IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-検知回路および検知方法 図1
  • 特開-検知回路および検知方法 図2
  • 特開-検知回路および検知方法 図3
  • 特開-検知回路および検知方法 図4
  • 特開-検知回路および検知方法 図5
  • 特開-検知回路および検知方法 図6
  • 特開-検知回路および検知方法 図7
  • 特開-検知回路および検知方法 図8
  • 特開-検知回路および検知方法 図9
  • 特開-検知回路および検知方法 図10
  • 特開-検知回路および検知方法 図11
  • 特開-検知回路および検知方法 図12
  • 特開-検知回路および検知方法 図13
  • 特開-検知回路および検知方法 図14
  • 特開-検知回路および検知方法 図15
  • 特開-検知回路および検知方法 図16
  • 特開-検知回路および検知方法 図17
  • 特開-検知回路および検知方法 図18
  • 特開-検知回路および検知方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035430
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】検知回路および検知方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20240307BHJP
   H01R 13/641 20060101ALN20240307BHJP
【FI】
H04R29/00 320
H01R13/641
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139875
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 真琴
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FB07
5E021KA13
(57)【要約】
【課題】接続を検知するための専用の検知端子がないマイクロフォンにおいて接続状態を検知できるようにする。
【解決手段】一対の差動信号線に電源電圧が重畳して給電されるマイクロフォンの接続状態を検知する検知回路であって、前記一対の差動信号線の一方の電圧を測定し、前記測定された電圧が第一の閾値(V1)よりも高い状態または、第二の閾値(V2)よりも低い状態が所定期間継続したときに、前記マイクロフォンの未接続を検知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の差動信号線に電源電圧が重畳して給電されるマイクロフォンの接続状態を検知する検知回路であって、
前記一対の差動信号線の一方の電圧を測定し、前記測定された電圧が第一の閾値(V1)よりも高い状態または、第二の閾値(V2)よりも低い状態が所定期間継続したときに、前記マイクロフォンの未接続を検知する検知回路。
【請求項2】
前記一対の差動信号線の一方は負側の電源電圧でバイアスされている信号線であり、前記測定された電圧が第三の閾値(V3)以上のときには天絡を検知する請求項1に記載の検知回路。
【請求項3】
前記一対の差動信号線の一方は正側の電源電圧でバイアスされている信号線であり、前記測定された電圧が第四の閾値(V4)以下のときに地絡を検知する請求項1に記載の検知回路。
【請求項4】
一対の差動信号線に電源電圧が重畳して給電されるマイクロフォンの接続状態を検知する検知回路であって、
前記一対の差動信号線の両方の電圧を測定し、前記一対の差動信号線の一方の電圧が第一の閾値(V1)よりも高く、他方の電圧が第二の閾値(V2)よりも低いときに前記マイクロフォンの未接続を検知する検知回路。
【請求項5】
前記一対の差動信号線の両方が第五の閾値(V5)以上、または、一方が前記第五の閾値(V5)以上かつ他方が前記第五の閾値(V5)より低い第六の閾値(V6)以上のときに、前記一対の差動信号線のいずれかが天絡していると判定する請求項4に記載の検知回路。
【請求項6】
前記一対の差動信号線の両方が第七の閾値(V7)以下、または一方が前記第七の閾値(V7)以下かつ他方が前記第七の閾値(V7)より高い第八の閾値(V8)以下のときに、前記一対の差動信号線のずれかが地絡していると判定する請求項4に記載の検知回路。
【請求項7】
一対の差動信号線に電源電圧が重畳して給電されるマイクロフォンの接続状態を検知する検知方法であって、制御部が
前記一対の差動信号線の一方の電圧を測定し、前記測定された電圧が第一の閾値(V1)よりも高い状態または、第二の閾値(V2)よりも低い状態が所定期間継続したときに、前記マイクロフォンの未接続を検知する検知方法。
【請求項8】
前記一対の差動信号線の一方は負側の電源電圧でバイアスされている信号線であり、前記制御部は、前記測定された電圧が第三の閾値(V3)以上のときには天絡を検知する請求項7に記載の検知方法。
【請求項9】
前記一対の差動信号線の一方は正側の電源電圧でバイアスされている信号線であり、前記制御部は、前記測定された電圧が第四の閾値(V4)以下のときに地絡を検知する請求項7に記載の検知方法。
【請求項10】
一対の差動信号線に電源電圧が重畳して給電されるマイクロフォンの接続状態を検知する検知方法であって、制御部が
前記一対の差動信号線の両方の電圧を測定し、前記一対の差動信号線の一方の電圧が第一の閾値(V1)よりも高く、他方の電圧が第二の閾値(V2)よりも低いときに前記マ
イクロフォンの未接続を検知する検知方法。
【請求項11】
前記一対の差動信号線の両方が第五の閾値(V5)以上、または、一方が前記第五の閾値(V5)以上かつ他方が前記第五の閾値(V5)より低い第六の閾値(V6)以上のときに、前記制御部は、前記一対の差動信号線のいずれかが天絡していると判定する請求項10に記載の検知方法。
【請求項12】
前記一対の差動信号線の両方が第七の閾値(V7)以下、または一方が前記第七の閾値(V7)以下かつ他方が前記第七の閾値(V7)より高い第八の閾値(V8)以下のときに、前記制御部は、前記一対の差動信号線のずれかが地絡していると判定する請求項10に記載の検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知回路および検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載器によって例示される情報処理装置には、マイクロフォン、マイクユニット、マイクモジュール等と呼ばれるもの(以下、マイクロフォン)が接続される。マイクロフォンが情報処理装置に接続されているか否かは、例えば、接続を示す信号を出力する専用の検知端子を設けることで検知できる。
【0003】
しかし、このような専用の検知端子を設けるとマイクロフォンが検出した信号を出力する信号端子以外の端子が設けられることで、情報処理装置とマイクロフォンとの間のインターフェースが複雑化する。
【0004】
そのため、専用の検知端子がない簡易なインターフェースで情報処理装置とマイクロフォンとを接続することが望まれる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-41923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の実施形態の1つの側面は、接続を検知するための専用の検知端子がないマイクロフォンにおいて電子部品の接続状態を検知できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の側面は検知回路によって例示される。本検知回路は、一対の差動信号線に電源電圧が重畳して給電されるマイクロフォンの接続状態を検知する検知回路であって、前記一対の差動信号線の一方の電圧を測定し、前記測定された電圧が第一の閾値(V1)よりも高い状態または、第二の閾値(V2)よりも低い状態が所定期間継続したときに、前記マイクロフォンの未接続を検知する。
【0008】
また、本開示の第2の側面は他の検知回路によって例示される。本検知回路は、前記一対の差動信号線の両方の電圧を測定し、前記一対の差動信号線の一方の電圧が第一の閾値(V1)よりも高く、他方の電圧が第二の閾値(V2)よりも低いときに前記マイクロフォンの未接続を検知する。
【発明の効果】
【0009】
本検知回路は、接続を検知するための専用の検知端子がないマイクロフォンにおいて接続状態を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、比較例1の車載器の構成を例示する図である。
図2図2は、実施形態1の車載器の構成を例示する図である。
図3図3は、+出力端子と-出力端子とから出力される音の信号を例示する図である。
図4図4は、実施形態1の車載器の構成を例示する図である。
図5図5は、実施形態1の車載器の構成を例示する図である。
図6図6は、マイクユニットの構造を例示する図である。
図7図7は、ハンズフリー回路に含まれる差動レシーバを例示する図である。
図8図8は、ハンズフリー回路に含まれる差動レシーバを例示する図である。
図9図9は、マイクユニットが接続されたときの車載器の直流信号に対する等価回路を例示する図である。
図10図10は、マイクユニットが未接続のときの車載器の直流信号に対する等価回路を例示する図である。
図11図11は、マイクユニットが接続されている状態で、天絡または地絡が発生したときのVDET1およびVDET2の値を説明するための等価回路である。
図12図12は、接続状態から、未接続、天絡、地絡が発生したときのマイコン111が検出するVDET1、VDET2の値の変化を例示するタイミングチャートである。
図13図13は、接続状態から、未接続、天絡、地絡が発生したときのマイコン111が検出するVDET1、VDET2の値の変化を例示するタイミングチャートの他の例である。
図14図14は、車載器のマイコンの処理を例示するフローチャートである。
図15図15は、比較例2による処理を例示するフローチャートである。
図16図16は、比較例2の処理における問題点を例示する図である。
図17図17は、実施形態2に係る車載器の構成を例示する図である。
図18図18は、実施形態2の車載器の処理を例示するフローチャートである。
図19図19は、実施形態3の車載器の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、開示の実施形態の検知回路および検知方法が説明される。まず、比較例1の構成が例示され、次に実施形態1以下が説明される。
【0012】
<比較例1>
図1は、比較例1の車載器501の構成を例示する図である。図1では、車載器501に接続されるマイクユニット502も併せて例示されている。車載器501は、例えば、接続検知回路511、ハンズフリー回路512、および電源回路513等を有する。また、マイクユニット502には、電源端子、+端子、GND端子(-端子ともいう)、検知端子という4つの端子が例示されている。
【0013】
車載器501とマイクユニット502とは上記4つの端子を介して接続される。電源回路513は、電源端子を介して電力をマイクユニット502に供給する。ハンズフリー回路512は、+端子とGND端子とを介してマイクユニット502で検出された音の信号を取得する。例えば、マイクユニット502は、GND端子を基準とするシングルエンドの信号を+端子に出力する。接続検知回路511は、検知端子からの信号(例えば、電圧)によって車載器501とマイクユニット502との接続の有無を検知する。例えば、マイクユニット502は、所定の電圧を検知端子に供給する。接続検知回路511は、検知端子において、この所定の電圧が検出されると、マイクユニット502が車載器501に正常に接続されていると判定し、車載器501に設けられた表示装置または発光装置等に判定結果を表示する。
【0014】
<実施形態1>(構成)
以下、図2から図14にしたがって実施形態1の車載器1が説明される。図2は、実施形態1の車載器1の構成を例示する図である。図1では、車載器1に接続されるマイクロフォンの一例として、マイクユニット2も併せて例示されている。車載器1は、例えば、接続検知回路11、ハンズフリー回路12、および電源回路13等を有する。また、マイ
クユニット2には、+出力端子と-出力端子という2つの端子が例示されている。すなわち、図2の例では、車載器1とマイクユニット2とは2線式のインターフェースで接続される。
【0015】
マイクユニット2は、検出した音の信号を+出力端子と-出力端子との間の差動信号(または差分値)として出力する。ところで、図2のマイクユニット2では、図1のマイクユニット502と比較して、電源端子が存在せず、かつ、マイクユニット2の接続状態を検知するための検知端子が設けられていない。
【0016】
したがって、マイクユニット2が接続される車載器1は、専用の検知端子を用いた接続検知を実施できない。このため、実施形態1では、車載器1は、差動信号が出力される+出力端子と-出力端子の少なくとも一方によってマイクユニット2の接続状態を検知する。
【0017】
また、車載器1は、音の信号を出力する+出力端子と-出力端子とを介してマイクユニット2に電源電圧を給電する。すなわち、マイクユニット2から出力される音の信号に重畳して、直流電力が+出力端子と-出力端子とからマイクユニット2に供給される。したがって、一対の差動信号線である+出力端子につながる信号線と-出力端子につながる信号線に電源電圧が重畳して給電される。このため、車載器1は、+出力端子と-出力端子のうちの少なくとも一方の正の電源電圧への短絡(以下、天絡)、および、+出力端子と-出力端子のうちの少なくとも一方の接地電位への短絡(以下、地絡)を検知できるようにすることが望ましい。
【0018】
図3は、+出力端子と-出力端子とから出力される音の信号を例示する図である。図3では、接地電位(GND(0V))と、電源電圧(Vcc)との間で+出力端子と-出力端子の信号が出力されている。実施形態1では、例えば、+出力端子は、+端子中点電位にバイアスされている。
【0019】
なお、図3において、縦方向(図の上下方向、信号振幅の軸方向)に平行に描かれた点線と点線の間隔は、車載器1が+出力端子と-出力端子の信号を検出するサンプリング間隔を例示する。例えば、車載器1は、このサンプリング間隔で+出力端子と-出力端子の信号を検出し、マイクユニット2の接続状態を判定する。
【0020】
図4は、実施形態1の車載器1Aの構成を例示する図である。車載器1Aでは、接続検知回路11は、マイクユニット2の+出力端子からの信号によって車載器1Aとマイクユニット2との接続状態を判定する。図4のように、車載器1Aは、抵抗R1を介して、マイクユニット2の+出力端子に電源回路13からの電力を供給する。なお、マイクユニット2の-出力端子は、直列に接続された抵抗R2およびR3を介して接地される。以下、接続検知回路11が検出するマイクユニット2の+出力端子からの信号をVDET1と呼ぶことにする。なお、抵抗R2は後述する車載器1Bと説明を共通化するために記載しているものであり、抵抗R2を省略したり、抵抗R2とR3を直列合成したものを改めて抵抗R3と記載してもよい(図7についても同様)。
【0021】
図5は、実施形態1の車載器1Bの構成を例示する図である。車載器1Bは車載器1Aの変形例である。車載器1Bでは、接続検知回路11は、マイクユニット2の-出力端子からの信号を抵抗R2、R3で分圧した信号によって車載器1Bとマイクユニット2との接続状態を判定する。ただし、抵抗R2は省略されてもよい。抵抗R2が省略されると、接続検知回路11は、マイクユニット2の-出力端子からの信号を直接検出し、車載器1Bとマイクユニット2との接続状態を判定する。
【0022】
図6は、マイクユニット2の構造を例示する図である。図6では、マイクユニット2の等価回路も併せて例示されている。マイクユニット2は、音検知部21と、差動ドライバ22とを有する。音検知部21は、音による空気の変動から電気信号を生成する。差動ドライバ22は音検知部21によって生成された電気信号を増幅し、差動信号として+出力端子と-出力端子との間に出力する。なお、+出力端子と-出力端子とはそれぞれコンデンサ23、24によって直流信号が遮断されている。
【0023】
マイクユニット2は、+出力端子と-出力端子とが接続される車載器1のハンズフリー回路12から見ると、出力インピーダンスZmが+出力端子と-出力端子との間に接続された電子回路と考えることができる。そこで、図7以下の説明では、マイクユニット2を出力インピーダンスZmに置き換えて、車載器1の動作が説明される場合がある。また、車載器1A、1B等が総称される場合には、単に車載器1と呼ばれる。
【0024】
図7は、図4に例示した車載器1Aにおいて、ハンズフリー回路12に含まれる差動レシーバ121を例示する図である。図7では、さらに、接続検知回路11に含まれる制御部の一例として、マイクロコンピュータまたはマイクロコントーラ(以下、マイコン111)が例示されている。差動レシーバ121は、マイクユニット2からの差動信号を入力され、シングルエンドの音の信号をハンズフリー回路12に供給する。なお、図7では、差動レシーバ121の+入力端子と-入力端子には、それぞれコンデンサC1、C2が設けられ、入力される信号中の直流成分が遮断される。したがって、差動レシーバ121は、マイクユニット2から出力される信号(図3参照)のうち、直流成分以外の差動信号からシングルエンドの音の信号を出力する。
【0025】
マイコン111には、マイクユニットの+出力端子の信号(VDET1)が直流成分を含めて入力される。すなわち、マイコン111は、例えば、アナログデジタル(AD)変換器を介して、マイクユニット2の+出力端子の信号(VDET1)を所定の時間間隔で監視する。マイコン111は、図9以下で例示する処理によって、VDET1を基に、マイクユニット2の接続状態を判定する。
【0026】
図8も、図4に例示した車載器1Bにおいて、ハンズフリー回路12に含まれる差動レシーバ121を例示する図である。図7の車載器1Aにおいては、マイコン111は、アナログデジタル(AD)変換器を介して、マイクユニット2の+出力端子の信号(VDET1)を所定の時間間隔で監視する。これに対して、図8の車載器1Bにおいては、マイコン111は、例えば、アナログデジタル(AD)変換器を介して、マイクユニット2の-出力端子の信号(VDET2)を所定の時間間隔で監視する。車載器1Bの構成のうち、VDET2を監視する構成以外の構成は、車載器1Aと同一であるので、その説明は省略される。
【0027】
(A.各接続状態における検出電圧)(A1.接続時)
図9は、図7の車載器1Aまたは図8の車載器1Bにおいて、マイクユニット2が接続された状態での車載器1Aまたは図8の車載器1Bの直流信号に対する等価回路を例示する図である。なお、図9は、車載器1Aまたは車載器1Bにおいて、+入力端子と、-入力端子との間の入力インピーダンスが、R1、R2、R3、およびZmと比較して十分に大きい場合の等価回路であると考えることもできる。また、図7図8において、マイコン111がVDET1またはVDET2を検出する端子の入力インピーダンスが十分に大きいものとして、図9においては、マイコン111は省略されている。
【0028】
図9のように、マイクユニット2が車載器1A、または、車載器1Bに正常に接続された状態では、マイコン111は、VDET1として+中点電位(Vb+)を検出する。
VDET1=Vb+
=Vcc*(Zm+R2+R3)/(Zm+R1+R2+R3) (式1)
ここで、/は除算、*は乗算を表す(以下同じ)。
【0029】
また、図9の状態では、マイコン111は、VDET2として-中点電位(Vb-)を直列に接続された抵抗R2と抵抗R3で分圧した値を検出する。また、図9では、VDET2は、電源電圧Vccをマイクユニットの出力インピーダンスZmおよび抵抗R1乃至R3の直列回路における抵抗R3で分圧した値となる。
VDET2=Vcc*R3/(Zm+R1+R2+R3) (式2)
【0030】
なお、R2がない場合には、マイコン111は、VDET2として、-中点電位(Vb-)を検出する。以上の通り、マイクユニット2が車載器1Aに正常に接続された状態では、マイコン111は、マイクユニット2の+出力端子から、+中点電位(Vb+)をVDET1として検出する。また、マイクユニット2が車載器1Bに正常に接続された状態では、マイコン111は、マイクユニット2の-出力端子から、-中点電位(Vb-)を抵抗R2、R3で分圧した値をVDET2として検出する。ただし、抵抗R2=0すなわち、抵抗R2を取り除いた場合には、VDET2は、-中点電位(Vb-)そのものである。
【0031】
(A2.未接続)
図10は、図7の車載器1Aまたは図8の車載器1Bにおいて、マイクユニット2が未接続のときの車載器1Aまたは図8の車載器1Bの直流信号に対する等価回路を例示する図である。なお、図10は、図7の車載器1Aまたは図8の車載器1Bにおいて、+入力端子と、-入力端子との間の入力インピーダンスが、抵抗R1、R2、R3、およびZmと比較して十分に大きい場合の等価回路であると考えることもできる。
【0032】
マイクユニット2が図7の車載器1Aに対して未接続であると、VDET1は、抵抗R1を介して供給される電源電圧Vccとなる。すなわち、マイコン111は、正常な接続状態では、VDET1としてマイクユニット2の+出力端子からの信号を検出する。しかし、マイクユニット2が未接続の場合には、図10のように、VDET1は電源電圧Vccとなる。
【0033】
VDET1=Vcc (式3)
マイクユニット2が図8の車載器1Bに対して未接続であると、VDET2は、抵抗R3を介して接地電位(GND、0V)となる。すなわち、マイコン111は、正常な接続状態では、VDET2としてマイクユニット2の-出力端子からの信号を検出する。しかし、マイクユニット2が未接続の場合には、図10のように、VDET2は接地電位となる。
VDET2=GND(0V) (式4)
【0034】
(A3.天絡と地絡)
図11は、図7の車載器1Aまたは図8の車載器1Bにおいて、マイクユニット2が接続されている状態で、天絡または地絡が発生したときのVDET1およびVDET2の値を説明するための等価回路である。図11では、天絡および地絡の経路が点線で例示されている。
【0035】
図11において、天絡としては、2つのタイプが例示されている。第1のタイプである天絡1は、マイクユニット2の+出力端子が電源電圧Vccに短絡するものである。また、第2のタイプである天絡2は、マイクユニット2の-出力端子が電源電圧Vccに短絡するものである。また、図11において、地絡も、2つのタイプが例示されている。第1のタイプである地絡1は、マイクユニット2の-出力端子が接地電位に短絡するものであ
る。また、第2のタイプである地絡2は、マイクユニット2の+出力端子が接地電位に短絡するものである。
【0036】
(A31.天絡1)
天絡1が生じた場合、図7の車載器1Aのマイコン111は、VDET1として電源電圧Vccを検出する。
VDET1=Vcc (式5)
したがって、図7の車載器1Aの構成では、マイクユニット2が車載器1Aに未接続である場合(図10)と、天絡1が発生している場合とで、マイコン111は、VDET1=+出力端子の電圧として、いずれも電源電圧Vccを検出する。
【0037】
また、天絡1が生じた場合、図8の車載器1Bのマイコン111は、VDET2として電源電圧Vccをマイクユニットの出力インピーダンスZm、抵抗R2、R3の直列回路において抵抗R3で分圧した電圧を検出する。すなわち、
VDET2=Vcc*R3/(Zm+R2+R3) (式6)
である。したがって、マイコン111は、(式2)で計算される接続時のVDET2の値より高く、(式6)で計算される値より低い第三の閾値電圧V3を用いて、VDET2が第三の閾値電圧V3以上となった場合に、天絡1が生じたと判定できる。また、抵抗R2=0の場合には、VDET2は、-出力端子の電圧であるので、マイコン111は、-出力端子の電圧が第三の閾値電圧V3以上となった場合に、天絡1が生じたと判定できる。なお、本実施形態では、閾値として、閾値電圧が例示される。
【0038】
(A32.天絡2)
天絡2が生じた場合、図7の車載器1Aのマイコン111は、VDET1として電源電圧Vccを検出する。
VDET1=Vcc (式7)
【0039】
したがって、図7の車載器1Aの構成では、マイクユニット2が車載器1Aに未接続である場合(図10)と、天絡1、天絡2が発生している場合とで、マイコン111は、VDET1として、いずれも電源電圧Vccを検出する。すなわち、図7の車載器1Aの構成では、マイコン111は、VDET1のみを取得しても、未接続、天絡1、および天絡2を区別できない。
【0040】
また、天絡2が生じた場合、図8の車載器1Bのマイコン111は、VDET2として電源電圧Vccを直列に接続した抵抗R2と抵抗R3において抵抗R3で分圧した電圧を検出する。すなわち、
VDET2=Vcc*R3/(R2+R3) (式8)
である。
【0041】
また、抵抗R2=0の場合には、VDET2は、-出力端子の電圧であり、かつ、VDET2=Vccである。すなわち、R2=0の場合には、マイコン111は、-出力端子の電圧がVccとなった場合に、天絡1が生じたと判定できる。また、R2=0の場合には、マイコン111は、(式2)で計算される接続時のVDET2の値より高く、Vccより小さい第一の閾値電圧V1を用いて、VDET2が第一の閾値電圧V1以上となった場合に、天絡2が生じたと判定できる。
【0042】
(A33.地絡1)
地絡1が生じた場合、図7の車載器1Aのマイコン111は、VDET1として電源電圧Vccをマイクユニット2の出力インピーダンスZmと抵抗R1の直列回路において出力インピーダンスZmで分圧した電圧を検出する。
VDET1=Vcc*Zm/(Zm+R1) (式9)
したがって、マイコン111は、(式1)で計算されるVDET1の値、つまり、+中点電位(Vb+)より低く、(式9)で計算される値より高い第四の閾値電圧V4を用いて、VDET1が第四の閾値電圧V4以下となった場合に、地絡1が生じたと判定できる。
【0043】
地絡1が生じた場合、図8の車載器1Bのマイコン111は、VDET2として接地電位を検出する。
VDET2=GND(0V) (式10)
したがって、図8の車載器1Bの構成では、マイクユニット2が車載器1Bに未接続である場合(図10)と、地絡1が発生している場合とで、マイコン111は、VDET2として、いずれも接地電位を検出する。
【0044】
(A34.地絡2)
地絡2が生じた場合、図7の車載器1Aのマイコン111は、VDET1として接地電位を検出する。
VDET1=GND(0V) (式11)
すなわち、マイコン111は、(式1)で計算されるVDET1の値、つまり、+中点電位(Vb+)より低く、(式11)の値より高い第二の閾値電圧V2を用いて、VDET1が第二の閾値電圧V2以下のときに地絡2を検出できる。
【0045】
また、地絡2が生じた場合、図8の車載器1Bのマイコン111は、VDET2として接地電位を検出する。
VDET2=GND(0V) (式12)
したがって、図8の車載器1Bの構成では、マイクユニット2が車載器1Bに未接続である場合(図10)と、地絡1、地絡2が発生している場合とで、マイコン111は、VDET2として、いずれも接地電位を検出する。すなわち、図8の車載器1Bの構成では、マイコン111は、VDET2のみを取得しても、未接続、地絡1、および地絡2を区別できない。
【0046】
(B.判定手順)
図12は、接続状態から、未接続、天絡1、天絡2、地絡1、地絡2が発生したときのマイコン111が検出するVDET1、VDET2の値の変化を例示するタイミングチャートである。ただし、図12では、Zm=R1=R3=100オーム、R2=0オームでの計算結果を例示する。ここで、R2=0オーム、すなわち、R2をなくすことによって、図8の構成において、車載器1BはVDET2としてマイクユニット2の-出力端子の電圧を測定でき、マイクユニット2の接続状態を判定できる。
【0047】
(B1.接続中との判定)
まず、マイクユニット2が車載器1Aに接続されている状態では、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は上記(式1)の通りである。
VDET1=Vb+
=Vcc*(Zm+R2+R3)/(Zm+R1+R2+R3)
=2/3Vcc
【0048】
一方、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は、マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態では、上記(式2)の通りである。
VDET2=Vb-
=Vcc*R3/(Zm+R1+R2+R3)
=Vcc/3
【0049】
(B2.未接続との判定)
マイクユニット2が車載器1Aに接続されている状態から、未接続状態になると、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は上記(式3)の通り、電源電圧Vccである。
【0050】
VDET1=Vcc
したがって、マイコン111が第一の閾値電圧V1として、接続時のVDET1=2/3*Vccよりも高く、Vccより小さい値、例えば、9/10*Vccを用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET1が2/3*Vccから、第一の閾値電圧V1以上の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Aに接続されている状態から、未接続状態になったと判定できる。
【0051】
他方、マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から、未接続状態になると、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は上記(式4)の通り、接地電位である。
【0052】
VDET2=GND(0V)
したがって、マイコン111が第二の閾値電圧V2として、接続時のVDET2=Vcc/3よりも低く、接地電位GND(0V)より大きい値、例えば、Vcc/10を用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET2がVcc/3から、第二の閾値電圧V2以下の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から、未接続状態になったと判定できる。
【0053】
(B3.天絡の判定)
マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から、天絡1の状態になると、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は上記(式6)の通りである。
VDET2=Vcc*R3/(Zm+R2+R3)
=Vcc/2
また、R2=0であるので、VDET2は、-出力端子の電圧である。
【0054】
マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から、天絡2の状態になると、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は上記(式8)の通りである。
VDET2=Vcc*R3/(R2+R3)
=Vcc
したがって、マイコン111が第三の閾値電圧V3として、接続時のVDET2=Vb-=Vcc/3よりも高く、天絡1の状態でのVcc/2より小さい値、例えば、Vcc*4/10を用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET2がVcc/3から、第三の閾値電圧V3以上の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から、天絡1、2に例示される天絡になったと判定できる。
【0055】
(B4.地絡の判定)
マイクユニット2が車載器1Aに接続されている状態から、地絡1の状態になると、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は上記(式9)の通りである。
VDET1=Vcc*Zm/(Zm+R1)
=Vcc/2
【0056】
マイクユニット2が車載器1Aに接続されている状態から、地絡2の状態になると、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は上記(式11)の通り、接地電位である。すなわち、
VDET1=GND(0V)
である。したがって、マイコン111が第四の閾値電圧V4として、接続時のVDET1=Vb+=2/3*Vccよりも低く、地絡1の状態でのVDET1=Vcc/2より高い値、例えば、Vcc*6/10を用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET1が2/3*Vccから、第四の閾値電圧V4以下の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Aに接続されている状態から、地絡1、2に例示される地絡になったと判定できる。なお、図12において、第五の閾値電圧V5から第八の閾値電圧V8については、別途実施形態2で説明される。
【0057】
図13は、接続状態から、未接続、天絡1、天絡2、地絡1、地絡2が発生したときのマイコン111が検出するVDET1、VDET2の値の変化を例示するタイミングチャートの他の例である。ここで、図13では、Zm=R1=100オーム、R2=R3=50オームでの計算結果を例示する。図13の場合にも、図12の場合と同様、VDET1、VDET2の値の変化を検知する第一の閾値電圧V1から第四の閾値電圧V4を設定できる。したがって、マイコン111は、図12の場合と同様、マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から未接続、天絡、または地絡になったことを判定できる。ただし、図13の場合には、R2が存在するので、車載器1Bのマイコン111が測定するVDET2の値は、-出力端子の電圧ではなく、抵抗R2を介して-出力端子の電圧を測定した値となる。
【0058】
(処理手順)
図14は、車載器1Aまたは車載器1Bのマイコン111の処理を例示するフローチャートである。この処理では、マイコン111は、+出力端子または-出力端子の端子電圧を測定し、同一の端子(+出力端子または-出力端子)で端子電圧が連続複数回(N回)閾値からはずれたか否かを判定する(S1、S2)。すなわち、マイコン111は、端子電圧をN回サンプリングし、N回すべてのサンプリング結果において+出力端子または-出力端子の端子電圧が閾値からはずれたか否かを判定する。また、N回のサンプリングを実施する期間が所定期間の一例である。ただし、所定期間は、例えば、N回のサンプリングが実施される期間であってもよい。
【0059】
S2の判定において、同一の端子で端子電圧が連続複数回(N回)閾値からはずれる前に、端子電圧が閾値の範囲内となった場合(S2でN)、マイコン111は、マイクユニット2が車載器1A(または1B)に接続されていると判定する(S3)。そこで、マイコン111は、マイクユニット2が車載器1A(または1B)に正常に接続されていることを車載器1A(または1B)の表示装置または発光装置等に表示する(S4)。
【0060】
一方、S2の判定において、同一の端子で端子電圧が連続複数回(N回)閾値からはずれた場合(S2でY)、マイコン111は、マイクユニット2が車載器1A(または1B)に正常に接続されていないと判定する(S5)。ここで、Nは、2以上の整数であり、車載器1A(または1B)とマイクユニット2の状態に応じて適宜設定される。なお、連続複数回(N回)閾値からはずれた場合は、はずれた状態が所定期間継続したときということもできる。
【0061】
例えば、車載器1AにおいてVDET1が第一の閾値電圧V1以上であることが連続N回確認されると、マイコン111は、マイクユニット2が未接続であると判定する。また、例えば、車載器1BにおいてVDET2が第二の閾値電圧V2以下であることが連続N回確認されると、マイコン111は、マイクユニット2が未接続であると判定する。同様に、車載器1AにおいてVDET1が第四の閾値電圧V4以下であることが連続N回確認されると、マイコン111は、地絡の発生を検知する。さらに、車載器1AにおいてVDET2が第三の閾値電圧V3以上であることが連続N回確認されると、マイコン111は
、天絡の発生を検知する。そして、マイコン111は、S5の判定結果を車載器1A(または1B)の表示装置または発光装置等に表示する(S6)。
【0062】
<比較例2>
図15は、比較例2による処理を例示するフローチャートである。上記実施形態1では、マイコン111は、+出力端子または-出力端子からの端子電圧を測定し、同一の端子(+出力端子または-出力端子)で端子電圧が連続複数回(N回)閾値からはずれたか否かを判定した。比較例2の処理は、1回の測定結果が閾値からはずれたか否かを検知し(S501)、その検知結果を基にマイクユニット2が車載器1A(または1B)に接続されている否かを判定するものである。
【0063】
すなわち、同一の端子(+出力端子または-出力端子)で端子電圧が閾値の範囲内である場合(S501でY)、比較例2の処理は、マイクユニット2が車載器1A(または1B)に接続されていると判定する(S502)。一方、同一の端子(+出力端子または-出力端子)で端子電圧が閾値の範囲内でない場合(S501でN)、比較例2の処理は、マイクユニット2が車載器1A(または1B)に接続されていないと判定する(S503)。
【0064】
図16は、比較例2の処理における問題点を例示する図である。図16は、マイコン111が測定する+出力端子の電圧VDET1、-出力端子の電圧VDET2の変化を例示する図である。図16で、VDET1およびVDET2は、それぞれ、一点鎖線である+端子中点電位および-端子中点電位を中心に変動している。また、VDET1およびVDET2を基に、マイクユニット2が車載器1A(または1B)に正常に接続されているか否かを判定するための+端子の閾値の範囲と、-端子の閾値の範囲とがそれぞれ2つの二点鎖線で挟まれた範囲によって例示されている。この状態で、マイクユニット2に過大な音圧が加えられると、マイクユニット2の出力信号の振幅が閾値の範囲を超えて(外れて)しまう場合がある。この例では、点線の丸で例示されるタイミングT1およびT2でのサンプリングで、VDET1およびVDET2は、それぞれ、+端子の閾値の範囲と、-端子の閾値の範囲から外れている。したがって、図16のようなデータがサンプリングされると、比較例2の処理では、マイコン111は、マイクユニット2が車載器1A(または1B)に正常に接続されていないと判定し、未接続、天絡、地絡等を表示する。すなわち、マイクユニット2が正常に車載器1A(または1B)に接続されているにもかかわらず、未接続、天絡、地絡等を誤検知してしまう場合がある。
【0065】
(実施形態1の効果)
以上述べたように、実施形態1の処理では、同一の端子で端子電圧(+出力端子または-出力端子)が連続複数回(N回)閾値からはずれないと、マイコン111は、接続で異常ありと判定しない。ここで、接続で異常とは、マイクユニット2が車載器1Aと接続状態から未接続になったか、天絡または地絡が発生したことをいう。そして、図16のデータでは、例えば、Nとして、3以上の整数を設定すれば、マイコン111は、図16のデータに対して誤判定をしない。したがって、マイコン111は、出力端子の電圧VDET1、-出力端子の電圧VDET2の一方を監視することで、マイクユニット2が車載器1A(または1B)に正常に接続されていないことを安定して判定できる。例えば、図16に例示されるように、一時的に大きな振幅の信号が検知されても、マイコン111が未接続、天絡または地絡等を誤検知することを抑制できる。
【0066】
また、車載器1Bの場合には、監視されるのは、負側の電源電圧(接地電位GND)でバイアスされている-出力端子につながる信号線であり、マイコン111は、測定された電圧が第三の閾値電圧V3以上のときには天絡を検知することができる。さらに、車載器1Aの場合には、監視されるのは、正側の電源電圧(Vcc)でバイアスされている+出
力端子につながる信号線であり、マイコン111は、測定された電圧が第四の閾値電圧V4以下のときには地絡を検知することができる。
【0067】
<実施形態2>
図17は、実施形態2に係る車載器1Cの構成を例示する図である。車載器1Cでは、マイコン111が+出力端子の電圧VDET1および-出力端子の電圧VDET2の両方を監視する。マイコン111がVDET1および電圧VDET2の両方を監視する構成以外の車載器1Cの構成および作用は、実施形態1の車載器1Aまたは1Bと同様である。そこで、実施形態2に係る車載器1Cの構成のうち、実施形態1の車載器1Aまたは1Bと同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0068】
実施形態1では、車載器1Aのマイコン111はVDET1を監視し、車載器1Bのマイコン111はVDET2を監視する。一方、実施形態2では、車載器1Cのマイコン111は、VDET1および電圧VDET2の両方を監視する。しかしながら、未接続、天絡1、天絡2、地絡1、地絡2が発生したときの車載器1CにおけるVDET1およびVDET2の信号の変化は、実施形態1の車載器1AにおけるVDET1および車載器1BにおけるVDET2と同様である。
【0069】
そこで、図12を参照して車載器1Cにおけるマイコン111の判定方法を説明する。また、すでに述べた通り、図12では、Zm=R1=R3=100オーム、R2=0オームでの計算結果を例示する。
【0070】
(C1.接続中との判定)
上述の通り、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態では、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は上記(式1)の通りである。
VDET1=Vb+
=Vcc*(Z+R2+R3)/(Z+R1+R2+R3)
=2/3Vcc
【0071】
一方、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態では、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は上記(式2)の通りである。
VDET2=Vcc*R3/(Z+R1+R2+R3)
=Vcc/3
【0072】
(C2.未接続との判定)
マイクユニット2が車載器1Aに接続されている状態から、未接続状態になると、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は上記の通り、電源電圧Vccである。
VDET1=Vcc
【0073】
したがって、マイコン111が第五の閾値電圧V5として、接続時のVDET1=Vcc*2/3よりも高く、電源電圧Vccより小さい値、例えば、Vcc9/10を用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET1が接続中のVDET1であるVcc2/3から、第五の閾値電圧V5以上の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態から、未接続状態になったと判定できる。第五の閾値電圧V5は、実施形態1での第一の閾値電圧V1と同一の値でもよい。
【0074】
他方、マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から、未接続状態になると、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は上記(式4)の通り、接地電位である。
VDET2=GND(0V)
【0075】
したがって、マイコン111が第七の閾値電圧V7として、接続時のVDET2=Vcc/3よりも低く、接地電位GND(0V)より大きい値、例えば、Vcc/10を用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET2が接続中のVDET2であるVcc/6から、第七の閾値電圧V7以下の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態から、未接続状態になったと判定できる。第七の閾値電圧V7は、第二の閾値電圧V2と同一の値でもよい。
【0076】
(C3.天絡の判定)
マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から、天絡1の状態になると、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は上記(式6)の通りである。
VDET2=VDET2=Vcc*R3/(Zm+R2+R3)
=Vcc/2
である。
【0077】
また、マイクユニット2が車載器1Bに接続されている状態から、天絡2の状態になると、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は上記(式8)の通りである。
VDET2=Vcc*R3/(R2+R3)
=Vcc
【0078】
他方、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態から、天絡1、天絡2の状態になると、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は、上記(式5)、(式7)の通り、電源電圧Vccである。
したがって、マイコン111が第五の閾値電圧V5として、接続時のVDET2=Vcc/6よりも高く、Vccより小さい値、例えば、Vcc*9/10を用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET2がVcc/6から、第五の閾値電圧V5以上の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態から、天絡2に例示される天絡になったと判定できる。第五の閾値電圧V5は、第一の閾値電圧V1と同一の値でもよい。
【0079】
また、VDET2の天絡2を検知するために、マイコン111は、第六の閾値電圧V6として、接続時のVDET2=Vcc/3よりも高く、天絡1のときのVcc/2より小さい値、例えば、Vcc*4/10を用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET2がVcc/6から、第六の閾値電圧V6以上の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態から、天絡2になったと判定できる。
【0080】
以上から、VDET1およびVDET2の両方が第五の閾値電圧V5以上の場合にマイコン111は、マイクユニット2の接続で天絡が発生したと判定できる。または、VDET1およびVDET2の一方(VDET1)が第五の閾値電圧V5以上、かつ、他方(VDET2)が第六の閾値電圧V6以上の場合に、マイコン111は、マイクユニット2の接続で天絡が発生したと判定できる。
【0081】
(C4.地絡の判定)
マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態から、地絡1の状態になると、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は上記(式9)の通りである。
VDET1=Vcc*Z/(Z+R1)
=Vcc/2
【0082】
マイクユニット2が車載器1Aに接続されている状態から、地絡2の状態になると、マイコン111が+出力端子から検出する電圧VDET1は上記(式11)の通り、接地電位である。
VDET1=GND(0V)
他方、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態から、地絡1の状態になると、マイコン111が-出力端子から検出する電圧VDET2は、上記(式10)、(式12)の通り、接地電位である。マイコン111が接地電位を検出するための第七の閾値電圧V7として、接続時のVDET2=Vcc/6よりも低く、接地電位より高い値、例えば、Vcc/10を用いることができる。すなわち、VDET1およびVDET2の両方が第七の閾値電圧V7以下の場合に、マイコン111は地絡になったと判定できる。
【0083】
また、マイコン111がVDET1によって地絡1を検出するための第八の閾値電圧V8として、接続時のVDET1=Vcc*2/3よりも低く、Vcc/2より高い値、例えば、Vcc*6/10を用いることができる。すなわち、マイコン111は、VDET1が2/3*Vccから、第八の閾値電圧V8以下の値に変化したことを検知すると、マイクユニット2が車載器1Cに接続されている状態から、地絡1になったと判定できる。第八の閾値電圧V8は、第四の閾値電圧V4と同一の値でもよい。
【0084】
以上から、VDET1およびVDET2の両方が第七の閾値電圧V七以下の場合にマイコン111は、マイクユニット2の接続で地絡が発生したと判定できる。または、VDET1およびVDET2の一方(VDET2)が第七の閾値電圧V7以下かつ、他方(VDET1)が第八の閾値電圧V8以下の場合に、マイコン111は、マイクユニット2の接続で地絡が発生したと判定できる。ここで、第八の閾値電圧V8は、第七の閾値電圧V7よりも高い値である。
【0085】
なお、図13は、図12と同様に、接続状態から、未接続、天絡1、天絡2、地絡1、地絡2が発生したときのマイコン111が検出するVDET1、VDET2の値の変化を例示するタイミングチャートである。ただし、マイコン111の処理は、図12で説明したもの同様であるので、その説明が省略される。
【0086】
(処理手順)
図18は、実施形態2の車載器1Cの処理を例示するフローチャートである。実施形態2においては、マイコン111は、VDET1およびVDET2の両方を監視することで、マイクユニット2と車載器1Cとの接続状態を判定する。
【0087】
この処理では、マイコン111は、+出力端子からの電圧VDET1および-出力端子からの電圧VDET2の両方を測定する(S11)。そして、マイコン111は、+出力端子の電圧VDET1が第一の閾値電圧V1以上、かつ、-出力端子の電圧VDET2が第二の閾値電圧V2以下であるか、否かを判定する(S12)。
【0088】
S12の判定で、VDET1が第一の閾値電圧V1以上、かつ電圧VDET2が第二の閾値電圧V2以下である場合(S12でY)、マイコン111は、マイクユニット2が車載器1Cに未接続であると判定する。そして、マイコン111は、車載器1Cの表示装置または発光装置等にマイクユニット2が未接続であることを表示する。
【0089】
S12の判定で、VDET1が第一の閾値電圧V1以上でないか、または、電圧VDET2が第二の閾値電圧V2以下でない場合、マイコン111は処理をS14に進める。そして、マイコン111は、VDET1およびVDET2の両方が第五の閾値電圧V5以上あるかを判定する。または、マイコン111は、VDET1およびVDET2の一方(V
DET1)が第五の閾値電圧V5以上、かつ、他方(VDET2)が第六の閾値電圧V6以上であることを判定する(S14)。ここで、第六の閾値電圧V6は、第五の閾値電圧V5よりも低い値である。
【0090】
S14の判定がYである場合、マイコン111は、天絡が発生したと判定する。そして、そして、マイコン111は、車載器1Cの表示装置または発光装置等に天絡が発生したことを表示する(S15)。
【0091】
S14の判定がNである場合、マイコン111は処理をS16に進める。そして、マイコン111は、VDET1およびVDET2の両方が第七の閾値7以下あるかを判定する。または、マイコン111は、VDET1およびVDET2の一方(VDET2)が第七の閾値電圧V7以下、かつ、他方(VDET1)が第八の閾値電圧V8以下であることを判定する(S16)。ここで、第八の閾値電圧V8は、第七の閾値電圧V7よりも高い値である。
【0092】
S16の判定がYである場合、マイコン111は、地絡が発生したと判定する。そして、マイコン111は、車載器1Cの表示装置または発光装置等に地絡が発生したことを表示する(S17)。
【0093】
S16の判定がNである場合、マイコン111は、マイクユニット2が車載器1Cに正常な接続されていると判定する。そして、マイコン111は、車載器1Cの表示装置または表示ランプに正常な接続が維持されていることを表示する(S18)。
【0094】
(実施形態2の効果)
以上述べたように、実施形態2の車載器1Cは、+出力端子と-出力端子とに接続される一対の差動信号線の両方の電圧を測定する。そして、車載器1Cは、前記一対の差動信号線の一方の電圧が第五の閾値電圧V5以上で、他方の電圧が第七の閾値電圧V7以下のときにマイクユニット2の車載器1Cへの未接続を検知する。したがって、車載器1Cは、+出力端子と-出力端子との両方を監視することで、より確実に精度よくマイクユニット2の車載器1Cへの未接続を検知し、表示装置等に表示できる。
【0095】
また、実施形態2の車載器1Cは、+出力端子と-出力端子とに接続される一対の差動信号線の両方が第五の閾値電圧V5以上のときにマイクユニット2が天絡していると判定する。または、車載器1Cは、+出力端子と-出力端子とに接続される一対の差動信号線の一方(+出力端子、VDTE1)が第五の閾値電圧V5以上であるかを判定する。かつ、さらに、車載器1Cは、他方(-出力端子、VDET2)が前記第五の閾値電圧V5より低い第六の閾値電圧V6以上のときに、マイクユニット2が天絡していると判定する。したがって、車載器1Cは、+出力端子と-出力端子との両方を監視することで、より確実に精度よくマイクユニット2における天絡を検知し、表示装置等に表示できる。
【0096】
さらに、車載器1Cは、+出力端子と-出力端子とに接続される一対の差動信号線の両方が第七の閾値電圧V7以下のときに、マイクユニット2が地絡していると判定する。または、車載器1Cは、一方(-出力端子、VDTE2)が第七の閾値電圧V7以下かつ他方(+出力端子、VDTE1)が前記第七の閾値電圧V7より高い第八の閾値電圧V8以下のときに、マイクユニット2が地絡していると判定する。したがって、車載器1Cは、+出力端子と-出力端子との両方を監視することで、より確実に精度よくマイクユニット2における地絡を検知し、表示装置等に表示できる。
【0097】
(変形例)
図18では、マイコン111は、VDET1およびVDET2の両方を監視することで
、マイクユニット2と車載器1Cとの接続状態を1回の検出で判定する。しかし、実施形態2においても、実施形態1の図14と同様、車載器1Cのマイコン111は、端子電圧を連続N回測定して、閾値がはずれる回数が連続N回発生することを判定してもよい。すなわち、図18のS12、S14、S16の判定を連続N回実施し、連続してN回同一の判定結果が得られた場合には、Yの判定を行ってもよい。このような連続N回の判定を図18のS12、S14、S16のそれぞれにおいて実施することで、マイコン111は、より確実に、未接続、天絡、および地絡を判定できる。
【0098】
<実施形態3>
図19は、実施形態3に係る車載器1Dの構成を例示する図である。車載器1Dは、実施形態2の車載器1Cにおいて、+接続端子と-接続端子との間にマイクユニット2に並列にインピーダンスZ1を接続した構成を有する。実施形態3においても、実施形態1および実施形態2と同様、マイクユニット2は、出力インピーダンスZmを有するものとする。ただし、マイクユニット2の出力インピーダンスZmは車載器1DのインピーダンスZ1よりも遙かに大きいもとする。そうすると、マイクユニット2の車載器1Dへの接続の有無に依らず、マイコン111が検出する電圧VDET1およびVDET2は、実施形態1の(式1)(式2)と同様に、以下の(式1A)(式2A)のようになる。
【0099】
VDET1=Vb+
=Vcc*(Z1+R2+R3)/(Z1+R1+R2+R3) (式1A)
VDET2=Vcc*R3/(Z1+R1+R2+R3) (式2A)
すなわち、車載器1Dでは、マイクユニット2の接続の有無に依らず、VDET1は+中点電位(Vb+)となる。また、車載器1Dでは、マイクユニット2の接続の有無に依らず、VDET2は-中点電位(Vb-)をR2とR3の直列抵抗において抵抗R3で分圧した値となる。さらに、抵抗R2=0の場合には、VDET2は-中点電位(Vb-)となる。
【0100】
車載器1Dでは、マイコン111は、直流成分のみではVDET1、VDET2からの信号によって、マイクユニット2の接続の有無を判定できない。そこで、マイコン111は、例えば、マイクユニット2から出力される音の信号レベルが基準値以上の場合に、マイクユニット2が接続されていると判定してもよい。一方、天絡および地絡については、マイコン111は、車載器1Dにおいても、実施形態1、実施形態2と同様に判定できる。
【0101】
上記実施形態1乃至3では、接続検知回路11として、マイコン111を含む回路が例示された。しかし、接続検知回路11がマイコン111を含む回路に限定される訳ではない。すなわち、コンピュータプログラムによらない簡易なハードウェアによっても、接続検知回路11が実現される。例えば、コンパレータとカウンタを組み合わせた回路によっても、端子電圧(+出力端子または-出力端子)が連続複数回(N回)閾値からはずれたことを検知できる。コンパレータとしては、例えば、OPアンプ(演算増幅器)を用いることができる。また、マイクロフォンの各端子(+出力端子または-出力端子)と、閾値とを比較する回路によっても、実施形態1乃至3の接続検知回路11と同様の機能を実現できる。
【0102】
<適用例>
上記実施形態1乃至実施形態3は、車載器1A乃至車載器1Dとマイクユニット2との接続状態を判定するマイコン111の処理を例示した。しかし、このような処理の適用は、車載器1A等に限定されない。例えば、車載器1A等に代えて、様々な情報処理装置に上記のようなマイコン111の処理が適用できる。例えば、様々な音声操作システム、ア
クティブノイズキャンセラ、自動音量調整機能などを搭載した装置と、マイクユニット2との接続状態の判定に、マイコン111の処理が適用できる。
【0103】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0104】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータ
等に固定された記録媒体としても利用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1、1A、1B、1C、1D 車載器
2 マイクユニット
11 接続検知回路
12 ハンズフリー回路
13 電源回路
21 音検知部
22 差動ドライバ
23、24 コンデンサ
111 マイコン
121 差動レシーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19