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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035344
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】錠剤搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/06 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A61J3/06 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139752
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】一色 利浩
(72)【発明者】
【氏名】佐治 義人
(72)【発明者】
【氏名】北原 淳平
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 剛
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ12
4C047LL10
(57)【要約】
【課題】錠剤を1個ずつ搬送する錠剤搬送装置において、効率良くかつ確実に錠剤を搬送する。
【解決手段】錠剤搬送装置4は、錠剤7を収容する型孔30を備えた搬送ディスク24と、搬送ディスク24の裏面側に配され型孔30内の錠剤7を支持する搬送テーブル31とを有する。搬送ディスク24は外周カバー25内に傾斜配置され、外周部にはフランジ壁29が立設されている。型孔30の開口部には面取り部32が形成され、面取り部32の外周縁32cは搬送ディスク24の外端縁24aに接している。面取り部32の面取り寸法は、内周側32aが外周側32bよりも小さい。外周カバー25の内周には錠剤ガイド33が設けられており、その内周縁33bは型孔30の面取り部34上方までオーバーハングして配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を収容可能な複数個の型孔を備え、水平面に対して傾斜して配置された回転可能な搬送ディスクを有する錠剤搬送装置であって、
前記型孔は、前記搬送ディスク表面側の開口部に面取り部を備え、
前記面取り部は、前記搬送ディスクの中心側の面取り寸法が外周側の面取り寸法よりも小さいことを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の錠剤搬送装置において、
前記面取り部は、前記型孔の孔部に対して偏心して設けられることを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項3】
請求項1記載の錠剤搬送装置において、
該錠剤搬送装置は、
前記搬送ディスクの径方向外側に取り付けられ、前記搬送ディスクの周囲を取り囲み、内側に前記搬送ディスクが収容される外周カバーと、
前記外周カバーの内周に取り付けられ、前記搬送ディスク中心方向に突出して前記搬送ディスクの上方に配設されるガイド部材と、を有し、
前記ガイド部材は、前記搬送ディスクの中心方向に向かって、前記型孔の前記面取り部外周縁上方又は該面取り部外周縁を越えて前記中心側に延在するオーバーハング部を有することを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項4】
請求項3記載の錠剤搬送装置において、
前記オーバーハング部は、前記ガイド部材の下端に形成され、その内周縁が前記型孔の前記面取り部外周縁上方又は該面取り部外周縁を越えて前記中心側に配置されることを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項5】
請求項1記載の錠剤搬送装置において、
前記搬送ディスクは、前記型孔が形成される錠剤搬送面と、該搬送ディスクの外周部に周方向に沿って立設され前記錠剤搬送面から上方に延びるフランジ壁と、を備え、
前記面取り部の外周縁は、前記フランジ壁内周側基部の前記錠剤搬送面外端縁に接して設けられることを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項6】
請求項5記載の錠剤搬送装置において、
該錠剤搬送装置は、
前記搬送ディスクの径方向外側に取り付けられ、前記搬送ディスクの周囲を取り囲み、内側に前記搬送ディスクが収容される外周カバーと、
前記外周カバーの内周に取り付けられ、前記搬送ディスク中心方向に突出して前記フランジ壁の上方に配設されるガイド部材と、を有し、
前記ガイド部材は、前記搬送ディスクの中心方向に向かって、前記フランジ壁の上端内周縁を越えて延在するオーバーハング部を有することを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項7】
請求項6記載の錠剤搬送装置において、
前記オーバーハング部は、前記ガイド部材の下端に形成され、その内周縁が前記型孔の前記面取り部外周縁上方又は該面取り部外周縁を越えて前記中心側に配置されることを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の錠剤搬送装置において、
前記外周カバーの下部側の所定位置に設けられ、前記搬送ディスクの逆転方向の回転に伴って前記下部側の所定位置に移動する前記錠剤が前記外周カバーの外側に排出される強制排出口と、
前記強制排出口の前段近傍に配置され、前記下部側の所定位置に移動しつつある前記錠剤に対し空気を噴射し、前記錠剤を前記強制排出口に導入するエアノズルと、を有することを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項9】
請求項8記載の錠剤搬送装置において、
前記エアノズルは、前記空気を間欠的に噴射することを特徴とする錠剤搬送装置。
【請求項10】
請求項1~7の何れか1項に記載の錠剤搬送装置において、
該錠剤搬送装置は、
前記搬送ディスクの裏面側に配置され、前記型孔内の前記錠剤を下側から支持する搬送テーブルと、
前記搬送テーブルの上部側の所定位置に設けられ、前記搬送ディスクの正転方向の回転に伴って前記上部側の所定位置を通過する前記型孔内の前記錠剤が該型孔内から落下する錠剤排出口と、を有し、
前記錠剤排出口の下方に、前記錠剤排出口から落下する前記錠剤の個数をカウントするセンサが配置されていることを特徴とする錠剤搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品等の錠剤を後段の装置や設備等に搬送、送給する錠剤搬送装置に関し、特に、錠剤を1個ずつ搬送して後段に送給可能な錠剤搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や健康食品などの錠剤を製造する場合、製造処理中の錠剤を適宜取り出し、処理の進行状況を確認するサンプリング検査を実施する場合がある。例えば、医薬品錠剤では、素錠の表面に糖衣等のコーティング処理を行う場合があり、その際、コーティング処理の工程管理としてサンプリング検査が実施される。この場合のサンプリング検査は、コーティング処理の間定期的に行われ、コーティング装置内から一定量の錠剤をサンプルとして取り出し、その重量を測定して実施される。
【0003】
このようなサンプリング装置として、本出願人は特許文献1のようなシステムを提案している。そこでは、コーティング処理中の回転するコーティングパン内から錠剤を取り出し、それを計数部にてカウントしつつ、一定数量(例えば、100錠)だけ計量部に送給する。そして、サンプル重量から錠剤表面のコーティング皮膜量を算出し、それに基づいてコーティング膜厚を計算してコーティング処理の進行状況を把握する。
【0004】
図10は、前述のサンプリングシステムで使用されている錠剤搬送装置51の構成概要を示す説明図である。図10に示すように、ここでは、計数部として、円盤状の搬送ディスク52を備えた錠剤搬送装置51が用いられている。搬送ディスク52は、モータによって回転駆動され、円筒形の外周カバー53内に傾斜配置されている。搬送ディスク52の外周部近傍には、錠剤54の形状、サイズに対応した型孔55が貫通形成されている。型孔55は、周方向に沿って一定間隔で複数個形成されており、錠剤54が1錠ずつ装填・通過可能となっている。搬送ディスク52の裏面側には、型孔55から錠剤54が下方に脱落しないよう、錠剤54を下から支持する回転しない搬送テーブル56が設けられている。
【0005】
搬送テーブル56の上部側には、型孔55に対応して錠剤排出口57が設けられている。搬送ディスク52の回転に伴って上部側に来た錠剤54は、型孔55から錠剤排出口57に落下する。錠剤排出口57の下方には、落下して来る錠剤数をカウントするセンサ58が設けられており、錠剤54は、センサ58によって数量をカウントされつつ後段(計量部)に送られる。計量部では、一定数量の錠剤54が溜まったところでその重量が測定され、コーティング処理の進行状況が検出される。
【0006】
錠剤搬送装置51には、コーティングパンからサンプルとして取り出された錠剤54が送給される。錠剤54は、搬送ディスク52の低部側に供給され、搬送ディスク52上の低部側、時計の略6時方向の位置(以下、**時は時計の文字盤を基準とする)に錠剤溜まりが形成される。なお、ここでは「低部側」とは、傾斜配置された搬送ディスク52の下側半分の領域を言い、「上部側」とは、同じく上半分の領域を示す。
【0007】
搬送ディスク52が回転し、錠剤溜まりの中でかき混ぜられた錠剤54は、ディスクの回転に伴い型孔55に順次嵌まる。型孔55に入った錠剤54は、搬送テーブル56に支えられながら、連続的に上部側に移送される。その際、搬送ディスク52の低部側と上部側との間には掻き落としブレード59が設けられており、型孔55に入らずディスク上を連れ上がりする錠剤は、掻き落としブレード59によって除去される。また、掻き落としブレード59により、一つの型孔55に二つ嵌まってしまった錠剤も除去され、センサ58が同時に落下する2錠を1錠とカウントしてしまうカウントミスを防止している。型孔55内の錠剤54は、上部側にて錠剤排出口57に落下し、センサ58によって数量がカウントされる。センサ58による検出データは、図示しないコーティング制御装置に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-29076号公報
【特許文献2】特開平9-301528号公報
【特許文献3】特開2011-84290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、錠剤搬送装置51の型孔55には、錠剤が入り易くなるよう、孔の入口に面取り部61が設けられている。ところが、この面取り部61は、搬送ディスク52が回転し型孔55が上部側に移動すると、搬送ディスク52が傾斜していることから、ディスク中心寄りの面取り部61が水平状態に近くなる。このため、軽量の小径錠剤や、滑りやすいレンズ型錠剤は、図11(a)のように、型孔が上部側位置に来たとき型孔55から横にずれ、面取り部61に乗ったままになってしまう場合がある(ハコ乗り)。錠剤54がこのような状態になると、掻き落としブレード59によって無用に掻き落されたり、錠剤排出口57にて型孔55から落下しなかったりするという問題があり、その対策が求められていた。
【0010】
また、平錠など、錠剤の帯(側周面)が太く円筒に近いものの場合、図11(b)のように、外周カバー53の内周壁53aに沿って錠剤54が立ち転がりを開始してしまうおそれがある。錠剤が立ち転がり状態で安定してしまうと、搬送ディスク52がいくら回転しても錠剤54が型孔55に嵌まらずに転がり続け、錠剤を回収できない場合があるという問題もあった。
【0011】
本発明の目的は、錠剤を1個ずつ搬送する錠剤搬送装置において、効率良くかつ確実に錠剤を搬送することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の錠剤搬送装置は、錠剤を収容可能な複数個の型孔を備え、水平面に対して傾斜して配置された回転可能な搬送ディスクを有する錠剤搬送装置であって、前記型孔は、前記搬送ディスク表面側の開口部に面取り部を備え、前記面取り部は、前記搬送ディスクの中心側の面取り寸法が外周側の面取り寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
このように、前記型孔の前記面取り部における中心側の面取り寸法を外周側よりも小さくすると、面取り部の内周側に錠剤が乗りにくくなり、錠剤のハコ乗り現象が抑えられ、錠剤の装填性向上が図られる。この場合、前記面取り部を前記型孔の孔部に対して偏心して設けることにより、中心側と外周側の面取り寸法を異ならせるようにしても良い。
【0014】
また、前記錠剤搬送装置に、前記搬送ディスクの径方向外側に取り付けられ、前記搬送ディスクの周囲を取り囲み、内側に前記搬送ディスクが収容される外周カバーと、前記外周カバーの内周に取り付けられ、前記搬送ディスク中心方向に突出して前記搬送ディスクの上方に配設されるガイド部材と、を設け、前記ガイド部材に、前記搬送ディスクの中心方向に向かって、前記型孔の前記面取り部外周縁上方又は該面取り部外周縁を越えて前記中心側に延在するオーバーハング部を設けるようにしても良い。この場合、前記オーバーハング部を前記ガイド部材の下端に形成し、その内周縁を前記型孔の前記面取り部外周縁上方又は該面取り部外周縁を越えて前記中心側に配置するようにしても良い。
【0015】
このように、ガイド部材の下端内周縁を型孔の面取り部外周縁上方かそれを越えて配置すると、搬送ディスク外周部の錠剤がガイド部材によって型孔へと案内される。したがって、錠剤がディスク外周部で一時的に立ち転がりしても、搬送ディスクの回転に伴い、確実に型孔に落下する。その結果、錠剤が立ち転がり続けることがなくなり、錠剤の装填率向上が図られる。
【0016】
また、前記搬送ディスクに、前記型孔が形成される錠剤搬送面と、該搬送ディスクの外周部に周方向に沿って立設され前記錠剤搬送面から上方に延びるフランジ壁と、を設け、前記面取り部の外周縁を、前記フランジ壁内周側基部の前記錠剤搬送面外端縁に接して設けるようにしても良い。このように、前記型孔開口部に形成された面取り部の外周縁を前記錠剤搬送面外端縁に接して設けることにより、従来の錠剤搬送装置にあった型孔外周側の平面部が廃され、搬送ディスク外周部にて錠剤が立ち転がり続けるスペースをなくすことができる。
【0017】
さらに、前記錠剤搬送装置に、前記搬送ディスクの径方向外側に取り付けられ、前記搬送ディスクの周囲を取り囲み、内側に前記搬送ディスクが収容される外周カバーと、前記外周カバーの内周に取り付けられ、前記搬送ディスク中心方向に突出して前記フランジ壁の上方に配設されるガイド部材と、を設け、前記ガイド部材に、前記搬送ディスクの中心方向に向かって、前記フランジ壁の上端内周縁を越えて延在するオーバーハング部を設けるようにしても良い。この場合、前記オーバーハング部を、前記ガイド部材の下端に形成し、その内周縁を前記型孔の前記面取り部外周縁上方又は該面取り部外周縁を越えて前記中心側に配置するようにしても良い。
【0018】
このように、ガイド部材の下端内周縁をフランジ壁の上端内周縁を越えて配置すると、搬送ディスク外周部の錠剤がガイド部材によって型孔へと案内される。したがって、錠剤がディスク外周部で一時的に立ち転がりしても、搬送ディスクの回転に伴い、確実に型孔に落下する。その結果、錠剤が立ち転がり続けることがなくなり、錠剤の装填率向上が図られる。
【0019】
さらに、前記錠剤搬送装置に、前記外周カバーの下部側の所定位置に設けられ、前記搬送ディスクの逆転方向の回転に伴って前記下部側の所定位置に移動する前記錠剤が前記外周カバーの外側に排出される強制排出口と、前記強制排出口の前段近傍に配置され、前記下部側の所定位置に移動しつつある前記錠剤に対し空気を噴射し、前記錠剤を前記強制排出口に導入するエアノズルと、を設けても良い。
【0020】
これにより、錠剤排出口から順に排出するよりも速やかに余剰の錠剤を排出でき、さらに、双子錠のような型孔を通過できない不良錠や割れ欠けなども確実に装置外に排出できる。この場合、前記エアノズルにより、前記空気を間欠的に噴射するようにしても良い。
【0021】
加えて、当該錠剤搬送装置に、前記搬送ディスクの裏面側に配置され、前記型孔内の前記錠剤を下側から支持する搬送テーブルと、前記搬送テーブルの上部側の所定位置に設けられ、前記搬送ディスクの正転方向の回転に伴って前記上部側の所定位置を通過する前記型孔内の前記錠剤が該型孔内から落下する錠剤排出口と、を設け、前記錠剤排出口の下方に、前記錠剤排出口から落下する前記錠剤の個数をカウントするセンサを配置するようにしても良い。なお、前記搬送テーブルを回転しない構成としたり、前記錠剤排出口を前記搬送テーブルの一部に設けるようにしたりしても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明の錠剤搬送装置は、錠剤を収容可能な複数個の型孔を備えた搬送ディスクを有する錠剤搬送装置にて、型孔開口部に面取り部を設け、この面取り部におけるディスク中心側の面取り寸法を外周側よりも小さくしたので、面取り部の内周側に錠剤が乗りにくくなり、錠剤のハコ乗り現象を抑えることが可能となる。これにより、錠剤の装填性向上が図られ、短時間での錠剤搬送が可能となる。
【0023】
また、搬送ディスクの外側に外周カバーを設けると共に、外周カバーの内周に搬送ディスク上方に配設されるガイド部材を設け、このガイド部材に、搬送ディスクの中心方向に向かって、型孔の面取り部外周縁上方又は面取り部外周縁を越えて中心側に延在するオーバーハング部を設けるようにしたので、搬送ディスク外周部の錠剤をガイド部材によって型孔内に確実に導入することが可能となる。これにより、錠剤の立ち転がりを防止し、錠剤の装填性向上が図られ、短時間での錠剤搬送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態である錠剤搬送装置を用いた錠剤サンプリングシステムの全体構成を示す説明図である。
図2図1の錠剤サンプリングシステムにおける重量測定部の構成を示す説明図である。
図3】本発明の一実施の形態である錠剤搬送装置の構成を示す説明図である。
図4】本発明による錠剤搬送装置における搬送ディスク周縁近傍及び型孔の構成を示す説明図である。
図5】従来の錠剤搬送装置における搬送ディスク周縁近傍及び型孔の構成を示す説明図である。
図6】錠剤搬送装置の一次対策品の構成を示す説明図である。
図7】錠剤の強制排出の様子を示す説明図であり、(a)はエアオフ時、(b)はエアオン時をそれぞれ示している。
図8】本発明による錠剤搬送装置の他の実施形態を示す説明図である。
図9】本発明による錠剤搬送装置の他の実施形態を示す説明図である。
図10】サンプリングシステムで使用されている従来の錠剤搬送装置の構成概要を示す説明図である。
図11図10の錠剤搬送装置における課題を示す説明図であり、(a)はハコ乗り、(b)は平錠の各問題に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態である錠剤搬送装置を用いた錠剤サンプリングシステム1の全体構成を示す説明図である。当該錠剤サンプリングシステム1は、大別すると、サンプル取出部2とサンプル重量測定部(以下、重量測定部と略記する)3とから構成されている。本発明による錠剤搬送装置4は、図1の錠剤サンプリングシステム1の重量測定部3に配設されている。
【0026】
サンプル取出部2は、パンコーティング装置5のコーティングパン6内に配置され、圧縮空気を用いて錠剤7をパン内から取り出し、重量測定部3に送出する。重量測定部3は、サンプル取出部2によって取り出された錠剤7の数量と重量を測定する。重量測定部3で得られたデータは、コーティング制御装置8に送られる。コーティング制御装置8は、錠剤7のコーティング皮膜量を算出してコーティング膜厚を計算し、コーティングの進行状況を把握する。
【0027】
サンプル取出部2には、コーティングパン6から取り出された錠剤7を一旦収容するサンプル保持部9が設けられている。錠剤7は、圧縮空気を用いたブローサンプリングシステム11によってパン内より採取され、パン前面開口部12から製品排出口13を通ってパンコーティング装置5の外に排出される。装置外部に取り出された錠剤7は、サンプル保持部9にて一時的に留め置かれた後、重量測定部3に送られる。
【0028】
図2は、重量測定部3の構成を示す説明図である。図2に示すように、重量測定部3は、錠剤7の個数をカウントする計数部21と、錠剤7の重量を測定する計量部22と、を備えている。計数部21と計量部22は筐体23内に収容されている。計数部21には、錠剤7を1個ずつ搬送しその個数をカウントする錠剤搬送装置4が配されている。錠剤7は、錠剤搬送装置4にて計数された後、計量部22に送給される。計数部21と計量部22の計測データは、コーティング制御装置8に送られる。
【0029】
コーティング制御装置8は、錠剤数とその総重量から、素錠の重量を勘案して錠剤7のコーティング皮膜量を算出し、コーティング膜厚を計算する。これにより、コーティング制御装置8は、コーティングの進行状況を把握し、それに基づいて、コーティングパン6内に配されたスプレーガン14からの噴霧量や給気量、処理時間等の各種コーティング条件を制御する。
【0030】
図3は、錠剤搬送装置4の構成を示す説明図である。図3に示すように、錠剤搬送装置4には、傾斜配置された円盤状の搬送ディスク24が設けられている。搬送ディスク24は、直径260mm、厚さ3mm程度に形成されており、錠剤仕様に合わせて水平方向に対し20°~40°(ここでは35°)傾いている。搬送ディスク24は円筒形の外周カバー25内に収容されており、図2に示したように、ギヤボックス26を備えたリダクションモータ27によって約5rpmにて回転する。
【0031】
搬送ディスク24は、平面状の錠剤搬送面28と、錠剤搬送面28の外縁部に周方向に沿って立設されたフランジ壁29と、を備えている。フランジ壁29は、搬送ディスク24の外周部にて錠剤搬送面28から上方に延設されている。錠剤搬送面28の外周部近傍、例えば、ピッチ円直径240mm程度の位置には、錠剤7の形状、サイズに対応した型孔30(例えば、D=φ8mm)が貫通形成されている。型孔30は、周方向に沿って一定間隔で複数個形成されており、錠剤7が1錠ずつ装填・通過可能となっている。搬送ディスク24の裏面側には、回転しない搬送テーブル31が配されており、型孔30から錠剤7が下方に脱落しないよう錠剤7を下から支持している。
【0032】
図4は、錠剤搬送装置4における搬送ディスク24の周縁近傍と型孔30の構成を示す説明図である。図4に示すように、型孔30の表面側には、型孔30に錠剤7を導入し易くするため、上方に向かって拡径する形で面取り部32が設けられている。この場合、当該錠剤搬送装置4では、面取り部32の内周側32aの面取り寸法が、外周側32bの面取り寸法よりも小さくなっている(内周側:C0.4mm、外周側:C1mm)。前述のように、搬送ディスク24の外周にはフランジ壁29が立設されており、その内側に型孔30が設けられている。フランジ壁29の上方には、外周カバー25の内周に取り付けられた錠剤ガイド(ガイド部材)33が設けられている。錠剤ガイド33は、外周カバー25の下側約半周(5時~10時)に亘って設けられており、フランジ壁29の上面29aを覆うように配設されている。フランジ壁上面29aと、それと対向する錠剤ガイド33の下面33aとの間には、錠剤7が進入しない寸法の隙間Gが形成される。
【0033】
ここで、従来の錠剤搬送装置にも、型孔55の入り口には、型孔55と同心円状にC0.5mm程度の面取り部61が形成されている。図5は、従来の錠剤搬送装置における搬送ディスク周縁近傍と型孔55の構成を示す説明図である。図5に示すように、搬送ディスク52の外周にはフランジ壁62が立設されており、外周カバー53の内周には、フランジ壁62の上方を覆うように錠剤ガイド63が設けられている。ただし、当該錠剤搬送装置4とは異なり、型孔55とフランジ壁62との間に平面部64が設けられている。
【0034】
この場合、従来の錠剤搬送装置では、図5に示すように、型孔55の外側に平面部64が存在するため、平面部64に錠剤54が乗ってしまい、前述のように、外周カバー53の内周壁に沿って錠剤54が立ち転がりしてしまうおそれがあった(図11(b)参照)。そこで、発明者らは、このたち転がり対策として、まず図6のように、型孔30の面取り部34の面取りを大きくし(C1mm)、従来の装置と型孔の位置や孔部内径は変えずに、型孔30の開口面積を拡大した。そして、その上で面取り部32の外周縁32cが、フランジ壁29の内周側基部にて搬送ディスク24の外端縁24aに接するよう型孔30を配置した。つまり、従来、型孔30とフランジ壁29との間にあった平面部を廃し、錠剤7が立ち転がりする足場をなくした。
【0035】
さらに、錠剤ガイド33の下端内周縁33bをより内側(搬送ディスク24の中心方向)に向かって張り出させ、フランジ壁29の上端内周縁29bを越えて突出させた。すなわち、錠剤ガイド下端内周縁33bをフランジ壁29から中心方向に約0.5mm延出させてオーバーハング部35を設け、型孔30の上方、面取り部34の外周縁32cを越えて搬送ディスク24の中心側に延在させた。この場合、オーバーハング部35は、面取り部外周縁32cと同じ位置の上方か、外周縁32cよりも内側に錠剤ガイド33の下端内周縁33bを配置して設けられる。これにより、搬送ディスク24の外周部にいる錠剤7は、錠剤ガイド33によって型孔30に案内され落下し易くなる。このため、錠剤7がディスク外周部で一時的に立ち転がりしても、搬送ディスク24の回転に伴って確実に型孔30に落下する。したがって、図5図11(b)のような立ち転がり錠剤をなくすことができ、錠剤の装填性向上が図られる。
【0036】
ところが、上述のように単に面取り部34を大きくすると、前述のハコ乗り現象(図11(a)参照)がより発生し易くなるおそれがある。そこで、発明者らはさらに改良を重ね、図6の構成では型孔30の全周に一様に設けていた面取り部34(C1mm)を、図4のように、搬送ディスク24の中心側が外周側よりも小さい構成とした。すなわち、面取り部32の中心Oを型孔30の孔部30a(中心O)に対し偏心(偏心量e)させて加工し、外周側32bの面取り寸法は図6の場合と同様にC1mmとする一方、内周側32aの面取り寸法を従来よりも小さく外周側32bの半分以下のC0.4mmとした。
【0037】
これにより、面取り部32の内周側32aは、錠剤7が乗るスペースが小さくなるため、錠剤が乗りにくくなり、錠剤のハコ乗り現象を抑制することが可能となる。その結果、図6の構成による平錠の立ち転がりの対策効果はそのままに、ハコ乗りの対策も同時に実現することができ、錠剤7の型孔30への装填率がさらに向上し、短時間での錠剤搬送が可能となる。
【0038】
搬送ディスク24の低部側上方には投入シュート36が設けられている(図2参照)。なお、前述同様、ここでの「低部側」、「上部側」も、搬送ディスク24の上半分や下半分の領域を示している。投入シュート36には、サンプル取出部2のサンプル保持部9から錠剤7が送給される。投入シュート36から外周カバー25内に送られた錠剤7は、搬送ディスク24上の低部側(6時の位置)に集まり、錠剤溜まりが形成される。搬送ディスク24上の錠剤7は、錠剤溜まりの中でかき混ぜられ、ディスクの回転に伴い型孔30に順次嵌まり込む。型孔30に嵌まった錠剤7は、搬送ディスク24の回転に伴って、搬送テーブル31に支えられながら、連続的に上部側に移送される。
【0039】
搬送ディスク24の低部側と上部側との間には、掻き落としブレード37が配設されている。型孔30に入っておらずディスク上を連れ上がりする錠剤7や、一つの型孔30に錠剤7が二つ嵌まってしまったような場合は、掻き落としブレード37によって適宜除去される。これにより、錠剤7は、型孔30に沿って一列に整列され、上部側には型孔30内の錠剤7のみが1個ずつ搬送される。
【0040】
搬送テーブル31の所定位置(例えば、上部側の最上部位置からやや下がった2時方向の位置)には、型孔30に対応して錠剤排出口38が設けられている。また、錠剤排出口38の下方には、落下する錠剤の個数をカウントする計数センサ39が設けられている。搬送ディスク24の回転に伴って上部側に来た錠剤7は、錠剤排出口38から下方に落下する。錠剤排出口38に入った錠剤7は、計数センサ39によってカウントされた後、計量部22に送られる。計数センサ39による検出データは、コーティング制御装置8に送られる。
【0041】
計量部22には、上部が開口した計量ボックス41が設けられている。計量ボックス41は錠剤排出口38の下方に配されており、錠剤排出口38から出た錠剤7は、計量ボックス41内に収容される。計量ボックス41の下にはウエイトチェッカー(重量測定器)42が配設されている。ウエイトチェッカー42は、計量ボックス41内に収容された錠剤7の総重量を測定する。ウエイトチェッカー42の計量データもコーティング制御装置8に送られる。計量ボックス41の下方には排出シュート43が設けられており、計測が終了した錠剤7は、排出シュート43から排出ボックス44内に排出され回収される。
【0042】
また、錠剤搬送装置4には、外周カバー25を切り欠く形で強制排出口45が設けられている。強制排出口45の外側には、強制排出ボックス46が取り付けられている。錠剤搬送装置4では、重量測定後、搬送ディスク24を先程とは逆方向に回転させ、装置内に残っている錠剤7(余り錠)を強制排出口45から強制排出ボックス46に排出する。また、余り錠排出の際、錠剤溜まりから強制排出口45に錠剤7を効率良く送り込むべく、錠剤溜まり近傍にはエアノズル47が設けられている。
【0043】
このような錠剤サンプリングシステム1では、ブローサンプリングシステム11によって回転中のコーティングパン6内から錠剤7を採取し、コーティングパン6を正転させたままサンプリング検査を実施する。コーティングパン6内から前面開口部12側に飛ばされた錠剤7は、製品排出口13からパンコーティング装置5の外に取り出され、サンプル保持部9に一時的に溜められる。サンプル保持部9では、錠剤7が一定量溜まるまで待ち、一定量溜まったところで錠剤7を重量測定部3に送る。
【0044】
重量測定部3に送られた錠剤7は、投入シュート36から錠剤搬送装置4の搬送ディスク24上に落ち、低部側の錠剤溜まりから搬送ディスク24の回転に伴って上部側に移送される。この際、当該錠剤搬送装置4では、型孔30のディスク外周端配置、オーバーハング部35の設置、型孔30の偏心構造などにより、錠剤7は、錠剤溜まりから1個ずつ確実に上部側に搬送される。上部側に移動した錠剤7は、錠剤排出口38から下方に落下し、計数センサ39によってカウントされた後、計量部22の計量ボックス41内に溜められる。計数センサ39により、所定数(例えば、100錠)の錠剤7が計量部22に送られたことが確認されると、搬送ディスク24を停め、錠剤搬送装置4を一旦停止させる。
【0045】
計量ボックス41内に収容された錠剤7は、ウエイトチェッカー42によってその重量が測定される。この場合、錠剤7の素錠重量は予め分かっているため、錠剤7の総重量と素錠総重量の差を錠剤個数で除することにより、錠剤表面のコーティング皮膜量を算出できる。コーティング制御装置8は、前述のように、計量ボックス41内の錠剤個数を把握しており、ウエイトチェッカー42での測定値と錠剤個数から、コーティング皮膜量を算出し、コーティング膜厚を計算してコーティングの進行状況を判断する。重量測定を終えた錠剤7は、排出シュート43を介して排出ボックス44に送られ回収される。
【0046】
このように、本発明による錠剤搬送装置4では、型孔30をディスク外周の壁際に配置することにより、従来の装置のディスク外周端にあった平面部を廃し、型孔外周側から錠剤が立ち転がりするスペースをなくす。さらに、錠剤ガイド33の下端内周縁33bを型孔30の面取り部外周縁32cと同じ位置の上方か、外周縁32cよりも内側まで延設してオーバーハング部35を設けることにより、搬送ディスク24の外端にいる錠剤7を型孔30に導入する。これにより、平錠などの立ち転がりを防止でき、錠剤装填率の向上を図ることが可能となる。
【0047】
また、型孔30の面取り部32において、中心側の面取りを外周側よりも小さくすることにより、面取り部内周側32aに錠剤が乗りにくくなり、錠剤のハコ乗り現象が抑えられる。これにより、平錠の立ち転がり防止を図りつつ、ハコ乗りの対策も同時に実現することができ、更なる錠剤の装填性向上が図られる。その結果、簡単な構成でありながら、小径(φ5程度)から大径(φ12程度)まで、錠剤7を効率良く型孔30に装填させることが可能となる。したがって、錠剤7を1個ずつ短時間で錠剤排出口38から落下させることができ、錠剤数量を迅速かつ確実にカウントすることが可能となる。
【0048】
一方、前述のように、重量測定後、錠剤搬送装置4に残っている錠剤7は、強制排出口45を介して強制排出ボックス46に排出される。ここで、従来の錠剤搬送装置(図10参照)には当該錠剤搬送装置4のような強制排出口45は設けられておらず、余り錠の排出も、先の場合と同様に余り錠を順に型孔に嵌め、錠剤排出口から1個ずつ落下させる形で行われていた。このため、従来の装置では、錠剤排出に一定の時間を要する上、型孔を通過できない不良錠(例えば、2つの錠剤が付着した双子錠)は装置から排出できなかった。その結果、錠剤搬送後に速やかに余り錠を排出することが難しく、また、錠剤排出の際、双子錠や割れ欠けなどが残留してしまうという問題があった。
【0049】
そこで、当該錠剤搬送装置4では、外周カバー25の錠剤排出口38と錠剤溜まりの中間に強制排出口45を設け、錠剤搬送後は搬送ディスク24を逆転させ、そこから余り錠を強制的に排出できるようにした。この場合、強制排出口45は、規定数を採取する正規の錠剤排出時には、通常、錠剤が通過しない部位、すなわち、外周カバー25の搬送ディスク24における約4~5時の位置に配されている。したがって、錠剤7は、正規搬送時には強制排出口45には導入されず、搬送ディスク24の逆転に伴い、余り錠のみが強制排出口45から排出される。
【0050】
また、余り錠を排出する際には、エアノズル47を用いて、錠剤溜まりから強制排出口45に向けて撹拌エアを噴射し、錠剤7を強制排出口45に導入する。この場合、撹拌エアは、例えば、オン3sec/オフ3secのような形で間欠噴射し、エアオフ時に錠剤溜まりからエアノズル47の前面に錠剤を送る(図7(a))。そして、エアオンにより、エアノズル前面に溜まった錠剤7を強制排出口45に送り、搬送ディスク24の回転と共に強制排出ボックス46内に排出する(同(b))。つまり、ディスク逆転による錠剤移送と、エア噴射による強制排出口45への錠剤吹き飛ばしを適切なタイミングで実施し、余り錠を強制排出口45から効率良く排出させる。なお、型孔30に嵌まった錠剤7は、搬送ディスク24の回転(逆転)に伴い錠剤排出口38からも排出される。
【0051】
発明者らの実験によれば、100錠の正規錠に5錠の双子錠を混ぜたサンプル錠(φ8;t4.5)を回転速度5rpmにて搬送ディスク24を逆転させて排出する場合、撹拌エアなしでは、それらを排出するには25~30秒要した。ただし、撹拌エアなしの場合、時々、最後の一錠が強制排出口45の縁に残り、強制排出ボックス46内に落ちず未回収となることがあった。これに対し、撹拌エアを間欠噴射すると(0.2MPa;3m/sec:オン3sec/オフ3sec)、20~25秒にて余り錠を全て完全に排出できた。なお、撹拌エアは連続噴射すると、エアノズル47より上流側の錠剤がいつまでも搬送されず錠剤溜まりに残り、却って強制排出の妨げになった。したがって、これらの実験により、余り錠の排出には撹拌エアの間欠噴射が有効であることが分かった。
【0052】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態における各種数値は一例であり、錠剤搬送装置4における搬送ディスク24の径や厚さ、型孔30のピッチ円直径、型孔30の孔径、面取り部32の面取り寸法などは、錠剤の種類、形状等によって適宜変更可能である。また、錠剤搬送装置4が設置されるコーティング装置の仕様なども前述の形態には限定されない。
【0053】
さらに、錠剤のハコ乗り現象の防止には、面取り部32の内外寸法を変えることが有効であり、ハコ乗り防止という観点では、面取り部32のディスク外縁配置や錠剤ガイド33のオーバーハング構造は必ずしも備えていなくとも良い。したがって、ハコ乗り防止のため、例えば図8のように、型孔30の壁際設置やオーバーハング部35を省いた形(図8(a))、オーバーハング部35を設け、型孔30の壁際設置を省いた形(同(b))で、面取り部32の内外寸法を異ならせる構成を採用することも可能である。
【0054】
加えて、面取り部32の面取り形状も、C面取りではなくR面取りでも良い。R面取りはC面取りよりも加工上手間を要するが、ハコ乗り現象は生じにくい。なお、例えば、丸錠を搬送する場合や、前述のR面取りを施した場合など、ハコ乗り現象が生じにくい場合には、図6のような構成を採用することも可能である。
【0055】
また、錠剤搬送装置4においては、図9のように、フランジ壁29を設けない構成も可能である。ここで、搬送ディスク24においては、ディスク上に型孔30を設ける際、型孔30の外周側にある程度の余白が必要となる。ところが、この余白が型孔外側に露出した状態のまま存在すると、そこに錠剤7が滞留してしまうおそれがある。そこで、錠剤搬送装置4では、外周カバー25の内周に錠剤ガイド33を設け、錠剤7を型孔30に導く構成としている。
【0056】
一方、搬送ディスク24の厚さは、錠剤の厚さに合わせた寸法となっている。このため、搬送ディスク24と錠剤ガイド33の隙間も、そのままではディスク厚に応じて異なる寸法となる。しかしながら、両者間の隙間は、そこに小さな錠剤が入り込まない寸法に抑えることが求められる。そこで、前記隙間を、錠剤が進入しないような所定値にするため、錠剤搬送装置4では、搬送ディスク24の周縁にフランジ壁29を設け、錠剤厚に合わせて変わるディスク厚(錠剤搬送面位置)に対応している。なお、フランジ壁29は、合成樹脂製の搬送ディスク24における加工時の反り防止という作用も有している。
【0057】
フランジ壁29はこのような趣旨にて設けられているが、錠剤搬送装置4では、図9のように、フランジ壁29を設けず搬送ディスク24をフラット化した構成も可能である。すなわち、図9(a)のように、フランジ壁29を廃し、錠剤ガイド33の高さを変えることにより、錠剤ガイド33の下面33aを錠剤搬送面28に近付け、錠剤が進入しない所定の隙間Gを維持しつつ、ディスク厚の変更に対応することも可能である。また、錠剤7が厚い場合は、同図(b)のように、搬送ディスク24を厚くし、錠剤搬送面28をフランジ壁29(を設けた場合における)上面29aの位置まで上げる。これにより、所定の隙間Gを維持しつつ、錠剤搬送面28が錠剤ガイド33の下面33aと近接して対向し、搬送ディスク24がフラット化される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、薬や健康食品などの錠剤以外にも、ガムやチョコレートなどの菓子や他の食品のコーティング処理にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 錠剤サンプリングシステム
2 サンプル取出部
3 重量測定部
4 錠剤搬送装置
5 パンコーティング装置
6 コーティングパン
7 錠剤
8 コーティング制御装置
9 サンプル保持部
11 ブローサンプリングシステム
12 前面開口部
13 製品排出口
14 スプレーガン
21 計数部
22 計量部
23 筐体
24 搬送ディスク
24a 外端縁
25 外周カバー
26 ギヤボックス
27 リダクションモータ
28 錠剤搬送面
29 フランジ壁
29a 上面
29b 上端内周縁
30 型孔
30a 孔部
31 搬送テーブル
32 面取り部
32a 内周側(搬送ディスク中心側)
32b 外周側
32c 外周縁
33 錠剤ガイド(ガイド部材)
33a 下面
33b 下端内周縁
34 面取り部
35 オーバーハング部
36 投入シュート
37 掻き落としブレード
38 錠剤排出口
39 計数センサ
41 計量ボックス
42 ウエイトチェッカー
43 排出シュート
44 排出ボックス
45 強制排出口
46 強制排出ボックス
47 エアノズル
51 錠剤搬送装置
52 搬送ディスク
53 外周カバー
53a 内周壁
54 錠剤
55 型孔
56 搬送テーブル
57 錠剤排出口
58 センサ
59 掻き落としブレード
61 面取り部
62 フランジ壁
63 錠剤ガイド
64 平面部
G フランジ壁上面と錠剤ガイド下面との間の隙間
面取り部中心
型孔孔部中心
e 面取り部中心Oと型孔孔部中心Oの偏心量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11