(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035404
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】自動倉庫用パレット及び自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B65G1/04 531D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139840
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】516065135
【氏名又は名称】株式会社IHI物流産業システム
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】石橋 希遠
(72)【発明者】
【氏名】黒松 久
(72)【発明者】
【氏名】石井 智之
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022BB02
3F022BB07
3F022EE02
3F022FF01
3F022HH13
3F022JJ07
3F022MM00
(57)【要約】
【課題】電力を必要とする収容物体を収容する自動倉庫にて、収容物体へのバッテリの設置を省略可能とする。
【解決手段】自動倉庫にて冷凍保管庫が載置されると共にラックに対して脱離可能な自動倉庫用パレット20であって、ラックに配置された状態でラックに設けられた電源供給部に電気的に接続可能な受電パッド22と、冷凍保管庫に対して電気的に接続可能な給電部23と、受電パッド22と給電部23とを電気的に接続する接続部24とを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動倉庫にて収容物体が載置されると共にラックに対して脱離可能な自動倉庫用パレットであって、
前記ラックに配置された状態で前記ラックに設けられた電源供給部に電気的に接続可能な受電部と、
前記収容物体に対して電気的に接続可能な給電部と、
前記受電部と前記給電部とを電気的に接続する接続部と
を備えることを特徴とする自動倉庫用パレット。
【請求項2】
前記収容物体を支持する基体部を備え、
前記受電部は、前記基体部の底面に露出して設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の自動倉庫用パレット。
【請求項3】
前記収容物体を支持する基体部を備え、
前記給電部は、前記基体部の上面に設けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の自動倉庫用パレット。
【請求項4】
前記自動倉庫と、請求項1または2の自動倉庫用パレットとを備え、
前記自動倉庫は、
前記自動倉庫用パレットを収容可能な前記ラックと、
前記ラックに収容された前記自動倉庫用パレットの前記受電部に対して接続される電源供給部と、
前記自動倉庫用パレットを移動させる移動機構と
を備える
ことを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項5】
前記電源供給部は、前記ラックに固定されると共に前記ラックに収容された前記自動倉庫用パレットの前記受電部に下方から当接することを特徴とする請求項4記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記電源供給部は、
前記受電部に直接当接すると共に導体で形成された当接ピンと、
前記当接ピンを下方から支持する支持バネと、
前記当接ピンを上下方向に移動可能に保持するケースと
を備えることを特徴とする請求項5記載の自動倉庫システム。
【請求項7】
前記ラックは、
前記自動倉庫用パレットが載置される棚板と、
前記棚板に設けられると共に前記棚板に載置される前記自動倉庫用パレットを案内するガイド部と
を備え、
前記ガイド部は、前記受電部が前記電源供給部に接続可能な位置に前記自動倉庫用パレットを案内する
ことを特徴とする請求項4記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
前記自動倉庫は、
前記ラックが収容されるラック収容室と、
前記ラック収容室と区画されると共に湿度が調整された調湿室と、
前記ラック収容室と前記調湿室との間で前記自動倉庫用パレットごと前記収容物体を移動させる搬送装置と
を備えることを特徴とする請求項4記載の自動倉庫システム。
【請求項9】
前記収容物体は、
内部に収容空間が設けられた本体部と、
前記本体部に設けられて前記収容空間を開閉する扉体と
を有し、
前記自動倉庫は、前記ラック収容室と前記調湿室とを区画する区画壁を有し、
前記区画壁は、前記収容物体が通過可能な開口部を有し、
前記搬送装置は、前記扉体が前記調湿室に位置し前記本体部が前記開口部を塞ぐ位置にて前記収容物体を停止する
ことを特徴とする請求項8記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫用パレット及び自動倉庫システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
収容物体の移動を自動的に行う自動倉庫は、様々な種類の収容物体を保管するために用いられる。例えば、特許文献1は、小型冷凍庫を保管可能な自動倉庫が開示する。特許文献1に開示された自動倉庫は、倉庫内部の全体を冷却しなくても、冷却が必要な物体を保管することができる。このような特許文献1に開示された自動倉庫では、小型冷凍庫は、バッテリを備え、バッテリに蓄えられた電力によって物体を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、小型冷蔵庫は、バッテリを備えることで大型化する。このため、収容物体が大型化し、自動倉庫の収容効率の低下を招く。このような問題は、電力を必要とする収容物体を収容する自動倉庫で同様に生じる。つまり、電力を必要とする収容物体がバッテリを備える場合には、収容物体の大型化を招き、自動倉庫における収容効率を低下させることになる。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、電力を必要とする収容物体を収容する自動倉庫にて、収容物体へのバッテリの設置を省略可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、自動倉庫にて収容物体が載置されると共にラックに対して脱離可能な自動倉庫用パレットであって、上記ラックに配置された状態で上記ラックに設けられた電源供給部に電気的に接続可能な受電部と、上記収容物体に対して電気的に接続可能な給電部と、上記受電部と上記給電部とを電気的に接続する接続部とを備えるという構成を採用する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記収容物体を支持する基体部を備え、上記受電部が、上記基体部の底面に露出して設けられているという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記収容物体を支持する基体部を備え、上記給電部が、上記基体部の上面に設けられているという構成を採用する。
【0010】
本発明の第4の態様は、自動倉庫システムであって、上記自動倉庫と、上記第1~第3のいずれかの態様における自動倉庫用パレットとを備え、上記自動倉庫が、上記自動倉庫用パレットを収容可能な上記ラックと、上記ラックに収容された上記自動倉庫用パレットの上記受電部に対して接続される電源供給部と、上記自動倉庫用パレットを移動させる移動機構とを備えるという構成を採用する。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様において、上記電源供給部が、上記ラックに固定されると共に上記ラックに収容された上記自動倉庫用パレットの上記受電部に下方から当接するという構成を採用する。
【0012】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様において、上記電源供給部が、上記受電部に直接当接すると共に導体で形成された当接ピンと、上記当接ピンを下方から支持する支持バネと、上記当接ピンを上下方向に移動可能に保持するケースとを備えるという構成を採用する。
【0013】
本発明の第7の態様は、上記第4~第6のいずれかの態様において、上記ラックが、上記自動倉庫用パレットが載置される棚板と、上記棚板に設けられると共に上記棚板に載置される上記自動倉庫用パレットを案内するガイド部とを備え、上記ガイド部が、上記受電部が上記電源供給部に接続可能な位置に上記自動倉庫用パレットを案内するという構成を採用する。
【0014】
本発明の第8の態様は、上記第4~第7のいずれかの態様において、上記自動倉庫が、
上記ラックが収容されるラック収容室と、上記ラック収容室と区画されると共に湿度が調整された調湿室と、上記ラック収容室と上記調湿室との間で上記自動倉庫用パレットごと上記収容物体を移動させる搬送装置とを備えるという構成を採用する。
【0015】
本発明の第9の態様は、上記第8の態様において、上記収容物体が、内部に収容空間が設けられた本体部と、上記本体部に設けられて上記収容空間を開閉する扉体とを有し、上記自動倉庫が、上記ラック収容室と上記調湿室とを区画する区画壁を有し、上記区画壁が、上記収容物体が通過可能な開口部を有し、上記搬送装置が、上記扉体が上記調湿室に位置し上記本体部が上記開口部を塞ぐ位置にて上記収容物体を停止するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ラックに対して脱離可能とされた自動倉庫用パレットをラックに配置することで、自動倉庫用パレットを介して収容物体に給電することが可能である。このため、自動倉庫用パレットを用いることで、一般的な自動倉庫と同様に、自動倉庫用パレットごと収容物体を移動することができる。さらに、本発明によれば、自動倉庫用パレットをラックに配置することで、自動倉庫用パレットを介して、収容物体に給電することができる。したがって、本発明によれば、電力を必要とする収容物体を収容する自動倉庫にて、収容物体へのバッテリの設置を省略することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における自動倉庫システムの概略構成を模式的に示す水平断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態における自動倉庫システムの概略構成を模式的に示す鉛直断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における自動倉庫システムにおいて自動倉庫用パレットをラックに対して載置する様子を示す模式的な拡大図である。
【
図4】本発明の一実施形態における自動倉庫システムにおいて電源供給部に自動倉庫用パレットが接続される様子を示す模式的な拡大図である。
【
図5】冷凍保管庫の概略構成を示す模式的な断面図であり、(a)が正面側から見た図であり、(b)が側面側から見た図である。
【
図6】自動倉庫用パレットの概略構成図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る自動倉庫用パレット及び自動倉庫システムの一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の自動倉庫システム1の概略構成を模式的に示す水平断面図である。また、
図2は、本実施形態の自動倉庫システム1の概略構成を模式的に示す鉛直断面図である。本実施形態の自動倉庫システム1は、物体を冷却保管可能な冷凍保管庫Xを収容物体として収容する。ただし、本発明において、自動倉庫システムに収容可能な収容物体は冷凍保管庫Xに限られるものではない。自動倉庫システムには、電力を必要とする収容物体を収容することができる。
【0020】
本実施形態の自動倉庫システム1は、
図1及び
図2に示すように、自動倉庫10と、複数の自動倉庫用パレット20とを備える。自動倉庫10は、壁部11と、ラック12と、電源供給部13と、スタッカクレーン14(移動機構)と、コンベア15(搬送装置)とを備える。
【0021】
壁部11は、冷凍保管庫Xを保管する空間を囲うように設けられている。このような壁部11は、
図1及び
図2に示すように、ラック12が収容されるラック収容室R1と、湿度が調節される調湿室R2とを形成する。ラック収容室R1は、冷凍保管庫Xが保管されるラック12が配置される部屋であり、スタッカクレーン14が移動可能に設けられている。
【0022】
調湿室R2は、冷凍保管庫Xを開閉するための部屋であり、冷凍保管庫Xの内部の結露を抑制可能な湿度に調整されている。例えば、調湿室R2は、ラック収容室R1よりも湿度が低くなるように調湿されている。このような調湿室R2には、例えば、不図示の空調装置が設けられている。
【0023】
冷凍保管庫Xに収容された物体Y(
図5参照)は、ラック収容室R1で冷凍保管庫Xの外部に取り出されることはない。つまり、ラック収容室R1で冷凍保管庫Xの後述する扉体X2が開放されることはない。このため、壁部11のラック収容室R1を形成する部位は、通気可能に構成されていてもよい。つまり、壁部11のラック収容室R1を形成する部位は、例えば格子状に組み立てられた骨材によって形成してもよい。この結果、ラック収容室R1は、自動倉庫10の外部空間と同様の環境となる。
【0024】
一方で、調湿室R2は、湿度が調整される空間であることから、外部空間と隔離されている。このため、壁部11の調湿室R2を形成する部位は、通気不能に構成されている。なお、例えば、調湿室R2には、作業員が調湿室R2に出入りするための扉11aが設けられている。
【0025】
また、壁部11は、ラック収容室R1と調湿室R2とを区画する区画壁11bを備えている。区画壁11bは、ラック収容室R1と調湿室R2との境界に設置された境界壁である。区画壁11bは、冷凍保管庫Xが通過可能な開口部11cを有している。本実施形態においては、2つの開口部11cが区画壁11bに設けられている。
【0026】
本実施形態では、コンベア15によって冷凍保管庫Xが開口部11cを塞ぐ位置にて停止される。このように冷凍保管庫Xが開口部11cを塞ぐように配置された場合に、ラック収容室R1と調湿室R2との間で気体が出入りすることを抑止するため、開口部11cの形状は、冷凍保管庫Xの外形形状と略同一に形成されている。なお、また、冷凍保管庫Xが開口部11cを塞ぐように位置していない場合に、ラック収容室R1と調湿室R2との間で気体が出入りすることを抑止するため、開口部11cを開閉する開閉扉11dを設けてもよい。
【0027】
ラック12は、自動倉庫用パレット20ごと冷凍保管庫Xが載置される棚部材である。ラック収容室R1の床面には、スタッカクレーン14の移動を案内するレール16が敷設されている。このレール16の両側に対してラック12が各々設けられている。つまり、これらのラック12は、レール16を間に挟むようにして対向して配置されている。
【0028】
各々のラック12は、ラック収容室R1の床面に立設された複数のパネル12aと、パネル12aに支持された複数の棚板12bとを有する。パネル12aは、スタッカクレーン14の移動方向に沿って間隔を空けて配列されている。各々のパネル12aは、例えば冷凍保管庫Xを上下方向に2つ以上収容可能な高さに形成されている。パネル12aとパネル12aとの間の空間に冷凍保管庫Xが収容される。
【0029】
各々の棚板12bは、自動倉庫用パレット20を下方から支持する板状の部材であり、パネル12aに対して固定されている。各々のパネル12aに対して、パネル12aは上下方向にて同一の位置に配置されている。隣接する2つのパネル12aの一方に固定された棚板12bと、他方に固定された同じ高さの棚板12bとで、1つの自動倉庫用パレット20が下方から支持される。
【0030】
なお、本実施形態においては、1つのパネル12aに対して2つの棚板12bが上下方向に離間して固定されている。このため、本実施形態においては、隣接配置された2つのパネル12aの同士の間の空間に2つの冷凍保管庫Xを上下方向に配置可能である。しかしながら、隣接配置された2つのパネル12aの同士の間の空間に3つ以上の冷凍保管庫Xを収容可能としてもよい。
【0031】
また、各々のラック12は、各々の棚板12bに設けられたガイド部12cを備えている。
図3は、自動倉庫用パレット20をラック12に対して載置する様子を示す模式的な拡大図である。
図3に示すように、ガイド部12cは、各々の棚板12bの上面の一部に設けられており、下方に向かうに連れてパネル12aから離れるように傾斜する案内面12c1を有している。自動倉庫用パレット20を棚板12bに載置する場合に、自動倉庫用パレット20が案内面12c1に当接した場合には、自動倉庫用パレット20は、案内面12c1に沿うことで下方に向かうに連れてパネル12aから離れるように案内される。
【0032】
これらのガイド部12cは、上述のように案内面12c1を用いることで、自動倉庫用パレット20が棚板12bに載置された場合に、後述する受電パッド22が電源供給部13に接続可能な位置に上記自動倉庫用パレットを案内する。
【0033】
電源供給部13は、ラック12に固定されており、ラック12に収容された自動倉庫用パレット20の後述する受電パッド22に対して接続される。このような電源供給部13は、不図示の電源装置から供給される電力を、自動倉庫用パレット20を介して、冷凍保管庫Xに供給する。電源供給部13は、
図1及び
図2に示すように、自動倉庫用パレット20に収容される箇所ごとに設けられており、各々が棚板12bに固定されている。また、同一の自動倉庫用パレット20を支持する2つの棚板12bのうち、一方に対して電源供給部13が固定されている。本実施形態においては、スタッカクレーン14側から見て、同一の自動倉庫用パレット20を支持する2つの棚板12bのうち、左側に位置する棚板12bに対して、電源供給部13が固定されている。
【0034】
図4は、電源供給部13に自動倉庫用パレット20が接続される様子を示す模式的な拡大図である。
図4に示すように、電源供給部13は、ケース13aと、支持バネ13bと、当接ピン13cと、配線13dとを備えている。
【0035】
ケース13aは、中央部に上下方向に延伸する中空部を有する有底円筒形状の部材である。ケース13aは、例えば絶縁体によって形成されている。ケース13aは、中空部の内部に支持バネ13bと当接ピン13cとを収容することで、支持バネ13b及び当接ピン13cを保持する。このようなケース13aは、当接ピン13cを上下方向に移動可能に保持する。
【0036】
支持バネ13bは、ケース13aの中空部であって当接ピン13cの下方に配置されている。支持バネ13bは、コイルバネであり、上方から押圧されて圧縮されることで、上方へ向かう反力を発生する。当接ピン13cは、ケース13aの中空部に収容された棒状部材であり、支持バネ13bに下方から支持されている。当接ピン13cは、導電部材によって形成されており、下端部が配線13dと接続されている。このような当接ピン13cは、ラック12に自動倉庫用パレット20が載置された場合に、自動倉庫用パレット20の後述する受電パッド22に対して下方から直接的に当接する。
【0037】
スタッカクレーン14は、レール16に沿って走行する台車部、台車部に立設されるマスト、マストを昇降する昇降台、昇降台に設置された移載装置等を備えている。スタッカクレーン14は、台車部にてレール16上を走行し、マストに沿って昇降台を昇降させることで移載装置を上下方向に移動させ、移載装置にて自動倉庫用パレット20の移動を行う。このようなスタッカクレーン14は、自動倉庫用パレット20に載置された冷凍保管庫Xを例えばラック12とコンベア15との間にて移動させる。
【0038】
コンベア15は、ラック収容室R1と調湿室R2との間で自動倉庫用パレット20ごと冷凍保管庫Xを移動させる。本実施形態では、
図1に示すように、レール16を間に挟むようにして2つのコンベア15が設けられている。各々のコンベア15は、例えば、スタッカクレーン14から移載された冷凍保管庫Xを、区画壁11bに設けられた開口部11cを塞ぐ位置まで移動させる。なお、スタッカクレーン14及びコンベア15は、
図1及び
図2において模式的に図示されているが、スタッカクレーン14とコンベア15との間で自動倉庫用パレット20を移載可能に構成されている。
【0039】
図5は、冷凍保管庫Xの概略構成を示す模式的な断面図であり、(a)が正面側から見た図であり、(b)が側面側から見た図である。
図5に示すように、冷凍保管庫Xは、内部に収容空間XRが設けられた本体部X1と、開閉可能な扉体X2と、収容空間XRを形成する壁面に設けられた保冷剤X3と、本体部X1に接続された電源コードX4とを備えている。
【0040】
本体部X1は、前方に向けて開放された収容空間XRが設けられた箱状に形成されている。なお、
図5に示すように、本体部X1は、2つの収容空間XRを有している。これらの収容空間XRは、上下方向に配列されている。ただし、本体部X1に設けられる収容空間XRの数は、2つに限定されるものではなく、単数あるいは3つ以上であってもよい。このような本体部X1の収容空間XRには、冷却保管が必要な物体が単数あるいは複数収容可能である。
【0041】
また、本体部X1は、収容空間XRの内部を冷却するための冷却装置が内蔵されている。この冷却装置は、電源コードX4を介して供給される電力を用いて収容空間XRを冷却する。つまり、冷凍保管庫Xは、電力を必要とする収容物体である。
【0042】
扉体X2は、本体部X1に対して不図示のヒンジ部等を介して回動可能に接続されている。このような扉体X2は、本体部X1の収容空間XRの開閉を可能とする。なお、本体部X1と扉体X2とには、収容空間XRを囲うように真空断熱部X5が設けられている。これらの真空断熱部X5は、収容空間XRの冷熱が冷凍保管庫Xの外部に漏出することを抑止する。
【0043】
保冷剤X3は、収容空間XRを囲むように配置されており、本体部X1あるいは扉体X2に固定されている。保冷剤X3は、
図5に示すように、積層されて複数配置されている。これらの保冷剤X3は、本体部X1の冷却装置で生成された冷熱を一時的に蓄える。例えば、自動倉庫用パレット20(すなわち冷凍保管庫X)がラック12から離れた状態では、冷凍保管庫Xに電力が供給されない。このような場合であっても、冷凍保管庫Xが保冷剤X3を備えることで、収容空間XRの温度が低下速度を小さくすることができる。
【0044】
なお、保冷剤X3は、本体部X1に加えて扉体X2にも固定されていることが好ましい。扉体X2に保冷剤X3を配置することで、扉体X2を閉じた場合に、収容空間XRの全体を保冷剤X3で覆うことができる。このため、電力が供給されていない状態における収容空間XRの温度の低下をさらに抑制することができる。
【0045】
電源コードX4は、自動倉庫用パレット20と本体部X1に設けられた冷却装置と接続する。例えば、電源コードX4の先端部には、挿入プラグが設けられている。電源コードX4は、先端の挿入プラグが自動倉庫用パレット20の後述する給電部23に挿入されることで、自動倉庫用パレット20と接続される。
【0046】
コンベア15は、冷凍保管庫Xを調湿室R2に搬送する場合には、扉体X2が調湿室R2に位置し本体部X1が開口部11cを塞ぐ位置にて冷凍保管庫Xを停止する。このような位置に冷凍保管庫Xを停止することで、調湿室R2にて扉体X2の開閉を行うことができる。調湿室R2の内部は、湿度が調整されている。このため、扉体X2を開放しても、収容空間XRの内部や、収容空間XRに収容された物体に結露が生じることを抑止できる。また、扉体X2を開放するときに、開口部11cが本体部X1によって塞がれているため、開口部11cから外気が調湿室R2に流入することを防ぐことができる。
【0047】
また、扉体X2を開放したときに、収容空間XRから流れ出した冷気が本体部X1の外壁面に触れることを抑制できる。本体部X1の外壁面が冷却されると、本体部X1をラック収容室R1に戻した際に本体部X1の外壁面が結露する可能性がある。本実施形態の自動倉庫10によれば、収容空間XRから流れ出した冷気が本体部X1の外壁面に触れることを抑制できるため、本体部X1の外壁面が結露することを抑止できる。
【0048】
図6は、自動倉庫用パレット20の概略構成図であり、(a)が平面図であり、(b)が側面図である。自動倉庫用パレット20は、冷凍保管庫Xが載置されるパレットである。自動倉庫用パレット20は、冷凍保管庫Xが載置された状態で、スタッカクレーン14あるいはコンベア15によって搬送される。
図6に示すように、自動倉庫用パレット20は、基体部21と、受電パッド22と、給電部23と、接続部24とを備える。
【0049】
基体部21は、冷凍保管庫Xが載置される板状の部位である。基体部21は、平面視の形状が矩形に形成されている。基体部21は、受電パッド22、給電部23及び接続部24を支持する。基体部21の底面21aには受電パッド22が設けられている。基体部21の上面21bには給電部23が設けられている。基体部21の内部には接続部24が設けられている。
【0050】
受電パッド22は、基体部21の底面21aに露出された状態で設けられている。受電パッド22は、自動倉庫用パレット20がラック12に配置された状態で、ラック12に設けられた電源供給部13に当接される部位である。受電パッド22は、電源供給部13の当接ピン13cに当接される。このような受電パッド22は、当接ピン13cとの当接面が下方に向けられており、自動倉庫用パレット20をラック12に載置することで、自動的に当接ピン13cと当接される。受電パッド22は、導電性の材料によって形成されており、当接ピン13cと当接されることで電源供給部13と電気的に接続される。
【0051】
給電部23は、接続部24を介して受電パッド22と電気的に接続されている。つまり、給電部23は、受電パッド22が電源供給部13と当接することで、電源供給部13と電気的に接続される。給電部23は、基体部21の上面21bに突出して設けられている。給電部23は、電源コードX4を接続可能に構成されている。例えば、電源コードX4が挿入プラグを有する場合には、給電部23は、挿入プラグの差込口を有する。本実施形態においては、冷凍保管庫Xが常に自動倉庫用パレット20に載置された状態で移動される。このため、メンテナンス等の場合を除いて、給電部23に対しては、電源コードX4が常時接続されている。
【0052】
接続部24は、受電パッド22と給電部23とを電気的に接続する。本実施形態において、接続部24は、基体部21の内部に配置されている。接続部24を基体部21の内部に配置することで、メンテナンス時に作業者等が接続部24に触れることを防止できる。
【0053】
続いて、本実施形態の自動倉庫システム1において、冷凍保管庫Xが載置された自動倉庫用パレット20をスタッカクレーン14からラック12に移載する場合の動作について説明する。
【0054】
図3(a)に示すように、自動倉庫用パレット20は、スタッカクレーン14にて自動倉庫用パレット20を下方から支持された状態で、棚板12bに向けて下降される。このとき、自動倉庫用パレット20は、ガイド部12cによって、受電パッド22が電源供給部13の当接ピン13cに当接する位置に案内される。
図3(b)に示すように、棚板12bに自動倉庫用パレット20が載置されると、スタッカクレーン14がさらに下降して自動倉庫用パレット20から離れる。これによって、自動倉庫用パレット20のスタッカクレーン14からラック12への移載が完了する。
【0055】
また、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、自動倉庫用パレット20が棚板12bに向けて下降している途中に、自動倉庫用パレット20の受電パッド22が電源供給部13の当接ピン13cに上方から当接する。
図4(c)に示すように、さらに自動倉庫用パレット20が下降されると、支持バネ13bが圧縮される。このように支持バネ13bが圧縮されることで、当接ピン13cが受電パッド22に向けて付勢される。このため、自動倉庫用パレット20と電源供給部13とを確実に電気的に接続することができる。
【0056】
以上のような本実施形態の自動倉庫用パレット20は、自動倉庫10にて冷凍保管庫Xが載置されると共にラック12に対して脱離可能である。また、本実施形態の自動倉庫用パレット20は、受電パッド22と、給電部23と、接続部24とを備えている。受電パッド22は、自動倉庫用パレット20がラック12に配置された状態で、ラック12に設けられた電源供給部13に当接される。給電部23は、冷凍保管庫Xに対して電気的に接続可能である。接続部24は、受電パッド22と給電部23とを電気的に接続する。
【0057】
このような本実施形態の自動倉庫用パレット20を用いれば、ラック12に対して脱離可能とされた自動倉庫用パレット20をラック12に配置することで、自動倉庫用パレット20を介して冷凍保管庫Xに給電することが可能である。このため、自動倉庫用パレット20ごと冷凍保管庫Xを移動することができる。
【0058】
さらに、本実施形態の自動倉庫用パレット20によれば、自動倉庫用パレット20をラック12に配置することで、自動倉庫用パレット20を介して、冷凍保管庫Xに給電することができる。したがって、本実施形態の自動倉庫用パレット20によれば、電力を必要とする冷凍保管庫Xを収容する自動倉庫10にて、冷凍保管庫Xへのバッテリの設置を省略することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態の自動倉庫用パレット20は、冷凍保管庫Xを支持する基体部21を備える。また、受電パッド22が、基体部21の底面21aに露出して設けられている。このため、自動倉庫用パレット20をラック12に載置することで、電源供給部13に自動的に受電パッド22を当接させることができる。
【0060】
本実施形態の自動倉庫用パレット20は、冷凍保管庫Xを支持する基体部21を備える。また、給電部23が、基体部21の上面21bに設けられている。このため、基体部21の上面21bに載置した冷凍保管庫Xを容易に給電部23と接続することができる。
【0061】
本実施形態の自動倉庫システム1は、自動倉庫10と、自動倉庫用パレット20とを備える。自動倉庫10は、ラック12と、電源供給部13と、スタッカクレーン14とを備える。ラック12は、自動倉庫用パレット20を収容可能である。電源供給部13は、ラック12に収容された自動倉庫用パレット20の受電パッド22に対して接続される。スタッカクレーン14は、自動倉庫用パレット20を移動させる。このような本実施形態の自動倉庫システム1は、自動倉庫用パレット20を備える。このため、冷凍保管庫Xへのバッテリの設置を省略することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の自動倉庫システム1において、電源供給部13は、ラック12に固定されると共にラック12に収容された自動倉庫用パレット20の受電パッド22に下方から当接する。このような電源供給部13によれば、駆動部を設けることなく、自動倉庫用パレット20の受電パッド22と当接することができる。ただし、電源供給部13がアクチュエータ等の駆動部を備える構成を採用することも可能である。
【0063】
また、本実施形態の自動倉庫システム1において、電源供給部13は、当接ピン13cと、支持バネ13bと、ケース13aとを備える。当接ピン13cは、受電パッド22に直接当接すると共に導体で形成されている。支持バネ13bは、当接ピン13cを下方から支持する。ケース13aは、当接ピン13cを上下方向に移動可能に保持する。このような電源供給部13によれば、当接ピン13cを自動倉庫用パレット20に付勢することができ、当接ピン13cを確実に受電パッド22に当接させることができる。
【0064】
また、本実施形態の自動倉庫システム1において、ラック12は、自動倉庫用パレット20が載置される棚板12bと、棚板12bに設けられると共に棚板12bに載置される自動倉庫用パレット20を案内するガイド部12cとを備える。ガイド部12cは、受電パッド22が電源供給部13に接続可能な位置に自動倉庫用パレット20を案内する。このようなガイド部12cを備えることで、受電パッド22を確実に電源供給部13に接続することができる。
【0065】
また、本実施形態の自動倉庫システム1において、自動倉庫10は、ラック収容室R1と、調湿室R2とを備える。ラック収容室R1には、ラック12が収容される。調湿室R2は、ラック収容室R1と区画されると共に湿度が調整されている。また、本実施形態の自動倉庫10は、コンベア15を備える。コンベア15は、ラック収容室R1と調湿室R2との間で自動倉庫用パレット20ごと冷凍保管庫Xを移動させる。このような自動倉庫システム1によれば、冷凍保管庫Xを開放した場合に、冷凍保管庫Xの内部等が結露することを抑止できる。
【0066】
また、本実施形態の自動倉庫システム1において、冷凍保管庫Xは、内部に収容空間が設けられた本体部X1と、本体部X1に設けられて収容空間を開閉する扉体X2とを有している。また、自動倉庫10は、ラック収容室R1と調湿室R2とを区画する区画壁11bを有し、区画壁11bが、冷凍保管庫Xが通過可能な開口部11cを有し、搬送装置が、扉体X2が調湿室R2に位置し本体部X1が開口部11cを塞ぐ位置にて冷凍保管庫Xを停止する。
【0067】
このような本実施形態の自動倉庫システム1によれば、調湿室R2にて扉体X2の開閉を行うことができる。調湿室R2の内部は、湿度が調整されている。このため、扉体X2を開放しても、収容空間XRの内部や、収容空間XRに収容された物体に結露が生じることを抑止できる。また、扉体X2を開放するときに、開口部11cが本体部X1によって塞がれているため、開口部11cから外気が調湿室R2に流入することを防ぐことができる。また、扉体X2を開放したときに、収容空間XRから流れ出した冷気が本体部X1の外壁面に触れることを抑制できる。このため、収容空間XRから流れ出した冷気が本体部X1の外壁面に触れることを抑制でき、本体部X1の外壁面が結露することを抑止できる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態においては、自動倉庫10が移動機構としてスタッカクレーン14を備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。スタッカクレーン14と異なる移動機構を備えるようにしてもよい。例えば、法規上のクレーンに該当しない移動機構を備えることも可能である。
【0070】
また、上記実施形態においては、調湿室R2を備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ラック収容室R1が調湿されている場合や、冷凍保管庫X等の結露が問題とならない場合には、調湿室R2を設けない構成を採用することも可能である。
【0071】
また、上記実施形態においては、自動倉庫用パレット20の受電パッド22が電源供給部13に当接する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、自動倉庫用パレット20が電源供給部に対して非接触にて電気的に接続される受電部を備える構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1……自動倉庫システム、10……自動倉庫、11……壁部、11a……扉、11b……区画壁、11c……開口部、11d……開閉扉、12……ラック、12a……パネル、12b……棚板、12c……ガイド部、12c1……案内面、13……電源供給部、13a……ケース、13b……支持バネ、13c……当接ピン、13d……配線、14……スタッカクレーン、15……コンベア、16……レール、20……自動倉庫用パレット、21……基体部、21a……底面、21b……上面、22……受電パッド(受電部)、23……給電部、24……接続部、R1……ラック収容室、R2……調湿室、X……冷凍保管庫(収容物体)、X1……本体部、X2……扉体、X3……保冷剤、X4……電源コード、X5……真空断熱部、XR……収容空間、Y……物体