、50℃に設定した恒温槽に4週間静置保存した。この間の液体洗浄剤組成物の外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて液外観安定性を評価した。〇、△を合格とした。
(評価基準)
○:保存開始から4週間経過しても、黄変が認められない。
△:保存開始から2週間で黄変が進行した。
×:保存開始から1週間で黄変が進行した。
【0173】
<低温安定性の評価>
液体洗浄剤組成物85mLをガラス瓶(広口規格びんPS-No.11)に充填し、蓋を閉めて密閉し、-20℃にて24時間静置後、0℃にて24時間静置を1サイクルとして繰り返す条件に設定した恒温槽に保存し、3サイクル経過するまで保存した。保存後の液体洗浄剤組成物の外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて液外観安定性を評価した。〇、△を合格とした。なお、以下の評価基準における芒硝(硫酸ナトリウム)は(A)成分由来である。
(評価基準)
○:芒硝の析出が認められない。
△:芒硝の析出が認められるが、常温(25℃)にて芒硝が溶解する。
×:芒硝の析出が認められるが、常温(25℃)では芒硝が溶解しない。
【0174】
<酵素安定性の評価>
液体洗浄剤組成物35mLをガラス瓶(広口規格びんPS-No.6)広口規格瓶(PS-No6瓶)に充填し、蓋を閉めて密閉し、37℃及び-5℃に設定した恒温槽に4週間静置保存した。37℃で保存した後の液体洗浄剤組成物(37℃保存品)と、-5℃で保存した後の液体洗浄剤組成物(-5℃保存品)について、以下に示すプロテアーゼ活性の測定を行った。
【0175】
(プロテアーゼ活性の測定)
ミルクカゼイン(Casein、Bovine Milk、Carbohydrate and Fatty Acid Free/Calbiochem(登録商標))を1N水酸化ナトリウム(1mol/L水酸化ナトリウム溶液(1N)、関東化学株式会社製)に溶解し、pHを10.5とし、0.05Mホウ酸(ホウ酸(特級)、関東化学株式会社製)水溶液を用いてミルクカゼインの濃度が0.6質量%になるよう希釈し、プロテアーゼ基質とした。
37℃保存品及び-5℃保存品1gをそれぞれ3°DH硬水(塩化カルシウム(特級)、関東化学株式会社製)で硬度を調整)で25倍(質量比)に希釈した溶液を各サンプル溶液とした。
各サンプル溶液1gに、上記プロテアーゼ基質5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間攪拌した後、37℃で30分間静置して酵素反応を進めた。その後、酵素反応停止剤であるTCA(トリクロロ酢酸(特級)、関東化学株式会社製)の0.44M水溶液5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間攪拌した。その後、20℃、30分間静置して酵素反応を停止し、析出物を0.45μmフィルターで除去し、ろ液を回収した。
回収したろ液について、波長275nmにおける吸光度(吸光度A)を、株式会社島津製作所製の紫外可視分光光度計UV-160を用いて測定した。吸光度Aが大きいほど、ろ液中に存在するチロシン(プロテアーゼがプロテアーゼ基質を分解することにより産生)の量が多かったことを示す。
目的成分以外の吸収の影響を除くため、別途、各サンプル溶液1gにTCAの0.44M水溶液5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間攪拌した後、プロテアーゼ基質を5g添加し、ボルテックスミキサーで10秒間攪拌した。次いで、析出物を0.45μmフィルターで除去し、ろ液を回収した。回収したろ液について、波長275nmにおける吸光度(吸光度B)を、UV-160を用いて測定した。
先の吸光度の測定結果から、下記式(i)により、酵素(プロテアーゼ)活性残存率(%)を求めた。なお、下記式(i)に代入した各試料の275nmにおける吸光度の値は、気泡等の散乱光を吸光度から除外するため、同時に測定した600nmの吸光度値を除した値である。
酵素活性残存率(%)={(37℃保存品の吸光度A)-(37℃保存品の吸光度B)}/{(-5℃保存品の吸光度A)-(-5℃保存品の吸光度B)}×100 ・・・(i)
【0176】
(判定)
酵素活性残存率(%)を指標として、以下の評価基準にて酵素安定性を評価した。〇、△を合格とした。
(評価基準)
◎:酵素活性残存率が50%以上。
○:酵素活性残存率が40%以上、50%未満。
△:酵素活性残存率が20%以上、40%未満。
×:酵素活性残存率が20%未満。
【0177】
<洗浄力の評価>
被洗物として、下記のポリエステル(PE)布、湿式人工汚染布、EMPA標準汚染布及び赤土汚垢布を用いた。
ポリエステル(PE)布:洗浄力の判定布としてポリエステルトロピカル(谷頭商店製)5cm×5cmを5枚。
湿式人工汚染布:財団法人洗濯科学協会製の汚染布を1枚。
EMPA標準汚染布:EMPA101汚染布(カーボンブラック/オリーブ油の組成の汚れが付着した布を)1枚、EMPA106汚染布(カーボンブラック/鉱物油の組成の汚れが付着した布を)1枚、EMPA116汚染布(血液/ミルク/インクの組成の汚れが付着した布を)1枚。
赤土汚垢布:三方が原の土を使用し、水道水にホモジナイザーを用いて分散した液を、綿布(綿平織り布、100番手)上に塗布したものを1枚。
【0178】
液体洗浄剤組成物を用いて、以下のようにして、被洗物を洗濯処理した。
洗浄試験器(UNITED STATES TESTING社製、製品名「Terg-O-Tometer」)に、25℃の3°DH硬水900mLを入れ、ここに液体洗浄剤組成物0.6gを加え、次いで、被洗物を入れた。その後、3°DH硬水を加えて浴比を30倍に調整し、120rpm、25℃で10分間洗浄した(洗浄工程)。
洗浄後の被洗物を、1分間脱水した後、25℃の3°DH硬水900mLを入れ、120rpm、25℃で3分間すすいだ。この操作(脱水、すすぎ)を2回繰り返した。2回目には、25℃の3°DH硬水900mLに、所定量の柔軟剤を添加してすすぎを行った。柔軟剤には、レノア消臭剤1Week(プロクター・アンド・ギャンブル社製)を用いた(脱水・すすぎ工程)。
すすいだ被洗物を1分間脱水した後、判定布としてPE布5枚のみを取り出し、濾紙に挟み、アイロンで乾燥した(乾燥工程)。
【0179】
反射率計(日本電色工業株式会社製、製品名「分光式色差計SE2000」)を用い、洗濯処理前後の判定布の反射率(Z値)をそれぞれ測定し、下記式(ii)よりΔZを求めた。
ΔZ=(洗濯処理前のZ値)-(洗濯処理後のZ値) ・・・(ii)
【0180】
判定布(PE布)5枚のΔZを求め、平均値を算出した。その平均値を指標として、以下の評価基準にて洗浄力を評価した。〇、△を合格とした。
(評価基準)
◎:ΔZの平均値が3.5未満。
○:ΔZの平均値が3.5以上、4.5未満。
△:ΔZの平均値が4.5以上、5.5未満。
×:ΔZの平均値が5.5以上。
【0181】
「実施例1~21、比較例1~4」
500mLのビーカーに、表1~5の配合組成に従い、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及び(F)成分と、任意成分と、水とを投入し、スリーワンモーター撹拌機(アズワン株式会社製)で充分に攪拌し、液体洗浄剤組成物を得た。
得られた液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHをpHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、製品名「HM-30G」)を用いて測定した。結果を表1~5に示す。
得られた液体洗浄剤組成物について、液外観安定性、低温安定性、酵素安定性及び洗浄力を評価した。これらの結果を表1~5に示す。
【0182】
【表1】
【0183】
【表2】
【0184】
【表3】
【0185】
【表4】
【0186】
【表5】
【0187】
表1~5において、各成分の配合量(質量%)はすべて、液体洗浄剤組成物の総質量に対する割合であり、指定のある場合を除き、純分換算での値を示す。なお、「バランス」は、各例の液体洗浄剤組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。また、配合量の空欄は、その成分が配合されていないこと(配合量0質量%)を意味する。
また、表1~5中の「C/A比」は、(A)成分に対する(C)成分の質量比である。「C1/A比」は、(A)成分に対する(C1)成分の質量比である。「C2/A比」は、(A)成分に対する(C2)成分の質量比である。「C1/C2比」は、(C2)成分に対する(C1)成分の質量比である。「B/C比」は、(C)成分に対する(B)成分の質量比である。「B/C1比」は、(C1)成分に対する(B)成分の質量比である。「B/C2比」は、(C2)成分に対する(B)成分の質量比である。「A/D比」は、(D)成分に対する(A)成分の質量比である。「E1/E2比」は、(E2)成分に対する(E1)成分の質量比である。「E11/E2比」は、(E2)成分に対する(E11)成分の質量比である。「A/F比」は、(F)成分に対する(A)成分の質量比である。「B/F比」は、(F)成分に対する(B)成分の質量比である。「C/F比」は、(F)成分に対する(C)成分の質量比である。「C1/F比」は、(F)成分に対する(C1)成分の質量比である。「C2/F比」は、(F)成分に対する(C2)成分の質量比である。なお、表1~5では、A/F比以外の各質量比については便宜のために、小数第3位を四捨五入している。A/F比については便宜のために、小数第4位を四捨五入している。
【0188】
表1~4から明らかなように、各実施例の液体洗浄剤組成物は、液外観安定性及び酵素安定性に優れていた。また、各実施例の液体洗浄剤組成物は、洗浄力が高く、低温安定性にも優れていた。
一方、表5から明らかなように、(A)成分を含まない比較例1の液体洗浄剤組成物は、液外観安定性に劣っていた。
(B)成分又は(C)成分を含まない比較例2、3の液体洗浄剤組成物は、酵素安定性に劣っていた。特に、(C)成分を含まない比較例3の液体洗浄剤組成物は、洗浄力にも劣っていた。
(A)成分の代わりにチオ硫酸ナトリウムを含む比較例4の液体洗浄剤組成物は、液外観安定性に劣っていた。