(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035467
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】回転体装着装置および回転体装着装置を備えた空気処理装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20240307BHJP
F04D 29/34 20060101ALI20240307BHJP
F16B 21/12 20060101ALI20240307BHJP
F16D 1/06 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F04D29/28 L
F04D29/28 N
F04D29/34 Q
F16B21/12 Z
F16D1/06 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139940
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 猛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達彦
【テーマコード(参考)】
3H130
3J037
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC11
3H130AC26
3H130BA25C
3H130BA25D
3H130BA87C
3H130BA87D
3H130BA95C
3H130BA95D
3H130CB07
3H130DA02X
3H130EA04C
3H130EA04D
3H130EA07C
3H130EA07D
3H130EB02C
3H130EB02D
3H130EC08C
3H130EC08D
3J037AA06
(57)【要約】
【課題】回転体を安定して回転できるとともに、回転体を装着し易く、耐久性に優れた回転体装着装置とする。
【解決手段】モータ1に装着する回転体は、ボス取付金具6とボス7と脱着装置8を備え、前記ボス取付金具6は、モータ軸挿入孔60とボス取付面61を有し、前記ボス7は、弾性体でボス側モータ軸挿入孔70と、モータピン3が嵌まり込む溝71を有し、かつ前記ボス取付金具6に、前記ボス7の内周側下面と前記ボス取付面61との間に空隙10を形成するように取り付けられ、前記モータピン3が前記溝7に嵌り込んだ状態で前記回転体を前記脱着装置8で固定する回転体装着装置。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに回転体を装着する回転体装着装置であって、
前記モータのモータ軸はモータピンを備え、
前記回転体は、ボス取付金具とボスと脱着装置を備え、
前記ボス取付金具は、前記モータ軸が挿入されるモータ軸挿入孔の周囲にボス取付面を有し、
前記ボスは、弾性体であり、前記モータ軸挿入孔と連続するボス側モータ軸挿入孔と、前記モータピンが嵌まり込む溝を有し、かつ前記ボス取付金具に、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に空隙を形成するように取り付けられ、
前記回転体は、前記ボス側モータ軸挿入孔と前記モータ軸挿入孔に前記モータ軸が挿入され、前記モータピンが前記溝に嵌り込んだ状態で、前記脱着装置により前記モータ軸の軸方向に移動しないように固定することを特徴とする回転体装着装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転体装着装置において、
前記モータピンの最も外側の端部は、前記空隙よりも外側に位置している回転体装着装置。
【請求項3】
モータに回転体を装着する回転体装着装置であって、
前記モータのモータ軸はモータピンを備え、
前記回転体は、ボス取付金具とボスと脱着装置を備え、
前記ボス取付金具は、前記モータ軸が挿入されるモータ軸挿入孔の周囲にボス取付面を有し、
前記ボスは、前記モータ軸挿入孔と連続するボス側モータ軸挿入孔と、前記モータピンが嵌まり込む溝を有し、かつ前記ボス取付金具に、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に空隙を形成するように取り付けられ、
前記回転体は、前記ボス側モータ軸挿入孔と前記モータ軸挿入孔に前記モータ軸が挿入され、前記モータピンが前記溝に食い込んだ状態で、前記脱着装置により前記モータ軸の軸方向に移動しないように固定することを特徴とする回転体装着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の回転体装着装置において、
前記モータピンの最も外側の端部は、前記空隙よりも外側に位置し、前記モータピンの中央部分が前記溝における前記内周側下面と対向した内側部分に食い込み、前記モータピンの先端部分が前記溝における前記内側部分より外側の外側部分に食い込んでいる回転体装着装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の回転体装着装置において、
前記空隙は前記ボス側モータ軸挿入孔まで連続し、前記ボスは、その内周側部分が外周側部分のみで支持された状態でボス取付金具に取り付けてある回転体装着装置。
【請求項6】
請求項1から4いずれかに記載の回転体装着装置において、
前記ボスの下面は、内周側下面が外周側下面より上に位置する段付き形状で、前記ボスの内周側部分の厚さが外周側部分の厚さより薄く、前記ボスは前記ボス取付金具に、前記ボスの少なくとも外周側下面を前記ボス取付面に接して取り付けられ、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に前記空隙を形成した回転体装着装置。
【請求項7】
請求項1から4いずれかに記載の回転体装着装置において
前記ボス取付金具は、前記モータ軸挿入孔の開口端周囲と前記ボス取付面を連続する部分が漏斗状に湾曲または傾斜し、前記モータ軸挿入孔を前記モータ軸に挿入する際の挿入ガイド部を構成している回転体装着装置。
【請求項8】
請求項1から4いずれかに記載の回転体装着装置において、
前記ボスは、硬度が60度から90度の範囲の熱可塑性エラストマーから成る回転体装着装置。
【請求項9】
請求項1から4いずれかに記載の回転体装着装置において、
前記ボス側モータ軸挿入孔に、前記ボスよりも硬度が高い円筒部材を備え、前記円筒部材に前記モータ軸が挿入された回転体装着装置。
【請求項10】
請求項1から4いずれかに記載の回転体装着装置を備えていることを特徴とする回転体装着装置を備えた空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン等の回転体をモータに装着する回転体装着装置およびその回転体装着装置を備えたレンジフード等の空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からファン等の回転体をモータに装着する回転体装着装置が提案されている。例えば、特許文献1に開示された回転体装着装置が提案されている。
この回転体装着装置は、羽根のボス部にゴムまたは軟質プラスチック等からなる当接盤を設け、モータの駆動軸にピンを設け、駆動軸にボス部を挿入して当接盤をピンに食い込ませることで羽根を固定する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この回転体装着装置は、当接盤をピンに食い込ませることで羽根を固定するので、羽根を大きい力で押して当接盤をピンに確実に食い込ませる必要があるので、羽根を装着しにくいという問題があった。
当接盤を柔らかい材質とすれば、小さい力で押して当接盤をピンに確実に食い込ませることができるが、羽根を回転開始する時や停止する時に、当接盤に対してピンが動き羽根の回転が不安定となることがある。
このために、当接盤を硬い材質としているので、強い力で押して当接盤をピンに確実に食い込ませる必要がある。
【0005】
本出願人等は、このことを解消するために羽根のボスを弾性体とし、そのボスにモータ軸挿入孔と溝を形成し、モータ軸にモータピンを設け、モータ軸挿入孔にモータ軸を挿入してモータピンを溝に嵌め込むことでモータ軸に羽根を装着する装着装置を開発した。
この装着装置であれば、モータピンを溝に嵌め込むだけでよいので、羽根を装着し易いが、次のような問題が生じた。
この装着装置においては、モータ軸の回転により羽根が回転している時にボスがモータ軸の軸方向に微振動し、モータピンが溝の底部に強く押し付けられ溝の底部、モータピンに強い力が作用し、ボスが固い材質の弾性体であると長期間の使用によりボスが割れたり、モータピンが折れ曲がることが発生し、耐久性に問題があった。
【0006】
そこで、ボスを柔らかい材質の弾性体としてボスの割れ、モータピンの折れ曲がりを防止するようにしたところ、羽根を回転開始する時や停止する時に、ボスに対してモータピンが動き羽根の回転が不安定となることがあった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転体を装着し易く、回転体を安定して回転できるとともに、耐久性に優れた回転体装着装置および回転体装着装置を備えた空気処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の回転体装着装置は、モータに回転体を装着する回転体装着装置であって、前記モータのモータ軸はモータピンを備え、前記回転体は、ボス取付金具とボスと脱着装置を備え、前記ボス取付金具は、前記モータ軸が挿入されるモータ軸挿入孔の周囲にボス取付面を有し、前記ボスは、弾性体であり、前記モータ軸挿入孔と連続するボス側モータ軸挿入孔と、前記モータピンが嵌まり込む溝を有し、かつ前記ボス取付金具に、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に空隙を形成するように取り付けられ、前記回転体は、前記ボス側モータ軸挿入孔と前記モータ軸挿入孔に前記モータ軸が挿入され、前記モータピンが前記溝に嵌り込んだ状態で、前記脱着装置により前記モータ軸の軸方向に移動しないように固定することを特徴とする回転体装着装置である。
【0009】
本発明の第1の回転体装着装置においては、前記モータピンの最も外側の端部は、前記空隙よりも外側に位置している回転体装着装置とすることができる。
この構成によれば、モータピン3が軸方向に安定し、回転体の回転時に回転体がモータ軸の軸方向と直角方向に揺れ動くことを防止し、回転体を安定して回転できる。
【0010】
本発明の第2の回転体装着装置は、モータに回転体を装着する回転体装着装置であって、前記モータのモータ軸はモータピンを備え、前記回転体は、ボス取付金具とボスと脱着装置を備え、前記ボス取付金具は、前記モータ軸が挿入されるモータ軸挿入孔の周囲にボス取付面を有し、前記ボスは、前記モータ軸挿入孔と連続するボス側モータ軸挿入孔と、前記モータピンが嵌まり込む溝を有し、かつ前記ボス取付金具に、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に空隙を形成するように取り付けられ、前記回転体は、前記ボス側モータ軸挿入孔と前記モータ軸挿入孔に前記モータ軸が挿入され、前記モータピンが前記溝に食い込んだ状態で、前記脱着装置により前記モータ軸の軸方向に移動しないように固定することを特徴とする回転体装着装置である。
【0011】
本発明の第2の回転体装着装置においては、前記モータピンの最も外側の端部は、前記空隙よりも外側に位置し、前記モータピンの中央部分が前記溝における前記内周側下面と対向した内側部分に食い込み、前記モータピンの先端部分が前記溝における前記内側部分より外側の外側部分に食い込んでいる回転体装着装置とすることができる。
この構成によれば、モータピン3が軸方向に安定し、回転体の回転時に回転体がモータ軸の軸方向と直角方向に揺れ動くことを防止し、回転体を安定して回転できる。
【0012】
本発明の第1、第2の回転体装着装置においては、前記空隙は前記ボス側モータ軸挿入孔まで連続し、前記ボスは、その内周側部分が外周側部分のみで支持された状態でボス取付金具に取り付けてある回転体装着装置とすることができる。
この構成によれば、ボスの内周側部分は歪み易く、モータピンを溝の底部に食い込みさせる際に内周側部分が歪み、回転体の押し付け力をより小さくできる。
【0013】
本発明の第1、第2の回転体装着装置においては、前記ボスの下面は、内周側下面が外周側下面より上に位置する段付き形状で、前記ボスの内周側部分の厚さが外周側部分の厚さより薄く、前記ボスは前記ボス取付金具に、前記ボスの少なくとも外周側下面を前記ボス取付面に接して取り付けられ、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に前記空隙を形成した回転体装着装置とすることができる。
この構成によれば、ボスの内周側部分の厚さが外周側部分の厚さより薄いので、ボスの内周側部分は歪み易く、モータピンを溝の底部に食い込ませる押し付け力をより小さくできる。
【0014】
本発明の第1、第2の回転体装着装置においては、前記ボス取付金具は、前記モータ軸挿入孔の開口端周囲と前記ボス取付面を連続する部分が漏斗状に湾曲または傾斜し、前記モータ軸挿入孔を前記モータ軸に挿入する際の挿入ガイド部を構成している回転体装着装置とすることができる。
この構成によれば、ボス側モータ軸挿入孔に斜めに挿入された場合であってもモータ軸の先端が挿入ガイド部に沿ってモータ軸挿入孔に案内されるので、モータ軸をモータ軸挿入孔にスムーズに挿入できる。
【0015】
本発明の第1、第2の回転体装着装置においては、前記ボスは、硬度が60度から90度の範囲の熱可塑性エラストマーから成る回転体装着装置とすることができる。
この構成によれば、ボスを容易に成形できるとともに、所定の形状に精度よく成形できる。
【0016】
本発明の第1、第2の回転体装着装置においては、前記ボス側モータ軸挿入孔に、前記ボスよりも硬度が高い円筒部材を備え、前記円筒部材に前記モータ軸が挿入された回転体装着装置とすることができる。
この構成によれば、回転体を安定して回転することができる。
【0017】
本発明の回転体装着装置を備えた空気処理装置は、請求項1から4いずれかに記載の回転体装着装置を備えていることを特徴とする回転体装着装置を備えた空気処理装置である。
【0018】
本発明の回転体装着装置は、次の構成とすることができる。
(1)モータに回転体を装着する回転体装着装置であって、前記モータのモータ軸はモータピンを備え、前記回転体は、ボス取付金具とボスと脱着装置を備え、前記ボス取付金具は、前記モータ軸が挿入されるモータ軸挿入孔の周囲にボス取付面を有し、前記ボスは、弾性体であり、前記モータ軸挿入孔と連続するボス側モータ軸挿入孔と、前記モータピンが嵌まり込む溝を有し、かつ前記ボス取付金具に、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に空隙を形成するように取り付けられ、前記回転体は、前記ボス側モータ軸挿入孔と前記モータ軸挿入孔に前記モータ軸が挿入され、前記モータピンが前記溝に嵌り込んだ状態で、前記脱着装置により前記モータ軸の軸方向に移動しないように固定することを特徴とする回転体装着装置。
【0019】
(2)前記モータピンの最も外側の端部は、前記空隙よりも外側に位置していることを特徴とする(1)記載の回転体装着装置。
(3)モータに回転体を装着する回転体装着装置であって、前記モータのモータ軸はモータピンを備え、前記回転体は、ボス取付金具とボスと脱着装置を備え、前記ボス取付金具は、前記モータ軸が挿入されるモータ軸挿入孔の周囲にボス取付面を有し、前記ボスは、前記モータ軸挿入孔と連続するボス側モータ軸挿入孔と、前記モータピンが嵌まり込む溝を有し、かつ前記ボス取付金具に、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に空隙を形成するように取り付けられ、前記回転体は、前記ボス側モータ軸挿入孔と前記モータ軸挿入孔に前記モータ軸が挿入され、前記モータピンが前記溝に食い込んだ状態で、前記脱着装置により前記モータ軸の軸方向に移動しないように固定することを特徴とする回転体装着装置。
【0020】
(4)前記モータピンの最も外側の端部は、前記空隙よりも外側に位置し、前記モータピンの中央部分が前記溝における前記内周側下面と対向した内側部分に食い込み、前記モータピンの先端部分が前記溝における前記内側部分より外側の外側部分に食い込んでいることを特徴とする(3)記載の回転体装着装置。
(5)前記空隙は前記ボス側モータ軸挿入孔まで連続し、前記ボスは、その内周側部分が外周側部分のみで支持された状態でボス取付金具に取り付けてあることを特徴とする(1)から(4)いずれかに記載の回転体装着装置。
【0021】
(6)前記ボスの下面は、内周側下面が外周側下面より上に位置する段付き形状で、前記ボスの内周側部分の厚さが外周側部分の厚さより薄く、前記ボスは前記ボス取付金具に、前記ボスの少なくとも外周側下面を前記ボス取付面に接して取り付けられ、前記ボスの内周側下面と前記ボス取付面との間に前記空隙を形成したことを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の回転体装着装置。
(7)前記ボス取付金具は、前記モータ軸挿入孔の開口端周囲と前記ボス取付面を連続する部分が漏斗状に湾曲または傾斜し、前記モータ軸挿入孔を前記モータ軸に挿入する際の挿入ガイド部を構成していることを特徴とする(1)から(6)いずれかに記載の回転体装着装置。
【0022】
(8)前記ボスは、硬度が60度から90度の範囲の熱可塑性エラストマーから成ることを特徴とする(1)から(7)いずれかに記載の回転体装着装置。
(9)前記ボス側モータ軸挿入孔に、前記ボスよりも硬度が高い円筒部材を備え、前記円筒部材に前記モータ軸が挿入されたことを特徴とする(1)から(8)いずれかに記載の回転体装着装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の回転体装着装置によれば、回転体を装着し易く、回転体を安定して回転できるとともに、耐久性に優れている。
本発明の第2の回転体装着装置によれば、回転体を装着し易く、回転体をより一層安定して回転できるとともに、耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の回転体装着装置の実施の形態を示すモータからファンを取り外した状態の正面図である。
【
図2】本発明の回転体装着装置の実施の形態を示すモータにファンを装着した状態の斜視図である。
【
図3】本発明の回転体装着装置の実施の形態を示すモータにファンを装着した状態の断面図である。
【
図21】モータピンの溝の底部への食い込み状態を示す拡大図である。
【
図22】本発明の回転体装着装置の第2の実施の形態を示すモータにファンを装着した状態の断面図である。
【
図25】モータピンの溝の底部への食い込み状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この実施の形態は、レンジフードのファンをモータに装着する回転体装着装置で、レンジフードが空気処理装置で、ファンが回転体である。
回転体装着装置の全体構成を
図1から
図4を参照して説明する。
図1はモータからファンを取り外した状態の正面図、
図2はモータにファンを装着した状態の斜視図、
図3はモータにファンを装着した状態の断面図、
図4は
図3のボス取付け部分の拡大図である。
図1に示すように、モータ1のモータ軸2にはモータピン3が軸方向と直交するように取り付けてある。モータ軸2のモータピン3よりも先端側(モータ1と反対側)に、後述するワンタッチ式の着脱装置を構成する被係合部4、例えばねじ溝が形成されている。
【0026】
ファン5は、
図1、
図2に示すように、円形の天板部5aと円形のリング体5bとの間に複数のブレード5cが円周方向に沿って間隔をあけて取り付けられたシロッコファンが用いられている。
図3に示すように、ファン5はボス取付金具6と、ボス取付金具6のモータ1側に取り付けられたボス7と、ボス取付金具6のモータ1と反対側に取り付けられたワンタッチ式の着脱装置8を有し、ボス取付金具6は動力伝達部9によりファン5に固定されている。ボス7は弾性体である。
【0027】
図4に示すように、ボス取付金具6はモータ軸2が挿入するモータ軸挿入孔60と、モータ軸挿入孔60の周囲と連続したボス取付面61を有し、ボス取付面61はモータ1と対向して設けられる。
ボス7はモータ軸2が挿入するボス側モータ軸挿入孔70と、モータピン3が嵌まり込む溝71を有している。ボス7はモータ1に向かう面(以下上面という)とは反対側の面(以下下面という)をボス取付金具6のボス取付面61に接して取り付けられ、ボス側モータ軸挿入孔70がボス取付金具6のモータ軸挿入孔60と連続している。
【0028】
着脱装置8はボス取付金具6の下面に取り付けられたカバー80を備え、カバー80内には、モータ軸2の被係合部4に係合する係合片81と、カバー80から突出した操作部材82と、ストッパ部材83等が設けてある。係合片81はばね84により被係合部4に係合する係合位置に向けて移動され、操作部材82の操作により被係合部4に係合しない被係合位置に移動される。ストッパ部材83は、ファン5をモータ軸2に挿入する位置を規制する。着脱装置8は特許第5728481号公報に記載されたものと同様であるので詳細な説明を省略する。
なお、着脱装置8はワンタッチ式に限ることはなく、モータ軸2に雌ねじを形成し、その雌ねじにナットをねじ込んで締め付けることにより、ファンを固定するものなどでもよい。
【0029】
ファン5の装着状態は次のようである。
図3、
図4に示すように、ボス7のボス側モータ軸挿入孔70、ボス取付金具6のモータ軸挿入孔60にモータ軸2を挿入し、ボス7の溝71にモータピン3が嵌り込んだ状態で、着脱装置8によりファン5をモータ軸2の軸方向に移動しないように固定することでファン5がモータ1に装着されている。
これにより、ファン5はモータ軸2と一体となって回転する。
【0030】
ボス取付金具6の詳細を
図5から
図10に基づいて説明する。
図5はボス取付金具の平面図、
図6はボス取付金具の正面図、
図7はボス取付金具の底面図、
図8は
図6のA-A断面図、
図9はボス取付金具の上面視斜視図、
図10はボス取付金具の下面視斜視図である。
ボス取付金具6は円筒62と、円筒62の一方の開口端周囲と連続して一体に設けられた円板状のフランジ63を有し、フランジ63は円筒62の長手方向と直角である。
フランジ63は、内周側部分(円筒62側の部分)63aが外周側部分(円筒62と反対側の部分)63bより下方に位置するように内周側部分が凹んだ皿形状で、フランジ63は内周側に凹部63cを有する形状である。
円筒62の内周面がモータ軸挿入孔60で、フランジ63の内周側部分63aの上面、つまり凹部63cの底面がボス取付面61である。
【0031】
円筒62の内周面における一方の開口端周囲とフランジ63の内周側部分63aの連続部分は漏斗状に湾曲し、モータ軸挿入孔60のモータ1側の開口部分の内径はモータ1に向かい順次大径となり、挿入ガイド部64としてある。
挿入ガイド部64の外周側端部は、ボス側モータ軸挿入孔70の内周面よりも外周側にある(
図20参照)。挿入ガイド部64は漏斗状に傾斜した形状でもよい。
この構成により、モータ軸挿入孔60をモータ軸2に挿入する際に、モータ軸2の先端に挿入ガイド部64が接して挿入の案内をするので、モータ軸挿入孔60をモータ軸2に挿入し易い。
【0032】
フランジ63の内周側部分63aに回転伝達用孔65と位置決め孔66が形成してある。
回転伝達用孔65はモータ軸挿入孔60の中心に向かう方向が長軸な長円形状で、周方向に90度間隔で4つ形成してある。位置決め孔66は円形状で、1つ形成してある。
フランジ63の外周側部分63bが動力伝達部9と固定される被固定部で、複数の被固定用リング67が上面より突出して形成してある。内周側部分63aにはカバー80を固定するカバー固定用リング68が下面より突出して形成してある。
【0033】
ボス7の詳細を
図11から
図16に基づいて説明する。
図11はボスの平面図、
図12はボスの正面図、
図13はボスの底面図、
図14は
図13のB-B断面図、
図15はボスの上面視斜視図、
図16はボスの下面視斜視図である。なお、
図14においてはボス7のモータ1に向かう面(上面)を下として図示してある。
ボス7は大径の下円形部72と、下円形部72の上面に一体となった小径の上円形部73とで外周面の下部寄りに環状の被押え面74を有する略円柱体形状で、被押え面74は上向きである。下円形部72の下面72aがボス7の下面で、上円形部73の上面73aがボス7の上面である。
下円形部72の下面72aと上円形部73の上面73aとに連続してボス側モータ軸挿入孔70が形成してあり、上円形部73の上面73aに溝71が形成してある。溝71は上円形部73の上面73aと内外周面に開口しかつボス側モータ軸挿入孔70の中心に向かう形状で、十字形状となるように周方向に90度間隔で4つ形成してある。
【0034】
下円形部72の外径はボス取付金具6の凹部63cの内径と同一で、下円形部72が凹部63cに嵌まり込み、下面72aが凹部63cの底面(ボス取付面61)に接する。
下円形部72の下面72aにおける内周側(ボス側モータ軸挿入孔70側)に下向きの凹部75が形成されており、下面72aは内周側下面72a-1が外周側下面72a-2(ボス側モータ軸挿入孔70と反対側)より上方に位置している段付き形状である。
図14においては下円形部72の下面72aを上として図示してある。
これにより、下円形部72がボス取付金具6の凹部63cに嵌まり込んだ状態で、外周側下面72a-2が凹部63cの底面(ボス取付面61)に接し、内周側下面72a-1と凹部63cの底面(ボス取付面61)とが離れ、両者の間に空隙が形成される。
【0035】
下円形部72の下面72aには回転伝達用凸部76と位置決め用凸部77が形成してある。回転伝達用凸部76はボス側モータ軸挿入孔70の中心に向かう方向が長い長円形状で、内周側下面72a-1と外周側下面72a-2に亘って形成され、周方向に90度間隔で4つ形成してある。各回転伝達用凸部76は各溝71の真下に位置し、周方向に同一位置である。ボス取付金具6の凹部63cにボス7の下円形部72が嵌まり込んだ状態で、回転伝達用凸部76が回転伝達用孔65に嵌合する。
位置決め用凸部77は円柱形状で、内周側下面72a-1と外周側下面72a-2とに亘って1つ形成してあり、ボス取付金具6の凹部63cにボス7の下円形部72が嵌まり込んだ状態で、位置決め用凸部77が位置決め用孔66に嵌合する。
この構成により、ボス7の回転力をボス取付金具6に確実に伝えることができ、回転力の伝達でボス7が変形などすることがない。
【0036】
動力伝達部9の詳細を
図17から
図19に基づいて説明する。
図17は動力伝達部の平面図、
図18は動力伝達部の正面図、
図19は動力伝達部の下面視斜視図である。
動力伝達部9は外周側リング状板90と内周側円形板91を複数のリブ92で一体に連結した形状で、外周側リング状板90よりも内周側円形板91が下方に位置している。
外周側リング状板90にはファン5のブレード5cと連結される連結部93、例えばスリットが形成され、内周側円形板91にはボス7の上円形部73が嵌まり込む孔94と、ボス取付金具6の被固定用リング67が嵌まり込む固定用孔95が形成してある。
【0037】
ボス7の取付状態を
図20に基づいて詳細に説明する。
図20はボス取付状態を示す拡大断面図で、モータ軸2、ファン5、着脱装置8等は図示していない。
ボス7の下円形部72がボス取付金具6の凹部63cに嵌まり込み、下円形部72の下面72aにおける外周側下面72a-2、つまりボス7の外周側下面がボス取付面61(凹部63cの底面)に接し、下円形部72の下面72aにおける内周側下面72a-1、つまりボス7の内周側下面とボス取付面61(凹部63cの底面)との間に空隙10が形成される。空隙10は周方向に連続した環状である。空隙10は完全な空洞ではなく、一部に内周側下面72aから下方に向けて突出する、または、フランジ63の内周側部分63aの上面から上方に向けて突出する、線状や半球状等の突部があってもよい。
【0038】
ボス7の回転伝達用凸部76がボス取付金具6の回転伝達用孔65に嵌合しているので、ボス7の回転が回転伝達用凸部76を介してボス取付金具6に伝えられ、ボス7とボス取付金具6は一体となって回転する。
ボス7は、溝71に嵌まり込んだモータピン3から回転力が付与され、回転伝達用凸部76によりボス取付金具6に回転力を伝えるが、溝71と回転伝達用凸部76は周方向に同一位置であるから、回転力が付与される位置と回転力を伝える位置とが周方向で同一であり、ボス7の溝71と回転伝達用凸部76との間に周方向に無理な力が作用することがなく、ボス7が変形などすることがない。
【0039】
ボス取付金具6にボス7を取り付けた状態で、動力伝達部9の孔94をボス7の上円形部73にはめ込んで内周側円形板91をボス7の被押え面74に接するとともに、固定用孔95をボス取付金具6の被固定用リング67に嵌め込む。
そして、被固定用リング67を加締めて動力伝達部9の内周側円形板91とボス取付金具6のフランジ63の内周側部分63bを固定し、内周側円形板91でボス7の下円形部72の外周側下面72a-2をボス取付金具6のボス取付面61に固定する。好ましくは押しつけて固定する。
この構成であるので、動力伝達部9とボス取付金具6が確実に固定され、動力伝達部9によりボス7をボス取付金具6に押し付けて確実に取り付けることができる。
【0040】
ファン5は次のようにしてモータ1に装着される。
脱着装置8の操作部材82を操作して係合片81を被係合部4に係合しない被係合位置とした状態で、ファン5を
図1に矢印aで示すようにモータ1に向けて移動して、
図3、
図4に示すようにボス7のボス側モータ軸挿入孔70、ボス取付金具6のモータ軸挿入孔60をモータ軸2に順次挿入し、ボス7の溝71をモータピン3に嵌め込む。
ボス側モータ軸挿入孔70の内径はモータ軸2の外径より大きく、ボス側モータ軸挿入孔70にモータ軸2が斜めに挿入されることがあり、
図20に示すように、空隙10はボス側モータ軸挿入孔70まで連続しているので、ボス側モータ軸挿入孔70に斜めに挿入されたモータ軸2の先端が空隙10部分でボス取付面61に干渉してモータ軸挿入孔60に挿入しないことがあるが、挿入ガイド部64があるので、斜めに挿入されたモータ軸2の先端が挿入ガイド部64に沿ってモータ軸挿入孔60に案内されるから、モータ軸挿入孔60にモータ軸2をスムーズに挿入できる。
【0041】
ボス7の溝71の底部をモータピン3にはめ込んだ状態から、ファン5を、脱着装置8のストッパ部材83がモータ軸2の先端面に当接するまでモータ1に向けて押し、モータピン3を溝71の底部に食い込ませる。
つまり、モータ軸2の先端面からモータピン3までの距離が溝71の底部とストッパ部材83との間の距離より短い。言い換えれば、モータ軸2の被係合部4からモータピン3までの距離が溝71の底部と係合位置との間の距離よりも短い。
【0042】
この状態で操作部材82を操作して係合片81を係合位置に移動してモータ軸2の被係合部4に係合し、ファン5を、モータピン3が溝71の底部に食い込んだ状態でモータ軸2の軸方向に移動しないように固定することでファン5をモータ1に装着する。モータピン3は溝71にはめ込むだけで、溝71の低部に食い込ませなくともよい。
これにより、ファン5はモータ軸2と一体となって回転する。
【0043】
実施の形態の回転体装着装置であれば、モータピン3をボス7の溝71に嵌め込むだけでよいので、羽根5を装着し易い。
また、ボス7の内周側下面とボス取付面61(凹部63cの底面)との間に空隙10が形成されていることにより、モータ軸2の回転により羽根5が回転している時にボス7がモータ軸2の軸方向に微振動し、モータピン3が溝71の底部に強く押し付けられたときに、ボス7が弾性変形し易いので、ボス7を硬い弾性体として羽根5を回転開始する時や停止する時に、ボス7に対してモータピン3が動くことがなく羽根5が安定して回転するようにしてもボス7が割れたり、モータピン3が折れ曲がることを防止し、耐久性に優れたものにできる。
【0044】
すなわち、実施の形態の回転体装着装置によれば、ファン5を装着し易く、ファン5を安定して回転できるとともに、耐久性に優れた回転体装着装置とすることができる。
また、モータピン3を溝71の底部に食い込んだ状態とすれば、羽根5を回転開始する時や停止する時に、ボス7に対してモータピン3が動くこと確実に防止し、羽根5の回転をより一層安定することができる。
【0045】
次に、ファン5を装着した状態におけるモータピン3の溝71の底部への食い込み状態を
図21に基づいて説明する。
図21はモータピンの溝の底部への食い込み状態を示す拡大図であり、ファン5、着脱装置8等は図示していない。
図21に示すように、ボス7の下円形部72の下面72aにおける外周側下面72a-2、つまりボス7の外周側下面がボス取付面61に接し、下円形部72の下面72aにおける内周側下面72a-1、つまりボス7の内周側下面とボス取付面61との間に空隙10が有る。
モータピン3のモータ軸2から離れた最も外側の端部は空隙10よりも外側に位置し、モータピン3のモータ軸2側の中央部分3aは溝71の底部における内周側下面72a-1と対向した内側部分71aに食い込み、モータピン3の先端部分3bが溝71の底部における外周側下面72a-2と対向し、内側部分71aより外側の外側部分71bに食い込んでいる。
【0046】
モータピン3の中央部分3aを溝71の底部における内側部分71aに食い込ませるための押し付け力は、空隙10があることによりモータピン3の先端部分3bを溝71の底部における外側部分71bを食い込ませるための押し付け力より小さくなる。
モータピン3の先端部分3bを溝71の底部における外側部分71bに食い込む際にボス7は弾性圧縮変形するが、その弾性圧縮変形の一部が空隙10側に逃げるので、モータピン3の先端部分3bを溝71の底部における外側部分71bに食い込ませるための押し付け力は、空隙10がない場合よりも小さくなる。
したがって、モータピン3を溝71の底部に食い込ませるための押し付け力は空隙10がない場合より小さくなるので、ボス7を硬い材質としてファン5を安定して回転できるとともに、ファン5をモータ1に装着し易い。
【0047】
また、モータピン3の最も外側の端部は空隙10よりも外側に位置し、モータピン3の先端部分3bが溝71の底部における外側部分71bに食い込み、その外側部分71bはボス取付面61に接している部分と対向しているので、モータピン3が軸方向に安定し、ファン5の回転時にファン5がモータ軸2の軸方向と直角方向に揺れ動くことを防止し、ファン5を安定して回転できる。
なお、モータピン3の最も外側の端部は空隙10よりも内側に位置させて、モータピン3の全体が溝71の底部における内周側下面72a-1と対向した内側部分71aに食い込むようにしてもよい。
【0048】
また、空隙10はボス7のボス側モータ軸挿入孔70まで連続し、ボス7の内周側下面を形成する内周側部分7aは外周側下面を形成する外周側部分7bでのみで支持された状態でボス取付金具6に取り付けられているから、内周側部分7aは歪み易く、モータピン3を溝71の底部に食い込みさせる際に内周側部分7aが歪み、ファン5の押し付け力をより小さくできる。
したがって、ファン5をモータ1に一層装着し易い。
なお、空隙10はボス側モータ挿入孔70まで連続させなくともよい。例えば、ボス取付金具6の凹部63cの内側に上向き突起を設け、ボス7の内周側部分7aの内周側下面を上向き突起に接し、上向き突起の外周側と内周側下面72a-1の内周側との間に空隙を形成してもよい。
【0049】
また、ボス7の下面の形状を、内周側下面が外周側下面より上方に位置する段付き形状として内周側下面とボス取付面61との間に空隙10を形成しているので、ボス7の内周側部分7aの厚さ(上下方向に寸法)が外周側部分7bの厚さ(上下方向の寸法)より薄く、ボス7の内周側部分7aは歪み易く、モータピン3の中央部分3aを溝71の底部における内側部分71aに食い込ませる押し付け力をより小さくできる。
したがって、ファン5をモータ1により一層装着しやすい。
なお、ボス7の下面を平坦面とし、ボス取付金具6のボス取付面61を外周側が内周側より高い段付き形状として、ボス7の平坦な下面とボス取付面61の内周側との間に空隙10を形成してもよい。
【0050】
ボス7の材料としては、エラストマーが用いられ、その硬度は60度から90度の範囲で、より好ましくは70度から80度の範囲である。
エラストマーの硬度が60度未満の場合には、ボス7が柔らかすぎるので、ファン5の回転時にモータピン3がボス7に回転力を伝えることが不安定となり、ファン5をスムーズに回転できない。
エラストマーの硬度が90度を超える場合には、ボス7が硬すぎるのでファン5を装着後にモータピンとボス7の溝71の底部との間に隙間が生じてしまい、ファン5の回転時にモータピン3とボス7の溝71とが衝突して衝突音が発生する。
【0051】
エラストマーは熱硬化性エラストマーと熱可塑性エラストマーがあるが、熱硬化性エラストマーは熱を加えても軟化せず、成型が難しい。熱可塑性エラストマーは熱を加えると軟化し、冷やせばゴム状に戻り、成型が容易で、精度を出しやすい。
この実施の形態では、ボス7の材料として熱可塑性エラストマーを用いているので、ボス7を容易に成形できるともに、所定の形状に精度よく成形できる。
【0052】
次に、
図22から
図25を参照して第2の実施の形態を説明する。
図22は本発明の回転体装着装置の第2の実施の形態を示すモータにファンを装着した状態の断面図、
図23はボスと円筒部材の下面視斜視図、
図24はボス取付状態を示す拡大断面図、
図25はモータピンの溝の底部への食い込み状態を示す拡大図である。
図22に示すように、モータ1、ファン5は第1の実施の形態と同様で、ボス7は円筒部材11を備えている。円筒部材11はボス7よりも硬度が高い。
図23に示すように、円筒部材11はボス7のボス側モータ軸挿入孔70に
下方から挿入して取り付けられ、円筒部材11の内周面12にモータ軸2が挿入される。
【0053】
図24に示すように、ボス7のボス側モータ軸挿入孔70は、ボス7の溝71の底部よりも下方の位置からボス7の下円形部72の下面72aにおける内周側下面72a-1まで連続しており、ボス側モータ軸挿入孔70の上部には下向きの段部70aを有している。つまり、第2の実施の形態のボス側モータ軸挿入孔70の内径は第1の実施の形態のボス側モータ軸挿入孔70の内径よりも円筒部材11の厚さ相当だけ大きく、上部に下向きの段部70aを有している。
円筒部材11の上端面11aが下向き段部70aに当接し、円筒部材11の上端面11aは溝71の底部よりも下の位置である。円筒部材11の下端面11bはボス7の下円形部72の下面72aにおける内周側下面72a-1と同じ位置である。
【0054】
図25に示すように、ボス7のボス側モータ軸挿入孔70に円筒部材11が設けられ、円筒部材11の内周面12にモータ軸2が挿入され、モータ軸2とボス側モータ軸挿入孔70との間にボス7よりも硬度が高い円筒部材11が介在した構成であるので、モータピン3が溝71の底部に食い込んだ状態でファン5が装着され、ボス7が歪むことによりボス側モータ軸挿入孔70の内面が弾性変形した場合であっても、ボス7のモータ軸2の軸方向と直角方向の姿勢が円筒部材11で正しく保持され、ファン5がモータ軸2の軸方向と直角な姿勢から斜めとなることを防止できる。
ボス7が弾性体であることにより、ファンがモータ軸2に対して微移動して不安定となることがあるが、円筒部材11を設けたことによりによりファン5をモータ軸2に対して安定して保持することができる。
【0055】
モータピン3が溝71の底部に食い込んだ状態でファン5が装着された場合に、ボス7の下円形部72の下面72aにおける内周側下面72a-1が下方に沈み込むが、その際に、沈み込み分だけ円筒部材11が下方に沈み込むため、ファン5を装着する前と比べて円筒部材11の下端面11bとボス取付金具6のボス取付け面61との距離が短くなり、ファン5を安定して保持できる。この実施の形態では円筒部材11の上端面11aがボス7のボス側モータ軸挿入穴70の下向き段部70aに当接しているので、円筒部材11は確実に下方に沈み込む。
これらが相まって、ファン5を安定して回転することができる。
【0056】
円筒部材11の上端面11aはボス7の溝71の底部よりも下の位置であるので、ファン5の装着状態においてモータピン3が円筒部材11に干渉することを防止し、ボス7の溝71とモータピン3との間に生じる隙間を最小限にすることができる。
円筒部材11の下端面11bはボス7の下円形部72の下面72aにおける内周側下面72a-1と同じ位置であるので、ファン5の装着時においてモータピン3が溝71の底部に食い込んだ後にボス7の内周側部分7aが歪んでも、円筒部材11がボス取付金具6におけるフランジ63の内周側部分63aに干渉することを防ぐ。これにより、円筒部材11の上端面11aがボス7の溝71の底部よりも上方に突出することによるモータピン3と円筒部材11の干渉を防止できる。
【0057】
第2の実施の形態では、円筒部材11の上端面11aがボス側モータ軸挿入穴70の下向き段部70aに当接しているので、円筒部材11の上端面11aがボス7の溝71の底部よりも上方に突出することを確実に防止できる。
なお、円筒部材11の下端面11bはボス7の下円形部72の下面72aにおける内周側下面72a-1よりも上の位置であってもよい。
円筒部材11の材質は、ガラス、樹脂、金属などボス7よりも硬度が高いものであればよい。好ましくは、熱や衝撃に強い金属がよい。
【0058】
以上の説明では、レンジフードのファン5を回転体としたが、レンジフードのフィルタを回転体とすることもできるし、ファンやフィルタに限らずモータで回転されるものを回転体とすることができる。
また、空気処理装置をレンジフードとしたが、これに限ることはなく、業務用空気清浄機、調理の際に発生する油煙を捕集し、浄化した空気として吐き出しするフライヤー用フード、内部に大型の送風機を備え、飲食店やビルなどの換気風量アップなどに使用される空調用送風機、調理庫から発生する蒸気や調理庫のドアを開けた際に庫外に排出される蒸気を捕集し、水分を除去した上で空気を吐き出すスチームコレクター等を空気処理装置とすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1…モータ、2…モータ軸、3…モータピン、3a…中央部分、3b…先端部分、4…被係合部、5…ファン(回転体)、6…ボス取付金具、7…ボス、7a…内周側部分、7b…外周側部分、8…着脱装置、9…動力伝達部、10…空隙、11…円筒部材、60…モータ軸挿入孔、61…ボス取付面、62…円筒、63…フランジ、63a…内周側部分、63b…外周側部分、64…挿入ガイド部、70…ボス側モータ軸挿入孔、71…溝、71a…溝71の底部における内側部分、71b…溝71の底部における外側部分、72…下円形部、72a…下面、72a-1…内周側下面(ボス7の内周側下面)、72a-2…外周側下面(ボス7の外周側下面)、73…上円形部。