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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035339
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A61M25/00 610
A61M25/00 620
A61M25/00 630
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139741
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】パットラーヴット ブンシリ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB13
4C267BB15
4C267BB40
4C267CC08
4C267EE01
4C267GG07
4C267GG22
4C267GG24
4C267HH04
4C267HH08
4C267HH17
(57)【要約】
【課題】 カテーテルの剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができ、延いては、カテーテルの柔軟性を増大させ、カテーテルの耐キンク性を向上させたカテーテルを提供する。
【解決手段】 ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層6aと、その内層6aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線(9a~9n)と、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線(7a~7f、5aa~5bf)と、から構成された編組8と、その編組8を覆う外層6bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線(7a~7f、5aa~5bf)は、所定長さの幅W1を有する第3の素線(7a~7f)と、その第3の素線(7a~7f)の幅W1よりも小さい幅W2の複数の第4の素線(5aa~5bf)との組み合わせによって構成されている。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空管状体からなる内層と、
その内層を覆い、第1の方向に巻回された第1の素線と、前記第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線と、から構成された編組と、
その編組を覆う外層と、
を備えたカテーテルにおいて、
前記第2の素線は、所定長さの幅を有する第3の素線と、その第3の素線の幅よりも小さい幅の複数の第4の素線との組み合わせによって構成されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記第3の素線と複数の前記第4の素線とは、交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第3の素線及び前記第4の素線は、各横断面が略矩形状を呈していることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第3の素線及び前記第4の素線は、各横断面が略矩形状を呈していることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1の素線は、その横断面が略円形状を呈していることを特徴とする請求項3に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第1の素線は、その横断面が略円形状を呈していることを特徴とする請求項4に記載のカテーテル。
【請求項7】
複数の前記第4の素線と前記第1の素線とが交差する部分の前記内層からの高さを、前記第3の素線と前記第1の素線とが交差する部分の前記内層からの高さよりも低くしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の血管等の管腔内に挿入して使用されるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、患者の血管等の管腔内に挿入して使用されるカテーテルが知られており、手技を行なう医師は、カテーテルの内腔にガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤの先端をカテーテルの先端から突出させ、ガイドワイヤの先導によってカテーテルを病変部に到達させ、病変部に到達されたカテーテルの内腔を介してステント、塞栓コイル等のデバイスを病変部に配置してきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、内筒21と、内筒21の外側に配置される補強層としての編組22と、編組22を覆う外筒23と、を有する可撓性チューブ2を備えた狭窄部貫通用カテーテル1が記載されている(図1図2等参照)。
【0004】
また、特許文献1には、可撓性チューブ2を構成する編組22について、剛性の異なる2種類の線材22a及び線材22bを内筒21の外側に巻き付けることにより、カテーテル本体の強度及び剛性を調整し易くしていると記載されている(「0035」段落等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-195847号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカテーテルでは、図3に示されるように、剛性の異なる線材22a及び線材22bが、内筒21の長手方向に対して右巻き及び左巻きのそれぞれに配置されていることから、編組を製造する際の線材の配置が非常に困難であるという問題があった。
【0007】
また、一般に、カテーテルでは、柔軟性を向上させるとともに、耐キンク性を向上させることが望ましい。
【0008】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、カテーテルの剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができ、延いては、カテーテルの柔軟性を増大させ、カテーテルの耐キンク性を向上させたカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様は、中空管状体からなる内層と、その内層を覆い、第1の方向に巻回された第1の素線と、前記第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線と、から構成された編組と、その編組を覆う外層と、を備えたカテーテルにおいて、前記第2の素線は、所定長さの幅を有する第3の素線と、その第3の素線の幅よりも小さい幅の複数の第4の素線との組み合わせによって構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様のカテーテルにおいて、 前記第3の素線と複数の前記第4の素線とは、交互に配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様のカテーテルにおいて、前記第3の素線及び前記第4の素線は、各横断面が略矩形状を呈していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第4の態様は、第2の態様のカテーテルにおいて、前記第3の素線及び前記第4の素線は、各横断面が略矩形状を呈していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第5の態様は、第3の態様のカテーテルにおいて、前記第1の素線は、その横断面が略円形状を呈していることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第6の態様は、第4の態様のカテーテルにおいて、前記第1の素線は、その横断面が略円形状を呈していることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の第7の態様は、第1の態様乃至請第6の態様の何れかのカテーテルにおいて、複数の前記第4の素線と前記第1の素線とが交差する部分の前記内層からの高さを、前記第3の素線と前記第1の素線とが交差する部分の前記内層からの高さよりも低くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、中空管状体からなる内層と、その内層を覆い、第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線と、から構成された編組と、その編組を覆う外層と、を備えたカテーテルにおいて、第2の素線は、所定長さの幅を有する第3の素線と、その第3の素線の幅よりも小さい幅の複数の第4の素線との組み合わせによって構成されているので、第3の素線と複数の第4の素線との組み合わせを調整することによって、カテーテルの剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる。
【0017】
また、本発明の第2の態様によれば、第1の態様のカテーテルにおいて、第3の素線と複数の第4の素線とは、交互に配置されているので、剛性、柔軟性及び耐キンク性を適度に調整したカテーテルを簡単に製造することができる。
【0018】
また、本発明の第3の態様によれば、第1の態様のカテーテルにおいて、第3の素線及び第4の素線は、各横断面が略矩形状を呈しているので、第1の態様のカテーテルの効果に加えて、カテーテルの外径を増大させずに、内層または外層に対する接触面積を増大させて、カテーテルの耐キンク性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の第4の態様によれば、第2の態様のカテーテルにおいて、第3の素線及び第4の素線は、各横断面が略矩形状を呈しているので、第2の態様のカテーテルの効果に加えて、カテーテルの外径を増大させずに、内層または外層に対する接触面積を増大させて、カテーテルの耐キンク性を増大させることができる。
【0020】
また、本発明の第5の態様によれば、第3の態様のカテーテルにおいて、第1の素線は、その横断面が略円形状を呈しているので、第3の態様のカテーテルの効果に加えて、第1の素線と、第3の素線または複数第4の素線との接触面積を減少させて、カテーテルの柔軟性を増大させることができる。
【0021】
また、本発明の第6の態様によれば、第4の態様のカテーテルにおいて、第1の素線は、その横断面が略円形状を呈しているので、第4の態様のカテーテルの効果に加えて、第1の素線と、第3の素線または複数第4の素線との接触面積を減少させて、カテーテルの柔軟性を増大させることができる。
【0022】
さらに、本発明の第7の態様によれば、第1の態様乃至第6の態様の何れかのカテーテルにおいて、複数の第4の素線と第1の素線とが交差する部分の内層からの高さを、第3の素線と第1の素線とが交差する部分の内層からの高さよりも低くしたので、第1の態様乃至第6の態様の何れかのカテーテルの効果に加え、カテーテルの柔軟性をさらに増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態のカテーテルの全体図である。
図2図1のA部の縦断面図である。
図3】第1実施形態のカテーテルを構成する編組の一部を示す斜視図である。
図4図3のC部の拡大図である。
図5】第1実施形態のカテーテルを構成する他の編組の図4相当図である。
図6図2のB部の拡大図である。
図7】第1実施形態のカテーテルを湾曲させた場合の、図6相当図である。
図8】第2実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
図9】第3実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
図10】第4実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
図11】第5実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
図12】第6実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
図13】第7実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
図14】第8実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態のカテーテルの全体図であり、図2は、図1のA部の縦断面図であり、図3は、第1実施形態のカテーテルを構成する編組の一部を示す斜視図であり、図4は、図3のC部の拡大図であり、図5は、第1実施形態のカテーテルを構成する他の編組の図4相当図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態のカテーテル1は、カテーテル本体3と、カテーテル本体3の先端に接合された先端チップ2と、カテーテル本体3の基端に接合されたコネクタ4とから構成されている。
【0028】
カテーテル本体3は、図2に示すように、内腔3sを有する内層6aと、その内層6aの外周に巻回された編組8と、内層6a及び編組8を覆う外層6bとから構成されている。
【0029】
内層6aは、樹脂から形成された長尺の中空管状体であり、内部にガイドワイヤや他の医療デバイスを挿入するためのルーメン3sを形成している。
【0030】
内層6aを形成する樹脂材料としては、生体適合性を有する材料であれば良く、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニルデン)等が使用可能であるが、本実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が使用されている。
【0031】
編組8は、図2乃至図4に示すように、内層6aに対して第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された第2の素線とが交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。
【0032】
具体的には、本実施形態の第1の素線は、内層6aの外周において、内層6aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9j、9k、9m及び9n(以下、「9a~9n」と記す)からなる。
【0033】
一方、第2の素線は、内層6aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された6本の第3の素線7a、7b、7c、7d、7e及び7f(以下、「7a~7f」と記す)と、6組12本の第4の素線5aa-5ba、5ab-5bb、5ac-5bc、5ad-5bd、5ae-5be及び5af-5bf、(以下、「5aa~5bf」と記す)とからなる。
【0034】
ここで、例えば、1組の「5aa-5ba」とは、第4の素線5aaと第4の素線5baとが1組となって、第1の素線(例えば、9a~9n)に対して撚られていることを意味する。
【0035】
したがって、上述の6組の「5aa-5ba」、「5ab-5bb」、「5ac-5bc」、「5ad-5bd」、「5ae-5be」及び「5af-5bf」とは、それぞれの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、9a~9n)に対して撚られていることを意味する。
【0036】
また、上述の第1の方向とは、一般的には、例えば、カテーテル1の先端に向かって左巻きの方向、上述の第1の方向に対して交差する方向の第2の方向とは、例えば、カテーテル1の先端に向かって右巻きの方向を意味するが、本実施形態及び後述する実施形態においては、これに限定されるものではなく、それぞれが交差する方向であれば、何れの方向であっても良い。
【0037】
図6は、図2のB部の拡大図であり、図7は、第1実施形態のカテーテルを湾曲させた場合の、図6相当図である。
【0038】
上述のように、本実施形態の第1の素線は、内層6aの外周において、内層6aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線9a~9nからなり、第2の素線は、内層6aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された6本の第3の素線7a~7fと、6組12本の第4の素線5aa~5bfとからなる。
【0039】
図6に示すように、本実施形態における第1の素線9a~9nの各々は、横断面が略円形の素線であり、第2の素線を構成する第3の素線7a~7fは、各々が幅=W1、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)であり、第2の素線を構成する第4の素線5aa~5bfは、各々が第3の素線7a~7fの幅W1より小さい幅=W2、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)である。
【0040】
なお、本実施形態の第4の素線5aa~5bfの各々の幅は、第3の素線7a~7fの各々の幅の約1/2に設定されている。
【0041】
そして、本実施形態カテーテル1を構成するカテーテル本体3が湾曲すると、図7に示されるように、第4の素線5aaと第4の素線5baとの間、第4の素線5abと第4の素線5bbとの間、第4の素線5acと第4の素線5bcとの間、第4の素線5adと第4の素線5bdとの間、第4の素線5aeと第4の素線5beとの間、及び第4の素線5afと第4の素線5bfとの間が、若干扇形状に開き(図7において、第4の素線5adと第4の素線5bdとの隙間=X1、第4の素線5aeと第4の素線5beとの隙間=X2、及び第4の素線5afと第4の素線5bfとの隙間=X3として示している)、カテーテル1の柔軟性及び耐キンク性を向上させることができる。
【0042】
なお、本実施形態及び後述する実施形態においては、第3の素線と第4の素線との配置割合によって、カテーテルの剛性、柔軟性、耐キンク性を調整することができる。
【0043】
例えば、第2の素線の中で第3の素線の割合を多くした場合には、カテーテルの剛性をより向上させることができ、第2の素線の中で第4の素線の割合を多くした場合には、カテーテルの柔軟性及び耐キンク性をより向上させることができる。
【0044】
編組8を構成する12本の第1素線9a~9n及び6本かつ6組の第2素線7a~7f及び5aa~5bfの材料としては、生体適合性を有する、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0045】
なお、本実施形態に使用される編組8は、図4に示すように、第1の素線と第2の素線とが1本または1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であるが、本発明は、そのような編組に限られるものではなく、図5に示すカテーテル10を構成するカテーテル本体13の編組18のように、12本の第1の素線(19a、19b、19c、19d、19e、19f、19g、19h、19j、19k、19m、19n)と、6本かつ6組の第2の素線(17a、17b、17c、17d、17e、17f、15aa-15ba、15ab-15bb、15ac-15bc、15ad-15bd、15ae-15be、15af-15bf)と、が2本ずつ、または、1本かつ1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても良く、3本以上ずつ、2本かつ1組以上ずつ、または、1本かつ2組以上ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても適用可能である。
【0046】
また、本実施形態においては、第1の素線を12本、第2の素線を6本かつ6組として説明してきたが、本発明は、これらの本数に限られるものではなく、第1の素線は1本以上であれば良く、第2の素線も1本かつ1組以上であれば良い。
【0047】
外層6bは樹脂からなり、内層6a及び編組8を被覆している。外層6bを形成する樹脂材料は、生体適合性を有する、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーが好ましく、例えば、ポリエーテルブロックアミド共重合体等のポリアミド系エラストマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン、酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等が使用可能であるが、本実施形態では、ポリアミド系エラストマーが使用されている。
【0048】
カテーテル本体3の先端に接合されている先端チップ2は、カテーテル本体3のルーメン3sに連通するルーメン2sを備えた中空円筒形状であり、最先端部に向かって先細りのテーパ形状の外周面を有している。
【0049】
先端チップ2を形成する樹脂材料としては、生体適合性を有する、ポリスチレンエラストマー、ポリスチレン、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリエステル、ポリアミドエラストマー、ポリアミド等が使用可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンエラストマーが使用されている。
【0050】
また、コネクタ4は樹脂からなり、カテーテル本体3のルーメン3sに連通するルーメン4sを有し、カテーテル本体3の基端に接合されている。
【0051】
本実施形態のカテーテル1によれば、ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層6aと、その内層6aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線9a~9nと、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線7a~7f及び5aa~5bfと、から構成された編組8と、その編組8を覆う外層6bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線7a~7f及び5aa~5bfは、所定長さの幅W1を有する第3の素線7a~7fと、その第3の素線7a~7fの幅W1よりも小さい幅W2の複数の第4の素線5aa~5bfとの組み合わせによって構成されているので、第3の素線7a~7fと複数の第4の素線5aa~5bfとの組み合わせを調整することによって、カテーテル1の剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる。
【0052】
また、本実施形態のカテーテル1によれば、第3の素線7a~7fと複数の第4の素線5aa~5bfとは、交互に配置されているので、剛性、柔軟性及び耐キンク性を適度に調整したカテーテル1を簡単に製造することができる。
【0053】
また、本実施形態のカテーテル1によれば、第3の素線7a~7f及び複数の第4の素線5aa~5bfは、各横断面が略矩形状を呈しているので、カテーテル1の外径を増大させずに、内層6aまたは外層6bに対する接触面積を増大させて、カテーテル1の耐キンク性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態のカテーテル1によれば、第1の素線9a~9nは、その横断面が略円形状を呈しているので、第1の素線9a~9nと、第3の素線7a~7fまたは複数の第4の素線5aa~5bfとの接触面積を減少させて、カテーテル1の柔軟性を増大させることができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0056】
以下、本発明の第2実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0057】
第2実施形態のカテーテル20は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、編組の構成が異なる。すなわち、カテーテル1の編組8は、第3の素線と複数の第4の素線とが交互に配置されていたが、カテーテル20の編組28は、第3の素線が複数の第4の素線の2組ごとに配置されている。
【0058】
したがって、上述の通り、第2実施形態のカテーテル20は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、カテーテルの柔軟性及び耐キンク性をさらに向上させることができる。
【0059】
図8は、第2実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
【0060】
図1及び図8に示すように、本実施形態のカテーテル20は、カテーテル本体23と、カテーテル本体23の先端に接合された先端チップ2と、カテーテル本体23の基端に接合されたコネクタ4とから構成されている。
【0061】
カテーテル本体23は、図8に示すように、内腔3sを有する内層26aと、その内層26aの外周に巻回された編組28と、内層26a及び編組28を覆う外層26bとから構成されている。
【0062】
内層26aは、第1実施形態の内層6aと同様であり、外層26bも、第1実施形態の外層6bと同様である。
【0063】
編組28は、図8に示すように、内層26aに対して第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された第2の素線とがメッシュ状に編み込まれて形成されている。
【0064】
具体的には、本実施形態の第1の素線は、内層6aの外周において、内層6aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線(29a、29b、29c、29d、29e、29f、29g、29h、29j、29k、29m、29n(以下、「29a~29n」と記す))からなる。
【0065】
一方、第2の素線は、内層6aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された4本の第3の素線(27a、27b、27c、27d(以下、「27a~27d」と記す))と、8組16本の第4の素線(25aa-25ba、25ab-25bb、25ac-25bc、25ad-25bd、25ae-25be、25af-25bf、25ag-25bg、25ah-25bh(以下、「5aa~5bh」と記す))とからなる。
【0066】
なお、図8において、第1の素線29a~29e及び29m~29nと、第3の素線27b~27cと、第4の素線25aa-25ba、25ab-25bb、25ac-25bc、25ag-25bg、25ah-25bhとは図示されていないが、本実施形態の第1の素線、第3の素線及び第4の素線は、図2の第1の素線、第3の素線及び第4の素線と同様、図8に示す配置通りに順番に配置されている。
【0067】
ここで、例えば、1組の「25aa-25ca」とは、素線25aa及び素線25baの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、29a~29n)に対して撚られていることを意味する。
【0068】
したがって、上述の8組の「25aa-25ca」、「25ab-25cb」、「25ac-25cc」、「25ad-25cd」、「25ae-25ce」、「25af-25cf」、「25ag-25cg」、「25ah-25ch」とは、それぞれの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、29a~29n)に対して撚られていることを意味する。
【0069】
図8に示すように、本実施形態における第1の素線29a~29nの各々は、横断面が略円形の素線であり、第2の素線を構成する第3の素線27a~27dは、各々が幅=W1、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)であり、第2の素線を構成する第4の素線25aa~5bhは、各々が第3の素線27a~27dの幅W1より小さい幅=W2、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)である。
【0070】
なお、本実施形態の第4の素線25aa~25bhの各々の幅は、第3の素線27a~27dの各々の幅の約1/2に設定されている。
【0071】
そして、本実施形態カテーテル20を構成するカテーテル本体23が湾曲すると、第4の素線25aaと第4の素線25baとの間、第4の素線25abと第4の素線25bbとの間、第4の素線25acと第4の素線25bcとの間、第4の素線25adと第4の素線25bdとの間、第4の素線25aeと第4の素線25beとの間、第4の素線5afと第4の素線5bfとの間、第4の素線25agと第4の素線25bgとの間、及び第4の素線5ahと第4の素線5bhとの間が、図7に示した状態と同様に若干扇形状に開き、カテーテルの柔軟性を及び耐キンク性を向上させることができる。
【0072】
編組28を構成する12本の第1素線29a~29n、4本かつ8組の第2素線27a~27d及び25aa~25bhの材料としては、生体適合性を有する、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0073】
なお、本実施形態に使用される編組28は、図4に示すように、第1の素線と第2の素線とが1本または1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であるが、本発明は、そのような編組に限られるものではなく、12本の第1の素線29a~29nと、4本かつ8組の第2の素線(27a、27b、27c、27d、25aa-25ba、25ab-25bb、25ac-25bc、25ad-25bd、25ae-25be、25af-25bf、25ag-25bg、25ah-25bh)と、が2本ずつ、または、1本及び1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても良く、3本以上ずつ、2本及び1組以上ずつ、または、1本及び2組以上ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても適用可能である。
【0074】
本実施形態のカテーテル20によれば、ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層26aと、その内層26aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線29a~29nと、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線27a~27d及び25aa~25bhと、から構成された編組28と、その編組28を覆う外層26bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線27a~27d及び25aa~25bhは、所定長さの幅W1を有する第3の素線27a~27dと、その第3の素線27a~27dの幅W1よりも小さい幅W2の複数の第4の素線25aa~25bhとの組み合わせによって構成されているので、第3の素線27a~27dと複数の第4の素線25aa~25bhとの組み合わせを調整することによって、カテーテル20の剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる。
【0075】
また、本実施形態のカテーテル20によれば、第3の素線27a~27d及び複数の第4の素線25aa~25bhは、各横断面が略矩形状を呈しているので、カテーテル20の外径を増大させずに、内層26aまたは外層26bに対する接触面積を増大させて、カテーテル20の耐キンク性を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態のカテーテル20によれば、第1の素線29a~29nは、その横断面が略円形状を呈しているので、第1の素線29a~29nと、第3の素線27a~27dまたは複数の第4の素線25aa~25bhとの接触面積を減少させて、カテーテル20の柔軟性を増大させることができる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0078】
以下、本発明の第3実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0079】
第3実施形態のカテーテル30は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、第4の素線の構成が異なる。すなわち、カテーテル1の第2の素線を構成する第4の素線は、2本の第4の素線を1組として構成されていたが、本実施形態のカテーテル30の第2の素線を構成する第4の素線は、3本の素線を1組として構成されている。
【0080】
図9は、第3実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
【0081】
図1及び図9に示すように、本実施形態のカテーテル30は、カテーテル本体33と、カテーテル本体33の先端に接合された先端チップ2と、カテーテル本体33の基端に接合されたコネクタ4とから構成されている。
【0082】
カテーテル本体33は、図9に示すように、内腔3sを有する内層36aと、その内層36aの外周に巻回された編組38と、内層36a及び編組38を覆う外層36bとから構成されている。
【0083】
内層36aは、第1実施形態の内層6aと同様であり、外層36bも、第1実施形態の外層6bと同様である。
【0084】
編組38は、図9に示すように、内層36aに対して第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された第2の素線とが交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。
【0085】
具体的には、本実施形態の第1の素線は、内層36aの外周において、内層36aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線(39a、39b、39c、39d、39e、39f、39g、39h、39j、39k、39m、39n(以下、「39a~39n」と記す))からなる。
【0086】
一方、第2の素線は、内層36aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された6本の第3の素線(37a、37b、37c、37d、37e、37f(以下、「37a~37f」と記す))と、6組12本の第4の素線(35aa-35ca、35ab-35cb、35ac-35cc、35ad-35cd、35ae-35ce、35af-35cf、(以下、「35aa~35cf」と記す))とからなる。
【0087】
なお、図9において、第1の素線39a~39e及び39m~39nと、第3の素線37a~37c及び37fと、第4の素線35aa-35ca、35ab-35cb、35ac-35ccとは図示されていないが、本実施形態の第1の素線、第3の素線及び第4の素線は、図2の第1の素線、第3の素線及び第4の素線と同様に配置されている。
【0088】
ここで、例えば、1組の「35aa-35ca」とは、素線35aa、素線35ba及び素線35caの3本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、39a~39n)に対して撚られていることを意味する。
【0089】
したがって、上述の6組の「35aa-35ca」、「35ab-35cb」、「35ac-35cc」、「35ad-35cd」、「35ae-35ce」、「35af-35cf」とは、それぞれの3本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、39a~39n)に対して撚られていることを意味する。
【0090】
図9に示すように、本実施形態における第1の素線39a~39nの各々は、横断面が略円形の素線であり、第2の素線を構成する第3の素線37a~37fは、各々が幅=W3、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)であり、第2の素線を構成する第4の素線35aa~35cfは、各々が第3の素線37a~37fの幅W3より小さい幅=W4、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)である。
【0091】
なお、本実施形態の第4の素線35aa~35cfの各々の幅は、第3の素線37a~37fの各々の幅の約1/3に設定されている。
【0092】
そして、本実施形態カテーテル30を構成するカテーテル本体33が湾曲すると、第4の素線35aaと第4の素線35baとの間、第4の素線35baと第4の素線35caとの間、第4の素線35abと第4の素線35bbとの間、第4の素線35bbと第4の素線35cbとの間、第4の素線35acと第4の素線35bcとの間、第4の素線35bcと第4の素線35ccとの間、第4の素線35adと第4の素線35bdとの間、第4の素線35bdと第4の素線35cdとの間、第4の素線35aeと第4の素線35beとの間、第4の素線35beと第4の素線35ceとの間、第4の素線35afと第4の素線35bfとの間、及び第4の素線35bfと第4の素線35cfとの間が、図7に示すように、若干扇形状に開き、カテーテルの柔軟性を及び耐キンク性を向上させることができる。
【0093】
編組38を構成する12本の第1素線39a~39n及び6本かつ6組の第2素線37a~37f及び35aa~35cfの材料としては、生体適合性を有する、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0094】
なお、本実施形態に使用される編組38は、図9に示すように、第1の素線と第2の素線とが1本または1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であるが、本発明は、そのような編組に限られるものではなく、図5に示すカテーテル10を構成するカテーテル本体13のように、12本の第1の素線と6本かつ6組の第2の素線と、が2本ずつ、または、1本及び1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても良く、3本以上ずつ、2本及び1組以上ずつ、または、1本及び2組以上ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても適用可能である。
【0095】
なお、本実施形態においては、第1の素線を12本、第2の素線を6本及び6組として説明してきたが、本発明は、これらの本数に限られるものではなく、第1の素線は1本以上であれば良く、第2の素線も1本及び1組以上であれば良い。
【0096】
本実施形態のカテーテル30によれば、ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層36aと、その内層36aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線39a~39nと、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線37a~37f及び35aa~35cfと、から構成された編組38と、その編組38を覆う外層36bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線37a~37f及び35aa~35cfは、所定長さの幅W3を有する第3の素線37a~37fと、その第3の素線37a~37fの幅W3よりも小さい幅W4の複数の第4の素線35aa~35cfとの組み合わせによって構成されているので、第3の素線37a~37fと複数の第4の素線35aa~35cfとの組み合わせを調整することによって、カテーテル30の剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる。
【0097】
また、本実施形態のカテーテル30によれば、第3の素線37a~37fと複数の第4の素線35aa~35cfとは、交互に配置されているので、剛性、柔軟性及び耐キンク性を適度に調整したカテーテル30を簡単に製造することができる。
【0098】
また、本実施形態のカテーテル30によれば、第3の素線37a~37f及び複数の第4の素線35aa~35cfは、各横断面が略矩形状を呈しているので、カテーテル30の外径を増大させずに、内層36aまたは外層36bに対する接触面積を増大させて、カテーテル30の耐キンク性を向上させることができる。
【0099】
また、本実施形態のカテーテル30によれば、第1の素線39a~39nは、その横断面が略円形状を呈しているので、第1の素線39a~39nと、第3の素線37a~37fまたは複数の第4の素線35aa~35cfとの接触面積を減少させて、カテーテル30の柔軟性を増大させることができる。
【0100】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0101】
以下、本発明の第4実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0102】
第4実施形態のカテーテル40は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、第1の素線の横断面形状が異なる。すなわち、カテーテル1の第1の素線の横断面形状が略円形状であるのに対し、本実施形態のカテーテル40の第1の素線の横断面形状は、略矩形状である。
【0103】
図10は、第4実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
【0104】
図1及び図10に示すように、本実施形態のカテーテル40は、カテーテル本体43と、カテーテル本体43の先端に接合された先端チップ2と、カテーテル本体43の基端に接合されたコネクタ4とから構成されている。
【0105】
カテーテル本体43は、図10に示すように、内腔3sを有する内層46aと、その内層46aの外周に巻回された編組48と、内層46a及び編組48を覆う外層46bとから構成されている。
【0106】
内層46aは、第1実施形態の内層6aと同様であり、外層46bも、第1実施形態の外層6bと同様である。
【0107】
編組48は、図10に示すように、内層46aに対して第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された第2の素線とが交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。
【0108】
具体的には、本実施形態の第1の素線は、内層46aの外周において、内層46aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線(49a、49b、49c、49d、49e、49f、49g、49h、49j、49k、49m、49n(以下、「49a~49n」と記す))からなる。
【0109】
一方、第2の素線は、内層46aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された6本の第3の素線(47a、47b、47c、47d、47e、47f(以下、「47a~47f」と記す)と、6組12本の第4の素線(45aa-45ba、45ab-45bb、45ac-45bc、45ad-45bd、45ae-45be、45af-45bf、(以下、「45aa~45bf」と記す))とからなる。
【0110】
なお、図10において、第1の素線49a~49e及び49m~49nと、第3の素線47a~47c及び47fと、第4の素線45aa-45ba、45ab-45bb、45ac-45bcとは図示されていないが、本実施形態の第1の素線、第3の素線及び第4の素線は、図2の第1の素線、第3の素線及び第4の素線と同様に配置されている。
【0111】
ここで、例えば、1組の「45aa-45ba」とは、素線45aa及び素線45baの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、49a~49n)に対して撚られていることを意味する。
【0112】
したがって、上述の6組の「45aa-45ba」、「45ab-45bb」、「45ac-45bc」、「45ad-45bd」、「45ae-45be」、「45af-45bf」とは、それぞれの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、49a~49n)に対して撚られていることを意味する。
【0113】
図10に示すように、本実施形態における第1の素線49a~49nの各々は、幅=W5、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)であり、第2の素線を構成する第3の素線47a~47fは、各々が幅=W1、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)であり、第2の素線を構成する第4の素線45aa~45bfは、各々が第3の素線47a~47fの幅W1より小さい幅=W2、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)である。
【0114】
なお、本実施形態の第4の素線45aa~45bfの各々の幅は、第3の素線47a~47fの各々の幅の約1/2に設定されている。
【0115】
そして、本実施形態カテーテル40を構成するカテーテル本体43が湾曲すると、第4の素線45aaと第4の素線45baとの間、第4の素線45abと第4の素線45bbとの間、第4の素線45acと第4の素線45bcとの間、第4の素線45adと第4の素線45bdとの間、第4の素線45aeと第4の素線45beとの間、及び第4の素線45afと第4の素線45bfとの間が、図7に示すように、若干扇形状に開き、カテーテルの柔軟性を及び耐キンク性を向上させることができる。
【0116】
編組48を構成する12本の第1素線49a~49n及び6本かつ6組の第2素線47a~47f及び45aa~45bfの材料としては、生体適合性を有する、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0117】
なお、本実施形態に使用される編組48は、図10に示すように、第1の素線と第2の素線とが1本または1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であるが、本発明は、そのような編組に限られるものではなく、図5に示すカテーテル10を構成するカテーテル本体13のように、12本の第1の素線と6本かつ6組の第2の素線と、が2本ずつ、または、1本及び1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても良く、3本以上ずつ、2本及び1組以上ずつ、または、1本及び2組以上ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても適用可能である。
【0118】
なお、本実施形態においては、第1の素線を12本、第2の素線を6本及び6組として説明してきたが、本発明は、これらの本数に限られるものではなく、第1の素線は1本以上であれば良く、第2の素線も1本及び1組以上であれば良い。
【0119】
本実施形態のカテーテル40によれば、ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層46aと、その内層46aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線49a~49nと、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線47a~47f及び45aa~45bfと、から構成された編組48と、その編組48を覆う外層46bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線47a~47f及び45aa~45bfは、所定長さの幅W1を有する第3の素線47a~47fと、その第3の素線47a~47fの幅W1よりも小さい幅W2の複数の第4の素線45aa~45bfとの組み合わせによって構成されているので、第3の素線47a~47fと複数の第4の素線45aa~45bfとの組み合わせを調整することによって、カテーテル40の剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる。
【0120】
また、本実施形態のカテーテル40によれば、第3の素線47a~47fと複数の第4の素線45aa~45bfとは、交互に配置されているので、剛性、柔軟性及び耐キンク性を適度に調整したカテーテル40を簡単に製造することができる。
【0121】
さらに、本実施形態のカテーテル40によれば、第3の素線47a~47f及び複数の第4の素線45aa~45bfは、各横断面が略矩形状を呈しているので、カテーテル40の外径を増大させずに、内層46aまたは外層46bに対する接触面積を増大させて、カテーテル40の耐キンク性を向上させることができる。
【0122】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0123】
以下、本発明の第5実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0124】
第5実施形態のカテーテル50は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、第3の素線及び第4の素線の横断面形状が異なる。すなわち、カテーテル1の第3の素線及び第4の素線の横断面形状が略矩形状であるのに対し、本実施形態のカテーテル50の第3の素線及び第4の素線の横断面形状は、略円形状である。
【0125】
図11は、第5実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
【0126】
図1及び図11に示すように、本実施形態のカテーテル50は、カテーテル本体53と、カテーテル本体53の先端に接合された先端チップ2と、カテーテル本体53の基端に接合されたコネクタ4とから構成されている。
【0127】
カテーテル本体53は、図11に示すように、内腔3sを有する内層56aと、その内層56aの外周に巻回された編組58と、内層56a及び編組58を覆う外層56bとから構成されている。
【0128】
内層56aは、第1実施形態の内層6aと同様であり、外層56bも、第1実施形態の外層6bと同様である。
【0129】
編組58は、図11に示すように、内層56aに対して第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された第2の素線とが交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。
【0130】
具体的には、本実施形態の第1の素線は、内層56aの外周において、内層56aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線(59a、59b、59c、59d、59e、59f、59g、59h、59j、59k、59m、59n(以下、「59a~59n」と記す))からなる。
【0131】
一方、第2の素線は、内層56aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された6本の第3の素線(57a、57b、57c、57d、57e、57f(以下、「57a~57f」と記す)と、6組12本の第4の素線(55aa-55ba、55ab-55bb、55ac-55bc、55ad-55bd、55ae-55be、55af-55bf、(以下、「55aa~55bf」と記す))とからなる。
【0132】
なお、図11において、第1の素線59a~59e及び59m~59nと、第3の素線57a~57c及び57fと、第4の素線55aa-55ba、55ab-55bb、55ac-55bcとは図示されていないが、本実施形態の第1の素線、第3の素線及び第4の素線は、図2の第1の素線、第3の素線及び第4の素線と同様に配置されている。
【0133】
ここで、例えば、1組の「55aa-55ba」とは、素線55aa及び素線55baの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、59a~59n)に対して撚られていることを意味する。
【0134】
したがって、上述の6組の「55aa-55ba」、「55ab-55bb」、「55ac-55bc」、「55ad-55bd」、「55ae-55be」、「55af-55bf」とは、それぞれの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、59a~59n)に対して撚られていることを意味する。
【0135】
図11に示すように、本実施形態における第1の素線59a~59nの各々は、横断面が略円形の素線であり、第2の素線を構成する第3の素線57a~57fの各々は、横断面が直径=R1の略円形の素線であり、第2の素線を構成する第4の素線55aa~55bfの各々は、横断面が直径=R1より小さい直径=R2の略円形の素線である。
【0136】
なお、本実施形態の第4の素線55aa~55bfの各々の直径R2は、第3の素線57a~57fの各々の直径R1の約1/2に設定されている。
【0137】
そして、本実施形態カテーテル50を構成するカテーテル本体53が湾曲すると、第4の素線55aaと第4の素線55baとの間、第4の素線55abと第4の素線55bbとの間、第4の素線55acと第4の素線55bcとの間、第4の素線55adと第4の素線55bdとの間、第4の素線55aeと第4の素線55beとの間、及び第4の素線55afと第4の素線55bfとの間が、図7に示すように、若干開き、カテーテルの柔軟性を及び耐キンク性を向上させることができる。
【0138】
編組58を構成する12本の第1素線59a~59n及び6本かつ6組の第2素線57a~57f及び55aa~55bfの材料としては、生体適合性を有する、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0139】
なお、本実施形態に使用される編組58は、図11に示すように、第1の素線と第2の素線とが1本または1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であるが、本発明は、そのような編組に限られるものではなく、図5に示すカテーテル10を構成するカテーテル本体13のように、12本の第1の素線と6本かつ6組の第2の素線と、が2本ずつ、または、1本及び1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても良く、3本以上ずつ、2本及び1組以上ずつ、または、1本及び2組以上ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても適用可能である。
【0140】
なお、本実施形態においては、第1の素線を12本、第2の素線を6本及び6組として説明してきたが、本発明は、これらの本数に限られるものではなく、第1の素線は1本以上であれば良く、第2の素線も1本及び1組以上であれば良い。
【0141】
本実施形態のカテーテル50によれば、ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層56aと、その内層56aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線59a~59nと、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線57a~57f及び55aa~55bfと、から構成された編組58と、その編組58を覆う外層56bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線57a~57f及び55aa~55bfは、横断面が直径=R1の第3の素線57a~57fと、その第3の素線57a~57fの直径R1よりも小さい直径R2の複数の第4の素線55aa~55bfとの組み合わせによって構成されているので、第3の素線57a~57fと複数の第4の素線55aa~55bfとの組み合わせを調整することによって、カテーテル50の剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる。
【0142】
また、本実施形態のカテーテル50によれば、第3の素線57a~57fと複数の第4の素線55aa~55bfとは、交互に配置されているので、剛性、柔軟性及び耐キンク性を適度に調整したカテーテル50を簡単に製造することができる。
【0143】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0144】
以下、本発明の第6実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0145】
第6実施形態のカテーテル60は、第1実施形態のカテーテル1と比較して、第4の素線の厚みが異なる。すなわち、カテーテル1の第4の素線は、幅=W2、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)であったのに対し、本実施形態のカテーテル60の第4の素線は、幅=W2、厚みL1よりも小さい厚み=L2の平線(横断面が略矩形状の線材)である。
【0146】
図12は、第6実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
【0147】
図1及び図12に示すように、本実施形態のカテーテル60は、カテーテル本体63と、カテーテル本体63の先端に接合された先端チップ2と、カテーテル本体63の基端に接合されたコネクタ4とから構成されている。
【0148】
カテーテル本体63は、図12に示すように、内腔3sを有する内層66aと、その内層66aの外周に巻回された編組68と、内層66a及び編組68を覆う外層66bとから構成されている。
【0149】
内層66aは、第1実施形態の内層6aと同様であり、外層66bも、第1実施形態の外層6bと同様である。
【0150】
編組68は、図12に示すように、内層66aに対して第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された第2の素線とが交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。
【0151】
具体的には、本実施形態の第1の素線は、内層66aの外周において、内層66aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線(69a、69b、69c、69d、69e、69f、69g、69h、69j、69k、69m、69n(以下、「69a~69n」と記す))からなる。
【0152】
一方、第2の素線は、内層66aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された6本の第3の素線(67a、67b、67c、67d、67e、67f(以下、「67a~67f」と記す)と、6組の第4の素線(65aa-65ba、65ab-65bb、65ac-65bc、65ad-65bd、65ae-65be、65af-65bf、(以下、「65aa~65bf」と記す))とからなる。
【0153】
なお、図12において、第1の素線69a~69e及び69m~69nと、第3の素線67a~67c及び67fと、第4の素線65aa-65ba、65ab-65bb、65ac-65bcとは図示されていないが、本実施形態の第1の素線、第3の素線及び第4の素線は、図2の第1の素線、第3の素線及び第4の素線と同様に配置されている。
【0154】
ここで、例えば、1組の「65aa-65ba」とは、素線65aa及び素線65baの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、69a~69n)に対して撚られていることを意味する。
【0155】
したがって、上述の6組の「65aa-65ba」、「65ab-65bb」、「65ac-65bc」、「65ad-65bd」、「65ae-65be」、「65af-65bf」とは、それぞれの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、69a~69n)に対して撚られていることを意味する。
【0156】
図12に示すように、本実施形態における第2の素線を構成する第3の素線67a~67fは、各々が幅=W1、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)であり、第2の素線を構成する第4の素線65aa~65bfは、各々が第3の素線67a~67fの幅W1より小さい幅=W2、かつ第3の素線67a~67fの厚みL1より小さい厚み=L2の平線(横断面が略矩形状の線材)である。
【0157】
その結果、第4の素線65aa~65bfと第1の素線69a~69nとが交差する部分の内層66aからの高さH2は、第3の素線67a~67fと第1の素線69a~69nとが交差する部分の内層66aからの高さH1よりも低くなる。
【0158】
そして、第4の素線65aa~65bfと第1の素線69a~69nとが交差する部分における外層66bの厚みが、第3の素線67a~67fと第1の素線69a~69nとが交差する部分における外層66bの厚みよりも大きくなることにより、カテーテル60を構成するカテーテル本体63の柔軟性をさらに増大させることができる。
【0159】
なお、本実施形態の第4の素線65aa~65bfの各々の幅は、第3の素線67a~67fの各々の幅の約1/2に設定されている。
【0160】
そして、本実施形態カテーテル60を構成するカテーテル本体63が湾曲すると、第4の素線65aaと第4の素線65baとの間、第4の素線65abと第4の素線65bbとの間、第4の素線65acと第4の素線65bcとの間、第4の素線65adと第4の素線65bdとの間、第4の素線65aeと第4の素線65beとの間、及び第4の素線65afと第4の素線65bfとの間が、図7に示すように、若干扇形状に開き、カテーテルの柔軟性を及び耐キンク性を向上させることができる。
【0161】
編組68を構成する12本の第1素線69a~69n及び6本かつ6組の第2素線67a~67f及び65aa~65bfの材料としては、生体適合性を有する、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0162】
なお、本実施形態に使用される編組68は、図12に示すように、第1の素線と第2の素線とが1本または1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であるが、本発明は、そのような編組に限られるものではなく、図5に示すカテーテル10を構成するカテーテル本体13のように、12本の第1の素線と6本かつ6組の第2の素線と、が2本ずつ、または、1本及び1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても良く、3本以上ずつ、2本及び1組以上ずつ、または、1本及び2組以上ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても適用可能である。
【0163】
なお、本実施形態においては、第1の素線を12本、第2の素線を6本及び6組として説明してきたが、本発明は、これらの本数に限られるものではなく、第1の素線は1本以上であれば良く、第2の素線も1本及び1組以上であれば良い。
【0164】
本実施形態のカテーテル60によれば、ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層66aと、その内層66aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線69a~69nと、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線67a~67f及び65aa~65bfと、から構成された編組68と、その編組68を覆う外層66bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線67a~67f及び65aa~65bfは、所定長さの幅W1を有する第3の素線67a~67fと、その第3の素線67a~67fの幅W1よりも小さい幅W2の複数の第4の素線65aa~65bfとの組み合わせによって構成されているので、第3の素線(67a~67f)と複数の第4の素線(65aa~65bf)との組み合わせを調整することによって、カテーテル60の剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる。
【0165】
また、本実施形態のカテーテル60によれば、第3の素線67a~67fと複数の第4の素線65aa~65bfとは、交互に配置されているので、剛性、柔軟性及び耐キンク性を適度に調整したカテーテル60を簡単に製造することができる。
【0166】
また、本実施形態のカテーテル60によれば、第3の素線67a~67f及び複数の第4の素線65aa~65bfは、各横断面が略矩形状を呈しているので、カテーテル60の外径を増大させずに、内層66aまたは外層66bに対する接触面積を増大させて、カテーテル60の耐キンク性を向上させることができる。
【0167】
また、本実施形態のカテーテル60によれば、第1の素線69a~69nは、その横断面が略円形状を呈しているので、第1の素線69a~69nと、第3の素線67a~67fまたは複数の第4の素線65aa~65bfとの接触面積を減少させて、カテーテル60の柔軟性を増大させることができる。
【0168】
さらに、本実施形態のカテーテル60によれば、複数の第4の素線65aa~65bfと第1の素線69a~69nとが交差する部分の内層66aからの高さH2を、第3の素線67a~67fと第1の素線69a~69nとが交差する部分の内層66aからの高さH1よりも低くしたので、カテーテル60の柔軟性をさらに増大させることができる。
【0169】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0170】
以下、本発明の第7実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0171】
第7実施形態のカテーテル70は、第6実施形態のカテーテル60と比較して、第1の素線の横断面形状が異なる。すなわち、カテーテル60の第1の素線の横断面形状が略円形状であるのに対し、本実施形態のカテーテル70の第1の素線の横断面形状は、略矩形状である。
【0172】
図13は、第7実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
【0173】
図1及び図13に示すように、本実施形態のカテーテル70は、カテーテル本体73と、カテーテル本体73の先端に接合された先端チップ2と、カテーテル本体73の基端に接合されたコネクタ4とから構成されている。
【0174】
カテーテル本体73は、図13に示すように、内腔3sを有する内層76aと、その内層76aの外周に巻回された編組78と、内層76a及び編組78を覆う外層76bとから構成されている。
【0175】
内層76aは、第1実施形態の内層6aと同様であり、外層76bも、第1実施形態の外層6bと同様である。
【0176】
編組78は、図13に示すように、内層76aに対して第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された第2の素線とが交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。
【0177】
具体的には、本実施形態の第1の素線は、内層76aの外周において、内層76aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線(79a、79b、79c、79d、79e、79f、79g、79h、79j、79k、79m、79n(以下、「79a~79n」と記す))からなる。
【0178】
一方、第2の素線は、内層76aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された6本の第3の素線(77a、77b、77c、77d、77e、77f(以下、「77a~77f」と記す)と、6組の第4の素線(75aa-75ba、75ab-75bb、75ac-75bc、75ad-75bd、75ae-75be、75af-75bf、(以下、「75aa~75bf」と記す))とからなる。
【0179】
なお、図13において、第1の素線79a~79e及び79m~79nと、第3の素線77a~77c及び77fと、第4の素線75aa-75ba、75ab-75bb、75ac-75bcとは図示されていないが、本実施形態の第1の素線、第3の素線及び第4の素線は、図2の第1の素線、第3の素線及び第4の素線と同様に配置されている。
【0180】
ここで、例えば、1組の「75aa-75ba」とは、素線75aa及び素線75baの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、79a~79n)に対して撚られていることを意味する。
【0181】
したがって、上述の6組の「75aa-75ba」、「75ab-75bb」、「75ac-75bc」、「75ad-75bd」、「75ae-75be」、「75af-75bf」とは、それぞれの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、79a~79n)に対して撚られていることを意味する。
【0182】
図13に示すように、本実施形態における第1の素線79a~79nは、各々が平線(横断面が略矩形状の線材)であり、本実施形態における第2の素線を構成する第3の素線77a~77fは、各々が幅=W1、厚み=L1の平線(横断面が略矩形状の線材)であり、第2の素線を構成する第4の素線75aa~75bfは、各々が第3の素線77a~77fの幅W1より小さい幅=W2、第3の素線77a~77fの厚みL1より小さい厚み=L2の平線(横断面が略矩形状の線材)である。
【0183】
その結果、第4の素線75aa~75bfと第1の素線79a~79nとが交差する部分の内層76aからの高さH4は、第3の素線77a~77fと第1の素線79a~79nとが交差する部分の内層76aからの高さH3よりも低くなる。
【0184】
そして、第4の素線75aa~75bfと第1の素線79a~79nとが交差する部分における外層76bの厚みが、第3の素線77a~77fと第1の素線79a~79nとが交差する部分における外層76bの厚みよりも大きくなることにより、カテーテル70を構成するカテーテル本体73の柔軟性をさらに増大させることができる。
【0185】
なお、本実施形態の第4の素線75aa~75bfの各々の幅は、第3の素線77a~77fの各々の幅の約1/2に設定されている。
【0186】
そして、本実施形態カテーテル70を構成するカテーテル本体73が湾曲すると、第4の素線75aaと第4の素線75baとの間、第4の素線75abと第4の素線75bbとの間、第4の素線75acと第4の素線75bcとの間、第4の素線75adと第4の素線75bdとの間、第4の素線75aeと第4の素線75beとの間、及び第4の素線75afと第4の素線75bfとの間が、図7に示すように、若干扇形状に開き、カテーテルの柔軟性を及び耐キンク性を向上させることができる。
【0187】
編組78を構成する12本の第1素線(79a~79n)及び12組の第2素線(77a~77f及び75aa~75bf)の材料としては、生体適合性を有する、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0188】
なお、本実施形態に使用される編組78は、図13に示すように、第1の素線と第2の素線とが1本または1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であるが、本発明は、そのような編組に限られるものではなく、図5に示すカテーテル10を構成するカテーテル本体13のように、12本の第1の素線と12組の第2の素線と、が2本ずつ、または、1本及び1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても良く、3本以上ずつ、2本及び1組以上ずつ、または、1本及び2組以上ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても適用可能である。
【0189】
なお、本実施形態においては、第1の素線を12本、第2の素線を6本及び6組として説明してきたが、本発明は、これらの本数に限られるものではなく、第1の素線は1本以上であれば良く、第2の素線も1本及び1組以上であれば良い。
【0190】
本実施形態のカテーテル70によれば、ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層76aと、その内層76aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線79a~79nと、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線77a~77f及び75aa~75bfと、から構成された編組78と、その編組78を覆う外層76bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線77a~77f及び75aa~75bfは、所定長さの幅W1を有する第3の素線77a~77fと、その第3の素線77a~77fの幅W1よりも小さい幅W2の複数の第4の素線75aa~75bfとの組み合わせによって構成されているので、第3の素線77a~77fと複数の第4の素線75aa~75bfとの組み合わせを調整することによって、カテーテル70の剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる。
【0191】
また、本実施形態のカテーテル70によれば、第3の素線77a~77fと複数の第4の素線75aa~75bfとは、交互に配置されているので、剛性、柔軟性及び耐キンク性を適度に調整したカテーテル70を簡単に製造することができる。
【0192】
また、本実施形態のカテーテル70によれば、第3の素線77a~77f及び複数の第4の素線75aa~75bfは、各横断面が略矩形状を呈しているので、カテーテル70の外径を増大させずに、内層76aまたは外層76bに対する接触面積を増大させて、カテーテル70の耐キンク性を向上させることができる。
【0193】
さらに、本実施形態のカテーテル70によれば、複数の第4の素線75aa~75bfと第1の素線79a~79nとが交差する部分の内層76aからの高さH4を、第3の素線77a~77fと第1の素線79a~79nとが交差する部分の内層76aからの高さH3よりも低くしたので、カテーテル70の柔軟性をさらに増大させることができる。
【0194】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。なお、本実施形態に使用する図面も、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0195】
以下、本発明の第8実施形態を説明するが、カテーテルの全体図については、図1と同様であるため説明を省略し、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0196】
第8実施形態のカテーテル80は、第6実施形態のカテーテル60と比較して、第3の素線及び第4の素線の横断面形状が異なる。すなわち、カテーテル60の第3の素線及び第4の素線の横断面形状が略矩形状であるのに対し、本実施形態のカテーテル80の第3の素線及び第4の素線の横断面形状は、略円形状である。
【0197】
図14は、第8実施形態のカテーテルを構成する編組の図6相当図である。
【0198】
図1及び図14に示すように、本実施形態のカテーテル80は、カテーテル本体83と、カテーテル本体83の先端に接合された先端チップ2と、カテーテル本体83の基端に接合されたコネクタ4とから構成されている。
【0199】
カテーテル本体83は、図14に示すように、内腔3sを有する内層86aと、その内層86aの外周に巻回された編組88と、内層86a及び編組88を覆う外層86bとから構成されている。
【0200】
内層86aは、第1実施形態の内層6aと同様であり、外層86bも、第1実施形態の外層6bと同様である。
【0201】
編組88は、図14に示すように、内層86aに対して第1の方向に巻回された第1の素線と、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された第2の素線とが交互にメッシュ状に編み込まれて形成されている。
【0202】
具体的には、本実施形態の第1の素線は、内層86aの外周において、内層86aに対して第1の方向に巻回された12本の第1の素線(89a、89b、89c、89d、89e、89f、89g、89h、89j、89k、89m、89n(以下、「89a~89n」と記す))からなる。
【0203】
一方、第2の素線は、内層86aの外周において、第1の方向に対して交差する方向の第2の方向に巻回された6本の第3の素線(87a、87b、87c、87d、87e、87f(以下、「87a~87f」と記す)と、6組の第4の素線(85aa-85ba、85ab-85bb、85ac-85bc、85ad-85bd、85ae-85be、85af-85bf、(以下、「85aa~85bf」と記す))とからなる。
【0204】
なお、図14において、第1の素線89a~89e及び89m~89nと、第3の素線87a~87c及び87fと、第4の素線85aa-85ba、85ab-85bb、85ac-85bcとは図示されていないが、本実施形態の第1の素線、第3の素線及び第4の素線は、図2の第1の素線、第3の素線及び第4の素線と同様に配置されている。
【0205】
ここで、例えば、1組の「85aa-85ba」とは、素線85aa及び素線85baの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、89a~89n)に対して撚られていることを意味する。
【0206】
したがって、上述の6組の「85aa-85ba」、「85ab-85bb」、「85ac-85bc」、「85ad-85bd」、「85ae-85be」、「85af-85bf」とは、それぞれの2本の第4の素線が1組となって、第1の素線(例えば、879a~89n)に対して撚られていることを意味する。
【0207】
図14に示すように、本実施形態における第1の素線89a~89nの各々は、横断面が略円形の素線であり、第2の素線を構成する第3の素線87a~87fの各々は、横断面が直径=R3の略円形の素線であり、第2の素線を構成する第4の素線85aa~85bfの各々は、横断面が直径=R3より小さい直径=R4の略円形の素線である。
【0208】
その結果、第4の素線85aa~85bfと第1の素線89a~89nとが交差する部分の内層86aからの高さH6は、第3の素線87a~87fと第1の素線89a~89nとが交差する部分の内層86aからの高さH5よりも低くなる。
【0209】
そして、第4の素線85aa~85bfと第1の素線89a~89nとが交差する部分における外層86bの厚みが、第3の素線87a~87fと第1の素線89a~89nとが交差する部分における外層86bの厚みよりも大きくなることにより、カテーテル80を構成するカテーテル本体83の柔軟性をさらに増大させることができる。
【0210】
なお、本実施形態の第4の素線85aa~85bfの各々の直径R4は、第3の素線87a~87fの各々の直径R3の約1/2に設定されている。
【0211】
そして、本実施形態カテーテル80を構成するカテーテル本体83が湾曲すると、第4の素線85aaと第4の素線85baとの間、第4の素線85abと第4の素線85bbとの間、第4の素線85acと第4の素線85bcとの間、第4の素線85adと第4の素線85bdとの間、第4の素線85aeと第4の素線85beとの間、及び第4の素線85afと第4の素線85bfとの間が、図7に示すように、若干開き、カテーテルの柔軟性を及び耐キンク性を向上させることができる。
【0212】
編組88を構成する12本の第1素線89a~89n及び6本かつ6組の第2素線87a~87f及び85aa~85bfの材料としては、生体適合性を有する、ステンレス鋼、タングステン、Ni-Ti系合金等の金属素線を使用することができ、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0213】
なお、本実施形態に使用される編組88は、図14に示すように、第1の素線と第2の素線とが1本または1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であるが、本発明は、そのような編組に限られるものではなく、図5に示すカテーテル10を構成するカテーテル本体13のように、12本の第1の素線と6本かつ6組の第2の素線と、が2本ずつ、または、1本及び1組ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても良く、3本以上ずつ、2本及び1組以上ずつ、または、1本及び2組以上ずつ交互にメッシュ状に編み込まれた形態であっても適用可能である。
【0214】
なお、本実施形態においては、第1の素線を12本、第2の素線を6本かつ6組として説明してきたが、本発明は、これらの本数に限られるものではなく、第1の素線は1本以上であれば良く、第2の素線も1本及び1組以上であれば良い。
【0215】
本実施形態のカテーテル80によれば、ルーメン3sを有する中空管状体からなる内層86aと、その内層86aを覆い、第1の方向に巻回された第1の素線89a~89nと、第1の方向に交差する方向に巻回された第2の素線87a~87f及び85aa~85bfと、から構成された編組88と、その編組88を覆う外層86bと、を備えたものを対象として、特に、第2の素線87a~87f及び85aa~85bfは、横断面が直径=R3の第3の素線87a~87fと、その第3の素線87a~87fの直径R3よりも小さい直径R4の複数の第4の素線85aa~85bfとの組み合わせによって構成されているので、第3の素線87a~87fと複数の第4の素線85aa~85bfとの組み合わせを調整することによって、カテーテル80の剛性、柔軟性及び耐キンク性を容易に調整することができる
【0216】
また、本実施形態のカテーテル80によれば、第3の素線87a~87fと複数の第4の素線85aa~85bfとは、交互に配置されているので、剛性、柔軟性及び耐キンク性を適度に調整したカテーテル80を簡単に製造することができる。
【0217】
さらに、本実施形態のカテーテル80によれば、複数の第4の素線85aa~85bfと第1の素線89a~89nとが交差する部分の内層86aからの高さH6を、第3の素線87a~87fと第1の素線89a~89nとが交差する部分の内層86aからの高さH5よりも低くしたので、カテーテル80の柔軟性をさらに増大させることができる。
【0218】
以上、本発明の各種実施形態のカテーテルについて説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0219】
例えば、上述の各実施形態においては、第4の素線の2本または3本を1組として説明してきたが、1組とする第4の素線の本数は、4本以上であっても良く、第4の素線は、複数本を1組とするものであれば良い。
【0220】
ただし、カテーテルの製造を考慮すれば、第4の素線は、2本を1組とする場合に、カテーテルを最も簡単に製造することができる。
【符号の説明】
【0221】
1,10,20,30,40,50,60,70,80・・・カテーテル
2・・・先端チップ
3, 13,23,33,43,53,63,73,83・・・カテーテル本体
4・・・コネクタ
5,15,25,35,45,55,65,75,85・・・第4の素線
6a,26a,36a,46a,56a,66a,76a,86a・・・内層
6b,26b,36b,46b,56b,66b,76b,86b・・・外層
7,17,27,37,47,57,67,77,87・・・第3の素線
8,18,28,38,48,58,68,78,88・・・編組
9,19,29,39,49,59,69,79,89・・・第1の素線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14