(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035354
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】伝送異常検知回路、ソースドライバ及び伝送異常検知方法
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
H04L1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139769
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原山 国広
【テーマコード(参考)】
5K014
【Fターム(参考)】
5K014BA01
5K014DA02
5K014EA06
5K014FA09
(57)【要約】
【課題】データの伝送異常を高精度に検知することが可能な伝送異常検知回路を提供する。
【解決手段】エンコードされたデータを受信する受信回路に設けられ、送信回路と受信回路との間のデータ伝送の異常を検知する伝送異常検知回路であって、受信回路が受信した受信データをデコードしてデコードデータを生成するデコード回路と、デコードデータをエンコードして再エンコードデータを生成するエンコード回路と、受信データと再エンコードデータとを比較することにより、送信回路と受信回路との間のデータ伝送に異常があるか否かを検知するエラー検知回路と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコードされたデータを受信する受信回路に設けられ、送信回路と前記受信回路との間のデータ伝送の異常を検知する伝送異常検知回路であって、
前記受信回路が受信した受信データをデコードしてデコードデータを生成するデコード回路と、
前記デコードデータをエンコードして再エンコードデータを生成するエンコード回路と、
前記受信データと前記再エンコードデータとを比較することにより、前記送信回路と前記受信回路との間のデータ伝送に異常があるか否かを検知するエラー検知回路と、
を有することを特徴とする伝送異常検知回路。
【請求項2】
前記エラー検知回路は、前記受信データと前記再エンコードデータが不一致の場合に前記データ伝送に異常があることを検知することを特徴とする請求項1に記載の伝送異常検知回路。
【請求項3】
前記デコードデータをラッチするデータラッチ回路を有し、
前記エラー検知回路は、前記データ伝送に異常があるか否かの検知結果を示すエラー検知信号を前記データラッチ回路に供給し、
前記データラッチ回路は、前記エラー検知信号が前記データ伝送に異常があることを示している場合には、前記デコードデータのラッチを停止することを特徴とする請求項2に記載の伝送異常検知回路。
【請求項4】
前記エラー検知信号を前記送信回路に向けて送信するエラー検知信号出力回路を有することを特徴とする請求項2に記載の伝送異常検知回路。
【請求項5】
前記受信回路は、シリアルデータを前記送信回路から受信し、
前記デコード回路は、前記受信回路が受信した前記シリアルデータをシリアルパラレル変換して得られたデータを前記受信データとしてデコードすることにより、前記デコードデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の伝送異常検知回路。
【請求項6】
前記受信回路は、nビットのデータをn+kビットのデータにエンコードした被エンコードデータ(n、kは2以上の整数)を前記送信回路から受信し、
前記デコード回路は、前記被エンコードデータを前記受信データとしてnビットのデータにデコードすることにより、前記デコードデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の伝送異常検知回路。
【請求項7】
複数のデータ線を含む表示パネルに脱着可能に接続され、タイミングコントローラから伝送された画像データに基づいて前記複数のデータ線を駆動するソースドライバであって、
前記タイミングコントローラから、エンコードされた画像データを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記画像データをデコードしてデコードデータを生成するデコード回路と、
前記デコードデータをラッチするデータラッチ回路と、
前記データラッチ回路がラッチした前記デコードデータに基づいて、前記複数のデータ線を駆動するための階調電圧信号を生成する階調電圧生成部と、
前記デコードデータをエンコードして再エンコードデータを生成するエンコード回路と、
前記受信部が受信した前記画像データと前記再エンコードデータとを比較することにより、前記タイミングコントローラと前記受信部との間のデータ伝送に異常があるか否かを検知するエラー検知回路と、
を有し、
前記データラッチ回路は、前記エラー検知回路により前記画像データのデータ伝送に異常があることが検知された場合には、前記デコードデータのラッチを停止することを特徴とするソースドライバ。
【請求項8】
エンコードされたデータを送受信する送信回路及び受信回路におけるデータ伝送の異常を検知する伝送異常検知方法であって、
前記受信回路が受信した受信データをデコードしてデコードデータを生成するステップと、
前記デコードデータをエンコードして再エンコードデータを生成するステップと、
前記受信データと前記再エンコードデータとを比較することにより、前記送信回路と前記受信回路との間のデータ伝送に異常があるか否かを検知するステップと、
を含むことを特徴とする伝送異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送異常検知回路、ソースドライバ及び伝送異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリアルデータ伝送において、送信部から受信部にデータを伝送する際、伝送線路での減衰による波形品質の劣化を防ぐため、予め決められた規則に則って送信データにダミービッドを付加し、一定期間以上“1”又は“0”が連続しないようにエンコードを行ったデータを送信することが行われている。受信部では、シリアルデータを受信し、予め決められた規則に則ってデコードを行う。
【0003】
シリアルデータ伝送の受信部には、PLLタイプのクロックドデータリカバリ回路が広く用いられている。このようなPLLタイプのクロックドデータリカバリ回路を有する受信部では、外乱ノイズ等の影響でPLLの同期が外れる場合がある。PLLの同期が外れた場合、正常にデータ伝送を行うことができないため、受信部は誤ったデータを受け取り、誤動作を引き起こす可能性がある。そこで、同期コードを用いてスクランブル処理を行い、伝送エラーが生じた場合でも短時間で同期状態を確立することにより、受信エラーを防止する受信回路が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PLLの同期が外れたことを検知するための手段として、受信部において受け取った被エンコードデータがエンコード規則から逸脱していないかどうかを判別する手段がある。その際、エンコードされたデータにオーバーヘッドするダミーデータが付加されている場合、送信するデータの組み合わせのパターンは、本来の送信対象であるデータの組み合わせのパターンよりも多くなる。
【0006】
例えば、nビットのデータを1つのまとまりとしたシリアルデータの組み合わせは、2n通り存在する。これにkビットのダミーデータを付加して送信した場合、受信部で受け取るデータの組み合わせは2n+k通りとなる。このため、受信した被エンコードデータに異常が生じた場合に受信部でエラーと判別される組み合わせは、2n+k-2n=2n(2k-1)通りとなり、本来の送信対象であるデータの組み合わせよりも多くなる。
【0007】
したがって、受信した被エンコードデータの規則性を見るだけでは全てのエラーを検知することができず、エラー検知の精度が低いという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、データの伝送異常を高精度に検知することが可能な伝送異常検知回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る伝送異常検知回路は、エンコードされたデータを受信する受信回路に設けられ、送信回路と前記受信回路との間のデータ伝送の異常を検知する伝送異常検知回路であって、前記受信回路が受信した受信データをデコードしてデコードデータを生成するデコード回路と、前記デコードデータをエンコードして再エンコードデータを生成するエンコード回路と、前記受信データと前記再エンコードデータとを比較することにより、前記送信回路と前記受信回路との間のデータ伝送に異常があるか否かを検知するエラー検知回路と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るソースドライバは、複数のデータ線を含む表示パネルに脱着可能に接続され、タイミングコントローラから伝送された画像データに基づいて前記複数のデータ線を駆動するソースドライバであって、前記タイミングコントローラから、エンコードされた画像データを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記画像データをデコードしてデコードデータを生成するデコード回路と、前記デコードデータをラッチするデータラッチ回路と、前記データラッチ回路がラッチした前記デコードデータに基づいて、前記複数のデータ線を駆動するための階調電圧信号を生成する階調電圧生成部と、前記デコードデータをエンコードして再エンコードデータを生成するエンコード回路と、前記受信部が受信した前記画像データと前記再エンコードデータとを比較することにより、前記タイミングコントローラと前記受信部との間のデータ伝送に異常があるか否かを検知するエラー検知回路と、を有し、前記データラッチ回路は、前記エラー検知回路により前記画像データのデータ伝送に異常があることが検知された場合には、前記デコードデータのラッチを停止することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る伝送異常検知方法は、エンコードされたデータを送受信する送信回路及び受信回路におけるデータ伝送の異常を検知する伝送異常検知方法であって、前記受信回路が受信した受信データをデコードしてデコードデータを生成するステップと、前記デコードデータをエンコードして再エンコードデータを生成するステップと、前記受信データと前記再エンコードデータとを比較することにより、前記送信回路と前記受信回路との間のデータ伝送に異常があるか否かを検知するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る伝送異常検知回路によれば、データの伝送異常を高精度に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1の送受信システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】伝送異常検知回路の一部を抜き出して示すブロック図である。
【
図3】伝送異常が生じた場合のデータの例を示す図である。
【
図4】実施例2の表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施例2のソースドライバの内部構成を示すブロック図である。
【
図6】実施例2の送受信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0015】
図1は、本発明に係る送受信システム100の構成を示すブロック図である。送受信システム100は、送信回路部11及び受信回路部12から構成されている。送信回路部11及び受信回路部12は、シリアル通信のデータ伝送路L1及びL2を介して接続されている。
【0016】
送信回路部11は、シリアル通信によるデータ伝送を行う回路ブロックである。送信回路部11は、エンコード回路21、パラレルシリアル変換回路22、トランスミッタ23及びエラー信号受信回路24を含む。
【0017】
エンコード回路21は、送信対象のデータを所定のエンコード規則に従ってエンコードする回路である。本実施例では、エンコード回路21は、送信対象であるnビットのデータ(以下、送信対象データと称する)をエンコードし、kビットのダミーデータが付加された(n+k)ビットの被エンコードデータを生成する(n、kは2以上の整数)。その際、エンコード回路21は、データ値が一定期間以上連続して1又は0とならないようにするエンコード規則に従ってデータのエンコードを行う。エンコード回路21は、エンコードを行ったデータ(被エンコードデータ)をパラレルシリアル変換回路22に供給する。
【0018】
パラレルシリアル変換回路22は、パラレルデータをシリアルデータに変換する回路である。本実施例では、パラレルシリアル変換回路22は、エンコード回路21によりエンコードされたデータに対してパラレルシリアル変換を行い、シリアルの送信データを生成する。パラレルシリアル変換回路22は、生成したシリアルの送信データをトランスミッタ23に供給する。パラレルシリアル変換回路22は、エラー信号受信回路24から受信通知RSの供給を受け、これに応じてパラレルシリアル変換の動作を停止可能に構成されている。
【0019】
トランスミッタ23は、送信回路部11の内部で生成されたシリアルデータを送信回路部11の外部に出力する信号発信部である。トランスミッタ23は、送信回路部11に設けられた外部端子T1及びT2を介して、データ伝送路L1及びL2に接続されている。トランスミッタ23は、パラレルシリアル変換回路22から供給されたシリアルの送信データを、データ伝送路L1及びL2に送出する。
【0020】
エラー信号受信回路24は、送信回路部11に設けられた外部端子T3を介してデータ伝送路L3に接続されている。エラー信号受信回路24は、受信回路部12において伝送エラーが検知されたことを示すエラー検知信号EDSを、受信回路部12からデータ伝送路L3を介して受信する。エラー信号受信回路24は、エラー検知信号EDSを受信したことを示す受信通知RSをパラレルシリアル変換回路22に供給する。
【0021】
本実施例では、エラー検知信号EDSがエラーの発生を示している場合(例えば、論理レベル1の場合)、エラー信号受信回路24は、これを示す論理レベル1の受信通知RSをパラレルシリアル変換回路22に供給する。
【0022】
受信回路部12は、送信回路部11との間でシリアル通信によるデータ伝送を行う回路ブロックである。受信回路部12は、トランスミッタ31、シリアルパラレル変換回路32、伝送異常検知回路33、データラッチ34及びエラー信号出力回路35を含む。
【0023】
トランスミッタ31は、受信回路部12に設けられた外部端子T4及びT5を介してデータ伝送路L1及びL2に接続されている。トランスミッタ31は、データ伝送路L1及びL2を介して伝送されたシリアルの送信データを受信し、シリアルの受信データとしてシリアルパラレル変換回路32に供給する。
【0024】
シリアルパラレル変換回路32は、トランスミッタ31から供給されたシリアルの受信データに対してシリアルパラレル変換を行い、パラレルの受信データを生成する。シリアルパラレル変換回路32は、生成したパラレルの受信データを伝送異常検知回路33に供給する。
【0025】
伝送異常検知回路33は、シリアルパラレル変換回路32から供給されたパラレルの受信データに基づいて、送信回路部11及び受信回路部12の間のデータ伝送において伝送異常が生じているか否かを検知する回路である。伝送異常検知回路33は、デコード回路41、エンコード回路42、エラー検知回路43及びエラー信号保持回路44を含む。
【0026】
デコード回路41は、エンコードされたデータ(被エンコードデータ)に対してデコード処理を行う回路である。本実施例では、デコード回路41は、シリアルパラレル変換回路32により生成されたパラレルの受信データに対してデコード処理を行う。デコード回路41は、デコード処理後の受信データDDをデータラッチ34及びエンコード回路42に供給する。
【0027】
エンコード回路42は、データに対してエンコード処理を行う回路である。本実施例では、エンコード回路42は、デコード回路41によりいったんデコードされたデータに対して再びエンコード処理(以下、再エンコード処理と称する)を行う。その際、エンコード回路42は、送信回路部11のエンコード回路21が行うエンコードと同じエンコード規則でエンコード処理を行う。エンコード回路42は、再エンコード処理を行ったデータをエラー検知回路43に供給する。
【0028】
エラー検知回路43は、シリアルパラレル変換回路32から出力されたパラレル変換後の受信データと、デコード回路41によるデコード処理及びエンコード回路42による再エンコード処理を経たデータとを比較することにより、エラー発生の有無を検知する。具体的には、エラー検知回路43は、受信データと再エンコードデータとが不一致の場合に、伝送エラーが発生していることを検知する。エラー検知回路43は、伝送エラーが検知されていないときは論理レベル0、伝送エラーが検知されたときは論理レベル1の信号レベルを有するエラー検知信号を出力する。
【0029】
なお、本実施例では、エラー検知回路43が伝送エラー検知のために比較するデータがそれぞれ対応するデータとなるように、シリアルパラレル変換回路32とエラー検知回路43との間には図示せぬ遅延回路(例えば、バッファ回路)が設けられている。すなわち、デコード回路41によるデコード処理及びエンコード回路42による再エンコード処理を経たデータと、当該データに対応する受信データとが同じタイミングでエラー検知回路43に供給されるように、タイミング調整が行われる。
【0030】
エラー信号保持回路44は、エラー検知回路43から出力された検知結果、すなわちエラー検知信号EDSを保持し、適宜出力する回路である。エラー信号保持回路44から出力されたエラー検知信号EDSは、データラッチ34及びエラー信号出力回路35にそれぞれ供給される。エラー信号保持回路44は、図示せぬクロック信号のクロックタイミングに基づいて、エラー検知信号EDSを保持及び出力する。
【0031】
データラッチ34は、デコード回路41から供給されたデコード処理後の受信データDDの取り込みを行う。本実施例では、データラッチ34は、エラー信号保持回路44から供給されたエラー検知信号EDSに基づいて、データの取り込み及び取り込みの停止を切り替え可能に構成されている。具体的には、エラー検知信号EDSが論理レベル0、すなわち伝送エラーが検知されていないときは、データラッチ34は、デコード回路41から供給されたデコード処理後の受信データDDの取り込みを行う。一方、エラー検知信号EDSが論理レベル1、すなわち伝送エラーが検知されたときは、データラッチ34は、デコード処理後の受信データDDの取り込みを停止する。
【0032】
エラー信号出力回路35は、受信回路部12に設けられた外部端子T6を介して、データ伝送路L3に接続されている。エラー信号出力回路35は、エラー信号保持回路44から供給されたエラー検知信号EDSをデータ伝送路L3に送出する。エラー検知信号EDSは、データ伝送路L3を介して送信回路部11のエラー信号受信回路24に供給される。これにより、伝送エラーが生じていることが送信回路部11に通知される。
【0033】
次に、エラー検知回路43によるエラー検知の動作について、
図2及び
図3を参照して説明する。
【0034】
図2は、デコード回路41、エンコード回路42及びエラー検知回路43を抜き出して示す図である。
【0035】
エラー検知回路43は、排他的論理和回路XORから構成されている。エラー検知回路43は、受信データRDと、当該受信データRDに対してデコード回路41によるデコード処理及びエンコード回路42による再エンコード処理を行うことにより得られた再エンコードデータREDと、の排他的論理和を比較結果として出力する。
【0036】
図3は、伝送エラーが生じておらず正しい受信データRDが得られた場合と、伝送エラーが生じたために誤った受信データRDが得られた場合と、の両者におけるデコードデータ(デコード回路41によるデコード処理を経たデータ)及び再エンコードデータ(エンコード回路42による再エンコード処理を経たデータ)の例を示す図である。
【0037】
伝送エラーが生じておらず、正しい受信データRDが得られている場合、例えばデコード回路41に入力される前のデータ(以下、被エンコードデータと称する)は“9´b010101110”、デコード回路41によるデコード処理を経たデータ(以下、デコードデータと称する)は“8´b0100101”、エンコード回路42による再エンコード処理を経たデータ(以下、再エンコードデータと称する)は“9´b010101110”となる。
【0038】
このように、伝送エラーが生じていない場合、被エンコードデータと再エンコードデータとが一致する。したがって、エラー検知回路43は、論理レベル0のエラー検知信号EDSを出力する。
【0039】
一方、伝送エラーが生じており、誤った受信データRDが得られている場合、例えば被エンコードデータは“9´b000000110”、デコードデータは“8´b0100101”、再エンコードデータは“9´b010101110”となる。
【0040】
このように、伝送エラーが生じている場合、被エンコードデータと再エンコードデータとが不一致となる。したがって、エラー検知回路43は、論理レベル1のエラー検知信号EDSを出力する。
【0041】
以上のように、本実施例の伝送異常検知回路33は、受信データをデコードするデコード回路41の他に、デコード回路41によってデコードされたデータを再エンコードするエンコード回路42、及びデコード前のデータ(被エンコードデータ)と再エンコード後のデータ(再エンコードデータ)とを比較することによりエラー発生の有無を検知するエラー検知回路43を有する。
【0042】
本実施例の伝送異常検知回路33によれば、デコード前の受信データとデコード及び再エンコード処理を経た受信データとを単純比較することにより伝送エラーの発生を検知することができるため、簡易な構成で高精度にデータの伝送異常を検知することが可能となる。
【0043】
本実施例の伝送異常検知回路33とは異なり、デコード前の受信データである被エンコードデータの規則性を見て伝送エラーの有無を判断する方法では、受信データにダミーデータが付加されている場合、データの組み合わせが多いため、全てのエラーを検知することができない。
【0044】
すなわち、nビット(例えば、8ビット)のデータを一つのまとまりとしたシリアルデータの組み合わせは2n通り存在する。これにkビット(例えば、1ビット)のダミーデータを付加して送信した場合、受信部で受け取るデータの組み合わせは2n+k通りになる。このため、受信した被エンコードデータに異常が生じた場合、受信部でエラーとなる組み合わせは2n+k―2n=2n(2k―1)通りとなり、本来送信するデータの組み合わせよりも多くなる。よって、受信した被エンコードデータの規則性を見るだけでは、すべてのエラーを検知することができない。
【0045】
これに対し、本実施例の伝送異常検知回路33は、XOR回路を用いてデータの比較を行い、一致不一致に基づいてエラーの発生を検知するものであるため、ダミーデータが付加されている場合であっても、全てのエラーを検知することができる。
表示装置200は、アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置である。表示装置200は、表示パネル51、タイミングコントローラ52、ゲートドライバ53、及びソースドライバ54-1~54-pを含む。
表示パネル51は、複数の画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnm(nは2以上の整数、mは2以上の整数且つ3の倍数)がn行×m列のマトリクス状に配置された半導体基板から構成されている。表示パネル51は、水平走査ラインであるn本のゲート線GL1~GLnと、これに交差して直交するように配されたm本のデータ線DL1~DLmと、を有する。画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnmは、ゲート線GL1~GLn及びデータ線DL1~DLmの交差部に設けられ、マトリクス状に配置されている。
画素スイッチM11~Mnmは、ゲートドライバ53から供給されるゲート信号Vg1~Vgnに応じてオン又はオフに制御される。画素部P11~Pnmは、ソースドライバ54-1~54-pから映像データに対応した階調電圧信号Vd1~Vdmの供給を受ける。画素スイッチM11~Mnmがそれぞれオンのときに、階調電圧信号Dv1~Dvmが画素部P11~Pnmの各画素電極に印加され、各画素電極が充電される。画素部P11~Pnmの各画素電極における階調電圧信号Dv1~Dvmに応じて画素部P11~Pnmの輝度が制御され、表示が行われる。
換言すると、ゲートドライバ53の動作により、ゲート線の伸長方向に沿って(すなわち、横一列に)配置されたm個の画素部が、階調電圧信号Dv1~Dvmの供給対象として選択される。ソースドライバ54-1~54-pは、選択された横一列の画素部に対して階調電圧信号Dv1~Dvmを印加し、電圧に応じた色を表示させる。階調電圧信号Dv1~Dvmの供給対象として選択される横一列分の画素部を選択的に切り替えながら、データ線の伸長方向(すなわち、縦方向)に繰り返すことにより、1フレーム分の画面表示が行われる。
本実施例では、ゲートドライバ53は、ゲートドライバ53に最も近接した位置から、ゲートドライバ53から離れる方向に向かってゲート線GL1~GLnの各々の走査(すなわち、ゲート信号Vg1~Vgnの供給)を行う。また、ゲートドライバ53は、ゲート線GL1からGLnに向かう順序(すなわち、ソースドライバ54-1~54-pに近い位置のゲート線から遠いゲート線へと向かう順序)で、ゲート信号Vg1~Vgnの供給対象となるゲート線を順次選択する。これにより、ゲート線の伸長方向ではゲートドライバ53に近い位置から遠い位置に向かう順序、データ線の伸長方向ではソースドライバ54-1~54-pに近い位置から遠い位置に向かう順序で、画素部P11~Pnmの各画素電極に階調電圧信号Dvが順次印加され、1フレーム分の画面表示が行われる。
なお、画素部P11~Pnmは、ゲート線の伸長方向に沿って配置されたm個のうちの隣接する3個の画素部(すなわち、3chの画素部)毎に、R(赤色),G(緑色),B(青色)の3つの画素に対応している。すなわち、j=(1/3)mとすると、1ch、4ch、・・・(3j-2)chは「R」、2ch、5ch、・・・(3j-1)chは「G」、3ch、6ch、・・・3jchは「B」にそれぞれ対応している。例えば、1ch、2ch、3chのR、G、Bの組み合わせにより、1つの色が表現される。
画素部P11~Pnmの各々は、画素スイッチを介してデータ線と接続される透明電極と、半導体基板と対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P11~Pnmに供給された階調電圧信号Dv1~Dvmと対向基板電圧との電圧差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
タイミングコントローラ52は、映像信号VSに基づいて、各画素の輝度レベルを例えば8ビットの256段階の輝度階調で表す画素データ片PDの系列を含む映像データ信号VDSを生成する。映像データ信号VDSは、所定数のデータ線毎に伝送路の数に応じてシリアル化された映像データ信号として構成されている。
また、タイミングコントローラ52は、一定のクロック周期を有する埋め込みクロック方式のクロック信号CLK を生成する。タイミングコントローラ52は、クロック信号CLKを映像データ信号VDSとともに一体化したシリアル信号として各ソースドライバ54-1~54-pに供給する。
ゲートドライバ53は、タイミングコントローラ52からゲート制御信号GSの供給を受け、ゲート制御信号GSに含まれるクロックタイミングに基づいて、ゲート信号Vg1~Vgnを順次ゲート線GL1~GLnに供給する。
ソースドライバ54-1~54-pは、データ線DL1~DLmを表示パネル51の解像度に応じて分割した本数のデータ線毎に設けられたドライバIC(Integrated Circuit)として形成されている。ソースドライバ54-1~54-pは、ゲート線の伸長方向に沿って配置され、走査方向を基準として第1段~第p段(以下、最終段とも称する)のソースドライバからなるソースドライバ群を構成している。
ソースドライバ54-1~54-pは、各々が駆動するデータ線の本数に対応するチャネル(以下、chと称する)のソース出力を有する。各々のソース出力は、3ch毎にR(赤色),G(緑色),B(青色)の3つの画素に対応している。
ソースドライバ54-1~54-pは、タイミングコントローラ52から供給された映像データ信号VDSに含まれる画素データ片PDを1水平走査ライン分ずつ(すなわち、1水平走査ライン分の画素データ片PDの各々のソースドライバに対応するch数分ずつ)取込み、取り込んだ画素データ片PDに示される輝度階調に対応した階調電圧信号Dv1~Dvmを生成する。そして、ソースドライバ54-1~54-pは、生成した階調電圧信号Dv1~Dvmをソース出力として、表示パネル51のデータ線DL1~DLmに印加する。
受信回路部61は、タイミングコントローラ52から送信された映像データ信号VDSを受信し、映像データ信号VDSに含まれる画像データをソースドライバ54の出力ch数(例えば、kch)分の画像データVD1~VDkとして、データラッチ部62に供給する。
データラッチ部62は、受信回路部61から供給された画像データVD1~VDkを順次取り込む。データラッチ部62は、取り込んだ画像データVD1~VDkを画素データQ1~Qkとして階調電圧変換部63に出力する。なお、データラッチ部62は、ソースドライバ54が駆動するk本のデータ線に対応するk個の出力端を有し、当該k個の出力端から画素データQ1~Qkの出力を行う。
階調電圧変換部63は、データラッチ部62から供給された画素データQ1~Qkの各々を、その画素データによって表される輝度階調に対応した電圧値を有する正極性又は負極性の階調電圧A1~Akに変換し、出力部64に供給する。
タイミングコントローラ52は、実施例1の送信回路部に相当する構成部分を含む。すなわち、タイミングコントローラ52は、エンコード回路21、パラレルシリアル変換回路22、トランスミッタ23及びエラー信号受信回路24を含む。これらの機能及び動作は実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
伝送異常検知回路33Aは、実施例1の伝送異常検知回路33と同様の構成を有する。すなわち、伝送異常検知回路33は、デコード回路41、エンコード回路42、エラー検知回路43及びエラー信号保持回路44を含む。
伝送異常検知回路33Aは、デコード回路41によるデコード処理後の受信データDDをデータラッチ部62に供給する。また、伝送異常検知回路33Aは、デコード前の受信データと再エンコード処理を経た受信データとを比較した比較結果に基づいて生成されたエラー検知信号EDSをデータラッチ部62に供給する。
データラッチ部62は、受信回路部61から供給されたデコード処理後の受信データDDを、画像データVD1~VDkとして順次取り込む。その際、データラッチ部62は、エラー検知信号EDSが論理レベル0の場合は画像データVD1~VDkの取り込みを行い、エラー検知信号EDSが論理レベル1の場合は画像データVD1~VDkの取り込みを停止する。
また、伝送異常検知回路33Aから出力されたエラー検知信号EDSは、エラー信号出力回路35によってデータ伝送路L3に送出され、タイミングコントローラ52に供給される。タイミングコントローラ52は、エラー検知信号EDSに基づいて、例えば伝送エラーが生じている場合にはソースドライバ54へのデータ伝送を停止することができる。
以上のように、本実施例では、表示装置200のソースドライバ54-1~54-pの各々の内部に伝送異常検知回路33Aが設けられている。伝送異常検知回路33Aは、実施例1の伝送異常検知回路33と同様、デコード前の受信データとデコード及び再エンコード処理を経た受信データとを比較することにより伝送エラーを検知する。伝送エラーが検知された場合、データラッチ部62によるデータの取り込み、すなわちデータラッチの更新が停止される。
かかる構成を有する表示装置によれば、タイミングコントローラ52とソースドライバ54-1~54-pの各々との間のデータ伝送にエラーが生じた場合に、誤ったデータに基づいて表示が行われる等の誤動作を防止することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例2では、伝送異常検知回路が表示装置のソースドライバ内に設けられ、タイミングコントローラとソースドライバとの間のデータ伝送の伝送エラーを検知する場合を例として説明した。しかし、これに限られず、本発明の伝送異常検知回路は、エンコードされたデータの伝送を行う様々な装置に適用することが可能である。
また、上記実施例1で示したデータ列は例示であり、送信回路部11と受信回路部12との間で伝送されるデータのビット数やエンコード規則等は、上記実施例1で示したものに限定されない。