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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035439
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】食器洗い機用液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20240307BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 1/12 20060101ALI20240307BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240307BHJP
   A47L 15/42 20060101ALN20240307BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D3/34
C11D1/12
C11D3/20
A47L15/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139892
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】富田 結
(72)【発明者】
【氏名】河野 三美
(72)【発明者】
【氏名】須田 大輔
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB14
4H003AB19
4H003AB21
4H003AB27
4H003AB31
4H003BA12
4H003DA17
4H003DA19
4H003DB02
4H003EA03
4H003EA19
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB16
4H003EB21
4H003EB27
4H003EB32
4H003EB46
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003FA06
4H003FA16
4H003FA21
4H003FA27
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】長期保管した場合にも、除去した汚れの再付着や、食器等の表面に形成される水滴跡(ウォータースポット)の問題が生じにくく、また、香気の変質も抑制できる食器洗い機用液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:陰イオン性界面活性剤と、(B)成分:フェニルボロン酸又はその誘導体である(B1)成分、及びイソチアゾリノン又はその誘導体である(B2)成分から選ばれる1種以上と、(C)成分:キレート剤と、(D)成分:アミラーゼを含む酵素と、を含有する食器洗い機用液体洗浄剤組成物であって、前記(A)成分の含有量が、前記食器洗い機用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%であり、前記(B)成分の含有量が、前記食器洗い機用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.0001~0.016質量%である、食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:陰イオン性界面活性剤と、
(B)成分:下記式(b1)で表されるフェニルボロン酸又はその誘導体である(B1)成分、及び下記式(b2)又は下記式(b3)で表されるイソチアゾリノン又はその誘導体である(B2)成分から選ばれる1種以上と、
(C)成分:キレート剤と、
(D)成分:アミラーゼを含む酵素と、を含有する食器洗い機用液体洗浄剤組成物であって、
【化1】
(但し、式(b1)において、R~Rは、水素原子、炭素数1~3の炭化水素基、塩素原子、フッ素原子、-OH、-SCH、-NH、及び-C(=O)Hから選ばれるいずれかであり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【化2】
(但し、式(b3)において、Rは、水素原子、及び炭素数1~8の炭化水素基から選ばれるいずれかであり、Rは、水素原子、-CH、塩素原子、臭素原子、及び-NHから選ばれるいずれかであり、Rは、水素原子、-CH、塩素原子、及び-CHNHから選ばれるいずれかであり、R~Rは、互いに同一であってもよい。)
前記(A)成分の含有量が、前記食器洗い機用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%であり、前記(B)成分の含有量が、前記食器洗い機用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.0001~0.016質量%である、食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(C)成分の含有量が、前記食器洗い機用液体洗浄剤組成物の総質量に対して10~20質量%である、請求項1に記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の質量に対する前記(C)成分の質量の比[(C)/(A)]が、1~200である、請求項1又は2に記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の質量に対する前記(A)成分の質量の比[(A)/(B)]が、10~100,000である、請求項1又は2に記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(A)成分が、スルホン酸又はその塩、及び硫酸エステル又はその塩から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤である、請求項1又は2に記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
pHが7~9である、請求項1又は2に記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗い機用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホテル、レストラン、給食センター等の厨房だけではなく、一般家庭においても、食器、調理器具等(洗浄対象物)を洗浄するための食器洗い機が普及してきている。食器洗い機による洗浄には、一般に、専用の洗浄剤(食器洗い機用洗浄剤組成物)が用いられる。
【0003】
食器洗い機用に用いられる液体洗浄剤組成物には、油汚れとでんぷん汚れ等とが混ざり合った複合汚れに対する高い洗浄力が求められることから、洗浄力向上のために、プロテアーゼ、アミラーゼ等の酵素を配合することが行われている。
液体洗浄剤組成物に配合する酵素の内、プロテアーゼについては、フェニルボロン酸又はその誘導体を配合することよって、保存安定性を向上させることが知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-222882号公報
【特許文献2】特表2014-523474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2の食器洗い機用液体洗浄剤組成物は、長期保管した場合に、除去した汚れの再付着や、食器等の表面に形成される水滴跡(ウォータースポット)の問題が生じやすかった。また、香気が変質し、異臭が発生する場合もあった。
本発明では、上記事情に鑑みて、長期保管した場合にも、除去した汚れの再付着や、食器等の表面に形成される水滴跡(ウォータースポット)の問題が生じにくく、また、香気の変質も抑制できる食器洗い機用液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1](A)成分:陰イオン性界面活性剤と、
(B)成分:下記式(b1)で表されるフェニルボロン酸又はその誘導体である(B1)成分、及び下記式(b2)又は下記式(b3)で表されるイソチアゾリノン又はその誘導体である(B2)成分から選ばれる1種以上と、
(C)成分:キレート剤と、
(D)成分:アミラーゼを含む酵素と、を含有する食器洗い機用液体洗浄剤組成物であって、
【0007】
【化1】
【0008】
(但し、式(b1)において、R~Rは、水素原子、炭素数1~3の炭化水素基、塩素原子、フッ素原子、-OH、-SCH、-NH、及び-C(=O)Hから選ばれるいずれかであり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0009】
【化2】
【0010】
(但し、式(b3)において、Rは、水素原子、及び炭素数1~8の炭化水素基から選ばれるいずれかであり、Rは、水素原子、-CH、塩素原子、臭素原子、及び-NHから選ばれるいずれかであり、Rは、水素原子、-CH、塩素原子、及び-CHNHから選ばれるいずれかであり、R~Rは、互いに同一であってもよい。)
前記(A)成分の含有量が、前記食器洗い機用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%であり、前記(B)成分の含有量が、前記食器洗い機用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.0001~0.016質量%である、食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【0011】
[2]前記(C)成分の含有量が、前記食器洗い機用液体洗浄剤組成物の総質量に対して10~20質量%である、[1]に記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
[3]前記(A)成分の質量に対する前記(C)成分の質量の比[(C)/(A)]が、1~200である、[1]又は[2]に記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
[4]前記(B)成分の質量に対する前記(A)成分の質量の比[(A)/(B)]が、10~100,000である、[1]~[3]のいずれかに記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
[5]前記(A)成分が、スルホン酸又はその塩、及び硫酸エステル又はその塩から選ばれる1種以上の陰イオン界面活性剤である、[1]~[4]のいずれかに記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
[6]pHが7~9である、[1]~[5]のいずれかに記載の食器洗い機用液体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤組成物は、長期保管した場合にも、除去した汚れの再付着や、食器等の表面に形成される水滴跡(ウォータースポット)の問題が生じにくく、また、香気の変質も抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の食器洗い機用液体洗浄剤組成物(以下単に「液体洗浄剤組成物」という場合がある。)は、後述する(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含有する液体洗浄剤組成物である。
以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
【0014】
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(A)成分の含有量は、塩の形態としての含有量である。
(B)成分と(C)成分の含有量は、酸の形態としての含有量である。すなわち、塩を形成している場合の(B)成分と(C)成分については、カチオンをプロトンに置き換えた場合の分子量に基づいて、酸換算した含有量である。
(D)成分の含有量は、酵素製剤としての含有量である。
【0015】
<(A)成分>
(A)成分は、陰イオン性界面活性剤である。(A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0016】
(A)成分は、炭素数8~18のアルキル基又は炭素数8~18のアルケニル基を有する陰イオン界面活性剤(高級脂肪酸又はその塩を除く)であることが好ましい。特に炭素数8~18のアルキル基が好ましい。なお、高級脂肪酸又はその塩は、いわゆる石鹸である。アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
(A)成分としては、スルホン酸、硫酸エステル、カルボン酸、リン酸エステル及びこれらの塩が挙げられる。
【0017】
スルホン酸又はその塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸、ポリオキシアルキレン硫酸、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、α-スルホ脂肪酸、α-スルホ脂肪酸アルキルエステル、アルキルスルホコハク酸、ジアルキルスルホコハク酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0018】
硫酸エステル又はその塩としては、アルキル硫酸エステル、アルケニル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル、及びこれらの塩等が挙げられる。
カルボン酸又はその塩としては、アルキルエーテルカルボン酸、アミドエーテルカルボン酸、スルホコハク酸、及びこれらの塩、アミノ酸系陰イオン界面活性剤等が挙げられる。
リン酸エステル又はその塩としては、アルキルリン酸エステル、アルキルエーテルリン酸エステル、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0019】
塩の形態の(A)成分としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩(モノエタノールアンモニウム)、ジエタノールアミン塩(ジエタノールアンモニウム)、トリエタノールアミン塩(トリエタノールアンモニウム)等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
【0020】
上記のなかでも、(A)成分としては、油汚れに対する洗浄力が良好であり、低泡性を確保しやすいことから、スルホン酸又はその塩、硫酸エステル塩又はその塩が好ましく、スルホン酸又はその塩が特に好ましい。
スルホン酸又はその塩の中でも、油汚れに対する洗浄力が特に高まることから、アルカンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、モノアルキルスルホコハク酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1以上が好ましく、アルカンスルホン酸又はその塩、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩がより好ましく、アルカンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩特に好ましく、アルカンスルホン酸又はその塩が特に好ましい。
【0021】
アルカンスルホン酸又はその塩としては、炭素数10~20のアルカンスルホン酸又はその塩が挙げられ、炭素数14~17のアルカンスルホン酸又はその塩が好ましく、炭素数14~17の第2級アルカンスルホン酸(SAS)又はその塩が特に好ましい。SAS塩としては、ナトリウム塩等が挙げられる。
【0022】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8~16の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が10~14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)又はその塩が特に好ましい。LAS塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
モノアルキルスルホコハク酸又はその塩としては、炭素数10~18のモノアルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
【0023】
液体洗浄剤組成物中、(A)成分の含有量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1~10質量%であり、0.5~5質量%であることが好ましい。
(A)成分の含有量が上記範囲内であると微粒子の再付着防止効果が得られる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であることにより、香気の変質防止効果が得られる。
【0024】
<(B)成分>
(B)成分は、下記(B1)成分及び下記(B2)成分から選ばれる1種以上である。
(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0025】
[(B1)成分]
(B1)成分は、下記式(b1)で表されるフェニルボロン酸又はその誘導体である。
(B1)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0026】
【化3】
【0027】
但し、式(b1)において、R~Rは、水素原子、炭素数1~3の炭化水素基、塩素原子、フッ素原子、-OH、-SCH、-NH、及び-C(=O)Hから選ばれるいずれかであり、互いに同一でも異なっていてもよい。
~Rは、炭素数1~3の炭化水素基である場合、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。また、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。
【0028】
~Rは、いずれか2つが水素原子、又は総てが水素原子であることが好ましい。いずれか2つが水素原子の場合、他の一つとしては、-C(=O)H、炭素数1~3の炭化水素基、-SCHのいずれかであることが好ましい。中でも、-C(=O)Hが特に好ましい。
【0029】
(B1)成分の具体例としては、フェニルボロン酸、4-ホルミルフェニルボロン酸(4FPBA)、2-メチルフェニルボロン酸、3-メチルフェニルボロン酸、4-メチルフェニルボロン酸、4-イソプロピルフェニルボロン酸、3-クロロフェニルボロン酸、3-フルオロフェニルボロン酸、3-ヒドロキシフェニルボロン酸、4-ヒドロキシフェニルボロン酸、4-(メチルチオ)フェニルボロン酸、4-ビニルフェニルボロン酸、3-アミノフェニルボロン酸が挙げられる。
中でも、長期使用時における微粒子の再付着防止、ウォータースポット形成防止、香気の変質防止の観点から、4-ホルミルフェニルボロン酸(4FPBA)、2-メチルフェニルボロン酸、4-(メチルチオ)フェニルボロン酸、フェニルボロン酸が好ましく、4-ホルミルフェニルボロン酸(4FPBA)が特に好ましい。
【0030】
[(B2)成分]
(B2)成分は、下記式(b2)又は下記式(b3)で表されるイソチアゾリノン又はその誘導体である。
(B2)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0031】
【化4】
【0032】
但し、式(b3)において、Rは、水素原子、及び炭素数1~8の炭化水素基から選ばれるいずれかであり、Rは、水素原子、-CH、塩素原子、臭素原子、及び-NHから選ばれるいずれかであり、Rは、水素原子、-CH、塩素原子、及び-CHNHから選ばれるいずれかであり、R~Rは、互いに同一であってもよい。
【0033】
前記式(b2)で表される(B2)成分は、1,2-ベンゾイソチアゾール-3-オン(BIT)である。
前記式(b3)で表される(B2)成分の具体例としては、メチルイソチアゾリノン(MIT)、クロロメチルイソチアゾリノン(CMIT)、オクチルイソチアゾリノン(OIT)、ジクロロオクチルイソチアゾリノン(DCOIT)が挙げられる。
(B2)成分は、1,2-ベンゾイソチアゾール-3-オン(BIT)、メチルイソチアゾリノン(MIT)が好ましく、1,2-ベンゾイソチアゾール-3-オン(BIT)が特に好ましい。
【0034】
液体洗浄剤組成物中、(B)成分の含有量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.0001~0.016質量%であり、0.005~0.014質量%であることが好ましく、0.0075~0.012質量%であることがより好ましい。
(B)成分の含有量が上記下限値以上であると微粒子の再付着防止効果、ウォータースポット形成防止効果が得られる。(B)成分の含有量が上記範囲内であることにより、香気の変質防止効果が得られる。
【0035】
<(C)成分>
(C)成分は、キレート剤である。(C)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(C)成分としては、これまで食器洗い機用洗浄剤に用いられる一般的なキレート剤のいずれも用いることができ、分子量が800以下の低分子キレート剤でも分子量が1000を超える高分子キレート剤でもよい。
【0036】
低分子キレート剤では、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、β-アラニン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸、セリン二酢酸、アスパラギン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、トリポリリン酸、又はこれらの塩などが挙げられる。
【0037】
高分子キレート剤では、重量平均分子量が1000以上のものが好適に挙げられる。高分子キレート剤としては、例えば、ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体又はその塩、メタクリル酸-マレイン酸共重合体又はその塩、エチレン-マレイン酸共重合体又はその塩等が挙げられる。なかでも、高分子キレート剤は、アクリル酸-マレイン酸共重合体又はその塩が好ましい。アクリル酸とマレイン酸との共重合比(モル比)は、好ましくはアクリル酸/マレイン酸=75/25~50/50であり、好ましい重量平均分子量は1万以上10万以下である。なお、高分子キレート剤についての重量平均分子量は、標準物質をポリアクリル酸ナトリウムとしたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される値を示す。
【0038】
キレート剤を構成する塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。なかでもウォータースポット形成防止性能、香気の変質防止性能の観点から、クエン酸又はその塩が特に好ましい。
【0039】
液体洗浄剤組成物中、(C)成分の含有量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対して10~20質量%であることが好ましく、10~15質量%であることがより好ましい。
(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、ウォータースポット形成防止効果が高まる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であることにより、香気の変質防止効果が高まる。
<(D)成分>
(D)成分は、酵素である。(D)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、少なくもアミラーゼを含む。アミラーゼ以外の酵素は特に限定されず、これまで食器洗い機用液体洗浄剤組成物に用いられる一般的な酵素のいずれも用いることができる。例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼ等が挙げられる。
(D)成分は、アミラーゼのみでもよいが、複合汚れ洗浄力の観点から、他の酵素、特にプロテアーゼを併用することが好ましい。
【0040】
液体洗浄剤組成物中、(D)成分の含有量は、該液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.001~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがより好ましく、0.1~1質量%であることがさらに好ましい。
(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、微粒子の再付着防止効果とウォータースポット形成防止効果が高まる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であることにより、香気の変質防止効果が高まる。
【0041】
(A)成分の質量に対する前記(C)成分の質量の比[(C)/(A)]は、1~200であることが好ましく、20~30であることがより好ましい。比[(C)/(A)]が上記下限値以上であることにより、香気の変質防止効果が高まる。比[(C)/(A)]が上記上限値以下であることにより、微粒子の再付着防止効果が高まる。
【0042】
(B)成分の質量に対する(A)成分の質量の比[(A)/(B)]は、10~100,000であることが好ましく、20~1,000であることがより好ましく、40~100であることがさらに好ましい。比[(A)/(B)]が上記下限値以上であることにより、微粒子の再付着防止効果が高まる。比[(A)/(B)]が上記上限値以下であることにより、香気の変質防止効果が高まる。
【0043】
<媒体>
本発明の液体洗浄剤組成物は、媒体として水を含む。液体洗浄剤組成物中、水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、60~99質量%が好ましく、70~95質量%がより好ましい。水の含有量が上記範囲内であると、液体洗浄剤組成物を調整しやすくなる。
【0044】
<任意成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明の目的に反しない限り、食器を洗浄するための洗浄剤に通常含まれる如何なる成分も含むことができる。例えば、(A)成分以外のその他の界面活性剤、炭酸塩等、消泡剤、増粘剤、植物抽出エキス、吸油剤、食器保護剤、増粘剤、着色剤、ハイドロトロープ剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色剤、香料、漂白剤のような通常、食器洗浄機用洗浄剤組成物に用いられる物質を使用できる。
【0045】
[その他の界面活性剤]
その他の界面活性剤としては、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等のアミドアミン型界面活性剤が挙げられる。
その他の界面活性剤を含む場合、液体洗浄剤組成物中、その他の界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1~5質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。
【0046】
[炭酸塩等]
炭酸塩等としては、炭酸、炭酸塩、炭酸水素および炭酸水素塩が挙げられる。
炭酸塩は、炭酸イオン(CO 2-)を含む化合物全般を意味する。炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸のアルカリ金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸のアルカリ土類金属塩;炭酸アンモニウムなどが挙げられる。
炭酸水素塩は、炭酸水素イオン(HCO )を含む化合物全般を意味する。炭酸水素塩としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素のアルカリ金属塩;炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等の炭酸水素のアルカリ土類金属塩;炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
炭酸塩等を含む場合、その含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
【0047】
[消泡剤]
消泡剤の種類は特に限定されず、これまで食器洗い機用液体洗浄剤組成物に用いられる一般的な消泡剤のいずれも用いることができる。消泡剤は、シリコーン系消泡剤であることが好ましい。
【0048】
シリコーン系消泡剤としては、オイル型、コンパウンド型、自己乳化型コンパウンド型、粉体型など特に制限されるものではないが、例えばポリジメチルシロキサンなどのポリオルガノシロキサン油又は樹脂の分散液、又はエマルジョン、及びポリオルガノシロキサンがシリカ上に化学吸着又は溶融されたポリオルガノシロキサンとシリカ粒子の組み合わせ等を挙げることができる。例えば、FS Antifoam 1266(ダウケミカル社製)、FS Antifoam 93(ダウケミカル社製)などが好ましい。
【0049】
消泡剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
消泡剤を含む場合、その含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.01~2質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。消泡剤の含有量が上記下限値以上であると、低泡性を向上しやすくなる。消泡剤の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性を向上しやすくなる。
【0050】
[増粘剤]
増粘剤としては、例えば、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、トラガントガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、アクリル酸系ポリマー、メタクリル酸系ポリマー、キサンタンガム、グアーガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、デンプン等の水溶性高分子;スメクタイト等の水膨潤性粘土鉱物が挙げられる。スメクタイトとしては、天然品または合成品のいずれも使用し得る。
【0051】
増粘剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
増粘剤を含む場合、その含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、0.1~20質量%が好ましい。増粘剤の含有量が上記範囲内であると香気の劣化や変質防止性能を充分に発揮することができる。
【0052】
[ハイドロトロープ剤]
ハイドロトロープ剤としては、ポリオールや芳香族カルボン酸または芳香族スルホン酸等が挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールや、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム、クメンスルホン酸アンモニウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、トルエンスルホン酸アンモニウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0053】
ハイドロトロープ剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
ハイドロトロープ剤を含む場合、その含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対し、1~10質量%が好ましい。
【0054】
[pH調整剤]
pHを調整するためのpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン等の有機塩基;塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、シュウ酸等の有機酸等が挙げられる。液体洗浄剤組成物の保存安定性とコスト面から、無機塩基のなかでは水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましく、特に保存安定性、液流動性等の観点から水酸化カリウムが好ましい。有機塩基のなかではモノエタノールアミンが好ましい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0055】
<pH>
液体洗浄剤組成物のpH(25℃)は、5~11が好ましく、7~9がより好ましい。
液体洗浄剤組成物のpHが上記下限値以上であると、複合汚れに対する洗浄力を高めやすくなる。液体洗浄剤組成物のpHが上記上限値以下であると、香気の劣化や変質を防止しやすい。
本明細書において、液体洗浄剤組成物のpH(25℃)は、JIS Z 8802:2011「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値を示す。
【0056】
<粘度>
液体洗浄剤組成物の25℃における粘度は、10~2000mPa・sが好ましく、100~1000mPa・sがより好ましい。
本明細書において、液体洗浄剤組成物の25℃における粘度は、医薬部外品原料規格2006一般試験法の粘度測定法第2法に準拠した方法により測定される値である。具体的には、ビスメトロン粘度計を用い、ローターNo.2~No.4、回転数:6rpm、120秒間条件下で測定される値である。
【0057】
<製造方法>
液体洗浄剤組成物は、従来公知の液体洗浄剤組成物の製造方法に準じて製造することができる。例えば、水の一部に、(A)成分と(C)成分と、必要に応じて任意成分とを加えて溶解させ、必要に応じてpH調整剤でpHを7付近に調整した後、(B)成分と(D)成分と、必要に応じて任意成分を添加し、さらに、必要に応じてpH調整剤でpHを調整した後、残りの水を加えることにより調製される。
【0058】
<使用方法>
液体洗浄剤組成物は、食器洗浄機用として用いることができ、食器洗浄機の機種や、食器等の汚れの程度に応じて使用すればよい。
食器洗浄機用洗浄剤組成物を用いて食器洗浄機により洗浄対象物を洗浄する方法としては、洗浄とすすぎの各工程をいずれも有する方法が挙げられる。
【0059】
洗浄方法としては、例えば、常温(好ましくは5~30℃程度)の水道水を食器洗浄機庫内に導入して調製される洗浄液を、所定の洗浄温度(洗浄時に循環する洗浄液の温度)まで昇温しながら洗浄対象物を洗浄する工程(以下「洗浄工程」という。)と、洗浄後の洗浄対象物を、常温の水道水ですすぐ工程(以下「すすぎ(1)工程」という。)と、常温の水道水を、好ましくは70~75℃まで2~3℃/分で昇温しながら、前記すすぎ(1)工程後の洗浄対象物をさらにすすぐ工程(以下「すすぎ(2)工程」という。)を有する方法が挙げられる。洗浄工程での洗浄時間は、10~40分間が好ましい。
【0060】
一般的な標準コースの場合、洗浄工程における洗浄温度が55~65℃程度、昇温速度が2~3℃/分程度である。低温コースは、例えば、洗浄温度が35~45℃程度、昇温速度が1℃/分程度である。
いずれのコースにおいても、食器洗浄機用洗浄剤組成物の1回の使用量は、水道水約3リットルに対して2~9gとすることが好ましい。
【0061】
<作用効果>
以上説明した液体洗浄剤組成物は、長期保管した場合にも、除去した汚れの再付着や、食器等の表面に形成される水滴跡(ウォータースポット)の問題が生じにくく、また、香気の変質も抑制できる。
食器に付着したでんぷん汚れが残存すると、その粘着性により微粒子の付着やウォータースポットの形成がより起こりやすくなってしまう。一方、本発明における適切な範囲内の(A)~(D)成分とを組み合わせることによって、でんぷん汚れが充分に洗浄され、上記課題を解決できる。
【0062】
<容器入り食器洗い機用液体洗浄剤物品>
液体洗浄剤組成物を容器に収容することにより、容器入り食器洗い機用液体洗浄剤物品とすることができる。
容器は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやこれらを混合した合成樹脂を原料樹脂とし、この原料樹脂をブロー成形又は射出成形することにより製造される。
容器の形状としては特に限定されず、丸形ボトル、角形ボトル、パウチであってもよい。
【実施例0063】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
本実施例において使用した原料は、下記の<使用原料>に示す通りである。
【0064】
<使用原料>
[(A)成分]
A-1:LAS、直鎖アルキル(炭素数12-14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名:ライポン LS-250、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)。
A-2:SAS、第2級アルカンスルホン酸ナトリウム(商品名:HOSTAPUR SAS 30AJ、クラリアントジャパン株式会社)。
A-3:モノアルキルスルホコハク酸Na、ポリオキシエチレンモノアルキル(炭素数12-14)スルホコハク酸2ナトリウム(商品名:コハクールL-400、東邦化学株式会社)。
A-4:C12AS、直鎖アルキル(炭素数12)硫酸エステルナトリウム(商品名:サンノール LM-1130、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)。
A-5:AES、ポリオキシエチレン(1)アルキル(炭素数12)エーテル硫酸ナトリウム(商品名:サンノール LMT-1430、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)。
【0065】
[(B)成分]
B-1:4FPBA、4-ホルミルフェニルボロン酸(東京化成工業株式会社、試薬)。
B-2:2-メチルフェニルボロン酸(東京化成工業株式会社、試薬)。
B-3:4-(メチルチオ)フェニルボロン酸(東京化成工業株式会社、試薬)。
B-4:3-クロロフェニルボロン酸(東京化成工業株式会社、試薬)。
B-5:3-ヒドロキシフェニルボロン酸(東京化成工業株式会社、試薬)。
B-6:3-アミノフェニルボロン酸(関東化学株式会社、試薬)。
B-7:フェニルボロン酸(東京化成工業株式会社、試薬)。
B-8:BIT、1,2-ベンゾイソチアゾール-3-オン(東京化成工業株式会社、試薬)。
B-9:MIT、メチルイソチアゾリノン(関東化学株式会社、試薬)。
【0066】
[(C)成分]
C-1:クエン酸(商品名:精製クエン酸(無水)、扶桑化学工業株式会社)。
C-2:MA、マレイン酸/アクリル酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アクアリックTL400、アクリル酸/マレイン酸のモル比=60/40、重量平均分子量50000)。
C-3:MGDA、メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム(商品名:Trilon M Compactate、BASF社)。
C-4:GLDA、グルタミン酸ジ酢酸4ナトリウム(商品名:キレスト CMG-40、キレスト社)。
C-5:EDTA、エチレンジアミン4酢酸(東京化成工業株式会社、試薬)。
【0067】
[(D1)成分]
D-1:アミラーゼ(商品名:Achieve alpha 100L、ノボザイムズ社)。
D-2:プロテアーゼ(商品名:Savinase Ultra 16XL、ノボザイムズ社)。
【0068】
[ハイドロトロープ剤]
・プロピレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社、試薬)。
・安息香酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社、試薬)。
・安定化剤:塩化カルシウム(富士フイルム和光純薬株式会社、試薬)
・増粘剤:キサンタンガム(商品名 KELZAN T、ケルコ社)
【0069】
[pH調整剤]
・水酸化ナトリウム(48%水酸化ナトリウム、AGC株式会社)。
・硫酸(関東化学株式会社、試薬)。
【0070】
<実施例1~47、比較例1~9>
表1~7の配合量(単位:質量%)に従い、媒体の水に(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分と、その他の成分を溶解してpH調整剤でpH調整することにより、各例の液体洗浄剤組成物0.8kgをそれぞれ作製した。
【0071】
具体的には、1Lビーカー(直径12cm)内に液体洗浄剤組成物全体の約60質量%となる量の水を投入した。
このビーカーに、HEIDON FBL1200スリーワンモーター(新東科学株式会社製)の撹拌機に直径7.5cm、幅1.5cm、角度45度の4枚羽パドルを装備した。
そして、内容物が飛び散らないように回転数400~900rpmで撹拌しながら、水にキサンタンガムを液体洗浄剤組成物全体の0.3質量%となる量加えて攪拌したのち、(A)成分、(C)成分を混合して溶解させ、pH調整剤(水酸化ナトリウムまたは硫酸)を添加しpHを7付近とした。
【0072】
次いで、プロピレングリコールと安息香酸ナトリウムを、各々液体洗浄剤組成物全体の5.0質量%となる量、塩化カルシウムを液体洗浄剤組成物全体の0.3質量%となる量、前記撹拌機の回転数650rpmで撹拌しながら加えた。その後、常温まで冷却後、pH調整剤(水酸化ナトリウムまたは硫酸)でpH7.0になるように調整し、(B)成分、(D)成分を添加した。添加終了後、5分間撹拌し、液体洗浄剤組成物全体が100質量%となるように残りの水を加え、前記撹拌機の回転数650rpmで1分間撹拌することにより、各例の液体洗浄剤組成物を得た。
なお、pH(25℃)は、25℃に調整した液体洗浄剤組成物を、ガラス電極式pHメーター(HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。
【0073】
<評価方法>
[汚染された大皿の調製]
大皿(陶器製、半径115mm、高さ25mm)6枚に、以下のようにして複合汚れを付着させた。すなわち、レトルトカレー200g、卵(Lサイズ)1個、ご飯150gを混合した混合物を各大皿に30gずつ載せ、皿表面を均一に汚染した後、混合物を捨てた。ただし、米は各大皿に10粒程度残し、スプーンで潰して皿表面に付着させた。
レトルトカレーとしては、大塚食品社製、ボンカレーゴールド辛口を用いた。ご飯としては、こしひかり相当の自主流通米一類を用い、米と水の量の比は炊飯器の標準とし、炊飯後12時間以内のものを使用した。
【0074】
[長期保管]
夏場に室内で長期保管することを想定して、各例の液体洗浄剤組成物40gを50mLガラス瓶に入れ、蓋をした状態で、35℃にて1ヵ月保管することにより、各例の長期保管された液体洗浄剤組成物を得た。
【0075】
[微粒子の再付着防止]
食器洗い機(パナソニック株式会社製、機種NP-45MD8S)に、上記のようにして調製された汚染された大皿6枚と、汚染していない湯呑(直径65mm、高さ80mm、糸底の内径35mm、深さ6mm)3個、汚染していないグラス(直径60mm、高さ110mm)3個を、前記自動食器洗い乾燥機の説明書に基づいた指定箇所に格納し、各例の長期保管された液体洗浄剤組成物8gを投入し、標準コースで洗浄、乾燥処理を施した。該標準コースの内容を以下に示す。
【0076】
標準コース:
液体洗浄剤組成物投入後の食器洗い機に、約5℃の水道水(3L)を庫内に導入して調製される洗浄液を40℃まで2~3℃/minで昇温しながら20分間洗浄を行い、該洗浄液を排水する。次いで、新たな水道水を導入し、すすぎ(2分間/回)と排水との繰返しを3回行う。排水後、新たな水道水を導入し、70℃まで2~3℃/minで昇温しながらすすぎ1回(最終すすぎ)20分間を行い、排水後、温風を循環させながら食器等を乾燥する。
【0077】
乾燥処理後、食器洗い機から取り出した湯呑3個とグラス3個を目視観察し、下記評価基準に基づいて、微粒子汚れの再付着防止性能の評価をした。
各例について、上記標準コースによる洗浄、乾燥処理とその後の目視観察を3回行った。3回の点数の平均を表1~7に示す。平均点3点以上を合格とした。
【0078】
(評価基準)
6点:すべての湯呑、グラスについて微粒子の再付着が認められない。
5点:微粒子の再付着が認められる湯呑、グラスが計1点以下。
4点:微粒子の再付着が認められる湯呑、グラスが計2点以下。
3点:微粒子の再付着が認められる湯呑、グラスが計3点以下。
2点:微粒子の再付着が認められる湯呑、グラスが計4点以下。
1点:微粒子の再付着が認められる湯呑、グラスが計5点以上。
【0079】
[ウォータースポット形成防止]
食器洗い機(パナソニック株式会社製、機種NP-45MD8S)に、上記のようにして調製された汚染された大皿6枚と、汚染していないグラス(直径60mm、高さ110mm)6個を、前記自動食器洗い乾燥機の説明書に基づいた指定箇所に格納し、各例の長期保管された液体洗浄剤組成物8gを投入し、標準コースで洗浄、乾燥処理を施した。
【0080】
乾燥処理後、食器洗い機から取り出したグラス6個を目視観察し、グラス6個に形成されたウォータースポットの合計個数を求め、下記評価基準に基づいて、ウォータースポット形成防止性能の評価をした。なお、1~100mmの白色反転を1個のウォータースポットとして数え、ウォータースポットが複数重なっている場合には1個のウォータースポットとして数えた。
各例について、上記標準コースによる洗浄、乾燥処理とその後の目視観察を3回行った。3回の点数の平均を表1~7に示す。平均点3点以上を合格とした。
【0081】
(評価基準)
6点:ウォータースポットの合計個数が計5個以下。
5点:ウォータースポットの合計個数が計6~10個。
4点:ウォータースポットの合計個数が計11~20個。
3点:ウォータースポットの合計個数が計21~30個。
2点:ウォータースポットの合計個数が計31~40個。
1点:ウォータースポットの合計個数が計41個以上。
【0082】
[異臭抑制]
調製直後の液体洗浄剤組成物50gを50mLガラス瓶に入れ、蓋をした状態で、35℃にて1ヵ月保存したものを25℃に調温し、ニオイ専門パネル3名により、官能評価を行い、下記評価基準に基づいて評価した。なお、基準品としては調製直後の液体洗浄剤組成物を用いた。
各例について、ニオイ専門パネル3名の点数の平均を表1~7に示す。平均点2点以上を合格とした。
【0083】
(評価基準)
5点:香気の変質は全く感じられず、特徴感も変わっていない。
4点:香気の変質をやや感じるが、特徴感は変わっていない。
3点:香気の変質を感じ、特徴感の変化をやや感じるが、使用上は問題ない。
2点:香気の変質を感じ、特徴感の変化を感じるが、不快感はない。
1点:香気が明らかに変質し、特徴感が変わってしまっており、不快感がある。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
表1~6に示すように、実施例1~47は、いずれも微粒子の再付着防止効果、ウォータースポット形成防止効果、異臭抑制効果に優れていた。
これに対して、表7に示すように、比較例1~9では、少なくともいずれかの評価項目において劣っていた。