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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035469
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/70 20060101AFI20240307BHJP
   A47C 7/30 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B60N2/70
A47C7/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139942
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利春
(72)【発明者】
【氏名】後藤 克司
(72)【発明者】
【氏名】小松 均
(72)【発明者】
【氏名】村山 浩司
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB09
(57)【要約】
【課題】乗員の座り心地を向上する。
【解決手段】車両用シート10は、シートクッション20の骨組みを構成するクッションフレーム22と、クッションフレーム22に、シート前後方向Dに架け渡され、クッションパッド21を介して、シートクッション20の座面に作用した荷重を受けるSバネ30であって、シート幅方向Eに屈曲した屈曲部を有する3本のSバネ30と、3本のSバネ30をシート幅方向Eに跨るように連結する連結部材40であって、シート前後方向Dに間隔を空けて、互いに独立して設けられた連結部材40と、を備えている。第1連結部材42は、クッションフレーム22の前側フレーム24からシート前後方向Dに延在したSバネ30のストレート部32A,34A,36Aに設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションの骨組みを構成するクッションフレームと、
前記クッションフレームに、シート前後方向に架け渡され、クッションパッドを介して、前記シートクッションの座面に作用した荷重を受ける弾性部材であって、シート幅方向に屈曲した屈曲部を有する3本の弾性部材と、
3本の前記弾性部材をシート幅方向に跨るように連結する連結部材であって、シート前後方向に間隔を空けて、互いに独立して設けられた連結部材と、を備え、
少なくとも1つの前記連結部材は、前記クッションフレームの前側フレームからシート前後方向に延在した前記弾性部材のストレート部に設けられている
車両用シート。
【請求項2】
少なくとも1つの前記連結部材は、前記弾性部材の拡幅部に設けられている
請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
少なくとも1つの前記連結部材は、着座した乗員の臀部に対応する位置であって、ヒップポイントのシート下方を避けた位置に設けられている
請求項1に記載の車両用シート。
【請求項4】
シート幅方向の外側に設けられた前記弾性部材は、互いに左右対称形状に形成されている
請求項1に記載の車両用シート。
【請求項5】
前記連結部材は、シート前後方向に幅の広い幅広部を備えている
請求項1に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートに、クッションパッドを支持する弾性部材が設けられることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数の屈曲部を有するスプリング部材と、スプリング部材間を架け渡すように配設される架け渡し部材と、架け渡し部材とスプリング部材とを連結する連結部材と、を備え、架け渡し部材は、スプリング部材の屈曲部とは異なる位置に配置されてスプリング部材間に架け渡されるとともに、連結部材がスプリング部材の屈曲部を内包しないように形成されている乗物シート用緩衝体が開示されている。これにより、面剛性を確保しシートの硬さを維持したうえで、複数本のスプリング部材に荷重を分散させて適度な沈み込みを付与して、硬すぎる乗り心地を改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-227144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、架け渡し部材及び連結部材が、スプリング部材の左右に張り出した部分において、スプリング部材同士を連結する構成に留まることから、スプリング部材がシート前後方向を回転軸として回転する可能性があり、乗員の座り心地を向上する点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、乗員の座り心地を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る車両用シートは、シートクッションの骨組みを構成するクッションフレームと、前記クッションフレームに、シート前後方向に架け渡され、クッションパッドを介して、前記シートクッションの座面に作用した荷重を受ける3本の弾性部材であって、シート幅方向に屈曲した屈曲部を有する弾性部材と、3本の前記弾性部材をシート幅方向に跨るように連結する連結部材であって、シート前後方向に間隔を空けて、互いに独立して設けられた連結部材と、を備え、少なくとも1つの前記連結部材は、前記クッションフレームの前側フレームからシート前後方向に延在した前記弾性部材のストレート部に設けられている。
【0008】
請求項1に係る車両用シートによれば、少なくとも1つの連結部材は、クッションフレームの前側フレームからシート前後方向に延在した弾性部材のストレート部に設けられていることで、連結部材がストレート部に設けられていない場合と比較して、弾性部材が独立して動くことが抑制される。そのため、弾性部材が、シート前後方向を回転軸として回転(ロール方向に回転)することがより抑制される。その結果、乗員の座り心地を向上することができる。
【0009】
請求項2に係る車両用シートでは、請求項1に記載の車両用シートにおいて、少なくとも1つの前記連結部材は、前記弾性部材の拡幅部に設けられている。
【0010】
請求項2に係る車両用シートによれば、連結部材は、弾性部材の拡幅部に設けられていることで、弾性部材の減幅部に設けられる場合と比較して、弾性部材が、シート前後方向を回転軸として回転(ロール方向に回転)することが抑制される。その結果、シートクッションに着座した乗員のホールド感をより改善することができる。
【0011】
請求項3に係る車両用シートでは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、少なくとも1つの前記連結部材は、着座した乗員の臀部に対応する位置であって、ヒップポイントのシート下方を避けた位置に設けられている。
【0012】
請求項3に係る車両用シートによれば、連結部材は、ヒップポイントのシート下方を避けた位置に設けられていることで、着座した乗員の座骨部への応力集中が回避される。そのため、乗員の座り心地を向上させることができる。
【0013】
請求項4に係る車両用シートでは、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、シート幅方向の外側に設けられた前記弾性部材は、互いに左右対称形状に形成されている。
【0014】
請求項4に係る車両用シートによれば、シート幅方向の外側に設けられた弾性部材は、互いに左右対称形状に形成されていることで、シートクッションの右側に荷重がかかった際(例えば、左カーブの際)と、シートクッションの左側に荷重がかかった際(例えば、右カーブの際)とで、弾性部材のたわみ量が同じにされる。そのため、シートクッションを均一なたわみ量として、乗員の座り心地を向上させることができる。
【0015】
請求項5に係る車両用シートでは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記連結部材は、シート前後方向に幅の広い幅広部を備えている。
【0016】
請求項5に係る車両用シートによれば、連結部材は、シート前後方向に幅の広い幅広部を備えていることで、臀部を支持する面積が増加する。そのため、クッションパッドが弾性部材間の隙間から落ち込んで臀部が沈みすぎる感覚となる尻落ち感を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車両用シートによれば、乗員の座り心地を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る車両用シートをシート左斜め前方から見た斜視図である。
図2】本実施形態に係るシートクッションをシート左斜め前方から見た斜視図である。
図3】本実施形態に係るシートフレームを示す分解斜視図である。
図4】本実施形態に係る弾性部材及び連結部材を示す平面図である。
図5】本実施形態に係る車両用シートに乗員が着座した状態を示す断面図である。
図6】比較例に係る弾性部材及び連結部材を示す平面図であり、図6(A)は、比較例1を示し、図6(B)は、比較例2を示し、図6(C)は、比較例3を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係る車両用シートについて、図面を参照して説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは、シート前後方向Dの前方を示し、矢印UPは、シート上下方向Eの上方を示し、矢印LHは、シート幅方向Wの左方を示している。
【0020】
本実施形態の車両用シートは、自動車に設けられた車両用シートに適用される例を説明する。
【0021】
[車両用シートの構成]
図1に示すように、車両用シート10は、乗員が着座するシートクッション20と、乗員の上体を支持するシートバック12と、シートバック12のシート上方側に設けられ乗員の頭部を支持するヘッドレスト14と、を備えている。
【0022】
図2に示すように、シートクッション20は、クッションフレーム22に、クッションパッド21が被せられている。
【0023】
(クッションフレーム22)
クッションフレーム22は、前側フレーム24と、後側フレーム26と、サイドフレーム28と、を備え、シートクッション20の骨組みを構成する。
【0024】
サイドフレーム28は、シート幅方向Eに間隔をあけて左右一対に配置されている。サイドフレーム28は、シート前後方向Dに延在し、シート幅方向を板厚方向とする板状に形成されている。
【0025】
図3に示すように、前側フレーム24は、シート幅方向Eに延在し、略シート上下方向を板厚方向とする板状に形成されている。前側フレーム24のシート幅方向Eの中央付近は、シート前後方向Dに延在した第1部分24Aと、第1部分24Aのシート後側からシート下方に延在した第2部分24Bとで、断面略L字状に形成されている。前側フレーム24は、左右一対のサイドフレーム28のシート前側間を連結している。前側フレーム24の第2部分24Bには、板厚方向に貫通した第1貫通孔24BAと、第2貫通孔24BBと、第3貫通孔24BCと、が形成されている。
【0026】
後側フレーム26は、シート幅方向Eに延在した筒状に形成されている。後側フレーム26は、左右一対のサイドフレーム28のシート後側間を連結している。
【0027】
(クッションパッド21)
図2に示すように、クッションパッド21は、例えば、ウレタンパッドなどの発泡体によって形成されている。クッションパッド21は、後述するSバネ30及び連結部材40に支持されている。
【0028】
クッションフレーム22のシート幅方向Eの両端側の下側には、図1に示すように、シート前後方向Dに沿って延在する左右一対のスライドレール16が設けられている。スライドレール16は、車体フロア2に固定されている。車両用シート10は、スライドレール16を介して、シート前後方向Dに沿ってスライド可能となっている。
【0029】
(Sバネ30)
図2及び図3に示すように、クッションフレーム22には、弾性部材としてのSバネ30が取り付けられている。Sバネ30は、シート前後方向Dに架け渡されている。Sバネ30は、クッションパッド21を介して、シートクッション20の座面に作用した荷重を受ける。
【0030】
図4にSバネ30は、棒状の鋼材が折り曲げられて形成されている。Sバネ30は、第1Sバネ32と、第2Sバネ34と、第3Sバネ36と、で構成され、シート幅方向Eに並んで配置されている。第1Sバネ32、第2Sバネ34及び第3Sバネ36は、シート前方側から、先端部S1、第1中間部S2、第2中間部S3、第3中間部S4、第4中間部S5、第5中間部S6、後端部S7の順序で構成されている。
【0031】
<第1Sバネ32>
図2及び図4に示すように、第1Sバネ32は、クッションフレーム22に対して、シート幅方向Eの左側に配置されている。第1Sバネ32は、先端部S1にストレート部32Aが形成されている。ストレート部32Aは、前側フレーム24からシート後方にストレートに延在して形成されている。ストレート部32Aの先端は、フック状になっており、樹脂製の保護カバー50を介して、第1貫通孔24BAに引っ掛けられている。第1Sバネ32のシート前方側の端部は、前側フレーム24のシート上方側に連結されている。
【0032】
第1Sバネ32は、第1中間部S2と、第3中間部S4と、第5中間部S6とに、シート右方側に略U字状に張り出した右張出部32Bが形成されている。
【0033】
第1Sバネ32は、第2中間部S3と、第4中間部S5とに、シート左方側に略U字状に張り出した左張出部32Cが形成されている。右張出部32Bと左張出部32Cとは、シート幅方向に屈曲した屈曲部を構成する。
【0034】
第1Sバネ32は、後端部S7にフック部32Dが形成されている。フック部32Dは、フック状に形成され、樹脂製の保護カバー48Bを介して、後側フレーム26に引っ掛けられている。
【0035】
<第2Sバネ34>
第2Sバネ34は、シート幅方向Eにおいて、第1Sバネ32と第3Sバネ36との間に配置されている。第2Sバネ34は、第1Sバネ32と左右対称形状に形成されている。第2Sバネ34は、先端部S1にストレート部34Aが形成されている。ストレート部34Aの先端は、フック状になっており、樹脂製の保護カバー50を介して、第2貫通孔24BBに引っ掛けられている。第2Sバネ34のシート前方側の端部は、前側フレーム24のシート上方側に連結されている。
【0036】
第2Sバネ34は、第1中間部S2と、第3中間部S4と、第5中間部S6とに、シート左方側に略U字状に張り出した左張出部34Bが形成されている。
【0037】
第2Sバネ34は、第2中間部S3と、第4中間部S5とに、シート右方側に略U字状に張り出した右張出部34Cが形成されている。左張出部34Bと右張出部34Cとは、シート幅方向に屈曲した屈曲部を構成する。
【0038】
第2Sバネ34は、後端部S7にフック部34Dが形成されている。フック部34Dは、フック状に形成され、樹脂製の保護カバー48Bを介して、後側フレーム26に引っ掛けられている。
【0039】
<第3Sバネ36>
第3Sバネ36は、シート幅方向Eにおいて、クッションフレーム22に対して、シート幅方向Eの右側に配置されている。第3Sバネ36は、第1Sバネ32と左右対称形状に形成されている。第3Sバネ36は、第2Sバネ34と同形状に形成されている。第3Sバネ36は、先端部S1にストレート部36Aが形成されている。ストレート部36Aの先端は、フック状になっており、樹脂製の保護カバー50を介して、第3貫通孔24BCに引っ掛けられている。第3Sバネ36のシート前方側の端部は、前側フレーム24のシート上方側に連結されている。
【0040】
第3Sバネ36は、第1中間部S2と、第3中間部S4と、第5中間部S6とに、シート左方側に略U字状に張り出した左張出部36Bが形成されている。
【0041】
第2Sバネ36は、第2中間部S3と、第4中間部S5とに、シート右方側に略U字状に張り出した右張出部36Cが形成されている。左張出部36Bと右張出部36Cとは、シート幅方向に屈曲した屈曲部を構成する。
【0042】
第3Sバネ36は、後端部S7にフック部36Dが形成されている。フック部36Dは、フック状に形成され、樹脂製の保護カバー48Bを介して、後側フレーム26に引っ掛けられている。
【0043】
このように形成されたSバネ30では、第2中間部S3及び第4中間部S5は、シート幅方向Eの幅W2が広い拡幅部を構成する。第1中間部S2、第3中間部S4及び第5中間部S6は、シート幅方向Eの幅W1が幅W2より狭い減幅部を構成する。
【0044】
(連結部材40)
連結部材40は、樹脂製で、第1Sバネ32、第2Sバネ34及び第3Sバネ36を、シート幅方向Eに跨るように連結している。連結部材40は、第1連結部材42と、第2連結部材44と、第3連結部材46と、第4連結部材48と、で構成されている。第1連結部材42、第2連結部材44、第3連結部材46及び第4連結部材48は、シート前後方向Dに間隔を空けて、互いに独立して設けられている。
【0045】
<第1連結部材42>
第1連結部材42は、シート上下方向を板厚方向とし、シート幅方向Eに延在した矩形の板状に形成されている。第1連結部材42は、先端部S1のシート後方側に配置されている。第1連結部材42は、第1Sバネ32のストレート部32Aと、第2Sバネ34のストレート部34Aと、第3Sバネ36のストレート部36Aと、を跨るように連結している。
【0046】
第1連結部材42は、シート前後方向Dに幅の広い円形の幅広部42Aを備えている。幅広部42Aは、シート幅方向Eにおいて、第1Sバネ32と第2Sバネ34との間に1つ配置され、第2Sバネ34と第3Sバネ36との間に1つ配置されている。
【0047】
<第2連結部材44>
第2連結部材44は、シート上下方向を板厚方向とし、シート幅方向Eに延在した矩形の板状に形成されている。第2連結部材44は、第2中間部S3に配置されている。第2連結部材44は、第1Sバネ32の左張出部32Cと、第2Sバネ34の右張出部34Cと、第3Sバネ36の右張出部36Cと、を跨るように連結している。すなわち、第2連結部材44は、Sバネ30の拡幅部に設けられている。
【0048】
第2連結部材44は、シート前後方向Dに幅の広い円形の幅広部44Aを備えている。幅広部44Aは、シート幅方向Eにおいて、第1Sバネ32と第2Sバネ34との間に3つ配置され、第2Sバネ34と第3Sバネ36との間に2つ配置されている。
【0049】
<第3連結部材46>
第3連結部材46は、シート上下方向を板厚方向とし、シート幅方向Eに延在した矩形の板状に形成されている。第3連結部材46は、第4中間部S5に配置されている。第3連結部材46は、第1Sバネ32の左張出部32Cと、第2Sバネ34の右張出部34Cと、第3Sバネ36の右張出部36Cと、を跨るように連結している。すなわち、第3連結部材46は、Sバネ30の拡幅部に設けられている。
【0050】
第3連結部材46は、シート前後方向Dに幅の広い円形の幅広部46Aを備えている。幅広部46Aは、シート幅方向Eにおいて、第1Sバネ32と第2Sバネ34との間に3つ配置され、第2Sバネ34と第3Sバネ36との間に2つ配置されている。
【0051】
<第4連結部材48>
第4連結部材48は、断面略L字状で、シート幅方向Eに延在した板状に形成されている。第4連結部材48は、後端部S7に配置されている。第4連結部材48は、第1Sバネ32のフック部32Dの根本部分と、第2Sバネ34のフック部34Dの根本部分と、第3Sバネ36のフック部36Dの根本部分と、を跨るように連結している。
【0052】
第4連結部材48は、シート前方側に突出した略半円形の幅広部48Aを備えている。幅広部48Aは、シート幅方向Eにおいて、第1Sバネ32と第2Sバネ34との間に1つ配置され、第2Sバネ34と第3Sバネ36との間に1つ配置されている。
【0053】
第4連結部材48には、第1Sバネ32のフック部32Dと、第2Sバネ34のフック部34Dと、第3Sバネ36のフック部36Dと、を被覆する保護カバー48Bが設けられている。
【0054】
図5に示すように、第1連結部材42、第2連結部材44、第3連結部材46及び第4連結部材48は、着座した乗員Mの臀部に対応する位置であって、ヒップポイントHPのシート下方を避けた位置に設けられている。
【0055】
連結部材40は、拡幅部に設けられており、減幅部には設けられていない。
【0056】
(補強部材60)
Sバネ30には、補強部材60が取り付けられている。補強部材60は、棒状の鋼材が折り曲げられて形成されている。補強部材60は、シート幅方向Eに延在して形成されている。補強部材60は、車両用シート10に着座した乗員Mの臀部に対応する位置に設けられている。補強部材60は、第4中間部S5に設けられている。
【0057】
補強部材60は、第1補強部材62と、第2補強部材64と、を備えている。
【0058】
<第1補強部材62>
第1補強部材62は、締結部材52によって、第1Sバネ32、第2Sバネ34及び第3Sバネ36に連結されている。第1補強部材62は、第1Sバネ32の左張出部32Cのシート前方側と、第2Sバネ34の右張出部34Cのシート前方側と、第3Sバネ36の右張出部36Cのシート前方側と、を連結している。
【0059】
第1補強部材62は、第1Sバネ32と第2Sバネ34との間と、第2Sバネ34と第3Sバネ36との間に、シート前方側に突出するように湾曲した突出部62Aを備えている。
【0060】
<第2補強部材64>
第2補強部材64は、締結部材52によって、第1Sバネ32、第2Sバネ34及び第3Sバネ36に連結されている。第2補強部材64は、第1Sバネ32の左張出部32Cのシート後方側と、第2Sバネ34の右張出部34Cのシート後方側と、第3Sバネ36の右張出部36Cのシート後方側と、を連結している。
【0061】
第2補強部材64は、第1Sバネ32と第2Sバネ34との間と、第2Sバネ34と第3Sバネ36との間に、シート後方側に突出するように湾曲した突出部64Aを備えている。
【0062】
[連結部材40の成形方法]
連結部材40は、第1Sバネ32、第2Sバネ34及び第3Sバネ36をインサート品として金型に配置してインサート成形することで、第1Sバネ32、第2Sバネ34及び第3Sバネ36と一体に形成することができる。この際、保護カバー50もインサート成形により、第1Sバネ32、第2Sバネ34及び第3Sバネ36と一体に形成してもよい。
【0063】
[シートクッション20の動作]
図5に示すように、車両用シート10に乗員Mが着座すると、クッションパッド21を介して、シート下方側への荷重が、Sバネ30と、連結部材40と、補強部材60と、に分散して作用する。シート下方側への荷重が、Sバネ30と、連結部材40と、補強部材60と、に作用すると、Sバネ30がシート下方側に撓むように変形する。
【0064】
[官能評価]
次に、本実施形態の車両用シートの効果を確認するために、本実施形態の車両用シートの官能評価を実施した。比較例として、図6(A)に示す比較例1と、図6(B)に示す比較例2と、図6(C)に示す比較例3と、を準備した。
【0065】
図6(A)に示すように、比較例1の車両用シートは、Sバネ30が4本設けられている。比較例1の車両用シートの連結部材140は、第1中間部S2に設けられた第1連結部材142と、第2中間部S3に設けられた第2連結部材144と、第4中間部S5に設けられた第3連結部材146と、後端部S7に設けられた第4連結部材148と、で構成されている。
【0066】
図6(B)に示すように、比較例2の車両用シートは、Sバネ30が3本設けられている。連結部材40は、第4連結部材48によって構成されている。Sバネ30には、補強部材60が設けれらている。
【0067】
図6(C)に示すように、比較例3の車両用シートは、Sバネ30が3本設けられている。連結部材40は、第2連結部材44と、第3連結部材46と、第4連結部材48と、で構成されている。Sバネ30には、補強部材60が設けれらている。
【0068】
本実施形態の車両用シート10と、比較例1の車両用シートと、比較例2の車両用シートと、比較例3の車両用シートとについて、「ストローク感」と、「ホールド感」と、「尻落ち感」とを評価した。「ストローク感」は、車両用シートに着座した際のストローク量を評価したものである。「ホールド感」は、車両用シートに着座した際の安定感(ふらつき等の不安定感を感じないか)を評価したものである。「尻落ち感」は、車両用シートに着座した際の臀部の沈み込み過ぎている感覚を評価したものである。評価者は、5人とした。
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示すように、比較例1の車両用シートは、「ホールド感」と「尻落ち感」は十分であったが、「ストローク感」が物足りなかった。比較例2の車両用シートは、「ストローク感」は十分であったが、「ホールド感」が物足りなく、「尻落ち感」が不十分であった。比較例3の車両用シートは、「ストローク感」と「尻落ち感」は十分であったが、「ホールド感」が物足りなかった。本実施形態の車両用シート10は、「ストローク感」と「ホールド感」と「尻落ち感」は十分であった。
【0071】
[本実施形態の作用]
次に、本実施形態の車両用シート10の作用及び効果について説明する。
【0072】
本実施形態の車両用シート10は、シートクッション20の骨組みを構成するクッションフレーム22と、クッションフレーム22に、シート前後方向Dに架け渡され、クッションパッド21を介して、シートクッション20の座面に作用した荷重を受けるSバネ30であって、シート幅方向Eに屈曲した屈曲部を有する3本のSバネ30と、3本のSバネ30をシート幅方向Eに跨るように連結する樹脂製の連結部材40であって、シート前後方向Dに間隔を空けて、互いに独立して設けられた連結部材40と、を備えている。第1連結部材42は、前側フレーム24からシート前後方向Dに延在したSバネ30のストレート部32A,34A,36Aに設けられている(図4参照)。
【0073】
クッションフレーム22に、シート前後方向Dに架け渡され、クッションパッド21を介して、シートクッション20の座面に作用した荷重を受ける3本のSバネ30であって、シート幅方向Eに屈曲した屈曲部を有するSバネ30を備えることで、4本のSバネを備える場合と比較して、Sバネ30がたわみ易くなる。そのため、クッションパッド21を薄肉化してシートクッション20を薄型化しつつも、シートクッション20のたわみ量を維持することができる。その結果、シートクッション20を薄型化しつつも乗員Mの座り心地の低下を抑制することができる。
【0074】
また、3本のSバネ30をシート幅方向Eに跨るように連結する樹脂製の連結部材40を備えることで、Sバネ30が独立して動くことが抑制される。そのため、Sバネ30が、シート前後方向Dを回転軸として回転(ロール方向に回転)することが抑制される。その結果、シートクッション20に着座した乗員Mのホールド感を改善することができる。
【0075】
しかも、連結部材40は、シート前後方向Dに間隔を空けて設けられることで、Sバネ30を均一なたわみ量としつつ、Sバネ30の一体的な動作を実現することができる。
【0076】
さらに、連結部材40は、互いに独立して設けられることで、連結部材40が互いに連結された場合と比較して、シートクッション20がたわみ易くなる。そのため、乗員Mの座り心地を維持しつつ、シートクッション20の薄型化を図ることができる。
【0077】
また、第1連結部材42は、クッションフレーム22の前側フレーム24からシート前後方向Dに延在したSバネ30のストレート部32A,34A,36Aに設けられていることで、第1連結部材42がストレート部32A,34A,36Aに設けられていない場合と比較して、Sバネ30が独立して動くことが抑制される。そのため、Sバネ30が、シート前後方向Dを回転軸として回転(ロール方向に回転)することがより抑制される。その結果、乗員Mの座り心地を向上することができる。
【0078】
本実施形態の車両用シート10では、第2連結部材44と第3連結部材46とは、Sバネ30の拡幅部に設けられている(図4参照)。
【0079】
第2連結部材44と第3連結部材46とは、Sバネ30の拡幅部に設けられていることで、Sバネ30の減幅部に設けられる場合と比較して、Sバネ30が、シート前後方向Dを回転軸として回転(ロール方向に回転)することが抑制される。その結果、乗員Mの座り心地をより向上することができる。
【0080】
本実施形態の車両用シート10では、連結部材40は、着座した乗員Mの臀部に対応する位置であって、ヒップポイントHPのシート下方を避けた位置に設けられている(図5参照)。
【0081】
連結部材40は、着座した乗員Mの臀部に対応する位置に設けられることで、臀部は、Sバネ30と連結部材40とで支持される。そのため、臀部に対応する位置に連結部材40を設けない場合と比較して、臀部を支持する面積が増加する。その結果、クッションパッド21がSバネ30間の隙間から落ち込んで臀部が沈みすぎる感覚となる尻落ち感を抑制することができる。
【0082】
しかも、連結部材40とは、ヒップポイントHPのシート下方を避けた位置に設けられていることで、着座した乗員Mの座骨部への応力集中が回避される。そのため、乗員Mの座り心地を向上させることができる。
【0083】
本実施形態の車両用シート10では、シート幅方向Eの外側に設けられた第1Sバネ32と第3Sバネ36は、互いに左右対称形状に形成されている(図3参照)。
【0084】
シート幅方向Eの外側に設けられたSバネ30は、互いに左右対称形状に形成されていることで、シートクッション20の右側に荷重がかかった際(例えば、左カーブの際)と、シートクッション20の左側に荷重がかかった際(例えば、右カーブの際)とで、Sバネ30のたわみ量が同じにされる。そのため、シートクッション20を均一なたわみ量として、乗員Mの座り心地を向上させることができる。
【0085】
本実施形態の車両用シート10では、連結部材40は、シート前後方向Dに幅の広い幅広部42A,44A,46A,48Aを備えている(図3参照)。
【0086】
連結部材40は、シート前後方向Dに幅の広い幅広部42A,44A,46A,48Aを備えていることで、臀部を支持する面積が増加する。そのため、クッションパッド21がSバネ30間の隙間から落ち込んで臀部が沈みすぎる感覚となる尻落ち感を抑制することができる。
【0087】
以上、本発明の車両用シートを上記実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
【0088】
上記実施形態では、第2Sバネ34は、左張出部34Bと右張出部34Cを有する例を示した。しかし、第2Sバネは、張出部を有しないようにストレートに延在して形成されてもよい。
【0089】
上記実施形態では、第2連結部材44及び第3連結部材46は、拡幅部に設けられる例を示した。第2連結部材及び第3連結部材は、減幅部に設けられてもよい。
【0090】
上記実施形態では、連結部材40は、4つ設けられる例を示した。しかし、連結部材の数は、この態様に限定されるものではない。
【0091】
上記実施形態では、連結部材40は、樹脂製で形成されている例を示した。しかし、連結部材の材質は、この態様に限定されるものでなく、ゴムや金属ワイヤ等とすることもできる。
【0092】
上記実施形態では、本発明の車両用シートを自動車の車両用シートに適用する例を示した。しかし、本発明の車両用シートは、列車、航空機、船舶その他の乗り物のシートに適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
10 車両用シート
20 シートクッション
21 クッションパッド
22 クッションフレーム
24 前側フレーム
30 Sバネ(弾性部材の一例)
32A,34A,36A ストレート部
40 連結部材
42A,44A,46A,48A 幅広部
D シート前後方向
E シート幅方向
HP ヒップポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6